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避難所用SS投下スレ11冊目

86ウルトラ5番目の使い魔 23話 (1/11) ◆213pT8BiCc:2014/09/24(水) 01:49:53 ID:kjHCfTJM
 第23話
 あの湖に希望を込めて
 
 古代怪鳥 ラルゲユウス 登場!
 
 
「いまよ! シルフィード、飛んで!」
「わかったのね! あとはシルフィーにまかせるのねーっ!」
 怪獣ゴルゴスの爆発の炎と煙がヴィルサルテイル宮殿の庭園を焦がす。
 飛び散る岩。かつて建物やガーゴイルの一部だった残骸が白い尾を引いて四方に飛び散っていき、その爆発の起こした強烈な爆風を翼に受けてシルフィードが大空高く飛び上がっていく。
「うわーぉ! やっぱりあなたの背中は最高ね。前より速くなったんじゃないの」
「ふふん、シルフィも日々成長しているのね。さ、こんなところはおさらばしてトリステインまで急ぐのね。しっかり捕まってるのねっ!」
 背中にジルとキュルケ、タバサの母を乗せてシルフィードは一路西を目指して飛んだ。あの爆発の中、超低空で飛んでジルとキュルケを拾い上げて、その大きな体で守って飛び上がったシルフィードもまた、以前に比べて大きく強くなっていたのだ。
 翼を大きく広げ、高空の風を掴んだシルフィードは風韻竜本来の力を存分に発揮して、鳥よりも速く飛翔する。もう王宮警護の竜騎士が気づいても手遅れだろう。風韻竜はこの世のどんな生き物よりも速い、その誇りがシルフィードの胸に芽生えつつあった。
 しかし、リュティスから急速に遠ざかりつつあるシルフィードを背後から猛追する複数の影があった。
「おい、後ろから何か来る。鳥じゃない……ちっ、追手だよ!」
 ジルの狩人として鍛えた眼が、かなたからの刺客を素早く捉えた。黒い点のようなものが次第に大きくなり、コウモリのような翼を持ったガーゴイルの形をとっていく。数はざっと二十体、こちらより速い、このままでは追いつかれる!
「きゅいい! わたしより速いって、どういうことなのね!」
「向こうは余計な人数を乗せてないからな、軽い分速いんだろう。しかしあの女、しつっこいものだね」
「声色からプライドの高さはうかがえたものね。わたしにも見えてきたわ、空中戦用の鳥人型ガーゴイルみたいね。ゲルマニア軍が似たようなものを使っているのを見たことがあるわ」
 キュルケの視力でもわかるくらいだから、かなり近づいてきていると言えるだろう。実際、両者の距離は急速に縮まりつつあった。それはガーゴイルが魔法先進国であるガリア製であることと、もうひとつ、送り込んできた張本人であるシェフィールドの執念によるものだった。
 ゴルゴスが爆破されたとき、シェフィールドはゴルゴスに一体化していたガーゴイルとの交信がすべて消えたことで敗北を悟った。しかし、もはや追い詰められるところまで追い詰められたシェフィールドは、なりふり構わずに手持ちの最後のガーゴイルを使ってまで追ってきたのであった。
「貴様らだけは、貴様らだけは何としてでも生かして帰すわけにはいかない。殺してやる、私のすべてと引き換えにしてでも殺してやる!」
 ガーゴイルやゴーレムは、その操る人間の技量と感情に応じて能力が上下する。今、怒りと屈辱の極致に達したシェフィールドの執念が乗り移ったガーゴイルは、小鳩を見つけた猛禽がごとくシルフィードに襲いかかろうとしている。
 振り切れない! さらにガーゴイルたちはジルが見たところ近接戦用の爪などだけでなく、腹部に奇妙なふくらみがある。
「まずいな。あのガーゴイルども、腹の中に爆薬を抱えてるぞ」
「ええっ! それってもしかして、シルフィーに抱きついて……ドカーン! きゃーっ!」
「落ち着きなさいよ。わたしだってまだ死にたくないんだからね。まったく、もうほとんど精神力は残ってないってのに、度を越えたアンコールは無粋の極みよ!」
 追撃を阻止するため、ジルとキュルケは再び武器をとった。弓に矢をつがえ、杖をかざして呪文を唱える。
 だが、すでに矢玉も精神力も尽きかけている。はたして二十体ものガーゴイルを撃退することができるかどうか。
「きゅいい! ジルにキュルケ、お願いだからお願いするのね! あんなのといっしょにドッカーンなんて絶対イヤなのね!」
「好きな人間がいたらお目にかかりたいわね。あなたは黙って飛んでなさい。ちょっとでも速くね! 疲れたなんて言ってたらみんな揃って花火よ!」


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