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避難所用SS投下スレ11冊目

844ウルトラ5番目の使い魔 60話 (2/18) ◆213pT8BiCc:2017/06/27(火) 09:33:25 ID:U1/UBfmE
 黒幕の声色には緊張はなく、筋書きの決まった演劇を見るような余裕に満ちている。
 これだけのことをしでかしておきながら、まるでなんでもないことのような態度。そればかりか、奴が自分を売り込もうとしているジョゼフの様子もおかしい。常の無能王としての虚無的な陽気さはどこにもなく、表情は固まり、口元は閉じられて、落ち着かない風に指先を動かし続けている。
 何より、これだけのことを起こせる力があるというのにジョゼフの協力を得ようとしている奴の目的は何か? 単なる侵略者とは違う、さらに恐ろしい何かを秘めた一人の宇宙人によって、ハルケギニアにかつてない形の動乱が迫りつつある。
 その第一幕はすでに上がった。もう誰にも止めることはできない。始まってしまったものは、もう止められない。
 
 燃え盛る宿営地を見下ろしながら、サタンモアの背に立つワルドは杖を振り上げて呪文を唱え、眼下の才人とルイズ目がけて振り下ろした。
『ウィンド・ブレイク!』
 強烈な破壊力を秘めた暴風が、姿のない隕石のように二人を襲う。だが、才人はルイズをかばいながら、ワルドの殺意を込めた魔法を真っ向からその手に持った剣で受け止めた。
「でやぁぁぁっ!」
 風の魔法は才人の剣に吸い込まれ、その威力を減衰させて消滅した。
 ニヤリと笑う才人。そして才人は剣の切っ先をワルドに向けると、高らかに宣言したのだ。
「何度やっても無駄だぜ。魔法は全部、パワーアップしたデルフが受けてくれるんでな!」
「ヒュー! 最高だぜ相棒。俺っちは絶好調絶好調! いくらでも吸い込んでやるから安心して戦いな」
 才人がかざしている銀光りする日本刀。それこそは新しく生まれ変わったデルフリンガーの姿であった。
 デルフは以前、ロマリアの戦いで破壊されてしまった。だが、その残骸は回収されてトリステインに戻り、サーシャが帰り際に修復してくれたのである。
「さっすがサーシャさんだぜ、あのワルドの魔法がまったく効かないなんてな。しっかし、サーシャさんがデルフを最初に作ったんだって聞いたときはビックリしたけど、考えてみたら魔法を吸い込む武器なんてガンダールヴのためにあつらえられたようなものだからな」
「ああ、俺もずっと忘れてたぜ。元々は、サーシャが後々のガンダールヴのためにって作り残してたのが俺だったんだ、こういうときのためにな! さあ遠慮なく戦いな相棒。魔法は全部俺が受け止めてやるからよ!」
「おう!」
 才人はうれしそうに、新生デルフリンガーを構える。その顔には、久しぶりに心からの相棒とともに戦えるという闘志がみなぎっていた。


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