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避難所用SS投下スレ11冊目

833ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc:2017/06/16(金) 00:08:03 ID:uyQASVdY
 ルイズのベッドの周りには、タバサ、シエスタ、シルフィードらが既に集まっていた。
皆固唾を呑んで、ルイズの様子を見守っている。
 ルイズは今のところ、ぼんやりとしているだけで、傍目からは変化が起きたかどうかは
分からない。
「……どうだ、ルイズ? 何か思い出せることはあるか?」
 恐る恐る尋ねかける才人。するとルイズが、ぽつりとつぶやいた。
「……わたしは、ルイズ……。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……!」
「!!」
 今の言葉に、才人たちは一気に喜色満面となった。ルイズのフルネームは、ここに来てから
誰も口にしていないからだ。それをルイズがスラスラと唱えたということは……。
「そうよ! わたしはヴァリエール公爵家の三女、ルイズ・フランソワーズだわ!」
「ミス・ヴァリエール! 記憶が戻ったのですね!」
 感極まってルイズに抱きつくシエスタ。ルイズは驚きながらも苦笑を浮かべる。
「ちょっとやめてよシエスタ。そう、あなたはシエスタよ。学院のメイドの」
「ルイズ……記憶が戻った」
「タバサ! 学院でのクラスメイト!」
「よかったのねー! 色々心配してたけど、ちゃんと元に戻ったのね!」
「パムー!」
「シルフィード、ハネジローも!」
 仲間の名前を次々言い当てるルイズの様子に、才人は深く深く安堵した。あれほど怪しい
状況の中にあって、本当にルイズの記憶が戻ったというのはいささか拍子抜けでもあるが、
ルイズが治ったならそれに越したことはない。
「よかったな、ルイズ。これで学院に帰れるな!」
 満面の笑顔で呼びかける才人。
 ……だが、彼に顔を向けたルイズが、途端に固まってしまった。
「ん? どうしたんだ、その顔」
 才人たちが呆気にとられると……ルイズは、信じられないことを口にした。
「……あなたは、誰?」
「………………え?」
「あなたの名前が……出てこない。誰だったのか……全然思い出せないッ!」
 そのルイズの言葉に、シエスタたちは声にならないほどのショックを受けた。
「う、嘘ですよね、ミス・ヴァリエール!? よりによってサイトさんのことが思い出せない
なんて……あなたに限ってそんなことあるはずがないです!」
「明らかにおかしい……不自然……」
「変な冗談はよすのね、桃髪娘! 全っ然笑えないのね!」
 シルフィードは思わず怒鳴りつけたが、ルイズ自身わなわなと震えていた。
「本当なの……! 本当に、何一つ思い出せないの……! あるはずの思い出が……わたしの
中にない……!」
 ルイズが自分だけを思い出せないことに、才人はどんな反応をしたらいいのかさえ分からずに
ただ立ち尽くしていた。

「……」
 混乱に陥るゲストルームの様子を、扉の陰からリーヴルがじっと観察していた。


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