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避難所用SS投下スレ11冊目

809ウルトラ5番目の使い魔 59話 (5/13) ◆213pT8BiCc:2017/06/07(水) 11:56:30 ID:9ZOoAC8I
「長引きすぎる戦いに、皆が疲れ始めているようだ。しかし、我々にはどうすることもできない」
 再び旅立ったモロボシ・ダンが言い残した言葉である。彼をはじめ、どの世界のウルトラマンもこの戦争には関与できない。もしもジョゼフが怪獣を投入してきた場合は別だが、それ以外では静観するしかないのだ。
 この戦争は、あくまでハルケギニアの人間同士の勢力争いである。宇宙警備隊の範疇ではなく、我夢やアスカらにしても直接関わるのははばかられた。彼らは戦争中にヤプールや他の侵略者が介入してこないかを見張ってくれている。
 だが、彼らは外部からの侵略者よりも、この世界での友人たちの内面が受ける心配をしていた。特にウルトラマンアグルこと、藤宮博也はこの世界の状況を見て我夢にこう言っている。
「人間は、自分が”狙われている”という状況にいつまでも耐えられるほど強くはない。この世界の人間たちも、俺たちの世界の人間たちと同じ過ちを犯しかねない状況になっている」
 我夢や藤宮のいた世界では、いつ終わるともわからない破滅招来体との戦いの中で人間たちは焦り、地底貫通弾による地底怪獣の早期抹殺や、ワープミサイルでの怪獣惑星の爆破などといった強攻策を浅慮に選んで手痛い目に何度も会っている。M78世界でも、防衛軍内を騒然とさせた超兵器R1号計画の推移も、度重なる宇宙からの侵略に地球人たちが「いいかげんにしろ」としびれを切らせた気持ちがあったことをダンは理解している。戦いに疲れ果て、もう戦うのは嫌だという気持ちが人に正気を失わせてしまうのだ。
 今のハルケギニアは、長引く戦いで疲れが溜まりきってしまっている。このまま開戦すれば、決着を焦った人々によって何が起こるかわからない。ウルトラマンたちはそれを懸念していた。
 けれど、戦いを避けるという選択肢が実質ないことも皆が理解していた。当初、アンリエッタらは圧倒的戦力差を背景にしてジョゼフに生命の保証を条件に降伏を迫ろうと提案したが、タバサがジョゼフの異常性を主張して断念させた。
「忘れないでほしい。あの男は、王になるために自分の弟を殺した男だということを。そして、王でなくなったあの男を受け入れるところなんて世界中のどこにもない、ガリアの民がそれを許さないということを」
 一切の反論を封じる、タバサの氷のような視線が残酷な現実を突きつけていた。
 ジョゼフの積み上げてきた業は、もう生きて清算できるようなものではない憎悪をガリアの民から買っている。ガリアの民は、ジョゼフの支配が完全な形で終わることを望んでいた。
 
 トリステインでは、前の戦争で攻め込んできたガリア軍がそのままシャルロット女王の軍となり、ガリア解放のために動く準備を日々整えている。
 開戦の日は近い。才人たちは、あくまでもタバサに個人的に協力するという立場で、ひとつの街ほどの規模のあるガリア軍の宿営地で手伝いを続けていた。
 
 
 だが、戦いの火蓋は感情や理屈を無視して、文字通り災厄のように切って落とされた。


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