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避難所用SS投下スレ11冊目

78ウルトラ5番目の使い魔 22話  ◆213pT8BiCc:2014/08/11(月) 01:36:42 ID:WGhDb4EY
 魔法が効かない! 火薬もダメか! ガーゴイルを相手には大活躍したふたりの武器が、この怪獣にはものの役に立たないことが早くも証明されてしまった。
「っつ、固いわね」
「当然だね。奴は山がそのまま命を持ったような怪物だ。それこそ山を崩すくらいの力がないと倒せそうもないってことね」
「せめて土系統のメイジがいればいいんだけど……それにしても、あんな怪物をジョゼフ王はどこから用意してきているのかしら?」
 キュルケの疑問ももっともであった。ジョゼフはこれまで複数の怪獣を使って、数々の暗躍をしてきたことはすでに説明するまでもない。その多くは、以前にジョゼフと手を組んだ怪獣商人チャリジャから譲り受けたものであるが、この怪獣に関しては違った。
 この怪獣は岩石怪獣ゴルゴス。かつて地球でも富士山の裾野に出現した記録が残っている鉱石生命体の一種であるが、この個体はハルケギニアを出身としている。
 その出自は、今から一年ほどを遡る。その頃、ハルケギニアはヤプールの出現の影響によって、眠っていた怪獣が次々と目覚め、地球で言う怪獣頻出期に近い様相を呈していた。むろん、そのすべてをウルトラマンたちが対処したわけではなく、人間だけで解決に導いた事件も数多くあった。それらの事件の中に、このゴルゴスが出現したものもあったのだ。
 それが起きたのはトリステインの東の隣国ゲルマニア。この国は人口の多さと、ハルケギニアでは工業の発達したほうであったので、怪獣出現の例が多かった。以前にアンリエッタ王女が魔法学院に立ち寄った際に、岩石の怪獣がゲルマニアに現れたという話をしたが、その情報はガリアにも伝わっていた。これを聞くなり秘密裏にジョゼフは手を回して、ゴルゴスの核というべき生きている岩石を探させて、ゲルマニア人が倒したものとは別個体を同地で発見入手することに成功していたのだ。
 だがむろん、キュルケやジルたちにとってそんな事情を知ろうが知るまいが状況に変わりはない。ゴルゴスは凶暴な性格で、突進をかわされた腹立ちからか、のしのしと不恰好に方向転換して再度突進しようとしてくるようだ。
「どうやらあのお岩さん、わたくしたちとダンスがしたいご様子ね。ジルさん、あなたお相手してあげたら?」
「丁重にお断りするね。舞踏会は貴族のたしなみだろう? ワン・ツーステップでレッスンしてやったらどうだ」
 ふたりとも減らず口を叩きあってはいるものの、自分が相手をしたくないということに関しては本音だった。ふたりとも怪物退治はベテランと呼べるくらいに経験を積んできたが、別に趣味でもなんでもない。貴族は名誉、狩人は食うために戦うことはあっても、どちらにもならないのに痛い目だけ見る気は毛頭なかった。
 とはいえ、正攻法で勝てる相手ではない。ならばどうするか? 簡単だ、奴はどう見ても空は飛べそうにないから、さっさとシルフィードに乗っておさらばするに限る。
「シルフィード!」
「待ってたのね! ここがシルフィーの見せ場なのね」
 勢い込んでシルフィードが飛んできた。さすが伝説の風韻竜だけあって速い速い、怪獣の向こう側から地面スレスレを滑空してもうすぐそこだ。
 しかし、そのまま飛び乗ってと思った瞬間、ジルとキュルケの眼に恐ろしいものが映った。
「シルフィード! 危ないわ、避けて!」
「へあっ? わっ、なのね!」
 とっさに右に急旋回したシルフィードの眼に、自分とスレスレのところを飛び去っていく無数の弾丸が見えた。


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