したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

避難所用SS投下スレ11冊目

730ウルトラ5番目の使い魔 58話 (2/24) ◆213pT8BiCc:2017/05/16(火) 11:05:31 ID:qB1md0Gc
 悲しい、苦しい、帰りたい……でも、わたしの命は尽きた。もう、あいつの元には戻れない。
 
「しかし、君にはまだ意思がある。生きたいという意思が」
 
 不思議な声がまた響き、暗く冷たい深淵に沈んでいっていたサーシャを、暖かい光が掬い上げた。
 ゆっくりと目を開くサーシャ。彼女は明るく優しい光の中で、青い体を持つ銀色の巨人の手のひらの上に抱かれていた。
 
「あなたは、神様?」
 
 サーシャの問いかけに、巨人はゆっくりと首を横に振った。
 
「私は、君たちがヴァリヤーグと呼ぶ、あの光のウイルスを追ってこの星にやってきた者だ」
「じゃあ、あなたはブリミルと同じ、宇宙人なの?」
 
 巨人はうなづき、そして語った。あの光のウイルスを放っておけば、この星は滅ぼされてしまうだろう。
 サーシャが、止められないのかと問いかけると、巨人は、難しいと答えた。奴らの力は強大だ、それにこの世界はすでに大きく傷ついてしまっている。
 
「なら、もう手遅れだというの?」
 
 サーシャは悔しかった。どんなに頑張っても、命を懸けてブリミルにつないでも、もう遅かったというのか。
 いや、そんなことはない。サーシャは叫んだ。
 
「まだ終わってない! この世界には、まだわたしたちがいる。何度倒されても、わたしたちはその度に立ち上がってきた。何度焼き払われても、わたしたちは何度でも種を撒きなおす。この世界にわたしたちが生きているかぎ、りは……」
 
 サーシャは最後まで言い切る前に、どうしようもない事実に気づいて言葉を途切れさせてしまった。
 そうだ、自分は死んでしまったんだ。自分の剣で自分の胸を貫いて……死んだ人間にできることはない。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板