したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

避難所用SS投下スレ11冊目

726ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo:2017/04/30(日) 22:26:02 ID:oww8q7tg
(気配の元はすぐ近く―――ッ!?でも、どうして…)
 一体何故?こんな時に限って、彼女の霊力をここまで近づいてくるまで自分は気が付かなかったのか。
 こんなに荒く、凶暴な霊力ならばある程度距離が離れていても感知できるはずであった。
 まるで何処かからワープして来たかのように急に感知し、そしてすぐ目の前というべき距離にまで来ている。
 唯でさえ厄介な今に限って、更に厄介なモノが近づいてくるという状況に霊夢が舌打ちしようとした―――その直前であった。

 前方、先ほどリィリアという少女が走ってきた場所から刺々しい霊力を感じると共に物凄い音が通りに響き渡った。
 まるで大きな金づちで思いっきり振りかぶって、レンガ造りの壁を粉砕したかのような勢いに任せた破壊の音。
 その音を作り出せるであろう霊力の塊が勢いよく弾ける気配を感じた霊夢は、慌てて顔を上げる。
 だが、その時既に霊夢が『飛んでくる』゙彼女゙を認識し、それを避ける事は事実上不可能であった。
 理由は二つほど挙げられる。一つは飛んでくる゙彼女゙の速度が思いの外かなりあったという事。
 体内から迸る霊力と何らかの手段をもってここまで『飛んできた』であろう彼女は、既に霊夢との距離を二メイルにまで縮めていた。
 ここまで来るとどう体を動かしても霊夢は避ける事ができず、成す術も無く直撃するしか運命はない。 

「…ッ!―――痛ゥ…ッ!」
 二つ、それはタルブのアストン伯の屋敷前でも経験したあの痛み。
 始めて彼女と出会った時に感じた頭痛が…再び霊夢の頭の中で生まれ、暴れはじめたのである。
 まるであの時の出来事を思い出させようとするかのように頭が痛み出し、出来る限り回避しようとした彼女の邪魔をしてきたのだ。
 刃物で刺されたかのような鋭い痛みが頭の中を迸り、流石の霊夢もこれには堪らずその場で動きが止まってしまう。

 そしてそれが、後もう少しで大捕り物の主役になけかけた霊夢がその座から無念にも滑り落ち、
 本日王都で起きたスリの中でも、最も高額かつ大胆な犯人を取り逃がす羽目となってしまった。
 
(――クソ…ッ――アンタ一体、本当に何なのよ!?)
 痛みで軋む頭を右手で押さえながら、霊夢はすぐ目の前にまで来だ彼女゙を睨みつけながら思った。
 自分よりも濃く長い黒髪。細部は違えど似たような袖の無い巫女服に、行灯袴の意匠を持つ赤いスカート。
 そして自分のそれよりも更にハッキリと光っている黒みがかった赤い目を持つ彼女の姿に、霊夢の頭痛は更にに酷くなっていく。
 不思議な事に時間はゆっくりと進んでおり、あと五秒ほど使って一メイルの距離を進めば゙彼女゙と激突してしまうであろう。
 激しくなる頭痛で意識が刈り取られそうなのにも関わらず冷静に計算できた霊夢は、すぐ近くにまで来だ彼女゙の顔を見ながら思った。
 良く見るど彼女゙も自分を見て「驚いた」と言いたげな表情をしている分、これは偶然の出会いだったのだろう。
 ゙彼女゙がどのような経緯でこの街にいて、どうして自分と空中で激突せるばならないのか?その理由はまでは分からない。
(アンタの顔なんか今まで見たことないし、初対面…なのかもしれないっていう、のに…だというのに―――)


―――――何でこうも、私と姿が被っちゃってるのよ? 
 最後に心中で呟こうとした霊夢は、その前に勢いよく真正面から飛んできた彼女―――ハクレイと見事に激突する。
 激しい頭痛と合わせて頭へ響くその強い衝撃を前にして、彼女の意識はプッツリと途絶えた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板