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避難所用SS投下スレ11冊目

721ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo:2017/04/30(日) 22:16:03 ID:oww8q7tg
「えぇ?マジかよ、まさかルイズまで…」
「あのガキ…やってくれるじゃないの!」
 思わず口を押えて唖然とする魔理沙とは対照的に、霊夢は心の底から怒りが湧き上がってくるのに気が付く。
 家族の為スリだのなんだのでお涙ちょうだいの話しを聞かせてくれた挙句に、逆切れからの魔法連発。
 挙句の果てに自分たちの隙をついてあっさり持っていた金貨を全額盗られてしまったのだ。
 あの博麗霊夢がここまでコケにされて、怒るなと指摘する者は彼女に蹴りまわされても文句は言えないだろう。
 それ程までに、今の霊夢は怒りのあまり激情的になろうとしていたのである。
(相手が妖怪なら、即刻見つけ出して三途の川まで蹴り飛ばしてやれるんだけどなぁ…!)
 怒りのあまりそんな物騒な事を考えている矢先、ふと前の方から声が聞こえてきた。

「おーい!そんな路地で何の探し物してるんだよ間抜け共ォ!」
 それは魔理沙でもルイズでも、当然ながら地面に転がるデルフの声ではなかった。
 まるで生意気という概念を凝縮させて、人の形にして発したかのようなまだ幼さが残る少年の声。
 幸いか否か、その声に聞き覚えのあった三人はハッとした表情を浮かべて前方、大通りへと続く道の方へと視線を向けた。
 先ほどデルフで地面を叩いた際の音が大きかったのか、何人かの通行人達がジッと両端から覗いている小さな道。
 娼婦や肉体労働者、更には下級貴族と思しき者まで顔だけを出して覗いている中に、あの少年がいた。
 
 スリを働こうとして失敗したものの、最終的に彼女たちから大金を掠め取った、メイジの少年が。
 最初にあった時と同一人物とは思えぬイヤらしい笑顔を浮かべた彼は、ニヤニヤと笑いながらルイズ達へ話しかける。
「お前らが探してるのは、この金貨の山だろ!?」
 まるで誘っているかのようにワザと大声で叫ぶと、右手に持っていた大きな袋を二、三回大きく揺らして見せた。
 するとどうだろう。少年の両手で抱えられるほどの大きな麻袋から、ジャラ!ジャラ!ジャラ!と派手な音が聞こえてくる。
 それは三人に、あの麻袋の中に相当額の金貨が入っている…という事を教えていた。

「アンタ!それ私たちのお金…ッそこで待ってなさい!」
「喜べ!お前らが集めた金は、俺とアイツで有意義に使ってやるから、じゃあな!」
 思わず袋を指さしたルイズが、それを掲げて見せている少年の元へと駆け寄ろうとする。
 しかしそれを察してか、彼は捨て台詞と共に人ごみを押しのけて大通りへとその姿を消していく。
 通りからルイズたちを見ていた群衆も何だ何だと逃げていく少年の背中を見つめている。
 せめて捕まえようとするぐらいの事はしなさいよ。無茶振りな願望を彼らに抱きつつもルイズは大通りへと出ようとする。
 わざわざ向こうから自分たちのお金を盗ったと告白してきてくれたのだ、ならばこちらは捕まえてやるのが道理であろう。
 とはいえ、幾ら運動神経に自信があるルイズと言えど人ごみ多い街中であの少年を追いかけ、捕まえる自信はあまりなかった。

(あっちから姿を見せてくれたのは嬉しいけど、私に捕まえられるかしら?) 
 だからといって見逃す気は無いのだから、当然追いかけなければならない。
 選択肢が一切ない状況の中で、ルイズは走りにくい服装で必死に追いかけようとした。―――その時であった。
 だがその前に、彼女の頭上を一つの黒い人影が通過していったのは。
 ルイズは思わず足を止めて顔を上げた時、一人の少女が大通りへ向かって飛んでいくところであった。
 その少女こそ、今のところトリスタニアでは絶対に敵に回してはいけないであろう少女――博麗霊夢である。

「待てコラガキッ!アンタの身ぐるみ全部剥いで時計塔に吊るしてやるわ!」

 人を守り、魑魅魍魎と戦う巫女さんとはとても思えぬ物騒な事を叫びながら、文字通り路地から飛び出ていく。
 様子を見ていた人々や、最初から興味の無かった通行人たちは路地から飛んできた彼女に驚き、足を止めてしまっている。


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