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避難所用SS投下スレ11冊目

72ウルトラ5番目の使い魔 22話  ◆213pT8BiCc:2014/08/11(月) 01:29:46 ID:WGhDb4EY
 キュルケが怒っている。いつもは人を食った態度を崩さず、感情を表に出すときも、どこか優雅さを漂わせるキュルケが感情むきだしで怒っていた。
「牢獄につながれているあいだ、ずっと思い続けていたわ。あのとき、わたしにもっと強い力があれば、むざむざとタバサを犠牲にすることはなかった。なにがあの子を助けてあげるよ、自惚れていた自分をこれほど憎んだことはないわ。タバサから借りひとつどころじゃないこの屈辱……覚悟なさい。今日のわたしは悪魔より恐ろしいわよ!」
 怒りと後悔と屈辱と誇りが、今のキュルケの魔力を過去なかったほどに引き上げていた。キュルケは自信家で、その自信にまったく恥じないだけの実力を有しているが、それは裏返せば自惚れにも値する。それが敗北と幽閉という二重の屈辱で打ち砕かれて、幽閉されていた期間に練り上げられていた怒りと、溜め込まれてきた魔法力がシェフィールドの登場で一気に解放されて爆発したのだ。
「すごいのね。タバサおねえさまと同じくらい……いえ、それ以上かも」
 めったにタバサ以外を褒めないシルフィードが本気で驚いていた。元々、タバサに勝るとも劣らない才能の持ち主であったのが、自分の限界を突きつけられたことで一気にその壁を超えたのだ。今のキュルケは間違いなくスクウェアクラス、いや、昇格した勢いが有り余っている今ならば、あの『烈風』などにも匹敵するかもしれない。
 キュルケは今度は自分に向かってきた重装騎士のガーゴイルを一撃で消し炭にした。しかし数十体のガーゴイルはなおも目だって数を減らした様子はない。まだシェフィールドの側が圧倒的に有利であった。
「おのれこしゃくな。だが、このガーゴイルたちはただの騎士人形ではない。いずれもかつてメイジ殺しと恐れられたつわものを再現した特別製なのよ。そして、あなたたちを取り囲んでいる狼型のガーゴイル、フェンリルは本物の狼と同等の俊足と獰猛さを持っているわ。逃げることは絶対に不可能! 赤毛の小娘のランクアップは意外だったけど、あなたひとりでどこまで耐えられるかしらねえ?」
 シェフィールドの言うとおり、いくらキュルケが強くなったとはいってもガーゴイルはまだ何十体も残っていた。しかも、キュルケを手ごわしと見るや、うかつに近づくのをやめて、遠巻きにしながら弓や銃を持ち出してきたのだ。風の系統と違って火の系統は守りに弱い弱点を持っている。
 四方八方から矢玉や銃弾を送り込まれたら、いくらスクウェアクラスに昇格したキュルケでもやられる。しかもガーゴイルはシェフィールドの言うとおり、動きに無駄がなく素早い。飛び道具の狙いが外れることは期待できそうもない。おまけに、狩りの名手である狼の力を持つというフェンリルもいるなら、逃げ回りながら戦うのも難しい。
「ちょっと、まずいかもね……でもないか」
 少しだけ焦りを見せたキュルケだったが、すぐに不敵な笑みを浮かべてくすくすと笑った。


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