したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

避難所用SS投下スレ11冊目

719ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo:2017/04/30(日) 22:12:03 ID:oww8q7tg
「う、ウソでしょ!?だってアイツの手を掴んだ時にはまだあったっていうのに…!」
「れ、レイム…」
 まるで自宅の鍵を排水溝の中に落としてしまった様な絶望感に襲われた霊夢は、今にも泣き出しそうな表情で金貨入りの袋を探している。
 いつもの彼女とはあまりにも違うその姿にルイズは妙な新鮮さと、その彼女から金を盗んだ少年の手際に感服していた。
 何時どのタイミングで盗んだのかは分からないが、少なくとも完全に自分たちの視線を掻い潜って実行したのは事実であろう。
 口に出したら間違いなく目の前で探し物をしている巫女さんに怒られるので、ルイズは心中でただただ感服していた。
「はっははは!あんだけ格好いい降り方しといて…まさかあの博麗霊夢が、お…お金を盗られるとはな…!」
 先程までの格好よさはどこへやら、必死に袋を探す彼女を見て魔理沙は何が可笑しいのか笑いを堪えている。
 まぁ確かに彼女の言う通りなのだが、実際にそれを口にしてしまうのはダメだろう。
「ちょとマリサ、アンタもほんの少しくらいは同情し、な……――――あぁッ!」
 彼女と同じく対岸の火事を見つめている側のルイズは、笑いを堪える魔理沙を咄嗟に咎めようとした時、またもや気づいてしまう。
 派手な一撃をかましてくれた霊夢と、その後の彼女の急変ぶりに気を取られていて、全く気付いていなかったのだ。
 あの少年が来るまで、魔理沙が手に持っていた今一番大切な物が無くなっていることに。

「うわ!な、なんだよ…イキナリ大声何か上げてさ」
「え…!?どうしたのルイズ、私のお金が見つかったの?」
 それまでずっと地面と睨みっこしていた霊夢がルイズの叫び声に顔を上げ、魔理沙も思わず驚いてしまう。
 本人はまだ気づいていないのだろうか、でなければ霊夢の事など笑っていられる筈が無いであろう。
 ある意味この中では一番能天気な黒白へ、ルイズは振るえる人差し指を彼女へ向けて言った。

「ま、魔理沙…!アンタがさっきまで手に持ってた金貨の入った袋…無くなってるわよ!?」
「え…?うぉおッ!?マジかよ、ヤベェ…ッ!」
 どうやら本当に気づいていなかったらしい。ルイズに指摘されて初めて、彼女は手に持っていた袋が無くなっていることに気が付いた。
 きっと魔理沙も霊夢の登場とその後の行動に目を奪われていたのだろう、慌てて足元に目を向けるその姿に溜め息をついてしまう。
「くっそぉ〜…、何処に落としたんだ?多分、あのエアハンマーの時に落としたと思うんだが…」
「何よ?あんだけ私の事バカにしといて、アンタも同じ穴の貉だったじゃないの」
 お金を探す自分の姿を、笑いを堪えて眺めていた魔理沙を見て、霊夢はキッと鋭く睨み付ける。
 何せついさっきま地べた這いずりまわって探し物をしていた自分をバカにしていたのだ、睨むなという方がおかしいだろう。
「うるせぇ。…あぁもう、何処に行ったんだよ、私の三百七十五エキューよぉ〜」
 霊夢の鋭い言葉にそう返しながらも、普通の魔法使いもまた地べたを這いずりまわる事となった。
 まだ分からないが、恐らく霊夢に続いて今度は魔理沙までもがスリの被害に遭ってしまった事に流石のルイズも冷や汗を流してしまう。

「こ、これはちょっとした一大事ね。まさかついさっきまであった二千エキュー以上が一気に無くなるなんて…」
 公爵家の令嬢と言えども、思わずクラリと倒れてしまいそうな額にルイズの表情は自然と引き攣ってしまう。
 幾らギャンブルで水増ししたとはいえ、流石に二千エキュー以上持ち歩くのはリスクが高過ぎたらしい。
 とはいえ近くに信用できそうな貸し金庫は無く、一番安全とも言える財務庁はここから歩いても大分時間が掛かってしまう。
 あの少年は自分たちが大金を持っている事を知っているワケは無い…とは思うが、彼にとってはとんでもないラッキーだったに違いない。
 …だからといって、このまま大人しく金を盗らせたまま泣き寝入りするというのは納得がいかなかった。
 いくら自分が被害に遭っていなくとも、一応は知り合いである二人のお金が盗られたのである。
 このまま何もしないというのは、公爵家の者として教育されてきたルイズにとって許しがたい事であった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板