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避難所用SS投下スレ11冊目

718ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo:2017/04/30(日) 22:10:05 ID:oww8q7tg
そして…彼女を中心に地面を罅割ったであろう、鞘に収まったままのデルフを肩に担いだ霊夢は彼に話しかける。
「デルフ…さっきのは手ごたえがなかったわよね?」
『だな。どうやら、上手いことさっきの土煙紛れて逃げたらしいな』
 どうやら彼女たちも少年が逃げたのには気づいているらしい、霊夢は周囲に警戒しながらも悔しそうな表情を見せていた。
 そんな彼女がド派手な着地を仕出かしてからちょうど二十秒くらいで、今度は魔理沙が口を開く。

「全く、お前さんは相変わらず周りの者に対する配慮というのがなってないぜ」
 さっきまで少年のエア・ハンマーで近寄れなかった彼女も、いつもの自分を取り戻して服に付いた土埃を払っている。
 それを見たルイズも、自分の服やスカートに地面から舞い上がった土が付着しているのに気が付き、払い落とし始める。
「随分と物騒な降り方じゃないか、せめて私とルイズを巻き込まない程度で済ましてくれよな?」
「ルイズはともかく、アンタの場合は多少の破片じゃあビビるまでもないでしょうに」
 気を取り直し、帽子に付いた土埃を手で払いのける黒白に冷たい言葉を返しつつ、霊夢は周囲に少年がいないのを確認する。
 デルフの言うとおり、やはり魔法を放ってきた時点でもう逃げる気満々だったのかもしれない。
 それならそれでいいが、仮にも自分の金を盗もうとしてきたのである。お灸の一つくらい据えたいのが正直な気持であった。

 だが、自分から消えてくれるのならば無理に深追いするつもりもなかった。
 そこまであの犯罪者に肩入れするつもりはなかったし、何より今優先すべき事は宿探しである。
「さて、邪魔者もいなくなったし…ここから離れて宿探しを再開するとしましょう」
「う、うん…。そうよね、分かったわ…―――――って、アレ?」
 いかにも涼しげな淑女といった風貌で、鞘に入った太刀を肩に担ぐ霊夢の姿はどことなく現実離れしている。
 先ほどの一撃を思い出しつつそんな事を思っていたルイズは―――ふともう一つの違和感に気が付く。
 それは彼女の全体から放つ違和感の中で最も小さく、しかし今の自分たちには絶対にあってはならないものであった。

「……ね、ねぇレイム。一つ聞きたい事があるんだけど」
「…?何よ、いきなり目を丸くしちゃって…」
 突然そんな事を言ってきたルイズに首を傾げつつも、霊夢は彼女の次の言葉を待った。
 そして、それから間を置かずに放たれた言葉は何ものにも囚われぬハクレイの巫女を驚愕させたのである。

「――――アンタがとりあえずって腰に付けてた金貨入りの袋、ものの見事に無くなってるわよ?」
「え…?それってどういう――――――エぇ…ッ!?」
『うぉお…ッ!?な、何だよイキナリ?』

 目を丸くした彼女に指摘され、思わずそちらの方へと目を向けた霊夢は素っ頓狂な声を上げ、その拍子にデルフを投げ捨ててしまう。
 無理もない、何せさっきまでベルトに巻き付けていた袋―――そして中に入っていた金貨が綺麗に無くなっていたからである。
 慌てて足元をグルリと見回し、それでも見つからない現実が受け入れず路地のあちこちへ見てみるが、やはり見つからない。
 音を立てて地面に転がったデルフには見向きもせずに袋を探す霊夢の表情に、焦燥の色が浮かび上がり始めた。
「無い、無い、無い!どういう事なのよ…ッ!」
『あちゃぁ…やったと思ってたらまんまとやられちまったっていうワケか』
 始めてみるであろう霊夢の焦りを目にしたデルフは、瞬時に何が起こったのか察してしまう。
 もしもここで見つからないというのなら、彼女が腰に見せびらかせていた金貨入りの袋は盗まれたというワケである。
 正に彼の言葉通り、やったと思ったらやられていたのだ。あの平民の姿をしたメイジの少年に。


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