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避難所用SS投下スレ11冊目

715ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo:2017/04/30(日) 22:04:02 ID:oww8q7tg
 あの黒白の事だ、自分が盗まれてないという事で情けを掛けるのではないだろうか?
 そんな想像をしたルイズが、とりあえず彼女に釘を刺そうと口を開きかけたところで、先に霊夢が魔理沙へ話しかけた。
「放っておきなさい、どうせ人様の金を盗むような奴なんか碌でもない事考えてるんだから」
「それは分かってるよ。……という事で悪いな少年、霊夢相手に盗みを働こうとした自分自身を恨めよな」
 …どうやら、二人の話を聞く分でも釘をさす必要は無かったようだ。
 無言の救難メッセージを拾われるどころか、そのまま海に突き返されたかの如き少年はガクリと項垂れてしまう。
 その様子を見てもう逃げ出すことはしないだろうと思ったルイズが、大通りへと続く道へと再び顔を向けた時、
「あ……あの、―――すいません」
「ん?」
 それまで無言であった少年が自分の手を掴む霊夢に向けて、初めてその口を開いた。
 まだ何かいう事があるのかと思った霊夢は心底面倒くさそうな表情のまま、目だけを少年の方へと向ける。
 彼はそれでも自分の話を聞いてくれると感じたのか、機嫌の悪い犬を撫でるかのように慎重に喋り出した。
「す、すいませんでした…も、もう二度としないから…見逃して下さい、お願いします」
「ふ〜ん、そうなんだ。――――そんなこと言いたいのならもう黙っててよ、鬱陶しいから」
 ひ弱そうな彼の口から出た言葉に霊夢はあっさりと冷たい反応で返すと、少年は食い下がるようにして喋り続ける。
「お願いします、どうか見逃して下さい。僕が捕まるとたった一人の家族が…妹がどうなってしまうか分からないんです、だから…」
「――――ほぉ〜ん、そういう泣き落としで私に見逃して貰おうってワケね?」
 ゙妹゙という単語に少し反応したのか、霊夢は片眉をピクリと不機嫌そうに動かしつつもバッサリ言ってやった。

「確かにアンタの妹さんとやらは可哀想かもね?――――アンタみたいなろくでなしが唯一の家族って事に」
 確かに、概ね同意だわ。――彼女の言葉に内心で同意しつつも、ルイズはほんの少し同情しかけてしまう。
 自分がヴァリエール家末っ子だという事もある。イヤな事もあったが、何だかんだで家族には大事にされてきた。
 だからだろうか、卑怯な手だと思いつつも少年の帰りを待っているであろゔ妹゙という存在を考えて、彼を詰所につれて行くのはどうかと思ってしまったのである。
(でも…ここで見逃したらまた再犯するだろうし、やっばり連れて行った方が良いわよね)
 けれども、家族がいるという情けで助けるよりも法の正義の下に叱ってもらった方が良いとルイズは思っていた。
 下手に見逃せば、今度は取り返しのつかない事になるかもしれないし、幸いにも盗みは未遂に終わっている。
 いくら衛士でもこの年の子供を牢屋にぶち込みはしないだろうし、きっと厳重注意で許してくれるに違いない。
 危うく少年の泣き落としに引っ掛りそうであったルイズは気を取り直すように首を横に振ってから、彼へと話しかけた。

「だったら最初からこんな事をしないで、ちゃんとした仕事を見つけた方が妹さんとやらの為じゃないの?」
 それはほんのアドバイス、犯罪で金稼ぎをしようとした子供に対する注意のつもりであった。
 だが、少年にとってはそれが合図となった。――――本気で相手から金を奪う為の。

「――――…………良く言うぜ、俺たちの事なんか何も知らないくせに」
「…え?」
「俺とアイツがどれだけ苦労して来たか、知らないくせに…!」
 先ほどまでのオドオドした姿からは利くとは思わなかった、必死にドスを利かせた少年なりの低い声。
 突然のそれに思わず足を止めたルイズが後ろを振り向いた時、彼の左手に握られている゙モノ゙に気が付く。


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