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避難所用SS投下スレ11冊目

701ウルトラ5番目の使い魔 57話 (14/19) ◆213pT8BiCc:2017/04/13(木) 15:02:23 ID:esn0CqG6
「逃げてぇ! リドリアス!」
 サーシャが叫んだときには遅かった。カオスヘッダーは一気に収束すると、リドリアスに向かって舞い降りてきたからだ。
 カオスヘッダーに取り付かれて苦しむリドリアス。ブリミルはその隙にリドリアスの手から逃れて、魔法でひらりと地面に着地した。
「仲間を作っても、どうせヴァリヤーグに奪い取られる。そんな世界に希望なんてない。だから終わらせるんだ、僕の手で」
 再び『生命』の魔法を唱え始めるブリミル。そしてリドリアスもカオスヘッダーに完全に取り付かれて、長い爪を持つ凶悪な姿のカオスリドリアスに変異させられてしまった。
 最悪に続く最悪の事態に、サーシャは悔しさで歯を食いしばった。
 けれど、それでもまだ終わってはいない。サーシャは駆けた、ブリミルの元へ。
「ブリミルーッ!」
「君は本当にあきらめが悪いね。無駄だと言っているだろう」
 エクスプロージョンの爆発がサーシャを吹き飛ばす。倒れこむサーシャを見下ろして、ブリミルは悲しげに告げた。
「そこでじっとしていてくれ。僕は、君をこれ以上苦しめたくない」
「誰が……ふざけたことを、言ってるんじゃないわよ」
 サーシャは立ち上がる。その目には、ブリミルと反対のものを宿らせて。
 しかしサーシャの敵は後ろにもいた。カオスリドリアスがサーシャを踏み潰そうと飛び掛ってきたのだ。
「リドリアス! やめて、正気に戻って」
 とっさにかわし、リドリアスに呼びかけるサーシャ。だが、カオスヘッダーに意識を乗っ取られてしまったリドリアスはサーシャの呼びかけにも応じずに、さらに口から破壊光線を放って攻撃してきた。
「きゃあぁぁーっ!」
 ガンダールヴの力でかろうじて避けたものの、余波でサーシャはまた吹き飛ばされた。全身を打ち、死ぬほど痛い。
 だが、サーシャは精霊魔法をリドリアスにぶつける気にはならなかった。リドリアスは自分の命の恩人、本当はとても心の優しい怪獣であり、今ではかけがえのない仲間なのだ、傷つけることはできない。
 一方で、カオスリドリアスにとっては人間たちの事情などは知ったことではなかった。サーシャを片付けると、今度はブリミルに向かって攻撃の手を伸ばす。だがブリミルはエクスプロージョンをぶつけて、カオスリドリアスを退けてしまった。
「リドリアス! この蛮人、リドリアスは操られてるだけなのよ」
「わかっているよ。しかし、ヴァリヤーグに取り付かれてしまうと、もう元には戻れない。それなのに君はすごいね、本当に君は……でも遅い。今、『生命』は完成した」


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