したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

避難所用SS投下スレ11冊目

697ウルトラ5番目の使い魔 57話 (10/19) ◆213pT8BiCc:2017/04/13(木) 14:57:38 ID:esn0CqG6
「テレポートね。どこに行ったの?」
 この手はこちらも読んでいた。ほぼ詠唱なしのテレポートならわずかな距離しか動けないはず、ならばこの部屋のどこかにまだいる。
 サーシャは周囲の気配を探った。前、右、左、そして。
「誰かをお探しですかぁ?」
 後ろからヌッっと声をかけられ、サーシャの背筋に震えが走った。
 振り返ろうとした瞬間、肩に何かが乗せられる感触がして視線だけを動かすと、ブリミルがすぐ後ろで肩に顎を乗せて笑っていた。
「きゃあぁぁぁーっ!」
 絹を裂くような悲鳴をあげてブリミルに殴りかかるサーシャ。しかしブリミルは一瞬早く身を引いていた。
「はぁ、はぁ……変態か!」
 息を切らせて空振りに終わった拳を震わせながら怒鳴るサーシャ。見守っていた才人たちも、「うわぁ……」と、犯罪者を見る目つきで顔を伏せている現代のブリミルを見ていた。
「せっかくだから、こういうのを最後にやってみたかったんだよ」
 過去のブリミルはいやらしい表情で、現代のブリミルは心底後悔してる様子で言った。
 人間、落ちるところまで落ちると色々な意味で吹っ切れるらしい。今のブリミルは、以前の面影がないほど闇に染まりきっていた。
 一方のサーシャは、怒り心頭といった様子でついに剣を抜いた。無理からぬ話だが、しかしブリミルはにやけ顔を崩さずに杖を振った。
「かっこいいねえ……いつまでも君と遊んでいれたら幸せだろうけど、ここでこれ以上消耗するわけにはいかない。君はここで僕のやることを見ていてくれたまえ」
 ブリミルが後ろ手でコンピュータのスイッチを押すと、停止していた大型ディスプレイが点灯した。薄暗い部屋に慣れていたサーシャの目が一瞬くらみ、その隙にブリミルは後ろに作り出した世界扉のゲートに飛び込んだ。
「じゃあね」
「しまった! 待ちなさい!」
 慌ててガンダールヴの力で飛び掛ったが、一瞬遅くブリミルはゲートの先に消え、ゲートもサーシャの眼前で蛍のように掻き消えてしまっていた。
 逃がしてしまった! まずい、今度はいったいどこへ?
 ブリミルを追って部屋を飛び出そうとするサーシャ。しかし慌てるサーシャの後ろのディスプレイから、ブリミルの声が響いてきた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板