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避難所用SS投下スレ11冊目

694ウルトラ5番目の使い魔 57話 (7/19) ◆213pT8BiCc:2017/04/13(木) 14:49:27 ID:esn0CqG6
 ここが最奥部……サーシャは息を呑みながら通路を進み、呼びかけた。
「ブリミル、いるんでしょ! 答えなさい!」
「聞こえてるよ。こっちだよサーシャ」
 唐突に返ってきた返答にサーシャが振り返ると、そこにはブリミルが何かの操作パネルを前にして立っていた。
 身構えるサーシャ。十メートルばかりを挟んで対峙しながら、ブリミルは無感情に話した。
「よくここがわかったね。君にこの場所を教えたことはあったけど、あんな何気ない話を覚えてるとは思わなかったよ」
「あいにく、物覚えはいいほうなのよ。そんなことより、こんな場所でなにをしてるの? 答えてもらうわ」
「もちろんいいさ、君に隠し事をする気は僕にはないよ。順を追って話すとね、ここにはマギ族がこの星の生き物に関して集めた情報が詰まってる。マギ族は、このデータを元にして君たちエルフのような改造生命を作り出したんだ。ここまではいいかい?」
 サーシャは無言でうなづいた。サーシャにも、最低限の科学知識はエルフに改造されたときに脳に刷り込まれている。
「マギ族は、もう数え切れないほどの人工生命を作り出した。けど、それら全ての人工生命には、ある特殊な因子を遺伝子に組み込んで完成させた。僕は、その因子を調べるためにここに来たんだ」
「因子……なんのために?」
 意味がわからないと、問い返すサーシャ。現代でその光景をビジョンごしに見守る才人たちも、過去のブリミルの言葉を聴き逃すまいと沈黙して耳をすませた。
「マギ族が人工生命を作った理由はさまざまだけど、人工生命を作る過程でマギ族は用心をしていたんだ。つまり、もしも自分たちで作った生命体が想定外の行動を見せて危険になったとき、特定のシグナルを与えることで、その生命体を強制停止させる。安全装置としての、自爆因子をね」
「なんですって! それじゃ、わたしたちは体の中に爆弾を埋め込まれてるようなものじゃないの」
 愕然とするサーシャ。しかしブリミルはゆっくりと首を横に振った。
「心配することはないよ。その自爆因子に働きかけるシグナルは、マギ族同士で戦争が始まったときに誰かが消去してしまって、もうどこにもデータは残ってない。そんなものが残っていたら戦争にならないからね。君たちにも因子は埋め込まれてはいるけど、それはベースになった改造プログラム上のなごりなだけさ」
「じゃあ、そんな役に立たない因子のことを調べてどうするのよ?」
 問いかけると、ブリミルは軽く杖を振って見せた。魔法の光が輝いて、車ほどの大きさがあるスーパーコンピューターの一機が塵に返る。


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