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避難所用SS投下スレ11冊目

680ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo:2017/04/01(土) 00:40:07 ID:Meqm5SJY
 …確認してから数秒は、ルイズも他の者達同様何が起こったのか理解できずその体が停止してしまう。
 何故なら彼女の鳶色の瞳が見つめる先にあったのは、三十七分の一の奇跡が起こった事の動かぬ証拠そのものであったからだ。

 そんな彼女たちを観察しながらニヤニヤしている魔理沙は、勝負を終えて一息ついていた霊夢へ茶々を飛ばしている。
「それにしても、賭博での勘の冴えようは相も変わらずえげつないよなお前さんは?」
「アンタがちゃっちゃっと大金稼いでくれてたら、こんな事せずに済んだのよ」
 それに対し霊夢はさも面倒くさそうに返事をしつつ、ルーレットのボールが入ったポケットをじっと見つめていた。

 彼女の目が見つめているポケットは、先ほどのゲームでボールが入った赤の三十五番。
 三十五……巫女である霊夢を待っていたかのように、年季の入った白いボールが入っていた。
 これで七十五エキューの三十五倍――――二千六百二十五エキューが、ルイズと霊夢の手元へと一気に入ってきたのである。
 



 ――――――自分は一体、本当に何者なんだろうか?
 ここ最近は脳裏にそんな疑問が浮かんできては、毎度の如く私の心へ不安という名の陰りを落としてくる。
 何処で生まれ、育ったのか?どんな生き方をしてきたのか?記憶を失う前はどれだけの知り合いがいたのか?
 記憶喪失であるらしい私にはそれが思い出せず、私と言う人間を得体の知れない存在へと変えている。
 カトレアは言っていた。ゆっくり、時間を掛けていけば自ずと思い出せる筈よ…と。
 彼女は優しい人だ。私やニナの様な自分が誰なのか忘れてしまった人でも笑顔で手を差し伸べてくれる。
 周りにいる人たちも皆…多少の差異はあれど皆彼女に影響されていると思ってしまう程優しく、親切だ。
 そんな彼女の元にいれば、時間は掛かるだろうがきっと自分が誰なのか思い出すことも可能なのかもしれない。

 だけど、ひょっとすると…自分にはその゙時間゙すらないのではないか?
 何故かは知らないが、最近―――多くの人たちが暮らす大きな街、トリスタニアへ来てからはそう思うようになっていた。
 

 王都トリスタニアは、トリステイン王国の中でも随一の観光名所としても有名な街だ。
 街のど真ん中に建つ王宮や煌びやかな公園に、幾つもの名作が公開されたタニアリージュ座は国内外問わず多くの事が足を運ぶ。
 無論飲食方面においてもぬかりは無く、外国から観光に来る貴族の舌を唸らせる程の三ツ星レストランが幾つもある。
 店のシェフたちは日々己の腕を磨き、いつか王家お墨付きの店になる事を夢見て競い合っている。 
 平民向けのレストランも当たり外れはあれど他国と比べれば所謂「アタリ」が多く、外れの店はすぐに淘汰されてしまう。
 外国で売られているトリスタニアのガイドブックにも「王都で安くて美味しいモノを食べたければ、平民が多く出入りする店へ行け」と書かれている程だ。
 それ程までにトリステインでは貴族も平民も皆食通と呼ばれる程までに、舌が肥えているのだ。
 無論飲食だけではなく、ブルドンネ街の大通りにある市場では国中から集められた様々な品が売りに出されている。
 
 先の戦で当分は味わえないと言われてプレミア価格になったタルブ産のワイン、冷凍輸送されてきたドーヴィル産のお化け海老。
 シュルピスからは地元の農場から送られてきた林檎とモンモランシー領のポテトは箱単位で売っている店もある。
 他にもマジックアイテムやボーションなどの作成に必要な道具や素材なども売られ、貴族たちもこの市場へと足を運んでいた。
 他の国々でもこういう場所はあるのだが、トリスタニアほどの満ち溢れるほどの活気は見たことが無いのである。
 ガリアのリュティスやゲルマニアのヴィンドボナなどの市場は道が長く幅もある為に、ここの様な密集状態は中々起こらないのだ。
 だからここへ足を運ぶ観光客は怖いモノ見たさな感覚で、ちょっとしたカオスに満ちた市場へ足を運ぶ事が多い。


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