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避難所用SS投下スレ11冊目
666
:
ルイズと無重力巫女さん
◆1.UP7LZMOo
:2017/04/01(土) 00:11:07 ID:Meqm5SJY
しかし一定の場所で相次いで目撃されているならまだしも、全く接点の無い所からの報告の為にすぐの特定は難しい状況なのだとか。
だが、もう少し時間を要すればその特定も可能であり、仮に彼女が王都を出るとなればそこで引きとめる事が可能と書かれていた。
今の所彼女の身辺にレコン・キスタの者と思われる人物の存在はおらず、王都には観光目的で滞在している可能性が高いのだという。
『まぁ療養の可能性もあり…って追記で書かれてるな、ここは』
手紙の最後に書かれていた一文もキッチリ読み終えた所で、今度はルイズが口を開く。
「とりあえず…まぁ、ちぃ姉様が無事なようで何よりだったわ」
「そりゃまぁアンタは良かったけど、そこまで分かっててまだ見つからないのって可笑しくないか?」
魔理沙が最もな事をいうと、ルイズも「まぁ普通はそう思うわよね」と彼女の言い分を肯定しつつもちょっとした説明を始めた。
「でもハルケギニアの王都とか都市部って意外に大きいうえに人の出入りも激しいから、普通の人探しだけでも大変だって聞くわよ」
「そりゃそうよね。こんだけ広い街だと、よっぽどの大人数でもない限り端からは端まで探すなんて事できやしないだろうし」
「ふ〜ん…そういうもんなのかねぇ?」
ルイズの説明に霊夢が同意するかのように相槌を打ち、二人の言葉に魔理沙も何となくだが納得していた。
実際カトレアの捜索に当たっている間諜はルイズに手紙を渡した貴族を含め数人であり、尚且つ彼らには別件の仕事もある。
その仕事をこなしつつの人探しである為に、今日に至るまで有力な目撃情報を発見できなかったのだ。
「とりあえず、ちぃ姉様の方は彼らに任せるとして…私達も間諜として王都で情報収集するんだけれども…」
ルイズは自分の大切な二番目の姉を探してくれる貴族たちに心の中で感謝しつつ、
アンリエッタが自分にくれた仕事をこなせるよう、封筒に同封してくれていた長方形の小さな紙を懐から取り出した。
その紙に気付いた魔理沙が、手紙とはまた違うそれを不思議そうな目で見つめつつルイズ質問してみる。
「…?ルイズ、それは一体何なんだ?」
「これは手形よ。私達が任務をこなすうえで使うお金を、王都の財務庁で下ろすことができるのよ」
魔理沙の質問に答えながら、ルイズは手に持っていた手形を二人にサッと見せてみた。
形としては、先ほど駅舎で馬車に乗る人たちが持っていた切符や劇場などで使われるチケットとよく似ている。
しかし記入されている文字や数字とバックに描かれたトリステイン王国の紋章を見るに、ただのチケットとは違うようだ。
「お金まで用意してくれるなんて、中々太っ腹じゃないの」
「流石にそこは経費として出してくれるわよ。…まぁ額はそんなに無いのだけれど」
「どれくらい出せるんだ?」
何故か渋い表情を見せるルイズに、魔理沙はその手形にどれ程の額が出るのか聞いてみた。
「四百エキュー。金貨にしてざっと六百枚ぐらい…ってところかしら」
「……それって貰いすぎなんじゃないの?わざわざ情報収集ぐらいで…」
渋い顔のルイズの口から出たその額と金貨の枚数に、霊夢はそう言ってみせる。
しかしそれでも、彼女の表情は晴れないでいた。
その後、いつまでもここにいたって仕方ないということで三人はお金を下ろしに財務庁へ向かう事にした。
銀行とは違い手形は財務庁のみ使えるもので、ハルケギニアの手形は国から直にお金を下ろす為の許可証でもある。
受付窓口でルイズが手形を見せると、ものの十分もしないうちに金庫から大量の金貨が運ばれてきた。
思わず魔理沙の顔が明るくなり、霊夢もおぉ…と唸る中ルイズはしっかりと枚数確認をし、その手で金貨を全て袋に入れた。
ズシリとした存在感、しかし決して苦しくは無い金貨の重みをその手で感じながらルイズは金貨の入った袋をカバンの中に入れる。
さて出ようか…というところでルイズの傍にいた霊夢と魔理沙へお待ちください、と受付にいた職員が声を掛けてきた。
何かと思いそちらの方へ三人が振り向くと、ルイズのそれより小さいながらも金貨の入った袋が二つ、そっとカウンターへと置かれた。
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