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避難所用SS投下スレ11冊目

573ウルトラ5番目の使い魔 56話 (4/21) ◆213pT8BiCc:2017/02/22(水) 13:00:13 ID:AD6r/IbY
 都市は破壊されてからすでに数ヶ月は経っていると見え、生き埋めになっている人がいたとしても生存は無理だろう。と、なればやはり可能性のあるのは地下しかない。
 頼む、誰でもいいから生きていてくれ。ブリミルたちはすがるように願いながら先へ進んだ。この都市の地下には広大な工場施設があった、そこの奥深くに逃げ込んでいれば助かった可能性はある。きっとある。
 ブリミルたちは都市を進み、ようやく地下への入り口を見つけた。魔法で瓦礫をどかし、補助電源すら死に掛かっている通路を明かりを灯しながら進んだ。しかし彼らがそこで見つけたのは、半壊したコンピュータに残されたあまりに残酷な記録であったのだ。
「そんな、マギ族が……全滅」
 都市の自動記録装置が撮影した最後の映像には、星を脱出しようとして叶わずに宇宙船ごと全滅するマギ族の姿が映し出されていた。
 宇宙船は地上に激突して炎上し、生存者は望むこともできない。そして怪獣たちによって破壊されていく都市が映し出され、カメラが破壊されたところで映像は途切れた。
 落胆して床に座り込むブリミル。別の映像では変貌していく亜空間ゲートの姿も映し出されていたが、いまのブリミルにはどうでもよかった。
「僕らのやってきたことは、いったいなんだったんだ?」
 ブリミルは苦悩した。なんのために何百年も何世代もかけて宇宙をさすらい、やっとたどりついたこの星に安住の地を築いたんだ? せっかく築いた繁栄も、もうなにもかも壊れ果ててしまった。マギ族は死に絶え、残したものといえば、この星の人々への多大な迷惑だけではないか。
 自分たちがこの星でやってきた十年はまるで無駄だったのか……? 星を荒らし、人々を傷つけて、外敵を呼び込んだ結果、なにもかもをだいなしにしてしまった。繁栄に酔っているときは、こんなことになるなんて思いもしなかったのに。
「やり直せるならやり直したい」
 ブリミルが悲しげにつぶやくと、サーシャは厳しく言い返した。
「無理よ、これはあなたたちの過ちが招いたこと。罰を与えたのは誰でもなくあなたたち自身、誰を恨みようもないし、受け入れるしかないことなのよ」
「そうだね、まったくそのとおりだ。でも、僕の同胞はもういない。僕一人で、いったいどうすればいいんだ」
「ならわたしたちの仲間でいいんじゃない? マギ族でなくたって、あんたはあんたでしょ。ただのブリミルとして、さらっと生まれ変わったつもりで生きなおしていいんじゃない?」
 サーシャにそう言われて肩を叩かれると、ブリミルは苦笑しながらも顔を上げた。
「君はそれでいいのかい? 君は、マギ族をどう思ってるんだい?」
「そうね、ざまあみろとは思うわ。けど、いまさらどうしようもないことじゃない。それに、今は過去を振り返ってるときじゃない。未来のために、誰もがぐっと我慢しなきゃいけない時なんじゃないの」
 いがみあっていたら、それこそマギ族の二の舞になる。サーシャの言葉に、ブリミルはぐっと涙を拭いて立ち上がった。
「君は、君たちは強いね。僕らマギ族にも、君たちのような正しい前向きさがあれば、つまらないいさかいに夢中になったりしなかっただろうに」


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