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避難所用SS投下スレ11冊目
49
:
SERVANT'S CREED 0 ―Lost sequence―
◆5QiruB7YUM
:2014/06/25(水) 00:06:54 ID:dZuBnIhQ
エツィオはため息を吐いた。
「結局、議会の閉会まで、聖地のことや議題に上がって然るべき『民』にはまったく触れられなかった」
「おっと、民についてはまったくではありませんでしたね」とエツィオは付け加えた。
「徴税と兵役、そこだけはしっかりと話し合っていました。……それが彼らを排除すると決めた瞬間だった」
「……ふむ」
興味深そうに頷くマザリーニに、エツィオは続けた。
「元々テューダー王家に不満を持つ貴族はそう多くはなかったとお聞きしましたが、それは本当ですか?」
「ええ、そのはずです。それに、民に対しても善政を敷いていたと思いますな、無論、為政者の視点ではありますが」
「にもかかわらず、あの反乱はまるで枯野に火を放つように広がったとか。それにこの国からも裏切者は出た」
「ワルドですな」
「この国の中枢にも『レコン・キスタ』の根は及んでいることを鑑みれば……」
「裏で糸を引く者がいて当然……ということですか」
エツィオは頷いた。
「先もお話した通り、貴族議会の連中はハルケギニアの支配しか頭にない、にもかかわらず、わずかな期間でここまで巨大な勢力にまで成長し王家まで滅ぼした。全てがあまりに出来過ぎている。まるで誰かが用意したシナリオのように」
「なるほど……」
「考えすぎですか?」
肩をすくめるエツィオに、マザリーニは首を横に振った。
「いえ……あなたの言うことにも一理ある。しかし、そんなことをして一体誰が得をするのです?
万が一彼らが勝利してハルケギニアを支配できたとしても、それではクロムウェルの一人勝ちですぞ」
「あるいはその勝利を横からかすめ取る誰か……」
「ロマリア……あるいは、ガリア……、いや、しかし……そんなはずは……」
マザリーニが小さな声で呟くのを、エツィオは聞き逃さなかった。
「その二国が何か?」
「いえ、あくまで可能性の話です。この二国は、未だこの危機に対しての同盟が済んでいないのです。
とはいえ、ロマリアはブリミル教の宗主とも呼べる国家、クロムウェルが『虚無』を称していることに疑問を呈しており、参戦も時間の問題と思われます」
「ではガリアは?」
「ガリアは……、確かに強大な国ではありますが……」
マザリーニは苦い表情になった。
「正直何を考えているのか、わかりかねる部分がありますな、なにしろ君主のジョゼフ王は『無能王』とも謗られるほどの愚物。なぜあのような者が王の座に就いたのか……、理解しかねます」
「では彼らが?」
「うーむ……、しかしこれもないと思うのです、なぜならかの国は内乱の火種がいまだ燻っている。そんな中、ハルケギニアを二分しかねない戦に参戦すれば、間違いなく内乱が勃発し、背後を守らせた者に後ろから刺される結果となりうるでしょう」
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