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避難所用SS投下スレ11冊目

322ウルトラマンゼロの使い魔 ◆5i.kSdufLc:2016/12/04(日) 23:28:32 ID:nov/m48.
 ルイズは目くじらを立ててタバサに詰め寄る。
「タバサ、ちょっと出しゃばりすぎじゃないのかしら? 行く先々にわたしたちについて回って。
これじゃあストーカーよ? 涼しい顔してないで、自重ってものを覚えた方がいいんじゃなくて?」
 タバサは涼しい顔で言い返した。
「あなたに指図されることじゃない」
 ピキ、と青筋を立てたルイズが杖を抜こうとするのを才人は慌ててなだめる。
「だぁーッ! こんなとこで喧嘩になるなよ! そ、それより、ここの図書館の司書の人は
まだなのかな? ここで待ち合わせのはずだよな」
「お待たせしました」
 噂をしたら、ちょうど図書館の司書と思しき人物がやってきた。
 才人は王立図書館の司書と言うから年配を想像していたが、それとは裏腹に眼鏡を掛けた
うら若き女性であった。肩の上には丸っこく赤い奇妙なものを乗せている。一見生き物かの
ようだが、よく見れば人工物であった。
「司書のリーヴルと言います。この子は使い魔のガラQです」
「ガラQ! ヨロシク!」
「パム!」
 肩の上のガラQなる赤い真ん丸が短い手をひょっこり上げて挨拶すると、ハネジローが
快活に挨拶を返した。
 ルイズは早速リーヴルという女性に、幽霊騒動の話を持ちかけた。
「リーヴル、図書館に出る幽霊のことなんだけど、それって目撃されたのは夜だけなの?」
「ええ、今のところは」
「分かったわ。それじゃ一旦宿に戻って、夜になってからまた来ましょう」
「よろしくお願いします」
 と頭を下げたリーヴルは……ルイズに鍵の束を手渡した。
「これが図書館の鍵です。では、私はこれで」
 言い残してその場を立ち去ろうとするリーヴルに、タバサも面食らった。
「ち、ちょっと! まさか帰るの!?」
「ええ。もう閉館の時間で、本日の業務も全て終えましたので」
「わたしたちだけで図書館にいろっていうの!?」
「私の仕事は時間内の図書館の管理だけです。他の時間は仕事の範疇外です。時間外の労働に
ついては、国を通して申請して下さい。それでは……」
 淡々と告げられてルイズたちが唖然としている内に、リーヴルはスタスタと帰っていってしまった。
「あ、ちょっと待ちなさいよ! ……行っちゃった」
「い、如何にもお役所仕事って感じの人だったな……」
 苦笑いを浮かべる才人。肩をすくめ、図書館の方へ向き直る。
「仕方ない。今から王宮に行くのも何だし、俺たちだけで見て回ろうぜ」
「はぁ、しょうがないわね……」
 ルイズと才人はそのまま宿の方角へ歩いていくが、タバサはやや怪訝な様子でリーヴルの
去っていった方向を見つめていた。
「お姉さま、どうしたのね? 置いてかれちゃうのね」
 シルフィードが急かすと、タバサはポツリとつぶやいた。
「……司書が夕方には帰るなら、誰が夜中に図書館内で幽霊を目撃したの?」
「あッ、そういえば……」
 シルフィードとハネジローが首をひねったが、答えは出てこなかった。
「うーん、難しいことは分からないのね。それより早く追いかけないと、あの意地悪な桃色髪に
宿から閉め出されるかもしれないのね」
「……」
 タバサはまだリーヴルの去った後に目を向けていたが、シルフィードに手を引かれて、
ルイズたちの背中を追っていった。

 数時間後に完全に日が落ちてから、ルイズたち一行は図書館に舞い戻ってきた。正門の鍵を
開け、中に入っていく。
 図書館は点在している仄かな魔法の照明のみが中を照らしており、辺りはかなり薄暗く、
かつしんと静まり返っている。一行の他には誰もいないのだから当たり前ではあるが。


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