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避難所用SS投下スレ11冊目

156ウルトラ5番目の使い魔 27話 (10/12) ◆213pT8BiCc:2015/06/20(土) 09:03:56 ID:E95BPtlw
 そう、ここにきてファーティマとキュルケたちの目的の差異が表面に出てしまったのである。世界を救うことと、タバサを救い出すこと、どちらも切り捨てるわけにはいかない重要な問題で、双方ともに妥協できない。
 けれども、あわや内輪もめになりかけたところで助けてくれたのは、またもカトレアだった。
「落ち着いて皆さん。わたしたちが争っても何にもなりませんわ。まだ、お互いの目的が反発すると決まったわけではありません。キュルケさん、実はさきほどまでの話を聞いていて思ったのですが、この世界と別の世界をつなげられるような方々なら、ミス・タバサの救出にも大きな力になってもらえるのではないでしょうか?」
「えっ……? あっ!」
 キュルケとシルフィードははっとするとともに、なんでこんな簡単なことに思い至らなかったのかと頭を抱えてしまった。情けないが、人間は慌ててしまうと普段の半分も頭が回らなくなってしまう。岡目八目と言う奴か、横で話を聞いていたカトレアのほうがずっと冷静に全体を見ていた。
 そして、そのことを問われたセリザワはゆっくりとうなづいた。
「確約はできないが、もしもミス・タバサの飛ばされた世界がわかればゲートを開くことができるかもしれない。いや、なにより彼女は我々と何度も共に戦った仲間だ、「CREW GUYSに仲間を見捨てる道はない」と、リュウならそう言うだろうな」
 キュルケとシルフィードの脳裏に、かつていっしょにヤプールの怪獣軍団と戦ったCREW GUYSやウルトラマンメビウスの頼もしい姿が蘇ってくる。彼らなら、この世界の人間の力ではどうにもできないことでもなんとかしてくれるかもしれない。
 希望が、儚げだった希望の光が胸の中で強くなっていくのをキュルケたちは感じた。そして、少し遠回りになっても、それは自分たちだけで闇雲に進むより、ずっと確実な道だと信じた。
「タバサ、ごめんね。あなたを連れ帰ってあげるのが、少し遅くなるかもしれないけど、その代わりに戻ってきたあなたがびっくりするようなプレゼントを持って迎えに行ってあげるからね」
「急がば回れ、と、前にサイトが言ってたのね。シルフィにはわかるのね。どれだけ遠く離れていても、お姉さまは元気で生きているって。だから、もう少しだけ待っていてほしいのね」
 キュルケとシルフィードの決意は固く、カトレアはそんなふたりを暖かく見守る。
 そしてファーティマは、自分がこれからなすべきことを悟った。
「ラグドリアン湖か。統領閣下、もう少しで貴方のご期待に応えることができそうです。ようし、わかった。それで、そのハッシンキとやらを動かすには特別なエネルギーがいると言ったな。それはいったいなんなんだ?」
 ファーティマが尋ねると、セリザワは右手にナイトブレスを構えてカプセルへとかざした。
「この装置は、我々ウルトラマンのエネルギーにのみ反応して、同じ波長のシグナルを発する。見ていろ」
 ナイトブレスから光の粒子がこぼれ出てカプセルへと吸い込まれていく。すると、それまで黒々としていたカプセルのダイオードのランプが点灯し、なにかを発しているように点滅しだしたのだ。
 驚いて、輝きだしたカプセルをファーティマたちは見つめる。しかしこれが、この発信機を作る上でGUYSがもっともこだわった部分であった。かつて、ヤプールは偽のウルトラサインを使ってゴルゴダ星にウルトラ兄弟をおびき寄せて罠にはめた。また、ババルウ星人も同じ手を使ってヒカリを惑星アーブにおびき出している。だが、これならば偽造は不可能だということだ。
 あとは、これをラグドリアン湖の底にあるという水の精霊の都の門へと持っていくことだ。そのためにも、まずは水の精霊に会って話をつけなくてはいけない。すんなり行くとは思えないが、なぜか今のキュルケたちには、どんな困難なことでも成し遂げられそうな、そんな確信がふつふつと湧いてきていた。


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