したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

避難所用SS投下スレ11冊目

137ウルトラ5番目の使い魔 26話 (6/13) ◆213pT8BiCc:2015/04/26(日) 10:27:03 ID:cq4lwDYU
「なるほど、言いたいことがわかったぞ。それに、行く当てがなくて軍に引き取った鉄血団結党の者たちにもよい刺激になるじゃろう。きゃつらの中には、まだ愚かな夢を捨て切れん者もおることじゃし、党でなかなかの地位にあった彼女がその目で人間世界を見てきて話せば、心変わりをする者も出るであろうよ。よろしい、ビダーシャル君、多忙なところをすまんが急いで準備してほしい。わしの責任で、彼女にはできるだけの待遇を与えてやってかまわんのでの」
 こうして、テュリューク統領とビターシャルの即決によってトリステインへと使者を送ることが決定した。
 その代表として、罪は許されたものの水軍で兵卒として一からやり直していたファーティマが急遽呼び出され、上校待遇を与えられて使命を託されたのだった。
 
「頼んだぞ、ファーティマ・ハッダード。必ず、その荷をトリステインのサイト・ヒラガの元へ届けてくれ」
「はっ! この身命に換えましても、ご期待にそえてご覧に入れます」
 
 ファーティマは使命感に燃えて、ネフテスを幾人かの役人や護衛とともに旅立った。
 選んだ道は海路。陸路でゲルマニアやガリアを越えるルートは、十数人のエルフがいっしょに行動する上でトラブルが起こる可能性が高く、かつ時間がかかるということで、外洋を北周りに迂回して直接トリステインを目指すルートをとることになった。
 
 だが、ネフテスから海上に出てしばらく後、ファーティマたちの乗った船が襲われた。
「空を見ろ! 何かが近づいてくるぞ」
「なんだ、船じゃない。巨大な、鉄の、塊か?」
 空から現れた巨大な鉄塊は、船の上に影を落として静止した。そして、驚き戸惑うエルフたちの頭上から、片言の電子音で作られたエルフの言語が話しかけてきたのだ。
「ケイコクスル、キミタチノハコンデイルソウチヲアケワタシ、タダチニヒキカエシナサイ。サモナクバ、キセンヲゲキチンスル」
 突然の一方的な要求はエルフたちを困惑させた。しかし、誇り高いエルフたちが脅しに屈するわけはない。彼らは戦いを即座に決意したが、これは無謀というほかはなかった。
 宙に浮かぶ鉄塊からの破壊光線によって船は一撃でバラバラに粉砕され、エルフたちも海へと放り出された。むろん、軍属である以上は彼らは水泳の心得があったが、鉄塊は水面に浮かんでこようとする者には容赦なく光線を浴びせかけて沈めてしまう。
 情け容赦のない残忍な攻撃。仲間たちが次々と消されていくのを目の当たりにして、彼らは悟った。
「これはこの世のものの力ではない。ヤプールだ! 奴が我々の目的を知って邪魔をしにきたんだ!」
 エルフたちは水中呼吸の魔法を使うことでなんとか深く潜って耐え忍び、イルカを呼んで掴まることでかろうじて難を逃れた。
「生き残ったのは、たったこれだけか……」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板