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避難所用SS投下スレ11冊目

13ソーサリー・ゼロ第四部-16:2014/02/27(木) 23:45:49 ID:c3eL0.92
一八〇
 
 君は扉に近づき、耳を澄ます。
「……この腐れ段平(だんびら)め!」
 扉の向こうにいる何者かが、しわがれた声で怒鳴る。
「真っ二つにへし折られたくなけりゃ、黙ってろ! 値打ち物だと思ってちょろまかしたが、とんでもない鉄屑だ!」
「うるせえ抜け作! きたねえ手で触るな、ちんぴらが!」
 言い返すのは聞き慣れた声──デルフリンガーだ!
「くそ生意気な剣だな」
 第三の声が言う。
「へし折るくらいじゃ生ぬるいぜ。粘液獣の部屋の、汚物の山に突っ込んでやるってのはどうだ?
糞の中でゆっくり錆びるのがお似合いだぜ」
「上等だ! やってみやがれ、間抜け面の芋虫野郎!」
 君とキュルケは顔を見合わせ、互いに苦笑いを浮かべる。
「助け出すべき仲間が、もうひとりいたのを忘れてたわ」
 そうささやくと、杖を掲げて呪文を唱え出す。
 君は力任せに扉を蹴破る。
 そこは、いくつかの粗末な家具が並んだ小さな部屋だ。
 黒い髪と浅黒い肌をした人間の衛兵がふたり、椅子に腰掛けている。
 君に驚いて武器を手にしようとするが、キュルケの術のほうが速い。
 鞭のように伸びる一筋の炎に手を焼かれ、衛兵らは悲鳴を上げる。
「動かないで。おとなしくしていれば、黒焦げにならずに済むわよ」
 キュルケに杖を突きつけられ、衛兵はふたりともおびえて震え上がる。
 デルフリンガーはテーブルの上に載っており、君が手にすると喜びの声を上げる。
「よう、相棒。久しぶり……でもねえか。相棒たちが罠にかかって眠っちまってから、まだ十五分足らずってところだからな」
 思っていたよりも時間が経っていなかったことを知り、君は喜ぶ。
 武器を取り戻したので、闘いにおいての技術点を元に戻してよい。
 
 キュルケは衛兵らを尋問する。
「囚人に、青い髪の女の子がいるでしょう。どこなの?」
 衛兵らは困惑の表情を浮かべ、ひとりが答える。
「あ、ああ。確かにいるよ。だが……」
 キュルケは不機嫌そうに眉を寄せる。
「だが、何? 早く言ってちょうだい。もっと火傷をこさえたくなったの?」
「ま、待ってくれ!」
 慌てて話を続けるが、その内容は予想外のものだ。
「……どっちの青頭なんだ?」
 キュルケは一瞬戸惑うが、すぐに
「背が低くて髪の短い子よ」と言う。
「それなら、そこの大きな扉を開けてまっすぐだ。いちばん奥の牢屋だよ」
 衛兵は部屋の外を示す。
「ありがとう。もうひとつ訊きたいことがあるんだけど、答えてくれるわよね?」
 そう言ってキュルケが凄味のある笑みを浮かべると、衛兵らは何度もうなずく。
「あたしたちと一緒に捕まったふたりはどこ? 桃色髪と、金髪の女の子たちは」
「き、きっと最上階だ」
 衛兵は答える。
「お偉方が取り調べのために連れてったんだよ。なんでも、すげえ魔法の武器を持っているとかで……」
 
 衛兵をふたりともデルフリンガーの柄で殴りつけて気絶させると(デルフリンガーは『こんな奴ら叩っ斬っちまえ』と主張するが、
君は無視する)、部屋を出る。
「タバサ以外にも、青い髪の女の子が捕まっているみたいね」
 キュルケの言葉に、君はうなずく。
このハルケギニアにおいて、青い髪の人間はたいへん珍しい──タバサを除けば、
人間の姿に化けたシルフィードくらいしか見たことがない。
 その囚人は、タバサの親戚か何かなのだろうか?
 君たちは大きな両開きの扉に近づく。四一〇へ。


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