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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 2スレ目

1名無しさん:2010/08/08(日) 16:30:05 ID:GYiNK1EA
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part233(実質234)
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1244070866/

まとめwiki
ttp://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

     _
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。

2名無しさん:2010/08/08(日) 16:32:48 ID:GYiNK1EA
現在、荒らし被害の為、運営議論スレで協議の結果、
2010年9月まで避難所進行の予定となっています。

2chにスレを戻す詳細な日時等は、運営議論スレで話し合がされております。
意見・要望のある方は、こちら↓でどうぞ。

運営議論スレ6
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1233565334/

3名無しさん:2010/08/08(日) 17:02:12 ID:795aOkZw

だが前スレのあどれすが…

4名無しさん:2010/08/08(日) 17:17:21 ID:GYiNK1EA
変更忘れていました
申し訳ありません

前スレ
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part235 in避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1244615213/

5名無しさん:2010/08/08(日) 19:47:51 ID:eQ9XBsPQ
スレ立て乙。
さて、日曜日はウルトラの日…だけど、まだこの時間に来ていないってのは珍しいなあ。
それとも先週に休みとかいってたのかな。
まあ気長に待たせていただきます。

6ウルトラ5番目の使い魔 携帯 ◆213pT8BiCc:2010/08/08(日) 21:46:20 ID:CD2mHUww
皆さんこんばんは。
まず、毎週日曜日に投下しておりますウルトラ5番目の使い魔ですけれど、今日は急用で遠方に
出ていまして、今日中の投下は不可能な状態になりましたので、勝手ながら本日の
投下は見送らせていただきます。

楽しみにしてくださっている方々には、本当に申し訳ありませんけれど、明日以降に
時間がとれましたら投下するつもりですので、またよろしくお願いいたします。

7名無しさん:2010/08/08(日) 21:48:50 ID:vPYY7Ojs
うぃー お疲れ様です
楽しみにしてまっせ

8名無しさん:2010/08/08(日) 22:01:04 ID:gllkJyCc
では、僭越ながら私が新スレのトップバッターを飾らせて貰いましょうか。
宜しければ10分後くらいから開始いたします。

9名無しさん:2010/08/08(日) 22:09:07 ID:thaiNA/.
ミームいろいろ夢の旅のミームを召喚
……して何ができるかといわれると謎だが、うーむ
好きなんだよなあ

10滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:11:04 ID:gllkJyCc
警告!このSSには一部残酷な描写が含まれています。

苦手な方はスルーの呪文をお唱えください。

11滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:11:41 ID:gllkJyCc
「何…コレ…?」

その日、トリステイン魔法学院において進級を賭けた使い魔召喚の儀式において少女…
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールは幾度かの失敗の後、ついに初成功ともいえる魔法で使い魔を召喚するに至った。

その際に彼女はこう求めた。

−−この宇宙のどこかにいる神聖で強力な使い魔よ−−
と…

しかしどうだ…目の前にいるのは幻獣とも人とも言い難い形状。

いや、そもそも生物であるかどうかすらも怪しい物体であった。
大きさはおよそ4メイルほど…目や口、鼻や耳どころか手足すらないただの巨大な白い球体がそこに鎮座していたのである。

12滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:12:26 ID:gllkJyCc
「おい、ゼロのルイズがワケのわからないもんを召喚したぞ!」
「本当だ!なんだよあれ、流石ゼロのルイズだな!」

「……ッ!!」
こんなはずではなかった…。
本当なら赤髪の同級生が呼び出した火蜥蜴よりも、青髪の同級生が呼び出した風流よりも強力な使い魔を召還し、周りを見返す筈だったのに…!

遠くから聞こえてくる野次を背に受けながらルイズは屈辱にぎりりと血が滲みそうになるほどの力で己の杖を握りしめた。

「ミ…ミス・ヴァリエール、早くコントラクト・サーヴァントを…。」

頭の薄い教師・コルベールがルイズに促すが、正直口も何もあったもんではないこの物体にどうやって契約させるべきかコルベール本人もわからずにいた。

…しかし次の瞬間、轟音が周囲を包み込む。
その轟音を放ったのはつい今使い魔(?)を召喚してみせたルイズ本人であった。

あろうことかルイズは召喚した物体に向けて何度も爆発を起こすしかない魔力を込めた杖を振り下ろしていたのである。

13滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:13:14 ID:gllkJyCc
「ミス・ヴァリエール!一体何を!?」
「止めないでくださいミスタ・コルベール!
これは何かの間違いなんです!
私ならもっと美しく強力な使い魔を呼び出せます!だから、だからこんなものは間違いなんです!!」

半ば錯乱したルイズは静止するコルベールの声など気にするでもなくソレに向かい爆発の失敗魔法をぶつけてゆく。

……それが後に恐ろしい事態を引き起こすとも知らずに。

「はぁ…はぁ…」

ひととおりの精神力を使い尽くし、肩で息をするルイズ。
眼前の物体は爆発による粉塵に包まれ今や見る影もない。
いや、ゼロの名を持つこの少女は系統魔法に関する成功率は皆無にしても、失敗魔法における破壊力だけは軽く教室ひとつを吹き飛ばすほどのものである。

そんなものを連続で受けたのだ。
誰もが召喚されたばかりのソレは跡形もなく消し飛んでいると感じた。


……しかし!

14滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:13:51 ID:gllkJyCc
−−ドクン…

もうもうと立ち上る砂塵の中、粉々に砕け散った筈のソレはついに恐るべき脈動を始めたのである。

それに最初に気付いたのはつい先程同じく使い魔召喚の儀式で風竜を呼び出した青髪の少女であった。
彼女の名はタバサ。本名シャルロット・エレーヌ・オルレアン。
大国ガリアの王族にして国の危険な汚れ仕事を請け負う北花壇騎士7号。
これまで彼女は幾度となく命懸けの危険な任務をこなし、その小さな体に百戦錬磨ともいえる危機管理能力を宿していた。
その彼女の第六感が今まさにこの場における危険性を電流の如く伝え、全身を駆け回っていた。

『アレは危険だ…!
オーク鬼やエルフなんて生易しいもんじゃない!!

危険……キケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケンキケン!!!!!!』

15滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:16:40 ID:gllkJyCc
タバサは生まれて初めて経験するともいえるその圧倒的な気配に蛇に睨まれた蛙のように立ち尽くすしかなった。

「どうしたの、タバサ?」

突然かけられた声にタバサは、はっと我を取り戻し声のした方向を見る。
するとそこには頭ひとつ分は身長の高い赤髪の親友キュルケが心配そうに自分を見下ろしていた。

「…………逃げて。」

キュルケの瞳をまっすぐ見つめながら、蚊の泣くような声でタバサが言葉を紡ぐ。

「…え?」
何のことだ?とキュルケが訪ねようとしたその瞬間、普段寡黙なはずのタバサが喉も裂けんばかりの声を張り上げた。

「早く逃げて!!みんな、みんな死んでしまうッッ!!」

その言葉に周囲にいた誰もが『何を馬鹿なことを』という表情を浮かべる。

だがその僅か数分後、彼らは彼女の言葉の意味をその身を持って思い知らされることとなる…。

16滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:17:11 ID:gllkJyCc
そして“滅び”が幕を開けた。

−−グルルル…

どこからか聴こえてきた不気味な音。
いや、音ではなくそれは声…。それも高位の獣が有する獰猛な唸り声であった。

獣であれば周りにはつい今しがた召喚されたばかりの使い魔たちがいる。
しかし今聴こえてきた声の質はまるで地獄の底から響くかのような音量と威圧感を孕んでいた。

「な…なんだ今の…?」
「さ、さぁ。でも確か音がした方って……」

生徒のひとりがゆっくりと指をさす。
そこは未だ砂塵が巻き上がるルイズが作った爆心地。
まさかそんな場所に大きな獣などいるわけがない。いるわけがないのだが…。

−−ルル…グルルルルル…

「!?」
聴こえた、今度こそ確かに聴こえた。
誰も目配せをし、一斉に煙の向こうにいるであろう何かに目を凝らす。
彼らはタバサの必死の警告などすっかり忘れていた。

…それがいかに愚かなことであったかも知らずに。

17滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:18:31 ID:gllkJyCc
その時、一陣の風がふわりと砂煙を吹いた。
それを合図にしたかのように徐々に濃さを失ってゆく砂塵。

その向こうでうっすらと視界に飛び込んできたものを見た誰もが、驚愕に目を見開いた。

「な…何なの…あれ…」
その中でも一番驚いていたのは他の誰でもないルイズだ。
そこにあったのは先程の白い球体などではなく長い棘を無数に生やし、5倍近くの大きさに成長した黒く巨大な物体であった。

もしかしてさっきのものは幻獣の卵か何かだったのだろうか?
そんなことを思いながらルイズがそれに近付こうとした瞬間、突如として轟音とともに中庭の一角が吹き飛んだ。

「…え?」

ルイズにはそれが何であったかがすぐに理解できた。
それもそうだ、何もない空間を爆発できるのはゼロと蔑まれてきた自分の特技ともいえる失敗魔法だけなのだから。

「ルイズ!何すんだよ、危ないじゃないか!!」
「そうだ!もうちょっとで大怪我するとこだったんだぞ!」

18滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:20:49 ID:gllkJyCc
周辺にいた生徒たちから罵声が飛ぶ。

「違うわよ!今のは私じゃない!私じゃないの!!」
「じゃあお前以外に誰があんな爆発起こせるっていうんだよ!?」
「そ…それは……でも、本当に違うんだってば!!」

ルイズが身の潔白を晴らそうと大声を張り上げたそのとき、再び巨大な爆発が発生した。
それも一発や二発ではない。
打ち上げ花火の如く巻き起こる無数の爆発は地面を、木々を、
更には厳重に固定化の魔法がかけられたはずの学院の外壁や校舎すら破壊し始めたのである。
突然の出来事に一瞬にして魔法学院は蜂の巣をつつくどころではない大騒ぎとなり、崩壊してゆく教室から逃げようと無数の学生たちが我先にと外へと駆け出してきた。

「くそっ、一体何が起きてるというのだ!!」
魔法で防御壁を作り、生徒たちを守りながらコルベールは呟く。
この学院の防護壁はスクウェアクラスのメイジでさえ破壊するのは難しいというのに目の前ではそれがいとも簡単に砕け散ってゆく。

19滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:21:29 ID:gllkJyCc
だがコルベールは脳内で瞬時に状況を整理し、そしてあることに気付く。

(あの物体の周囲には爆発が起きていない!…つまり!!)

「みんな!伏せなさい!!」

防御を解除したコルベールは皆にそう指示し、詠唱を始める。
(出来ることなら、もうこの力を破壊に使いたくなかったが…やむを得ん!!)

そして魔力を極限にまで高めたコルベールは、杖から高温を示す青色をした灼熱の炎を走らせた。

炎は大蛇のように黒い物体に絡みつくと、一瞬にしてそれを業火で覆い尽くす。

すると、あれほど激しかった爆発がぴたりと止んだではないか。

「…やったか。」
その様子にコルベールはふぅと息を吐く。

「おぉ!ミスタ・コルベールがなんとかしてくれたようだぞ!!」
「すごい。見直しましたよコルベール先生!!」

学院の危機を収拾してみせたコルベールに生徒や他の教師たちが歓声を上げながら続々と集まってくる。

「はは、なんとか上手くいったようですな。
しかしミス・ヴァリエール、申し訳ありません。せっかく召喚した貴女の使い魔を殺してしまいました。」

20滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:22:23 ID:gllkJyCc
「い…いいんです!元はといえば召還した私が悪いんですからどうか頭をお上げになってください。」
自分の召喚した使い魔が引き起こした事態にも関わらず
それを鎮めてくれた恩人にすまないと頭を下げられ、ルイズは慌ててフォローを入れる。

「でも、あれは一体何だったんでしょうか?いえ、もう終わったことですが…。」
何とか話題を逸らすためそう口にしたルイズ。
しかしそのすぐ近く、青い髪の少女だけが髪と同じように顔色を真っ青にしながらぽつりと呟いた。

「………まだ。」

「…え?タバサ。何か言っ……」
ルイズがそう聞いた瞬間−−

『グルル……ギィイイィィイィジャァアアァアアァアアアアアアァアァアッッッッ!!!!』

燃え盛る火炎を払いのけた悪魔が天を揺るがすばかりの雄叫びを上げながら姿を現した。
その姿は先程と違い、鋭い3本の爪を生やした2つの腕を持ち
血のように真っ赤な双眼を爛々と光らせ、無数の牙の覗く口からは粘液の糸を引かせている。
一見すると蜘蛛のようにも見えるが、その姿は蜘蛛と呼ぶにはあまりに禍々しく、邪悪であった。

21滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:24:13 ID:gllkJyCc
「うわぁあああああっ!!」

突然現れた怪物に各所から一斉に悲鳴が上がる。
真っ先に逃げ出す者が多数であったが、中には少数だが震える手で杖を向ける者もあった。
そして怪物に向かい攻撃呪文の詠唱に入ったそのとき、怪物は2本の腕で地を這いながら凄まじい勢いで前進を始めたのだ。

なんという醜悪さ。
なんという威圧感。

そのあまりにもおぞましい光景に大半の温室育ちの貴族たちはひっとスペルを紡ぐことを止めてしまう。
そこへ向かい怪物はひと鳴きすると全身の無数の棘から一斉に青い灼熱の火炎を迸らせた。
あまりにも一瞬の出来事に、最前列にいた貴族たちは悲鳴を上げる間もなくその業火に焼かれ崩れ落ちてゆく。

「ば、馬鹿な…!あの炎は…私の…」

それを見ていたコルベールは驚愕した。
それもそうだ、その炎は今しがた自分が目の前の怪物に向けて放った炎と同様のものだったのだから。

「うぉおおおおおおおおお!!」
刹那、炎を放ち続ける怪物に向かい四方から暴風、雷、氷の槍、火球に濁流、大地の礫が放たれた。

22滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:24:57 ID:gllkJyCc
それを皮切りにして更に他の生徒や教師たちも、ありとあらゆる属性の攻撃魔法を放ち始める。
この魔法学院にいる数百にも及ぶメイジたちからの一斉攻撃。
これならばいかに強力な幻獣といえど塵ひとつ残さず消滅できるであろう。
誰もがそう思った。
…そう思っていた。


「はぁ、はぁ…どうだ化け物め。」
肩で息をしながら呟いたのは学院屈指の風の使い手、疾風のギトー。
その高慢な態度から生徒たちからの人気は皆無に等しいが、実力は学院でも数少ないスクウェアクラスの教師である。
彼は風の上級魔法『偏在』で分身を作り出し、その全員でもってドラゴンすら一撃で落とすといわれる強力な攻撃魔法、『ライトニング・クラウド』を怪物の頭上から無数に放っていた。
普通ならばそれだけでどんな相手でも即死は免れないはずである。
それに加えてあれだけの量の魔法を叩きこまれたのだ。まず生存は有り得ないであろう。

ギトーは偏在を解除し、あの怪物の死を確認するべく巻き上がる砂塵を風魔法で吹き飛ばそうとした。

だがそのとき、砂塵の向こうから一条の閃光が走る。

それがギトーがこの世で見た最後の光景であった。

23滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:27:08 ID:gllkJyCc
「……え?」

多くの者が目の前の光景に間抜けな言葉を漏らす。

それもそうだ。
何故、何も残っているはずのない場所から 閃光が走る?
何故、一瞬でギトーが黒こげになっている?

そしてその疑問は最悪の形で彼らに答えを示した…。

『ジィィィィイイイイャァアアアアアアアアアアッッッ!!!!!』

巻き上がる煙を払いのけた怪物が悪魔の叫びを上げながら再びその姿を現したのである。
なんとその姿は以前より更には多くの棘を全身に生やし、体格はこれまでの倍近くにまで成長しているではないか。

その姿に誰もが悲鳴を上げ、杖すら放り出して逃げ始める。

腰が抜けて無様に這い蹲る者・恐怖の余り失禁する者・全てを諦め呆然と座り込む者。

そこにはもう貴族の誇りなどというものは存在していなかった。

それでも悪魔は容赦なく逃げ惑うアリ達に向け、全身の棘から破壊と絶望を振り撒き始めたのである。

24滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:27:53 ID:gllkJyCc
「嘘…だろ…」
生徒のひとりは眼前に広がる惨劇を目にした直後、飛んできた巨大な岩石の槍に体を貫かれた。

ほんの刹那…残った意識の中で彼はこう思いながら息絶えた。

(……何であいつは僕たちの魔法を使えるんだよ?)

そう、今怪物が放っているもの…それは先程自らが受けたはずの4系統からなる様々な攻撃魔法なのである。

それも、杖も詠唱もなく…全身から同時に火炎・突風・濁流・岩石・雷に氷の槍まで放っている。

おまけにその威力は一発一発がスクゥエアのそれを遥かに上回ると言ってよいほどの破壊力があり
もう誰にもこの怪物を止めることなどできなかった…。

そして召喚から僅か30分弱。
阿鼻叫喚の地獄絵図とともに、かつてトリステイン魔法学院があった場所はたった一匹の怪物により数百の死者を出しながら瓦礫の山と化した。
怪物は破壊の限りを尽くした後、その歩みを首都であるトリスタニアに向け前進を開始。
後に大陸全土を震撼させることとなる。

25滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:28:36 ID:gllkJyCc
…………
……

遥か遠い世界、ハルケギニアとは別の宇宙に存在する青い惑星ではこのような記録がある。


−−決してその者に触れてはならない。
さすれば世界は滅びへと向かうであろう。
その者を目覚めさせてはならない。
それは開けてはならないパンドラの箱なのだから。

力を以てその者を倒すことは不可能。
力は同じく力によって滅ぼされるであろう。

その者、完全にして究極の生命。
その者、破壊の化身にして他者の愚かさを映す鏡。

その者の名は、『完全生命体 イフ』−−

26滅亡(ゼロ)の使い魔:2010/08/08(日) 22:32:51 ID:gllkJyCc
以上です。

ウルトラマンマックスより完全生命体イフを召喚。

こいつにはゼットンやガタノゾーアより強いんじゃないかと大きな衝撃を受けた怪獣です。

もしかしたら後編を来週辺りに投下するかもしれません。
それではお目汚し失礼しました。


…最後に作者はウルトラ5番目の使い魔を応援しています。
作者様、あなたのおかけでゼロ魔を知り、好きになれました。
この場を借りて深くお礼申し上げます。これからも頑張ってくださいませ。

27名無しさん:2010/08/08(日) 23:05:50 ID:thaiNA/.
乙です
なんか小ネタでウルトラ怪獣の召喚物って多いですね

28名無しさん:2010/08/08(日) 23:42:44 ID:SQXoVRsw
乙でした
後編というと、やはり結末が二つあったりするんだろうか?

29名無しさん:2010/08/09(月) 00:13:13 ID:5hNZM4Ik
乙です
そう言えば、イフの初期稿における名前は「完全生命体ゼロ」でしたっけ。

30流星の双子 外伝 -加速×加速-:2010/08/09(月) 01:31:23 ID:HCXRHmaA
こんばんわ。小ネタ投下させてもらいます
なにもなければ五分後に

31流星の双子 外伝 -加速×加速-:2010/08/09(月) 01:36:00 ID:HCXRHmaA
ガリア王国首都、リュティス上空、小型フリゲート艦、艦上。
手を縛られたアンリエッタは、ただ茫然とその成り行きを見つめていた。

『地獄を見せてやる』

そう言い放ったジョゼフの意味を否応なく理解させられる。
文字通りの「地獄」。禍々しい「太陽」。タルブでルイズが見せた「太陽」とは大きく違いすぎる。

――息が、出来ない。

それが地獄が放った熱によるものなのか、あまりの衝撃に自分の体が呼吸の仕方を忘れたからなのか、アンリエッタにはもう分らなかった。

「では次はこの大きさで試そうか」

無慈悲に、無感情に、淡々と紡がれる虚無のルーンを聞き、アンリエッタの体は本人の意思と関係なく、目の前の狂気に向かって跳んだ。
だがそれも空しく、護衛のガーゴイルに組み伏せられてしまう。

「せっかく、誰も目にしたことのない地獄を見せてやろうというのに、何を考えているのだ?」
「あなたは……! あなたは、狂っている……!!」

ガーゴイルに拘束されながらも、怒りや悲しみが込められた瞳でジョゼフを睨みつける。
それを聞いてジョゼフは一時詠唱を中断し、アンリエッタに視線を合わせるようにしゃがみ込む。

「出来る事なら、おれは狂いたかったよ。せめて狂えたなら、まだ幾らかも幸せだったろうさ」

そう吐き捨てると、もうアンリエッタに興味は無いとばかりに再び詠唱を開始する

もう、駄目だ。
アンリエッタの心を絶望が塗りつぶす。黒より暗い暗闇が容赦なく彼女の精神を蝕む。
しかし、突如として発生した爆発にジョゼフは吹き飛ばされ、アンリエッタは確信する。
希望の光はまだ潰えていないと。
爆発の煙の向こうに、二人分の人影が見えてくる。

「――そこまでだ。大人しくしてもらおうか」

二人のうち、背の高いほうの影――ゴランは堂々と、ジョゼフに告げた。

32流星の双子 外伝 -加速×加速-:2010/08/09(月) 01:37:53 ID:HCXRHmaA
「ジョゼフ様っ!!」

シェフィールドが悲鳴を上げてジョゼフに駆け寄る。ガーゴイル達は突如現れたゴランに向かって跳びかかろうと身構える。
その混乱に乗じて、幾らか冷静さを取り戻していたアンリエッタは、ジョゼフの手から零れ落ちた火石を咥える。
そしてルイズたちを一瞥し、心の中で礼を告げると躊躇せずに艦から身を躍らせた。

「姫さま!!」

アンリエッタの予想外の行動にルイズは叫ぶ。そしてすぐに此処まで連れてきてくれたシルフィードに飛び乗りアンリエッタを追う。
しかしその行動は迂闊以外の何物でもない。ガーゴイルたちはルイズに飛び掛かり、その華奢な体を切り裂く……はずだった。

「後は頼んだわよ、ゴラン!」
「指示が遅いぞ」

青い光の残照を引き摺りゴランは答える。
彼の前には、ガーゴイルだったものが散らばっていた。
アンリエッタが飛び降り、ルイズがそれを追う数瞬の間に十数体ものガーゴイルたちは全滅していたのだ。

「いや〜、相変わらず相棒は速いねぇ〜! 振られてる俺も何が何だかサッパリわかんねぇよ!」
「無駄口を叩くんじゃない」

デルフリンガーが上機嫌そうに笑い、ゴランが黙らせる。
心なしか凹んだように見えるデルフリンガーを構え、シェフィールドへ視線を移す。
シェフィールドの目はまだ死んでいなかった。次の瞬間、ゴランは再生するガーゴイルたちを見た。

「この水の力に特化したガーゴイルは不死身に近い。斬っただけじゃ無駄だね」
「ミョズニトニルンか、面倒だな……」

シェフィールドはガーゴイルたちに一度に襲いかかるよう指示を出す。
瞳を赤く光らせ、青い光を纏い、次の瞬間にゴランは消える。
だがガーゴイルたちは斬られない。

「だから無駄だって……」

シェフィールドが見た最期の光景に、ゴランはいなかった。

33流星の双子 外伝 -加速×加速-:2010/08/09(月) 01:40:12 ID:HCXRHmaA
シェフィールドからデルフリンガーを抜き、軽く血を払う。
物言わぬシェフィールドをその場に捨て置き、ずっと抱えていた紙袋からハンバーガー(手作り)を取りだして口に運ぶ。
それをジョゼフは後甲板の鐘楼の上で眺めていた。その手の中には、アンリエッタからガーゴイルが奪ってきた火石が握られている。

「そいつを渡してもらおうか。素直に渡すのならコイツを別けてやってもいい」
「もう貰っているぞ? フム……なかなかイケるな」

しかしその返答はゴランの後ろから聞こえてきた。
咄嗟に振り返り距離を取る。ジョゼフは黙々とハンバーガー(手作り)を頬張っている。
一瞬で自分の後ろを取ったソレを、ゴランはよく知っていた。

「加速、か」
「その通り。奇しくもお前も同じようなことが出来るようだな」

ハンバーガーを食べ終え、指に付いたソースを舐め取りながら、ジョゼフは静かにゴランを眺める。
ゴランの表情に焦りは見えない。それほどまでに自分の速度に自身があるのだろう。
おもむろにジョゼフは懐から短剣を取りだす。

「どちらがより速いか、それを試すのも一興だな」

二人の間に沈黙が流れる。ゴランが紙袋を掲げる。合図だ。上に放り投げる。甲板に落ちる。二人は消えた。



タバサがどうにか駆けつけた時、そこにはガーゴイルの破片と、事切れたシェフィールドしか確認できなかった。
ルイズとアンリエッタ、そして自分の使い魔はここへ来るまでの間にすれ違った。

慎重に甲板の上を移動する。誰もいない筈なのに、タバサの直感が告げる。まだ危険だと。
すると頭上から金属同士がぶつかり合う音が響いてくる。
咄嗟に上を仰ぐもそこにはマストが風になびくだけだった。
次の瞬間には横から、その次には後ろから。次々に、そこかしこから金属音が鳴り響く。


そしてタバサは理解する。今、自分がここにいるその理由を。
淀みのない動作で杖を構えルーンを唱える。詠唱中に甲板の破片が頬を掠るもタバサは動じない。
そして、呪文が完成した。
悩みはない。それが、彼女がここにいる理由。ゴランがここにいる理由。

「ウォーター・フォール」

「「ぐわああああああ!!」」


後年、その日は聖戦の終結記念日となる。そしてそれを鎮めた一人の英雄を称える日でもある。
彼の好物はハルケギニア中に広まり、貴族、平民関係なく愛されることになったとサ。

34名無しさん:2010/08/09(月) 01:41:33 ID:HCXRHmaA
以上です
外伝見終わって、二期を見直してたらふと浮かんだネタw
少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいです

35名無しさん:2010/08/09(月) 01:43:00 ID:HCXRHmaA
忘れてた
「DARKER THAN BLACK 流星の双子」より、バーガーさんことゴラン召喚でした

36名無しさん:2010/08/09(月) 01:52:02 ID:0rNyu5Lw
雨粒に激突死して一躍人気者になったあいつか

37名無しさん:2010/08/09(月) 12:09:19 ID:qxyOyQ.s
あれ?ゴランごと殺した?

38名無しさん:2010/08/09(月) 14:44:23 ID:IKOSeWmg
バーガーさんェ・・・

39名無しさん:2010/08/09(月) 15:00:23 ID:g/zABnpY
クソワロタwwww
いいねぇこんな小ネタ久しぶりだわ

40ウルトラ5番目の使い魔  ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:11:34 ID:L.Qmkmfo
みなさまこんにちは、昨日はご期待にそえれずに申し訳ありませんでした。
時間がとれましたのでウルトラ5番目の使い魔、8話の投下準備できました。
他の方の予約などなければ、10分おいて16:20より開始いたします。

41名無しさん:2010/08/09(月) 16:19:41 ID:Y6bpNgz.
支援超支援

42ウルトラ5番目の使い魔 8話 (1/11) ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:22:53 ID:L.Qmkmfo
 第八話
 がんばれ!未来の三ツ星シェフ (後編)
 
 再生怪獣 ライブキング 登場!
 
 
『ワハハハハ、ハークション! ウハハハハ、イーックション!』
 
 残暑の日差しも厳しい魔法学院に、場違いで巨大な笑い声とくしゃみが何度もこだまする。
 才人は声の主に向かって、自分のために与えられたGUYSメモリーディスプレイを向けた。
カメラに映し出された映像から、内部に記録された膨大な怪獣データと照合がおこなわれて、
やがてドキュメントZATの中に該当するものが現れる。
 地底から現れた、この人間の笑い声とそっくりの鳴き声を発する巨大怪獣は、その名も
再生怪獣ライブキング。かつて多摩川の地底に潜んで鼻の穴だけを露出し、落ちてくる
生き物を無差別に平らげていた悪食の大怪獣だ。
 こいつは巨大な腕で腹を叩きながら、鼻の穴から才人の放り込んだコショウを撒き散らし、
学院の中庭を足をじたばたともだえさせながら笑い転げている。
 
 その一方で、白昼の大怪獣の出現は、否応なく平穏な人間生活を破壊する。
「き、きゃーっ! か、怪獣ーっ!」
「あ、あわ、あわわわ」
 目の前に突如出現した巨大怪獣にシエスタは悲鳴をあげて、モンモランシーも以前の
タブラの恐怖を思い出して腰を抜かした。 
「あ、あの穴は、あいつの鼻の穴だったのか」
 不用意に飛び込もうとしていたギーシュも地面にへたりこむと、才人は止めるのが間に合って
よかったと、ほっと胸をなでおろした。地底に潜伏しているときのあいつの鼻の穴はまるで
落とし穴のようなもので、かつて地球でも防衛チームZATの東光太郎隊員が知らずに近寄って
落ちてしまって、救出するのに一苦労したのだ。
 戦いに慣れている才人とルイズ、キュルケとタバサは即座に臨戦態勢をとって武器を取り出す。
だが、ライブキングは人間たちなどまるで目に入らないようで、鼻の穴に放り込まれた
コショウのせいで笑いながらクシャミを連発して、おまけに人間ならば呼吸困難に陥りそうな
状態になりながらも、元気に学院の中庭を転がって、ときたま城壁に体をぶっつけたり、
馬小屋に足をひっかけて壊したりしていた。
 そのせいで、つながれていた馬が悲鳴をあげて逃げ出し、奴のとんでもなく大きな笑い声と
あいまって、騒ぎは小さな街ほどもある魔法学院に、一瞬にして拡大した。
 
「うわっ! なんだこいつは」
「か、怪獣!?」
「あっはっはは! なんだありゃあ」
「あ、あばばばばばば」
「せ、先生ぇー!」
 
 走ってきたり、フライで窓から飛んで来たりと方法は様々だが、続々と生徒たちが集まってきて、
現場はあっというまに数百人に囲まれてしまった。
「あちゃあ、まさかこんなに人が集まってくるとは」
 才人はライブキングを追い出すのに夢中になって、うっかりここが魔法学院の中であることを忘れていた。
みんな、腹が減って部屋にこもっていたはずなのに、どうやらライブキングの笑い声が天の岩戸開きの
役を果たしてしまったらしい。

43ウルトラ5番目の使い魔 8話 (2/11) ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:23:41 ID:L.Qmkmfo
 見渡せば、ダウンしていたはずの全校生徒がほぼ勢ぞろいして、教師の方々もちらほらと見られる。
このときばかりは空腹を好奇心が上回ったらしい。それに、ライブキングの見た目が他者に警戒心を
与えにくいものなのも理由だろう。大笑いしながら転がりまわるカモノハシ頭の出っ腹怪獣は、
早くも生徒たちの失笑を買っている。
 そのとき、ライブキングのすぐ前にいた才人たちに向かって、コルベール先生が汗を噴き出しながら
慌ててやってきた。
「君たちなにをしてるんですか! こんなところにいちゃあ危険です。はやく下がりなさい」
 普段は影の薄い、頭頂部が地上の太陽になりかかっているこの先生は、ほかの教師たちが
どんな指示をだしていいか分からず戸惑っている中で唯一、生徒たちの身を案じてやってきてくれて、
壮齢に達していそうな老けた容貌からは想像もできないほど強い力で、有無を言わさず彼らを
数十メイル引きずっていった。
「ミスタ・コルベール、待ってください。怪獣が出たんですよ、退治しないと」
「なにを言ってるんです。あなたたちはまだ子供ですよ。そんな危ないことに手を出してはいけません」
 引っ張られていく途中でルイズが抗議してもコルベールは聞く耳を持たなかった。この先生は、
ほかの学院の教師と違って生徒に親密だが、反面過保護な一面がある。もっとも、以前にホタルンガと
戦ったときはコルベールのその性格のおかげでルイズたちは助けられている。
 ほかの面々はといえば、キュルケとタバサはギャラリーも増え、せっかくこれから派手にやろうかと
思った矢先に腰を折られてしまって、とりあえずシルフィードを呼んでシエスタを避難させてから、
自分たちも下がった。モンモランシーはまだ腰が抜けたままで、うれしがっているのか拒否しているのか
わからない様子でギーシュにおんぶしてもらっている。
 
『ウハハハ、ヒーハッハハハハ、イヒヒヒ!』
 
 ルイズたちが校舎脇に下げられてからも、ライブキングは相変わらず笑い転げていた。
 生徒や教師たちは、怪獣を見るのは初めてではないし、ドラゴンやグリフォンなどの恐ろしげな
幻獣を使い魔にしているものもいるので、最初は物珍しげに見ていた。だが、その先はとなると、
こんなふざけた姿で、しかもひたすら笑うだけの怪獣をどうしたらいいのかわからずに、
最初の興奮が冷めやって空腹感が戻ってくると、つぶされないように五〇メートルばかり
距離をとって、遠巻きに眺めていた。
 そんな中で、ルイズたちは校舎の影で少々涼しさを感じながら、コルベールからお説教を受けている。
「まったく、本当に君たちは危ないことばかりして、怪我でもしたらどうするんですか」
「申し訳ありませんミスタ・コルベール、でも」
「でももかかしもありません! どんな理由があろうとも、あなた方は子供です。怪獣を相手に
戦うなんてこと、許しませんよ」
 にべもなかった。コルベールは自分の生徒に危険を冒させはしまいと、場合によっては実力で
阻止するように、杖をもって立ちふさがっている。しかし、その気持ちはありがたかったが
ルイズにも意地があった。
「……確かに子供かもしれません。でも、貴族として! いいえ、あいつはわたしたち全員の
家であるこの学院を荒らしてるんです。家を荒らされたら平民だって、動物だって戦うでしょう!?」
「それは大人の論理です。どこの世界に子供より家が大事な親がいますか。あなたたちは、
まだ戦場の恐ろしさを、傷つくことの恐怖を知らないから……」

44ウルトラ5番目の使い魔 8話 (3/11) ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:24:25 ID:L.Qmkmfo
 この、注意しなければ景色に埋もれていきそうな中年教師のどこにこれだけの力強さが
眠っていたのか。かたくななまでに、コルベールはルイズたちの前に立ちはだかり続けた。
ルイズがなにを言ってもまったく聞き入れてくれる様子はない。
 けれど、命より名誉を重んじる貴族たちの教師としては、臆病にすぎるとも見えるコルベールの
態度に、キュルケなどは少々いらだちをみせはじめた。
「ちょっとミスタ、わたしたちの身を案じてくださるお気持ちはうれしいですけど、わたしたちは
すでに一度ならず実戦を潜り抜けています。大人ではないといいますが、ただの子供でも
ありませんわ」
「私は、君たちが戦いに行くことはずっと反対してました。一度や二度勝てたからといって
調子に乗ると、いつか取り返しのつかないことになりますよ」
 確かに、言っていることは正論なのだが、すでに多くの戦いを潜り抜けてきた自負を
持っているキュルケには納得しがたいものだった。
「もういいです。自分の家に野良犬が入り込んできても平然としているような臆病者の
言うことなど聞いてられませんわ。タバサ、行きましょう」
 キュルケはタバサを連れて憤慨したように行ってしまい、ギーシュはモンモランシーを
守らねばということで残っているが、ルイズと才人はまだ足止めを受けていた。
「あちゃあ、先生、こりゃもうただですみはしないですよ。みんな気が立ってるし、止まれと
言って止まるもんじゃないです」
「だからといって犠牲者が出てからでは遅いでしょう。君たちこそ、敵と見ればどうしてそうすぐに
好戦的になるんですか? 怪獣になんの恨みがあるというんです」
「だって、あいつが学院の食料を食べちゃったんですよ!」
 そのルイズの一言が、地雷のスイッチであった。
 ただでさえ空腹で我慢の限界に来ていた生徒たちはその言葉を聞くなり、憎しみを込めて杖を握る。
中にはゼロのルイズの言うことだからと、疑いを見せたものも少数いても、ライブキングの大きく
突き出した腹と、人を馬鹿にしているような笑い声が無意識に彼らの憎悪を喚起した。
 
「ウォォォッ! やっちまえぇ!」
 
 激発した生徒たちは憎しみと怒りを込めて、ライブキングに魔法を打ち込んだ。
 炎、風、水、氷、土、雷、系統も威力もバラバラで、戦闘を得意としないものも多くいたが、それよりも
怒りのほうが強く、男女問わず、教師まで含めた数百人ぶんの魔法の総攻撃が一匹の怪獣に
集中して、激しく火花を散らせた。
「うわあっ! さ、さすがにすげえっ!」
 才人はかなり離れていたのに吹き付けてきた爆風を、手で顔を覆ってなんとか避けた。
 さすがにみんな魔法学院の生徒たちである。玉石混合ではあっても、人数が三桁だけに爆風だけでも
その威力はキュルケやタバサの魔法すら軽くしのいでおり、弱い者の中には自分で放った魔法で
吹き飛ばされてしまったものもいたくらいだ。
 だが、軍隊だったら一千人、小さな山なら吹き飛ばすくらいの威力をもっていたはずのその攻撃の
爆風が晴れたとき、そこから聞こえてきたのは怪獣の断末魔などではなかった。
 
『ウッハハハ! ウフフハハハ……』
 
 なんとライブキングは多少焦げてはいるものの、まるで痛さなど感じていないように続けて
笑い転げているではないか。
「そ、そんな馬鹿な……」

45ウルトラ5番目の使い魔 8話 (4/11) ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:25:23 ID:L.Qmkmfo
 まさかこれで生きているはずがないと、全力で攻撃を仕掛けた生徒たちは意気消沈して
ひざを突いた。なにせ、消耗しきっていた体力を怒りだけでカバーしていたのであるから、
それを吐き出してしまった後では、後には虚無感のみが残った。
「なんて頑丈な……っていうか、信じられないくらいニブい怪獣ね」
「やっぱりな、噂に違わない不死身っぷりだ」
 あいた口がふさがらないといったルイズの隣で、才人は体についた煙の灰を払い落としながらつぶやいた。
 ライブキングは再生怪獣という別名のとおりに、たとえ体を木っ端微塵にされても復活する
恐るべき生命力を秘めている上に、タフネスさやスタミナも他の怪獣を大きくしのぐ。
過去に出現した個体も、防衛チームZATの攻撃を受け、同時に出現した液体大怪獣コスモリキッドと
長時間にわたって交戦しながらもまるで弱らず、コスモリキッドと二対一の状況でありながらも
ウルトラマンタロウの腕を折るほどの暴れっぷりを見せている。
 それでも、数百人もいればあきらめの悪いものもいるもので、続いての攻撃をかけようと呪文を
唱え始める。しかも悪いことに、負けん気が強いキュルケがその先頭に立って、男子生徒が
いいところを見せようと続いているから始末に負えそうもない。ルイズは明らかに冷静さを
失っている様子のキュルケに呆れて叫んだ。
「馬鹿ね! 全員でやってダメだったのに、ほんの数十人で効くわけないでしょう」
 キュルケは友人としては最上の部類に入るが、欠点もまた多い。男癖が悪いことがその最たる
ものだが、自分の実力に絶対の自信を持っているだけに引くことを知らない。今回はそれが悪い
方向に発揮されていた。
「ありゃ完全に頭に血が上ってるな。しょうがない、いくぞルイズ」
 ライブキングは凶暴性は少なく、かつてもコスモリキッドに散々殴られながらもほとんど反撃して
いないことや、ウルトラマンタロウの戦いも幼児がおもちゃにじゃれつくようなものだったことから、
才人もあまり危機感はもっていなかったのだけれど、このまま攻撃を続けたら万一にも怒らせて
しまうかもしれない。
 犠牲者が出る前にウルトラマンAに変身して、一気にライブキングを片付ける。
 二人はうなずきあうと、人目を避けるために人ごみに背を向けて、校舎の裏へと駆けていった。
だが、ウルトラタッチを決めようとしたとき、突然二人は肩を叩かれて止められた。
 
「待て、二人とも」
「あっ、セリザワさん!」
 
 いつのまにか二人の後ろには、警備兵の服に身を包んだセリザワが立っていた。
「今はまだ、ウルトラマンAにはなるな」
「えっ!?」
 二人は予想もしていなかったセリザワ=ウルトラマンヒカリの言葉に戸惑った。怪獣がいると
いうのに変身するなとはどういうことか? あの血気にはやった生徒たちが馬鹿なことをする前に
止めなくては、本当に犠牲者が出るかもしれないのに。
 そんな二人の抗議を、セリザワはGUYS隊長であったころと同じように表情を変えずに聞いていた。
けれども、少しすると今度は急に「ならば変身してみろ」と言って二人を驚かせた。
「えっ……じゃあ」
 才人もルイズも、セリザワの真意を理解できないままだったが、最初から変身するつもりだったので、
怪訝な表情をしながらも、向かい合って互いに右手を差し出しあって重ねた。
「ウルトラ・ターッチ!」
 しかし……変身の光は起こらず、つなぎあった手はそのままだった。
「えっ!? な、なんで」
「なんで変身できないのよぉ!?」
 いったいどうしてと、才人とルイズはうろたえながらセリザワを見た。
「やはり、エースも同じ気持ちか。そのリングをよく見てみろ」
 えっ、と二人は言われたとおりにそれぞれの右中指にはめられた、銀色のウルトラリングを
覗き込んで、そしてなぜ変身できなかったのか理解した。これまでは、変身のタイミングの度に
まばゆい光を放っていたリングが、今は鈍い銀色のままを保っている。
「人間と肉体を共有しているウルトラマンは、その人間とウルトラマンの意思が一体になったときにしか
変身することはできない。知っているはずだろう?」
 二人は無言のうちにうなずいた。人間によって、ウルトラマンの強すぎる力が乱用されないために、
ウルトラマンは自分の力を意思によって制限している。かつて、タッコングとの戦いのときに利己心から
ウルトラマンジャックの力を使おうとした郷秀樹は、その心のために変身を許されず、人間として
限界まで戦い抜いたとき、はじめてウルトラマンは力を貸してくれるのだと知った。また、エースも
地獄星人ヒッポリト星人の巨大な幻影にエースになって立ち向かおうとした北斗と南を制している。

46ウルトラ5番目の使い魔 8話 (5/11) ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:26:02 ID:L.Qmkmfo
「じゃあ、今はウルトラマンの力はいらないってことですか? なんで!?」
「それは、君たち自身の目でこれから見極めるんだ。力だけでは物事は解決しない。私はそれを
かつてメビウスたちから教わった」
 そこまで言うとセリザワは校舎の上の尖塔を見上げた。そこには肩に小さな白い鳥をとまらせて、
ブロンドの髪をなびかせた麗人が立っていた。
 
「そろそろ……ね」
 
 風の流れを敏感に感じ取り、マントの中から取り出された杖が陽光を反射して鋭く光った。
 ライブキングは学院生たちの攻撃も、心地よいマッサージくらいにしか感じないのか、
地面に腰を下ろして、学院の城壁に背を預けながらなおも笑っている。
「ぜえ……ぜえ。な、なんて奴だ」
 息も絶え絶えになり、どうにか魔法を撃っていた生徒たちは、もう数人を残してみんな体力の
限界に達して、地面の上に倒れこんでいた。
「くそぉ、ぼくたちの魔法が全然効かないなんて」
「やろう、なにがそんなにおかしいんだよ。ああ、ムカつくなあ!」
 レイナールやギムリも、完全に魔法が打ち止めで、役に立たなくなった杖を地面に叩きつけて
悔しがった。彼らも、何度も怪獣や宇宙人と戦って自分の実力に自信を深めていたのだが、
この怪獣は文字通り彼らのそんな自信をあざ笑うように、傷一つない体をのんびりと横たえている。
「ちきしょう……この泥棒やろう!」
「なんでこんな奴が学院に出るんだ。腹減った、もうだめだ」
「おなかすいた……ごはん返してよお」
 虚勢を張っていた男子生徒たちは悪態をつくしかなく、女子生徒たちには泣き出すものまで
現れ始めている。彼らは皆、飢えに苦しんだ目で、出べその飛び出た出っ腹をポンポンと
太鼓のように鳴らして笑い続けてるライブキングを憎しみを込めて睨みつけた。
 そして、体力を残していたキュルケとタバサも、あまりにもタフな怪獣に打つ手をなくしていた。
 
『アハハハ! ウッヒャッヒャッハ!』
 
「くぁーっ! もう、なんて腹の立つ怪獣なのかしら」
 ただ強い怪獣なら、相手の強さに戦う高揚感というものが湧いてくるが、こいつにはそういった
戦闘する快感というものが微塵もなかった。とにかく、美的センスの欠片もないブサイクさと、
人を馬鹿にした笑い声が神経を逆なでする。プライドの高い貴族の子弟たちにとって、これほどの
屈辱を感じたことはなかった。
 だが、ライブキングの声に冷静さを失ったキュルケが怒りのままに、特大のファイヤーボールを
ライブキングの顔に向けて打ち込んだときだった。それまで一方的に攻撃を受けるだけだった
ライブキングが突然カモノハシのようなくちばしを開き、猛烈な火炎を吐き出してきたのである。
「っ! しまった」
 一瞬でファイヤーボールを飲み込んで、火炎熱線は一直線にキュルケに向かった。もうフライで
回避する余裕はない。タバサがアイス・ストームで防壁を張ろうとしてるが、火炎が大きすぎて
とても無理だ。
 油断した。いくら間抜けな姿をしていても怪獣は怪獣だった。いつもならこのぐらいの火炎を
避けるくらいなんでもないのに。自分のうかつさを呪って、キュルケが目を閉じたそのとき、
火炎と彼女たちのあいだに割り込むように、渦を巻く突風が飛び込み、炎を巻き込んでいった。

47ウルトラ5番目の使い魔 8話 (6/11) ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:26:37 ID:L.Qmkmfo
「な、なに!?」
「カッター……トルネード?」
 二人の見ている前で、真空渦巻きは火炎放射を飲み込んで上空へと舞い上がり、誰にも
被害の出ない高度まで達すると拡散して消滅し、続いて峻烈な女性の声が響き渡った。
 
「全員引け! これ以上の戦いはまかりならん!」
 
 鋭く、よく通る声で発せられたその命令が頭上から場を駆け抜けたとき、生徒たちは校舎の
上に立つ一人の教師の姿を見つけていた。
「か、カリーヌ先生……」
「下がれ、お前たちの力ではどのみちそいつは倒せん」
 彼らは正体を知るよしもないが、『烈風』カリンの迫力は声からだけで生徒たちを圧倒して、
対抗するだけの胆力のない彼らは、ほぼ言われるままにライブキングから離れていった。
 一方のライブキングは自分の吐き出した火炎が無力化されたというのに特に次の攻撃をするでもなく、
もう二言三言笑い声をあげると、ごろりと横になってまぶたを閉じ、大きないびきをかき始めた。
どうやら今の火炎は別にキュルケたちを攻撃したわけではなく、奴にとってゲップかあくびの
ようなものだったらしい。
 つくづくふざけた怪獣……しかしそのふざけた怪獣に勝てないことは、生徒たちの自尊心を
大きく傷つけていた。
 
「ちくしょう……」
 
 誰か一人の生徒がもらしたつぶやきが、全員の思いを代弁していた。
 自分の魔法の威力に自信を持っていた生徒も、生徒に自分の系統の自慢ばかりしている教師も、
もう体力も気力も戦えるだけ残ってはいない。キュルケとタバサも、高いびきをかきつづける
ライブキングを憎らしげに見上げるしかできず、ギーシュやモンモランシーなど、戦いに参加しなかったり、
途中で離脱した生徒たちも、精魂尽き果てた様子で呆然としており、それらの人々を見回した
カリーヌは軽く息を吐いた。
「情けないものだな。これだけの頭数がいて、なにもできずに終わるか……噂の魔法学院の
レベルも、たいしたものではなかったな」
 無数の歯軋りの音が連鎖した。反論のできない現実が目の前に横たわっていることが、
昨日今日学院にやってきたばかりの新任教師の酷評に、抵抗する術をなくさせていた。
それでも、誰かが負け惜しみのようにつぶやくと、カリーヌは即座にそれを聞きとがめた。
「くそ……こんなに腹減ってなきゃ、こんな奴」
「ほお……万全だったら勝てたと……では聞くが、この中に朝昼晩と、まともに食事をとっていた
ものがいるか?」
 ルイズや才人など、一部が手を上げただけであとは大半が口ごもった。才人にしても、
学校に遅刻しそうで味噌汁を残したりした経験はあるので、手の上げ方は控えめである。
「ふん、けっきょくは全員口だけか。そんなことでは勝てる戦いも勝てんよ」
「じ、じゃああんたは。い、いや先生はあの怪獣に勝てるっていうんですか?」
「そ、そうだ! おれたちに偉そうなことを言うからには、先生はそれができるんでしょうね!」
 一人の生徒が、昨日のラルゲユウスの圧倒感を思い出しながら恐る恐る言うと、
ほかの生徒たちも釣られるように、口々にカリーヌをなじりはじめた。

48ウルトラ5番目の使い魔 8話 (7/11) ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:27:14 ID:L.Qmkmfo
 カリーヌは、それらの悪口を無表情で聞き、やがて軽く杖を振って彼らを黙らせると、
熟睡しているライブキングを見下ろして言った。
「倒せんな」
「な、なんだって、それじゃあ」
「情が移った」
「はぁっ!?」
 想像もしていなかった答えに、生徒たちは罵声を浴びせることも忘れてあっけにとられてしまった。
怪獣に情が移るとはどういうことか? だがカリーヌは口元に皮肉な笑みを浮かべると、喉から
乾いた笑いを短くあげて言い放った。
「ふふふ……見てみるがいい。その怪獣、食って、遊んで、あとは寝る。まるでどこかの誰かたちと
そっくりではないか」
「うっ……ぐっ」
 怒りと、羞恥心と、屈辱感が全員を駆け巡った。もちろん、全員が全員そうではないし、
勤勉な生徒だって大勢いるが、人生の一切を怠惰に生きたことのないものなど、まずいない。
日本の普通の学生として生きてきた才人だって、漫画やゲームが身近に氾濫していたし、
ルイズやキュルケだって授業をサボったことはある。
 いわば、目の前で高いびきをかいている怪獣は、自分たちの同類なのだ。人は、自分の顔を
鏡に映して見ることはできるが、鏡には醜い心までは映らない。それを認識させられたとき、
生徒たちは完全にカリーヌに対しての反抗心を失っていた。
「はっは、だがそう見ると可愛くもあるだろう。食べさせて、遊ばせておけばあとは無害だ。
いやあ、この学院の仕事は楽そうだ。そう思わないか?」
 生徒たちは怒っても、同時に否定することはできなかった。まったくの真実であるからだ。
これまで学院の教師たちが、自分たちがなにをしてもほうっておいたのは、捨てておいても
なにも問題ないから、つまり自分たちはその程度の存在なのだと。
 けれど、生徒たちがぶつけようのない屈辱感でうなだれているとき、真っ向からカリーヌに
対抗する声があった。コルベールである。
 
「デジレ教諭、それは違います。彼らは確かに、まだまだ心身ともに未熟ですが、悪いところ
ばかりではありません」
 
 彼の、カリーヌに対して一歩も引かない強い口調に、普段彼を見下している生徒や同僚の
教師たちは、驚いた目で、その禿頭の冴えない中年教師を見つめた。
「コルベール教諭、しかしあなたがどう言おうと、今こうして彼らは自分の身の程も理解せずに
自分の命を危険にさらしていたではないか」
「それは、彼らがまだ未熟だからです。ですが、未熟による失敗は誰でも経験していくもので、
決して重い罪ではありません。彼らはまだ若い。過ちは、正していけばいいのです」
「だが、あなたは教職の身でありながら、ほとんどここの生徒たちは放置に等しい状態では
なかったではないか」
「う……た、確かにわたしは生徒たちが過ちを犯していても、ろくに注意することもできない
だめな教師でした。でも、それでも……見捨てることはできません!」
 コルベールのその発言は、深海の水圧に抗うように、勇気を振り絞ったものであったろう。
コルベールの額に浮かぶ汗は、暑さや空腹による疲労だけではない。
「見捨てない、か……なら、これからあなたはどうするつもりですか?」
「それは……」
 見捨てないだけなら誰でもできる。行動に示すことができなければ、ダメ教師のままだ。
コルベールははあっと息を吸うと、全員に向かって大きな声で述べた。

49ウルトラ5番目の使い魔 8話 (8/11) ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:27:47 ID:L.Qmkmfo
「皆さん! 昨日からまる一日、何も食べられてなくてさぞ苦しいことと思います。ですが、
見てのとおり、あの怪獣は恐らく食べ物を求めてここにやってきたのでしょう。ここでは、
毎日のように大量の食物が捨てられています。いわば、あいつを呼んでしまったのは
私たち全員に責任があるのです」
 突飛な話だったが、説得力は強くあった。ヘドロが生んだザザーンや、汚水が生んだ
ムルチ、騒音に引かれてやってきたサウンドギラーやノイズラーなど、人間が原因で
現れた怪獣は多いが、飽食が大食いの怪獣を呼んでしまうとは。
「皆さん、私たちは毎朝食事の前に、始祖ブリミルと女王陛下に感謝の祈りを捧げますが、
いままではそれを実現してはいませんでした。これからは、自分の言ったことには
責任を持つようにしようではありませんか」
 必死に生徒たちを教えただそうとコルベールは声をしぼった。だが、その呼びかけに生徒たちの
何割かは、自分のおこないを悔いる姿勢を見せたけれど、別の生徒が反論の言葉をあげた。
「でもミスタ・コルベール、あの怪獣をなんとかしないと、それどころじゃないでしょう?」
「いいえ、怪獣を追い払い、また食料が届くようになったとしても、わたしたちが自分の過ちを
改めない限り、何度でも同じことは起こるでしょう。あの怪獣はまだおとなしいからいいですが、
次に来るのが丸々と太った人間が大好物な、そんな凶悪怪獣だったらどうします?」
 生徒たちのあいだに戦慄が走った。そうだ、次に来る怪獣もこの怪獣のように間抜けな
奴とは限らない。むしろ、うじゃうじゃいる人間を好んでエサにしようとする奴が来るほうが、
圧倒的に確率としては高いのだ。
「わかりますな? 今回私たちは、まだ運がよかったのです。さあ皆さん、今ならまだ
間に合います。あんな怪獣が二度と来ないようにするにはどうすればいいか、もう
理解していますね? 朝、昼、晩、それぞれ出されたものは残さずいただく。いいですね!」
 
「はい!」
 
 生徒たちのほとんどと、才人の唱和が学院にこだました。
 恐らく、貴族として育ってきた生徒たちにとって、それはいままで教えられてきたことの
中で最小のことに違いないし、才人にとっても小学一年生の学級目標のレベルのことだ。
でも、大人になるほど、食物を作ってくれたお百姓さんや漁師さんに感謝して「いただきます」
と言い、食べられた魚や肉の命に感謝して「ごちそうさま」と言うような、そんな素朴な気持ちを
忘れていくものだ。
 カリーヌは、生徒たちをまとめあげたコルベールの手腕に感心すると、屋上から飛び降りて
彼の前に立った。
「お見事な手腕、どうやら私はあなたを見損なっていたようですね」
「いえ、私に教師としての義務を思い出させてくれたのはあなたです。私は臆病で、あなたの
ような厳しさをもてなかった。おかげで生徒にもなめられて……活を入れてくれて、ありがとう
ございました」
「なあに、こちらもなかなかよいものが見れました。あなたの言うとおり、彼らもまだ捨てたものでは
ないようです」
 二人の教師は、互いを認め合うと口元に軽く笑みを浮かべて、固く握手をかわした。
「さて、それはともかく怪獣をどうしましょうか? 目を覚ます前になんとかしないと」
「この大きさでは私の使い魔でも厳しいわね……レビテーションで運び出すにしても全校生徒の
倍はいるか……」
 昔からベッドにしがみついて起きない子供をどかすのは大変なものだ。コルベールとカリーヌは、
さてどうしたものかと、残った課題に頭を抱えた。
 
 けれど、ここでようやくヒーローに出番が回ってきた。
「さて、もうそろそろいいですよねセリザワさん」
「ああ、さっさと後始末をやってしまおう」
「まったく、久々の出番がこれだなんて、さえないわねえ」
「そう言うな。ウルトラマンは殺し屋じゃないんだ。さあ、久しぶりにいくぞ!」

50ウルトラ5番目の使い魔 8話 (9/11) ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:28:21 ID:L.Qmkmfo
「ウルトラ・ターッチ!」
 才人とルイズのリングが光を放ち、セリザワのナイトブレスにナイトブレードが仕込まれる。
 
 ダブル変身! ウルトラマンA&ウルトラマンヒカリ。
 
 姿を現したエースとヒカリは、二人のウルトラマンだと驚く生徒たちを踏み潰さないようにゆっくりと
歩くと、ライブキングをはさんでしゃがみこみ、奴の腹の下に手を突っ込んで、思い切り持ち上げた。
「デャァァッ!」
「トァァッ!」
 ライブキングは再生能力を持っているので、始末するには宇宙空間に運ぶしかない。二人の
ウルトラマンのウルトラ筋肉が収縮し、ライブキングの巨体がじわじわと持ち上がっていく。
 が、二人のウルトラマンの力をもってしても、こいつはなかなか持ち上がらない。
(と、とんでもない重さだ)
(タ、タロウが苦労したというものもわかるな……これはきつい)
 ウルトラマンらしくもなく弱音を吐きながら、ヒカリとエースはよろめきそうになるのをこらえながら
なんとかライブキングを持ち上げていく。こいつの基本重量は六万五千トンと、ただでさえ
戦艦大和と同等の重さがあるのに、食べた食物の分も加わればメガトン怪獣スカイドンに
匹敵するのではないかと思うくらいに重い。
 それでも、二人のウルトラマンは、頑張れと応援してくれる生徒たちの声援を受けて、
どうにかライブキングを持ち上げて飛び上がった。
「ショワッチ!」
 飛行をはじめたら、みるみるうちに学院が小さくなり、やがて雲を突き抜けて成層圏を超え、
銀河の星々が渦巻く宇宙空間へとやってきた。
(ふぅ、ここまで来たらもう大丈夫だな)
 無重力であれば奴がいくら重くても関係ない。二人のウルトラマンは、運んできただけなのに
激しく明滅しているカラータイマーの光に照らされながらも、なおも爆睡しているライブキングを
ようやく手放した。
(さて、これから奴をどうする?)
(……殺すのは、かわいそうなんじゃない)
 エースからライブキングの処遇を問われたルイズは、ぽつりとそうつぶやいた。
 確かに、憎たらしいやつには違いないが、カリーヌの言ったとおり、奴は自分たちの心の
一部が具現化したようなものなのだ。始末して終わりでは、なにか負けたような、そんな
気持ちがする。それに……あんなに気持ちよさそうに眠っているやつを撃つのは、後ろめたい。
(わかった。それでは、あとは成り行きにまかせようか)
 エースとヒカリはうなずきあうと、しだいに小さくなっていくライブキングを見送った。
 なんとも、はた迷惑この上ない怪獣だったが、いなくなると寂しい気がするのはなぜであろうか。
 そういえば、ライブキングはもともと宇宙怪獣だったという説がある。次に行くのはどんな星か、
せいぜいのんびり食べて寝てられる星であればよいのだが……
 やっと一人暮らしを始めた馬鹿息子を見送った母親のような気持ちで、二人のウルトラマンと
二人の少年少女は、再び青い星へと帰っていった。
 
 こうして、大迷惑な怪獣によって引き起こされた事件は一応の解決を見た。
 新人教師カリーヌ・デジレは、生徒たちから畏怖されながらも頼られる存在になり、影の薄かった
ベテラン教師のコルベールは生徒たちから見直された……のだが、根本的な問題はまだ
解決していなかった。

51ウルトラ5番目の使い魔 8話 (10/11) ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:28:53 ID:L.Qmkmfo
「腹……減った」
 そう、ただでさえ丸一日食事を抜いて、なおかつ怪獣相手に精神力の限度を振り絞って
戦った生徒たちにはもはや動く力もろくに残されておらず、才人たちなど一部の例外を除けば
校舎の日陰にはいずっていって、なかば死体のように寝こけているありさまであった。
 しかし、反省して心を入れ替えたご褒美か、日が暮れはじめるころになって天使がやってきた。
 
「みなさーん! お食事の材料をいただいてきましたよーっ!」
 
 底抜けに明るい声が、腹の虫の鳴る音しかしない学院の庭に響き渡ったとき、死体たちは
フランケンシュタインとなって蘇り、我を争って正門前へと集合した。
「遅れてすみません。どうにか、皆さん全員にいきわたるだけの食材を集めてきました」
 そこには、リュリュやマルトーをはじめとした食堂のコックたちが、荷車にいっぱいの
小麦粉や野菜を積んで、息を切らせて立っていた。
 みんな、朝からあちこちを駆け回り、重い荷物を運んできて服は薄汚く汚れている。
けれども、先頭に立ってにんじんを振っているリュリュをはじめ、マルトーや今のコックたち
からは後光さえ生徒たちには感じられた。
「なんだなんだ。どいつもこいつも死人みたいな顔色しやがって、いつもの威勢のよさは
どこいった? ええ」
「まあそう言わないで、こっちもいろいろ大変だったんです」
 マルトーは才人からそこでようやくこの学院で、怪獣をからめた大騒動があったことを
聞かされた。
「ふん、飢えてようやく食い物のありがたさが身に染みたか。馬鹿どもにはいい薬だ」
 空腹の苦しさは体験してみないとわからない。いつもは居丈高な態度をとる生徒たちも
力を失って目の前の食べ物の山に目が釘付けになっている今になって、やっと食べられる
ことのありがたさを知っていた。
 でも、今のマルトーの貴族の子弟たちを見る目には憎しみはない。いや、そもそも本当に
彼らが憎いのならばとっくに学院のコックなどやめているだろう。なんだかんだで、子供が
可愛いのは親心か……彼らも空腹で苦しいだろうに、早朝からあちこちの村々をめぐり、
頭を下げて、下げて、下げて、ようやく集めてきた食材が、彼らコックたちの心を雄弁に象徴していた。
「さあて、それじゃあさっそくメシにするとするか。お前ら、道あけろ! どけどけどけい」
 すると生徒の波が、さあっとまるで赤じゅうたんをひいたように割れていった。
 マルトーたちが集めてきたのは、小麦粉二〇袋、野菜荷車一台分、肉は牛一頭分、
牛乳荷車一台分と、けして裕福ではない近隣の村々から集めてきたにしては上出来
すぎるくらいの収穫だった。これだけを集めるのに、マルトーたちがした苦労は計り知れない。
実は、これを集めるのに彼らは自分たちの私財の一部まで使っていた。プライドの高い
彼らだからこそ、自分たちの仕事がどれだけ重要なものなのか、それを証明したかった。
 リュリュはそんな彼らと行動をともにする中で、遊びではなく、本気で仕事に命を
懸ける職人の心意気というものに触れられた気がした。
 けれど、荷台に山積みになっている食材を見れば大量に見えるだろうが、数百人で
分配する上に、次の食料がトリスタニアから届くのは明日の昼過ぎなので、あと二食分に
分割せねばならず、一人当たりに回るのはわずかスープ一杯分でしかなかった。
「申し訳ありません。本当はみなさんにおなかいっぱいめしあがっていただきたいのですが……」
 誰にも食の満足を味わってほしいと夢見るリュリュは、いつもの十分の一もないメニューに、
すまなそうな顔をして、スープの皿をテーブルに並べていった。
”みなさん、怒るだろうな”
 いつも贅をつくした豪華な料理でも満足してもらえないのに、これではとても……

52ウルトラ5番目の使い魔 8話 (11/11) ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:29:31 ID:L.Qmkmfo
 だが、食事がはじまったとき、彼女が見たのは、彼女がずっと見たいと願っていた光景だった。
 
「うまい! こりゃうまい」
「うめえ、うまいぜ」
「おいしい! なんで? こんな粗末なスープなのに」
 
 男女問わずに、作法もろくに守らずにスープをかきこんでいく。
 才人もルイズも、ギーシュやモンモランシーも同様だ。
 リュリュは、なぜ塩とコショウで味付けしただけの粗末な野菜スープがなぜこんなに
喜ばれているのか、すぐにはわからなかったが、ぼんやりしているところをマルトーに
肩を叩かれた。
「連中はこれまで、一番大切な調味料が欠けたものしか食ってなかったからな。
それに、うますぎる料理ってのは、飽きられやすいもんだ」
 その一言でリュリュは、以前タブラに追い詰められて飢えに苦しんだとき、いままで
ずっとできなかった食物の錬金に成功したときのことを思い出した。
 体だけでなく、心が求めるからこそ味覚が普段に倍して応える。たとえば、一日中
走り回った後では、豪勢な料理よりも塩をふっただけの握り飯がやたらとうまく感じたり
するようなものだ。
「味だけじゃないんですね。料理というものは」
 うまければみんな喜んで食べてくれると思っていたリュリュは、また一つ身をもって
大切なことを学んだ。
 
 むろん、他者の苦労を想像することのできない浅慮な生徒や教師の中からは、
「こんなもので足りるか!」と、罵声が出たが、そういった者たちはカリーヌによって
石壁にめり込まされて土の味を噛み締めることになった。
「いやなら食べなくてけっこうです」
 好き嫌いをする子供に食わせる飯はない。食卓において母親より強いものはいない。
 ほかの生徒たちは、飯抜きにされてはかなわないと、慌てて自分のスープを確保する。
 
 その様子を、オスマン学院長は秘書のロングビルといっしょにスープをすすりながら、のんびりと
眺めていた。
「ふむ、さすがカリーヌくんじゃのう。惰眠をむさぼっていた者たちの目を一気に覚まさせて
くれたわい。彼女に全部をまかせて正解じゃった」
「学院長、まさか全部こうなるって予想されてたんですか?」
「馬鹿言っちゃ困る。わしゃ神様じゃないから千里眼なんかないわい。ただ、歳をとると多少は
人の扱いというものもうまくなるでのう。おかげで、これから学院の食堂の予算を削ると
言っても誰も文句はつけるまい。ひっひっ」
 口元に人の悪い笑みを浮かべるオスマンを見て、ロングビルはこの事件が最初からオスマンの
手のひらの上で踊らされていたような、そんな不気味さを感じた。さすが腐っても齢三〇〇歳、
年の功はキングトータスの甲羅より厚いようだ。
「抜け目ない人ですね。ただ、笑いながら人のお尻に手を伸ばすのはやめてください。
フォークで刺しますよ」
「ちぇっ、ミス・ロングビルは相変わらず隙がないのう」
 そんなたわむれを続けながらも、夕食会は静騒とりまぜながら続き、やがて空には幾兆の
星々が瞬き始めた。
 あそこに光る一番星はライブキングか? それともウルトラの星か。今日が過ぎたら明日が来る。
 明日もいいことありますように。あーした天気になーあれ。
 
 続く

53ウルトラ5番目の使い魔 あとがき ◆213pT8BiCc:2010/08/09(月) 16:34:21 ID:L.Qmkmfo
以上です。
コルベール先生、42話以来実に65話ぶりの再登場。いや、序盤ではけっこうかっこよく活躍してもらってたんですが、
なんかだんだん影が薄くなっていって、いくらなんでもこのままではまずいし、カリーヌに対抗できそうなのは
この人くらいしかいないので帰ってきていただきました。

今回は、ウルトラマンと怪獣との戦いはなしです。スカッと怪獣を倒すカタルシスを期待していた人には
申し訳ありませんし、最初のプロットでは、エース&ヒカリvsライブキング・インセクタスのバトルを入れようと
思っていたのですが、ガヴァドンやペスターのエピソードを見ているうちに、あえて戦わずに事件を解決する
エンドにしてみようと思い立ちました。
 
そして、滅亡(ゼロ)の使い魔の人、応援ありがとうございます。
私も、ある人のSSが元でゼロ魔を知った口ですので、そういったふうに楽しむ世界を広げるお役に立てたと
思えたら、うれしいです。
 
そして、乙です。
力に頼るものは力によって滅びさる……血を吐きながら続ける、悲しいマラソンを具現化したような
怪獣でしたね、イフは。火の海と化す街が絶望感にあふれていましたので、その情景が蘇ってきました。
偶然ながら、今回の話はイフの話と終わり方が似てしまいましたが、こういうこともあるものですね。
そういえばマックスにはミケやモエタランガなど理不尽な能力持ちの怪獣が多かったですね。
確かにこいつはゼットンでも倒せそうもないですが、逆に同様の適応進化能力を持っていたカオスヘッダーを
浄化したコスモス・ルナモードの、相手を傷つけずに心に呼びかける方法ならば無害化はできると思います。
また、これは別のサイトで書き込まれていたことですが、強力なレイオニクスによって支配下におくといった
方法もありかもしれません。実際ウルトラマンベリアルは、ウルトラ怪獣史上最強と呼ばれることの多い
バルンガをも支配下においていましたから。まあベリアルやグランデがイフを手に入れたら宇宙の危機に
なるでしょうけど。
 
では、次回はお久しぶりのジョゼフさまご登場の巻です。

54悪魔の虹:2010/08/09(月) 17:17:10 ID:Ph48Yct2
こんにちは。前スレが限界に近づいてきたのでこちらに来ました。
悪魔の虹の二話を17:25より、予約が無ければ投下しようかと思います。

55悪魔の虹:2010/08/09(月) 17:25:49 ID:Ph48Yct2
「まったく、何であんたなんかがあたしの使い魔なのよ!」
 夜、自室へと戻ってきたルイズは床であぐらをかく平民を睨みながら喚いていた。
 当の本人も膝の上で頬杖を突きながら憮然としている。
「うるせえな。俺だって好きで呼ばれた訳じゃねえよ」
 名は、ヒラガサイトという変わったものだ。
 彼が言うにはチキュウの、ニホンとかいうハルケギニアでは全く聞いた事のない国の、トウキョウという町をジュクという所を目指して歩いていたら光の鏡が現れ、興味本位でそれに触れたらいつのまにかあの場所に召喚されたのだそうだ。
「信じられないわね。そんな別世界があるだなんて」
 もちろん、ルイズは彼の話を信じようとはせずに否定する。
 ……それに何より、こんな何の変哲のない平民が自分の使い魔な訳がない。
 いくらコントラクト・サーヴァントで契約を結んだとて、その証でしっかりルーンが浮かんでいるとはいえ、こんな平民が使い魔など、ルイズは絶対に認めたくはなかった。
 それに自分にはちゃんとした使い魔が召喚されたはずだったのだ。……まだ、生まれてはいないけど。
「それより、早く俺を元いた所に帰してくれよ。塾は行きそびれちまったけど、家じゃみんなが待ってるんだから」
 あれはまだ生まれてはいない。だからあの場で契約をしようにも時間が経かる。
 ……一応、間違いとはいえこの平民も自分のサモン・サーヴァントで呼び出されたには違いないのだ。
 あれが生まれるまでの、仮の使い魔として扱うしかないだろう。
「……無理ね。一度契約したらそれは絶対なんだから」
 諦めたように返しながら、ルイズはシャツのボタンをはずしていく。
「そんな簡単に言ってくれるな……! って、何だよこれ! それよりお前、何してるんだ!」
「寝るから着替えてるんじゃないの」
 喚くサイトに脱いだ制服を投げ渡し、ネグリジェに着替えていくルイズはパチンと指を鳴らした。
 テーブルの上のランプの灯りが消え、闇が落ちた部屋は月明かりのみで薄っすらと照らされる。
「それ、洗濯しておいてね。それじゃ」
「あ! おい! ちょっ……」
 ベッドに潜り込んだルイズはサイトの呼びかけを無視する。
 今は彼の事などよりも、あの虹の卵の事で頭がいっぱいだった。
 一体、あの卵の中には何がいるのだろうか。普通の動物はあり得ないだろうから、間違いなく幻獣だろう。
 できることなら凄い大物が生まれてきて欲しい。そうすれば、もうゼロのルイズだなんて馬鹿にされる事もなくなる。
 もう既にサイトという平民と契約をしているとはいえ、ルイズもまだ諦めていなかった。
 せっかく、凄い幻獣が使い魔になるのかもしれなかったというのにそれを逃してしまうなんて嫌だ。
 何とかコルベール先生や学院長にもお願いしてあの卵から生まれてきた幻獣を自分の使い魔にしたい。
 そうすれば、この平民も厄介払いできるかも。

56悪魔の虹:2010/08/09(月) 17:27:16 ID:Ph48Yct2
 二年生達の使い魔召喚の儀式が終わってからというものの、コルベールは学院の図書館に篭りきりだった。
 ミス・ヴァリエールが召喚した、世にも珍しい使い魔達。
 見た事の無い異国の服を纏った平民の少年。彼の左手に浮かび上がったルーンははっきり言って、全く見覚えが無い。今までコルベールが見てきたものとは全てが異なる印だった。
 自身の記憶に無ければ、過去の記録に頼るしかない。あのルーンは、普通ではないのだ。
 日が落ち、さらには寝る間も惜しんで彼は図書館の書物という書物を読み漁り、やがて彼が抱く疑問の一つが解決される発見があった。
「……これは……まさか……!」
 とある書物に記された記録。それと彼が昼に目にした記憶と一致する。
「……間違いない、これだな……!」
 一つ目の疑問はこれで解けかけた。だが、それでも単なる憶測の域に過ぎない。まだ調査は必要だろう。
 しかし、一つ目の疑問に結論が出ても、まだ……。
 コルベールはさらに書物を読み漁り、二つ目の疑問を解決しようと奔走した。
 既に夜は明けかけている。……それだけの時間を尽くしても、二つ目の疑問は解決の糸口さえ見つからない。
 あらゆる動物、魔物、幻獣に関する書物を読み漁ろうと、どれにも載っていないのだ。
 目元に小さなクマを作りつつ、コルベールは毅然にも姿勢を正したまま椅子に座し、書物を閉じる。
「一体、何なのだ? こいつは……?」
 机の上に置かれた布に乗せられる、怪しげな虹色の光沢を放つ卵。
 大きさや形状、感触からして、哺乳類や鳥類といった類の物でない事は確かだろう。カエルのような両生類など、持っての他だ。
 魔物や幻獣の類でも、このような卵は実に珍しい。飛竜の卵でさえ、こんな光沢は持たないはずだ。
 では、一体なんだというのか。この怪しい虹の卵は。
「……やはり、オールド・オスマンにも頼るしかないか……」
 コルベールは虹の卵を懐に入れつつ椅子から立ち上がったが、その体はすっかり疲れ切っていた。足元はおろか、体全体が重く感じる。意識もあまりはっきりしてこない。
 無理も無いだろう。半日以上、しかも寝る時間すら費やしてここまで調べたのだから。
 だからと言って、これから寝る時間すら彼には無い。
 大切な教え子達に、自らの知識を与えなければならないのだから。

57悪魔の虹:2010/08/09(月) 17:28:00 ID:Ph48Yct2
 夜が明ける頃、図書館から誰かが去っていく。とても疲れた様子だ。余程長い時間、調べ物をしていたのだろう。
 それは前日の授業が全て終わってからここに来ていたタバサも同じだった。寝る時間すら惜しんで図書館の書物を読み漁り、調べ物をしていたのだ。
 ちらりと隣を見ると、親友のキュルケが机の上でクークーと寝息を立てながら眠りに就いている。
 夜が更ける頃に〝もう帰りましょう〟と言ってきたのだが、タバサは首を振った。……どうしても、気になったからだ。
 タバサが拒んでも、キュルケはずっと一緒に付き添ってくれた。もちろん、その内自然と眠りに就いてしまったが。
 だが、そんな彼女の心遣いに対してタバサは今になっても何の発見も無かった。
 ミスタ・コルベールが現在、預かっているはずのあの虹の卵。あれが何なのかを知るためにこうして調べているのに、どの書物にも載っていない。
「……うぅん」
 ふと、隣で寝ているキュルケが唸りだす。
「……あら、タバサ。おはよう……」
 軽く伸びをしながら、口に手を当てて欠伸までするキュルケ。
「どう? お目当ての物は見つかった?」
 机の上で頬杖を突き、興味深そうにタバサの顔を覗き込んでくる。 
「見つからない」
 と、一言だけ答えた。実際、それが事実なのだから。
 キュルケは「あらそう」とつまらなそうにはぁと息を吐いている。
「本当にあの卵、ルイズが召喚したものなのかしらねぇ。本当は、あの平民の使い魔君が落とした物なのかも」
 即座にタバサは無言で首を横に小さく振る。
 彼自身、あれを初めて見るような目をしていた。反応も極自然だ。
「……それにしてもあれ、本当に動物か幻獣の卵なら中には何がいるのかしら」 
「分からない」
 どの書物にも記録が載っていない以上、あれが孵化した時にしか分からないだろう。
 ……ただ、これだけははっきりする。
 自分達が知っている幻獣みたいな生易しい物ではない。
 事実、タバサの使い魔シルフィードが敏感に警戒し、さらには極度に怯えていたのだ。
「まあ、どんなのが生まれてきたってゼロのルイズにはもう関係ないわよね。もうあの子には変わった使い魔君がいる事だし」
 そして、たとえルイズがあの卵だけを召喚し、契約をしたとしても決して彼女に従うような物ではない。
 いや、どんなに腕の立つメイジであろうと扱える物ではないだろう。
 ……そんな気がする。
「ちょっと、大丈夫?」
 もう用は済み、椅子から立ち上がったタバサだが、やはり体は疲れ切っていたようだ。がくりと膝を突きかけるとキュルケがその小柄な体を支えてくる。
「今日の授業が始まるまで、まだ時間があるから少し休みなさい」
 キュルケに体を支えられたまま、タバサは図書館を後にしていく。
「朝食になったら起こしに来てあげるから」
 自室のベッドに横たわるタバサにキュルケはそう言い、退室していく。
 精神的にもあまりに疲れていたタバサは、すぐに眠りへと就いていた。

58悪魔の虹:2010/08/09(月) 17:28:59 ID:Ph48Yct2
「ミス・ロングビル……。すまないが、席を外してはくれぬかな?」
 学院長室にて、豊かな白い髭を蓄える学院長オールド・オスマンは眼鏡をかけた緑髪の秘書、ミス・ロングビルに顔を向ける。
 彼女は涼やかな表情のまま一礼し、退室しようとするがその眉はピクピクと痙攣していた。
 それもそのはず、つい先程彼女に対して悪戯心でセクハラをしたのだから当たり前だ。
「これは伝説にのみ存在する使い魔のルーンじゃぞ?」
 彼女の代わりにオスマンと対面するのはミスタ・コルベールだ。目元にクマを作る程の時間、図書館で調べ物をしていたと聞いている。
 その彼が何かを発見したらしく、こうして報告に来たのだ。
「まして、それをあのヴァリエールの三女が召喚するとはのぉ……」
 実に奇妙な平民を召喚したというあのミス・ルイズの使い魔のルーンが普通ではない。そうコルベールは知らせてきたのだが、オスマンは懐疑的だった。
 その使い魔の左手に浮かんだというルーンは何千年もの間、確認された事が無いとされるものだ。それがまさかヴァリエール家の三女、ミス・ルイズの使い魔に浮かんでくるなど前代未聞である。
 ただでさえ、平民の使い魔を召喚するなどという前例が無いというのに、さらに前例のない事態が重なるとは。
「事の真実はどうあれ、この件は一切……口外してはならぬぞ」
 もしもこの事がトリステイン王宮の高官や他国にでも知れ渡ったら、この魔法学院にも何かしらの危険が迫るかもしれない。ミス・ヴァリエールが召喚したというあの使い魔のルーンについてはもうしばらく様子を見る必要があるだろう。
「承知しました。それからもう一つ……」
 頭を下げるコルベールは懐を探り、ある物を取り出す。
 オスマンは目を丸くして、机の上に置かれたそれを凝視した。
「これもミス・ヴァリエールが召喚したものらしいのです」
 机の上に置かれた布の包みが広げられ、中から出てきたのは怪しげな虹色の光沢を放つ卵状の物体。
 窓から射し込む日の光に照らされ、その光沢はさらに強くなる。
 さらにオスマンはその物体に顔を近づけ、それを手に取ろうとした。
「おおぅ、冷たい……」
 ひんやりとした冷たい感触で、思わず手を引っ込める。
「何かの幻獣の卵かと思われるのですが、図書館の書物には一切の記録がありません。オールド・オスマンはご存知ありませんか?」
「……うーむ。……これは……」
 その虹の卵を手に収めつつ、間近で睨みつけるオスマン。その鋭い眼光は、普段は飄々とした気の良い老人である彼とは程遠く、この魔法学院を統括する者として、そして三百年近く生きてきた彼の威厳さを表している。
「ワシにも分からぬ……。」
 しかし、三百年を生きてきた彼であってもこの卵の正体は分からなかった。実に初めて見るのだ。こんな物は。
「じゃが、これからいずれ生まれるであろう命は決してただの幻獣などではない。……まして、ミス・ヴァリエールが使役できるような存在ではなかろうて」
 だが、触れただけで感じたこの悪寒は今までに感じた事のない程のものだった。
 きっと何か、恐ろしい事が起きるかもしれない。そうオスマンは判断する。
「そのミス・ヴァリエールなのですが……あの様子ではこの卵から生まれる存在を、未だに使い魔にしたがっているはずです」
「……それは宝物庫へと厳重に保管するのじゃ。……よいな。決して、ミス・ヴァリエールにそれを触れさせるでないぞ」
「承知しました……彼女の方は、私からも何とか説得をしてみますので」
 虹の卵を包みに戻し、懐に入れるコルベールは一礼して厳かに退室していった。
「……何も、よからぬ事が起きねば良いが」
 厳しい顔つきで、オスマンは低く唸った。
 あの冷たい感触……思い出すだけで恐ろしい。

59悪魔の虹:2010/08/09(月) 17:30:59 ID:Ph48Yct2
以上になります。
前回は一話目とはいえ短すぎたと言われたので今回は10kbyte分を投下しました。

バルゴンが全然、登場しませんが元ネタでもこれくらいだったのでそこはご勘弁を。

60名無しさん:2010/08/09(月) 20:25:23 ID:lDZCQVJc
5レスくらいしかないなら前スレに投下すればいいのに

61天才と虚無:2010/08/10(火) 18:47:17 ID:tmbvZg6w
推敲終わりました。回を重ねるごとに長くなっている気がします。
予約がなければ、18:50より投下を開始します

62天才と虚無:2010/08/10(火) 18:50:00 ID:tmbvZg6w
第四話

 早朝。
 藁束の中で目を覚ましたレメディウスが最初に見た物は、昨日ルイズが洗濯を言いつけた下着だった。
 レメディウスは寝起きのぼんやりとした頭で、藁束から身を起こす。
 一瞬ここは何処かと思考し、数瞬の後に、ここが自分の元いた世界でないことを思いだした。
 血糖値が足りてない。頭が回らない。
 思えば一昼夜、レメディウスは食事を取っていない。
 空腹さえ忘れてしまうほど、昨日のレメディウスは異世界のあり方に驚いていた。

(そういえば、起こせって言われていたっけ……)

 回らない頭で、昨日ルイズが言っていたことを思い出す。
 洗濯もしろと言っていた気がするが、この世界の文明レベルでは洗濯機はなさそうだ。
 ならば何処かに洗い場があるのだろうが、レメディウスはその場所を記憶していない。
 ルイズを起こして聞こうと、やっと回るようになってきた頭で、そう考えた。

「おーい、朝だよー?」

 藁束から出たレメディウスが、ベッドの上で丸くなっているルイズをゆする。
 しかしルイズは軽く呻き声をあげるだけで、一向に起きようとしない。
 <活息醒>の咒式で酸素とカフェインを合成し、覚醒させようかと思ったが、魔杖剣を持っていないことを思い出す。
 自分の生活がどれだけ咒式に依存しているかを、こんなところで思い知らされるとは思ってもみなかった。

「朝ですよー?」

 仕方なくレメディウスは、ルイズの身体をさらに揺する。
 八回と三分の一ほど揺らしたところで、ルイズが「んう……」と可愛らしい声を上げながら目を開いた。
 開いたはいいのだが、その鳶色の瞳は焦点が合っていない。
 ルイズが朝に弱いということは一目瞭然だった。

「起きたかい?」

 のろのろと身体を起こすルイズに、レメディウスが笑いかける。

「ふぇ………? あんた、だれ………?」

 焦点のあっていない瞳でレメディウスを見ながら、ルイズが言った。
 表情筋に力が入らないのだろう、眠たげな半眼が可愛らしい。

「レメディウスだよ。レメディウス・レヴィ・ラズエル」
「れめ…………? ああ、使い魔の……昨日召喚したんだったっけ……」

 思いだしたらしいルイズが、口に手を当てて欠伸をする。
 そのまま猫か何かのように伸びをする。半眼のまま、レメディウスに命じる。

「服」

 レメディウスは椅子にかけたままになっていた制服を手渡す。
 だるそうにしながら、寝巻を脱ぎ始めるルイズ。
 それを見ないように、レメディウスはドアのほうを向いた。

「下着ー……」
「それは自分で取ってほしいなあ………」
「そこのー、クローゼットのー、一番下の引きだしー」
「はあ……」

 溜息をつきながら、クローゼットの引き出しを開ける。
 畳まれて仕舞われた純白のショーツが、目に痛い。
 どれを選んでいいのか解らないため、とりあえず適当につまみあげる。

63天才と虚無:2010/08/10(火) 18:50:34 ID:tmbvZg6w
ほぼ全裸のルイズを出来るだけ見ないようにしながら、レメディウスは下着を手渡した。
 まだ眠いのかのろのろと、ルイズが下着を身につける。

「服」
「え? さっき渡したよ?」
「服、着せて〜……」

 えええ、といいながらレメディウスが振り向く。
 下着姿のルイズが、やはり半眼のまま、ベッドに座っていた。

「貴族は、下僕がいるときは自分で服は着ないの」
「貴族だって言うなら、身の回りのことくらい自分でやろうよ………」
「ごちゃごちゃうるさいわ。早く着せて」

 ルイズの態度に、レメディウスは嘆息する。
 もう何を言っても無駄だろうと判断し、ブラウスを手に取った。


○ ○ ○


 ルイズが部屋を出ると、似たような木の扉が三つ並んでいた。
 その扉の一つがひらく。
 中から現れたのは、燃えるような赤毛と褐色の肌の少女だった。
 身長の高いレメディウス程ではないが、その少女はルイズよりもずっと背が高く、女性的な発育も良い。
 しかしそこは、研究者肌のレメディウスである。
 特にそれを魅力的だと思うことも無ければ、「遺伝の違いなのだろうか?」とルイズと赤毛の少女を見比べたりもしていた。

「おはよう、ルイズ」

 赤毛の少女はルイズの姿を認めると、にやりと笑って言った。

「おはよう、キュルケ」

 顔をしかめて嫌そうに、返答する。

「あなたの使い魔って、それ?」

 レメディウスを指差して、馬鹿にした口調で言った。

「そうよ」
「あっははははははははっ! すごいじゃない、本当に人間なのね」

 キュルケと呼ばれた赤毛の少女が、レメディウスを指差して哂う。
 すごいどころの話じゃないと思うのは自分だけなのだろうかと、レメディウスは胸中で呟く。
 個人の力で空間どころか次元にまで干渉し、自分という個体を、殺さずこの世界へ連れてくる。
 『あの』咒式兵器を作り上げたレメディウスだ。
 その行為にいったいどれほどのエネルギーが必要とされるか、知らないわけではなかった。

「サモン・サーヴァントで平民を呼び出すなんて、あなたらしいわ。流石はゼロのルイズ」

 そう言われたルイズの頬に、さっと朱が差しこむ。

「うるさいわね」
「あたしも昨日、召喚に成功したわ。あなたとちがって一発で召喚成功よ」
「あっそ」
「どうせ使い魔にするなら、人間よりこういうののほうがいいわよね〜? フレイムー」
 
 キュルケが勝ち誇った声で、使い魔を呼んだ。
 キュルケの部屋からのっそりと、赤くて巨大なものが現れる。

64天才と虚無:2010/08/10(火) 18:51:07 ID:tmbvZg6w
 
「火竜の幼生………? いや、違うな。火蜥蜴の一種かな? しかし、随分と大きい」

 その姿を目にしたレメディウスが、自分の記憶と照らし合わせて呟いた。
 大きさは大型の哺乳類、強いて言うなら虎ほどか。
 巨大な体躯に赤を湛え、尾は温度の低い橙の炎で出来ている。
 口からはちらちらと焔が見え隠れしていた。

「あら、あなたなかなか見る目があるじゃない。そうよ、火蜥蜴よ。それも、火竜山脈のね」

 好事家に見せたら値段なんてつかないわ、と自慢げにキュルケがわらう。

「あんた、なんで火蜥蜴――――サラマンダーなんて知ってるの? あんたのとこにもいたの?」

 キュルケの使い魔を褒めたことが気に入らないのか、ルイズが不機嫌そうにレメディウスに問う。
 レメディウスはこともなげに、答えた。

「昔、実験に火蜥蜴を使っていたことがあるんだ。標本とかも作ったよ」

 さらりと言う。
 その言葉に、キュルケの顔が自慢げなそれのまま、固まった。

「実験?」

 ルイズが尋ねる。

「そう、実験。火蜥蜴は身体の構造が火竜と近いんだ」

 ルイズの問いに、講釈をする教師のような口調で語る。

「火竜の検体は貴重だけど、火蜥蜴ならば簡単に飼育できるから、実験はもっぱらそっちを使っていたよ」

 その説明に、ルイズがへえと声を感心した声を漏らす。

「もう随分前の事なんだけどね。なかなか良い検体が手に入らなくて、何度も解剖したっけ」

 あれは疲れたよ、と懐かしそうに言うレメディウス。
 解剖と聞いて、キュルケの顔が固まったまま青くなっていく。

「ここまで大きいと、きっといい標本に出来るだろうね」

 そう言いながらちらりとレメディウスが、フレイムというらしい火蜥蜴を見やる。
 その視線にキュルケが、ビクッ! と肩を震わせた。

「じゃ、じゃあねルイズ。失礼するわ。行くわよフレイム」

 冷や汗を垂らしたキュルケが、ルイズの前からそそくさと立ち去って行った。
 その後をフレイムが、口から火をちらつかせ、尻尾を振りながら歩いて行く。
 キュルケが廊下を曲がり、後ろの付いて行くフレイムも見えなくなったところで、ルイズが噴き出した。

「ブッ! っくくくくくくく! あはっ! あはははははははははっ!」

 息をするのも苦しいといった感じで、ルイズが笑い転げる。
 比喩ではなく本当に、腹を抱えてうずくまり、平手で床をバシバシと叩いていた。

「くくくくくく! ひー! ひーっ!! 見た、あのツェルプストーの顔! 真っ青になっちゃってあははははははははっ!!!」

 鳶色の瞳の端に涙を浮かべながら笑い続けるルイズ。
 やがて笑いすぎて咳き込み、回復して会話が可能になるまで、実に一分と二十二秒が経過していた。

65天才と虚無:2010/08/10(火) 18:51:40 ID:tmbvZg6w
「ああ、あんた最高だわ。あの憎たらしいツェルプストーに一矢報いたんだもの、くくく………」
「ちょっとした意趣返しだよ。少しやりすぎたかな?」

 ルイズのあまりの笑いように苦笑しながら、レメディウスが言う。
 去っていく時、キュルケの顔は真っ青になっていた。少しばかり、怖がらせすぎたかもしれない。

「いいわよ。あの女には、あれくらいでちょうどいいわ」

 未だに笑いの余韻が冷めやらぬ、といった風情でルイズが言った。

「じゃ、朝食に行きましょうか」

 しばらく深呼吸して呼吸を落ち着けると、ルイズはそう言って、女子寮の廊下を歩き始めた。


○ ○ ○


 トリステイン魔法学院の食堂は、魔法の系統を表すという五つの塔で、最も高い本塔にある。
 食堂はレメディウスの常識からしてもかなり広い部類に入る。
 その広い空間を横切るようにして、長い机が三本並んでいた。
 座れる人数は、感覚を広く取るならば一〇〇人、詰めれば一五〇ほど座ることが出来るだろう。
 二年生のルイズが向かったのは真ん中の机。
 向かって左の机には、少し大人びた紫色のマントを着用している生徒。向かって右は少し幼い茶色のマントの生徒が座っていた。
 マントの色は学年を表すものだろうか、とレメディウスは推測する。
 体つきや顔つきから見ても、紫のマントが三年生、茶色のマントが一年生だろう。
 詳しくは、後でルイズに聞けばよさそうだ。

「朝から、良くこんな食事が取れるね…………」

 食卓だろう机の上に並ぶ豪勢な食事に、レメディウスが呆れた声を出した。
 巨大な鳥のロースト。マスの形をしたパイ。果物の盛り合わせ。あの瓶は恐らく葡萄酒だろう。
 よく胸やけしないものだとレメディウスは思う。
 眺めているだけで食欲の失せていく光景だった。

「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないの」

 レメディウスの言葉の意味を取り違えたルイズが、得意げに語り出す。

「メイジはほぼ全員が貴族。『貴族は魔法を持ってその精神を成す』というモットーのもとに、貴族たるべき教育を受けるの」
「へえ………」

 その言葉にレメディウスは、先に食育からすべきではなかろうかと一瞬考えた。
 考えただけで、口に出すことはなかったが。

「だから食堂も、貴族の食卓に相応しいもので無くてはいけないのよ」
「そうなんだ………」

 ラズエル子爵家の嫡男として、自分の栄養管理は自分で行っていたレメディウス。
 そんな彼に言わせれば、この食堂は貴族の子弟には相応しいとはいえない。
 よくもまあ肥満にならないものだと、逆に感心し始めていた。

「あ、ちょっとそこのメイド!」
「? はい?」

 食卓の上に料理を並べる侍女の一人を、ルイズが呼びつけた。
 メイドが盆の上に料理を乗せたまま、こちらに駆け寄ってくる。
 レメディウスは何気なく、その少女を観察する。
 漆黒の髪に同色の瞳。身長は一五〇〜一六〇センチメルトルといったところか。
 肉体的な容姿に限るのならば、ヒナギの国の住民に似ている気がした。

66天才と虚無:2010/08/10(火) 18:52:15 ID:tmbvZg6w
 
「悪いんだけど、コイツの食事を用意してやってほしいの。大丈夫?」

 そういってルイズが、隣に立つレメディウスを指差す。

「え、僕の?」
「なによ、いらないの? 朝ご飯」
「いや、貰えるなら貰うけど………迷惑じゃないかい?」

 レメディウスが黒髪の侍女に視線を向ける。
 話しを振られた侍女が、戸惑うような表情を浮かべつつ、答える。

「いえ、それは構わないですけれど………ここにお持ちいたしますか?」
「椅子もないし、厨房でいいわ。あんたもそれで問題ない?」
「大丈夫だよ」
「じゃあ、食事が終わったら食堂の前で待ってて頂戴」

 ルイズはそういうと、凄まじい料理の並ぶ食卓へと歩いて行く。
 残されたのは、話しを勝手にすすめられたレメディウスと、事情が呑み込めないで戸惑う黒髪の侍女。

「えっと、もしかしてミス・ヴァリエールに召喚された平民の使い魔の………?」
「あれ? 僕を知っているのかい?」
「はい。ミス・ヴァリエールが平民を召喚した、と噂になっていまして」
「早いなぁ、噂になるの。まだ一日経ってないのに」
「みんなこういう噂話は大好きですから」

 そんなものだろうか、とレメディウスは思う。
 口に出ていたのか黒髪の侍女が、そんなものなんですよ、と相槌を打った。

「では厨房へ案内しますね? えっと…………」
「ああ、レメディウスです。以後、お見知りおきを」

 レメディウスが優雅な動作で、侍女に一礼して見せる。
 まるで貴族のような――――実際に貴族なのだが――――しぐさに、侍女はクスリと笑った。

「ご丁寧にどうも。私はシエスタです。よろしくお願いしますね、レメディウスさん」
「こちらこそ、よろしく」

 ではこちらに、と歩きはじめるシエスタ。
 レメディウスはその後ろを、周囲を観察したりしながら付いて行った。


○ ○ ○


 シエスタに連れて行かれた厨房は、丁度食堂の裏に当たる位置だった。
 巨大な鍋や竈がところせましと並び、料理人や侍女たちが忙しなく動き回っている。
 魔法学院の厨房と聞いて、「鍋を勝手に掻き回すお玉」のような物を思い浮かべていたレメディウスは、少し拍子抜けする思いだった。

「すこし待っていてくださいね」

 レメディウスにそう言い残して、シエスタが厨房の奥に走り去る。
 そのまますぐに、白磁の皿を持って戻ってきた。
 皿の中には、温かいシチューが入っていた。野菜が多く溶けているのだろうと、匂いから判断することができる。
 小さなパンが二枚、シチューの横に添えてあった。
 これなら、レメディウスの弱った胃にも優しそうだった。

「貴族の方々にお出しするシチューの残りものです」
「すごいな、美味しそうだ。頂いてもいいのかい?」
「ええ、賄い食ですから」

67天才と虚無:2010/08/10(火) 18:53:08 ID:tmbvZg6w
「では遠慮なく、頂きます」

 そう一言断りを入れて、レメディウスは匙でシチューを救い、口に運ぶ。
 美味しい。最初に、そう感じた。
 ラズエルの食堂で出る化学調味料の大量に使われた料理と、ウルムンの牢獄での、粗末な食事。
 それ等とは比べ物にならないほど美味で、そして栄養価が高そうだった。

「美味しいな、すごく。料理人にも礼を言っておいてくれるかい?」
「あ、はい! 解りました」

 パンを丁寧に千切り、口に運んで咀嚼する。
 飲み込んでから、シチューを匙で掬う。
 少し時間をかけて半分ほど食べたあたりで、レメディウスはシエスタが、じっと自分を見ていることに気がついた。

「なにか、気になることでも?」
「えっ!?」
「ここでは、こういう食べかたは礼儀に反するのかな?」
「い、いえ、そういうわけではなくて………ただ、すごく丁寧な食べ方だなって」
「そういうふうに躾けられたんだ。龍皇国貴族ラズエル子爵家の嫡子としての礼儀だとね」

 がちゃん、とシエスタが持っていた盆を取り落とす。

「きっ、きき、貴族のかただったんですかっ!?」

 少女の顔から急速に血の気が引いて行く。
 そこに至って、レメディウスはしまったと思った。

「貴族と言っても、平民と変わらない没落貴族さ。この衣装を見れば解るだろう?」

 レメディウスはとっさに嘘をつき、自分の衣装を指差す。
 ルイズやその周囲の人間から、この国が貴族が強い力を持つ封建制国家だと言うことは既に予想済みだ。
 それなのにもかかわらず口を滑らせた、自分の浅慮さに腹が立つ。

「それに、こんなに美味しいものを食べたのも久しぶりなんだ。実家は借金まみれで、食事も殆どなかったから」

 前半は本当、後半は嘘。 
 尤も、同盟との戦争に敗れて相続税が導入されてからは、龍皇国のほとんどの貴族がそうなったという事実に基づく嘘である。
 ラズエル家は軍事や情報といった分野に転身し、その危機を逃れた数少ない貴族なのだが。

「そ、そうなのですか…………?」

 シエスタが心配そうに、レメディウスに聞いてくる。
 その様子からも、この国での貴族の力の強さが簡単に予想できた。
 人権という概念がそもそもないのだろう。まるっきり中世の世界である。

「うん。だから僕は貴族だからって威張る気はないし、むしろ、美味しい食事に感謝してるくらいさ」

 これは全て本当。
 貴族が力を失った龍皇国では、爵位など既に虚名。
 そんな虚名をありがたがる田舎者に、爵位を売り払う貴族まで出てくる始末だ。

「そうだ、僕の爵位を君に差し上げよう。正直、僕はこんなものはいらないから」
「は?」

 レメディウスの突然の発言に、シエスタが目を丸くする。

「僕は家名を爵位を失って、ただのレメディウスになる。君は家名と爵位を得て、シエスタ・レヴィ・ラズエルになるんだ」
「そ、そんなの受け取れないですよ!」
「まあ、没落貴族の爵位なんか欲しくないか。貰っても、ついてくるのは借金くらいだしね」
「いえ、そういうわけではなくてっ!」

68天才と虚無:2010/08/10(火) 18:53:49 ID:tmbvZg6w
 
 慌てて首を振るシエスタ。その様子を見て、レメディウスが笑う。
 やがてそれに気付いたのだろう侍女の少女が頬を膨らませた。

「もう! わたしみたいな村娘をからかわないでください!」
「ははは、ごめんごめん」

 怒るシエスタに謝罪しつつ、レメディウスは匙でシチューを掬って食べる。
 さらに残ったシチューをパンで拭い、それを食べ終えると皿と匙を綺麗に揃えた。

「ごちそうさま。おいしかったよ」

 そう言ってレメディウスがシエスタに食器を手渡す。

「お気に召していただいて光栄ですわ」

 シエスタが食器を受け取りながら言った。
 皿にこびりついたシチューまで綺麗になっているのを見て、微笑む。

「それでは僕はそろそろ行くことにする。料理人にも、礼を伝えておいてほしい」
「はい、確かに承りました」

 それだけ言い残すと、シエスタに見送られながら、レメディウスは厨房を後にした。

「レメディウスさんかぁ、面白い人だったな…………」

 厨房に残ったシエスタが、青年が立ち去った後の空間をぼんやりと眺めながら、そう呟いた。
 その呟きは誰に聞きとられるわけでもなく、虚空へと消えていった。

69天才と虚無:2010/08/10(火) 18:56:04 ID:tmbvZg6w
今回はここまでにです。
天才咒式博士のくせに、この先ほぼ咒式が出てきません。
レメディウスの活躍はかなり後になるかもです。
駄文失礼いたしました。

70名無しさん:2010/08/10(火) 20:06:24 ID:ek1.ZqKU
乙です。

レメディウスなら魔杖剣なしでも咒式使えそうな気もしますが、
こういう穏やかなレメディウスもいいですね、原作知ってると、
彼が破滅しないかドキドキしてしまいますが。

71ゼロと電流:2010/08/10(火) 23:52:01 ID:HnheLQ8w
とくに問題が無ければ、55分から18話を投下します

72ゼロと電流18話:2010/08/10(火) 23:55:11 ID:HnheLQ8w
 ルイズ、アニエス、アンリエッタは一つのテーブルを囲んでいた。
 食事ではない。
 三人の真ん中には、小さな銃弾が置かれていた。

「これが、弾?」

 アニエスは自分の使用している銃の弾をそこに並べていた。

「似ても似つかないな」
「ハルケギニアの銃と、ザボーガーの速射破壊銃を一緒にされても困るわ」
「確かにそうだが」

 アニエスは速射破壊銃の銃弾を手にとって、頭上にかざしては見つめる。

「土くれのフーケのゴーレムをあっさりと破壊したと聞いたが、それほどの力が込められているとはな」
「その銃弾そのものにはそこまでの力はないわ。確かに、ハルケギニアの銃弾よりは強いけれど」

 ルイズの言葉を聞きながら、アンリエッタは速射破壊銃の弾をアニエスから受け取る。

「それにしても、ずいぶんと精密に作られているようですね。これと全く同じ形のものが、ザボーガーの中に百以上とあるのでしょう?」
「ですが、数に限りあることに違いはありません」
「出来る限り協力しましょう。ですが、数をこなすことが出来るかどうか」

 土メイジによる錬金で銃弾を作る。それがルイズの出したアイデアだった。
 量産はきかないが、時間さえかければある程度の数は揃えることが出来る。
 ザボーガーの記憶の中でのΣ団や恐竜軍団との戦いの様に、毎回毎回速射破壊銃を使うことはルイズも諦めていた。
もっとも、普通のメイジや騎士相手であれば、ブーメランカッターとチェーンパンチでだいたいは相手できる。
速射破壊銃が必要になる戦いというのは滅多にないはずだった。
 そもそも、速射破壊銃の破壊力は銃弾の力ではない。
 元の世界で言うならば、ダイモニウムエネルギー(怒りの電流)を付与することによって破壊力を爆発的に上昇させていたのだ。
 ハルキゲニアで言うならば、ルイズの虚無魔力である。
 つまり、きちんと放つことの出来る銃弾さえ作れば、攻撃力は魔力で嵩上げできるのだ。
 これは、ブーメランカッターやチェーンパンチにも同じ事が言える。
 それぞれの切れ味、破壊力、速度、全てが虚無……あるいはダイモニウムエネルギー、怒りの電流によって増幅されるのだ。

「あとは整備の問題ですけれど、致命的な破壊さえなければ、私のガンダールヴのルーンと虚無魔法〈記録〉で得た知識で何とかなると思います」

 言いながらも、ルイズの表情はやや暗い。
 アンリエッタが指摘すると、ルイスはすぐにそれを認めた。

「本当に壊れてしまった場合、私の知識では修理は出来ません。いえ、多分、ハルキゲニアの全ての知識を結集しても無理でしょう」
「その可能性はどれほどなのだ?」

 アニエスが尋ねた。

73ゼロと電流18話:2010/08/10(火) 23:55:54 ID:HnheLQ8w
「修理が難しいとはいえ、それほどの破壊をうけるには、どれだけの攻撃を受ければいいのだ?」
「それはわかりませんが、少なくとも、私の虚無魔法ならばザボーガーを破壊する可能性があります」

 くわえて、自分の母ならばそれほどの打撃を与えることも可能かも知れない、とルイズは考えていた。
 そのときだった。
 アニエス配下であり女王直属の部隊である銃士隊の一人が姿を見せる。
 その急いで駆けつけた様子に、何があったのかと尋ねるアニエス。
 銃士隊員は一瞬、ルイズとアニエスの姿に目を止めるが、アンリエッタは構わず話せと命じた。

「姫様に至急お目通りを願いたいと、二人連れが」
「こんな時間に?」

 アニエスは苛立ったように尋ねる。

「何者だ」
「それが、一人は騎士の姿を。もう一人は平民の姿ですが、妙なものにまたがり……」
「妙な?」
「ミス・ヴァリエールの使い魔に似ていましたが」
「なんだとっ?」
「烈風よりの危急の用件といえば通されるはずだ、と申しておりますが」

 アンリエッタとルイズは顔を見合わせる。
 烈風の名に二人は心当たりがあった。いや、ありすぎた。
 ルイズの母カリーヌのかつての異名、烈風カリンである。
 烈風カリンの名を知らぬトリステイン貴族はいないと言っていいだろう。その正体は不明とされているが、まさに一騎当千、
かつてトリステイン最強の騎士と呼ばれたメイジである。
 そして、烈風カリンがカリーヌであることを知るものは少ない。

「二人を通しなさい。それから、マザリーニをすぐここに」
「はっ」

 アンリエッタの応えにルイズは一瞬言葉を失い、蒼白となって辺りを見回す。

「お、お母さまが……」
「ルイズ、諦めなさい」
「で、でも、姫様」
「一緒にお叱りを受けましょう。幼い頃の様に」
「一緒に?」
「貴方をアルビオンへ送った私の責、無視するわけにはいきませんから」
「それは私が」
「ルイズ、私に恥をかかせるつもりですか?」

74ゼロと電流18話:2010/08/10(火) 23:56:24 ID:HnheLQ8w
 あくまで優雅に、アンリエッタは立ち上がる。

「幼馴染みを死地へと送り込んだうえ、そのことに気付かずにいた、と私に言わせるつもりですか?」
「それは」
「親友を死地へ送る非情と死地と知らずに送る無知。選ぶとすれば私は、前者の罪を選びます」
 
 国を治める者として許されざる罪は後者。アンリエッタはそう言っていた。
 選ばれるべきは前者であって後者ではない。

「非情を糾弾されるなら、私は甘んじて受け止めましょう」
「では、その策を進言したのは私と言うことで」

 マザリーニが、寝起きとは思えぬきちんとした姿で現れた。

「もっとも、烈風カリンともあろう者がそれだけのためにこの場に姿を見せるとも思えませんが」
「睡眠時間の確保は大切ですよ」
「同じ言葉をお返ししましょう。ですが、お気遣いには感謝します」

 マザリーニは寝ていないのだろう。おそらくは何らかの事態を予測して待機していたか、あるいは自室に籠もって書類を弄っていたか。
 銃士隊に先導されたカリーヌが姿を見せたとき、思わずルイズは声を上げる。

「シエスタ?」

 カリーヌの後ろで怯える様に辺りを見回しながら従っているのは、他でもないシエスタであった。

「ルイズ様?」
「どうして、シエスタが?」

 そのやりとりが目に入らない様に、カリーヌはアンリエッタに挨拶を述べた。
 それは、ラ・ヴァリエール公爵夫人としての挨拶ではなかった。あくまでも元マンティコア隊隊長、烈風カリンとしての挨拶である。

「くだくだしい挨拶は止めましょう。烈風カリンの名を出すと言うことは、真の緊急事態と言うことですね?」
「はい」
「それで、彼女は?」

 シエスタに目をやるアンリエッタ。
 シエスタはルイズの姿に驚き、ついで安堵していたが、トリステイン王女を目の前にしていると気づき、慌てて平伏している。

「名はシエスタ」

 そしてルイズは次のカリーヌの言葉に、心の底から驚くことになる。

「彼女は、アルビオンの虚無の使い魔ヴィンダールヴ。そして異世界のゴーレム、マシンホークの主でもあります」

75ゼロと電流18話:2010/08/10(火) 23:57:01 ID:HnheLQ8w
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 アルビオンの革命は終わった。王国は滅び、新たに神聖アルビオン共和国が誕生した。
 そして、初代皇帝クロムウェルは告げる。
 我に他国への侵略の意志なし。我は腐りきった王家へと誅を下したのみである、と。
 だが、その言葉がクロムウェルのものでないと知る者は少ない。いや、クロムウェル自身が既に死人だということすら、知るものは殆どいないのだ。

「糸を引いていたガリアですら、知っている者はそういないだろう」

 確実に知っているのはシェフィールドのみ。とワルドは指を一本立てる。
 シェフィールドがジョゼフに伝えているかどうか、それすら定かではないのだ。

「ガリアの王家は、親子仲が良いという状態にはほど遠いと聞いているからね」

 シェフィールドの正体がジョゼフの娘、ガリアの姫であるイザベラ自身であることを、ワルドは知っている。
 そして、クロムウェルがワルドの傀儡であり、アンドバリの指輪が今やワルドの手にあることをイザベラは知っているのだ。
 勿論、互いに口にしたわけではないし、確たる証拠を与えたわけでも得たわけでもない。
それでも、それらの事実は互いにとっての密約の証、あるいは質草となっていた。

「私には、首根っこを掴まれているようにしか見えないのだけれど?」

 事情は、マチルダにもわかっている。
 イザベラがワルドの味方になったのではない。今現在の仮想敵が同じ相手、ガリア王ジョゼフであるというだけだ。
 ジョゼフが倒れれば、イザベラはあっさりとアルビオンの内情を暴露するだろう。おそらくは、アンドバリの指輪の現状も含めて。
勿論そこには、ガリアの立場を悪くしないための虚偽も含まれるはずだ。
 しかし、ジョゼフ失脚がそう簡単にできることだとはワルドもマチルダも、そしてイザベラも考えてはいない。
 当面は、同じ敵を持つ者として足を引っ張る真似だけはしない。そういうことだ。

「それで、どうするんだい?」
「マチルダ、君にはフーケの経験を生かして探って欲しいことがある。いや、潜入と言ってもいいかな」
「ガリアかい」
「さすがに、察しが良い」
「何を探るのさ。言っておくが、向こうの使い魔は私の顔を知っているんだよ?」
「それともロマリアがいいかな?」

 探る内容にもよるが、選ぶのならガリアだ。
 ガリアであれば、トリステインやゲルマニアに入り込む手口が殆どそのまま通用する。
 しかしロマリアは駄目だ。あの国は、特別すぎる。普通に入国するのは一番楽だが、間諜として入り込むには通常の手段では難しい。

「今更、何を調べる気だい。時間を稼げば勝てる。そう言ったのは誰だっけ?」
「勝ち負けだけを競うのなら、充分に勝てるとも」

76ゼロと電流18話:2010/08/10(火) 23:57:37 ID:HnheLQ8w
 あの日、監獄から連れ出された夜にフーケはワルドの計画を知らされた。
 そしてその証拠も目にした。少なくとも、ワルドの計画に理屈は通っていたのだ。
 だからこそ、フーケはワルドに従っている。
 逃げ出すだけなら簡単だろう。ティファニアや子供達の新しい居場所ももしかしたら見つかるかも知れない。
 しかしワルドの計画通りならば、この世界に安全な場所はアルビオンしかないのだ。
 アルビオンを浮遊大陸としているのは、地中に存在する多量の風石の力によるものである。
 では、同じ風石がそれぞれの大陸の各所、地下深くに眠っているとすれば。
 ある時期に一斉に風石が活性化し、大陸を持ち上げる力となるとすれば。
 そこに生まれるのは大パニックである。
 突然、地面の各所が持ち上がるのだ。どれだけの町が、人が、建物が被害を受けるのか。
 大陸一つを持ち上げる力に、どうやって対抗できるというのか。
 生き残った者、わずかに残された土地でどうやって生きていくのか。
 だからこそ、ワルドはアルビオンを奪ったのだ。
 その大異変、「大隆起」をやり過ごし、残った世界に覇を唱えるために。
 生き延びた貴族を根絶やしにするために。
 兵力は無尽蔵にある。
 地上で逃げ切れず倒れた者達の死体。アンドバリの指輪でそれらを操れば、労せずして一国の軍が生まれるのだ。
 世界を滅ぼす大異変に続く、不死の軍隊による蹂躙。
 誰が、その二つに同時に立ち向かうことが出来るのか。
 立ち向かうことが出来るとすれば、それこそ伝説の虚無の使い手、そしてその使い魔だろう。
 だからこそ、ワルドはルイズを手中に収めようとした。叶わなければ、その命を奪おうとした。
 ザボーガーの存在が、ワルドにとっての計算外だったのだ。
 それでも、ルイズはただ一人。ザボーガーもただ一台。
 それだけの数で何が出来るというのか。
 トリステインの虚無はルイズ。彼女は、ワルドの敵に回ったと考えて良いだろう。
 ガリアの虚無はジョゼフ。この男は別だ。「大隆起」に気付いた気配はないが、何をするかわからない。
下手をすると「気付いていて何もしない」という選択をとりかねない。
 ロマリアとアルビオンの虚無は不明。
 アルビオンに関しては当てがある。それこそが、ワルドがフーケに接近した理由の一つだ。
 ティファニアが虚無に目覚めない限り、ワルドは何をする気もない。ハルケギニアでは一般的な、エルフに対する悪感情はワルドにはない。
 虚無に目覚めていれば利用する。目覚めていなければ目覚めさせずにおく。それだけのことだ。
 風のルビーと始祖のオルゴールはルイズの手元である。ティファニアがそれを見る機会などない。
そして、ハーフエルフとして深窓に隠されていた娘だ。アルビオン王家の血をひくとはいえ、二つの秘宝に触れる機会はなかったはずだった。
 少なくとも、フーケはそう断言し、ワルドも納得した。
 ワルドは知らない。既にティファニアが虚無の魔法〈忘却〉を手にしていることを。
 幼い頃に一度だけ、風のルビーと始祖のオルゴールに触れる機会があったことを。
 ただし、フーケは言った。

「あの子も一応魔法が使える。ただし、それはコモンや属性魔法なんかじゃない。先住魔法さ。エルフだけが使えるね」

 それは嘘。ティファニアが使うのは紛れもない虚無魔法だ。
 そしてそれが、フーケがただ一つ残した切り札であった。

77ゼロと電流18話:2010/08/10(火) 23:58:14 ID:HnheLQ8w
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 何故か。
 タバサはグラントロワの裏へと歩きながら考えていた。
 何故、賭け事という形を選んだのか。
 ジョゼフは一言言えばいい。

「ザボーガーをルイズから奪い、余の前に持ってこい」

 何故、賭け事という形にしたのか。
 その必要が何処にあるというのだ。例えそれが嘘であったとしても、解毒薬の存在をここで示してどんな意味がある。
 今更、解毒薬の存在に左右される自分ではない。イザベラならともかく、ジョゼフならばわかっているはずだ。
 自分の意志など無視して命令すれば……
 タバサは思わず立ち止まっていた。
 答えが、見えたのだ。
これは、自分の意志。
 これが賭け事ならば、ザボーガーを提供しないと言う選択が自分には残されている。
 そう、これは賭け事なのだ。負けても構わない。奪われるものはない。
 ただ、解毒薬は手に入らない。
 タバサは小さく呻いた。
 ここにキュルケがいればその耳を疑っていただろう。
 それは限りなく呪詛に近い、歯ぎしりにも似た呻き。
 タバサは悟った。
 自分は今から、ザボーガーをルイズから奪おうとするだろう。
 ガリア王に命令されたから? 否。
 北花壇警護騎士としての役目? 否。
 自分がそう望んだから。
 賭の商品を手に入れるために、自分がルイズを裏切ることを選んだから。
 これは、タバサの意志なのだ。

「お前は、自分の意志で自分の友を裏切るのだ」

 ジョゼフの含み笑いが聞こえた様な気がした。
 タバサの足音が荒くなる。

「おやおや、ご機嫌がお悪い様で」

78ゼロと電流18話:2010/08/10(火) 23:58:49 ID:HnheLQ8w
 タバサは立ち止まり、声の主に目をやった。

「お久しぶりですね、シャルロット様」

 目の前に立つ騎士は、カステルモール。
 だが、その声を発したのは違う。騎士の手には、これ見よがしに握られた一本のナイフ。

「地下水?」
「おおっ、やはりおわかりですか、さすがはシャルロット様」
「どっちの使い?」
「いえ。イザベラ様でもジョゼフ様でもありません」
「誰?」
「かつて、リーヴスラシルと呼ばれた御方」

 タバサは小さく首を傾げた。

「あるいは、別の世界で魔神三ッ首と呼ばれた御方」
「何の用?」
「貴女とお話がしたいと」
「私に話すことはない」
「復讐を為すための力と機会」

 再び歩き始めたタバサの足が止まる。

「三ッ首様が、その二つを貴女に提供したいと」

 タバサの一瞬の逡巡に、地下水は言葉を重ねる。

「条件はただ一つ。貴女が三ッ首様に仕えることです」

 そして地下水は言葉を繋いだ。

「王女シャルロット様」
「何故、私を」
「それは私にもわかりません」

 事実、地下水には知らされていない。
 ただ、三ッ首の呟きだけを、地下水は耳に留めていた。

 ……新たなメザが、必要だな……

79ゼロと電流18話:2010/08/10(火) 23:59:19 ID:HnheLQ8w
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 大門は、二枚の手紙を前に首を捻る。
 それは、パリで研修中の新田警部からの手紙だった。
 父の旧友であり、ともにΣ団と戦った頼れる上司でもあり、大門とはまるで父と子の様な信頼関係を築き上げていた相手だ。
 しかし、その新田警部からの手紙の内容は、あまりにも奇妙なものだった。

【君の父、大門博士からの伝言を伝えたい】

 それ自体には何の問題もない。
 父からの伝言を新田警部が預かっていた。そこに不自然さはない。強いて言えば、何故今まで隠していたか、ということだ。
 そして、新田警部からの手紙に同封されていたのは父からの手紙だった。

【豊、この手紙をお前が読んでいるということは、三ッ首との戦いは終わったのだろう】

 大門は思わず声を上げていた。
 何故。
 悪の宮博士に殺されたはずの父が、何故魔神三ッ首を知っているのか。

【そして、ザボーガーもマシンバッハも、お前のそばから消えていることだろう】

 驚きはそれだけではなかった。
 大門は、とにかく残りの手紙を読み切ることにした。

【山手台教会へ行け。そして最初にザボーガーと会った場所の、さらに地下を探すのだ。そこで全てがわかる】

 ザボーガーが隠されていたのが山手台教会の地下だ。そしてそこは、ザボーガーの初代基地でもあった場所だ。
 大門はすぐに教会へと向かった。
ザボーガーが最初に置かれていた秘密ガレージ。大門は、手紙に書かれているとおりに床をこじ開ける。
 
「……お?」
「そこに誰かいるのか?」
「ああ、もうそんな時間か」

 こじ開けた穴から繋がる空間にライトが灯る。
 大門は絶句した。
 そこに立つのは紛れもない、ザボーガー。
 そして、その手には見慣れぬ剣。

「よお、初めましてだな、ダイモンユタカ」
「ザボーガーが話している……わけじゃないな」
「ああ。俺っちは、デルフリンガー。あんたに、会いに来た」

80ゼロと電流18話:2010/08/11(水) 00:00:15 ID:CBbSBfRA
以上、お粗末様でした。

「大隆起」の新設定が出る前に完結させたいなぁw

81名無しさん:2010/08/11(水) 02:13:03 ID:ZtPi1nJ2
前スレ使い切らないのは、何かに備えての事なの?

82名無しさん:2010/08/11(水) 09:26:39 ID:VpSyiFns
単に新スレが出来たから前スレに投下できる分量でも新スレ投下って作者がいるだけ
女房と畳とスレは新しい方がよいようだ

83名無しさん:2010/08/11(水) 09:35:41 ID:Bhi4jLsE
>>80
どうなるタバサ、何故ここにいるデルフリンガーINザボーガー。
ワクワクが止まりません、GJです!

84名無しさん:2010/08/11(水) 12:32:34 ID:Idw8nPjg
なんだろうなぁ…2chとしたらばの仕様を勘違いしただけかもしれないのに
必要以上に刺々しい言い方するのは紳士らしくないと思うぞ

85名無しさん:2010/08/11(水) 14:19:18 ID:CtDlgE1k
500KBで止まらないのをいいことに前スレもう1100KB超えてるし
正直重くてしょうがないからもうこっちでいいんじゃないかな

86名無しさん:2010/08/11(水) 18:43:19 ID:AU9V5jlA

デルフの復活を見てやっぱりみんな色々とネタを考えたことだと思うが
元々意思のあるソーディアンとかに宿ってしまったらどうなるのだろう

結局ソーディアンとネクロスとうらみのつるぎくらいしか思い浮かばないのだが

87名無しさん:2010/08/11(水) 19:18:02 ID:2zipMpog
>>86
ネタばれすんなよks

88名無しさん:2010/08/11(水) 19:28:28 ID:Da9DX7rE
>>87
新刊発売して暫く経ってるし別に良いだろ。
ネタバレが嫌ならこう言う場所に近づく方が悪い。

89名無しさん:2010/08/11(水) 19:56:04 ID:u2SeeT2E
ソーディアンと聞いてコブラが出てきた

90名無しさん:2010/08/11(水) 20:43:24 ID:VkFK5g7E
ドラゴンボールクロスまだですか?

91名無しさん:2010/08/11(水) 21:25:24 ID:mq2lATvY
ミスター・サタンとか面白そう。
それでもガンダ補正入りゃサイトよは強いんだろうな。
トラック引っ張ってたし

92名無しさん:2010/08/11(水) 21:34:38 ID:LNocPiTI
サイトより強いんだったらスッパマンでも可だわな。
しかし……

ギーシュ→土下座
フーケ→どさくさ紛れに自分も泥棒
ワルド→強いものにつくでルイズを裏切ってレコン入り

あっ!だけどハルケギニアには電話ボックスがない。

93名無しさん:2010/08/11(水) 21:40:21 ID:VkFK5g7E
サタンさんが元気玉覚えたらゴクウですら倒せるし

94名無しさん:2010/08/11(水) 21:48:38 ID:OSynTWgQ
サタンはあれで格闘技ぶっちぎりの世界チャンピオンだしな

95名無しさん:2010/08/11(水) 21:50:51 ID:zZ1uAZME
鳥山明曰くボブサップぐらいは強い
だからな

96名無しさん:2010/08/11(水) 22:16:52 ID:5lhnV38A
>>86
ああ、デルフ復活したのか。まだ新刊読んでないが。
予想はしてたが、それを聞いてちょっと楽しみになった。

97名無しさん:2010/08/11(水) 22:40:35 ID:EadhkUHs
サイトより弱いキャラなんてなかなかいない

98名無しさん:2010/08/11(水) 23:19:50 ID:4BNkhPNY
スーパースターマンとかだな

99名無しさん:2010/08/12(木) 00:15:33 ID:02WXJVa.
何度でもよみがえる+ガンダールブとか敵兵からすると悪夢だろ

100名無しさん:2010/08/12(木) 00:38:48 ID:iNPksHao
スーパースターカッター無双か… 恐ろしい
だが、ギーシュにすら勝てない(だが負けない)ようなイメージがあるのはなぜだろう




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