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中・長編SS投稿スレ
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中編、長編のSSを書くスレです。
オリジナル、二次創作どちらでもどうぞ。
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そんな中、帝国は状況を逆転させるべく、あらたなオルタネイティブ計画を計画していた。
オルタネイティブ7。それはオルタネイティブ6によって荒廃し滅亡に向かっている地球人類を救う計画とされていた。
だが計画の実態を知る人間達は、計画が成功するかについて疑問を抱かずには居られなかった。
しかしそれでも尚、その計画に頼らざるを得ないというのが人類の窮状を示していた。
「BETAと敵対しているであろう『異星人』に救援を頼む……これしか手がないとはな」
自宅の書斎でオルタ7に関する報告を部下から聞いていた前総理大臣榊是親は自嘲した。
そんな是親を、同席していた帝国陸軍大将・彩峰萩閣が慰める。
「ですが、敵の敵は戦術的には味方という話もあります。計画が成功すれば、7年前と同じようにBETAを
地球上から掃討することも不可能ではないでしょう」
1998年1月1日。たった8分でハイヴと周辺のBETAは根こそぎ消滅した。
一般人はこの結果に歓喜したが、各国政府や軍部はこの事態に衝撃を受けた。
何しろ人類はこの攻撃を直前まで察知できなかったのだ。もしもBETAを駆逐した存在が気を変えて自分達に矛先を
変えれば、駆逐されるのは自分達となる。
彼らは必死になって謎の存在を解明しようとしたが、どのように衛星軌道に物体(恐らくミサイルのようなもの)を
送り込んだかも判らなかった。
ただしそれを成した存在は、自分達とは隔絶した技術力を持った存在であることは容易に推測できた。
そして同時に各国は、この攻撃を実施した存在はBETAと敵対しているとも考えた。BETAが他の惑星で地球と
同じようなことをしているのなら、戦争になるのは間違いないからだ。
そしてオルタネイティブ7とは、この存在に助けを求めるというものだった。
あまりに無謀。運任せ。否定的な言葉しか出てこないものであったが、現状ではそれしか手が無かった。
軍事的にも、経済的にも人類はすでに末期だったのだ。
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「だがそのあと、異星人たちが地球人類に対して友好的である理由もない……それに」
そこまで言うと彼は口を閉ざした。それ以降の台詞は政治家である彼が口に出してよい言葉ではなかった。
(仮にBETAを駆逐できたとしても、帝国を再建できるのだろうか?)
彼の考える通り、仮にBETAを駆逐できたとしても、地球環境の激変によって人類は生存できるかさえ判らなかった。
氷河期のような気温の低下、相次ぐ火山の噴火、地震の多発。天変地異の数々に人類は痛めつけられていた。
そして日本にとってさらに頭の痛いことに、隕石の落下によって、ユーラシア大陸の汚染された土壌が大量に大気中に
巻き上げられ、それが日本に降り注いでいたのだ。
放射能や重金属によって汚染されたそれらは森や水源を汚染し、日本列島を生存不可能な土地へと変貌させつつある。
日本政府は必死に浄化を行っているものの、森林や田畑は次々に汚染され荒廃している。食糧生産は絶望的だった。
頼みの綱の合成食さえもはや作ることが難しくなっている。何しろ環境の激変によって海中のプランクトンが激減したからだ。
残された道は外国からの輸入しかないのだが、それも今の状況では不可能だった。余裕のある国などどこにもない。
合法的に食糧や水を手に入れることができないとなれば、あとは戦争しかない。
帝国軍内部では、すでに戦争計画が策定中であった。このまま事態が打開できなければ本当に人類同士で戦争となる。
たとえBETAを再び駆逐できても、このままでは人類は同士討ちをした挙句に滅亡するしかないと言えた。
(帝国を再建するには、あの攻撃を行った存在と取引を行い、何らかの援助を得るしかない)
それはあまりにも非現実的なことだったが、それくらいしか手は無かった。
尤もあれだけの攻撃を実行できる存在に対価として差し出せるものなど、今の人類にはなく、現状ではただの
夢想に過ぎない。しかしそれを考えざるを得ないほど彼らは追い込まれていた。
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オルタネイティブ7の開始に伴い、日本政府は可能な限り優秀な技術者を集めた。
大気圏や周辺宙域の環境の激変によって、電波状況は最悪といってよかった。そんな中、恐らく地球を監視して
いるであろう異星人に届くような、そして彼らが自分達の意図を理解できるようなメッセージを作成しなければ
ならないのだ。
優秀な頭脳はいくらあっても足りなかった。
最後の希望として日本中から集められた頭脳の中に、オルタ4の責任者であった香月夕呼の姿があった。
研究者や技術者がせわしく行き来する研究所の様子を見ながら彼女は自嘲した。
「まさか、またオルタネイティブ計画に関わることになるとはね」
地上のハイヴが全て消滅してから3ヵ月後の4月1日に、オルタネイティブ4の中止が決定された。
当初、誰もが反発するであろうと思っていた彼女は、その決定を受容れ、1999年には国連軍を退役して
隠棲した。
彼女がすべてを注ぎ込んだ第4計画の中止と、異星人の大量破壊兵器によるハイヴ掃討戦略が成功したことが
彼女からすべての気力を奪い去ったのだ。
しかしこの逼迫した状況は、彼女の隠棲を許さなかった。
日本政府は天才香月夕呼を復帰させ、オルタネイティブ7に加えたのだ。
当初は誰もが彼女が役に立つのかどうか疑問視したが、彼女はその持ち前のバイタリティと能力をもって一気に
現場の人間の信用を勝ち取った。人類の危機に際して、彼女は再び立ち上がったのだ。
「まぁ良いわ。あのふざけた攻撃をやってくれた連中の顔を拝んでやろうじゃないの」
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未来人の多元世界見聞録 第6話『未来人の二者択一』
マブラヴ世界の日本が藁にも縋る思いでオルタ7を推進している頃、耕平は滅びかけているこの世界に
どのように手を差し伸べるかで頭を抱えていた。
BETAの駆逐自体は簡単だが、駆逐したとしても人類が今後もこの星で生存できるとは到底思えない。
まぁ極少数の人間は何とか生き残れるかも知れないが……。
「……少なくとも人類がこの星で生き残れるようにするには、月と地球の環境を回復しないといけないな。
おまけに人類が力を回復するまで、BETAの侵攻を水際で阻止しなければならない。
……面倒だな」
BETAのような害獣の駆逐は比較的簡単だが、自然環境の再生となると結構手間であった。
このゲームは曲がりなりにも戦争ゲームであり、環境の再生や整備に関する装備は余り考えられていない。
尤も一部のマニア向けのためにテラフォーミングの技術は一応存在するが……。
「環境再生技術は、それ専用の工場が要るんだよ。それに結構値が張るんだ。あれを買うと今度買おうと
思っている新型の大型工廠が買えなくなる」
切実だった。地球環境の回復は出来なくはないが、買えば彼の連休中の苦労が水の泡となる。
目の前の世界を取るか、それとも艦隊の整備(本来のゲームの目的)をとるか、彼は悩んだ。
「あとはマクロス艦みたいな移民船を供給して、別の星で幸せになってもらう方法もあるけど……
果たしてうまくいくかどうか」
移民船を供給するにしても、まさか無造作に地上に船を置くわけにはいかない。
現地政府と接触し、信頼関係を築き、かつ最終的に移民に同意してもらわなければならない。
しかしそこにいくまでが困難であった。
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「まぁ普通は信用できないよな〜」
追い詰められたとは言え、いきなり現れた存在(異世界人)に宇宙の彼方に移民するための船を与えましょう
と言われてホイホイ信用するだろうか……答えは否だろう。
まぁあれだけ追い詰められていれば、多少は乗り気になってくれるだろうが、それでも彼らを説得するのは
一大事と彼は考えた
「それに生き残った国々で主導権争いが起こるのは間違いないからな……巻き込まれると面倒なことになる」
BETA大戦の中でも、激しい主導権争いをやらかした国々が、簡単に大人しくなるとは思えない。
何らかの形で、自国をより優位な立場にしようと画策するのは間違いない。
そしてその場合、移民船を供給する立場である耕平が巻き込まれるのは確定だった。
「こっちは善意でやっているのに、痛くもない腹を探られ、恨まれ、色々と物品を要求されるかも知れない
と思うと乗り気がしないな」
そうぼやくものの、耕平はこのままでは何も決まらないことに気付く。
「まぁ今のところ、こっちが取り得る方法は2つ。
『地球環境の回復並びに防衛線構築』または『人類の地球圏脱出』。
力技で推し進められて面倒なことがなくて済むのは前者だけど、新型工廠が買えなくなるのがネック。
後者はすでに存在するマクロス船団を流用できるからコストが少なくて済むけど、各国との折衝がネック。
さてさてどうするか?」
さてさてどうするか、と悩んでいると、パトロール艦隊から自軍の勢力圏に向かっている敵艦隊を発見した
との報告が寄せられる。
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「久しぶりの対戦相手か」
そう呟いたとき、艦隊旗艦アンドロメダに接近しつつある敵艦隊から通信が入る。
『久しぶりだな。《トリッパー》』
メインモニターに26世紀の宇宙戦争のときに活躍した某提督が映し出される。
勿論、それは対戦相手のプレイヤーが、このゲーム世界においている代理人だ。このゲームでは自身の分身を
好きな姿にできるので、誰もが好き勝手に容姿を設定している。
ちなみにトリッパーとは、耕平のゲーム世界でのネームだ。さすがに本名でゲームをするわけにも
いかない。
「《JP》か。お前も暇だな」
『お前に言われる筋合いはないと思うぞ。で、どうだ。久しぶりに一戦しないか?』
「今からか?」
『どうした? 何か立て込んでいるのか?』
「……ああ、ちょっとな」
少し言葉を濁す耕平。しかしここであることを思いついた。
「ちょっと聞きたいんだが、お前って環境技術に必要な工廠って持ってる?」
『いや、俺は持っていない』
「そうか……」
『だけど、俺の友人なら持っている。どうした、あんなマニアックな工廠が要るのか?』
「そ、そうなんだ。でもあれって高いだろ? だからどうするか悩んでたんだ」
『そうか。なら譲ってもらえるように俺が話してやろうか?』
「ありがとう、頼むよ」
『だけど引き換えに、この会戦に』
「判っているって。あと、そっちの艦隊と戦えるタイプの艦隊を用意するから」
かくして、耕平は環境技術工廠を手に入れた。
尤も引き換えに保有している艦隊のいくつかが甚大な損害を被ることになったが。
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未来人の多元世界見聞録 閑話『絶望の大地』
耕平が別次元の宇宙で大規模な艦隊決戦(ただしゲーム)を繰り広げている頃、マブラヴ世界の
地球では各地で絶望的な光景が広がっていた。
「純夏、純夏!!」
病院の一室で白銀武は、ベットに横たわる幼馴染の鑑純夏に必死に呼びかけた。
しかしながら彼女は苦しむばかりで、武の問いかけに答える余裕は無かった。
「先生、純夏は治るんですか?!」
彼は傍に居る医師に尋ねるが、医師は無情にも首を横に振る。
「今の状態では満足な医療はできない。精々、今の症状が悪化しないように手を打つだけで手一杯だ」
「そんな……」
ユーラシア大陸から流れてくる汚染された粉塵は、日本列島の自然環境だけでなく、そこに生きる
人々をも苦しめていた。
環境の著しい悪化によって、どこの病院も病人で満席、いやベットすら足りず、廊下に寝かされる
患者さえ居る。
それを考えればベットの上で治療を受けられる純夏はまだ幸運と言えただろう。
何しろ医薬品すら不足し、何の手当ても受けることが出来ず、苦しんで死ぬ人間さえ居るのだから。
「何で、何でこんなことに。折角、BETAがいなくなったって言うのに……畜生」
1998年1月1日に、全世界のハイヴがほぼ同時に消滅したとのニュースが世界を駆け巡ると
世界中の人々は狂喜した。これでBETAの恐怖に怯えなくて済む、そう考えれば無理も無かった。
勿論、喜んだ人間の中に武や純夏もいた。何しろ当時は次の戦場は日本列島と思われていたのだ。
日本帝国も学徒動員を推し進めており、世相は決して明るいものではなかった。
『本土決戦』が現実味を帯びてきたのだ。
故にその暗い将来図が取り除かれたときに彼らは歓喜した。一部の人間は神風が吹いたとまで言った。
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1999年以降、ユーラシア大陸各国の思惑の隔たりが明らかになり、国際情勢が緊迫していく
に連れて、さすがに浮ついた気分はなくなった。それでも、これから明るい未来が待っていると誰もが思った。
いや、思っていた。あの忌々しい『大崩壊』の日までは。
2004年6月12日。オルタネイティブ6の発動による月面総攻撃により、月は引き裂かれ、引き裂かれた
月の一部は崩壊しつつ、地球各地に降り注いだ。この日以降、人類はBETA大戦よりも遥かに厳しい戦いを
強要されている。
「米軍が余計なことさえしなければ……」
武の呟きは、日本人、いやアメリカ人以外の地球人類なら誰もが一度は呟いたものだった。
そして偶然にも武と同じ時間に、似たような言葉を吐いた人間がいた。それも帝都京都の中枢で。
「米軍が余計なことをしたおかげでこの様か!」
彼女の名は月詠真耶。
彼女は仕える主である煌武院悠陽の執務室に向かう中、窓の外の光景を見て歯を食いしばる。
現将軍・煌武院悠陽の忠臣である彼女は、国民が苦しむ姿を見て、心を痛める主君にかける言葉がなかった。
何しろどこをどうみても明るい要素などないのだから。
故にこの事態を引き起こした張本人たちに憎悪の念を抱いていた。故に彼女は忌々しく呟く。
「あのような者達を守らなければならないとは」
生き残った人々はこの危機を引き起こしたアメリカとアメリカ軍を憎悪した。帝都の大使館では投石騒ぎは
日常茶飯事となっている。帝国軍が警備をしていなければ、焼き討ちにあってもおかしくなかった。
尤も警備している軍人達さえ、本当はアメリカ人に対して憎悪を抱いているのだから、アメリカ人は生きた
心地がしなかった。
(オルタネイティブ7。あの計画が最後の頼みの綱か)
彼女は誰もが眉唾ものと思いながら、最後の希望をかける計画のことを思い出す。
(殿下も、オルタネイティブ7が成果を見せれば、多少は……)
淡い希望を抱きつつ、彼女は主君の待つ部屋に向かった。
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帝国本土が荒廃しつつある頃、北海道とその周辺地域では人類同士の戦いが起こっていた。
ソ連軍製戦術機の集団と帝国軍戦術機甲部隊があちこちで火花を散らしていた。
「カール3、フォックス3!!」
「カール4、フォックス2!!」
帝国軍戦術機甲部隊は統制された動きでソ連製戦術機を迎え撃つ。
「くそったれ、ロスケの盗人供が!!」
撃震のパイロットは突撃銃を撃ちながら、毒づく。
「陸続きになったからって、やりたい放題やりやがって!!」
大崩壊とそれに伴う気象変動で、地球は氷河期同然の状態となった。これによって北海道は樺太経由で
ユーラシア大陸と陸続きとなった。このため大陸の住人は船を使うことなく日本列島に来れるようになった。
そして目の前にいるソ連製戦術機は、大陸からの来訪者であった。ただし招かざる、歓迎できない客だが。
「毒づくのはその辺りにしろ!」
「判っている!」
2機の撃震は互いをフォローしつつ、ソ連製戦術機の群れに立ち向かう。彼らは搭乗機が旧式機でありながら
2機のMiG−21に加え、第二世代機であるMiG−29を1機撃墜する。
その傍らで、部隊を指揮しつつ、不知火を操って3機のSu−27を撃墜した女性が何かを確信したかのよう
に呟く。
「連中、最初に来ていた奴らと違って、まともに統制が取れていない。やはり……」
そんな中、彼女の部下によって1機のMiG−27が撃墜される。
この光景を見て、彼女、神宮寺まりもは断言するように言った。
「奴ら、満足に補給や訓練を受けていない」
大崩壊によって世界各国は大打撃を受けた。
世界の盟主であったアメリカは国土に多数の隕石が降り注ぎ半ば灰燼と帰し、現在はBETAによる侵攻と
異常気象によって混乱の真っ只中だった。市民の暴動、そして市民と難民の衝突も相次いでおり、国家体制は
崩壊寸前と言えた。
一方、かつてはアメリカのライバルであり、共産主義の総本山でもあったソ連は国家ごと崩壊した。
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ユーラシア大陸に落下した隕石は復興途上の都市を壊滅させ、さらにこの異常気象によってソ連首脳部が
いたアラスカは文字通り氷に閉ざされた。アメリカからの支援があれば何とかなっただろうが、そのアメリカも
他国の支援どころではなかった。
そして国民を養えなくなった国家の行き着く先はひとつ。崩壊だった。
ソビエト連邦は見るも無残に崩壊した。これまで支配されてきた民族は、次々に叛旗を翻した。
彼らはこれまで受けた屈辱を晴らすかのごとく、ソ連支配層やそれに従って甘い汁を吸っていた人間達に
攻撃を加えた。
勿論、支配層も反撃を行うが、すべてを押さえることはできなかった。何より産業、政府中枢であった
アラスカ自体が異常気象によって完全に氷に閉ざされてしまったのが痛かった。
食糧、資源の両方を絶たれた彼らは最終的に反乱軍によって蹂躙された。一部の人間は逃亡に成功したものの
大半のエリートは処刑されることになった。
しかし反乱軍の団結もそこまでであった。彼らは数少ない資源と食糧を巡って対立し、内ゲバに勤しんだ。
そしてその余波で、一部の旧ソ連軍が頻繁に北海道に押し寄せることになったのだ。
食糧や資源を求めて南下してくる彼らを迎え撃つのは帝国軍の仕事と化していた。
「落ち着いて対処すれば問題ない。連中はひよっこ同然だ」
半ば盗賊と貸した旧ソ連軍部隊を迎え撃つ仕事。相手は練度が低下している上、補給も途絶えがちなので
大した脅威ではないが、それでも気分が高揚するような仕事ではない。
かつて人類の未来のために、絶望的なBETAとの戦いに臨んでいた時のほうがまだ士気も高かっただろう。
(いつまでこんなことが続く?)
自問自答するまりもだったが、答えはでなかった。
激変した地球環境、そして再度現れたBETAを前に、今日も人類は絶望的な戦いを続けていた。
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まとめて見ると、結構長いですね。
試験的に書いてみた主人公最強(笑)SSなのに……。
それにしても改めて見ると原作ブレイクにもほどがあるような(汗)。
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イインダヨー、グリーンダヨー。
スレ立て乙です。
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全く問題なし、ドンドンキテ━ヽ(゜∀゜)/━♪
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乙でした。
面白いから問題ありませんw
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『提督たちの憂鬱』が進まないのに、何故かこちらの筆が進んでしまう(笑)。
まぁ駄文ですが、どうぞお付き合いください。短めですが妄想と勢いで突っ走る第7話です。
未来人の多元世界見聞録 第7話『未来人の対BETA戦略』
絶望的な戦いがマブラヴ世界で繰り広げられている頃……耕平は宿題に勤しんでいた。
「くそ……難しいな。やっぱり高校となると習う内容が」
といいつつ、PCを使って参考になる文献をネットで探す。
遥か昔から本は完全に電子化されており、ネットワーク上で閲覧することが可能だった。
お目当ての本を探し当てると、彼はすぐに画面上に開いて読み始めるが、すぐにため息をついた。
「31世紀ともなると習う内容が半端ないな。1000年前だったら、こんなの学生が習う内容じゃないぞ」
文明の著しい進化によって、子供が学校で習う内容は著しく高度なものとなっていた。
今の知識量でも、彼がマブラヴ世界に行けばすぐに天才科学者としてもてはやされること間違いなしだ。
そのことに気付いた耕平は、一瞬黙り込んだ後、気まずそうに呟く。
「……というか、この世界の技術情報を一部でも夕呼先生にでも渡しておけば、あの世界ってあんなことに
ならなかったんじゃね?」
耕平の額に少し冷や汗が流れた。
「……いやいや結局、あの2週目の武が来ない限りは理論完成しないから意味がないだろう」
そう言って彼は自分を納得させる。
「まぁアホなことを言ってないで、さっさと宿題済ませないとゲームの時間が減る。
折角、環境技術の工廠を入手したんだから、有効に使わないと」
相変わらず『リアル』優先思考の耕平だった。
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宿題を終えた耕平は、すぐにゲーム世界に直行すると環境技術工廠(ただしお古)を起動させて
地球環境再生に必要な物資の生産を開始させた。
「地球環境を再生するには、まず月を元に戻さないと……」
耕平は月を元の形状に修復するのと並行して、人工天体技術を使った引力、重力制御を行う予定であった。
G弾による重力異常も段階的に解消していくつもりだ。これにより月は元の状態に戻るはずだ。
この作業に必要な各種ユニットを生産するのが今のところ第一の目標だ。
「次は地球の海、大気と土壌をある程度もとに戻す」
次にテラフォーミング用のナノマシンをばら撒き、海や大気、そして土壌の浄化を行う。
これによって汚染された物質が地球を循環するという状況を改善できる。
さらに大気中に漂う塵などを取り除き、氷河期同然となっている地上表面に太陽の光が届くようにする。
「そして最後に破壊された自然環境の修復だな。まぁユーラシアはどうしようもないけど、他の地域の
ならまだ何とかなる」
ユーラシアはBETAによって綺麗さっぱり平地にされてしまい、環境が激変している。
これを元に戻すのはさすがに難しい。時間と金をかければ出来ないことはないかも知れないが、そこまで
やる必要性を耕平は感じなかった。
「あとはこの世界の人類で何とかしてもらおう」
これだけ至れり尽くせりでやるんだから、あとのことは知ったことじゃない……耕平はそう思った。
「俺は神様じゃないんだから」
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勿論、地球環境の再生に力を注ぐ一方で、耕平は人類を新たなBETAの脅威から守るための
準備も進めていた。
「最初の標的は火星だな」
地球人類が力を取り戻すにはかなりの時間が必要となる。その間に新たなハイヴを築かれたら
彼の苦労が水の泡となる。
そんな事態を避けるためには、火星の奪還は必要不可欠だった。
「火星を奪い返したら、順次、太陽系のほかの惑星をこちらの支配下に置く。
最終的には太陽系を中心とした3000光年の領域をBETAから奪い返しておけば問題ないだろう。
あとは太陽系外周部には防衛艦隊でも配備しておけば安全は確保できるだろうし」
さすがに銀河系全域のBETAを駆逐するのは耕平単独では難しい。
ゆえにある程度の領域の奪還にとどめることにしたのだ。しかしBETAには原作に出てこない未知の
種類がいる可能性が存在する。これに対応するために耕平はとんでもない手を打った。
「ジオイド弾の大量配備を急がないとな」
それは20世紀から21世紀にまたいで長く続いた超人を主人公にした漫画に出てきた兵器だ。
その兵器の特徴を一言で言えば『地球破壊爆弾』といったところだろう。
実際、数発で地球サイズの惑星を文字通り木っ端微塵にする破壊力がある。
耕平は超大型ミサイルとドリルミサイルでは対応できないようなBETAが住んでいる惑星が確認された
場合は、この兵器を容赦なく撃ち込むつもりだった。
波動砲の一斉発射をするというのも手だったが、BETA、又は珪素生命体が波動砲に対応したら面倒
なので、最後の最後まで切り札として温存するつもりだ。
「あとは派遣艦隊の編成だな。補給艦隊もつれていかないと。
……戦闘で戦術機の『せ』の字も出てこないが、あの膨大な数のBETAとわざわざ地上でガチ勝負を
してやる理由はないからな。というかあんな連中に細かく対応していたら幾ら時間があっても足りない」
こうして彼は物騒な準備を推し進めた。
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あとがき
介入が本格化する前の主人公の戦略立案のお話でした。
それにしてもマブラヴSSなのに、この主人公は地上戦をしようとしない……。
というかこの人、面倒な敵がでてきたら本当に恒星系ごと破壊しかねません。
原作が影も形もない(笑)。浪漫と金と余暇があったら主人公も地上戦に付き合ったのでしょうけど。
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片手間での介入故にざっくばらんな対応にw。
てめえ俺らの星なんだと思ってやがる!と抗議が来ないことを祈る。
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乙
確かに地上でうじゃついてるやつらより対処が簡単そう
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なんか、主人公がある意味、Rtypeの地球軍な思考になっちゃっている
ところでジオイド弾の元ネタって何ですか?
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超人ロックじゃないですかね
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この主人公、そのうちカルネアデス計画始めそうだ。
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また、アメリカがアホな事することがないように日本に贈り物(VFやMSなどの艦載機)して強化させた方がいいのかな?
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まだクーデターが起こってないから軍部が暴走しそうだし「兵器より食糧を!」
という政府筋との意見衝突が起こるでしょう。
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>>43
超人ロックの惑星破壊兵器
しかも量産が効く、運用が簡単と言う悪夢。
とある科学者がその思想の初手として作成した
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>それは20世紀から21世紀にまたいで長く続いた超人を主人公にした漫画に出てきた兵器だ。
それゲームの運営会社が倒産するフラグだ。
テスト後、準備が終えて戻ったら又何年経っているんだろうか?
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皆様、感想ありがとうございます。
ジオイド弾、というか超人ロックを知っている方が結構多くて驚きました。
まぁアワーズやフラッパーでも今掲載していますからね……。
あの2つの雑誌がつぶれないか心配です(笑)。
それでは、相変わらず妄想と勢いで進む第8話です。
拙作ですが、お付き合いしていただけたら幸いです。
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未来人の多元世界見聞録 第8話『状況開始』
「派遣艦隊出撃せよ!!」
耕平の命令と共に総数で400隻に迫る数の派遣艦隊が根拠地から出撃していく。
総旗艦アンドロメダ以外にエリス、アルテミス、しゅんらん、ネメシスのアンドロメダ級戦艦5隻に加え
主力戦艦40隻、巡洋艦90隻、駆逐艦150隻、戦闘空母16隻、潜宙艦40隻を中心とした打撃部隊に
加え、これらの打撃部隊を支えるための支援艦隊やデスラー戦法に使うためのデスラー艦も付き添っている。
打撃部隊だけでも太陽系を完全に破壊して余りある力を持っているのに、さらにこの艦隊は300発もの
ジオイド弾を搭載していた。
1惑星につき3発を撃ち込んだとしても、実に100個もの地球サイズの惑星を粉砕できるのだ。
マブラヴ世界の人間達からすれば、BETAよりも遥かに凶悪な存在であった。彼らの実力を知ったら
卒倒する人間がでるのは間違いない。
しかしそんな大艦隊を率いる人間は、焦っていた。
「拙いな。急がなければ……」
何しろムダに費やせる時間はなかった……そう、彼のリアルの事情から。
「今週のバイトのシフトが急に変わるって……そりゃないだろうよ」
アンドロメダの艦橋にある艦長席でそうぼやく耕平。
「バイト代を弾んでくれるのは良いが……もう少しゆっくり介入したかったな。
まぁ良い。ジオイド弾の定数は揃っている。それに北米もBETAの増殖が酷い。さっさと潰して回ろう。
環境修復用の機材は十分とは言えないけど、そうも言ってられない。生産と修復を同時並行するしかないか。
それに戦闘も地上のBETAの掃討程度ならAIに委任していても問題ないだろう」
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耕平は地球派遣艦隊旗艦『長門』との通信回線を開かせた。するとメインモニターに小柄のショートヘアの
女性型アンドロイドが司令官席に座っていた。彼女こそ地球派遣艦隊司令官に抜擢されたアンドロイドであった。
わざわざメインモニターに映像を回さなくても指令なら出せるのだが、こういったやり取りを重視する癖が耕平
にはあった。
「というわけで頼むぞ、長門中将」
『了解』
そう返事をしたのは21世紀の少しオタが入った人間なら誰もが知っている、どこぞのインターフェースの
宇宙人の少女(眼鏡非装備)であった。
プレイヤーの分身であるアンドロイドをデザインできるのだから、艦隊に配属できるアンドロイドを自分好みに
作れるのは当然だった。
ちなみに地球派遣艦隊は《長門》艦隊と耕平は呼んでいる。
「参謀長も、どうか頼む」
『了解しました』
そう返事をしたのは長い髪の少女だ。彼女のことを見れば誰もがこういうだろう。《朝倉》と。
2人の美少女が敬礼をした直後、通信回線は切られた。
「あの2人はやっぱり絵になる。戦場にも華がいるから作ったんだが、うん、正解だったな」
その気になれば2人を自分の傍にはべらせることもできるのだが、耕平はそんなことをするつもりはない。
「戦争ゲームで設計した美少女アンドロイドをはべらせるって……どんな痛い人間だよ」
前世は多少オタが入った人間であった耕平だが、さすがにハーレム願望はない。
というかむしろハーレムって世界征服と同じで、メリットあまり無いだろうと思っている現実的な人間だった。
「英雄、色を好むっていうけど、女性関係で破滅した男が如何に多かったことか」
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そう嘆息した後、彼はすぐに艦隊の指揮に戻る。
彼の直卒する第1艦隊は火星のBETA掃討後、順次他の太陽系の各惑星を制圧する予定だ。その後は
太陽系外に出撃する第2艦隊、第3艦隊、第7艦隊の後詰めとして太陽系内に待機することになっている。
長門艦隊は第1艦隊の分艦隊として地球に張り付いて、地上のBETAの掃討と月の修復に取り掛かる。
「まぁあの死に掛けの人類が何かできるとは思わないけど、アホな連中がG弾で特攻をかけてきたら
堪らないからな」
長門艦隊は新たなBETAの襲来に対する備えであるのと同時に、人類がこちらを敵性宇宙人と見做して
攻撃してきた場合に備えての護衛だった。
尤もあの世界の再突入駆逐艦くらいの船なら、戦艦どころか駆逐艦でも対応できるが……。
「排水量が5万トンを超える大型戦艦が宇宙に浮いていれば、アホなことを考える人間も減るだろう」
耕平は砲艦外交をこの世界の人類に仕掛けるつもりだった。
「さて、さっさと掃討に取り掛かるか。時間もないし」
そう言うと、彼は指揮する第1艦隊をさっさとマブラヴ世界の火星宙域に進出させた。
そして艦隊陣形を整え終わると、耕平は即座に前回どおりデスラー艦の前に超大型ミサイルを並べる。
こちらの動きに対して、BETAは何の反応も見せない。
「ルーチン作業、というか信長の野望とかHOI2のラストみたいな色塗り作業のような気がするが
始めるとしようか」
かくして火星のBETAは滅亡を宣告される。
「作戦開始」
その言葉と同時に、デスラー艦の瞬間物質位相装置によって多数の超大型ミサイルが次々と火星上空に
送り込まれた。
火星にいたBETAには光線属種がいなかったためか、超大型ミサイルは何の妨害も受けることなく
火星各地のハイヴに降り注いだ。
-
「まぁ火星には地球以上の数のBETAがいるけど……前(2話)の3倍の数の超大型ミサイルを
撃ち込めば掃討は可能だろう」
耕平は実に情け容赦なかった。
火星にいたBETAは、何が起きたかを知るまでも無く、いきなり現れ落下してきた大量破壊兵器に
よってまずモニュメントを吹き飛ばされた。
マーズゼロの重頭脳級が何が起きたのかを理解する間もないうちに、第二射の超大型ミサイルが瓦礫の山
とかした各地のハイヴに降り注ぐ。
続く爆発によって超高熱がハイヴの中を駆け巡り、中に居た無数のBETAを燃やし尽くしていく。
そして最深部に残された反応炉も、波動カートリッジ弾を内臓したドリルミサイルによって次々に
木っ端微塵にされていった。
マーズゼロを筆頭にして、大規模なハイヴが乱立していたはずの火星表面は瞬く間にBETAの死骸
と瓦礫の山によって埋め尽くされた。
「連中は何が起きたのかも判らないだろう。まぁそれこそ、こちらの狙いなんだけどね」
BETAがこちらの正体や戦術を知ったら、どんな手を打つか判らない。
まぁ所詮は資源採掘ユニットに過ぎないので、そこまで進化するとは思えないが、それでも手札は
隠したほうがよい。何事も用心に越したことはない
「さて火星の奪還は終了。あとは基地でも作っておくか」
こうして僅か12分で火星奪還作戦は終了した。
「そういえば、地球はどうなっているんだ? まぁたかが数個のハイヴだから大して手間は取らない
と思うけど」
耕平がそんなことを呟いている頃、地球周辺宙域にたどり着いた長門艦隊は、地球から宇宙に
向けて放たれた電波を受信していた。
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あとがき
というわけで長門&朝倉ペア登場です。
宇宙人でロボットといったら彼女達は外せません(笑)。
まぁオリジナルと違って、あんな怪物じみた能力はさすがに持っていませんが、常人よりかは
はるかに強いです。性格は原作準拠を考えています。
気が向いたら他のキャラも出してみるか……。
さて火星のBETAはわずか12分で全滅です……地球のBETAとあわせて20分しか掛かってない(爆)。
この主人公に対抗するには珪素生命体が登場するしかないか?
それではこの辺りで失礼します。
-
乙でした。
ああ、いい所で!
長門さんの交渉術は次回か…
どこと交渉するのかな?
-
乙〜
長門に朝倉w 何というか、交渉失敗の予感w
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>眼鏡非装備
なん・・だと!
-
>アホな連中がG弾で特攻をかけてきたら
もう地上のハイブに仕掛けていそうだが・・・。
-
この主人公、全く地球と交渉する気がないなあ。
交渉相手をロボットに丸投げで本人は地球の近所に近づく予定さえないとか。
だが、それがいい。
本人にとってなんの利益にもならないのに無駄に精神的な負担を味わいに行く必要はないよね。
-
先方が交渉を求めていることを知らないしね。
どうせこっちに好意的であるはずが無いから、一方的にやりたい事をやっちゃおうという発想で動いているし。
オルタ7が動いて、話し合いを求めていることが分かれば、相応のリアクションをとるかも。
-
仕事で失敗して、後始末に追われて精神的にヤバイ状態のearthです。
……まぁ何とかなりそうですが、もうボロボロです(涙)。
そんな状態なのに何故か書いてしまいました。
というわけで、勢いと妄想とその他もろもろの感情の赴くままに
書いた第9話をどうぞ。
-
未来人の多元世界見聞録 第9話『消去法的選択』
火星奪還作戦が開始される直前、地球派遣艦隊、通称《長門》艦隊の旗艦長門(主力戦艦)の艦橋では地球圏
の環境修復についての全権を委ねられた2人のアンドロイドがいかに効率的に環境を修復するかを馬鹿でかい
モニターが床の代わりにある作戦室で話し合っていた。
尤も見た目が可憐な少女2人が、不釣合いな軍服(長門は黒コート。朝倉は青コート)を着て色々と
小難しい話をしているのは違和感を拭えないが……。
床に映し出される月や地球周辺の映像や分析結果を見て彼女達は最善の道を探る。
「やはり月周辺の重力異常が問題」
「そうね。G弾で飽和攻撃なんてしてくれたから、月周辺の環境が滅茶苦茶。デブリも多いし。
おまけに何の因果かは知らないけど、重力異常の影響で、質量が減った月が何とか地球の回りを
回っているんだから、手がつけにくいったら無いわね。下手に質量を回復させると月が地球に落下するし」
原作のような超常の能力こそないものの、彼女達の演算能力は00ユニットに準ずる程度のものだった。
その彼女達からしても、今の地球圏の環境修復は面倒なものだった。
「でもこのまま放置することはできない」
「ええ。かなりデリケートな作業になるけど……全く(あの大将は面倒だからこっちに投げたんでしょうけど)」
「故に周辺宙域の安全確保は絶対不可欠。可能性はゼロに近いが、米国の残存部隊がG弾をこちらに
撃ってこないとも限らない」
「確かに重力異常の解消中にG弾なんて撃たれたら溜まったものじゃないわね。《伊勢》のコスモタイガーⅡを
早期警戒のために常に飛ばしておく必要があるか」
この意見に長門は頷く。
このあとも彼女達はあくまでも地球環境回復のことだけを議論し、BETAの話題は全くでなかった。
彼女達にとって地球のBETAとはその程度の存在、地上と地中を這いずり回る害獣でしかなかった。
まぁ宇宙空間で戦いを挑んでくるようなBETAが出てくれば彼女達も本気を出すだろうが……。
「さて、それでは到着次第、始めましょうか。地球環境修復作戦《オペレーション・グリーンピース》を」
-
準備を整えて地球圏に到着した長門艦隊だったが、彼らは作戦開始直前に地球から外宇宙に向けて放たれた
電波を受信する。
「発信源は?」
朝倉の問いかけに、オペレータのアンドロイドがきびきび答える。
「極東。日本列島です」
「内容は?」
「現在解読中です……でました。メインモニターに解析結果を出します」
メインモニターに映された結果を見て、朝倉は何とも言えない顔をする。
「……これって神頼みならぬ、宇宙人頼みって奴かしら?」
この感想に、艦長席(艦橋後ろ側の一段高い場所にある)の長門は頷く。
「ユニーク」
メインモニターに映し出された電波の内容は一言で言えば『地球人類は宇宙からの侵略者に滅ぼされかけている
ので助けてください』というものだった。まぁ他にも色々とあったが、端的に言えばそれに尽きる。
「むしろ滅びかけているのは、彼らの自業自得のような気がするけど」
これからG弾によって滅茶苦茶になった月を修復しなければならない朝倉は呆れた。
これはさすがの長門も否定できず、人類を擁護する言葉は出てこない。
「バカにつける薬が欲しいところね。尤も31世紀世界でもバカを治すのは不可能だけど」
31世紀でもさすがにバカを治す薬はない。発明されたらノーベル賞ものだが、人類はそこまで到達していない。
いくら知識や技術をもっても、バカはバカだった
-
朝倉は気分を切り換えて、これからどうするかを考える。
「問題はどうするか、ね。無視するっていうのも手だけど」
正直言って無視したいというのが本音だろう。実際、無視しても害はない。
どちらにせよ、彼女達は真っ先に北米のハイヴを潰して回る。これで人類の要求は満たしたことになる。
あとは地球環境を修復するだけだ。わざわざ面倒な交渉をする必要などない。
「………」
「どうしたの?」
長門が熟考する姿を見て、朝倉はまさかと思い尋ねる。
「もしかして彼らを助けるつもり?」
「……その選択肢は排除するべきではない」
「あんな愚かな連中を救う必要なんてあるのかしら?」
「総司令は、この世界の人類の滅亡は望んでいない。現状では環境の修復が終るまでに人類の文明が存続する
可能性は低い」
「……総司令、あの大将閣下の意思に沿うように動くと? でもあの人も人類と積極的に関わりたいとは
思っていないようだけど」
「だけどこちらの独断で無視することもできない。火星の総司令の指示を仰ぐべき」
長門の言葉を聞いて黙り込む朝倉。
しかし最終的に彼女は頷いた。
「わかったわ。火星の総旗艦に指示を仰ぎましょう」
「お願い」
「はいはい。私はあなたのバックアップだからね」
そう言いつつ朝倉は、地球上の様子をさらに細かく探らせ、その情報も旗艦アンドロメダに送った。
-
地球からSOS信号が放たれているとの報告を聞いて耕平は、どうするべきか悩んだ。
「どうするべきか?」
正直にいえば面倒。その一言に尽きる。
地球に生き残っている国など、耕平が少しその気になれば数分もかけることなく根こそぎ灰燼に帰すことが
できる程度の、ふけば飛ぶ程度の存在でしかない。
しかしそれはあくまでもまともに戦争した場合だ。ネゴシエーションのテーブルに立てば、どんな目に
あうか判らない。
(霞とかの第三計画の遺児がでてきたら面倒だしな。まぁ思考を根こそぎ読まれることはないだろうけど)
このゲームでは諜報戦というのも存在している。その中には俗に言う超能力を使ったものもある。
そして耕平はこの諜報戦に対応するために自軍のアンドロイドを改造していた。
どこぞのレベル7とか超人と言ったようなトンでもない能力を持つアンドロイドはさすがに保有して
いないが、リーディングをブロックする程度の能力は全てのアンドロイドが常備している。
(腹の探りあいなんて面倒なんだよな。面倒な人間付き合いなんてリアルだけで十分だ)
そうぼやくものの、最新の報告で寄せられた地球の現状を考慮すれば、人類文明の完全崩壊を
避けるためには現地への支援は必要だった。
耕平はいつまでもこの世界の人類の守護者を気取る気はない。さっさと国力を回復して自立して
もらいたいというのが本音だった。故に完全に見て見ぬ振りは現状では難しい。尤も今から救援した
からといってどこまで体制を再建できるかは微妙だったが。
「現地時間は西暦2005年6月8日。あの惨劇から1年。ソ連は事実上消滅。米国は崩壊寸前。
南米は北米大陸からの難民と食糧危機、経済危機で内乱状態。欧州は再建途中だったのが隕石ですべてオジャン。
アフリカは欧州再建のために一気に資本が流れたせいで経済が失速して民族紛争が多発してたところにあの
隕石で国家の大半が瓦解。一部は生き残っているけど、余裕は無し……」
眩暈がするほどの被害だった。
-
「バイトのシフト変更に対応するために早めに介入したけど……もっと早めに手を打つべきだったか?」
深い深いため息をつく耕平。さらに彼を憂鬱にさせたのは、この危機においても人類は争うばかりだった
ということだ。人類同士の戦いでは核兵器さえ使用されていた。
さすがにここまで仲が悪いとは耕平も思っていなかった。
大崩壊後、残った国々の大半は協力することなく争い続けた。おかげで本来は救えるはずの人間が大勢
犠牲になっていた。すでに地球の総人口は4億人前後に落ち込んでいる。
彼が何もしなければ、死人は加速度的に増えていき、あと1年ほどで人類は激変した地球環境とBETA
によって滅亡するだろう。
「しかしソ連が消滅で、欧州も崩壊か。TEとかユーロフロントとかって根こそぎぶち壊しだな。
あの姉妹とか七英雄とかってどうなっているんだろう? 碌なことにはなってないだろうな……。
まぁどうでもいいか。どうせ98年の段階でハイヴ掃討した時点で原作崩壊したんだし」
そういうと耕平は気分を切り換えた。本編はプレイしたが、外伝についてはあまり興味がなかった
彼にとって外伝キャラの生き死には重要ではなかった。
「オーストラリアは辛うじて持ち堪えているが、このままでは瓦解は避けられない。
統一中華や大東亜連合は絶賛戦争中……もう救いようが無いな。何か疲れてきた。
だが彼にとって興味深い報告もあった。
「日本帝国は軍閥化した旧ソ連軍と韓国、北朝鮮との戦争の真っ最中……。
しかし異星人に人類救援を求めるだけの余力があった、か。ふむ」
この世界の日本人の犠牲者も無視し得ない数になっているが、いまだに秩序を維持したままの
有力国家として辛うじて存続している。帝国を梃入れすれば、BETAとある程度は戦えるように
なる可能性はあった。
「皇帝、将軍、内閣という三重構造。統帥権の不透明さ。他にも色々と問題だらけだが止むを得ないのか?」
彼の呟きは、アンドロメダの艦橋に消えていった。
-
あとがき
拙作ですかお付き合いしていただきありがとうとざいました。
主人公決断の時です。もはや人類は自助努力で何とかできるレベルではなくなりました。
かといって積極的に接触するかは不明ですけど……まぁ何らかの支援はするかも。
主人公陣営の技術で魔改造された戦術機を出すのも面白そうですけど。
それにしても長門とか朝倉とかうまく書けただろうか?
勢いのままで書いているので、色々とぶっ飛んだ展開になっています。
原作ブレイクといっても限界ってものがあるだろうに(爆)。
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返答は2つに1つですね。「やたらめんどいし嫌だけどある程度はいいよ」か
「自業自得だろうが他力本願するんじゃない」か。後者の返答をしたら日本側も
ぐうの音も出ないが。
-
異星人相手の通信だから国中の学者をかき集めて意味が通じるような通信を頑張って作ったら
対応したのが日本名を名乗る見た目日本人の美少女二人で日本語が通じた
……ポルナレフの出番だな
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面倒を無くすのには「余計な手出しをするな」か「同志討ちを止めて帝国を中心に支援物資を配れ」と上から目線で要求を突き付けるだけで夕呼先生と接触しないのが一番かな?
又はガッハ=ガラガラを作って対BETA交渉用に渡すとか。夕呼先生が更にヤサグレるだろうけれど。
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まんま、対人類用インターフェイスとして作成されましたと名乗らせてでいいかも。
コンタクトを取るのならば、だけど。
交渉が面倒ならば、一方的な条件通達だけでもいいのか?
あるいは、対BETA用のバーサーカーマシンのごとく人類を無視してやることやってさよならでも。
マクロスの移民船から航行機能を削って二本の近場の海にでも降ろせば環境回復までの避難所ぐらいにはなるだろう。
ナデシコのチューリップが使えるのなら、チューリップを地上に降ろしてそこから戦力や物資を投入できるけど、相手はチューリップを通じてやってこようにもディストーションフィールドを張れなければやってこれないし。
まあ、主人公の使えるユニット次第で取れる対応も変わるんだろうけど。
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もうSS部屋に置かれては?
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>>73
また、途中でenterを・・・orz
もうSS部屋に置かれては?
結構面白いですし、更新を楽しみにしている人もいそうですし。
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戦闘行為を止めたところから支援を開始すると通達して、
戦争してない地域や、防衛してるだけの国家に
一方的に宇宙から支援物資を投下するだけでいい気がする
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>皇帝、将軍、内閣という三重構造
って言いますけど、本編じゃ皇帝なんて名前しか出てませんからね
事実上の立憲君主で将軍、内閣の二重構造では
>どうするか
ぶっちゃけこれだけダメな状態なら一方的な命令を与えるだけでいいんじゃないかな
変な事をしたら叩くというペットの躾みたいな感じでさ
逆らう奴らに地獄を見せれば当分の間は大丈夫でしょ
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確かに二人にインターフェイス発言させて自分はノータッチの方が楽だよね
バイトも学業もあるんだから、本人はリアル優先じゃないといかん
それと、BETAから助けて地球環境と月を直してやってもいいが、お前らその後のビジョンあるの?
今回の危機も実際は自業自得だよね? 目先のことだけクレクレ言ってたら何度でも繰り返すよね?
くらいは聞くのも面白そうだがw
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環境を変えたり、月を修復したり、圧倒的な力で介入するけど、細かい交渉
はやらないってなんだかシムアースみたいな感じだな
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「コスモクリーナーあげるんで自分でなんとかしてください」だと一瞬でオワル
だが読者としては終わってほしくはないw
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世界が滅茶苦茶になってしまったから政治家の特に外交筋が大幅縮小されそうですね。
代わりに軍部が増強されて将軍蔑ろになってしまうかも。
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主人公側の交渉カード。
主人公側は交渉が決裂してもかまわない、地球側は絶対に交渉を成立させなければならない、
圧倒的な軍事力、地球と月の環境を回復させることが可能な科学力。
こんだけあったら地球側が多少駆け引きうまくてもなにも主張できんでしょう。
気に入らない内容で決まりそうだったら席立てばいいんだし。
問題は地球側にどんな要求を飲ませるか。……交渉する必要ないような気が(汗)
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端的に言って
「こっちがお前達の不始末をどうにかしてやる間おとなしくしてろ、何もするな!」
位しか要請することが無いというw
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個人としては、欲しいものが何一つ無いからなw
ただ、きちんと自助努力で復興繁栄してくれんとまた手間取らされて学業とバイトとゲームに差し支えるから(笑)
その辺の青写真きっちり描かせないと話にならん
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環境を回復するにしてもどこからするかで争いになりそう
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いっそ、先生を代表者にして、細かい調整を丸投げするのもいいかもしれん。
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いっそ旧式の宇宙船でも日本に落着させて丸投げすればw
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うわ。書きこむ前に更新しなかったから変にかぶってる
-
いっそ助ける国か民族ひとつ決めて、あとは見捨てるかジェノサイド。
平和とは争いがないことを指すのですよ……フフフ……
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表向きはオルタ7,あるいは8ってことにしてまず試験的に帝国を再生、その成果を盾に
他国に対して譲歩やら切り崩しやらをするって手もない訳じゃないが……
この世界の人類国家、自業自得に定評があるからなあw
いっそ強権的に上から頭押さえ込んだ方がマシかもしれん
-
いっそ民間害虫駆除業者だと主張して、交渉や支援は管轄外だと主張する手も。
「当社は害虫駆除の業務許可しかないので、それ以外の行為は触法行為になってしまいます。
・・・不要資材等を現地にて廃棄する、という名目で地上に投下しますので、それで何とかしてください」
「支援の要請等に関しては政府関係機関に書類を提出してください。この近所だと、さんかく座銀河に出張所があります。
なお、書類の提出に関しては、自力でそこまで行くことが、提出資格になっておりますので、他者が代行することはできません」
「当社は環境に配慮した害虫駆除を行っているのですが、同業他社の中には
手っ取り早く恒星系ごと爆破しているような業者も居るんですよ。そちらの方が早くて安くて確実ですし」
とか。
-
一定期間、開発独裁かまして後は知りませんでよくない?
-
それだと気が向いたときに覗いたら、リアルがデスマーチで放置してた水槽の熱帯魚みたいに共食いで全滅してそうw
-
まぁそれはそれで彼らの選択ってことでw
熱帯魚と違って知性があるわけだしw
-
ストーリーの先読みとか、自分の考えたこれからの展開とかはマナー違反だと思うぞ?
作者の人が続きを書きにくくなって、最悪打ち切りになることもあるし、
そういうのは自分の中だけで考えて、ここに書くべきではないと私は思うな。
-
>>94
作者が嫌だと言わん限り、そんなマナーは無いぞ?
イヤだという人も多いが、同じぐらい展開予想や考察を歓迎する人も多いしな。
-
あー作者が嫌だと思う可能性がある限り、明言されていない場所では自重したほうがいいのか
すまんかった
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>>1の二次創作というカテゴリーには俺展開も含まれると思うが…
-
わざわざ「やれ」というのは、作者側からは言いにくいだろう。
盛り上がっているところで、「やめろ」というのも、同じように言いにくいだろうとも思うが。
結局、空気を読みながら、作者がどちらを望んでいるか探っていくしかないんじゃね?
今までの対応を見る限り、それを嫌っている可能性はゼロに等しいとしか考えられんがな。
わざわざ考察用の掲示板を用意するような人なんだし。
俺ルールを押し付けるのはやめた方がいい。
-
そこらの裁量は個人に任せるしかないけどな
俺はリクスを回避したいから、これからはやめとくよ
-
色々と忙しくてグロッキーな状態ですが、何故か書けてしまう不思議(爆)。
提督たちの憂鬱も完成率30%で、何とか2月中には載せれそうです。
精神的に参っているはずなのに、何故だろうか?
それではノリと勢いと妄想と、その他もろもろの感情のままで突っ走る
第10話です。
-
未来人の多元世界見聞録 第10話『決断』
気が進まないな、と言わんばかりのため息をつきながら耕平は決断する。
「……止むを得ないが、残った国々を、特にまだ力を残している日本帝国を支援するしかないか。
このまま放置して全滅したら堪ったものじゃない」
さすがにここで人類が全滅したら夢見が悪すぎる。それに曲がりなりにも前世でお気に入りの
ゲームに似た世界を破滅させるのは気が進まない。
あいとゆうきのおとぎばなしを最初にぶち壊しにしたのは、他ならぬ自分なのだ。自分がやった
ことは最後まで責任を持たなければならない。
「最低でも人類が立ち直る、いや、立ち直る目処がたつまでは支援するしかないな」
そう決断すると、耕平は地球圏の人類を救出するにはどの程度の物資が必要かを算出するように
参謀のアンドロイドや工廠のAIに命じた。
「どの程度の物資が必要になることやら……手持ちの生産力で不足ならサニーフラワーや
スリースターでも量産するしかないか」
サニーフラワー、スリースターはともに『マクロス7』に出てきた艦であり、前者が食糧生産艦、
後者が工業施設が集約されたコンビナート艦だ。
マクロス7船団を支えるために相応の生産力を持っている艦であるが、かなりの巨体であり
量産にはそれなりの手間が掛かった。
まぁ全長が5キロ近くあるこの2艦を量産するという時点で、マブラヴ世界の人類からすれば
とんでもない話であったが。
自身が考えている艦隊整備計画が大幅に遅滞しそうだな、とぼやきながらも、耕平は戦艦長門との
通信回線を開かせた。
するとすぐにメインモニターに長門の姿が映る。
-
「長門中将、君を全権大使に任命する。帝国との交渉に当たってくれ」
『了解。交渉の目的は?』
「まずは最低限の交渉の窓口を確保してくれ。その後、地球並びに月の環境修復、BETAの駆逐と困窮する人類へ
支援を行う用意があると伝えてくれ」
『了解した。しかし、こちら側から名乗る以上、名前が必要になるのでは?』
「名前か……」
長門の言葉に耕平は黙った。何しろゲーム内で、自軍の名前など決めていなかったのだ。
周辺からはプレイヤーである耕平のネームであるトリッパーから、《トリッパー軍》と呼ばれて
いるが、それを名乗るのは憚れた。
それに通信内容を見る限り、彼らはこちらのことを異星人と考えている。ここで並行世界の31世紀の
地球人類、それも学生ですなんて名乗っても、向こう側が混乱するだけではないかと思われた。
しかし丸っきり嘘をいうのも気が進まないし、ばれた時が怖い。何より嘘を言うときにはある程度真実を
混ぜていたほうがよいのだ。
(……適当な名前はないだろうか?)
暫く黙り込んだ後、彼は決めた。
「……私設軍隊、《黒旗軍》とでも名乗っておこう。少なくとも、この艦隊は俺の私費(小遣い)で
揃えた物だから嘘は言っていない。今後はそれで統一する」
宇宙の彼方(正確には異世界)にある物好きが私費で揃えた軍隊。正直言って無理がある設定だが
少なくとも並行世界の学生が小遣いでゲームのために揃えた艦隊なんていうよりかはまだ説得力があった。
それに何より嘘は言っていない。ただ伝えていないことが多々あるだけだ。
「あと、人型アンドロイドは異星人が人類と交流を行うために作成した対人類用インターフェースと
名乗ってくれ。これで窓口は君達に集約できるはずだ」
『了解した』
-
必要な指示を出し終わった後、耕平はため息をついた。
「本当は接触なんてしたくなかったんだが……」
現在の絶望的状況下で何もしないという選択肢はなかった。それに地球を復興させるだけの意思
と力があること、そしてそれを成せる勢力が人類に対して友好的であることを示さなければ、地球側は
疑心暗鬼になるかも知れない……耕平はそう判断した。
(姿を見せると、見せないでは、信頼感に大きな隔たりがあるからな)
それに人類に対して友好的な異星人がいて、それが実際に地上に使者を派遣したとなれば政府だけで
なく国民にも安心感を与えることが出来る。
この絶望しかない状況下で、何かしらの希望を人に与えることは重要であった。
尤も彼自身がそれをするのは難しい。何しろ彼にはリアルの事情があった。いつもこのゲームをやって
いるわけではないのだ。
まぁ交渉ごとが面倒というのもあったため、彼は面倒なことをすべてアンドロイドに丸投げした。
(交渉については彼女達に任せよう。これだけ圧倒的な状況なら、多少はごり押しできる。
それに……それで恨まれるのも、俺じゃないし。
恐らく朝倉あたりは不満たらたらだろうな……まぁそんな人格に設定したのは俺だけど)
戦艦長門の艦橋で不満を漏らしている朝倉の姿を思い浮かべて、耕平は苦笑する。
「さて、地球圏の復興はあの2人に押し付けておいて、俺はBETAの駆逐に集中するか。
今のところはジオイド弾を使うまでもないが、いつまでそれが続くか判らないからな」
太陽系外に進出した第2、第3、第7艦隊はBETAのいる惑星を見つけては攻撃を開始していた。
すでに3つの惑星を奪還することに成功している。
しかしこの快進撃もいつまで続くかわからない。宇宙空間での大規模戦闘を考慮したタイプのBETAが
現れれば面倒なことになる。
「イザとなれば、さらに強力なユニットを作ってぶつける必要があるな」
-
一方、対応を事実上丸投げされた長門と朝倉は、早速、日本帝国に返事を出していた。
「やれやれ、あの大将閣下は私達にすべての面倒ごとを丸投げするみたいね」
朝倉はため息をつきながら不満を漏らす。
月や地球環境の修復だけでも面倒なのに、さらに対人類の交渉をしなければならないのだ。感情をもって
いるならば、多少なりともウンザリするだろう。
「仕方ない。我々の存在意義は総司令の命令を遂行すること」
長門の言葉に、朝倉は「はいはい」と言ってぼやくのを止める。
「さて、人類はどんな反応を示すかしら?」
彼女はそう言うと、メインモニターに映されている地球に視線を向けた。
「大騒ぎになっていそうな気もするけど」
朝倉の言うとおり、宇宙から返事が返ってきたとの情報は、瞬く間に帝国中枢を混乱に陥れていた。
帝都では将軍をはじめ、主だった内閣の閣僚が集まって、どのように対処するかで揉めていた。
「あちら側は交渉の場を持ちたいと言っているのだ。すぐに来てもらえばいい」
「だがこれが偽装でないと言い切れん! BETAの同類だったらどうする気だ?!」
「それに北米のBETAを駆逐するとなればアメリカも混ぜて協議する必要がある。彼の国はソ連のように
政府が瓦解したわけではない!!」
「そんなことを言っている場合か?! このままでは来年にはBETAがユーラシアにやってくるぞ!!」
「この事態を招いたのはアメリカなのだ。連中のことなど聞いてやる必要はない!!」
藁にもすがる思いでオルタネイティブ7を実行した彼らであったが、実際に異星人からコンタクト、
それも日本語で行われたとなると混乱するのは仕方なかった。
しかし混乱すればするほど、それだけ黄金よりも貴重な時間が浪費される。それが判らないほど
彼らは無能ではない。
「いきなり彼らを京都に迎えるのは難しい。だがあまり無碍な扱いもできない。
彼らには一度、横浜に来てもらい、そこで会見するというのはどうだろうか?」
最終的に閣僚の一人の意見が採用されることになる。
かくして日本帝国と《黒旗軍》との会見が行われることになる。
本来は、あいとゆうきのおとぎばなしの舞台であった横浜の地で。
-
あとがき
というわけで第10話です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回で、長門、朝倉(もしくはどちらか一方)が交渉のために横浜にやってきます。
一方の主人公は地球に近寄る気配すらない……果たしてお前は主人公なのかと小一時間(笑)。
それにしてもこの話で、武は戦術機に乗ることがあるのだろうか……。
-
黒旗軍、ブラックフラッグフォースなんてまたマイナーな名前を、銀英伝かよ
-
最後の[京都に来られると怖いから横浜で]って発言が小役人っぽいw
地球人を滅ぼす気なら、とっくに滅ぼしてるって気付いてないのかな?
いまさら騙し撃ちしなくても、1年後には全滅しそうなのにw
-
かつて白人が北南米大陸の先住民を蹂躙したときとは比べものにならない、一方的に地球側が殲滅されるほどの
技術格差があるのはわかりきってるんだから、偽装とかBETAの同類かもとかいう発言がものすごいバカに見える。
相手がBETAの同類なら対話なんかせずに人類をさくっと滅ぼしてるだろうにw
-
>>100
>>色々と忙しくてグロッキーな状態ですが、何故か書けてしまう不思議(爆)。
それはテストが近づくと部屋の中が綺麗になってゆく現象と同じです
-
代理人として人形を、しかも10代の女の子の外見のものを送りこまれたら、
下手すると気分を悪くしそうな気もするなぁ。
「この外見は、この国の人間の趣味嗜好における、
『好感を持てる人型』をベースに統計学的に形作ったもので、他意は無い」
とかいってみるか?
どうしても本人が濃いと言われたら、
無駄にタイムスケールの誤差を前面に出したりすると面白いかも。
「上位者に直接の対談を申請……
許可が下りた。 すぐに席を設けると言っている」
−すぐとはどの程度か?
「この星の時間で3公転周期前後、誤差は0.3%以内」
-
まあ、地球側としては自分たちには相手に色々企んで貰える程度の価値があると思いたいんだろう
前回の八分で、お前らの意志なんて基本どうでも良いしどうとでもなるって見せつけられているとしても
-
>>110
日本のトップも女の子だ、文句は言えまいw
-
この手の作品ではよくある事としかw
あの世界は絶望的な消耗戦が続いたせいで、男性の人口が減ってますし、
第二次大戦以前に送り込むなら兎も角、
不自然では無いかもですね。
-
この世界の記録映像の中で大多数を占めるユニットをもとに、私たちの外見は設計
されたとか言えば異星人ぽいな
-
なんだかアナキストみたいな名前だな黒旗って
-
最初はこの星から出された電波を参考にする案があったとかで
映画コンタクト見たいにナチスの電波映像をバックに元にヒトラー姿になる案もあった。とか出来そうだな
-
むしろシリウスからやってきて地球を再起不能にしそうな名前だ
-
>>117
おれも同じこと思った
-
>>117
元ネタの分かる人が何人いる?と思っていたが結構いるもんだね銀英伝って・・・
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まぁ、日本で一番売れているスペースオペラだしなぁ、むしれ流星旗軍の方が…
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え、黒旗軍ってベトナムをフランスが植民地にしようと
戦争したときに出た中国人が率いた軍のことなのでは…?
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主人公からして多分銀英伝からじゃないか?
史実の方はあんま有名じゃないと思うし
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