[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
SS修正・改訂・追加用スレッド
1
:
とくめー
◆kQ3xyEet9c
:2007/02/11(日) 09:24:45
保管庫収録作の修正・改訂・追加要請用のスレッドです。
誤字の修正から全面的な書き換えまで、こちらで承ります。
目次のリンク切れなど、とくめー側に起因するミスの修正は、
「保管庫管理人へ連絡」のスレッドにお願いします。
161
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:06:07 ID:IfPfqXj60
%%%%% テレ朝系列アニメ『宇宙超人アカネイザー』 %%%%%
無限に広がる大宇宙。
そこには、遥か彼方悠久の時を超え、激しく戦う二つの勢力があった!
かたや、邪悪な意思で宇宙を支配せんとする『ディスイーター』、かたや正義の意志で星々を護り抜く『ディノソルジャー』。
二つの勢力の争いは終わる兆しを見せることなく、今も戦い続けているのだ!
前回までのアカネイザーは!?
ディノソルジャーの新米兵士アカネイザーは、強力なエネルギー源『マスタースパーク』を輸送する任務を受けた。本体が敵をひきつけ注意をそらせているうちに、ノーマークの新人に
輸送させようという大胆な作戦だ。
しかし彼女は輸送中、自身のオッチョコチョイからそれを落としてしまう!
マスタースパークは、宇宙辺境の太陽系第三惑星地球に落下、原住民である六歳の少年、花村エイジの身体に融合してしまった。
エイジの肉体と完全に融合したマスタースパークは、彼が自然な寿命で息を引き取るまでは剥離できない。
マスタースパークを捜索するディスイータにエイジが見つかれば、彼らの手によってエイジの命は絶たれ、マスタースパークも永久に失われてしまうのだ!
責任を感じたアカネイザーは、地球人『倉沢茜』へと姿を変え、幼い頃からエイジ少年のそばで彼を見守っていたのだ。
そしてとうとう、ディスイーターの尖兵が地球に目を付けた。
戦え、アカネイザー!
地球を、宇宙を護ってくれ!
「エイジに手を出す奴は、あたしが許さない!!」
162
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:06:38 ID:IfPfqXj60
・アカネイザーの超戦力ひみつしょうかい!
アカネイザーは、普段は地球人の女の子『倉沢茜』の姿をしているが、悪の軍団『ディスイーター』を倒すために、ディノソルジャーの女戦士にプログレスチェンジするぞ!
真っ赤なバトルプロテクターを装着した、スーパーパワーの超戦士だ!
最初は、人間と同じくらいの大きさだけど、ディスイーターの巨大破壊兵と闘うために、ティラノザウルス型の巨大ロボットとビッグバン・プログレスフュージョンして、
巨大アカネイザーとなって闘うんだ!
アカネイザーの必殺技は、ディノクラッシャー! 超振動パワーが加わったすごい威力のパンチで、都合の悪い問題を拳で解決できるんだ!
アカネイザー流星キックは、すごく高い場所から急降下して相手にキックする技で、その威力は工場の壁だってぶちこわしてしまうんだ!
アカネイザーボルテックは、体内にためた電気エネルギーを放出する技だ!
アカネイザー・アイは、どんな雑踏のなかでも一目でエイジくんを見つけだすことができるんだ!
ディノティランは、ティラノザウルス型のロボットで、アカネイザーの命令で動くサポートロボットだ。全長は50メートルで、すごく大きいぞ。
そして、アカネイザーのビッグバンプログレスフュージョンで、女性型の巨大ロボット、巨大アカネイザーに変形するぞ!
ディノティランには『時間凍結能力』があって、自分と闘う相手以外は時間が止まった特殊な空間を作り出すことができるんだ。僕たちの町もすべての時間が止まってしまうから、
たとえ巨大破壊兵が町を壊そうとしても、絶対傷つけることができないんだ。
巨大アカネイザーの必殺技は、必殺剣グランスラッシャーで敵をまっぷたつにする『アカネイザー・グラン空竹割り』だ!
これからもアカネイザーは、がんばって地球の平和を守るから、みんなも応援よろしくね!
163
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:07:21 ID:IfPfqXj60
アカネイザー第13話『出た!謎の女忍者!?』
人々が寝静まった夜の街、そこに怪しく蠢く、影があった。
「このあたりに、マスタースパークの反応がある。」
うっすらと届いた月明かりの元、わずかに形を見せるその影は、一つの黒い、岩石だった。
しかしその岩石は、見る見る形を変えていく。岩の身体が、まるでパズルのように組み変わり、人型の塊となった。岩の鎧を身に纏ったロボットである。
「まさか本当に、こんな辺鄙な星に隠されていたとはな・・・。」
その岩石ロボットの、顔に当たる部分、口に当たる器官がもぞもぞと動き、声に似た振動を発する。その振動は知的生命体が聞けば直接脳に働きかけ、意思を伝える言葉になる。いわば、
宇宙共通の言語である。
宇宙。
そう、この岩石ロボットは宇宙からやってきたのだ。
「俺たちがマスタースパークを確保すれば、ディスイーター本隊の幹部だって夢じゃない。こんな辺境担当の下っ端生活ともおさらばできるぜ。」
彼の名はデビロック。宇宙を悪に染めんとする集団『ディスイーター』の一員だ。
彼らディスイーターは、宇宙を破壊と混沌で覆う悪の集団だ。本来は、別の宙域で活動していたのだが、その一部が先遣隊として、我らの銀河系にも進出してきているのだ。
本来、ディスイーターの戦いは星を滅ぼす殲滅戦だ。先遣隊とはいえ、まだ宇宙的に未熟な惑星である地球程度であれば、彼らだけでも滅ぼすことが可能なのだ。
しかし、今の彼らはそれをしない。もちろんそれには理由がある。
宇宙創造のビッグバン、それを起こすほどのエネルギーを秘めた、『マスタースパーク』と呼ばれる物質がある。とある理由により、その物質が、この惑星に存在するらしい。
もし、いつもの調子であっさりこの惑星を破壊してしまえば、脆弱な地球人の肉体に融合したと思われるマスタースパークは、その肉体と共に失われてしまう。彼らはそれを危惧し、
大規模な破壊活動を行う前にマスタースパークと融合した地球人を確保しようとしているのだ。
「さて、じゃあさっさとマスタースパークを探し出そうかね。」
デビロックが呟いて、頑丈そうな体を動かしたとき、星もまばらな夜空に、きらりと輝くひとつの流星があった。
否、それは流星にあらず。
「アカネイザーりゅーーーーせーーー、キーーーーーーーック!!」
それは、深紅のバトルプロテクタに身を包んだ女戦士!
その名は、アカネ・・・・・・っと、すでに名乗ってるな。
アカネイザー流星キック、それは彼女必殺の、高高度から急降下したついでに放つ、すごい威力のキックだった。
ずがーーーーん! とあたりを騒がすものすごい音。アカネイザーが着地した場所にあった廃工場の壁が派手に破壊された。
「うおおっ!」
デビロックは驚いたものの、これといったダメージは受けていない。
まぁ、当たってないからね、キック。
「アカネイザーだと? キサマ、『ディノソルジャー』の戦士か!?」
「・・・フフフ、あたしの名前を知っているとは、よく調べているということか、さすがね、・・・いや、あたしが有名すぎるだけか。」
技の名前に思いっきり、自分の名前を付けてたからな。
164
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:07:49 ID:IfPfqXj60
「あたしはディノソルジャーの戦士、アカネイザー!」
ここで名乗りポーズを決めるアカネイザー。たとえ相手が自分の名前を知っていようとも、これだけはきっちりやっておかないといけない。
スポンサーが怒るからだ。
「『ディノティラン』、聞いてる? 急いで『時間凍結』して!」
アカネイザーが、ヘッドセットに装備された通信機で、母艦『ディノティラン』の制御コンピューターに指令を送る。
『時間凍結』とは、戦闘の場である地球の町を破壊しないために、時間を止めた特殊フィールドを生成する機能だ。これにより、アカネイザーは人々を戦いに巻き込まず、
人知れず戦うことが出来るのだ。
『リョウカイ、時間凍結プロセス開始シマス』
宇宙母艦ディノティランの声とともに、周囲の時間が止まった。アカネイザーとデビロック、そしてディノティランに選別された大気構成物質などのいくつかの例外を除いて、
原子の活動が固定される。
ここは、時間の止まった異次元のようなものだ。
「これで、町を壊す心配がない。気兼ねなくアンタと戦えるってものよ!」
「アカネイザー、グラン空竹割り!!」
母艦ディノティランと融合したスーパーロボット、巨大アカネイザーの必殺剣技が決まった。
巨大化して戦っていたデビロックが、頭から縦に一閃、まっぷたつになってから爆散した。
戦いが終わり、『時間凍結』が解除された世界は、もちろん巨大ロボットたちの戦った痕跡など残ってはいない。いつもと変わらない、平和な世界だ。
アカネイザーは、ひとつの戦いが終わり、宇宙の超エネルギー『マスタースパーク』を守り切れたことに、肩の力を抜いて安堵した。
「エイジに手を出す奴は、あたしが許さないんだから。」
もとい、超エネとかはどーでもいい感じか?
すでにこの宇宙の戦士、自分の使命が本来のものからすり替わっているようである。
それはともかく、一段落したと思われる彼女の、戦い終わって気の抜けた瞬間の独り言、その言葉を聞き留める者がいた。
「ククク・・・、その『エイジ』という地球人に、マスタースパークが隠されているのだな?」
廃工場の破壊された外壁、その陰から現れた影は、歩みを進めてその姿を月光にさらした。
全身を銀の骨と青い水晶の鎧で包んだ、ディスイーターの戦士だ。おそらくは先ほどのデビロック同様、何か別の姿に変形できる性質のロボット生命体なのだろう。
「はじめましてアカネイザー。俺の名はディスイーターの戦士、シャドーティラノだ。」
名乗った戦士は、見るからにパワフルで、戦闘終了直後のアカネイザーに対して余裕たっぷりの笑みを浮かべている。
おそらくは先ほどアカネイザーが倒したデビロックよりも上位の存在だろう、間違いなく強い。
「デビロックがやられたのは残念だが、おかげで良い情報が手に入った。
あとはその『エイジ』とやらを探すだけだからな、キサマにはここで死んでもらおう。」
そういってシャドーティラノが、すらりと抜いた長剣の切っ先を向ける。
それに対し、切っ先に睨みを向けたアカネイザーが、シャドーティラノに向かってまっすぐに、掌を向けた。
「ちょっとタンマ。」
165
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:08:15 ID:IfPfqXj60
少しの間、頭を捻ったあと。
「『エイジ』ってのは、『嬰児(えいじ)』つまり赤ちゃんのことよ。
あたしが言ったのは、可愛い赤ちゃんに手を出したらアカネイザーが懲らしめちゃうぞ、って意味なの。
間違っても男子高校生のエイジのことじゃないからね!?」
・・・・・。
「・・・・・つまり、男子高校生の『エイジ』くんを探せばいいわけだな?」
「ち、ちょっとタンマ!
えーと、その、なんだ、『エイジ』ってのは『age』つまり英語で言う『年齢』のことよ。
高校生ってナイスなエイジだよねー、って意味なの!
高校生なんて全世界津々浦々にいるじゃない、探すの大変だよ?」
「なるほど、このあたりに住む男子高校生のエイジくんだな。」
「ちょっとタンマタンマ!!」
アカネイザーは、これ以上まだ敵に情報を与えるつもりなのか。
深紅のバトルプロテクタ、そのヘルメットの下にある少女の顔には、思いっきり焦りの表情、ダラダラと流れる脂汗。
どうやら、彼女の語彙では他に誤魔化す『エイジ』な単語が思い浮かばないらしい。
(えーと、『英字』? アルファベットがどーたらこーたら、・・・うあー! やばい、誤魔化しきれない!?)
アカネイザー、ピンチ!
少女の瞳、その瞳孔がぐるぐるとおかしな渦巻きになって、いよいよテンパってきた。
「・・・・・・そーだ、そうだよ、アンタをぶっ殺しちゃえばいいんだ・・・・・・。」
深紅のヘルメット、その黒いバイザーの下に、ギラリ、と光る電光の瞳。
「何でこんな簡単なこと思いつかなかったんだろ。
あたし、すっかり平和主義者になってたみたい。」
そしてアカネイザー、握った拳が、キン、と甲高い音を立てた。
出るか!? アカネイザー必殺の超振動パンチ!!
『スイマセン、盛リ上ガッテキタトコロデスガ、時間切レデス。』
と、アカネイザーのヘッドセットにそのような、母艦ディノティランAIからの通信が入った。
瞬間、アカネイザーを包んでいた深紅のバトルプロテクタが消滅し、全く無防備な姿の少女が現れた。
おそらくは眠っているところ駆けつけたのであろう、年頃らしいパジャマ姿の、倉沢茜さんである。
「げ、やば。」
茜の、血の気が引いた。
アカネイザー、大ピンチ!!
166
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:08:47 ID:IfPfqXj60
「ふん、残念だったな。」
シャドーティラノが冷酷に、剣を振りかぶった。
そして振り下ろされる、鋭利な一閃。
ただの少女である茜には防ぎようがない!
アカネイザー、きみは道半ば(だいたい3ヶ月、1クールほど)でその命、費えてしまうのか!?
もしかしてこれが、大人の事情による主人公交代なのか!?
「死ねぇーーーー!!」
ズバッ!!
振り下ろされたシャドーティラノの剣、しかし彼には、全く手応えが伝わらない。
「誰だ!?」
彼が誰何する。
間違いなく少女の命を絶っていたものを、どこかの誰かが邪魔をした。
彼の剣が切った場所、そこに倉沢茜の姿はなかった。
あたりを探るシャドーティラノ、その彼の耳が、小さなつぶやきの声を捕らえた。
「忍法、面滑りの術。」
声に振り向くシャドーティラノ、そこには、黒い装束を着た少女の姿。
そしてその傍らに、同じく黒装束のもう一人の少女が、目を回している茜を抱えていた。
「キサマ、何者だ!?」
もう一度、シャドーティラノが少女たちを誰何する。しかし黒装束の少女たちは、それに応えることはない。
「チッ!」
舌打ち、そして同時にシャドーティラノが動いた。振り下ろしていた長剣を、地擦りの状態から振り上げたのだ。
その切っ先は黒い少女めがけて鋭く閃く!
しかしその剣は、少女を裂くことなく、すぽーん、とあちらの方向へ飛んでいった。
「な、なに!?」
剣を握っていたシャドーティラノが、愕然。
「『忍法・面滑り』は、貴様たち機械生命体を構成する部品の、金属表面同士の摩擦力を下げる技。
握った武器がつるりとすっぽ抜け、ひざがつるりと滑って立ってもおられず、そして終いには、身体の部品も保ってもおられず。」
解説とばかりに黒い少女が口を開く。
「貴様自身の動力が発する振動に、身体をつなぐ螺子(ネジ)もくるくる弛むという寸法だ。」
茜をかばっていた方の少女が付け足した。
「な、なんだとッ!」
そして少女の言葉通り、機械生命体の身体は、あっけなく四散した。
167
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:10:25 ID:IfPfqXj60
茜が気絶から立ち直ったとき、その傍らには、一枚の紙切れがおいてあった。
それには達筆な筆文字で、一言だけ書いてあった。
『馬鹿者』
茜がその文字に激昂して、ふいと夜空を見上げたとき。
建物の屋根から屋根に飛び去る、二つの黒い影を見た。
「に、忍者?」
まさかこの現代日本に忍者とは、時代錯誤も甚だしい。
しかし、現にこうして宇宙の戦士が来ているくらいだから、忍者の一人や二人いたところで罰も当たるまい。
ただ茜は、新たなキャラクターの登場に、なにやら奇妙な胸騒ぎを覚えるのだった。
次回のアカネイザーは!?
「やばい!? テスト勉強ぜんぜんしてないよ!?」
お楽しみに!!
168
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:11:58 ID:IfPfqXj60
###### しおり ######
###### しおり ######
169
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:12:34 ID:IfPfqXj60
%%%%% TV東京系アニメ:『神聖世界のエクスソフィア』 %%%%%
これまでに創造された物語。
いくつもいくつも、無限に存在する平行世界。
その中のひとつ『神聖世界フローティア』では、長い長い戦いの、結末を迎えようとしていた。
ひとつは魔族。もう一つは人間。二つの勢力は長い戦いを続けてきた。
圧倒的な戦闘力で優勢だった魔族だが、人間側の戦士、勇者の血族による抵抗に、完全に押し切れないでいた。
そして、新たに生まれた戦士、勇者にして女神である少女、エクスソフィアによって、人類軍の反撃が始まる。
ソフイアは、その生まれ持った資質により、かつてないほどの戦闘力をもっていた。それに加えて、兵を指揮する能力、逆境を覆す戦略などを駆使して、人類軍を導いていく。
魔族の長、魔王ダイノガイストがソフィアと対峙したとき、すでに戦況は決していた。絶大な力を誇った魔王であるが、彼を守るものは次々と打ち倒され、ソフィアの放った
破魔の刃によって滅びたのだった。
世界に平和が訪れた。
しかしソフィアは、再び魔王ダイノガイストが復活することを予知していた。それを阻止するためには、魔王の魂を別の世界に転生させ、浄化させるしかない。
そしてソフィアは、自らも魔王と同じ世界に転生し、その魂の浄化を見守ることにした。
そして、ここはとある異世界。
人類の文明が発達し、いくつもの文化が世界を育む、『惑星・地球』。
その地球の、日本という国に転生したソフィアはそこで『山科久子(やましな ひさこ)』という名前を得る。彼女に遅れてこの世界に転生してきた魔王は、『花村エイジ』として育てられた。
幼い頃からの幼馴染として、あるいは年下の少年に対する姉として、ソフィアは彼を見守っていた。
ここで二つの、ソフィアにとって予期しない出来事が起こった。
ひとつは、彼女の元いた世界フローティアから、魔王の魂を奪い返すための魔王軍が送られてきたこと。
彼らもまた『転生』という方法を採り、地球人として生まれ変わっていた。しかし転生前の人格が目覚め、彼らの目的である『魔王復活』を果たそうと、
その魂を宿す地球人を殺そうとしているのだ。
地球人・花村エイジが、その寿命半ばで命を絶たれた場合、魔王の魂は浄化が完了しないまま解放され、再び魔王ダイノガイストとして復活するだろう。
そしてもう一つ。
異世界の勇者にして女神であるエクスソフィア、彼女が、魔王の生まれ変わりである少年、花村エイジに、恋をしてしまったのだ。
こうして、彼女は二重の意味で、花村エイジ少年を異世界から転生してきた魔王軍から守らなくてはならなくなったのだ。
170
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:13:11 ID:IfPfqXj60
神聖世界のエクスソフィア・第12章
『告白』
あらすじ。
とある冬の朝。
ごくふつうの高校生として登校したソフィア、山科久子は、自身の靴箱に一枚の紙切れが差し入れられていることに気づく。
その紙には達筆な筆文字で、『山口清香(やまぐち きよか)に注意せよ』と書かれてあった。
山口清香。
その人物に心当たりのなかった久子であるが、少し調べてみたところ、自分の隣のクラスに在籍する女生徒であることがわかった。
もしかすると、魔王の魂を狙った魔王軍の刺客なのかもしれない。警告の主の正体は掴めぬままだったが、とりあえず久子は山口清香の監視を始めた。
よくよく注意してみると、その少女、山口清香は時折、久子に視線を向けることがある。
しかしそれは久子にではなく、彼女の側にいる少年、花村エイジへの視線であることに久子は気がついた。
「もしかして、エイジくんのことが、好きなの?」
久子は清香に接触し、意を決して問いかけた。唐突ではあったが、清香はその質問に、首を縦に振って答えた。
「私、花村君に告白する。もう手紙も出してきた。」
自分がエイジ少年とすでに付き合っていること、そのことは事情があり口外できない。
久子はもちろんそれを隠したが、清香からは、久子がエイジに異性の好意を持っていることだけは見抜かれていた。
「私ね、最近、ヘンな夢を見るんだ。」
清香が、久子に語る。お互いが恋敵であると知った上での、会話。その内容は、他愛のない雑談のように聞こえる。
しかし、それには意味がある。
重大な意味が。
それに気づいた久子の身体が、緊張する。
彼女が語る『ヘンな夢』、それは。
「花村君が『魔王』でね、私が彼の部下の、魔族なんだ。」
久子と同じ世界から転生してきた魔族である彼女の、前世の記憶であった。
それはすなわち、彼女がまもなく、エイジ少年の命を狙う刺客へと変貌する前兆でもある。
いまの、エイジ少年に恋する少女の記憶が前世のものに塗り替えられたとき、山口清香という人間はこの世から消滅し、異世界の肉体を具現化させた怪物になり果ててしまうのだ。
171
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:13:47 ID:IfPfqXj60
清香の言葉を聞きながら、久子は想った。
(わたしは、この地球に転生して、エイジくんと出会えて幸福だ。)
本来ならば、魔王の魂の器という監視対象であった少年。しかし彼を見守るうちに、その心に秘められた優しさ、強さに惹かれていく。
この世界の住人である彼の一生に、別の世界からの宿命を押しつけてしまった自分は、いったいどうやって償えばいいのだろうか。
自分からわずかに遅れて送り込まれた転生体が、今になって次々と出現している。
彼らはあくまでも普通の人間としてこの世界に生まれ育ってきたが、ある時を境に前世の記憶を取り戻し、『前世の使命』に目覚めることで怪物へと変化する。これまでの人間としての
記憶も消え、肉体すら変貌し、完全な怪物に生まれ変わる。
そして魔王の魂の器を破壊して、魔王の浄化を防ごうとしている。
この世界に魔王の魂を送り込んだ責任として、久子、いや、勇者ソフィアとして、それらの刺客から少年を守らねばならない。
「私はね、前世では、魔王のすぐ側に控えていた女戦士なんだって。」
清香が話す、夢の続き。
「魔王が勇者に倒された後、その魂を追って、この世界に転生してきたみたい。」
話す言葉我に、震えが宿った。
「魔王の魂は、花村君の身体にあるんだって。だから私は、花村君を殺さなくちゃいけないの。」
清香は泣いていた。
「こんなの、ただの夢だよね?
でも、同じ夢を毎晩毎晩、毎晩見るの。
『あいつを殺せ』って、夢のなかの私が、自分に言い聞かせるように、何度も何度も繰り返すの。」
泣きながら、不安を吐き出すように話し続ける。
「だんだん私、わからなくなってくるの。
もしあの夢が本当のことだったら、『私』はいったいなんなんだろう、って。
花村君を殺すためにこの世界に生まれ変わった怪物が、完全に目覚めるまでの『かりそめ』でしかないんじゃないかって。」
清香は、触れれば脆く壊れてしまいそうな儚さで、久子に語る。
久子はただ、言葉なく彼女の言葉を聞いていた。
(わたしは幸福だ。『前世』での記憶と使命、それがエイジくんに恋してからも変わらずに、むしろもっと強い理由になっている。)
久子は想った。
(山口さんだって、エイジくんのことが好きだという気持ちを強く持てば、前世の記憶を押さえることが出来るかもしれない!)
172
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:14:23 ID:IfPfqXj60
「山口さん、エイジくんのこと、本当に好きなんだよね?」
久子はもう一度、清香に問いかけた。
「うん、好きだよ。この学校に入ってから、ずっと花村君のことだけを見てきた。」
瞳を涙に濡らしながら答える清香に、久子も答えを返した。
「わたしも、エイジくんのことが好き。」
そして久子は、清香を抱きしめた。
「わたしも一緒に告白するよ。
いっそのこと、二人してエイジくんのカノジョになっちゃおうか?」
じつはもう、自分は彼に告白しているのだが、今はわざわざ言うべきことでもない。
今は、清香の心をリラックスさせ、『前世の使命』にあらがうための下地を整えなければいけない。
(わたしは、『魔王の魂を見守る』為だけにこの世界に転生してきた。
でも今は違う。
魔王の魂なんかなくたって、わたしはエイジくんを守ってあげたい!
ただ『魔王の魂の器』だから守らないといけない、なんていう義務感じゃない。
わたしが彼を守りたい、と思えるようになったから、わたしは今、戦っている。
エイジくんに恋することで、わたしのなかの『前世の使命』が変わったんだとしたら、
山口さんも、『前世の使命』を覆すことが出来るかもしれない。)
同じ男に思いを寄せる者どうし、出来ることなら戦いたくはない。戦えば間違いなく、どちらかが死ぬ。
「二人して、エイジくんを好きな女の子がいっぺんに、エイジくんに告白したら、案外受け入れてくれるかもしれないよ?」
そして二人は別れた。
久子は清香に自分の携帯電話の番号を教え、何かあったらすぐに連絡を入れるように告げた。
夜になって、久子のその携帯電話が鳴った。先ほど番号を伝えたばかりの、山口清香からだ。
「私、花村君を殺したくない・・・・・・。」
その言葉を最後に、あとは低い、獣のうなる声だけが携帯の耳元に聞こえてくる。
その声は、『前世の使命』に目覚めた者が変化した、怪物の声。
地球人、山口清香はこの瞬間、消滅した。
173
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:14:55 ID:IfPfqXj60
久子は、戦いを決意した。
『前世の使命』に完全に目覚めてしまった者は、もう元の人間には戻れない。あとはもう、ただの戦士どうし、戦いあって殺し合うしかない。
携帯電話を静かに閉じた久子は、瞳を閉じて小さく呟いた。
「転生合神。」
この言葉は、この世界の人間として生まれた久子が、前世である女神エクスソフィアの力を身に備えるときのキーとなる。
久子の身体は、瞬間まばゆい光に包まれたあと、この世界の衣服すべてを一時消滅させ、異次元からの鎧を身に纏う。
白い肌の美しい少女、その身体の一部を鎧が覆う。胸や腰といった、少女の秘めるべき部分を守り、額や小手、脛当てなど、戦いに必用な最低限の部分を金属の防具があてがわれる。
現世の記憶をもったまま、前世の戦う力をその身に纏う久子。
彼女は今、『女神エクスソフィア』として、この世界に現臨したのだ。
(でも、もしかしたらまだ、山口さんの心は消えていないかもしれない・・・)
戦いに向かう久子。しかし彼女の心にはまだ、一抹の逡巡があったのだ。
次回、『胡蝶の夢』。
174
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:15:45 ID:IfPfqXj60
###### しおり ######
###### しおり ######
175
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:16:28 ID:IfPfqXj60
%%%%% フジTV系アニメ『魔法な乙女・みらくるみらん』 %%%%%
「みらくるみらん、デビューー!!」
パステルカラーの世界、虹の滑り台を勢いよく滑り、宙に向かってジャンプした少女は、ひらひらとフリルの多いコスチュームをはためかせ、くるりと回転してから着地した。
淡い色合いの、ひらひらした少女趣味の衣装。長いツインテールの髪が躍動感たっぷりに揺れて跳ねる。
いま、ここに、新しい魔法少女が一人、誕生した。
第1話「みらくるみらん、華麗にデビュー!」
みらくるみらんは、人間たちの世界と繋がったもう一つの世界、魔法の国『マジカラーサ』の女の子。
そこは、肉体を持たない精神生命体の国。みらんたちは、人間の世界を見守りながら暮らしていた。
しかしある日、マジカラーサと隣り合う国、スパイダリオンの住人たちが、人間たちを滅ぼそうと動き出した!
彼らもまた精神生命体だが、特殊な魔法によって肉体を得ることが出来、その身体で人間たちを襲おうとしているのだ。
これを防ぐべく、マジカラーサの魔法戦士たちも、独自の魔法を使って受肉し、人間界に降りたった。
ここに、マジカラーサとスパイダリオンの戦士たちの戦いが始まった。
回顧・魔法学校にて。
「たとえばね、人間が誕生したばっかりのころ。
道具もなく、通信手段もなく、海を越える移動手段もない、お猿さんに毛が生えた程度の人間がね、大体同じ時期に似たような文明を手に入れていくの。
火を使ったり、道具を使ったり。」
「ふうん、でもそれって、偶然なんじゃないですか?
それぞれの文明に数百年単位のスパンがあれば、だいたい似通ったものになりますよ。」
「まぁ、たしかにね。
その『似通った進化』っていう方向性で育った『種(しゅ)』としての生命たち、そのくくりの一つが今現在の『人類』なの。
で、その人類は多種多様な個人の集合なんだけど、それでもやっぱり『似通った進化』に縛られてる。
それは『原初の本能』と言い換えてもいいでしょう。」
「じゃあ、みらんたちマジカラーサの精神生命体を生み出した『人類の集合無意識』っていうのは、その『原初の本能』が繋がって出来たものってことですか?」
「ざっくり言ってしまうと、そういうことね。
でも今はそれに、そこそこの知能を発達させた人類特有の特徴が現れてるの。
大昔のお猿さんはだれもほとんど違いはなかったのに、今の人間は、一人一人が個性豊かで、それぞれに『人類の集合無意識』への影響力が違ってきている。」
176
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:16:57 ID:IfPfqXj60
「なるほど。その、人類の中でも影響力が特に強い人間が、『特異点』ってわけですね?」
「世界的に影響を持つ宗教の教祖、半ば私欲で国家を独裁する指導者。
その善悪は容易にはかることができないけれど、とにかくその一個人が多くの集団の意識を誘導し、それが集合無意識のベクトルにまで影響する。
つまり、その『特異点』が『人類滅ぶべし』とか考えちゃったら、割と全人類もそう言う風に思っちゃうってことなの。
逆に、その特異点がポジティブな思想を持てば、それはほかの人間個人にも伝播する。特異点が「子供を作りたい」とか真剣に考えると、世界中のいろいろなところでそれは個人の
無意識つまり原初の本能に影響を与えて、人類繁栄にも繋がる、というわけよ。
テレビやインターネットみたいな、情報伝達手段が発達した今となっては、それらの情報による力もそこそこあるみたいだけどね。」
「スパイダリオンたちは、そこに目を付けたわけですね?」
「特異点個人が世界に絶望すれば、それは多くの人類に伝播する。特異点を捕まえて、じわじわ苦痛を与えながら殺していけば、その死の直前の絶望は強力な力を持って多くの人類を
巻き添えにする。
全人類を滅亡に向かわせようとするならば、それが効率よいやり方だと考えてるわけね。」
「みらんの使命は、それを阻止するために特異点を守る、ということですかぁ。
で、みらんが守る、『花村エイジさん』って、どんなひとなんですか?」
「それが、ぜんぜんわからないの。宗教家というわけでもなければ政治家でもなく、慈善の偉人というわけでもなければ犯罪者でもなく、ごく普通の高校生。
でも、確かに特異点の反応がでているわけだから、警護すべきだということになったの。」
「なるほど、それで、まだ未熟なみらんが向かわされるわけですね?」
「まぁ、ほかの戦士たちは重要な特異点警護に出払ってしまっているからね、仕方がないわ。」
「わかりました! みらん、全力でそのひとを守ります!!」
回顧終了。
177
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:17:59 ID:IfPfqXj60
第17話『すてきなステーキ、スキスキすき焼き!?』
秋も終わり、そろそろ空気も冷たくなった頃合い。
土曜日、みらんはその日の授業を終え、夕方の約束までの時間をつぶすために、学校の部活棟にある『落語研究部』部室にいた。
もちろん彼女が所属する部なのであるが、部員といってもたんなる頭数あわせ、特に部活らしい活動をするわけでもなく、とりあえず授業の予習復習宿題のたぐいをやっつけていた。
この部室には、みらんのほかにあと二人の女生徒がいて、彼女たちの目的もみらんと同じく時間つぶし。
みらんの勉強の面倒を見てくれているのは一つ年上の先輩で、非常に学業優秀。みらんへの面倒見もよく、頼りになる先輩であった。金髪の彼女、その頭髪は校則違反などではなく、
れっきとした地毛だ。ヨーロッパから帰化したということになっている。もちろん日本語も流暢だ。
「今晩はすき焼きです。非常に楽しみです。」
あまり表情の変化を見せない先輩であるが、言葉通りに夕食のすき焼きを楽しみにしているであろうことが何となくは理解できる。そういう雰囲気を感じ取ることができる。
そのとき、あははははは、と、大きな笑い声が上がった。
その室内にはみらんを始め三人の女子しかいないわけで、声の主はおのずと残る一人だった。
みらんがそちらを見ると、その女子生徒が漫画を読んで大笑いしていた。
みらん以外の二人は同じ学年、同じクラスの友人だ。
女子仲間としては、この三人とあと一人、都合四人でよくつるむことが多い。
それにしても、とみらんは思うのだが。
この、漫画を読んで大笑いしている先輩、ルックスだけでいえば学園一といってもいいくらいに可愛い。その分、性格面でいろいろと残念なところが多いのが惜しい。
勉強の手を止めてそんなことを考えていると、ふいに傍らの鞄がごそごそと動き始めた。
「みらん、みらん〜!」
その声は鞄の中、動く正体が声の主。
鞄の隙間から、にょろんとなにやら出てきた様子。
まるで水銀を思わせる、液体金属のようなもの、生き物。
その、不定形な水銀状の物体は、魔法少女であるみらんのパートナー、にょろ子ちゃんである。
「みらん、たいへん! 町でスパイダリオンが暴れてるわ!」
にょろ子ちゃんは特殊な感覚器官でもって、敵対するスパイダリオンの存在を感じ取ることができるのだ。
「ええ〜!! 今日は土曜日なのに!?」
土曜日はみらんにとって、大切な日である。大好きなエイジ先輩と一緒に過ごせるお泊まり会のある日なのだ。
時計の針はもう三時を回っている。あと二時間少々で片付けなければ、大事なお泊まり会に間に合わなくなってしまう。
「みらん、大変だねぇ。」
のんきに声をかけてくる先輩の声を憎らしく聞きながら、みらんは鞄の中から、赤く煌めくブローチを取り出した。
そのブローチこそ、ただの高校生(身体は中学生並だが)のみらんを、『魔法少女みらくるみらん』に変身させるキーアイテムなのだ。
178
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:18:42 ID:IfPfqXj60
「もう、とにかくソッコーで片付けちゃいますっ!!」
そう言ったみらんが、ブローチを胸に着けて、変身の呪文を唱える。
「みらくるいまくるあしたくる、くるくるくるりんみらくるみらん、マーキュリー回路で大変身!!」
するとみらんの身体がまばゆく輝き、水晶のように煌めく身体が露わになる。そしてブローチからあふれ出したたくさんの花が彼女の身体を覆い尽くし、軽快なきらめきを以て彼女の
コスチュームへと変わっていく。
そして変身完了、みらんは、フリルも華やかな可愛らしい少女服を身にまとい、『魔法少女みらくるみらん』へと姿を変えた。
「じゃあ、行ってきまーす!!」
とるものもとりあえず、みらんは時間が惜しいとばかりに飛び出した。背中から大きな天使の羽が生えて、窓から空に飛び立ったのだ。
「・・・相変わらず派手だよねぇ。」
部屋に残された先輩二人、漫画本を片手にみらんを見送った方が、呆れた口調で言った。
「なにか、いろいろと無駄なプロセスが多い気もしますが、それが彼女のスタイルなのですから、ワタシたちが横から口出しすることでもありませんね。」
あくまでもクールに、金髪の外人女が応えた。
「ところで。」
と、部屋に二人きりになったところで、金髪の方が言った。
「みらんさんが戻ってくるまで、屋上でゴルフでもしましょうか。」
退屈しのぎ、というわけだ。彼女は特に、課外で勉強をわざわざするまでもなく成績優秀なのだ。
そしてそれを受けたもう片方が。
「うん、いいねぇ。」
機嫌よく受けた。
この学校、当代の生徒会長の発案で、屋上に芝生を植えてあり、簡単なパターゴルフができるようになっている。
「ところで、そっちは今週、何か事件あったの?」
早速屋上に出かける準備をしながらの問いに、金髪が返事。
「今週は珍しく事件無し。」
無表情、無表情。
おもしろくもないやりとりに飽きて、二人は屋上に向かった。
なにもやることがないときは、ゴルフに限る。
179
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:19:04 ID:IfPfqXj60
「みらくるみらん、華麗に現着〜!!」
と、可憐な少女のひらひらしたドレスがくるりと一回転。
ばさり、と最後に大きく羽ばたいたあとの羽は、するりと縮んで消えた。
ここは、みらんの住まう場所にほど遠くない町、人通りの多い繁華街だ。
土曜の昼下がり、唐突に現れた魔法少女に、道行く人たちは唖然とした。が、次の瞬間には興味もなさそうに歩み去っていく。
そう、これこそがみらんの『魔法』の一つ。簡単な記憶操作を兼ねた人払いの術だ。
「って、あれ? ここってたしか・・・。」
みらんは、降りたった場所から正面に見える店舗に、至極最近の既視感があった。
そこは、表向きはステーキハウスを装っているもののその実、スパイダリオンたちの前線基地であった場所だ。先週みらんがこれを発見し、詰めていた先兵たちをすべて一掃したところなのである。
そうなると討ち漏らし、あるいは増援のたぐいか、とみらんは慎重に、ぱっちりと大きく開いた眼で店外から中の様子をのぞいてみる。
店内は暗く、人の気配もない。彼らの匂いを感じ取るニョロ子ちゃんも、ここにはいないとみらんに告げた。
店の入り口には『誠に勝手ながら閉店いたします。』との張り紙がしてあって、先週のみらん襲撃によって全滅したスパイダリオンたちは店を放棄したと思われる。
「じゃあ。どこに出たっていうの?」
みらんは、じれてじれて、叫ぶようにニョロ子ちゃんんを問いただした。
「う〜ん、確かこの辺なんだけど・・・。」
そう言った不定形の液体水銀状生命体は、きょろきょろと辺りを見回した。
「みらんちゃん! こっちこっち!」
ニョロ子とみらんが見渡した先の一点で、彼女たちを呼ぶ声がした。
それは、ニョロ子ちゃんと同じく、みらんをサポートする魔法生物たちだ。
金色の綿菓子を思わせる不定形の『ふわりん』、真っ赤な砂状の不定駅生命体『さらさら』、その二匹が指し示す場所こそ、目的の場所であった。多くの客でにぎわう飲食店のようだ。
「ボクたちが探してて、あとをつけておいたんだ!」
「スパイダリオンの増援たちは、この店に入っていったよ!」
二匹が言うとおり、営業中の店内で人々の騒ぐ声が聞こえた。
どうやら、憎き敵のスパイダリオンたちは、無関係の場所に立ち入り、人々に迷惑をかけようとしているらしかった。
「もう!! 今日は急ぐんだから、全力で片付けちゃうよ!!」
みらんは、とにかく今夜のお泊まり会に遅刻しないように、やる気満々で店内に駆け込んだ。
180
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:19:49 ID:IfPfqXj60
「まちなさーーーーーい!!」
店内では、スパイダリオンの先兵たちがバットやゴルフクラブ、バス停の標識などを手に手に、暴れ始めたところだった。
さてそのスパイダリオンであるが、こうしてみると普通の人間である。
しかし彼らは見た目通りの人間ではない。
この姿はあくまでも擬態。その本性は、恐ろしい姿をした怪物なのである。
ここで、この人間世界における、みらんの基本的な戦い方をなぞっていこう。
さて、このスパイダリオンである。
このままほおっておくと、奴らはみらんとの戦闘体勢に移行し、本来の怪物の姿を取り戻す。
さすがにみらんとて、このまま怪物化した奴らとこの場所で戦うわけにはいかない。
なにせ、ここは一般の人間が周りにいるのだ。彼らにその怪物の姿を見せるわけにはいかないし、ましてや戦闘の飛び火で怪我させてしまう可能性がある。
故に、みらんはステージを変える必要がある。
「強制テレポート!!」
みらんが発動した魔法は、自分たちを含む対象たちを、強制的に別の場所に転移させる術である。
これにより、人目を避けること及び、戦いに支障のない場所への移動をこなすことが出来るのだ。
みらんが移動する場所はたいてい決まっている。
日本のどこか山奥にある、無人の採石場。当然あたりに民家もなく、人目を気にすることなく戦うことが出来る。少々の爆発があったところで、人間たちの施設を傷つける心配もない。
「しょうこりもなく、ひとに迷惑をかけようとするスパイダリオン!
天が見逃し地が大目に見たとしても、このみらくるみらんはぜったい許しませんからね!!」
採石場の高台、そこは群れる敵どもを見下ろして名乗り口上を述べるには絶好の場所であった。
大上段からの物言いに、敵であるスパイダリオンたちも憤った。
「オノレ、ミラクルミラン、コノマエノウラミヲハラシテクレヨウゾ!!」
とりあえずまだ人の皮をかぶっていた彼らだったが、みらんへの宣戦布告と同時に本来の姿を取り戻していった。
着ていた服が大きく裂け、膨れ上がるように大きくなる肉体。あるものは鋭い角、そしてトゲを生やし、またあるものは無数の触手を生む。手が二本足が二本などという人間のお約束も
すぐに忘れ、多脚に多手の異形たちへと変身していった。
その数、八匹。
その数はもとより、一匹一匹の戦闘力とて侮れるものではない。
いわゆる雑魚雑兵のたぐいとは一線を画す、強力な怪人たちだ。
はたして、そのような怪物たちを相手に、この華奢な少女、みらんがかなうものなのだろうか。
だが忘れてはいけない。
このみらんとて、ただの少女ではない。
特異点の少年を守るため、スパイダリオンと戦うために送り出された戦士なのだ。
元はカタチのない精神生命体であった彼女らが、そのために受肉したこの肉体が、ただのか弱い子供の身体であろうはずがない。
普段こそ幼いなりの少女の身体、だがそれは、間違いなく戦闘用の兵器の身体なのだ。
「まじかるクローゼット!!」
みらんが高々と挙げた右手、その先の上空に、突然ファスナーが現れた。
空を切り開くようにファスナーが走り、ぺろりと空がめくりあがる。
「今日は、ドーナツショップの店員さんに変身だーーーっ!!」
181
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:20:22 ID:IfPfqXj60
叫ぶ声に応じ、そのファスナーの向こうから光の固まりが飛び出してきた。そしてそれはみらんと融合、まばゆい閃光のあとには、可愛らしいドーナツショップの制服を身に纏った少女の姿。
断っておくが、みらんが大人に成長してのコスプレ、ではない。
あくまでも、中学生の風貌をしたショップスタッフが出来ただけなのだ。
こうして、いわゆる二段変身をしたみらくるみらん、ドーナツショップ店員の制服にコスチュームチェンジをしたからには、いかな戦い方になるというのか。
ドーナツを掴むトングで相手の頭をコツンと叩いたり、ファンシーなライオンのようなマスコットキャラクターを召還してけしかけるのか。
否。
この姿になったからには、思い知らさねばなるまい。
ぽろぽろとドーナツの食べかすを周囲にこぼす行儀の悪い客、コーヒーお代わり自由をいいことに何時間も居座る厚かましい客、周囲をはばかることなく下品に騒ぎ立てる不躾な客。
それら許されざる客に、ドーナツショップの店員がいかに恐ろしい存在であるかということを思い知らせなくてはいけない。
「みらくるみらん、フォームチェンジ!!」
みらんは叫んだ。その、どこぞのアニメ声優もかくやという声量。幼くあどけない声ながら、計り知れないパワーの奔流を感じる。
みらんが発した『フォームチェンジ』の声に反応したのは、彼女をサポートする魔法生命体、その中の一匹、銀色のニョロ子ちゃんだ。
「オッケー!みらんちゃん!!」
ひゅん! と素早く宙を駆け、液体水銀のようなニョロ子ちゃんがみらんの元に馳せ参じた。
「いくよ! ニョロ子ちゃん!」
みらんが応じ、水銀の身体を右手でグワシ、と掴んだ。
そしておもむろに、ニョロ子ちゃんの水銀ボディーをがぶりと噛み千切った。普段のみらん、どこか小動物を思わせる動きではなく、明らかに乱暴な肉食動物のように、水銀の身体を貪った。
その瞬間、変化が起こった。
胃の腑に落ちたニョロ子ちゃんの水銀ボディーは、みらんの肉体にさらなる魔法の力を与える。
心臓より全身に送られる血液、そこにこの物質が混ざることにより、その色は銀色に変わる。同時にみらんの肌も銀色の光沢に包まれ、メタリックなボディーに変化する。
これこそがみらんの更なる力、『みらくるみらん・メタルブラッド』フォームである。
では、メタルブラッドとは如何なる力を持つのか。
その解説も掛かれぬまま、みらんに怪物たちが襲いかかってきた。
論より証拠、説明よりも先にその能力が発現するようだ。
「メタルナックルッ!!」
襲いかかる怪物に、みらんの小さな拳が突き刺さった。敵の皮膚を破り、深々とめり込む鋭い拳。
「サウザンドニードル!!」
腕を敵の体内に預けたまま、次の技を放つ。その技は、体内の血液を鋭い針状ににして皮膚より放つ技だ。これをみらんは、敵の体内に埋め込んだ腕の先から行った。
鮮血を吹き出し倒れた敵に代わり新たな怪物が襲いかかる。
最後まで足掻いた怪物のせいで、新たな攻撃をかわすことが出来ないみらん。
敵の繰り出した鋭いトゲが迫る。
ガキッ、と鈍い音がして、トゲはみらんの皮膚にくい止められた。鋭さとパワーは十分に思われた攻撃であったが、メタルブラッドのみらんの防御力は、それすら軽くあしらうほどのものである。
「パワーシザースッ!!」
182
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:20:53 ID:IfPfqXj60
攻撃を受け止めたみらんはすぐさまそれを返す。パワーシザースと呼ばれた技は、腕の皮膚を大きく隆起させ、巨大なハサミを作ることが出来る。小さな身体に対するその巨大さは、
シオマネキのハサミを思わせる歪さである。
銀色の巨大ハサミはすかさず敵の頭部を挟み込んだ。しかしその頭部も、甲殻類を御思わせる硬い鎧を纏っている。はたしてみらんのハサミ攻撃を通すであろうか。
案じる暇もなかった。
みらんのハサミは鋭利に切れるものではないが、力はある。
強力な万力のようなパワーで、敵の硬い頭部をぐしゃりと押しつぶした。
みらくるみらん・メタルブラッドはこのように、鋭さとパワー、頑強さに優れるフォームである。
しかしこれにも弱点がある。
ご想像の通り、スピードに欠けるのだ。
スパイダリオンの怪物たちもそれを察している。次にみらんに襲いかかる怪物は、スズメバチを異形にしたような、いかにも俊敏さに優れたタイプだ。
みらんがパワーシザースを一振りするものの、敵はそれを難なく避けた。
こちらの攻撃が当たらないとなれば、あとはじり貧の展開である。
あやうし、みらくるみらん!!
みらんは、残る敵を一瞥、そして覚悟を決めた。
「ふわりん、来て!!」
彼女は、新たな魔法生物の名を呼んだ。金色の綿菓子、そんな姿をした生物が、呼ばれに応じてすぐさま参上。
「オッケーみらんちゃん!」
先のニョロ子ちゃんと同じように、みらんはふわりんの身体を掴み取り、ぱくりぱくりと貪った。
説明は省く。ニョロ子と同じような原理で、みらんの体に変化が起こった。今度は金色だ。
「みらくるみらん・サンダーブラッド!!」
先ほどまでみらんの身体を強化していた銀色の血液に代わり、今度は金色の血液が供給された。
その名もサンダーブラッド。雷電気の力を持つフォームである。
「スパークシフト!!」
その叫びとともに体を傾けたみらんのスピードは、先ほど俊敏と評したスズメバチなど軽く凌駕する。すれ違いざまにその頭部がバンと弾けた。
「ストームブロウッ!!」
そのままスピードに乗せて、まるで嵐か竜巻か。鋭い拳の先に空気の螺旋が渦巻き、高速で移動するみらんに遅れて巨大な嵐となった。その嵐が敵を巻き込み、竜巻となって舞い上がる。
「サンダードリルスピンキック!!」
舞い上げられて自由の利かない敵どもが一軸に連なった刹那、地上から電光一閃。みらんのキックが一直線に敵を貫いた。
がっしと大地を踏みしめ着地したみらん、その金色の身体にはいまだ雷光の名残である電気スパークがばちばちと絡まっている。
そして見渡せば、残る敵はあと2匹。
その程度の数ならば、このまま押し切る。
みらんは残るパワーを金色の血液に乗せ、更なる稲光を身に纏った。
「おまちなさい!」
しかしそのとき、どこからともなく謎の声。
183
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:21:47 ID:IfPfqXj60
みらんが鋭く視線を向けた先には、黒装束の二人組。まるで、いや、間違いなくその装束は忍装束。
そうだ、そこにいるのは二人の忍者。
まだ若い二人の少女たち、つまりは『くのいち』であろう。
その、忍者少女の一人がみらんに言った。
「焦りましたね、あなた?
向こうにまだ、敵が残っていますよ。」
そうして、如何なる技術か天空を大きなスクリーンに見立て、鮮明な画像を表示させた。
そこは先ほど、みらんが強制テレポートにて敵を連れ出した場所である飲食店店内。
そこに、バットを持った男が二人、店内で得物を振るい暴れ始めたではないか。
「ああっ! しまった!!」
みらんが慌てる。
確かに、忍者たちの言うとおり、みらんの失態だ。
解決を急ぐあまり、強制テレポートで連れ出す敵の数を見誤ってしまったのだ。
そこで素早い決断を迫られる。
この場所で、残る敵をしとめてから、急いで元の場所に戻り、もう一度この場所に連れ出すか。
それよりも先に、向こうに残った敵をこちらに連れ出し、向こうの被害を最小限にとどめるか。
みらんは後者を選んだ。
「テレポート!!」
みらんは、金色の力サンダーブラッドを解除すると、元の姿に戻った。テレポートは、この姿でないと使えない魔法なのだ。
そして先ほどの店内に戻ったみらんは、暴れている敵を選び出し、強制テレポート。
そうしてみらんは、目前の敵の数を4匹とし、最後の戦いを挑んだ。
しかしみらんの身体にはもう、金色の力はない。一度解除してしまえば、もう一度魔法生物を体内に取り込まない限りフォームチェンジできない。ニョロ子ちゃんやふわりんの身体は
時間がたつと復元するが、ついさっき失ってしまったばかりなので間に合わない。
「さらさらっ!」
そうだ。みらんをサポートする魔法生物はあと一体存在する。
赤い砂のような魔法生命体『さらさら』はみらんに呼ばれ、疾く疾く(とくとく)駆けつけた。
「みらんさん!」
さらさらが差し出したその身を、みらんは躊躇うことなく飲み込んだ。
さらさらの赤い砂は、みらんの体内で血液に新たな変化を起こす。
もとより赤い血の色が、赤い砂の力でさらに赤く、燃えるようにギラつく赤に変わる。
この燃えるような血の姿こそ、みらんの更なるフォーム。
「みらくるみらん・ファイヤーブラッド!!」
みらんの身体が、真っ赤に輝いた。これこそがファイヤーブラッド。
さてその威力、いかほどのものか。
「スナイパードラグーン!!」
184
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:22:14 ID:IfPfqXj60
敵の動きに先じて、みらんの技が繰り出される。
みらんの声に発動した技。突き出した腕、その上腕の皮膚ががばりと大きく開き、にょきりと一本のミサイルが出現した。
どん、と火薬の爆ぜる音がして、そのミサイルは一直線に敵へと放たれた。
そしてすぐさま爆裂、かの怪人を跡形もなく消し飛ばす。
生身の少女、その身体からいきなり現れたミサイル。これこそがファイヤーブラッドの効果。
赤い魔法生物はみらんの血液を強い火薬に変える。
そしてみらんの肉体の中で、生体ミサイルへと精製され、射出されるのだ。
「ハープーンランチャー!!」
今度は、みらんの両肩が大きく膨らんだ。アメフトのショルダー以上に隆起した肩の肉は、ドーナツショップ店員のコスチュームを大きく切り裂き、大きく丸く張り出した。
そして、再び爆裂。今度はその両肩の外郭が大きく弾けると、無数の生体ミサイルがじゃきん、とスタンドアップ。
どどどどど! とあとからあとから、両肩のミサイルが発射され、敵めがけて四方から降り注ぐ。
ようやくミサイルを撃ち尽くし砲撃の手を休めたとき、もう敵は残る一体を残して消滅したあとだった。
そして最後の敵である。
彼は、みらんの強力火力攻撃『ハープーンランチャー』を以てしても討ち漏らした敵である。
見てくれにしてもそう、犀のように硬い皮膚、ずっしりと重量感があり、太い足で安定した体躯はいかにも頑強で、少々の攻撃ではびくともしなさそうだ。
「かぁーーーーーーっ!」
大きく、太い息を吐いたのはみらん。普段の愛らしい女子高生のみらんからは想像できない、腹の底に力を込める太い息だ。
この裂帛の呼吸、いよいよ出るか、ファイヤーブラッドの最終奥義。
「ヘブンズ・ドア!!」
天国の扉、それがこの技の名前だ。
みらんの全身、両手両足、そして肩、背中、硬質化した皮膚のミサイルハッチがすべて解放された。そこからせり出す生体ミサイルの数は、先ほど無数に思われたハープーンランチャーの
比ではない。
その姿は、まるでミサイルで出来たハリネズミ。
いったい、この華奢な少女の身体のどこに、これだけの生体ミサイルが潜んでいたというのか。
「これでっ! とどめですっ!!」
みらんが叫ぶ、その言葉の最後は既に爆音でかき消され、その姿すら爆炎で掠れてしまった。
敵怪人の元に群がる、無数のミサイル群。先ほどの掃射に耐えた怪人ですら、この数は耐え切れるものか?
しかもたちが悪いことにこのミサイルの雨は、硬い装甲を貫通することに特化したミサイルスピア、着弾後赤熱化するプラズマミサイル、貫通後に弾頭が四散するクラッシュアロー、
それに加え先ほど見せたスナイパードラグーンやハープーンランチャーなど、彼女の持つありとあらゆるミサイルを一斉に発射した技だ。
もう、そこには爆炎、爆煙、そして爆音しか存在しない。
一斉掃射を終え、全弾撃ち尽くしたみらんからはもう赤い魔法の血は消えていた。
ずたぼろになって既に原形をとどめていないドーナツショップ店員の制服姿。
肌の色も元に戻り、力を使い果たした少女の姿がそこにあった。
そして、ようやく晴れていく爆煙の中、わずかに残る死骸の一部が確認できる。
強固な体躯を誇る敵怪人も、さすがにこの攻撃には耐えきれなかったようだ。
みらくるみらん、完全勝利。
185
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:22:36 ID:IfPfqXj60
「フ、さすがだな、みらくるみらん。」
敵がすべて消滅したことが明確になった頃、声がした。
そのときようやく、この場にいた忍者の存在を思い出したみらん。
「あ、あの、さっきはありがとうございます。」
ぺこり、と深くお辞儀したみらん、そのちんまりとした姿はとても、先ほどまで猛攻を奮っていた戦闘兵器とは思えない。
「なに、我等はなにもしていない。礼は不要だ。」
そう言って、二人の忍者少女はみらんに背を向けた。その、立ち去る間際に、待って下さいとみらんは慌てて呼び止めた。
「あの、あなたたちはなにものなんですか?」
呼び止められ、わずかに立ち止まった二人。しかし彼女たちは振り返ることもせず、言葉だけを残して消えてしまった。
「我等は忍、名乗るにあたわず。」
謎の忍者の登場に、風雲急を告げる『みらくるみらん』第十七話!!
この時みらんは、いまだ理解できないで居たのだ。
去りゆく影に、大きく手を振るみらん。
この時、みらんはまだまだ理解できていなかったのだ。
『忍』とはこの場合、生業の総称にして個人の名にあらず。
「しのびさん、ありがとうございました〜!」
だから、『しのび』とは彼女らの名前ではないぞ、みらくるみらん!
186
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:23:15 ID:IfPfqXj60
戦いは終わった。
みらんは、スパイダリオンが暴れていた店に戻った。
そこでみらんは、店内の人間に魔法をかけ、スパイダリオンの記憶を消去した。
さすがに、荒らされた店内を復元することは出来ない。それらは、その場にいた人間たちの記憶補填が行われ、乱暴な客の喧嘩が原因ということになった。
みらんは、とりあえずその店をあとにした。時計を見ればもう5時前だが、急いで帰ればみんなと無事合流できそうだ。
今日は土曜日。
大好きなエイジ先輩との、待ちに待った週末の逢瀬。
まずはみんなで食事にいき、おなかを満たしたあとのお泊まり会。
「しょく、じ・・・?」
そこでみらんは、ふと思い出した。
学校で待つ先輩の内、今晩の食事のすき焼きを非常に楽しみにしていた少女がいたことを。
そして今あとにした、店内を荒らされた飲食店が『すき焼き専門店』であったことを。
(いやいや、べつに、今夜いく予定の店があそこだって決まった訳じゃないし!?)
みらんは、頭を振ってイヤな予感を払い、急ぎ学校に戻っていった。
つづく。
次回の『魔法な乙女・みらくるみらん』は?
ええっ! ファイヤーブラッドが効かない!?
みらくるみらん、大ピンチ!!
「お蕎麦が動く!? 新しいお友だち『そばーん』!!」
みらんの新しいフォーム、『グリーンブラッド』が登場するよ!
187
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:23:58 ID:IfPfqXj60
###### しおり ######
###### しおり ######
188
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:24:30 ID:IfPfqXj60
%%%%% TBS系列TVアニメ『SF未来世紀クリス・クロス』 %%%%%
今週の『SF未来世紀クリスクロス』は、ゴルフ中継のためお休みします。
189
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:25:16 ID:IfPfqXj60
###### しおり ######
###### しおり ######
190
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:26:26 ID:IfPfqXj60
劇場版・冬休みまんが祭り『史上最強大決戦! アカネイザーvsエクスソフィアvsみらくるみらんvsクリス・クロス』
いまだ夏の暑さを残す9月のある日。
学園の屋上、開かれたスペースは、生徒達が憩いの場所として集えるようにと一面に芝が植えられている。
さながらゴルフ場のグリーンを思わせる緑の屋上は、なかなかに面白味のある芝目に加えてちょこざいな高低差もあり、ちゃんとカップも併設されていることから、簡単なパターゴルフが
楽しめるようになっている。
ちなみにこれらの芝生は、昨年から当代まで連任している生徒会長である花村エイジという男が、自分の趣味と思いつきで作ったものだ。はじめの頃は公私混同とか公費横領とか非難もあったが、
いざ出来てしまえば生徒達も納得する出来映えで、生徒会長の評判も上々にあがったとかの経緯もある。
そして生徒達もこの空間の存在にずいぶん馴染み、休憩時間にもなると、特に今日のような天気の良い日は弁当片手の生徒達が大勢訪れるわけだ。
しかし、今現在は平日の授業中であり、閑散としたものだ。サボリの素行不良どもも、今はここにはいない。
そんな緑の屋上に、4人の女子生徒が現れた。
別段、好んで授業をエスケープするような軽薄な雰囲気はなく、ごく風通の生徒であった。いや、4人が4人とも、一目見れば目に焼きつくような美少女であるという点は、ごく普通とは
言い難いだろうが。
4人の女子生徒は全員が一度に現れたわけではなく、この場所を集合の約束として、別個に集ったようだ。
先にいた三人に対して、最後に現れた一人が言った。
「お待たせしました、先輩。」
学園一年の女子、藤川みらんだ。
他の三人は二年生で。四人のなかで唯一の学年違い、教室の遠いみらんが来たことで全員が揃った。
「さて、『人払い』はどうするべき?」
二年の一人、金髪の乙女である北条クリスが、抑揚の少ない口調で言った。
誰もいない屋上であるからといって、今から彼女たちが話す機密のすべてを完全に守るにはまだまだ心許ない。
特に、この四人が一堂に会して話す内容は、機密も機密、人知のレベルを大きく超えた特殊な内容なのだ、徹底完璧にしておく必要がある。
故にここで言う『人払い』は必然的に、その人知を越えた超常のすべとなる。
「茜ちゃん、あなたのつかう、『時間凍結』というのは?」
四人の中でも心なしか年上の雰囲気を纏う少女、山科久子がもう一人の少女に水を向けると、当の彼女は表情をやや困った風にして、
「いちおう、任務外でディノティランを使うと、マズいんだよね。上官に怒られる。」
と、弱腰の発言。
茜、倉沢茜という名の少女、彼女が強く出ることができないのもまた、珍しいことだった。
ちなみに『ディノティラン』とは、茜が戦闘の際に使用する巨大なロボットのことで、巨大戦闘時の際、地球環境に被害を与えないための『時間凍結』という特殊コーティング空間を
展開することが出来る。巨大ロボット戦を行っても、関係ない地球の生命を傷つけることなく、建築物や自然を破壊しないという、非常に素晴らしい能力なのだが、さすがに使用の制限は
複雑なものがあるらしい。
「規模が大きいだけに、いろいろと不便なところがあるんでしょうね。さすが宇宙の人です〜。」
聞いていたみらんが、感心したようにも小馬鹿にしたようにもとれる反応を示すと、ますます茜は恐縮してしまった。よほどその上官とやらが怖いのだろうか。
「ワタシの持つ『コマンド』は、情報操作や無機物への干渉は得意としているが、生命体への干渉は万全ではない。」
「みらんの魔法は、どっちかっていうとクリス先輩の逆な感じです。この屋上に人が来ないようにするとかは得意ですけど、人工衛星とかでここを覗かれたら防ぐことは出来ません。」
クリスとみらんが言う。
ならば二人がそれぞれ能力を補い合えば良いとも思われるが、この日まだまだそれぞれの特性を理解し切れていない状態で、連携の不備が起こるとも考えられる。
そう考えた久子が、最終的に自分の能力を提案した。
191
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:27:03 ID:IfPfqXj60
「それでは今回は、わたしの『異相次元』をつかいましょう。」
彼女のいう『異相次元』とは、特定空間のみを切り出してコピー空間を作る術のことだ。
現実空間のすぐそばにありながら全くリンクしない、小さな『新世界』を創造することが出来る強力な技だ。
これを含む彼女の能力は、総称して『奇跡』と呼ばれる。
剣と魔法のファンタジー世界の住人である久子、つまりこの地球から異相の異なる別次元の住人である。有り体に言えば、異次元人といったところか。
異次元から来た彼女であるから、そういった術を行使することが出来るのも道理。
もちろんこの『奇跡』にも問題点がある。新世界維持のために彼女の魔力は常に消費されるため、自分の創造した世界でありながら自分の能力が限定されてしまう。
彼女は、彼女と敵対する刺客が出現すれば、この世界の平穏を侵さないようにリスクを受け入れて闘うのだ。
久子の提案に皆は特に反論もせず、それをもって彼女は同意と見なした。
久子が作り出した新しい次元世界。この学園の屋上程度の狭い空間だが、現実空間とは確実に切り離されている。
世界は全体的にモノトーンへと色調を落とし、活動する4人の女だけが元の世界から色彩を持ち込めたようだった。
「へぇ、これが久子姉ぇの能力なのか〜。」
感心して茜が言う。さく、さくと微かな音を立てて芝生の上を歩けば、その感触にわずかな違和感。屋上の端に向かって歩けば、フェンスの手前で壁にぶち当たる。これが『世界の果て』だと
いうのだから、本当に限定された空間なのだと茜も感心した。まるで、書き割りに囲まれた映画撮影セットのようでもある。
「わたしだって、あまり余裕のある術ではないんだから、早く始めましょう?」
久子の言葉は、そのままの意味だ。それに促され、茜も、クリスも、みらんも、神妙に肯いた。
さて、4人の女子が授業を抜け出し、わざわざこのような空間まで用意して話し合うこと。
本日の議題は、『お互いの素性を告白すること』、転じて『誰が花村エイジを護るのか』であった。
ことの起こりはその前夜。
とある戦いが起因する。
4人が4人とも、尋常ではない事情を持つ女子である。
倉沢茜は、宇宙からやってきた戦闘種族。
山科久子は、別次元から転生してきた女神。
北条クリスは、未来の地球からやってきたサイボーグ。
藤川みらんは、魔法の国からやってきた魔法少女。
彼女たち4人は、それぞれがそれぞれの敵対勢力との戦いを行っていた。
四人は通常、戦闘時には現状の人間界に出来るだけ干渉しないように、敵を自分たちの特殊な環境に移動させてから闘う。
そのため4人はこれまでお互いの存在を知ることなく、己の使命に則った戦いを続けていたのだが、この日偶然に4人の戦闘が同時に発生した。つまり、4種の超常の敵が、
花村エイジのいる現代の人間世界に、同時に出現したのである。
そして4人のヒロインたちは、そこで初めて自分以外の異能の存在を知ることになる。
赤いバトルプロテクターを装着した姿で、宇宙から来たロボット生命体と戦う倉沢茜。
肌も露わなビキニアーマーを身にまとい、異形の怪物と戦う山科久子。
真っ白な肌に、電子回路を思わせるラインペイントを施した姿で影のような電子生命体と戦う北条クリス。
ひらひらフリルの可愛らしい、スタンダードな魔法少女のスタイルで奇妙な敵と戦う藤川みらん。
そんな4人がばったりと、この日この時はじめて一堂に会してしまった。
192
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:27:53 ID:IfPfqXj60
つまり、4人が4人とも、自分のよく知る友人である女子が、いままで見たこともない格好で、見たこともない敵と闘っていることを知ってしまったのだ。
戦闘が終わった4人は、まだまだ心の動揺と思考の混乱を抱えながらも、それぞれのいきさつを話し合うべく、翌日時間をとることを約束しあった。
それが本日集まった、事情顛末である。
4人のうち、まずは北条クリスが口を開いた。
「エイジさんの脳には、未来から誤って転送された極秘情報が封印されている。これが敵勢力によって解放されると、この時代にあり得ない技術爆発が起きて、人類の未来は早々に
滅亡の道をたどる。それを阻止するのがワタシの任務。」
この時代よりはるか未来、科学技術の発達した世界で開発された超兵器。未来世界ですら持て余す異端科学の情報が、誤って過去に転送されてしまった。すでにこの時代、人体を
量子変換させ時間を逆行させる技術、いわゆるタイムトラベルが可能になっているのである。
そして、誤って送られたデータの転送先は、人間の『脳細胞』。未来の人類は、脳細胞に情報を『記憶』するだけではなく、ハードディスクの要領で圧縮情報を『記録』出来るように
なっていたのだ。
過去に送られたデータは、非常に小さく圧縮されていて、人間一人の脳に収まっている。しかし、何かの弾みで圧縮データが展開されてしまえば脳容量をオーバーし、他の人間の脳に
四散してしまうおそれがある。結果、その時代にあり得ない情報が広まってしまうのだ。
手っ取り早く、過去に遡ってその人間の脳からデータを回収すればいいようにも思われるのだが、間の悪いことにその人物は歴史上重要起点に位置する存在で、迂闊に手を出すことが
出来ない。
やむなく、その人物の脳を守るためにエージェントが送られた。
それが、生体サイボーグ、北条クリスである。
彼女に課せられた任務は、データを脳に植え付けられた問題の対象者を守り、歴史上問題のない自然死の瞬間にデータを回収すること。
そして運の悪い被害者が、この世界で生活する普通の少年、花村エイジだったのである。
簡単な言葉で説明したクリスだったが、やはり他の3人には今一つ理解できないようだ。
やむなく言葉を尽くし、さらに出来るだけ平易な言葉で補足をしてようやく3人の、ざっくりとした理解を得ることが出来た。
そして次は久子の番となった。
「エイジくんは、わたしたちの世界の魔王の生まれ変わりなの。今の彼が正しく天寿を全うしないと、魔王の魂は浄化されません。それを見守るのがわたしの役目よ。」
異世界の勇者であり女神でもある彼女は、自らが死闘の末に倒した魔王を、その魂を浄化させるべく別の次元に転生させた。
彼女は先んじて地球人・山科久子に転生、魔王の魂を浄化する器の少年が生まれてくる前から、彼のそばで見守ってきた。
しかし魔王の部下たちは、自分たちも後を追うように転生し、魔王の魂の器である少年を狙う。彼が早々に命を落とせば、それだけ浄化を免れた魔王が復活するからである。
久子は、『前世の使命』に目覚めた魔王の部下たちから、魔王の魂の器である少年、花村エイジを守るべく、女神の力を使って戦っているのだ。
魂の転生、といっても他人からすればなかなか納得できるものでもない。3人は久子とは違う別々の技術体系を信じきっているわけだから、すべてを理解してもらうのは不可能だろう。
それでも何とか、わかりやすい説明で3人に事情を伝え終えた。
193
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:28:22 ID:IfPfqXj60
3番手は、藤川みらん。
「エイジ先輩は人間の集合無意識の要となる特異点の一人なんです。みらん達の敵の目的は、人間の集合無意識を絶望で染めて、人類を自滅させて地球から消滅させることなんです。
みらんは、エイジ先輩を守るために、この世界にやってきたんです!」
みらんは地球の人間界とリンクした異世界『マジカラーサ』の住人だ。平たくいえば、『魔法の国』である。
先に話が出た久子の出身も異世界であるが、あちらは人間界と完全に切り離された別次元の話。みらんたちの住む世界は、人間界と表裏一体、ともに同じ地球に存在する世界なのだ。
みらんの戦うべき敵とは、みらんたちと同じ魔法の国の住人でありながら地球人類を滅ぼそうとする『スパイダリオン』たちである。
そのスパイダリオンたちが目を付けたのが『特異点』と呼ばれる存在。ただ一個の人間でありながら、集合無意識に多大な影響を与える特別な人間。
集合無意識とは、生命体の種としての無意識がひとつにリンクしたものだ。これがネガティブな思想に傾くと、人類全体が衰退の道へ向かうことになる。
つまり、人類を破滅に向かわせるためには、特異点を集中的に絶望させれば効率的なのだ。
世界に十数名しかいないといわれる特異点の一人が、日本に住む高校生、花村エイジだ。しかし本人、別段特殊な力が使えるわけでもなく、至って普通の少年。
そんな彼を守るためにマジカラーサから派遣された魔法戦士が、みらんである。
魔法の国だとか集合無意識だとか、ずいぶんとファンタジーでファジーな説明になってしまう。突っ込まれても十分な理解を得る返答が出来るほど、弁が立つみらんではない。
とりあえず、これはそういうものだから、といった具合に、大部分に仮定を残したままの曖昧な論調で状況を解説した。
残る一人となった茜が、彼女の事情を話し始めた。
「エイジの肉体には、宇宙の行く末を決めかねない超エネルギー『マスタースパーク』が眠っているんだ。だからあたしが守ってあげないといけないのよ。」
ドヤ顔だ。
茜は、宇宙を二分する戦闘種族の片一方、いわゆる正義の陣営に属する戦士だ。
その正義陣営が守る、宇宙の超エネルギー『マスタースパーク』が輸送中、アクシデントの発生で地球に落としてしまった。
さらに運の悪いことに、落とした先には現地の現住生命体がいて、その生命体の肉体に深く融合してしまったのだ。
マスタースパーク回収のためには、その生命体の肉体から分離させなければいけないが、それはその生命体の死を意味する。
なまじ、全宇宙の博愛を謳う善なる生命体だけに、その生命体をさっさと殺して回収しよう、というわけにはいかない。
やむなく、その生命体の寿命がすぎるまで待って、死んだ段階で回収すればいい、ということになった。
幸い、地球人類に比べてはるかに長命な種族であるからして、50、60のヒトの寿命ぐらい余裕で待てる。まだ焦る段階ではない、ということだ。
そして、その生命体の保護のために派遣されたのが、トラブルを起こした張本人である新米戦士、アカネイザー(藤沢茜)であった。
幸い、敵対する陣営である『ディスイーター』の本隊は、まさか辺境惑星の新米戦士の元にマスタースパークが隠されているなどとは思いもせず、未だ地球には無関心であった。
宇宙の超エネルギー『マスタースパーク』と融合してしまった地球原住民である花村エイジ、その存在を守るのが茜の役目なのだという。
宇宙規模の、それこそ宇宙開闢の頃にまで遡る、二つの陣営の戦い。
その壮大な事情を背景に持つ茜の説明だったが、なにぶん彼女の解説が大胆に端折りすぎているために、根本理解を得られないまま壮大さ、重要性だけが強調されていく。
なかなか共感を得られないまましびれを切らせた茜によって、とにかく大変な事態だ、ということで結論づけられて、彼女による説明は終わった。
194
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:28:43 ID:IfPfqXj60
本日、このような仰々しい術まで使って機密を保った空間で、4人の女子が話すのは、お互いの事情と、彼女ら4人共通の知己、地球人『花村エイジ』がどのような因果を持つのか、
ということだ。
4人の素性はそれぞれ特殊すぎて、共通点など無さそうにも思えるのだが、実のところその骨子は非常に似通っている。
共通点は、4人とも、それぞれ護るべきものがあるということなのだ。
つまり、彼女たちの戦いは基本的に、敵を攻め立てて滅ぼすたぐいの侵攻戦ではなく、大切なものを護るために闘う、防衛戦といえる。
四人はそれぞれ、闘う理由があり、エイジを守る大儀がある。
一同がそれぞれの事情を説明したあと、こんどは茜が口を開いた。
「地球とか人類とか、スケールがちっちゃいよ。こっちは宇宙の未来がかかってるんだから。」
へらり、と緩やかな笑いを浮かべて、茜が言った。その言葉にはクリスとみらんも、む、と唇をとがらせる。
しかし茜に意見したのはその2人ではなく、穏やかに言葉を聞いていた久子だった。
「その、宇宙スケールのエネルギーを守る戦士にしては、少し頼りないような気がするのだけど。茜ちゃんが落としちゃったんでしょ?」
「う、ぐ・・・。」
的確な指摘。非常に痛い所を突かれた茜は、短く唸ってから、しゅんと力なく項垂れた。
いつも通りといえばいつもの通り、相変わらず久子には頭が上がらない茜であるが、必ずしも久子が常に全員の上位とは限らない。
茜をいさめた久子に、今度はクリスが意見する。
「それをいうなら、ワタシ達の世界とは別次元の敵を引き込んでいる、傍迷惑な女神様もたいがいなのでは。」
そのあたり、普段からかなり後ろめたく感じている久子は、はっきりと指摘されるとてきめんにへこんでしまう。
クールに言い放ったクリスであるが、彼女自身も次の標的になる。
「って、エイジ先輩は未来の事故のせいで迷惑してるのじゃないかな?」
そう呟いたのはみらんだ。
「だいたい、みなさんはエイジ先輩に迷惑をかけすぎなんですよ。
そのてんみらんは純粋に、特異点になってしまったエイジ先輩を守りたいだけなんですから。」
一同のなかで最年少、唯一の後輩である彼女から説教にも似た言い方をされて、残る三人一斉に眉尻をつり上げた。
「お子さまは黙ってて!」
「ふぇぇ・・・。」
三人同時にキツく言い返されて、調子に乗りかけていたみらんは早々に出鼻をくじかれた。
四人が四人とも事情がある、とはいえ、それらは当然彼女ら自身の持ち込んだ事情であり、この場合の被害者である花村エイジからすれば迷惑きわまりないことである。
論点がそこにシフトすると、必然的にお互いのミスを指摘し合うことになるのは当然といえる。
そうして一通り、お互いの痛いところを指摘しあうと、焦れた茜が声を上げた。
「いいから! エイジのことはあたしが守るから! みんなだってエイジが無事ならそれでいいんでしょ?」
自分の未熟をさんざん指摘された茜が、キレたようだ。
彼女はそういって、他者の排除を宣言した。確かに、この場合の被害者である花村エイジが結果的に無事でありさえすれば、守護者が誰であろうとも、いや、誰も守らなくてもいいという
極論になる。
茜はそれをふまえ、自分が責任を持つから彼に手を出すな、というのだ。
しかし、そう言われて簡単にみんなは引き下がらない。
195
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:29:14 ID:IfPfqXj60
「いいえ。エイジくんはわたしが守ります。ですからみなさん、安心してお引き取りを。」
「ワタシは、エイジさんを守ることが任務。それ以外の選択肢はない。」
「エ、エイジ先輩を守ることは、みんなのためになることなんです! みらんが全力で、責任を持ってやり遂げますから、みらんに任せてください!」
結局は三人とも、同じことを申し出る。
その後も、自分の能力があれば彼を守れる、特殊な局面で彼を守れるのは自分しかいない、等々と、誰一人として彼を守ることを他人に委ねることをしない。
そうして議論は口論となり、膠着の様相をみせたとき、またしても茜がキレた。
「もう! あたしはエイジが好きなの! だからいっしょにいたいのっ!!」
今まで、彼女なりに述べてきた理屈や義務責任、そう言った硬い言葉の根っこにある本音の部分が出た。
義務があるから戦うのではない。
負い目があるから守るのではない。
ただ純粋に、彼が好きだから、彼のためだけに戦いたいのだ。
顔を真っ赤にして、今まで誰にも告げたことのない本心を叫んだ茜。
これは彼女の初恋だ。出会いのいきさつこそ不幸な事故であり、上司から言い渡された使命であり負い目からの責任感であった。
だが今ここにいたるに彼女の戦うべき理由は、当初のそれとはまるで変わっていたのだ。
しかし、そう言った変化を遂げていたのは、茜だけではない。
「わたしだって、エイジくんのことが好きです。魔王の魂とか、そんなの関係ありません。」
幼い頃から、姉のような存在として彼を見守ってきた久子。しかしいつしか、むしろ彼の存在こそ自分の心を癒してくれていたことに気が付いた。
「ワタシも、エイジさんのことが、好き、なのです。こんな気持ちになるのは初めてで、ワタシ自身、戸惑っているのですが。」
任務に忠実なサイボーグであったクリスが、エイジと出会うことで変化を始めた。凍った心が溶けだした。止まっていた歯車が動き出した。彼との出会いは、彼女が無くした心を見つけだす、
奇跡ともいえる出来事だったのだ。
「エイジ先輩は、みらんにとっては運命のひとです。任務とか関係なくて、とても大切なひとなんです。」
純粋な少女の恋心は、強い。運命的、などという乙女風のコーティングであっても、その芯はただただ一途に男を慕う、女の強い愛情なのである。
たとえお仕着せで与えられた任務がその出会いであっても、そこから育まれた感情は、正真正銘、彼女にとっての純粋な恋心なのだ。
ここに来て、四人の女がこの場に集まった趣旨が大きく変わった。
一人の守護対象にまつわる脅威の確認と共有、といった情報交換が当初の趣旨だった。
しかし今は、一人の男にたいする思慕恋慕を主張し合う場となってしまった。
つまりは、修羅場、である。
当初こそ、事情は異なるとはいえそれぞれの論理的な主張で議論がなされていたのだが、もう今となっては、ただ感情に従って口論しているだけであった。
好きな男を譲らない、という点においては、四人は誰にも劣らぬ意志を持っていた。
長い時間、気持ちを暖めていた女。短いながらもより強く惹かれていった女。
男に対する接し方はそれぞれ違いはあるものの、彼のことが好き、という点に関しては同じベクトルの四人。
そんな四人が言い合っても、簡単に決着が付く問題ではない。
そうやって口論までも膠着すれば、今度はそれが迷走するのも仕方のないこと。
196
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:29:44 ID:IfPfqXj60
「ワタシは、エイジさんに抱かれたい、と強く想う。」
脈絡無く、唐突にクリスがいった言葉に、久子と茜は言葉を詰まらせた。
しかし、言葉の真意を読み切れなかったみらんだけが反論した。
「みらんだって、エイジ先輩に抱きしめて欲しいです。ぎゅっ、ってしてくれたらすごく嬉しいです!」
ようは、みらんはまだ子供だということだ。
それを諭すかのように、クリスがいう。
「ワタシが望むのは、セックスです。エイジさんに、ワタシを女として抱いて欲しい。」
そこでようやく意味を悟ったみらんが、顔を真っ赤にして口をぱくぱく。
北欧の血を強く引いた美少女、クリスが、その華奢な身体を寂しそうに抱いた。男を求める、切ない女の仕草だ。
そんなクリスの、かすかに漂わせるオンナの空気に、たまらず声を上げて張り合うものがあった。
「わたし、エイジくんの赤ちゃんがほしいの!」
久子だ。
普段から慎ましく、あけすけなことは言わない彼女が、思わず張り合ってしまった。
「わたしも、エイジくんとエッチなことがしたい! それで、二人の愛の結晶を作りたい!」
異世界の女神も、ずいぶんと普通な女の夢を持っていた。
「そ、そんなの、あたしだって欲しいに決まってるよっ!」
「ワタシの本能が告げている。彼の子を孕めと。」
「みらんだって、エイジ先輩の赤ちゃん、欲しいですっ!!」
子造り発言は、他の三人にしてもつられて出てくるものの、もちろんそれは今さっき思いついた言葉ではない。心の奥に秘めていた希望を明かしただけにすぎない。
「エッチなことしなくても、コウノトリさんだったらきっとみらんとエイジ先輩のところに来てくれるはずです!」
ただ一人だけは、あまり正しい知識を持っているわけではなかったようだ。さすがメルヘン世界の住人。
それまでかなりヒートアップしていた三人は、天然ボケともいえるみらんの言葉に、がっくりと力が抜けてしまったのだった。
197
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:30:09 ID:IfPfqXj60
少しの間、言葉が途切れた。
こうして四人、言い争ってはいるが、基本的には仲がいい。
茜と久子は幼い頃からの姉妹のようだし、クリスも素直で気のいい少女だ。みらんは健気で、みんなの妹分として可愛がられている。
いままでそれぞれが、一人の男を譲らない、と強く主張し合ってきた。
しかし、言葉が途切れた少しの今、ふと思う。
自分が彼と結ばれたとき、他の三人はどうなるのか。
その自問の、答は簡単に出た。
つまり、自分が彼と結ばれなかったときのことを想像すればいいのだ。
それはひどく寂しく、悲しい気持ちだった。
そしてそれに気づいてしまっては、自分ただ一人が彼と結ばれても、完全に幸福な気持ちにはなれないということも同時に明らかになった。友人たちに強い悲しみを与え、自分だけが
幸福になることが出来るのか?
その考えに行き着いてしまい、四人の途切れた言葉はしばらく紡がれることはなかった。
「て、提案があります。」
無言の時間を止めて、発言したのは久子だった。
結論。
四人同時に交際してもらおう。
198
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:30:36 ID:IfPfqXj60
四人の少女が申し出た、全員一緒に付き合ってもらうという提案は、少年からしても相当の驚きではあったらしく、はじめはかなり狼狽した。
四人の意見さえ揃えばあとは行動あるのみ、彼女らは翌日、話題の焦点である少年、花村エイジとの対話の時間を設けた。
そして彼女らは少年に、昨日決めたばかりの提案を少年に申し出た。
もちろん、彼女たちの素性はすべて伏せたままだ。それらのことを守護対象であるエイジ少年が知るところとなれば、間違いなく彼は彼女らをおもんばかり、自分にできる最善の行動を
とろうとする。場合によっては彼に強い危険が及ぶことになる。
それならば、と四人は約束した。
今後いっさい、彼に気づかれることなく、彼を守り通そうと。
そして前述の通り、彼に対する告白は、今まで通り少年と接してきた少女として、四人の気持ちの部分だけを正直に告げた。
普通に考えれば、四人の女たちがそれぞれ自分を選べと迫るであろうところ、同時に付き合ってくれと言う申し出となったわけだから、少年も面食らうはずである。
しかし彼とて、四人それぞれに恋愛感情を持ち、取捨選択の出来ないところまで好意を高めてしまっていた状態であり、彼女らの申し出はその唯一の救済でもあった。
かくして、男一人と女四人同時の交際が開始された。
肉体的な交わり、つまりセックスに関しても、交際開始のほぼ直後に行われた。
その際に、彼女ら四人の間でいくつかの取り決めがあった。
ひとつは、抜け駆けをしないこと。
他の女を出し抜いて、一人だけが少年と関係を進めることがないように、誓い合った。
つまり、セックスをするときには必ず全員揃ってでしか行わないこととし、プレイ内容も四人足並みをそろえるようにした。さらに、能動的な受精もしばらくは控えることにして、
誰か一人が危険日となれば他の者も性交時には避妊具をつけて臨むようにした。
この、避妊に関しては、四人は少年に、まだ学生だから、といった至極当然の理由付けをしているのだが、本音では先述の諍い時のように彼の子を宿すことを強く望んでいる。
しかし、彼に話した理由は仮初めであり、四人がそれぞれ超常の存在と戦う女戦士であることが本当のところである。
妊娠して、おなかの大きくなった状態では、敵と戦い彼を守ることも出来ないであろうからだ。
四人が取り交わした取り決めの二つ目は、先も言ったことだが、彼を戦いに巻き込まないこと。
実際、彼は非常にデリケートな立場である。
前述の通り、四人のそれぞれの戦う理由の深いところに食い込んでいる彼は、敵に襲われて負傷するといった事態も避けなければならない。
彼女らの持つそれぞれの力には、瀕死の怪我をも治してしまう奇跡の力がある。しかしそれらは、彼の持つ特殊な事情を考慮すると迂闊に使用することが出来ない。彼女たちの力が
それぞれの事情に対して、どのように相互影響するのかまったく読めないからである。
それらの理由から、彼を戦いに巻き込まないことを徹底することに決めた。
そうなると当然、彼女らの正体を彼に明かすことも言語道断となる。
残念ながら、彼女たちはそれぞれ固有の敵対存在以外に対しては、決定的な攻撃方法を持たない。たとえば、みらんの魔法攻撃が通用するのはみらんが戦うスパイダリオンに対してであり、
久子の敵である転生体や茜の戦う宇宙から来た機械生命体、クリスの戦う情報生命体にはほとんど効力を持たない。そしてそれは、茜や久子、クリスにしても同じことが当てはまる。
四人は、共闘は出来ないながらも、彼を守るためにそれぞれががんばることを誓い合ったのだ。
そのような顛末があり、少年と暮らす平和な学園生活の裏で、影となって戦う少女たちの活躍が続くのである。
ここで時を進め、四人の少女と一人の少年が結ばれて数ヶ月が経過した日の出来事。
出来事、とはいっても、その日も特に変わりなく、ほぼ毎週となったハーレムパーティーの夜。
199
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:31:07 ID:IfPfqXj60
四人の少女と一人の少年による乱交セックス、以後お泊まり会と称する集まりは、通常、クリスの住居にて行われる。
この世界の人間夫婦の実子として転生した久子や、偽りの記憶を与えられた家族の住居に住む茜やみらんの住居はそれなりに都合がつきにくく、会場には適さない。両親こそいないものの
祖父等と同居しているエイジ少年の自宅も同様である。
その点、仮想の両親を立体ホログラム投影で誤魔化してきたクリスの住居は、実質一人住まいであるために都合がよかったのだ。
ちなみに、茜、久子、みらんはそれぞれの両親に、クリスの家で勉強会という口実を使っている。もちろん少年少女だけしかいないなどとは伝えず、ちゃんとクリスの両親も家にいることに
なっている。さらにみらんの得意とする、人間の精神に影響する魔法を使い、疑いが向かないようにしてある。
みらんの魔法を使って、彼らの乱交を当たり前に認めさせることも可能だったが、あまり現実からかけ離れた常識改変は長期的に見ると破綻する可能性が高く、出来るだけリスクの
少ないものを選んで実行しているのだ。
そしてエイジ少年は、祖父に対して、クリスの家の防犯目的であると説明した。しかし彼の祖父はうすうす、彼と四人の少女の関係を見抜いている節があり、なおかつそれを肯定していた。
さすがに四人の真の姿までは理解していないだろうが、女四人を同時に恋人にした孫の甲斐性を誇っているようにも見受けられる。
話がやや逸れてしまったので、ここで軌道修正。
この日は土曜日、いつものように午前中の授業を終え、午後の課外活動をすませたあとに彼らは、揃って夕食をとった。
当初の予定であったすき焼きは、みらんと敵の戦いの影響で臨時休業となり、次候補であったステーキレストランはスパイダリオンの前線基地であったが、
彼らの一時撤退により放棄されてしまった。
やむなく近場の店で簡単に食事をすませた彼らはクリスの家に直行し、今宵のパーティーが始まったのである。
先にエイジが入浴し、次いで女たちが順番に風呂を使う。
この入浴にしても、身体を許し合った若い男女ならば、一緒に入ってあれやこれやといった楽しみもあるはずなのだが、残念ながらそれはまだ実現していない。
この風呂はアパート向けの小型ユニットバスで、五人が一緒にはいるのは狭すぎる。
四人は、抜け駆けしない取り決めに従い、五人一緒に入れないのならいっそ彼とは別個に入るべきだということになった。
一番風呂は男から、などと、昭和の女のような奥ゆかしさを発揮して彼に入浴を勧め、そのあとで茜と久子、クリスとみらんがそれぞれ二人して湯を使った。
クリスとみらんが入浴をすませ、部屋に向かった。その部屋とは、今晩彼女たちが彼を迎えるための部屋ではなく、いわば控えの部屋である。エイジ少年には、クリスの両親の部屋といって
入室を遠慮してもらっているが、その両親とは架空の存在なので、実質的にもこの部屋はクリスのための控え部屋として使用されている。
「うっ!」
クリスがその部屋に入るやいなや、目に飛び込んできたビジュアルに、彼女らしからぬ驚きの声を上げた。
続いて、クリスの背後からひょっこりと顔を出したみらんも、同様に声を上げた。
「な、なんて格好ですか、茜先輩!」
部屋にいたのは、先に入浴を済ませた茜と久子だ。
その二人の内、主に茜が、クリスとみらんの驚きの元になっていた。
「ん? どしたの?」
二人の驚きに、茜はスクワットをやめないままに声を返した。
茜は、暇があればこういったスクワット運動や、体の筋肉を伸ばすためのストレッチ体操などをして時間をつぶしていた。
そのことであれば、クリスもみらんも特に驚くことではなかったが、ただ今はその運動を、ずいぶんとおかしな衣装をつけて行っていたからだ。
いや、衣装というよりも、紐、だ。
「ああ、これ? 今日のランジェリーショーのために選んだとっておきの下着なんだ。」
そう言って茜は、立ち上がって身につけた紐、もとい彼女の弁を借りるならば下着を、クリスとみらんに披露した。
200
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:31:31 ID:IfPfqXj60
「わたしは、やめなさいってさんざん言ったんですけど・・・。」
呆れすぎて憔悴したような表情の久子が言った。
彼女は、大人っぽい黒のレースの下着をつけている。その下着の趣味も上品で、黒とはいえ下品すぎず、久子の優雅な美しさを引き立てている。
さて、茜の言った『ランジェリーショー』とは?
数日前に遡る。
夜の闇、ほの暗い灯りの下に集まった少女たち。
ひらひらフリルのミニスカートに、メルヘンチックなパステルカラーの魔法少女スタイルの、みらん。
かすかな光をもキラリと赤く反射する、深紅のメタルスーツに身を包んだ、茜。
純白の裸体にフィットした、電子機器のサーキットを思わせるラインを走らせたボディスーツの、クリス。
グラマラスな肢体の胸と腰、必要最小限の部位を守るビキニアーマーの女戦士、久子。
もし、その場を目撃するものがいれば、「夜中にコスプレの集まりとはまた酔狂な」などと呆れるところだろう。
しかしここは、そういった通りすがりの目撃者のたぐいが存在しない世界、『時間凍結領域』。
この世界を、宇宙からの機械生命体の脅威から守るため、スーパーテクノロジーによって作り出された完全無人の世界。
この日はたまたま、四人がほとんど同時に敵の襲撃にあっていた。何とかそれを退けたあと、茜が他の三人を誘い、少しの休憩時間となったのである。
戦いを終えたあとの四人は、その肉体の疲れを睡眠で癒すまでの間しばらく、仲のよい友人たちと談笑し、精神の憩いとしているようだ。
彼女たちは、人知れず、主に花村エイジ少年には絶対秘密厳守で戦う女戦士たちである。本来ならばその秘密を、自分一人で背負って戦わなければいけなかったはず。
しかし、こうしてぶっちゃけて話せる友人が出来たことは、彼女たちにとって非常に大きな、心の息抜きなのである。
戦いの中の愚痴もあろう、悩みもあろう。しかしそれを友人たちに話すことで、いったいどれほどの救いとなってきたことか。
そして四人の話題は、必然一つに絞られる。彼女ら共通の恋人である、花村エイジのことである。
その日は、次のハーレムパーティーに向けて、何か彼を喜ばせる趣向はないものか、と意見を出し合っていた。
「ランジェリーショーをしましょう!」
意気揚々と挙手して発言したのは、魔法な乙女・みらくるみらん。
「みらんたちが、それぞれとびっきり魅力的な下着姿をエイジ先輩に披露して、楽しんでもらうんです。」
耳を傾ける三人に、弾むような口調で語るみらん、自信たっぷりだ。
「なんていいますか、下着は女の子を可愛らしく包むラッピングみたいなものだと思うんです。
たしかに裸のほうがえっちくてエイジ先輩も喜ぶとは思うんですけど、たまには、こういうのも良いかなって。」
「なるほど。エイジさんにだけ見せるインナーのおしゃれというのも、なかなか興味深いですね。」
腕を組み、ふむふむと納得する、SF未来世紀クリス・クロス。
「まぁ、それでエイジくんが喜んでくれるなら、そういうのもいいかも。」
恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、まんざらでなさそうな神聖世界のエクスソフィア。
「よーし、それじゃあとびっきりセクシーなの選んで、エイジを悩殺しちゃうぞ!」
無駄に意気込み力のあふれた、宇宙超人アカネイザー。
みらんの提案に、三人はおおむね同調したようだった。
そしてみらんの提案は承認され、次回の趣向には彼女らの秘密のランジェリーショーが催されることとなった。
201
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:31:52 ID:IfPfqXj60
斯くいったいきさつがあった。
そのいきさつでもって、茜の、この下着と言うにはあまりにも面積が少なすぎる紐状の下着にいたるのである。
なまじ、茜が胸も豊満で、女性としてのボディラインも整った魅力的な裸体であるから、そのあまりにも露骨なイロモノ下着の着用は、センスを疑うシロモノとなるのだった。
クリスが入室し、みらんが続いてから後ろ手に扉を閉めた。
「茜さん、『それ』、なんなんです?」
もとより表情の変化の少ないクリスだが、それでもやや睨むように瞳を細くすれば、視線はさらに冷たいものになる。
「『それ』って、この下着のこと? さっきも言ったじゃん。」
「『それ』、下着だったんですか。ワタシはてっきり、ご自慢のメタルスーツのセンサー端子か何かだと思いました。」
戦闘用スーツ着用時に、装着者のバイオフィードバックを目的としたセンサーを肌につけることがある、というのはクリスの元いた時代での知識。
クリスは、もちろん比喩ではなく揶揄の意味を込めてそう言ったのだが。
「あたしのスーツは、母艦が直接あたしのコンディションをモニタするから、そんなの着ける必要ないよ。」
皮肉も通じなかった。
「茜先輩、その下着は、下品すぎますよ。」
クリスの皮肉も通じなかったのを見てみらんは、ダイレクトに言ってのけた。
それに続いて、久子も発言する。
「わたしもさっきから、さんざん言いました。」
久子の言葉には、多くの溜息成分が含まれていて、さすがにそれには茜もムッと唇を尖らせた。
クリスみらん両名がくるまでに、久子からしつこく言われていたのだろう。
「べつに下品ってわけじゃないよ。セクシーといって欲しいな。」
茜が反論。そして一言付け足して。
「普段、ピチピチのビキニアーマーで闘ってる久子姉ぇに言われたくないな〜。」
「なッ!」
逆に突っ込まれて、久子がいきり立つ。
「あ、あれは、女神の正当な戦闘衣装なんです!いかがわしい目で見ないでください!」
確かに、姿だけを切り取って論じるのであれば、久子の戦闘姿は、きわどいビキニの面積くらいしか肌を被うものがない、露出過多の姿といえよう。
強い口調の久子だが、その頬の紅潮は憤りからだけではないようだ。どうやら本人も、多少の羞恥は感じている模様。
「しかし見た目はどう見てもビキニ。」
突っ込んだのはクリス。
先ほどまでの矛先を茜から久子に向けたクリスは、事実を、ただ冷静に述べたにすぎない。
「ほとんど裸に近いボディスーツで闘ってるクリスさんには言われたくないです!」
「まぁね、あれは普通の人が見たら、ただの露出狂だよね。クリスもほんと、よくやるよ。」
矛先が返ってきてしまったクリス、唇をへの字に結んで閉口した。確かにその指摘もまた、事実だからだ。
202
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:32:16 ID:IfPfqXj60
「み、みなさん、落ち着いてください〜」
なんだか口論が茜のエロ下着を責める流れから拡大しつつあるのを感じたみらんが仲裁に入るも、
「「「お子さまは黙ってて」」」
三人同時に返されてしまった。
みらん涙目である。
「ふえぇ・・・・・・」
結局、茜の紐下着の件は有耶無耶になってしまった。
女たちは各自それぞれ、今夜のためにチョイスした下着を着用した。勝負下着、というのが適切か。
とにかく、それらの下着が、エイジ少年のお気に召せばなにも問題ないだろう、ということなのである。
髪を整えたり、お肌のケアをしたりと、乙女たちはいろいろと身繕いが必要である。
その間、少年は居間でテレビなどを見てくつろいでいるわけだが、あまり待たせるのも酷だろうが、少年を抜いた四人の秘密話もまだ少しあるようなので、彼にはもう少しの間待っていて
もらおう。
「あのー、みなさんにお聞きしたいんですけど。」
クリスのサラサラ金髪を梳りながら、みらんが言った。
「エイジ先輩って、えっちの回数とかすごいじゃないですか。」
彼女の言葉に、皆一様に頷く。
「あー、確かにスゴいよねぇ。相当鍛えて体力には自信があるあたしでも、次の日は腰がガクガクいっちゃってるもん。」
スポーツ万能でならす彼女ですら、少年の責めには屈するしかない現状である。
「いろいろと調べてみたんですが、この世界の、ふつうの男の人って、短時間のうちに何回もえっちするのは難しいらしいんです。
これって、どなたかがエイジ先輩の身体になにか手を加えたってことなんですか?」
みらんの、素朴な疑問であると同時に、少年の肉体に関する根本的な異常現象の確認である。
「それは、ワタシも疑問に思っていた。精液の量も、1度目の射精から次第に薄れていくものだと聞いた。もちろんワタシはなにも手を出していない。
不用意に調整を入れると、プロテクトに悪影響があるかもしれないから。」
クリスが、冷静に分析する。しかし当然、思い当たる節もないわけだ。
「あたしだって、なにもしてないよ? エイジがあたしの生まれて初めての相手だったから、地球人のセックスってこういうもんなんだ〜って思ってたし。」
「わたしも、とくにこれといっては。」
茜が言い、久子も短く同調する。
「ただ、考えられる原因もなくはありません。なにせ、エイジくんは魔王の魂を受け入れた器だから。」
203
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:32:45 ID:IfPfqXj60
付け加えるように、久子が言うと、
「そういわれると、マスタースパークのエネルギーが影響してるのかもしれない。」
同じように茜も思うところを述べた。
「なんてったって、特異点ですから。」
みらんまでも、短く言葉を付け加える。
「・・・・・・・。」
凪のように穏やかな表情が、ほんの少し動いた。わずかに強く唇が結ばれ、不機嫌な表情となる。どうやら、自分のかかわる事情からは、特にそれらの影響を与えていなさそうであると
自分でわかってしまったために、それが面白くないのだろう。勝ち負けがあるわけでもないのに、負けた気分だ。
「結局、ワタシ達の誰もがエイジさんを加工していないとなれば、もうあれは天然の絶倫ということになる。」
クリスがそうやって強引に話をまとめにいった。いっそ、誰の事情からも影響を受けていないと結論づけたいらしい。
「エイジさんは、生まれついての絶倫なのです。それが結論です。」
クリスが最後に、これ以上の意見は許さないと言わんばかりにぴしゃりと会話を切り上げた。
このように、一応の確認という形はとったが、それ以前に四人の結んだ協定によって、エイジの肉体、精神への介入は禁止と取り決めてある。
ただでさえエイジの肉体および精神は、宇宙の高エネルギー『マスタースパーク』の融合した魔王の魂の器であり、未来からの超科学データを封印した頭脳は人類全体の集合無意識に
強く影響する特異点なのである。
とにかく、これ以上不用意に、エイジへの干渉を避けねばならない。記憶削除なども出来ないから必然的にエイジに秘密を見られてはいけない。怪我の程度を問わず彼女らの特殊な能力を
使うわけにはいかないので、すべては現代医療技術に頼るしかないとなれば、肉体的な危険にほんの少しでもさらすわけにもいかない。
それ故に、彼女らの戦いは彼に知られてはいけない。世界中誰もが知るところになったとしても、絶対彼にだけは秘密にしなければいけない。
だから、そんな四人の決意は、彼の前ではおくびにも出さない。
彼の前では、少女戦士ではなく、恋する乙女でありたい。
204
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:33:34 ID:IfPfqXj60
「あとさぁ、」
茜が言う。柔軟体操も〆に入り、軽く体を慣らしながら。
「みんな、あれ、本当に演技なの?」
茜のその言葉に、ほかの三人は、ギクリ、と身体を硬くした。
「あたし、エイジに抱かれてると幸せになっちゃって、あんな感じで乱れちゃうんだけどさ。
久子姉ぇに言われたみたいに、とても演技なんてできないよ。」
茜の言葉、それは、四人の少女たちがエイジ少年に初めて抱かれる前に、久子から与えられた指示に起因する。
『エイジくんの魂には、魔王の魂が入っています。
効率的に浄化を進めるためには、魔王が持つ嗜虐心を発散させてあげなければいけません。
しかし、普段の生活でそれを外に出すと、周りに被害が出ますし、エイジくんの評判もさがってしまいます。
ですから、エッチの時に、わたしたち相手に思いっきり発散してもらいましょう。
恥ずかしいだろうけど我慢して、おもいっきりエッチに振る舞いましょう。』
久子の指示に、ほかの三人は快く同意した。
そして、セックスの時にはできるだけ、彼にいじめられるのが嬉しい『フリ』をして、彼の嗜虐心を満たし発散させてあげようと決めたのである。
「みんなはエイジのために一生懸命演技してるのに、あたしは素のままであんな感じだから、みんなに悪いなぁ、っておもっちゃうんだ。」
茜が言ったあと、少しの微妙な間を空けて、みらんが挙手、発言した。
「あのぅ、みらんもじつは、演技なんて出来ませんでした。
恥ずかしいですけど、あれ、本当に嬉しいんです。
実はみらん、本当はスゴいエッチな女の子だったみたいです。」
恥ずかしそうに告白した。
見かけは中学生かと思える彼女の乱れる様は、そのギャップが激しすぎて非常に背徳的な雰囲気を持つ。
彼女の告白によれば、どうやらそれは演技抜き、本当の彼女の姿だったようだ。
「だよねぇ!! エイジのセックス気持ちよすぎて、演技なんかしてる余裕なんてないよね!?」
「そうですよ! もう、みらん、コウノトリなんて信じられません! 本当のオトナの身体になりましたから!!」
告白を終えた茜とみらんは、ハイタッチして同類の契りを結んだ。
そんな二人の言葉に続き、今度はクリスが挙手。
「言っておきますが、ワタシは最初から演技など考えていません。
ワタシをイカセまくっているのはエイジさんのセックスの強さに間違いありませんし、
恥ずかしく乱れまくっているのはワタシがエイジさんに屈服した牝である当たり前の証左です。」
無表情でVサイン。
「あ〜、わかるわかる! もうあたしの身体は、エイジに征服されちゃったんだ! って考えただけでも濡れて来ちゃう!!」
「みらんも異存なし!です! みらんの身体はもう、エイジ先輩のオチンポ無しには生きていけません!!」
「ワタシがオンナの身体で生まれてきたことは、このためにあったのだと、真理を見ましたね。
エイジさんに抱かれて演技などと、おこがましいにもほどがあります。」
そうして三人は、はいはいはい!と互いの手を合わせてトリプルハイタッチ。
205
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:34:06 ID:IfPfqXj60
「というわけで、ゴメンね、久子姉ぇ。」
「みらんたち、久子先輩の指示を守っていなかったんです。」
「久子さん一人に恥ずかしい想いをさせて申し訳ありません。」
告白を終え、三人の仲間意識がまとまって、残る久子に謝罪する。
当初のように指示を出していた久子だが、実際にほかの三人は演技などするまでもなく、エイジのセックスに屈服し、さんざん恥ずかしい嬌態を晒していたのである。
「そ・・・そうでしたか。
でも、それでエイジ君が喜んでくれるなら、なにも問題はありません。
わたしも、今まで通り、エイジくんに喜んでもらえるように恥ずかしい演技を・・・。」
つい、と視線を逸らせて言う久子、その挙動に三人、ピンときた。
「実は久子姉ぇも、演技とか関係なくヨがってたのかな?」
「いつもの久子先輩からは想像も出来ないほど、いやらしくイきまくってましたよね?」
「エイジさんに虐められたいとか、どうみても本心でしたし。」
三人が三人、ニヤついた視線で久子を責める。
そしてとうとう、その視線に耐えかねたのか、久子が声を上げた。
「ああもう! そうですそのとおりです!!
わたしも演技なんて出来ませんでした!
エイジくんに抱かれてると、もうメチャクチャにして欲しくてたまらなくなっちゃうの!!
気がついたら、どんどんエッチな言葉でエイジくんに甘えてるし、信じられないくらい恥ずかしい格好でエイジくんを誘ってるの!!
わたし、女神なのに、スゴくイヤラシいオンナなの!
エイジくんのためなら、どんなエッチなことだってウキウキして応じちゃう、インラン女神なの!!
もうわたし、エイジくん専用のセックス奴隷なの!!」
普段押さえてる分、出るときは勢いがついてしまうのだろうか。
久子は顔を真っ赤にして恥ずかしがりながら、恥ずかしい告白をまくし立てた。
そのあとしばらくの間。そして、茜が久子に声をかけた。
「いいじゃん、ドスケベインラン女神で。エイジもきっと、そんな久子姉ぇのこと、好きに決まってるし。」
慰めるような、励ますような。
「そうですよ、久子先輩のイヤラシい姿、とってもエロいんですから、自信を持って下さい!
久子先輩くらい完璧なマゾ牝奴隷はそうそう居ません!
エイジ先輩も絶対喜んでますよ!」
「エイジさんが天然の絶倫ならば、久子さんも天然の精液便所女神。
誰に遠慮することはありません。もっとその浅ましい本性をさらけ出すのです。」
三人からそれぞれ声をかけられて、その慰めの心に打たれた久子は感動しかけたが、それにしても。
「・・・・・・そこまで言わなくても・・・・・・。」
非常に複雑な気分なのであった。
206
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:34:30 ID:IfPfqXj60
「さて、それじゃあそろそろ行きますか。」
茜が立ち上がる。まるで痴女かと嗜好を疑うセクシーランジェリーだが、その中身はまっすぐな、純情乙女一直線だ。
「そうね、エイジくんも待ちくたびれてるだろうし。」
続いたのが久子。彼の姉的存在にして、実は彼女の方が彼に依存しているという事実。
「みらんも、ドキドキしてきました〜!」
みらんが倣って、跳ねるように立ち上がった。恋をするのも一生懸命、健気さが光る女の子。
「では、エイジさんと過ごすご褒美タイム、存分に満喫しましょう。」
最後に立ち上がったクリス。クール無表情はあくまでも一見だけ、微細ながらも意外と表情の多い彼女。
そうして四人は部屋を出た。
これから、最愛の男との、幸せな時間を過ごす彼女たち。
とりあえずはランジェリーショー、エイジ少年が悦んでくれれば嬉しい、というのは四人共通の思惑で。
胸を躍らせる少女たちの足取りも軽い。
さてそれでは、ショーの開幕。
はじまり、はじまり。
END OF TEXT
207
:
『こんなメディアミックスを考えた』設定編
:2011/11/03(木) 00:35:03 ID:IfPfqXj60
コンシューマーゲームソフト『秘斗忍術姉妹伝かげりとあかり』
近隣からは『幽霊屋敷』として恐れられる廃家屋に、二人の少女が息を潜めて暮らしていた。
彼女たちは、とある使命を帯びて、ここにいた。
生まれたときから架せられた、運命の少年を守るという使命。
その使命を託された、二人の少女。
姉、かげりと妹、あかり。
無敵の忍法を使い、数多の敵を屠ふってきた、恐るべき手練れの姉妹。
その正体、いまだ誰も知らず。
20012年冬発売に向けて、鋭意制作中!
208
:
名無しさん@ハーレム大好き
:2011/11/03(木) 00:35:47 ID:IfPfqXj60
以上です。
長々と申し訳ありませんでした。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板