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△▼△アポロチョコ▲▽▲

221171:2003/10/30(木) 21:43

話の流れ切ってスマソ。
うpすると言っておきながら、えらくかかってしまいました。

【VO エチーなし 捏造もいいとこ 1/3】

けば立った板張りの床の上に座ったまま、オーランドは裸足のつま先をそーっと伸ばして壁際のラジエータにくっつけてみた。夜の雨に冷えきった足の芯がビクリとふるえて、やがてじんわりと温まってゆく。かすかな低い音をたててスチームの通いはじめたパネルは、まだじっと我慢していられるくらいの熱さだ。亜麻仁油の匂いをふくんだ空気が、壁のあちこちにカンヴァスの木枠が凭れかかった天井の高い室内をゆっくりと循環しはじめる。
年代もののビルディングに似つかわしい縦長な上下式窓の上には、上等な背広とネクタイがハンガーの上で、文字どおりの濡れネズミみたいな色になって揺れていた。
髪を拭いていたタオルをそのまま首に引っかけて立ち上がる。ジーンズとカットソーの中で胸まわりもウエストも泳いでいるのはしかたない。それらの服は、いま隣の部屋にいるこのステューディオの主の所有物なのだ。
開け放ったドアの中に、へたをするとレモンマヨネーズの代わりにテンペラ絵具と水溶石膏のたっぷりかかった蟹肉サラダでも出てきそうなキッチンが見える。
「ヴィーグ」
オーランドは隣のキッチンでコーヒーを沸かしている部屋のあるじの背中に向かって呼びかけた。
画材の林の中に食糧の混在するキッチンテーブルに向かっていたストロベリーブロンドの後ろ姿が、ゆっくりとふり向く。
「…きみは夜中の2時にどこの反戦集会へ行く気だ」
「だってどれでも着てろって、ドロワー開けたらあったからさ」
苦笑する家主の前でぺろりと舌を出すオーランドの、白いカットソーの胸元には派手派手しくマジック書きで「WAR IS NOT THE ANSWER(戦争は答えではない)」の文字。他でもない、彼の目の前でコーヒーを淹れている男の筆跡によるものである。
やれやれ、と肩をすくめてテーブルの上にコーヒーのマグカップをさし出すと、家主殿はまだ湿気を含んでいるオーランドの巻毛をくしゃりと撫でた。
さっきまで泣き出しそうな顔して雨の路上をほっつき歩いていたとは思えない笑顔をひとつ浮かべて、ひょっこり舞い込んだ巻毛の居候はヴィゴの首筋にじゃれついてくる。
抱きかかえてみれば、肩も、腕も、まだ冷えきっていた。
マグカップ二つを持って、視線でソファへと促す。
クッションの谷間にダイブするように腰を落としたオーランドの身体を、肩の上から毛布ですっぽり覆ってしまう。
15年も父親業をやっているということは、こういうときに照れも躊躇もなく本能的に身体が動くということなのかもしれない。
う〜、と唸り声をあげて巻毛の子犬は毛布からぴょこんと頭を出した。


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