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【遅れて来た】ここだけ魔術のある世界 置きレス進行スレ【本運用】

246名無しの魔術師:2018/08/20(月) 22:00:04 ID:ME/CueHs
>>244-245
干将・莫耶の投擲には、多大な労苦を強いられた。
投影に伴い、あまりにも多くの複製品が粗製濫造されていたからだ。
手元から溢れた偽造の夫婦剣が、エミヤの足元を脛まで埋め尽くしていた。

しかもそれらの歪んだ能力は、先程(>>233)以上に強く発現する。
彼の両手に現れた正規の干将・莫耶を勝手に己の元へ引き寄せようとした。
紛い物が生み出す不本意な引力と、次から次へと生成される膨大な剣の物理的な煩わしさに、エミヤは戦わなくてはならなかった。

それでも彼は投擲を成功させ、『肉塊』の『穴』に正確に剣を命中させた。
だが、やはりその傷は浅い。複製品の反応も鈍く、追随しはじめたのは全体の4割といったところ。
しかもそのほとんどは、ようやく剣の形を留めている程度の、粗末きわまる代物だった。

『肉塊』の負傷は小さいものの、『穴』の周辺には大量の干将・莫耶が密集していた。
剣としては低質きわまりないものであるが、その個数だけは先程よりも多い。
粗悪品といえど金属の塊であることには変わりなく、『消化液』の噴出に対しては多少の妨害効果が見込めるだろう。

『穴』から響く音から、『消化液』の充填が終わりつつあるのがわかる。
『穴』は依然としてエミヤに向けられており、いつその脅威に曝されてもおかしくはない。
悪質なる濫造の投影を強制された彼は少なからぬ魔力を失っており、その対処は容易なものではないだろう。


大百足の発する音に、『肉塊』が警戒した様子はない。
彼女になんらかの技や策があるのであれば、それを実行する好機と言えた。
逆に干物の下半身は、彼女の挙動にびくりと震えて距離を取った。

そう、先程から干物は、大百足やエミヤに対して有益な行動をまったく取っていない。
ただ己だけを守り、血を集めているだけだ。

よくよく考えてみると、干物が二人と出会わなければ、このような災難に巻き込まれることもなかったわけだ。
果たして、こいつを信じて良いものだろうか?
この化物こそが、諸悪の根源ではないのか?

247怪異:2018/08/23(木) 11:06:11 ID:???
>>245-246
エミヤに向けられていた肉塊の穴は、突如地面を向いていた。
肉塊に視界的な機能があったのなら視界が暗転したことだろう。

―――――

肉塊のことを何か知っているらしい半ミイラがこう言っていた。
(人間の姿が変化(へんげ)によるものなら…………早く元に戻らんと………どう変異変貌するか)
ならば今がその時だろう。いや、状況的に街中で元の姿に戻らざるを得なかったのだ。
変化を解いたのであれば少なくとも力がマイナスの方向に働くことはなくなるはずだ。

―――――

『このまま千切って…潰して…原型も残さないようにしてくれる』

エミヤは見た。そこにいる異形、怪異を
先ほどまで倒れていた着物の女のあばらが裂け、
ずるりと上半身が空へと伸び、建物の屋根ほどの大きさになっている姿を
あばら骨に見えるものはそれぞれが動いており、まるで百もある足のようだ。
そう、彼女は大百足。東方の地で猛威を振るう怪異の一体。
そこには人の頃の姿の名残も少なく、人々からすれば恐怖の対象。討伐する対象だ。

肉塊は後ろから大百足の大きな牙に挟まれ、そのまま地面に押さえつけられていた。
顎の力は凄まじく、振り解くことは難しい。そのまま挟まれ続けていれば二つに引き裂かれるほどだ。
能力などではない、単純な力で押し切ろうとしているのだ。

248エミヤ:2018/08/26(日) 21:46:31 ID:???
>>246-247
(――投影、破棄)

自身の周辺を埋め尽くす干将・莫耶のみ消去を試みる。
おそらく、このまま行けば次は投擲すらままなるまいと判断した。
先程は個数を限定させたが、今回は『穴』に密集した全ての干将・莫耶を炸裂させようとする――が、

「え?」

その変化を見て、僅かに動きを止める。
大百足……彼女の姿が、完全な怪異と変化する瞬間を目撃した。
驚きはある。
戸惑いはある。
しかし、幾度と死線を潜り抜けてきた精神は、あらゆる動揺を吹き飛ばしてみせた。

(予定は変更だ。ここまで派手に彼女が動いてるなら『肉塊』は対応せざるを得ない筈!)

大百足の挙動に反応し、距離を取り始めた干物の隙を付いて接近を試みる。
可能ならば、そのまま全力で掴みかかり、抑え込もうとするだろう。

また、『穴』に密集した干将・莫耶は粗悪品と言えど剣。
命中したのなら、大百足が抑え込んだとて全てが弾き飛ばされる事は無いだろう。
大百足の一手でも『肉塊』が止まる気配が無ければ、無理やりにでも“壊れた幻想”を発動させる準備だけはしておく。

249名無しの魔術師:2018/09/03(月) 11:08:54 ID:L5IZHGrY
二人によって、肉塊は地面に押さえつけられた。
大百足は変身を解いてもなお、自身の力を完全には制御できないことに気づいたが、それ以上にそのパワーとスピードは圧倒的だった。
それに対抗する手段もまた、エミヤによって封じられてしまった。

肉塊を八つ裂きにせんと牙に力を込める大百足であったが、意外に強靭で即座に切断することは叶わなかった。
どうやら身体内部にある骨格かなにかを増強しているらしく、牙がそれほど深く刺さらないのだ。
だが肉塊も、おぞましく蠢くばかりで反撃することができずにいる。
このまま力を込め続けるか、あるいは更なる追撃を加えれば、肉塊にとどめを刺すことができるだろう。

いや……どうやらその必要すら無いようだ。
常に蠢き続けていた肉塊の動きが突然止まり、膨張していた全身がみるみるうちに縮小し始めたのだ。
やがて、『肉塊』としか呼ぶことができなかったその姿は、ボロ雑巾のようではあるもののかろうじて人の形を留めたものに変化した。

判別しにくいが、それは間違いなく一人の人間である。
そして驚くべきことに、まだ息があった。
肉に埋もれていた眼は閉じられており、意識はないようだ。
既に抵抗はなく、静かに横たわっている。


ばさっ、ばさっ、ばさっ……と、何か大きな生き物が羽ばたく音が、後方から聞こえてくる。

250エミヤ:2018/09/08(土) 22:36:47 ID:???
>>249
(……人間になった? いや、これは“戻った”かのような)

「俺の声が聞こえるか? 聞こえるなら、コイツに追撃を仕掛けるのは止めて欲しい」

変貌した大百足へ静かに呼び掛けると、まず自身の容態を確認する。
肉塊の暴走が治まった様子を見てナイフを一つ投影するが、先ほどと同じ現象は起こるだろうか?
それを確認した後、聞こえてきた羽音に気が付いてそちらを振り向くだろう。

251怪異:2018/09/09(日) 15:18:52 ID:???
>>249-250
『人だと……何かに憑かれていたのか?』

収縮したことにより、大百足の牙から抜け落ちたそれを見下ろす。
エミヤからの制止がなければそのまま追撃をしていたことだろう。
自身の身体はどうだろうか。本来の力を出せるようになったか確認する。

干物の下半身はどこだろうか。まだ逃げ回っているのだろうか?
そう考えた矢先、羽音が聞こえてきた。

252名無しの魔術師:2018/09/17(月) 05:41:30 ID:L5IZHGrY
>>250-251

「終わったようだな」

羽音の主は――やはりと言うべきか、それは干物の上半身だった。
背中から生えたコウモリのような翼が、彼を浮遊させている。

「君達には感謝している……生き血を恵んでくれただけでなく、危険を承知でソレと戦ってくれたのだからな。
お蔭で私は一命を取り留め、傷を修復する猶予と流血を得た」

いつの間にか立ち上がっていた下半身が滑るように近づき、浮かぶ上半身がそれに乗る。
二、三回ほど身をよじらせると、輪切りの断面がぴたりと癒着し、直立する人型の形状を取り戻した。
黒い翼だけが異彩を放っていたが、それもまた霧のように消え、彼体に吸収されてゆく。

「そして何より、その娘を生かしたままにしておいてくれた。それが特に……素晴らしい」

肉塊だったモノを見つめながら、干物が近づいてくる。
その足取りはやはり滑るように速やかで、かつ力強い。
その眼光と動きは、飢えた肉食獣を連想させるものだった。
どんな目的があるにせよ、それは善意に基づいたものではないだろう。

二人は、自身のコントロールを完全に取り戻していることに気づく。
エミヤの手元にあるものは一本の完璧なナイフであり、確かに自らの意志と能力で投影したものだ。
大百足の異常な肉体変容は収まっており、人間体に戻ることも本来の姿で行動することもできる。


「う……」

元・肉塊が呻く。

253エミヤ:2018/09/22(土) 01:21:11 ID:???
>>251-252
(――完全にコントロールが戻ったみたいだな。
 肉体の損傷具合は、運動能力が落ちる程じゃない。
 魔力の消耗具合は、大掛かりな宝具でも無ければ投影に支障は無い。あとは――)

どうも、自分に人を見る目は無いらしい。
大百足の忠告が正しかったようだと自身を省みながら、回復を終えたらしき干物と対峙する。

「感謝してるんなら、アンタの名前や目的を教えてくれないか。
 こっちは生き血を分け与えたんだ、それぐらいは良いだろう?」

そのように声を掛けつつ、呻く元・肉塊の娘を僅かに見やる。
散々攻撃を仕掛けたが、肉塊の時に受けた傷はそのまま残っているのだろうか?

254怪異:2018/10/05(金) 19:10:21 ID:???
>>252-253
『干物……いや、既に干物ではなくなったか』

一部始終を見ていた?のなら先ほどの女がこの大百足ということは承知していることだろう。
大百足が少年と肉塊だったものをとぐろを巻くように包む。

『これは我らが倒した。つまり所有権はこちらにある。違うか?
 これに何かをしたいならば、我々の許可を取る必要がある』

そう問い掛ける。

255名無しの魔術師:2018/10/17(水) 10:25:44 ID:NZLqx31E
>>253-254
エミヤは、元肉塊に近づかんとする干物と対峙した。
進路を塞いだ彼を、男は面白そうに見据える。

「目的? フフ……おそらく君の想像している通りだろう。
私自身の手で、そいつの息の根を止める。それが私の目的だ。

覚えているか? 私は血液の大半を失い、肉体を両断されたのだ。
私は生き延びるために、地を這いつくばり、道行く者に血をねだることを強いられた。卑しい物乞いのようにな」

「彼女を殺す以外に、この屈辱を晴らす方法はない。
これは矜持の問題だ。たとえ命の恩人と言えど、譲ることはできない」

大百足の恐ろしい姿を見ても、男が動じることは無い。
彼女の推測通り、先程の戦闘の経過を何らかの形で把握していたようだ。

「小娘を倒したことで君達がその所有権を得たというのであれば、
君達を倒せば君達の所有権を得られるということになるな」

元肉塊の傷はいくらか塞がっているが、それは肉塊であった時の強引な骨肉の修復によるものだ。
既に失った出血量も多い。

「できれば私も君達に手をかけたくはない。お礼もまだしていないし、な。
だが、邪魔をするなら容赦はしない……」

256エミヤ:2018/10/25(木) 20:45:46 ID:???
>>254-255
「……」

あくまで予想だが、干物だった彼は吸血鬼、あるいはそれに相当する存在なのだろう。
もちろん魔術や超能力による超回復の可能性もあるが、様子からして人外である方がずっと有り得る。

となれば力を解放した大百足はまだしも、自身が挑むのは非常に危険を伴う。
人間と人外の地力差もあるが、何より消耗した状態である。
安全を考慮すれば素直に肉塊(だった人間)を差し出すのが、おそらくは正しいのだろうが……

「そうだな。つまり、俺達がアンタを倒せば、アンタの所有権を得るって事になる。
 矜持なんて関係無い。所有者の意向に従うのが、所有物の在り方だ。――それで良いな?」

一度の深呼吸の後、覚悟を決めたように、干物へ向けて言い放った。

257怪異:2018/10/29(月) 18:45:14 ID:???
>>255-256
『話を聞き出すにも、一度大人しくさせるしかないか』

エミヤが宣言し、大百足も干物を見据える。

『坊や、私の上に乗っておけ。頑丈そうではあるが、奴とは相性が悪いだろう。
 あいつは血を吸って回復するようだし、長引けば人間のあんたが先にやられるよ。
 傷を追えば奴がその分有利になるはずだ』

元肉塊をちらと見る。

(状況が分からん…干物との関係性が見えぬ。
そもそも奴はどうして元肉塊と争っていた?
元肉塊も何者なのだ)


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