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【遅れて来た】ここだけ魔術のある世界 置きレス進行スレ【本運用】
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:
名無しの魔術師
:2018/07/13(金) 08:54:25 ID:ME/CueHs
エミヤは、干将と莫耶を肉塊に投擲する。
その速度は、彼の想定よりもかなり遅いものだった。
地面に転がる干将・莫耶のいくつかが、投擲された両剣を勝手に自らの方へと引き寄せてしまったのだ。
干将・莫耶の持つ性質が、歪んだ形で発現しているらしい。
それでも目標に到達することはでき、『肉塊』にやや浅く突き刺さる。
目論見通り、生成された干将と莫耶たちもまた、『肉塊』に飛来していった。
その速度にはばらつきがあり、本来の剣のように速やかに後を追うものもあれば、緩慢に飛ぶものもある。
しかし、それでも全ての干将と莫耶が『肉塊』に命中した。
それを見届ける前に、エミヤは大百足が隠れる路地に転がり込む。
ちょうどその瞬間に風の刃が迫り来たが、やはり遮られ、二人には届かなかった。
大百足は周囲を観察する。
干物の下半身は、やや離れた場所に転がっている。
上半身同様、血まみれではあったが切断面から流血している様子はない。
二人がこの場所に来た段階で既に傷だらけで、切断面を含む全身の傷口がもぞもぞと蠢いており、治癒(蘇生?)しつつあるようだ。
風の刃や消化液、干将・莫耶の流れ弾を食らった形跡もなかった。
そして今現在、下半身は干物のような乾いた状態ではなく、とても――――みずみずしい。
さらに、彼女はエミヤの負傷を見る。
風の刃による裂傷を全身に受けており、出血が少なくない。ただし重要器官は無事である。
彼女自身は、風の刃と鋭利な骨の攻撃によって右腕が潰されていた。
ただし、『肉塊』もまた明らかにダメージを負っていた。
数多の干将・莫耶で負った傷口から血液が滴り落ち、地面に血溜まりを作っている。
この戦場の、唯一の血溜まりだ。
『ビッ』
『ビッ』
『ビッ』
『ビッ』
『風音』が聞こえるが、それは先程大百足を狙ったものと全く同じ方向からのものだ。
おそらく同じ軌道を取り、同じように阻まれてしまうだろう。
この風の刃は鋭利ではあるものの打撃力は低く、石壁の同じ場所を連続攻撃したとしても破壊には時間がかかるはずだ。
一見すると意味のない攻撃ではあるが……何らかの策であろうか?
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