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【遅れて来た】ここだけ魔術のある世界 置きレス進行スレ【本運用】

1セファルワイム市民:2017/06/15(木) 23:01:16 ID:awAfx0uU
前スレ
【試験】ここだけ魔術のある世界 置きレス進行スレ【運用】
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/7220/1311437263/

2レーナ:2017/06/23(金) 21:44:06 ID:???
>>998>>1000
「あるいは外に目を引きつけといて、中にこもっているとか…」
「一人捕まえて絞っちゃう?」

アモルフに影響されているのが分かる

3沙耶:2017/06/24(土) 18:35:17 ID:???
>>前999
刃物を当てていた人物「一緒に来る?あんたたちが勝手についてきてるだけだろう。
           勝手に命を落としても私は知らないからな」

「あなた、名前は?」

刃物を当てていた人物「私に名前はない…余計な詮索をするな」

(名乗る名ではなくて名前はない、ね)

使用人のような連中は裏手側から出て、どこかへと向け歩き出した。
そしてそれを追うように、刃物を当てていた女性も後を付ける。

「シロウの方も表から馬車やら使用人が出てきて、どこかに向かったみたい。
 私たちもやっぱり追いましょう」

ジャビスと沙耶も刃物を当てていた女性と共に後をつける。
使用人たちは最初こそ辺りを警戒していたものの、道に出てからは怪しい振る舞いもしていない。
そして道の角を曲がった。

>>前1000、>>2
千里眼を解除する直前、ローブの人物の特徴を掴んだ。
正確には特徴という特徴はなく、中肉中背の体つきをしている男だ。
顔までは見えなかったが、何かしらある可能性が高そうだ。

クリシュターナ「ほほう、裏口からも。これは門番を問い詰めて正解だったようですね!
        では私たちも追ってみましょう。ですが確かにレーナさんの言うことも一理あります」

屋敷の中に誰かがいる可能性も考えられる。
少し思案してからクリシュターナは閃いた。

クリシュターナ「お二人は馬車を追ってください。あのように少数ですが固まって動いていれば、
        一人だけ捕まえて情報を聞き出すというのも難しいでしょう。
        私は特に騎士団からの指令も下っていませんが屋敷に突撃しちゃいます!
        ええ、正義の前には全てが些細なことですから。それでは!」

そう言って門を開け、何食わぬ顔で屋敷の敷地へと入っていった。
馬車はどこかへと向かっている。このあたりの地理に詳しい者がいれば、
このまま真っ直ぐに進むと噴水のある広場に出て、その先の大通りへと続く道だ。
とにもかくにも、クリシュターナがメンバーから外れたが馬車を追うしかなさそうだ。

4エミヤ:2017/06/25(日) 20:12:32 ID:???
>>2-3
「……顔は見えてないから確証は無いが、馬車内に居るローブの男、もしかしたら例の人物かもしれない」

と、二人に伝えておく。

「レーナさんが良ければ、俺達で追おうと思います。
 屋敷の方はお任せしますが、無理はしないようにして下さい」

と言うと、見つからないように警戒しつつ馬車を追跡し始めた。

5レーナ:2017/06/25(日) 20:45:02 ID:???
>>3-4
「あ、行っちゃった。」
「じゃ、一緒に馬車でも追う?」

サングラスをかけて変装っぽくしてみる。

「手も繋いじゃう?それとももっと密着してほしい?」

6エミヤ:2017/06/25(日) 20:47:10 ID:???
>>5
「……変装は賛成ですが、そっちはご遠慮させて頂きます」

色々と後が怖いので、と付け加えておく。
帽子を持ってきていた事を思い出したので、目元が隠れそうなぐらいスッポリと深く被っておいた。

7ジャビス:2017/06/25(日) 21:12:00 ID:???
>>3
「最終的に、どこかで合流することになりそうだなぁ」

名無しの女性を先頭に、多少間を空けた後方を追う。

「表からは馬車、裏からも使用人か……まるで、王様かお姫様かなんかを護送するみたいだよなぁー」

独り言の後、何か考え事をするように沈黙する。
そして、2-3秒考えてから小声で沙耶に話し掛ける。

「さっきよー、建物のカーテン揺れるのが見えたんだが、実はもう俺達の存在がバレてるなんてこたぁねーよな?」

8沙耶:2017/06/26(月) 08:49:05 ID:???
>>4-6
クリシュターナとは別行動になり、馬車を追う二人。
やがて馬車が噴水のある広場に辿り着くと、門番二人が振り返ってエミヤ達へと槍を構えた。
馬車の中からも使用人が二人飛び出し、門番と合流する。
一目で分かる。敵対の意思あり、と。馬車はそのまま止まらずに大通りへと向かっていく。
馬車を先へ行かせるための時間稼ぎなのだろう。

>>7
「お姫様だったらどんなにいいか。
 えぇー、本当にカーテン揺れてたの?私たちの監視完璧だったでしょ!」

名前のない女性(……うるさいなこの二人。本当に尾行する気あるのか?)

そして使用人たちが曲がった角へと三人も差し掛かると、名無しの女性が立ち止まった。

「あいたっ、ちょっとどうしたの?」

その背中にぶつかる沙耶。鼻を押さえつつ問い掛ける。
背中越しに先を見ると、噴水のある広場だった。
そして首やら肩やら手首やらを鳴らしてこちらを待ち構える使用人4人がいた。

「うん!バレてた!」

ドヤ顔でジャビスへと振り返った。

9ジャビス:2017/06/26(月) 09:52:12 ID:???
>>8
「俺達の変装を見破るとは、中々の手練れと見える……」

ジャビスにとってはそうなのだろうが、恐らく二階の窓から見ればバレバレだったのだろう。
因みにこの台詞は、ジャビスがただ単に言ってみたかった台詞の一つだ。

それはさておき、相手は戦闘準備万端だ。
それに、人数も此方より1人多い。特に相手の連携攻撃は避けるべきであり、できるのであれば1人でも多くの注意を逸らさなくてはならない。

「アイツが尾行しろって言いました……」

ジャビスは100mか200mは離れていて、此方などには一切注意を向けていない一般人(男性)を指差し、
使用人が騙される事を祈りながらぼそっと呟いてみた!

10レーナ:2017/06/26(月) 18:59:20 ID:???
>>6
「やっぱあの娘って彼女〜?あの娘に頭上がらないの?」
沙耶のことらしい。

>>8
「ばれてるし…当たり前か…」

さっき来た不審者がついてきているんだからばれるのも当然だろうという感じ

「シロウ君、任 せ た。」

いうが早いか黒い翼をはためかせて馬車へ一直線に飛ぶ。

11エミヤ:2017/06/27(火) 00:02:50 ID:???
>>8 >>10
「いや、別にそんなんじゃ……ただの家族ですよ」

なんやかんや質問攻めにあっていた所で、門番達がこちらへ敵意を向けている事に気づく。
バレていてもおかしくないだろう、と考えていた故にあまり驚きは無い。

「分かりました、無理はしないでくださいね」

小声でそう伝えてレーナを見送った。
仮にもアモルフの関係者だ、女性だからと侮れたものではない。引き際は弁えていると信じている。

「……さて」

「どうかしましたか? そんな物騒なモノを構えられるような覚えは、ちょっと無いのですが」

そう言いつつ、ゆっくりと門番達の方へ歩み寄っていく。
既に魔術回路を起動し、発動準備は済ませてある。
完全な不意打ちでもない限りは、相手が仕掛けてきても対応できるだろう。

とは言うものの数で不利な以上、真正面から殴り合うつもりはない。
周辺に何か使えそうな物が無いか、それとなく辺りを見回してみるがどうだろうか?

12沙耶:2017/06/27(火) 00:47:24 ID:???
>>9
使用人が4人とも懐からナイフを取りだし構えた。
そしてジャビスの言うことには誰も反応しなかった。

「ちょっとこれ危険なんじゃない!大丈夫!?
 しかも完全に大当たりでしょ。あれ?噴水の向こうにいるのシロウたちだ」

どうやら使用人たちは予めこの広場で落ち合う気だったようだ。

名無しの女性「下がってろ。邪魔だ」

女性も暴徒鎮圧用の警棒を懐から取り出した。

>>10
レーナがここぞというタイミングで空を飛び馬車を追った。
使用人たちはただの人間なので、レーナを止める術がなく、ただただ見送った。

馬車は依然、止まる気配はない。

>>11
辺りを見回すと、不穏な気配を感じ取った貴族や広場で遊ぶ子供がいる。
その他には屋台の商品が詰められた樽が積み重なっている程度だ。
付け加えるなら、広場の真ん中に噴水があり、その向こう側にジャビスと沙耶が見えた。

門番「探るのもここまでにしてもらおう」

一般市民がいることもお構いなしに、門番は槍をエミヤへと向ける。
馬車から飛び出してきた使用人たちは懐からナイフを取り出した。
千里眼で見るまでもないが、どうやら魔術師ではなく門番も使用人もただ鍛えた一般人だ。
危険な魔術などを使用することはないだろう。

門番「」

13レーナ:2017/06/27(火) 18:46:28 ID:???
>>12
「うりゃー!」
馬車の上に着地して、ツインライトセイバーを抜刀。
馬車の屋根をくり抜くつもりだ。
あわよくばそのまま捕縛するつもりだろう。

14ジャビス:2017/06/27(火) 19:08:50 ID:???
>>12
「まあまあ沙耶の嬢ちゃん。
俺様の経験ではなぁ、こういう場合いくつか定石があるんだぜ。
"こんなことは、1つ2つ修羅場を越えてれば、なんてこたぁーねえ"。そう思わねえか?」

絶対絶命の状況で、ここまで肝が座っているのは以前洞窟での経験に依るもの。洞窟の経験についてはこの場に居合わせる者の中ではレーナ以外知り得ないことではあるが、経験を経たジャビスには
"たかが人間に囲まれた"ようにしか思えなかった。

力量等はトレーニングの仕方によっては使用人がやや上かも知れないが、修羅場を越えた経験値だけで言えば、ハンターとしてかつては賞金首、現在は魔獣を相手にするジャビスは劣っていないだろう。

ところで、この様に力説している相手沙耶が、経験や技術等を超越した理から生まれ出たモノである事を勿論ジャビスは知らない。

ジャビスは腰のバッグに手を突っ込み、中の何かを一掴み握る。

「おい、おめーさん。指示通りここは任せるが、少しだけお邪魔するのを許してくれ。」

そう言って4人の使用人達の足元に握った物を投げつける。
それは間も無くして使用人達の足元で爆ぜる。
それは火花を出して音を発する爆竹の様なもの。しかし、その物体から発する音は火花が散る様な軽い音ではなく、正に爆弾が破裂する様な大きな音だ。

4人の使用人を恐らくは吃驚させるだろうが、ジャビスが一番効果を期待するのは、噴水の向こう側にいる門番と使用人の隙を作る事。
噴水越しとは言え、普段は猛獣も本能的に注意を向ける音だ。門番や使用人が音に関する特別な訓練を受けていない限りは注意を向けてしまうだろう。

その間、門番達が注意を向けようが向けまいが、ジャビスは噴水の水に途中まで身を隠し、門番達の背後からエミヤの側へ接近する。

15エミヤ:2017/06/27(火) 20:26:00 ID:???
>>12-14
(沙耶達か? 合流できれば有りがたいが今は難しいか……?)

そんな事を考えていたが、爆破音に驚き、一瞬そちらへ視線を向ける。
沙耶達の側に居る使用人達の足元からだと分かると、慌てて周辺をもう一度確認する。

そして、先ほどまで在ったはずのジャビスの姿が見えない事に気づき、なるほど、と一人ごちた。

「――お断りします。あんた達を放っておけば、良くない事態になる予感しかしないんで、ね!!」

懐から物を取り出す“動作”の後、投影した短刀を投擲する。
それぞれ一本ずつ、狙いは槍を構えた門番二人だ。弾くか避けるか、何らかの対処をしなければ確実に鎧の隙間に刺さるだろう。

16沙耶:2017/06/28(水) 08:52:29 ID:???
>>13
馬車の屋根に飛び乗り、武器で馬車の屋根をくり抜いた。
くり抜いた穴から中を覗くと、ローブを羽織った人物が座っていた。

ローブの人物「飛んでくる人間がいるとは思いもしなかった」

>>14
使用人ABCD「「「「!!?!」」」」

火花よりも何よりも、強烈な音に動きが止まった。
そして付近にいた子供や貴族もあまりの音に身動きが取れずにいた。
そしてもう一人

「ぎゃー!びっくりしたわ!」

爆裂した音に沙耶も引っ掛かっていた。

名無しの女性「ふっ!」

持っていた警棒で使用人たちに接近し、手近な二人の腕を強打する。
身動きが取れない上に殴られ、手からはナイフを取りこぼした。
そのまま続けざまに頭、顔と殴りつけ最後に胸を蹴り飛ばす。

「ふむふむ、制圧術って言うのかしら?
 っと、私も手伝おう」

>>15
エミヤと対峙していた門番たちも、何事かと音の方へと振り返った。
人間としても当然の反応というところか。
そして危険がないかと確認して視線をエミヤへと戻すと、既に短刀が投擲されていた。
咄嗟に槍を構えるが、門番の一人は間に合わずに刺さった。

門番B「ぐあっ」

残りの門番は短刀を弾いた後、エミヤへと接近して槍を突き出した。
二人の使用人もナイフを手に持ち、エミヤを囲むように足早に近づく。

17ジャビス:2017/06/28(水) 12:43:18 ID:???
>>16
「おめーらはコッチ」

エミヤを取り囲もうとナイフを握る二人の使用人が前に足を踏み出した直後、
使用人から見れば"何故か背後に現れた"ジャビスが、使用人の服の襟を掴み、後ろに力一杯引き倒す。

使用人の一人については、
事態を理解し抵抗される前にジャビス自ら使用人の上に倒れこみ、ボディプレス。
もう一人についても即対応したいが、
ジャビスはそこまで俊敏ではない為、もう一人の使用人は体を起こし、ジャビスに攻撃を加える事は可能だ。

18レーナ:2017/06/28(水) 19:01:55 ID:???
>>16
「ふふん、驚いているところ悪いけどさっさと馬車止めて外に出てくれる?」

ドヤ顔でライトセーバーを突きつける。

「ローブからゆっくりと両手を出して。ゆっくりね。」

19エミヤ:2017/06/28(水) 20:03:23 ID:???
>>16-17
槍が突き出されるよりも先に、懐から何かを取り出すような動作の後、投影した双剣で突きを逸らした。
回りくどい動作を経由しているのは、こちらが自在に武装を投影できるという事を相手に悟られにくくする為。

(――コイツを使うのも久々だな。任せたぞ、相棒)

鋭い刺突を受け流した剣の名は干将・莫耶。
頑丈さと、装備者を物理・魔力の両方から保護する能力が特徴の宝具だ。

「せいッ!!」

使用人達がジャビスによって食い止められたのを見ると、すかさず門番の顔目掛けてハイキックを放つ!

20沙耶:2017/06/29(木) 01:25:39 ID:???
>>17
使用人の一人は完全なる死角からの攻撃に、背中から受け身も取れずに倒れた。
そしてそれに気付き、振り返った使用人はジャビスにのしかかられてこちらも倒れた。
倒されたが、ジャビスの背中に腕を回し身動きを取れないようにする。
そうこうしている内に、後ろに倒された使用人が起き上がり、ナイフをジャビスの背中へと…
振り下ろされることはなかった。

「はいはい、そういうことしたら危ないでしょ。
 そっちは自分でなんとかしなさいよ?」

沙耶がクレムリン製の銃の底で、使用人の頭を殴ったのだ。
完全に意識の飛んだ使用人は崩れ落ちるように倒れた。
そしてジャビスへとドヤ顔をした。

>>18
ローブの人物はゆっくりと両手を上げながら出していく。
腕がレーナへと向いた時、ローブの中からレーナへと小さな矢が飛んだ。
親指を引くだけで矢が飛び出す簡易的な暗器を仕込んでいたのだ。
防ぐことが出来なければ、腹部あたりに直撃することだろう。

ローブの人物「馬車を止める気などないよ。
       もとより私は命など初めから惜しくないのでね」

>>19
門番「ぶっ…!」

顔面を蹴られた吹き飛ぶ門番。
それなりに鍛えただけの一般人では、エミヤに敵うわけもなく。
一度起き上がろうとするが、そのまま地に伏した。

噴水の向こうでは、ジャビス・沙耶と一緒に現れた女性が4対1で立ち回っていた。
後ろから抑え込まれるが、それを起点に前から来た使用人を蹴り飛ばし、
その反動で、一回転し抑え込んでいた使用人の背中側へと回り込んだりと、アクロバットな行動をしている。

馬車はというと、レーナが屋根をくり抜き武器を突き付けているのが見える。
しかし未だに馬車は止まる気配はない。

21ジャビス:2017/06/29(木) 15:59:47 ID:???
>>20
「助かった!」

沙耶に対して礼を述べるが、まだ表情は切羽詰まっている。使用人に抱きつかれた様な状態では、起き上がる事も難しい事に加え、殴るにしても体重が全く乗せられない為、ダメージは望めない。
が、上を取っているジャビスが有利に変わりない。

「腕を回すとは、考えたじゃねえか!しかし
てめぇぇ、こういう時の"正しい頭"の使い方を教えてやるぜ……オラッ!!」

非常に地味な方法ではあるが、
限られた範囲で首と背中を反らし、反動を利用して額を使用人の鼻柱に打ち付ける。所謂頭突き。

22レーナ:2017/06/29(木) 19:28:22 ID:???
>>20
「強がったって無駄無駄。さっさと…え?」

腹部に矢が刺さる。

「うそ…」

そのままへたりこむ。

23エミヤ:2017/06/29(木) 21:21:03 ID:???
>>20-22
「よし」

門番が気絶したのを見ると、周辺の状況を迅速に確認し、思案する。
沙耶達と共に現れた女性は、数の不利を物ともしない奮闘を見せ付けている。
一方で、レーナが取り付いた馬車は未だに止まる気配が無い――と認識した時、腹部に矢を受けたレーナの姿を捉えた。

「っ! 二人とも、ここは任せた!!」

沙耶とジャビスの両名に言い放つと、馬車目掛けて駆け出す。
脚部に魔力を通し、脚力を強化する事で距離を縮めようとするが、間に合うだろうか?

24沙耶:2017/06/30(金) 12:23:37 ID:???
>>21
使用人の顔に頭突きが直撃し、痛みに思わず手が離れた。
解放されたジャビスが起き上がると、使用人も距離を取り立ち上がる。
なかなかタフな人物のようだ。
鼻血が大量に出ているが、それを拭うと地面に落ちていたナイフを拾いジャビスへと対峙した。

>>22
ローブの人物「関わらなければ、こうなることもなかったろうに」

馬車の扉を開き、へたり込んだレーナを掴むと馬車から放り投げた。
無論、レーナに抵抗する力や術が残っていれば回避することも可能だ。

>>23
「分かったわ…て、もうあんなところに」

返事をしてエミヤを見ると、既に噴水の遥か向こう、馬車目掛け走っていた。
沙耶は気絶した使用人を引きづり、噴水の前に一人ずつ縛り上げていた。
短刀の刺さった門番には、念のため応急処置をしておく。

エミヤが馬車へと迫ると、馬車の扉が開いた。
何やら馬車内で動きがあるようだ。

25ジャビス:2017/06/30(金) 12:50:24 ID:???
>>24
「チッ、まだヤんのかよ。わからんでもねーが」

使用人の意外なタフさに、ジャビスも辟易し始めた。それでも、自身を犠牲にしてでも相手を阻もうとする使命感や責任感の様なものには多少、共感するものがあった。

「それなら、ここからは俺も本気<マジ>だぜ」

そう言いながら、背中の腰部分に装着していた手斧、ハンドアックスを右手で取り出し、構える。これは本来、武装した賞金首や魔獣等、危険な相手と対峙する際の武器だ。

周囲を確認し息を整えると、正面から接近し、手始めに手斧で真っ直ぐ使用人の胸部に突き出す。

26レーナ:2017/06/30(金) 18:23:29 ID:???
>>24
「なんてね」
指を弾くと光の鎖が現れ、ローブの人物を拘束する。
そのまま二人そろって馬車の外へ落ちるが、レーナの方は一回羽ばたいて着陸する。

「ざんね〜ん、トリックでした。」

上着の下には硬い革で出来たコルセットがあり、それが矢を止めていた。

>>23
「捕まえたよ〜」
拘束した人物の上に座って、すっ飛んできたエミヤに笑顔で手を振る。

27エミヤ:2017/07/02(日) 00:05:48 ID:???
>>24-26
短刀は一時的な足止めに用いたためか、傷が浅い事が分かるだろう。
投擲や射撃に関してはやはり、お手の物と言ったところか。

「っ!? お、お見事……でも気をつけて下さいね」

笑顔で手を振る様を見て真っ先に思った事は“やはり油断ならない女性だ”というものだったとさ。

――しかし、ローブの人物は大人しく拘束されてくれているだろうか?
投影した双剣は構えたまま、警戒を怠らずにレーナ達に近づいていく。

28沙耶:2017/07/02(日) 17:56:51 ID:???
>>25
使用人が持っているナイフに対して、ジャビスは斧
当然そのまま受けるような愚かな行為をすることはなく、バックステップで避け
すぐさま前傾姿勢でナイフでジャビス目掛けて突く。

>>26-27
ローブの人物「これは一本取られた。
       まさか矢が止まっているとは」

拘束されてろくに受け身も取れなかったであろうローブの人物。
ローブから顔が露わになる。血まみれではあるが、人相書きの人物に間違いなさそうだ。

ローブの人物「13年にも及ぶ復讐も、終わりはあっけないものですね」

どうやら拘束されて抵抗する術はないようだ。
レーナの奇抜な動きと魔術は予想外だったのだろう。
そうこうしていると、使用人を片付けた女性が現れた。

名無しの女性「…協力に感謝します。ですが、危険ですのでその人物をこちらに引き渡してください」

多少傷を負った女性がそう告げる。
ジャビス・沙耶と共に現れて女性。一緒に行動していたところを見るに
敵ではないのだろう。もちろん、味方という保証もないが。
外見的な特徴としては、騎士団の支給されるインナーのような恰好に、腕にエンブレムがある。
口を縄で縛られてた狼のエンブレム。騎士団では見かけたことのないものだ。

名無しの女性「ところであの娘…クリシュターナは一緒じゃなかったのかい?」

29レーナ:2017/07/02(日) 20:31:17 ID:???
>>27
「もっと褒めてもいいんだよ〜!」

調子に乗るタイプのようだ。

>>28
「13年もこんなことやってたの…暇な人…」
「クリシュターナ?屋敷に一人で突撃していったけど?」

30ジャビス:2017/07/02(日) 22:31:32 ID:???
>>28
「うぐっ!」

突き出されたナイフが、斧を持っていた右側の肩の内側に刺さる。痛みが神経を伝って身体中に響くが、何とか踏み止まる。

「やりぁ〜がったな……っ!!」

空いている左腕で、使用人を突き放すと、
痛みに耐えながら右側の手斧を振り上げ、袈裟斬りの様に斜めに振り下ろす。

31エミヤ:2017/07/02(日) 23:19:02 ID:???
>>29
(あまり褒め過ぎない方が良さそうだなぁ)

と思いつつ、ただ苦笑を漏らすのであった。

>>28
「復讐?」

それは一体、と続けるよりも先に、女性が現れた事に気づき、そちらへ振り向く。
見覚えの無いエンブレムに首を傾げつつも、彼女の問い掛けには、こう答えた。

「クリシュターナさんは、件の屋敷に入っていきました。
 今も敷地内に居るのかは分かりませんが、ね」

引き渡してくれと女性に言われた際、ローブの男の様子を伺うが、依然大人しいままだろうか?

32沙耶:2017/07/04(火) 00:31:25 ID:???
>>29
名無しの女性「一人で屋敷に…」

名無しの女性(非常にまずい気がする。あいつを放し飼いにするのはかなり…
       私たちの部隊よりぶっ飛んでる部分あるからなぁ)

何故か名無しの女性がどっと疲れたように見えた。

>>30
使用人が突き飛ばされると、そのままバランスを崩し
追撃の斧でナイフが弾き飛ばされた。

使用人「…!」

痺れる腕をかばいながら、ジャビスへと殴りかかる。
左のストレートだ。
斧を持つジャビスの方が有利に立ち回れるだろう。

>>31
名無しの女性「良いかい、あいつが何かに興奮していたら近づかないことだよ?
       それが面倒にならない一番シンプルな手段だ。特にこういうことの後はね」

こういうこととは、事件を解決した時のことを言っているのだろう。
そしてローブの男は特に暴れるでもなく、大人しくしている。
引き渡しても問題なさそうだ。
無論、引き渡さずに騎士団に連れていくという方法もある。

33ジャビス:2017/07/04(火) 22:18:07 ID:???
>>32
甘んじて、左ストレートを顔面で受ける。
歯が一本抜け口から出血するが、接近してきた使用人を離さないため、すかさず使用人の髪を"強く"掴む。

「おい、良い加減にしろや格下。これ以上やるっつーなら、楽には殺さねえぞ」

と言って、ジャビスは使用人の首に斧を当てながら睨む。

34レーナ:2017/07/06(木) 20:36:42 ID:???
>>32
「あ〜早いとこ迎えに行った方がいいかも…」

何やっているかわかったもんじゃないという表情

35エミヤ:2017/07/06(木) 20:52:15 ID:???
>>32 >>34
「なるほど、肝に銘じておきます」

「……ところで、引き渡す前にお尋ねしたい事がありまして。
 率直に聞かせてもらうと、あなたは何者ですか? 俺はそれなりに騎士と関わりがありますが、あなたの事は初見だ」

と、名無しの女性が付けているエンブレムを見て、問いかける。
素性の分からない人物に指名手配犯を引き渡すのは、流石に考え無しのやる事だろう、という判断だ。

36沙耶:2017/07/07(金) 12:17:47 ID:???
>>33
使用人の動きが止まる。しかし、反撃のチャンスを伺っているだけのようで、
ジャビスの脅しに対して反応したわけではないようだ。
どこまでも仕事に忠実な使用人のようだ。

「さっさと気絶させた方が良さそうよ」

そう言って、一通り使用人たちを縛って噴水の前に集めた沙耶が現れた。

>>34-35
名無しの女性「……」

エミヤとレーナをしばらく無言で見つめると、ふぅと息を吐いた。

名無しの女性「あの娘から触りくらいは聞いているんだろう?
       存在しない部隊の話と、その男について」

大人しくしている男へと顔を向ける。

名無しの女性「私自身はこの男よりも後に入ったから、直接会うのは初めてだけどね。
       私が入った時には、既にこの男は姿を消していたから」

直接事件に関してや、部隊に関して名前を出さないのは、秘匿性もあるだろうが、
それ以上にエミヤやレーナに対し、部隊の事情に踏み込ませないためなのだろう。
騎士団の負の部分を担っている部隊だ。当然、表舞台には出てこないし記録があるわけでもない。

名無しの女性「ま、信用できないならその男を騎士団に突き出しても構わないよ。
       その男の確保は出来たわけだし、後は然るべき判断の後に私たちの部隊に受け渡されるだろうからね。
       その男からは事情を聞く必要があるだろうから」

ローブの男「はは、君たちはあの部隊のことを知らなさすぎる。当然だが。
      そこの、ああ元後輩とでも言えばいいかな?君も含めてね」

名無しの女性「何が言いたい?」

大人しくしていた男だが、何かおかしかったのだろう。
唐突に話をし始めた。

37ジャビス:2017/07/07(金) 13:55:47 ID:???
>>36
沙耶の言葉から数秒間を開け、使用人の態度に変化が見られない事を確認すると、
(斧を握って居るのは右腕の為)使用人の左の首元の位置から胸の間を通り、右脇腹まで斧で切り裂く。

致命傷では無いが、筋肉の表面を傷つけて居るし、無論出血もあるだろう。

「そうする。死ぬも生きるも後はこいつ次第だが、暫くは起られないはずだぜ」

斧を噴水の水に浸け、軽くゆすぐとまた腰のホルダーに斧を仕舞った。

「で、少し遅れをとったが、先に行ったあいつらのあとを追うぜ!」

38エミヤ:2017/07/08(土) 12:13:20 ID:???
>>36
「まぁ、多少は」

女性と同様に、男へと顔を向けて答える。
この女性も、例の部隊所属なのだと知って合点がいったところで――突然話し始めた男を見て、首を傾げた。

「……確かに俺達はろくに知らないが、なら教えてくれるのか?」

39レーナ:2017/07/08(土) 13:02:49 ID:???
>>36>>38
「…こんなこと興味ないけど、何やらかすつもりだったの?」
「復讐っていうからには生ぬるい方法じゃないよね?」

ライトセイバーを男の首元に当てる。

40沙耶:2017/07/08(土) 17:57:26 ID:???
>>37-39
使用人は倒れ去り、ジャビスはエミヤとレーナと合流した。
そこには先ほどの女性がいて、更にはお尋ね者も捕えられていた。

「なんか人の目も増えてきたし、どこかに場所を移した方がいいんじゃない?
 騒ぎになってきて、野次馬がたくさんいるわよ」

気付くと、辺りには貴族や周辺で遊んでいた子供、その母やただの通行人など
様々な人たちが怪訝な顔をしていた。
もちろん、こんな戦闘があった後だからだろう。誰も近寄ってくることもなく遠巻きに見ているだけだ。
揉め事には関わらない。いかにも貴族というところか。

ローブの男「昔から目立たない、というよりはその場に馴染むことが得意ね。
      私には向いている役割だったんだが、ある新興宗教に潜入した時に部隊に裏切られたのさ。
      帝国へと反旗を翻す計画を突き止めた私は、それを当時の部隊長に報告した」

名無しの女性(当時の部隊長…というと前任の隊長か。
       生きてネームレスから別の部隊へと移った稀有な存在)

ローブの男「当時、熱心な信者の振りをしていた私は、その計画を任されたんだ。
      その計画とは村一つを消すこと。
      大方、そこから自分たちの領土を徐々に広めていくつもりだったんだろう。
      しかし部隊は来なかった。何故助けに来なかったのか理由は分からない。
      でも私は帰る場所を失ったと直感したよ」

そして自分が誰なのかも分からなくなった。そう呟いた。

名無しの女性「立ちな…それ以上関係のない連中に聞かせるような話でもないだろう?
       あんたの復讐に、これ以上他人を巻き込むんじゃないよ」

男の胸倉を掴み、ぐっと立ち上がらせた。

名無しの女性「取りあえず、人目に付かない場所に行こう。
       ジロジロ見られてあんたたちも居心地が悪いだろう?」

そうエミヤ達に問い掛けた。

「そうね。目立つのは好きだけど悪目立ちは良くないわ!
 噴水前の使用人たちは、騒ぎを聞きつけた騎士団が回収してくれるでしょ」

41ジャビス:2017/07/09(日) 19:29:03 ID:???
>>40
ジャビスは先ほどの戦闘で受けた刺し傷に、
包帯を巻きながら一行について行く。

今の所、二人の話を聞きながらも参加するつもりはない様だ。

多少周囲を気にしているのは、クリシュターナの行方を気にしているのだろう。

42レーナ:2017/07/09(日) 21:54:59 ID:???
>>40
「正義の味方は割り切れない…」
「誰か一人でも目を瞑っていれば丸く収まるのにね。」

野次馬が集まってきたのでライトセイバーを仕舞う。

「後は出る幕ないけど、ついていった方がいいの?ご褒美でもくれるの?」

ころりと表情を変えて報酬を期待する。

43エミヤ:2017/07/09(日) 23:33:56 ID:???
>>39-40
「……そうだな、何をするにしても場所を変えた方が良さそうだ」

と言う訳で場所を変える事に同意する。
回収は騎士団任せという事で、どこかしら人目の付かない場所へ移動するだろう。

「ところで話は変わるんですが……誰か、クリシュターナさんの様子を見に行った方が良いですかね」

誰も行かないなら自分が行きますが、と続ける。

44沙耶:2017/07/10(月) 21:50:59 ID:2oA9OlGw
>>41-43
名無しの女性「クリシュターナの回収は別の騎士でも任せた方が良いと思う。
       あいつに今会うのはあまりおすすめしないよ?」

やれやれというような困った顔で答えた。

名無しの女性「報酬なら騎士団の詰所に行けば相応に貰えるだろうよ。
       感謝状まで送られるんじゃないかい」

周りの市民たちもやがて興味でもなくなったのか、あちらこちらと歩き始めた。
子供たちは噴水前の縛られた使用人たちをつんつんしたり、とある貴族はこちらを蔑むような目で見たり、
はたまたその様子を意にも介さず通り過ぎる商人がいたり、イケメンな貴族が優雅に馬車で通り過ぎたり、
外套を羽織った貴族がローブの男の心臓を後ろから魔弾で撃ち抜いたりした。

沙耶「………え?」
名無しの女性「!!!」

比較的ローブの男の近くにいた沙耶や、立ち上がらせて正面にいた名無しの女性は返り血を浴びた。
ローブの男は急所に一撃を受け既に絶命していた。

外套を羽織った貴族「任務ご苦労、いやぁ無事に凶悪犯を倒せて良かった」

笑顔で軽く会釈すると、男はそのまま何事もなかったように通り過ぎた。

名無しの女性(……やられた、13年前の情報はこれで完全に闇の中!!)

通り過ぎた男をきつく睨む名無しの女性、そしてレーナと沙耶を庇うように背中に隠した。

名無しの女性「ふ…これが私のいる部隊だよ。改めて実感した。
       この部隊はなんでもするんだ。そう目的のためなら」

45ジャビス:2017/07/10(月) 22:36:39 ID:???
>>44
「ちょっ……テメーコノヤロウ!!」

あまりの出来事に、やや声が上ずりながらも
前に出ながらチンピラらしく男を怒鳴りつける。

「急に出てきたと思ったら、他人<ヒト>が捕まえたホシに何手ェ出してくれてんでェ!?」

ジャビスは怒りを露わにして、ローブの男に掴みかかる。

46レーナ:2017/07/10(月) 23:47:27 ID:???
>>44
「あ…」
突然のことに固まる

「クリーニング代もらえるかな?」
返り血を浴びた女性にハンカチを差し出す。
突然のことに頭がついていっていないようだ。

47エミヤ:2017/07/13(木) 20:41:07 ID:???
>>44-46
「なっ……!!」

慌てて外套の貴族を追おうとするが、女性の言葉で足を止める。

「――つまり、さっきの貴族も、貴女の部隊の人間だと?」

女性に問い掛けつつ、周辺を見渡す。
おそらく追い掛けても間に合わないだろう、と判断して警戒に当たる事にしたようだ。

その最中、返り血を浴びた面々に何処からともなく取り出した、大きめの布を手渡すだろう。
言わずとも沙耶には分かるだろうが、投影により用意したものだ。

48沙耶:2017/07/14(金) 02:17:01 ID:???
>>45-47
ジャビスが男に掴みかかると、ふわりと外套の内側にエンブレムがあるのが一瞬だが見えた。
名無しの女性と同じ、口を縄で縛られた狼のエンブレム。間違いなく女性と同じものだろう。
そして掴みかかっていたかと思うと、気付けばジャビスの手には外套だけが残り、
エミヤの予想通り、人ごみの中に紛れて消えていた。
身のこなしから考えて、先ほど戦闘した門番や使用人とは比べ物にならないだろう。
一つ言えることは…

「一つ言えることは、今回は敵じゃなかったってことかしら?
 あ、シロウありがとう」

エミヤから大き目の布を受け取ると、返り血を拭った。

名無しの女性はというと、男の気配がなくなったのを確認してからレーナの頭をくしゃくしゃっと撫で
ハンカチを受け取らずに返した。エミヤの布も受け取らずに突き返す。

名無しの女性「あんたらの持ち物だろ?汚しちゃうからね。私は大丈夫さ」

エミヤの投影をもちろん知らない女性は、自分の服で顔をごしごしと拭った。

名無しの女性「ああ、今の男も私の部隊の一員さ。古株のね。
       ちなみに貴族の格好をしていたけど貴族でもなんでもない。
       おそらくそこらの店で適当に買って紛れていただけさ」

「なんかすっきりしない結末ね。
 一応は凶悪犯から帝都を守ったのだろうけど、何か聞き出せそうだったのに」

名無しの女性「あの男に目を付けられてなきゃいいけど」

ちらっとここにいるメンバーを確認し

名無し女性「クリシュターナと合流しよう。
      そのままあんたたちは送ってもらうといいよ」

事切れた男を背負うと、屋敷へ向けて歩き出した。
事情を知らない騎士に説明するのは面倒だと判断したのだろう。
自分の素性も知られるわけにはいかないため、ある程度事情の分かるクリシュターナへ任せるつもりのようだ。

49ジャビス:2017/07/14(金) 13:29:11 ID:???
>>48
「消えた……」
正確には、男が消えたのか、超スピードなのか、気配を絶ったのか、或いはその他かの区別はつかなかったが、ジャビスには消えた様にしか見えなかった。
右手に握った外套を手に、呆然と立ち尽くす。

「そうだな。色々あり過ぎて頭ァ痛くなってきたぜ。さっさと合流だ」

と言って、名無しについて行く。

50エミヤ:2017/07/15(土) 17:56:06 ID:???
>>48-49
「……送ってもらうって、このまま帰るのもな」

「とりあえず、クリシュターナさんと合流するまでは同行しよう。
 その後にどうするかは、その時に考える。今は情報の整理もしたい」

そう言って、名無し達に続いて歩き出すだろう。

51レーナ:2017/07/15(土) 20:46:16 ID:???
>>48
「それもそうねー」
>>50
「…情報っていえばさ、今から屋敷に行けば何か残っているんじゃない?」
「いくら極秘部隊だって一気に証拠消せるわけでもないし…」

52沙耶:2017/07/16(日) 22:07:04 ID:???
>>48-51
一行は噴水のある広場を離れ、屋敷まで戻ってきた。
屋敷の前まで戻ってくるが、辺りは水を打ったように静まり返っていた。

名無しの女性「……静かだね」

門が開いたままになっている。各々は門を通り抜け屋敷の中へと足を踏み入れた。
入ってすぐ、使用人と思しき人物たちが数名倒れているのが伺えた。

「広場にいた使用人たちと同じ格好してるから仲間かしら?
 全員斬られてるわね。傷は深いけど息はあるみたい」

沙耶が使用人それぞれの状態を確認して、応急手当をする。
二階へと続く階段の手すりには、斬られた時に飛んだであろう血が滴っている。
それだけではない。よく見ると階段を昇った先の窓にもかなりの血が跳ねている。

名無しの女性「どうやら二階にいるようだね。
       危険かもしれないし、ここで待っててもいいよ」

そう告げて二階へと続く階段を昇っていく。

53ジャビス:2017/07/17(月) 22:17:25 ID:???
>>52
「あの騎士(クリシュターナ)、全員やっちまったってのかぇおい」

その時の様子を想像して顔を歪ませているが、
外套の男が先に屋敷に寄っていて、荒らし回ったという可能性もある。

「痛つつ、とりあえず俺もついて行くぜぇ。どうなってんのか気になるしな」

ジャビスは名無しの後をついて行くことにした。

54レーナ:2017/07/17(月) 22:57:51 ID:???
>>52
「派手ねぇ…」
飛び散った血潮に顔をしかめる
(そういえばクリシュターナってあんまり大きい武器じゃなかったな…)

前に見たときは短剣であったがこんなに大きな傷がつくだろうか…

「…二階に行くなら用心してね。」

55エミヤ:2017/07/19(水) 22:16:00 ID:???
>>52-54
「確かに、今なら手掛かりが残ってるかもしれませんね。急ぎましょう」

と答えて、足早に屋敷へと向かう。

「……彼女がやったのか? いや、断言するには早いか。
 とりあえず上がるのならついて行きますよ。あ、沙耶はレーナさんの傍に居て欲しい」

レーナが此処で待つのなら、と付け加えて、自身も名無し達に続いて歩き出す。

56沙耶:2017/07/22(土) 12:48:53 ID:???
>>53-55
「分かったわ。私はレーナさんとここで待機するわね。
 それに誰かがここに現れるかもしれないから見張っておくわ」

沙耶が了承し、なぜかレーナの身体を舐めるように…興味深そうに見ていた。

名無しの女性に続き、ジャビスとエミヤが階段を昇っていく。
少し階段の軋む音を響きせながら、一行は慎重に2階へと続く廊下を覗きこむ。
廊下を起点に左右に部屋がいくつかある。
向かって左側には部屋が3つ。
右側にも同じく部屋が3つ。使用人が複数人倒れている。

名無しの女性「まだ息はあるようだね」

使用人たちがうめき声を上げて倒れている。
その右側の部屋の一番奥から、悲鳴が聞こえた。
男の声だ。この屋敷の主だろうか。

名無しの女性はジャビスとエミヤの顔を見ると、乗り込むと目で合図した。

57ジャビス:2017/07/22(土) 21:03:02 ID:???
>>56
「見張ってて助けが必要なら、上からすぐ駆けつけるからよぉー……って!何を見張ってんだおめさんはァァァ!?」

沙耶の怪しげな視線に対し、両手で沙耶を指差しながらついツッコミを入れてしまう。

(イ、イカンイカン。ペースを持ってかれるとこだった)

二階に上がってからは邪念を振り払い、真面目に周囲を観察しながら進む。
倒れているものの姿に"女騎士が居ない"事に気が付き、事のあらましを想像するジャビスの表情が徐々に曇る。

名無しの合図に対し、親指を立ててOKのサインを返す。

58レーナ:2017/07/22(土) 21:27:47 ID:???
>>55
「私まーつわ♪いつまでもまーつわ♪」
「気をつけてねーあなた。」

どっかで聞いたような感じでシロウを見送る
緊張は解けるかもしれない

>>56
(何このプレッシャー…)
沙耶の視線にプレッシャーを感じる

「と、とりあえず玄関見張らないと。」
「また変なのが乱入してくるかもしれないし…」

59エミヤ:2017/07/24(月) 20:13:45 ID:???
>>58
「はは、どうも。そちらも気をつけて」

と、苦笑を浮かべつつ階段を上がっていった。緊張は解けたようで効果はあったらしい。
沙耶の視線がおかしい事に関しては追及しなかった。気づかなかったのか、敢えてスルーしたのか、はてさて。

>>56-57
「……急いで治療した方が良さそうですね」

使用人達の様子を見て、顔を顰めている。
名無しから合図を受けると頷き、彼女とジャビスに続いて動けるよう位置を取るだろう。

60沙耶:2017/07/26(水) 01:51:50 ID:???
>>57>>59
3人は慎重に部屋の前まで進み、扉を開けて中へと突入した。
部屋の中には目的の人物、すなわちクリシュターナがいた。
そしてもう一人、太った貴族の男が腕から血を流して部屋の隅に追い込まれている。

名無しの女性「クリシュターナ待ちな!」

クリシュターナ「…おや?また敵が来ましたか!」

ぐるりと首だけを回し、三人を睨むクリシュターナ。
一瞬の沈黙の後に口を開く。

クリシュターナ「あ、みなさん無事でしたか!心配しましたよ。
        ここにいると言うことは何かしら進展があったんですね?
        私もこの悪にちょうどトドメを刺すところでした!」

今にも短剣を貴族目掛けて振り下ろそうとしている。

名無しの女性「ああ、追っていた男は死んだよ。帝都は守られたんだ。
       そいつは捕まえて情報を聞き出したい」

クリシュターナ「おかしなことを言いますね。ナンバー47。
        悪は正義によって裁かれる。捕まえる必要はありませんよ。
        現に凶悪犯も死んだのでしょう?」

聞きなれない言葉がクリシュターナから出た。
ナンバー47、名無しの女性に向けた言葉のようだが何を表すものだろうか。

>>58
「なんだか上から悲鳴が聞こえたような…?
 それにしても、秘密裏の部隊がいたなんてね。
 記録も残さない徹底ぶりだし、騎士団内でも極秘だなんて」

私たちマークされないかしらね、と付け加えた。

61ジャビス:2017/07/26(水) 14:41:01 ID:???
>>60
(げぇーっ!こいつ(太った貴族)も目をつけられた相手が相手なだけに哀れだぜ…くわばらくわばら)

「確かにそいつは凶悪犯の疑いある男を匿いつつ、追手対策に武器を持った使用人を付けた。と言うことは、逆に追手の俺たちに悪人と言われ、下手すりゃ殺される覚悟がなきゃオカシイよなぁ。
悪は裁かれてトーゼンだしなぁ」

最初はクリシュターナの主張に意見を傾ける。
かと言って、ナンバー47と呼ばれた名無しの言うことがおかしいと判断できたわけでも無い。

「だが、彼女の言う通り捕まえたらそれはそれで騎士にとっては良いはずだろ?もっと悪党聞き出せるかもしれねーしよお。」

と、ナンバー47にも同意した。

「一番気に入らねえのは、横から出てきてヤツを殺りやがったマントヤローだぜ。あいつのせいで13年だか30年だかの情報がパーだ!」

62レーナ:2017/07/26(水) 20:52:06 ID:???
>>60
「されるんじゃないの?マーク。」
「そうなったらドラグノフに逃げちゃうけどね〜」

上からの悲鳴が聞こえ、体をこわばらせる。

「クリシュターナかな…あの娘に突っ込まれたら怖いよね…」

63エミヤ:2017/07/27(木) 01:17:11 ID:???
>>60-61
「……」

頑なに悪を裁こうとする彼女の様子を見て、暫し考え込んだ後、

「その男を殺すにしても、それは今直ぐでは無いですよ、クリシュターナさん。
 まずは彼女の言う通り、捕らえて情報を引き出す必要があると思います」

「追っていた男が死んだという事は、十三年も前から追っていた手掛かりが完全に消えようとしている。
 貴女は言っていましたよね、“ようやく尻尾を掴んだんです”――と。
 今ここで、あの男との繋がりを持つであろう人物を殺してしまえば、ようやく掴んだ尻尾すら取り逃がす事になりますよ?」

と、ゆっくりと諭すようにクリシュターナへ言葉を投げ掛けた。

64沙耶:2017/07/28(金) 12:34:19 ID:???
>>61>>63
貴族「は、早く助けぬかそこの庶民ども!これだから庶民は無能なのだ!
   僕は貴族だぞ!早くこの狂った騎士を捕まえろ!」

部屋の隅でカネガス・ベーテジュニアが喚く。

名無しの女性「この二人の言う通り、まだ情報を聞き出せるかもしれない。
       復讐の炎が燻ぶってるなら、大元から経たないと」

貴族「僕を無視して話を進めるな!この愚図共め!
   いいから言う通り早くこの騎士を捕まえろ!貴族に危害を加えたんだぞ!?」

クリシュターナ「ちょっと黙っててくれませんかねぇ」

クリシュターナが短剣を貴族の手のひらに突き立て、壁に貼り付けにした。

貴族「ぎゃあああああああ!」

クリシュターナ「こんな…いても害になるだけの悪、捕まえる必要あるんですか?
        私にはまったく必要性を感じられませんが」

新たな短剣を抜き、三人の方へ構えた。
そして今にも踏み込みそうな気配が膨らむと、貴族へと向き直り顔の真横に短剣を突き刺した。

クリシュターナ「…良いでしょう。今回はお三方を立てます。
        あの凶悪犯を消したんですから。さすがは正義の味方ですね」

先ほどとは打って変わって、いつもの調子に戻った。
短剣を貴族から強引に引き抜き納刀した。
引き抜く際にまた悲鳴を上げたが、クリシュターナは意に介さない。

クリシュターナ「連行は任せました。私が近くにいるとトドメを刺してしまいますから」

>>62
「マークされてたら私も一家を引き連れ高飛びするべきかしら。
 …また悲鳴が聞こえたわね。クリシュターナって子、少し変わってたけど会った時はそこまで怖さを感じなかったわ。
 そんなに怖いものなの?」

65名無しの魔術師:2017/07/28(金) 22:28:02 ID:???
>>64
「正義の味方は割り切らない。それを地でいく娘よ…」
「そろそろ終わったかな…」

階段の方をひょっこりとみてみる

66ジャビス:2017/07/29(土) 15:56:25 ID:???
>>63
うんうん、とエミヤの話をうなづきながら聴く。

>>64
はじめは貴族の言葉には耳も貸さなかったが、
突然の悲鳴に対し、電気が走ったように反応してしまう。

「これも帝都の規律を守る為の罰なんだろうなあ。大丈夫、この位の傷はツバつけときゃ治らぁ」

と言いながら、
あまりの痛みに暴れているだろう貴族の腕を抑え、
ナンバー47の元へ連れて行く。

「連行っつーのは、俺たちで連れていきゃあ良いってことかい?」

67エミヤ:2017/07/31(月) 01:42:46 ID:???
>>64 >>66
「――分かって貰えたようで何よりです」

クリシュターナがいつもの調子に戻り納刀したのを見ると、暫しの間を置いて答える。
なお、彼女が今にも踏み込まんとしていた時にも構える事は無かった。

連行するというのなら、特に反対することも無く応じるつもりである。

(狂気とも受け取れるほどに“悪”を嫌っているな。
 ……あまり他人をどうこうと言える立場じゃないが、困ったもんだ)

68沙耶:2017/08/01(火) 02:00:17 ID:???
>>65-67
話がまとまった後、ジャビスとエミヤの二人で貴族を連行することになった。
ナンバー47と呼ばれた名無しの女性も、それに続き部屋を出る。
クリシュターナは終始、貴族に向けて殺意のある視線を向けていたが、
ジャビスとエミヤに連行されているため、手出しをする気配はなかった。

1階エントランスに戻り、レーナとレーナをものすごい目力で観察している沙耶を拾い、一行は屋敷を出た。

名無しの女性「今回は色々と助かったよ。それと巻き込んじまって悪かったね」

凶悪犯と呼ばれた男を背負いながら、彼女は礼を述べた。
そして少しの沈黙の後にこう付け加える。

名無しの女性「…あー、あんたたち私の部隊の何人かには目を付けられたと思うんだ。
       飄々としたあの男を筆頭にね?何か困ったことがあったらクリシュターナに頼るといい」

凶悪犯と呼ばれた男を仕留めた貴族風の男。
あの男は、この場にいる全員と接触した。顔も当然覚えられているだろう。
特にジャビスは掴みかかった。そうジャビスは掴みかかったのである。
さぞかし印象に残ったことだろう。なにせ男に掴みかかったのであるから。

しかし気になるのは、何人か、という点だ。
あの場には他にも部隊のメンバーが潜んでいたということだろうか。
そうでなければ話の辻褄が合わない。恐らく間違いないだろう。

名無しの女性「クリシュターナから私へは連絡も取れるからね」

屋敷を出た後、詰所へと向かった。
幸い、トラブルに巻き込まれることもなく辿り着くことが出来た。
詰所では、騎士たちに怪訝な顔をされたが、クリシュターナとちょうど詰所にいた騎士クラの取り計らいにより
一行は今回の謝礼金をたんまりともらった。
不自然に多すぎる謝礼金だったが、無理やりに受け取らされた。

クリシュターナ「正義の行いをしたのですから、素直に受け取っていいと思いますよ?」

正義に拘る女騎士は笑顔でそう答えた。

名無しの女性「それじゃ、私はここでお別れだ。
       これに懲りたらあまり危ない話には首を突っ込まないように」

そう釘を刺す。

名無しの女性「そうそう、せっかくだから私の呼称教えておくよ。
       ナンバー47…部隊ではそう呼ばれている。忘れてくれても結構だけどね」

今度こそお別れだ、と言い残し女性は街の中へと消えて行った。

クリシュターナ「私もここで。今回はご協力ありがとうございました。
        また正義が交わる時、お会いしましょう!」

クリシュターナ(ふっふっふ、完璧な決め台詞です!)

何やら満足そうな顔をして、クリシュターナも詰所へと帰って行った。

こうして今回の事件は幕を閉じた。
事件は表向き解決したが、その内面を知った面々からすると何も解決はしていないのは明白だ。

かくして一行は、あまりにもすっきりしない結末を迎えるが、
今はこれ以上の情報もなく、それぞれの家へと帰るのであった。


- 過去からの復讐 END -

69【邪竜グォルズルグ】 プロローグ01:2018/02/25(日) 21:39:12 ID:iR0FlMuA
「最後にもう一度説明します」

山頂付近に到達する直前、『巫女』が立ち止まって話を始めた。

彼女が邪竜グォルズルグについて語るのは、これが初めてのことではない。
事前準備段階からの再三に渡る情報提供の結果、この場にいる全員が十分な期間の元で万全の準備を整えている。
それでもなお忠告を繰り返すのは、彼女の性格の現れだろうか……あるいは、ドラゴンへの恐怖心ゆえか。

「邪竜グォルズルグは、尋常の生命体ではありません。
『あれ』は生物であると同時に、精霊であり、魔法であり、神であり、霊魂であり――ありとあらゆる意味で、火と闇と竜という概念の化身です。
それゆえ、その牙や炎や爪もまた、攻撃という概念や火災という概念の結集物であり、ありとあらゆる存在に干渉し傷つける力を持っています。
もし皆様が非実体、たとえば霊体や精神体に変異する力を持っていたとしても、竜の攻撃を完全に無効化することは難しいでしょう」

「しかしその特殊性は、グォルズルグにとって有利なことばかりではありません。
様々な性質を併せ持つがゆえに、様々な力の影響を否応なしに受けてしまうからです。
例えば魔法を解除する力は竜の体を綻ばせ、霊魂を封じる力は実在の鎖のように竜を拘束するでしょう。
もちろん血肉を持った生物でもあるため剣によって傷つけられますし、特に火・闇・竜といった根幹的概念に相反する攻撃には比較的脆弱です」

70【邪竜グォルズルグ】 プロローグ02:2018/02/25(日) 21:39:52 ID:iR0FlMuA
「そして山神……あー、この山に存在する神秘的な力を私はそう見做していますが、まあ精霊や天然の魔力流と解釈して頂いても結構です……
とにかく、その山の力を収奪・吸収することにより、邪竜は自身の存在を維持し、ますます強化を続けています。
これを放置すれば邪竜の力は強まる一方であり、討伐はより困難なものとなるでしょう。
私は祈祷によって山神の力に干渉し、邪竜による吸収を妨害することができるので、ある程度はお役に立てると思います」

山神とやらの存在を信じるかどうかは別にして、巫女が山に関係するなんらかの能力を持っていることについては疑う余地がない。
なぜなら、彼女はここに至るまでの道中でそれを示していたからだ。

事前の情報収集にて、かつての山を知る古老や探検家達は口を揃えてその険しさを強調していた。
事実、山は非常に急峻であり、登り始めた頃は一行もその苦難を味わっていたのだが、
それに気づいた彼女が(おそらく異国の言葉で)祈りを捧げると、全員が突然驚くほど軽やかに歩けるようになったのだ。
まるで平原でも散歩しているかのように楽々と絶壁を登攀することができ、高山病や酸欠の症状が出ることもなかった。

「山神の力を奪還することができれば、邪竜は大きく弱体化するでしょう。
しかし邪竜の支配力は強大で、未熟な私だけではさらなる吸収を阻止することはできても奪い返すことはできません。
力を奪還するためには、まず皆様の手によって邪竜を消耗させていただく必要があるのです」

残念なことに、その言葉もまた事実であるようだった。
現在は真昼であり、空にも雲は無い。
しかし太陽の光はとても弱々しく、周囲には薄闇が広がっている。これは明らかに邪竜にとって有利な環境である。
ドラゴンがこの山に襲来するまではこのような異常現象は見られなかったという証言も得られている。
この巫女でも、失われた光を山に取り戻すほどの力はないらしい。

「それから邪竜にとっても、霊山の力に干渉できる私を最優先の排除対象と見做すでしょう。
最低限の自衛は可能ですが、私が死んだ場合は勿論のこと、消耗の大きさによっては邪竜へ干渉する力が残らない可能性があります。
そのため皆様には、可能な範囲で私の防衛もしていただければ幸いです。
また、神々や精霊の類に干渉できる力をお持ちの方は、それによって私の祈祷の効果を高めることもできると思います」

彼女は明言しなかったが、この山の過酷な環境で一行が軽やかに動けることも、山神あるいは巫女の力によるものだろう。
巫女が死ねば、その効果も失われるか、少なくとも減じるに違いない。

「もっとも、山神の力の奪還が絶対に必要というわけではありません。
今の邪竜グォルズルグは恐ろしく強大ですが、更にそれを上回る戦力さえあれば真正面から打破することも可能です。
むしろ皆様の能力次第では、正攻法の方が確実な手段なのかもしれません。
山神や私のことを無視して圧倒的な武力で押し切るというのも、一つの戦略でしょう」

私が死んでもしばらく加護は持続しますしね、と巫女は呟いた。

71【邪竜グォルズルグ】 プロローグ03:2018/02/25(日) 21:41:51 ID:iR0FlMuA
「また、現時点では、邪竜は山頂から大きく離れて移動したり、空高く飛んだりすることはないと考えていいでしょう。
邪竜はまだ山神の力を吸収しきれていないので、その状態で山頂から離れれば、解放された山神による報復は免れませんから」


巫女が言葉を切った。
しばらく次に言うべきことを考えていたようだが、これ以上付け加えることは特に無いと判断したようだった。


「さて――――私からお話しできることはこのくらいでしょうか。
皆様、準備はよろしいですか? 最後に何か質問などはありませんか?」

もし事前の準備をする必要があるなら、これが最後の機会だろう。

72ニキータ:2018/02/25(日) 22:23:39 ID:???
>>71
装具の点検を行い、長いライフルに初弾を送り込む。
「ニキータ、質問無し。」

クレムリンの誇るスナイパーである。
なんでこんなのがいるのかというと…

レーナ「まじめか!」(ハリセン)
ヴェーラ「こういう時、ベテランはボケて緊張感を和らげないといかんとちゃうんか!」
ヴェロニカ「あなたたちねえ…」
タマラ「まあまあ、締まっていこう!」

堕天使組の引率である

73赤い外套の男:2018/02/26(月) 20:53:47 ID:???
>>71
「私からは特に無いな」

褐色の肌と白髪が特徴的な――この場のメンバーに対して「アーチャー」と名乗った男が答える。

魔力補充用の即効性ポーションが数本。
氷と光の属性エンチャントアンプルが数本ずつ。
その他、鎮痛剤や抗熱剤など、主に補助用のアイテムを用意してある。

74レノ:2018/02/27(火) 19:57:56 ID:???
>>71
「えー……ところで君は、何歳だっけ?」

何を知りたいのかはわからない。
あわよくば死ぬ前に1発決めようとしてるのか、老齢の若娘を恐れての質問なのか……。

75【邪竜グォルズルグ】:2018/03/03(土) 10:16:57 ID:iR0FlMuA
>>72-73
>「ニキータ、質問無し。」
>「私からは特に無いな」

巫女は頷いた。

ちなみに巫女の方は、帝国教会の修道士が着るようなローブにおおむね類似した衣服を身に纏っている。
しかし細かい意匠は教会のそれとは異なっており、現代地球人としての知識を持つニキータやアーチャーですら、類似する習俗には思い当たらなかった。

また、彼女は剣を携えており、その長さと大きさは屈強な大男でなければ扱えないような代物だ。
巫女は特段めぐまれた体格をしているわけではなく、持ち運び方も重たげなので怪力の持ち主というわけでもないらしい。
その大剣は鞘に収められた状態でも魔力のような力を強く放っているので、あるいは杖のように魔術具として使うのかもしれない。


>>74
>「えー……ところで君は、何歳だっけ?」

「25歳です」

魔術などで若さを保った老婆である可能性はあるが、
少なくとも自己申告と外見に食い違いはない。

「そのご質問の意図は、若輩者である私の能力に対する疑問でしょうか?
たしかに神々や霊魂に対する影響力については、私は高位神官には及びません。
しかし、山神の他、邪竜にも対峙する必要が有ることを鑑みると、総合的には私は十分に皆様に貢献できると考えています。
グォルズルグは神霊であるだけでなく、物理的にも強大で魔術にも精通したドラゴンですから」


「ちなみに私の祖国では男性がそれほど親密でない女性に年齢を尋ねる行為は、
怒りを買ったり逆にナンパと見做されたりすることがあるので、ご旅行の際はご注意ください」

76レノ:2018/03/03(土) 13:11:50 ID:???
>>75
「まだ若いのに、大したもんだ」

本来褒め言葉に分類される台詞を口にさながらも、表情は半ば残念さや呆れの気持ち、を感じる曇顔である。

「"十分"かどうかは此方が判断することだが、此処に来もしねえジジババよりは、信頼してるぜ」

「俺はレノ。武器はあるが、主に魔術による撹乱と、君が攻撃を回避できるようサポートする」

質問の意図は、ナンパで合ってるよ。と、巫女の肩を叩く。もしも力んでいるなら力を抜け、という一般的な気遣いだ。

77【邪竜グォルズルグ】:2018/03/03(土) 19:57:11 ID:iR0FlMuA
>>76
>「まだ若いのに、大したもんだ」

「いいえ、巫女なので……義務ですから」

>「"十分"かどうかは此方が判断することだが、此処に来もしねえジジババよりは、信頼してるぜ」

「ありがとうございます。
皆様からすると力不足かもしれませんが、信頼に応えられるよう努めます」

>「俺はレノ。武器はあるが、主に魔術による撹乱と、君が攻撃を回避できるようサポートする」

「よろしくお願いいたします。私はイクゥンブナイです。
実のところ私もあまり機敏ではなく、そのうえ祈祷に集中しなければならないため、動きが鈍重になることは避けられないでしょう。
そのような支援はとてもありがたく思います」

レノの気遣いを理解したようだ。
それでも面持ちはいまだ厳しいものであったが。

78アーチャー:2018/03/04(日) 00:24:50 ID:???
>>75-76
「質問は無いが、そうだな、自己紹介はしておいた方が良いか」

気さくな物言いで巫女とやり取りを行うレノを見て言うと、

「私はアーチャー。そう、名前だ。
 白兵戦、狙撃、撹乱――まあ、一般的な戦法は一通り可能だと思ってくれ。
 邪竜に一般論がどこまで通用するかは分からんが、戦力となる事は約束しよう」

ではよろしく頼む、と右手を差し出す。
握手を求めての事だが、返されなかったとしても彼が気にする事は全く無いだろう。

79ニキータ:2018/03/04(日) 00:41:17 ID:???
>>75
「よろしく、俺は狙撃兵だ。今回の弾はこれを使う。」
透明な弾頭の銃弾を見せる

「人造コランダム…あー、サファイアやルビーのことだ。この弾なら大抵のものは抜けるはずだ。」
「だが相手はドラゴンだ。急所を教えてほしい。できれば長引かせたくない。」

レーナ「狙撃兵とアーチャーとか後衛職しかないとか舐めてんの?」
ヴェーラ「クッソ高い弾だから請求書書くよ!」
ヴェロニカ「あんたは出してないでしょ…」
タマラ「用意したのは私だけど…あ、ついでに前衛張れます!」」

80【邪竜グォルズルグ】:2018/03/04(日) 15:17:16 ID:iR0FlMuA
>>78
巫女は差し出された右手を握り返した。

「一般論でおおむね問題ないでしょう。特に武器で戦う場合は。
多少奇抜な攻撃手段を持っているかもしれませんが、基本的には我々同様、血肉を持った存在であることに変わりはありませんので」

「物理戦闘を主体とする方にとっては、むしろ邪竜の単純なパワーや炎の方が脅威になるかもしれません。
もともとドラゴンである上、山神の力を吸収することで間違いなく強化されているでしょうから」

>>79
「急所という意味では、他のドラゴンと違いはありません。空を飛ぶ巨大な爬虫類と考えて問題ないでしょう。
すなわち……眼球、口腔内、排泄器、各種臓器、すなわち生物における一般的な弱点ですね」

「ただ、全身が鱗に覆われており魔術的な防護もあるため、外皮で覆われた部分を一撃で貫くことは難しいと思います。
脆弱という意味では、翼は鱗が薄いので比較的破壊は容易です。飛行を完全に阻害するには徹底的に破壊する必要があるので、それでも時間はかかるでしょう」

81ニキータ:2018/03/06(火) 22:36:31 ID:???
>>80
「なるほど。」
>>76>>78
「聞いた通り少々分が悪そうだが、動きさえ止めればやれそうだ。」
「そうだな…10秒あれば俺は外さない。誰か頼めるか?」

レーナ「まかせろー」(ツインセーバー起動)
ヴェーラ「はえー」
ヴェロニカ「私たちは魔術で足止めね。」
タマラ「直接攻撃も行けるけどね。」

82レノ:2018/03/07(水) 19:54:53 ID:???
>>80
揃ったメンツを一通り確認し、
自分がすべき立ち回り方を考える。

やはり、メインはニキータ、アーチャーの二人による強力な狙撃で一気に邪竜の息の根を止める方法が近道かつより実現性が高い。
しかし、山頂というロケーションは足場が悪い上に陰が多く、逆に空を飛ぶ竜は逆に此方より有利な立場にある。ただでさえ神秘的な存在故に、圧倒的な力差もあるに違いない。

(答えの出ない思考は無意味だな)

恐らく竜はイクゥンブナイの言う通り、この娘を目標として向かって来る筈である。

(足止めは"彼女ら"に任せるが、俺としては竜を騙して如何にこの娘から注意を逸らすかが問題だ)

「追加で質問だけど、君のその祈祷を今やめたら、俺たちへの影響はどうなる?」

道中、イクゥンブナイの祈祷の効果は十分に受けたが、その効果が無いことによるハンデによっては、むしろ祈祷を終盤の切り札とするべきかもしれない。

祈祷の元が彼女だと竜が知らなければ、竜も真っ先に彼女を攻撃する確率は薄くなり、その間に手を打ちやすくもなる。

83アーチャー:2018/03/07(水) 20:17:05 ID:???
>>80
「成る程、それを聞いて安心した。
 ドラゴンを相手に力比べをする度胸は無いが、小細工はいくらか用意してある」

「……あと、君の持つソレは武器か? それとも、祈祷の補助を行う魔術具かな?」

そう問い掛けつつ、巫女が携える剣へと視線を向ける。
鞘に収められていようとも、妨害の術でも掛けられていなければ“解析”は可能。
解析を試みるが、大剣の詳細はアーチャーに理解できるだろうか?

>>81
「心強い女性陣だな。万が一があった時は、私が受け持つとしよう」

十秒なら何とかなるだろう、と言葉を続ける。

84【邪竜グォルズルグ】:2018/03/07(水) 22:57:13 ID:1t3k/q6M
>>82

>「追加で質問だけど、君のその祈祷を今やめたら、俺たちへの影響はどうなる?」

「山神の加護によって付与されていた高山環境への適応能力が失われます。
主要な弊害としては、低酸素・低気圧に直接曝されることで高山病を発症する危険が高まる、
険しい地形を自身の能力のみで行動するため運動力が低下する、といった点が挙げられます」

「ただし、これらの悪影響が即座に現れることはないでしょう。
加護が失われる具体的な期間は不明確です。これは山神に残された力と邪竜の力のバランスによって変化するためです。
しかし、山神が完全に消滅しなければ、おおよそ数分程度は加護が持続すると考えて構いません」

「補足すると、皆様を保護するための加護は私にも山神にもほとんど負担を強いません。
たとえ戦闘中であっても、問題なく加護を継続させ続けることが可能であり、消耗もごく僅かです。
逆に邪竜からの直接攻撃を受けて防御を強いられた場合や、山神の力で物理的現象を引き起こす場合などは、消耗は避けられないでしょう」

「残念ですが、邪竜が私の存在を感知しない、ということはまずあり得ません。
邪竜はある種の神でもあり、その力は山神を吸収することで更に増しています。
私の祈祷の有無に関係なく、邪竜が警戒心を発揮すればその検知力は霊山全体に行き渡り、
神々に深く関わる存在である私は即座に発見されてしまうでしょう」

>>83
>「成る程、それを聞いて安心した。
> ドラゴンを相手に力比べをする度胸は無いが、小細工はいくらか用意してある」

「邪竜は神々の一柱ですが全能神ではありません。能力にも知能にも限界はあります。
種類にもよりますが、小細工や罠、奇策の類もある程度の効果があるでしょう」


アーチャーは大剣を“解析”する。
剣の名は『グナイブスリン』。どうやら極めて歴史のある太古の品であるらしく、とてつもなく情報量が膨大である。

些末な情報を取り除いて簡潔にいえば、これはある種類の神々や霊――ジクグジェイックスグ――に対して凄まじい能力を発揮する武器のようだ。
邪竜もまたジクグジェイックスグに属する存在であり、邪竜の身体やその炎や闇は、この刃に脆弱であるらしい。
ただし、ヌルクェンなるまた別の神族に属するグナイブッフという神に認められた者でなければ、この大剣の真価を発揮することはできない。

グナイブスリンは邪竜に極めて効果的で、魔力的存在などにもダメージを与えることができ、純粋に剣としても相当な逸品である。
しかし使用者に特別な力を与えたり、奇跡を引き起こしたりはしない。
つまりこの剣で邪竜を打ち倒すには、自身の腕力と剣技でドラゴンと切り結ぶ必要がある。
この巫女は剣を扱うに足る資格を持っているようだが、グナイブスリンは相当な重量と大きさを持つ大剣だ。
アーチャーが観察する限り、巫女にはとても大剣を振り回す筋力を持っているようには見えないが……。


>「……あと、君の持つソレは武器か? それとも、祈祷の補助を行う魔術具かな?」

「本来的には武器ですが、私にとっては防具です。邪竜の炎を防ぐことができるので」

どうやら盾として使うらしい。

「今ふと思いついたのですが、剣ごと私を高速で射出し邪竜に叩きつければ、大きな負傷を与えることができるでしょう。人間聖剣カタパルトです。
当然私は死ぬので一発限りですが、最後の手段としては有用かもしれません」

85アーチャー:2018/03/07(水) 23:24:46 ID:???
>>84
(――聞き慣れない上、発音するには面倒な名前だな。
 件の邪竜もそうだが、名称がややこしいのはこの地に連なるものの宿命なのか)

そんな感想はさておき、巫女の持つ大剣の性能は把握した。
自身が扱えない以上、本当に“性能を把握した”だけに留まるが、知って損のある情報では無い。

「ふむ、それは朗報だな。
 炎を対処する際に限っては君の事を懸念しなくて良いと、予め知っておけば動き易くなる」

「……発想としては悪くないが、本当に最後の手段だな。
 誰一人として動けず、座して死を待つのみ、という状況にでもなれば検討しようか」

そのような状況に陥ってからでは、既に時遅しとも言える。暗に「使うつもりは無い」と言いたいのかもしれない。

86【邪竜グォルズルグ】:2018/03/08(木) 08:16:32 ID:???
>>85
>「ふむ、それは朗報だな。
> 炎を対処する際に限っては君の事を懸念しなくて良いと、予め知っておけば動き易くなる」

「失礼しました。『炎を防ぐ』といっても完全に無効化できるわけではありません。ある程度威力を抑えられるというだけのことです。
強力な炎を浴びれば相応の被害を受けてしまうので、あまり期待はなさらないでください」

>「……発想としては悪くないが、本当に最後の手段だな。
> 誰一人として動けず、座して死を待つのみ、という状況にでもなれば検討しようか」

「ええ。無論私も犬死にを望んでいるわけではないので、撤退の方がより建設的な手段ではあると思いますが、万一の際にはお願いします」

87レノ:2018/03/09(金) 01:01:46 ID:???
>>84
「そういうこと……」

口に手を当てて更に思考する。
竜相手ともなれば、戦い方も人間相手とは比にならない程考えなくてはならない事を実感する。
もっとも、考える様子はあっても諦めの様子は無い。

「わかった、どうせ感知されるなら常時祈祷アリにしよう。竜に感知されても、誰かが君を守り、竜から離している間に仕留めれば良いんだ」

策は無いわけではないが、結局は竜の探知能力の精度次第といったところか。

「ちなみに、その考え方はどこで覚えたんだ?笑えん冗談だ。どうせなら竜も笑い死にするくらいのやつで頼むぜ」

88アーチャー:2018/03/09(金) 20:36:43 ID:???
>>86
「おっと失礼。そういう事であれば気をつけるとしよう」

流石に完全無効化などと甘い話は無いか、とボヤく。

「承知した。もっとも、その“万一”が訪れないよう努めるのが我々の役目だ。
 頭の片隅には留めておくが、原則、君も含め皆が生還出来るように私は立ち回らせてもらうぞ」

そこまで言ったところで、アーチャーは山頂へと視線を向ける。
件の邪竜の姿、或いは気配は僅かでも感じ取れるだろうか? 感知できたとしても、アクションを起こす訳では無いが念の為である。

89ニキータ:2018/03/09(金) 22:35:58 ID:???
>>86
「分かった。上手いことやるとしよう。」

スコープを覗いて索敵。
山頂付近の風の流れや、邪龍の姿を探す。

レーナ「弱い奴からかかってこい!」
ヴェーラ「ばっちこーい!」
ヴェロニカ「一匹だけでしょ…」
タマラ「みえなーい…」

90【邪竜グォルズルグ】:2018/03/10(土) 08:53:21 ID:???
>>87
>「わかった、どうせ感知されるなら常時祈祷アリにしよう。竜に感知されても、誰かが君を守り、竜から離している間に仕留めれば良いんだ」

「はい。私も基本戦術はそちらの方が良いと思います。
ただ、先ほども言いましたが、相性や戦力差によっては総攻撃の方が効果的である可能性もありますので、状況に応じた戦術を取ってください」

>「ちなみに、その考え方はどこで覚えたんだ?笑えん冗談だ。どうせなら竜も笑い死にするくらいのやつで頼むぜ」

「そうですか? ふむ……………わかりました」

何か思うところがあるのか、しばらく巫女は一人で頷いていた。

>>88
>「承知した。もっとも、その“万一”が訪れないよう努めるのが我々の役目だ。
> 頭の片隅には留めておくが、原則、君も含め皆が生還出来るように私は立ち回らせてもらうぞ」

「ええ。私も私自身と皆様の生還を第一に考えて行動を取るつもりです」

>>88-89
山頂はまだ多少離れている。
邪竜が山頂から離れないとはいえ具体的な移動可能距離は不明であるため、巫女がある程度離れた位置でこの最終ブリーフィングを実施すべきと判断したためだ。

目をこらすと、山頂にそれらしき輪郭が見える。邪竜がこちらに気づいた様子はない。
だが山頂に近づくにつれ闇がますます濃くなっており、またほとんど動く気配を見せなかった。
そのため、アーチャーの視力やニキータのスコープを用いてもその様子を詳しく把握することは困難だ。

山頂はそこまで急峻ではなく、付近には多少なだらかな場所もある。
だがやはり全体的に足場は不安定で、大小の岩石が転がっていた。

事前調査ではこの時期雪が積もっているという話を聞いたが、見る限り山と岩しかない。
草木などの動くものもないので、風向きや風力も判断しづらい。

「もし必要なら山神への祈祷で山頂付近の風を止めることも可能です。
多少の消耗と負担があり山神も弱っているので、事前に邪竜に被害を与えて山神の力をある程度奪還する必要がありますが」

91【邪竜グォルズルグ】:2018/03/10(土) 09:08:26 ID:1t3k/q6M
「さて……意外に時間が経過してしまいました。そろそろ出発したいと思いますが、皆様準備はよろしいですか?」

92アーチャー:2018/03/10(土) 19:29:04 ID:???
>>90
「……居るのは確かなようだが、どうも視えないな」

姿形を覆い隠す闇は邪竜の力によるものだろうか。
いずれにせよ、視えない物に目を凝らした所で意味は無い。早々に切り上げ、把握した状況を整理する。

「そうだな、狙撃するにあたって頼むかもしれない。その時はお願いするよ」

>>91
「ああ、私は問題ない。いつでも行ける」

93レノ:2018/03/12(月) 12:37:11 ID:???
>>91-92
「よし、俺も大丈夫だ」

94レノ:2018/03/12(月) 13:18:03 ID:???
>>93
レノが地に手をつくと、
人型のエネルギー体が2体、現れる。

更に、そのエネルギー体に土属性を付与させると、
土がエネルギー体の足元から頭までを覆い、
"レノ"と"何でもない一般女性"の分身を作り上げる。

「見ての通り、コイツは囮だ。俺たちとは別方面からコイツで奇襲をかけ、そちら(レーナ達)と共にまずは時間稼ぎをする」

95ニキータ:2018/03/12(月) 18:25:39 ID:???
>>91
「いつでも。」

レーナ「どこからでもかかってこい!」
ヴェーラ「かまーん!」
ヴェロニカ「とりあえず障壁張るわ。」
タマラ「準備OK!」

レーナはツインセイバーを
ヴェーラは両手に身の丈ほどのブーメラン
ヴェロニカは障壁を展開
タマラは岩をガントレットにして両手に装着させる。

96【邪竜グォルズルグ】:2018/03/17(土) 12:06:33 ID:1t3k/q6M
>>94
「なるほど」

巫女は親指を噛み、血を出す。
そして女性型エネルギー体に垂らした。
滴った血が僅かに光り、そして消える。

「多少ではありますが、この人形は『巫女』の概念的要素を持つ存在になりました。
概念の権化である邪竜にとって、これはある程度の“目くらまし”になるでしょう」

「ただし、邪竜は高度な検知能を持っています。
数秒でも見極める時間があれば私とこの人形を見紛うことは期待できません。先制攻撃的な奇襲が成功する可能性もほとんどありません。
これを囮として使うには、なんらかの工夫が必要でしょう」


「また、たとえこの人形が破壊されたとしても、私に余裕があれば、再生産されたその人形に再び概念複写をすることが可能です。必要であれば仰ってください」

97【邪竜グォルズルグ】:2018/03/17(土) 12:07:54 ID:1t3k/q6M
>>92-95
そして一行は、巫女と共に山頂へと足を踏み出した。
先ほどアーチャーとニキータが見た邪竜の姿が、他の者達にも見えてくる。

一歩一歩足を進めるにつれて、その存在感は増してゆく。
それはあまりに圧倒的で、まるで身体を圧迫されているかのようだ……否。
間違いなく、邪竜が発生源とおぼしき物理的な圧力がそこには存在していた。

邪竜が何かの力を行使した気配もなければ、魔術などが仕掛けられていた様子もない。
巫女は邪竜のことを概念の化身と呼んでいたが、それはつまりこういうことなのだろう。
邪竜はただそこに存在するだけで、物理法則を歪め、現実世界に影響を及ぼすのだ。

98【邪竜グォルズルグ】:2018/03/17(土) 12:09:30 ID:1t3k/q6M
>>92-95

しばらく山頂に向けて歩いていると、巫女が唐突に足を止めた。

それまで微動だにしなかった邪竜が、ぐるりとこちらに頭を向けた。

『グナイブッフの剣の巫女か………』

邪竜の声が響き渡る。
それは、空気を振動させることによって発生した音であるだけでなく、他者の思考に直接思念を挿入する念話でもある。
なおかつ、聞いた人間の精神に恐怖という感情を強制させる魔術的現象でもあった。

『その上、リブリドゥオの下僕とは。
どちらが目的だ? 闘争の悦楽に興ずるか? それとも我を説き伏せに?』

その眼はまっすぐ巫女のみを見据えている。他の者に対しては一瞥することさえなかった。
邪竜の瞳、あるいはその視線もまた、肉体や精神に危害を加える邪悪な力を帯びているに違いない。

「前者です。より正確に言えば、私の……私達の目的は、貴方との戦闘を楽しむことではなく、貴方を滅ぼすことです」

邪竜の視線と声を正面から浴びた巫女は、しかし静かに返答した。表面上はまったく動じていないように見える。
山神や神剣が巫女を守っているのか、それとも巫女自身の力が邪竜の力を払いのけているのか、それはわからない。
あるいは、純粋に彼女の精神が極めて強靱なだけかもしれない。

『リブリドゥオの下僕にしては直截的な物言いだ』

竜は笑った。
闇が濃く、距離のせいもあって表情などはわからないが、間違いなく竜は笑った。

「交渉や議論が無意味であることは歴然としているのではありませんか? これはお互い譲歩も妥協もできない、生存競争なのですから」

『よく解っているではないか』

竜はふたたび笑い、そして翼を広げた。

99【邪竜グォルズルグ】:2018/03/17(土) 12:10:54 ID:1t3k/q6M
>>92-95
周囲の環境が激変する。
太陽光はほとんど消え失せ、周囲は暗闇に包まれている。
さらに苛烈な熱風が吹き荒れ、大地は真昼の砂漠のような高温を持ち、体力を奪おうとしている。

まるで異世界に転移されたか、新たに創造された世界によって現実世界を塗りつぶされてしまったかのようにも思える。
しかしここはあくまで山の上であり、既存世界そのものは変化していない。
ただ、邪竜はその強大な力でもって、周辺を強引に火と闇で満たしただけだ。
次元干渉や世界歪曲と見紛うほどの、劇的な環境変化だった。

幸い、というべきか。
濃い闇に曝されても、討伐隊一行が邪竜を見失うことは決してない。
なぜならば、その存在感が、否応なしに邪竜の位置を明らかにするからだ。
もはや邪竜の存在感は脳が痛みを訴えるほどに高まっており、その輪郭はおろか鱗の一個一個すら知覚できた。


巫女が素早く後方に跳び、距離を取った。

100【邪竜グォルズルグ】:2018/03/17(土) 12:13:15 ID:1t3k/q6M
>>アーチャー
>>レノ
>>ニキータ
>>レーナ
>>ヴェーラ
>>ヴェロニカ
>>タマラ
>>イクゥンブナイ





『来い、命に限りある者よ。我はグォルズルグ、悪しき竜である』



――――――邪竜に炎が収束する!

101アーチャー:2018/03/18(日) 00:55:15 ID:???
>>97-100
巫女が歩き、邪竜と問答する最中、近くに転がっていた手頃な石を足で砕く。
粉々になったそれを掴み、軽く放っておおよその風向きを特定する。狙撃する上で、風向きの把握は欠かせない。
此処は判断し辛い環境下ではあるが“アーチャー”の名は伊達では無い、という事だ。

(尤も、環境操作の術があるならここで把握した所で無意味だが――)

そこまで考えて思考をシャットアウトし、強烈な存在感の塊を見据える。
巫女が後方に飛ぶと共に、狙撃に適したポイントへと移動する。
皆からやや外れたその位置は、邪竜との距離が数十メートル程度といったところだ。


「――長引かせてもこちらに利は無い、速攻を狙うぞ」


言うが早いか、気が付けば彼の手には黒い洋弓と矢が握られていた。
ぎしり、と軋る音も束の間、アーチャーは矢を射出する。

両眼球、両翼、口――計五箇所へと脅威の精密性を以て狙いを定め、音速に迫る矢を一息に撃ち放つ!

102レノ:2018/03/18(日) 02:31:14 ID:???
>>96-100
「助かる。最悪、これが囮だとバレても何とかなるように作ったから、後はその"仕掛けの効果"がある事を期待するだけだ」

レノは、すでにこのエネルギー体には仕掛けがあると言う。
そしてすぐにレノは、2体のエネルギー体を別の場所へ向かわせた。

「そして、俺は…」

人型エネルギー体を生成した時と同じように地に手をつき、巨大な壁を象ったエネルギー体を作る。そして、同じように土属性を付与すると、地面の土が吸い上げられるように壁のエネルギー体を覆っていく。
それは、自身だけでなく、イクゥンブナイへの攻撃を軽減させる狙いがある。


その頃、人型エネルギー体は
レノ達が居る方面とはほぼ反対の位置から竜に迫ろうとして居た。
まずは、槍を持ったレノ型エネルギー体が、真っ直ぐに竜へ突撃していく。

103ニキータ:2018/03/18(日) 21:17:59 ID:???
>>100
レーナ「行ってやるわ!」
ヴェーラ「踊れ!ヴァル・ヴァラ!」
ヴェロニカ「ヘクス・バリア!」
タマラ「つぶれちゃえ!」

翼を広げて散ったのちに各々の得物で攻撃を開始する。
レーナはツインセイバーでの斬撃
ヴェーラは大型ブーメラン
ヴェロニカは全員にハニカム状のバリアを張り
タマラが岩のガントレットで殴りにかかる

ニキータ「風が渦巻いてやがる…」
一方銃を構えてその場にしゃがみ込むニキータ
痛い一撃を狙いつつ邪龍をスコープ越しに見つめ、呼吸を整える。

104【邪竜グォルズルグ】:2018/03/19(月) 08:17:08 ID:1t3k/q6M
>>100-103
亜音速で飛来する矢。追って巨大ブーメラン。
目、翼、口腔に矢が突き刺さり、ブーメランが頭を割った!
血液と体液がほとばしる!

周囲の闇や熱風は苛烈なものだが、単調で均一的なものだ。
邪竜は複雑に環境を変化させる能力が無いか、あるいはそのつもりがない。
ゆえに高い技量を持つ者であれば、それを考慮に入れた狙撃が十分に可能!

しかし邪竜の出血は一瞬にして収まった。
よくよく見れば、凝り固まった闇の塊が傷口を埋め尽くしている!
傷ついた眼球さえ完全に修復されていた。

『ハハハハハハハ!』

燃えさかる炎が巫女に向けて発射された!
土壁が高熱と衝撃、そして破壊的概念によって崩壊をはじめる。
堅い土と高いエネルギーによって持ちこたえているが、邪竜の炎はあまりに強力だ。どれほど持つかは解らない。

邪竜には接近戦を挑もうとする人間どもも見えていたが、まったく眼中になかった。
このまま壁を粉砕し、巫女を焼き殺す!

105レノ:2018/03/19(月) 11:48:09 ID:???
>>104
(想定通り、"桁違い"……ッ!!)

「おい、こっちに来い!!」

イクゥンブナイを守ろうと思う反面、口調を気遣う余裕が消え去った。
来い、と言いながらも、イクゥンブナイを魔縄で強引に引き寄せる。否……土壁の下にいつのまにか作られた一人分+α程の面積の空洞に、イクゥンブナイを引き込んだ。

エネルギー体に土を纏わせた真の狙いは、土を吸い上げた結果、地面にはその分の空洞ができる事にあった。
グォルズルグの炎が直線的に彼女を狙ったのであれば、彼女に関しては問題無く回避可能だ。

しかし、レノはその場から動けば自身に炎が直撃。また、動かずともすぐに壁は崩れ、同じく炎の餌食になってしまう。
既に土壁ごしでも、土壁に触れているレノの掌は火傷を負い、また、熱が腕の中の魔術回路を伝って身体に侵入している。

(クソ、いきなりリタイアか……!!)

確実に、誰かの支援無くしてはこの直後にレノはあの世行きだ。

106ニキータ:2018/03/19(月) 23:21:44 ID:???
>>104
「くっそ、あまり趣味じゃないが…」
手榴弾を邪龍の口に投擲する。
上手いことはいれば顎を吹き飛ばすぐらいのことはできるだろう。

レーナ「無視すんなし!」
背に乗り、ライトセイバーでめちゃくちゃに斬ってみるが、効果はあまりなさそうだ。

ヴェーラ「トカゲのくせに頭いいなんて!」
ブーメランを呼び戻して羽根の根元を狙う。

ヴェロニカ「巫女さん焼けちゃう!タマラぁ!」
タマラ「こんの!」
手榴弾の爆発の後に渾身のアッパーカットを食らわせる。

107アーチャー:2018/03/20(火) 20:49:40 ID:???
>>104 >>106
「チッ、気前良く受けてくれるものだと思いきやそれか。せめて眼の一つぐらい寄越せというのだ」

悪態を付きつつも手は緩めない。
炎の射線上を見て、取るべき行動を即座に決め、次の一手を打つ!

>>105
「――受け取れ!」

友の危機を見て、すかさず弓に番えた“剣”をレノの目前の土壁目掛けて撃ち放つ。
勢い良く突き刺さったそれを見やるなら、通常の剣と比べても刀身が鋭く“尖っている”事が分かる。

「土壁から手を離してその剣を持て! そして“それで炎を受けろ”!
 ほんの僅かでもいい、体が焼かれるよりも先に、剣を炎に触れさせればそれで良い!」

心なしか焦りをも感じさせる声色で、必死に炎を凌ぎ続けるレノへと呼び掛ける。

――そして言われた通りにするなら、アーチャーの言葉の意図をすぐに理解する事だろう。

炎に焼かれる寸前にあったレノの体は、瞬く間に邪竜の近辺へと“転移”しているのだ。
より正確に言うなら、すぐにでも邪竜へと白兵戦を仕掛けられるほど近辺に。
尖った剣は灼熱に焼かれてしまうだろうが、少なくとも、レノがいきなりリタイアする事は無い。

108【邪竜グォルズルグ】:2018/03/24(土) 09:31:22 ID:1t3k/q6M
>>105 >>107
巫女はレノの魔縄によって引き寄せられ、穴の中に落下した。
事前の情報共有によって、レノが運動力学的操作に長けていることは巫女も把握している。
ゆえに彼女は動揺せず、穴に落ちていく最中ですら祈りの言葉を絶やさなかった。


邪竜の炎によって、土壁の損壊は急速に進んでいく。
高い耐熱性を持つ土やエネルギー実体でさえ、邪竜が持つ破壊の概念や魔力による侵食に抗うことはできない。

さらに、邪竜の性質を受け継いだ邪悪な炎は、その熱放射すらも暗黒の力を帯びている。
壁に触れるレノの腕は勿論のこと、身体全体が、炎が生み出す熱によって蝕まれてゆく。
血肉が焦がされ、魔力が傷つき、さらには闇の力によって生命力さえも奪われる。


そこへアーチャーが土壁に向けて剣を放った。
さらにニキータの手榴弾が炸裂。顎から血と闇がしたたり、炎の勢いが一瞬衰えた!

109【邪竜グォルズルグ】:2018/03/24(土) 09:31:44 ID:1t3k/q6M
>>106
ニキータが手榴弾を邪竜の口めがけて放り込む。
邪竜は炎を放ち続けていたため、手榴弾は口内に到達する前に、炎の直撃を受けて空中で爆発した。
邪竜は口蓋周辺の傷から、血と炎がこぼれ落ちる。

傷によって炎の勢いは衰えたものの、邪竜が炎の噴射を止めることはなかった。
先ほどと同じように傷口を闇が覆い、再生をはじめる。


背への攻撃は、予想通りあまり効果が無い。
傷をつけても再生してしまう上に、そもそも鱗が厚いために深手を与えにくいのだ。


顎にアッパーカットを食らわせようとするタマラだが、接近が困難であることに気づく。
手榴弾の爆発によって口に開けられた穴から噴出した炎が、周囲の地面に未だ燻っているからだ。
邪悪な炎は近づくだけでも人体に悪影響を与える。
さらに、飛び散った血や傷口から滲み出た闇までもが瘴気を放っていた。
これを越えてあえて邪竜の顎周辺に近づくのであれば、何らかの被害を覚悟する必要があるだろう。


ブーメランで与えた傷も、すぐに塞がってしまう。
裂傷だけでなく打撲傷もまた、短時間で修復してしまうようだ。
飛行能力を殺ぐほどの負傷を与えるのは、単調な攻撃では難しい。(今のところは飛行していないが)
ただし、傷が塞がるまでの間に出血はしているので、全くの無意味ではない。
背中のような堅固な部位よりは、安全かつ堅実にダメージを与えられるようだ。

110【邪竜グォルズルグ】:2018/03/24(土) 09:32:49 ID:1t3k/q6M
天使達に殺到されている邪竜だが、反撃するどころか振り払う素振りさえ見せていない。
全身全霊を持って、まずは巫女を排除するつもりのようだ。



巫女は祈りに集中し続ける。
それは仲間達に加護をもたらすだけでなく、邪竜による山神の吸収を阻害しはじめた。
邪竜はまるで不死身であるかのように見えるが、傷の修復に力を割かれ、ごく僅かずつではあるが消耗していることを、巫女は感じている。

このまま祈祷を維持しつつ、邪竜の体力を削り続ければ、勝つ見込みはある。
問題は、それまで持ち堪えられるかどうかだ。

111アーチャー:2018/03/26(月) 01:02:54 ID:???
>>108-110
「ひたすら巫女にご執心か、一途なようで何よりだ」

狙撃位置を変え、先程より巫女に近い位置に陣取る事にした。
およそ十数メートルの距離が開いた地点。
アーチャーの身体能力であれば僅かな時間で巫女の下へと駆け付けられるだろう。
勿論、何の妨害も無ければの話であるが。

「――――ああ、そのままでいい。
 精々其方を見ていろ。その間に、少しでも削らせてもらうからな」

巫女に集中する邪竜の眉間に相当する部位を狙って、一つの剣を番え、構えた。
螺旋状――ドリルを思わせる独特の形状の刀身は、確かに矢となりて役目を果たさんとする。

狙いは邪竜のみ。白兵戦に臨む天使達を巻き込まずに済むタイミングを見計らって、それを撃ち放った。

「“I am the bone of my sword”(体は剣で出来ている)――加減は無しだ、穿て」

「“偽・螺旋剣Ⅱ”(カラドボルク)」

言霊は剣に大量の魔力を宿し、その真価を発揮させる。
確かに音速を突破した“矢”は、しかし、余計な衝撃を巻き起こす事も無く、空間を穿ちながら邪竜の眉間へと迫り行くだろう。

アーチャーが用いた剣の能力は『空間への干渉』だ。
無論絶対的な概念では無いが、優れた魔術師が用いた空間転移の術であろうと逃さず、捻り切らんとする程の威力である。
最初にアーチャーが放った矢など比較にならない事は明白だろう。

112レノ:2018/03/26(月) 22:23:48 ID:???
迷っている時間は無い。しかし、現状を打開するためには、全員の力で攻・防を共に行う必要がある。しかし、邪竜の圧倒的力差の前に、既に此方側は"詰み"に近い状態にある。

どうすればーー。

シロウが放った剣が視界に入る。
体が焼かれるよりも先に。言葉の意味を単純に読めば、この剣に触れれば体は焼かれない。という事を意味している。シロウが扱う剣はいずれも、一つ一つに超常的な能力を秘めている。
今回の場合は、恐らく"これ"を何らかの形で使用し、攻めに転じよという事だと解釈する。
だが、片腕は非常にダメージが大きい。
───面倒な事は嫌いだ。どうせ死ぬなら、かませるだけかましてやる。あのでけえ土手っ腹に。

>>107-110
「おい、ヤツに"冗談"を吹っかける時間かもしれねえぞ。もう考えている時間は無え」

そう言って、繋ぎっぱなしの魔縄を手繰り寄せ、イクゥンブナイを穴から引き上げる。

「俺と一緒にこの剣を持て、今から打って出る。最低限の体力的なフォローは俺がやるから、隙を見て剣でヤツを狙ってみろ」

イクゥンブナイが了承するのであれば、2人でアーチャーから与えられた剣を握り、土壁を解く。

拒むのであれば、レノは「そうか」とだけ言い、イクゥンブナイを再び穴に下ろし、剣を手に土壁を解くであろう。

113ニキータ:2018/03/26(月) 22:36:24 ID:???
>>109
タマラ「あちち!これじゃ無理ぃ!」

接近戦を諦めていったん上空に退避する堕天使4人。

ニキータ「トカゲめ、舐めやがって…」
呼吸を落ち着かせて邪龍の眉間に照準線を合わせる。
ニキータ「フゥー…」
息を静かに吐き出し、引き金を絞る。
続けざまに3発、同じところに撃ち込む。
再生しようが関係なく、弾倉が空になるまで引き金を引く。

114【邪竜グォルズルグ】:2018/03/30(金) 11:35:06 ID:1t3k/q6M
>>111
邪竜が持つ魔術的防護には空間干渉を拠り所にするものがある。
たとえば――――


空間歪曲による投射物体の入射角変動。
直撃部周辺空間への衝撃発散。
物理法則および物理定数改竄による速度・エネルギーの減衰。
空間の並進対称性崩壊による運動量保存則への干渉。
平行世界への物質的転移。


これらはすべてちぎり取られた。


『む……』


矢が、邪竜の眉間を抉っていた。

鱗を粉砕し、肉を削ぎ落とし、頭蓋骨にまで達する。
超高温の血液が頭部からほとばしり、肉片が周囲に飛び散る。
螺旋状の衝撃が、邪竜の骨肉を引きちぎる。


矢が止まった。


即座に、闇が傷口から滲む。
肉や鱗もまた、独立した生き物のように蠢き、修復をはじめた。

邪竜は炎を止め、アーチャーを見た。
巫女以外の存在をまともに見据えたのは、これが初めてのことである。



『貴様ら……』
       パァン!



発砲音と共に、傷口から再度の血しぶきが上がった。

邪竜の注意がアーチャーに向けられたその瞬間、ニキータのコランダム弾が命中したのだ。
それもアーチャーが穿った額の傷口と寸分違わぬ位置である。
さらに2発3発と次々に弾丸が放たれ、それらはいずれも傷口周辺に着弾した。
激しい血飛沫が上がる。

矢によって空間的防護を失い、負傷の修復も終わらぬ状態で、特殊な弾頭を備えたライフル弾の直撃を、連続で受けたのだ。
流石の邪竜も無事では済むまい。
おそらく頭蓋骨は破壊しただろう。ひょっとすると脳まで貫通………



『オオオオオオオオオオッ!』



傷口から凄まじい量の闇が噴出する!
闇は傷を凝り固め、さらに突き刺さった矢と弾丸を強引に引きずりだした。
血肉が急速に蠢き、傷口をあっという間に塞いでいく。

闇の滲出と損傷部修復の速度は、これまでよりも更に速い。
しかしそれでもなお、出血は続いている。


『なんと鬱陶しい害虫どもだ………先に駆除しておくか!』


邪竜の眼前に漆黒の球体が現れる……!

115【邪竜グォルズルグ】:2018/03/30(金) 11:35:24 ID:1t3k/q6M
>>112
巫女はレノの傍に着地した。
祈祷を中断し、鞘から神剣を抜く。

それはかすかに輝いている。
いや、周囲の闇を打ち払っているのだ。

「私の剣技は素人同然で、筋力に至っては皆無です。
私がただ攻撃しただけでは、与えられるダメージにも限りがあるでしょう」

邪竜の眼前に、漆黒の球体が出現しようとしていた。

「あの攻撃は炎ほどの威力はありません。私にとっては防御しやすいタイプでもあります。
皆様の攻撃で邪竜にダメージを与えられつつあるようですし、邪竜の注意も皆様に向きはじめたようです。
少なくとも、私と貴方にとって眼前の危機は去りました……作戦を変更するなら、今のうちですよ」

神剣はかなりの大きさだったが、なんとか片腕でそれを持ち、残った手でアーチャーの剣を握った。
作戦そのものに異議があるわけではないらしい。

116【邪竜グォルズルグ】:2018/03/30(金) 11:35:56 ID:1t3k/q6M
>>111-113(全員)

邪竜の眼前に漆黒の球体が現れる……!

漆黒球は連続的に生成され、そして次々に発射された!

それはアーチャー、ニキータ、そして巫女を狙っている。
精密性は低く、弾速も見切れぬほどではないが、連射速度が凄まじい。


巫女は、この攻撃について事前に言及していた。
あの漆黒球は、あらゆる生きとし生ける者を脅かす『暗黒』の顕現であり、たしかな実体を持つ物質でもある。
それは鉄球を叩きつけるような物理的破壊力と、触れた者を侵食し生命力を奪う力を併せ持つ。
炎ほどの威力は無いが、相性によっては炎より厄介かもしれない。


邪竜の出血は治まりつつあり、空間干渉による防護も既に再構築が始まっている。
追撃するなら今がチャンスだ。

危険を冒して今のうちに攻撃するか? それとも防御に徹するか?
もし両立できる自信があるなら、試してみても良いだろう。

117ニキータ:2018/03/30(金) 18:51:25 ID:???
>>116
「うそだろ…」
血肉が再生するのをスコープ越しに確認する。
そして殺到する漆黒の球体

「こいつはやばい、稜線の陰に隠れろ!巫女さん連れて、早く!」

煙幕弾を投げてほかの者の撤退を促す。
稜線の陰に転がり込み、再装填する。

レーナ「この時を待っていたんだー!黄金大弓!金色射法!」
ヴェーラ「堕天使魂!」
ヴェロニカ「4人の力を合わせたこれで!」
タマラ「ゴールデンアロー!ファイナルシュート!」

上空に退避していた堕天使四人組が、魔力を結集させた黄金に輝く弓から矢を放つ。
取ってつけたような必殺技の名前を叫んで邪龍に迫る。

118レノ:2018/03/30(金) 22:13:49 ID:???
>>115
「力は貸す。技はいらねえ。ただ奴の身体に剣を向けて突っ込んで行けばいい」

アーチャーの剣を握ると、必然的にレノの手にも触れる。
すると間も無く、レノの手が触れた箇所から体が暖かくなり、身体中に拡がっていく。そして、全身に今まで感じたことの無い強い力が漲ってくる。
強化の魔術だ。その影響で、片腕でも大剣を持ち上げる事は可能となり、両手で持てば大男が振るうように、大剣を扱うことができるようになるだろう。

「君の言ってる事は正しい。が、勝ちってのは敵さんから捥ぎ取るもんだぜ」

言い終える頃、既にレノが土壁に触れている手先は黒く炭化し、崩れ始めた。
限界と見るや、レノは土壁の魔術を解き、剣で炎に触れる。

土壁が崩れ去り、レノ達が居た地点を炎が通り過ぎた頃、グォルズルグの近くへとレノ、イクゥンブナイは移動しているだろう。

119名無しの魔術師:2018/03/30(金) 23:07:31 ID:???
>>全員

邪竜が漆黒球でアーチャー、ニキータ、巫女に狙いを定めた時、
レノが剣を手に取り転移した時、堕天使カルテットが一斉に攻撃を仕掛けた時
地響きと金属の幾重にも擦れる音が山の斜面から現れた。

それは鎧で身を固めた者たち。
それは風を切る矢を番えた者たち。
それはローブに身を包んだ者たち。
それは法衣を纏った神聖な者たち。
そしてその先頭にモブではない顔の者が立ち剣を空に掲げた。

「我こそは地方領主ツカイ=キリ!
 邪竜討伐に参戦仕った!」

「同じく地方領主デバン!
 デバン=ココダケ!!遅ればせながら参戦する!」

そして雄叫びを上げる領主の家臣たち。
ざっと騎士が100名、弓兵が100名、魔術師が20名、僧侶が5名といったところだ。

空に掲げた剣を邪竜に向けると弓兵が一斉に矢を構えた。
ツカイ=キリが声を張り上げると、弓兵が矢を解き放つ。
魔術師たちも続き、20名が簡易的な魔弾を放つ。
5名ずつ、水・雷・氷・風といった属性に分けて魔弾は迫る。
続けて騎士たちが剣を構え邪竜へと駆けだす。
僧侶たちは傷の追った者がいないか探しているようだ。僧侶の下へいけば回復魔術を施してくれるだろう。
ただし現れたこの者たちは、特殊な力など有していないごく一般的な兵士や魔術師だ。
正面から挑めばたちどころに蹴散らされてしまうような存在だ。

デバン=ココダケ「さあ先に戦っている勇敢な者たちよ!我々が前に出ている間に態勢を整えるんだ!」

謂わば名もなき戦士たちだ。

120アーチャー:2018/03/31(土) 01:40:44 ID:???
>>114-118
役目を終えた剣――“矢”は内包していた魔力の全てを失い、霧の如く霧散した。
邪竜の護りをも突破するほどの一撃を見舞った代償は、安くは無い。
ポーションを一気に飲み干し、急いで魔力を補充する。残りは三本。

「漸く余裕が崩れ始めたか。功を奏したようで何よりだよ」

軽口を叩きつつ、周辺を一瞥して状況の把握に努める。
ニキータは回避に徹している。少なくとも、即座にやられる事は無いと判断する。

巫女は――レノが、託した剣を用いるつもりであれば問題は無いだろう。
漆黒の球体の群れとて、一度は回避出来る筈だ。その後は、レノと巫女の二人の機転に期待するしかないが。

剣の名は“尖ったもの(ネイリング)”――ある伝説において、竜殺しの英雄の一人ベオウルフが用いた剣。
剣そのものは竜を貫く事は敵わず折れてしまうが、ベオウルフはすかさず己が怪力を活かし、竜を絞め殺したのだという。

伝説はやがて概念となりて昇華し、宝具の一つに至ったネイリングは、一つの概念を宿した。
“敵の攻撃を受ける事で、如何なる距離間をも無視して敵の下へと転移する”―――カウンターの役割を果たす報復礼装。

(彼の英雄は比類なき怪力を以て竜を制圧したというが……レノ、お前はどうする?)

121アーチャー:2018/03/31(土) 01:59:59 ID:???
>>116
「――なんて、考えている暇は無さそうだな……!」

先程までは、此方に意識を向けられていなかったが故に強力な一撃を見舞う準備も出来た。
完全にターゲットとなった今は準備を行う余裕が無く――
となれば追撃の好機を失うのは惜しいが、防御に徹するしかないと判断する。

「投影、開始――」

言霊と共に、アーチャーの両手に現れたのは一対の双剣。
陰剣干将、陽剣莫耶――装備者に対物理・対魔力の守りを宿す名剣である。
剣そのものの耐久力も折り紙つきで、大きな破壊力を持つ漆黒の球体とて、十や二十の衝撃で双剣を打ち砕くのは至難の業だ。

双剣を装備したアーチャーは、自身に飛来する幾つもの球体を往なし、弾き、叩き落していく。
険しい表情を浮かべてはいるものの、少しずつではあるが歩を進め、着実に邪竜との距離を詰めていく様子が見て取れるだろう。
守りに徹しながらも、反撃の機会を窺っているのだ。

>>119
「助力、感謝する――だが決して正面からは挑むな! 横合いから仕掛け、即座に離脱する事を繰り返すんだ!」

邪竜の猛攻を捌きつつ、礼と忠告とを戦士達へ投げ掛ける。
決死で挑む戦士達の覚悟を無下にはしないが、彼らの命を無駄にするつもりもない。

「遠距離から仕掛けられるなら奴の額を狙え! 私達が先んじて傷を負わせている!」

122【邪竜グォルズルグ】:2018/04/03(火) 13:44:34 ID:1t3k/q6M
邪竜は驚愕した。
巫女が至近距離に突如として現れたからだ。
その手には、あの忌々しい神剣を携えている。

空間転移や空間歪曲に抗する能力が、邪竜にはある。
だがこの瞬間、邪竜の空間制御は破壊されており、修復の最中であった。
ゆえに、巫女の転移を抑止することはおろか、その予兆を察知することさえできなかった。

邪竜の混乱は一瞬であったが、その隙に巫女は大地を蹴っている。
強化された脚力が速さと高さを生みだし、もはや邪竜の眼前に迫っていた。
炎は間に合わぬ。闇は効かんだろう。牙はかえって弱点を曝すことになりかねない。
邪竜は撃墜を諦めた。


神剣が、邪竜の左目に突き刺さった。
眼球は完全に潰れ、神の力が視神経を焼いた。眼窩から血液と体液がだくだくと漏れはじめる。
即座に闇が滲出し、傷口が蠢きはじめたが、眼球は復元しなかった。



『お前の負けだな』



邪竜の腕が振り下ろされた。
巫女は地面に叩きつけられ、そのまま押さえつけられた。


「うくっ……ぐぐ………!」

とっさに神剣を盾にしたことで、鉤爪が突き刺さることは避けられた。
だがその衝撃だけで、彼女の両腕は完全にへし折れた。
神々の加護、巫女自身の防護魔術、そしてレノの強化魔術を重ね合わせても、邪竜の一撃に抗えなかった。


あのとき――――巫女は額を狙った。
一撃必殺でなければ反撃の恐れがある。ゆえに額の傷口に剣を差し込み、脳を破壊する。
斬撃では不安だ。より力が一点集中する刺突でなければならない。
巫女は自身の剣技のつたなさと、邪竜の力の恐ろしさを理解していた。

巫女は跳躍し、額に剣を向けた。
邪竜は迎撃しなかった。
それどころか、回避行動すら最低限だった。剣を完全に躱そうとはせず、額を庇うのみに留めた。
結果として巫女の剣は邪竜を貫いた――空振りにはならなかった。

剣が深々と邪竜の眼球に突き刺さった結果、巫女の身体は『引っかかった』。
ごく短時間(そう、ほんのちょっとの間だけだ)、巫女は空中で完全に静止した。
動かない物体に攻撃を命中させるのは、邪竜にとって容易なことだった。なにせ、一瞬前まで文字通り“目の前”にあったのだから。

もし邪竜が完全に回避に徹していれば巫女も停止せず、素早く次の行動に転じていただろう。
そうなれば、これほど容易には巫女は倒されなかったはずだ。


>>危険を冒して今のうちに攻撃するか? それとも防御に徹するか?
>>もし両立できる自信があるなら、試してみても良いだろう。

邪竜が選んだ選択肢は、両立だった。


「ぐ!………があっ!!」

全身の骨がミシミシと鳴り、筋肉が断裂しはじめる。

『剣の巫女にしては貧弱だな』

炎や闇によって巫女を苛むこともできる。だがそれはしない。
この小娘が、どんな超常の力よりも物理攻撃に弱いということを学んだからだ。
しかし爪や牙を叩きつけるためには一瞬腕を外さなければならず、逃走や妨害の危険がある。
余計なことはせず、このまま拘束を続けながら膂力で潰し殺すのが最も確実な処刑方法だろう。

邪竜は腕に力を込める。

123【邪竜グォルズルグ】:2018/04/03(火) 13:44:56 ID:1t3k/q6M
邪竜は腕に力を込めた。

だがその瞬間、上空から矢が降り注いだ!
更に地上からも膨大な矢と魔弾が雨霰と押し寄せる!
陸と空からの三次元的な十字砲火だ!

全身に矢が突き刺さり、血飛沫が上がる!
氷と水の魔弾が邪竜から体力を奪い、雷と風は腕の筋肉運動を阻害した!
巫女を抑える力が緩む!


『ぬゥ……!』


邪竜は不意を打たれたようだった。
傷口が修復しはじめるのも遅く、結果として多くの血液を失う。


巫女の予想外の転移は、邪竜に少なからぬ動揺を齎していた。
注意は自然と巫女に集中し、人間達への妨害となるはずの漆黒球も停止を強いられている。

加えて、左目の傷も大きな影響を与えていた。
眼球の喪失のみならず、神の力は『見る』という概念そのものを傷つけるに及んでいる。
概念の権化たる邪竜にとって、これは状況把握能力の著しい低下を意味していた。


『おのれ……!次から次へと蛆虫のように湧きおって……!』


邪竜は残った右目で周囲を見据える。

猿どもは予想以上に鬱陶しく、巫女も強化されている。圧殺では時間がかかりすぎる!
では先に猿どもを焼くか? いや、これは巫女を滅ぼす最大の好機!これを逃すすべは無い!
計画を変更し、危険を冒してでも今すぐ鉤爪で八つ裂きにするのが最善か!


『死ね!』


邪竜は抑えていた腕を振り上げ、巫女めがけて鉤爪を振り下ろした!!

124ニキータ:2018/04/03(火) 19:09:26 ID:???
>>123
「くそったれのトカゲ野郎が!」
首にぶら下げた一発の銃弾をチャンバーに込める。
先ほどのコランダム弾と見た目は変わらない。
が、装薬が強化されているホットロード弾だ。

稜線の上に仁王立ちして照準線を額に合わせる。
体の筋肉を硬直させて銃をしっかり固定し
息を吐きだし、人差し指を柔らかく絞る。
その刹那、シアーが解放され撃鉄が撃針を叩き
装薬を燃焼させる。同時に蹴り飛ばされたような衝撃と耳を聾する発砲音
音速を超えて飛翔する弾頭、飛び出す薬莢…
一瞬のことがひどくゆっくりに感じられる。
空の薬莢が、渇いた音を立てて岩の上に転がるまでの間に10年は立ったのではないかと
思うほどの感覚…
狙撃兵は任務を果たせたか…?

125レノ:2018/04/03(火) 20:29:19 ID:???
>>122-123
鉤爪が振り下ろされる前に、すかさずイクゥンブナイの身体を抱え、危機一髪横から救い出したのは、レノが静かに待機させていた女性型エネルギー体(>>102参照)。
女性型エネルギー体は、そのまま竜に対して背を向け走り出す。

すかさずレノは女性型エネルギー体の背中に対して魔弾を2発、3発放つ。これは攻撃ではなく、時間の経過によりエネルギーを失ったエネルギー体への"栄養補給"。エネルギー体は、抱えたイクゥンブナイと共に一気にスピードを上げ、理由の腕の届く範囲から離脱するだろう。目指すは、僧侶の元だ。(>>119)

レノ自身はその場に残り、攻撃には参加せず、女性型エネルギー体の操作に全神経を集中させる。

126アーチャー:2018/04/03(火) 22:52:46 ID:???
>>123
巫女に注意が集中し、漆黒球による妨害が無くなった事でアーチャーは自由の身となった。
僅かな間であれど、それは彼にとって次なる一手を打つ好機となる。

(休む間も無く畳み掛ける事で、こちらに注意が向いてくれれば良いが――手数で鬱陶しがらせるしか無いか)

すかさず邪竜の左目側の地形へと移動し、双剣を放り捨て、投影した剣を一つ地面へと突き立てた。
漆黒球を捌く最中、脳裏に用意していた九つの設計図を次々に投影していく。
地に突き立てた独特の形状と同じモノ――“バルザイの偃月刀”と呼ばれる魔杖が計九つ、邪竜の頭部を取り囲むように具現化するだろう。

「“彼”の模倣に過ぎんが、贋作とはいえ虫ほど脆くは無いぞ」

「全工程完了(セット)――“是・魔刃結界”」

アーチャーの言霊が合図となる。
その体を構成する概念ごと切り刻まんとばかりに、邪竜の頭部へ九つの魔杖が殺到する――!

127ウルスラ/ハーミア/??(鬼の少女):2018/04/03(火) 23:29:59 ID:???
>>123
???「低空!ライジングドラゴンパァアンチ!」

振り降ろされる邪竜の爪に不意打ちで人間の膂力を超えた一撃が叩き込まれる。

長いプラチナブロンドに澄んだ明るいブルーの瞳の少女。
ただしその耳の先は尖っており、その上やや後ろからは小さな角が2本ずつ飛び出ている。
何より邪竜のものとはサイズが違うとはいえ銀色の竜の翼と尾が生えている。

ハーミア
「我が名は銀竜子ハーミア!
 ディオーネ小竜国が聖域ロギノードスを守り、人と龍の調和を司る秘龍神レアンドラが娘!
 此度は父たる人族に力を貸すため、ドラゴンキラーを預かりここに参上!」

ウルスラ
「・・・預かりというか、勝手に持ち出したのだろう。
 まったく・・・隙を見て奇襲する段取りが台無しだな。」

ハーミアが現れた方向から青銀髪のハーフエルフと、それよりやや薄い髪色の少女が現れる。
瞼に塗られた紫の顔料の所為か少女とは思えない妖艶な美貌を持ち、
その額には鬼の象徴である角が2本、隠すこともせずにハッキリと生えている。

鬼の少女
「妾にも手を貸せというからどのような相手かと思えば・・・何じゃ、トカゲかえ?」

ウルスラ
「安心しろ、お前と同類だから退屈はせんだろう。
 それより・・・ちゃんと恩義は返せるんだろうな?鬼の誇りとやらにかけて。」

鬼の少女
「ホ!言いよるわ!」

ひとしきり言い合った後にウルスラはその場に居る全員に対して宣言する。

ウルスラ
「さて・・・と、遅ればせながら魔術師ウルスラ・ジークリンデ・ベルガー、助力に参った!」

純粋な人間は一人も居ないが、
人間側の味方として三人は戦場へと現れた。

128名もなき戦士:2018/04/07(土) 18:13:35 ID:???
>>121
ツカイ=キリ「分かった。
       こちらは個々人が突出した力を持っているわけではないので、
       集団での戦いをさせてもらう」

アーチャーからの忠告に力強く頷いた。

>>123

邪竜が巫女を優先したことにより、地方領主率いる名もなき戦士たちは、
一人の犠牲者も出さずに次の行動へ移れた。

ツカイ=キリ「よし!邪竜の側面から攻撃を仕掛けた後、すぐに離脱をするんだ!
       傷を与えているか確認するようなことはしなくていい!
       離脱した後、順次弓と魔術で攻撃を仕掛ける!!」

騎士たちはこの世界の一般的な剣で、邪竜の左右から斬りかかる。
ダメージを与えるには、あまりに脆弱な攻撃だろう。
邪竜が攻撃を仕掛けてこなければ、それぞれが攻撃して離脱していく。
そして、再びの矢と魔術の多重攻撃が開始された。
アーチャーからの助言により、魔弾は額付近を狙うように指示されている。

>>125
僧侶のもとへたどり着けたなら、5人掛かりで治癒魔術をかけられるだろう。

129【邪竜グォルズルグ】:2018/04/08(日) 13:12:51 ID:1t3k/q6M

邪竜は前腕を振り下ろす――!


その瞬間、邪竜の前腕に凄まじい衝撃が走った!
ハーミアの拳が鉤爪に命中し、その軌道をそらしたのだ!

無論邪竜も妨害は想定済みである!即座にもう一方の腕を繰り出した!
しかし邪竜の額に銃弾が突き刺った!
空間干渉能力と頭蓋骨の修復が進んでいたために致命傷となることはないが、衝撃そのものは殺しきれない!
強装弾の激しい衝撃によって強制的に頭部をのけ反らされた!


『チイッ……』


――攻撃が途絶えた。
その隙に女性型エネルギー体が巫女を抱え、僧侶たちの元へと疾走する。

邪竜の脳裏に追撃の選択肢が浮かぶ。しかし逡巡の後に棄却した。
殺せぬまでも巫女は戦闘不能に陥った。あれでは最早剣を振るえまい。
続々と湧き始めた害虫どもを駆除したのちに、じっくり始末するのが良かろう。


>「我が名は銀竜子ハーミア!
> ディオーネ小竜国が聖域ロギノードスを守り、人と龍の調和を司る秘龍神レアンドラが娘!
> 此度は父たる人族に力を貸すため、ドラゴンキラーを預かりここに参上!」

『我はグォルズルグ、悪しき竜。供されし神を喰らいしもの。ウォルクノイクの光なき火。』

最低限の礼儀は尽くしたが、それ以上の情報を与えはしなかった。


『同類だと? 笑わせる。我は真の神だ。貴様らのような卑しい小神とは――――格が違うわ!』


邪竜は全身を横回転させながら尾を薙ぎ払った!
それは兵士たちの矢と魔術、そして具現化されたバルザイの偃月刀を打ち落とす!
その勢いのまま、巨木のような尾が邪竜の周囲に存在する全ての物体に襲い掛かった!


その巨体からは信じられぬほどの高速であり、重量と相まって人間を容易に引きちぎるだけの破壊力を持っている。
そのうえ邪竜の肉体は死の概念の塊であり、直撃すれば闇の力によって生命力を奪われてしまう。
巫女のように耐性を持っていなければ、たとえ物理的被害を免れたとしても疲労や倦怠感に苛まれ、最悪の場合は心臓を動かす活力さえ失い死に至るだろう。

さらに、度重なる攻撃の結果、邪竜の肉体から失われた血液や闇が周囲に飛び散っている。
ダメージを与えている証でもあるが、マグマのような熱と生命を奪う力が残存しており、しばらくの間は触るのも危険だ。
もし回避もしくは離脱できるとしても、これらによる熱傷や生命力低下は覚悟すべきだろう。

また、この状況下でなお反撃を試みたとしても、並大抵の攻撃は意味を為さない。
バルザイの偃月刀のように、撃墜されてしまうのは明らかだ。
尾に撃墜されぬ圧倒的な貫通力、もしくは特殊な攻撃手段を持っていないのであれば、薙ぎ払い攻撃の終了まで反撃は控えるべきであろう――無論、その時には邪竜も次の行動に移るのであるが。

130【邪竜グォルズルグ】:2018/04/08(日) 13:16:58 ID:1t3k/q6M
エネルギー体に抱えられた巫女は無事に邪竜のそばから離れ、僧侶たちの元へ辿り着く。
命に別状はないようだ。

「腕の治療は不要です。指先から鎖骨周辺に至るまで、筋肉と骨を完全に破壊されています。
この状態から完治させるために必要な労力と時間は多大なものとなるでしょう。その結果神剣を振るう力を取り戻したとしても、邪竜が転移を警戒しはじめた今となっては攻撃が再び成功する可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
よって、私は神剣による攻撃をあきらめて山神への祈祷に戻り、それに必要なだけの治療を受けるのが最善と考えます」

「内臓や重要器官の損傷はありませんが、全身の筋肉が断裂しているのでそれを治してください。
それから腰の骨が損傷しており逃走や移動に支障があります。加えて肋骨が2,3本折れているので呼吸の度に痛みが走って不便です。
これらも治療をお願いします」

話すべきことを話すと、祈祷に集中し始めた。

131【邪竜グォルズルグ】:2018/04/08(日) 13:35:08 ID:1t3k/q6M
邪竜の額の傷は未だ残っており、出血を続けている。

空間干渉能力については完全に復旧した。

全身には兵士と堕天使たちの矢が突き刺さった跡があるが、闇によって出血は止まっている。
翼にも矢傷があったが、飛行能力は未だ万全のようだ。

左目は凄惨な傷跡がついているが、既に出血はない。
僅かずつではあるが眼球すらも復活しようとしており、『見る』という概念もまた同様だ。


巫女の負傷については自己診断通りである。
神々への影響力や魔力はほとんど消費しておらず万全といえるが、祈祷はまだ大きな成果をあげられていない。

132ニキータ:2018/04/08(日) 20:08:01 ID:???
>>129
「ボルトが焼き付きやがった…」
何度かチャージングハンドルを動かそうとするがびくともしない。
強装弾の反動に銃が耐えられなかったようだ。

「打つ手なしか…」
ホルスターに手を伸ばし拳銃を取り出す。
邪龍に対して豆鉄砲にすらならない小ささである。

133アーチャー:2018/04/08(日) 23:52:36 ID:???
>>124-125 >>127-129
「チ――! 早く下がれ!!」

邪竜の反撃は高速だが、千里眼とも称されるアーチャーの目は、確かにいち早くその始動を捉えた。
叫ぶと共に、尾が届くよりも先に力を篭め、後先を考える間も無く飛び退く事で回避する。

だが如何に距離を取ったとはいえ、幾重にも飛び散った血闇を完全に避けることは叶わなかった。
尾を回避する事に全力を費やさざるを得なかったのだから、当然と言える。

(外套のおかげで対界の護りが働いているとはいえ、拙いな)

抗熱剤をすぐさま含み、これ以上の熱傷を止める。
生命力低下の影響については護りと、彼の霊格が人間のソレを上回る事が幸いし、疲労や倦怠感に苛まれる程度で留まった。
無論いずれも、直撃を受けていないという事が一番の要因である。

134アーチャー:2018/04/08(日) 23:54:47 ID:???
>>131
「あの様子ではカラドボルクの概念干渉も既に期待薄か。
 皆が態勢を立て直す時間が欲しいが……今のままでは困難だな」

一度だけ、援軍に現れた青銀髪のハーフエルフへと視線を向ける。

それも刹那。
意を決したように弓に持ち変え、先程と同じく“偽・螺旋剣”を番える。

「投影、重層(トレース、フラクタル)――I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)」

だが言霊を紡ぐも、剣が放たれる様子は無い。邪竜の隙を伺っているのか、他の思惑があるのか。
切っ先は邪竜へと向けたまま、アーチャーは続けて言葉を紡ぐ。

「――Steel is my body, and fire is my blood(血潮は鉄で、心は硝子)」

135ウルスラ/ハーミア/零姫(鬼の少女):2018/04/09(月) 00:29:56 ID:???
>>129-131
ハーミア
「竜の障壁ッ!」

大きく飛び上がり、障壁で打点をずらしてわざと高く跳ね飛ばされる。

ハーミア
「っ痛ー・・・同じ竜の体でもやっぱサイズの差って大きいなあ・・・。
 ましてや八竜に匹敵するかもしれない破壊力じゃあどううまくやっても無傷とはいかないか・・・!」

グルグルと回転しながら空高くまで打ち上げられ、翼を広げてやっと姿勢を立て直す。

====================================================

鬼の少女は竜の尾が巻き起こす突風で乱れた髪を整える。
闇の力による疲労などの影響は見られない。

鬼の少女
「・・・真の神か。ならば確かに貴様のいうように妾とは同類ではないな。」

まき散らされた血液に警戒もせずに触れる。

鬼の少女
「だが・・・なるほど、概念は同じか。粗野だが良い味じゃ。」

触れた手をペロリと舐める。
少女の周囲の血や闇が少女へと集まり、黒い球体となる。

「所詮畜生の血、長くは保てんと思うが久しぶりに元の身体に戻れることは感謝しよう!」

黒い球体から現れた鬼の少女はスラリと長い手足に魅惑的な身体を持つ成体の鬼へと変貌していた。

零姫
「褒美に我が名を教えてやろう。我が名は零。
 東の果ての地にて生まれし『闇の太陽』『百鬼の終焉に立つ者』『泣空姫』
 そして、『天亡大禍 零姫(あめほろぼすおおわざわい れいひめ)』と呼ばれし旧き荒ぶる神よ。
 神とは言うが、こちらの言葉で言うのならば【でもん】と言うべきものかのう?」

まき散らされた闇、そして傷ついた人間達の恐怖や慟哭を血肉へと変え、
旧き純血の鬼が解放された。

====================================================

ウルスラ
「さて、相性的には最悪だが・・・なるようにしかならん、か。」

臙脂色に金色のラインが入ったバルザイの偃月刀を召喚する。
ただしその形状はアーチャーが持つものよりもより攻撃的であり、
そして本来の偃月刀により近くなるように長い柄が付いている。

>>134
ウルスラ
「弓兵、時間稼ぎなら任せろ。それとも、貴様の切り札への助力が必要か?」

鬼の少女・零姫から距離を取り、アーチャーの近くへと移動すると
偃月刀を杖のように大地に突き立て、腰のホルスターから抜いた魔導書をパラパラと開く。

ウルスラ
「編み上げろ・・・蜘蛛神の芸術よ!」

金色の糸が偃月刀から無数に放たれ、邪竜を取り囲むように降り注いでそのまま空間へと溶け込んでいく。

136レノ:2018/04/09(月) 01:02:49 ID:???
>>128-131
(まさか、殆どの魔力を使っても、状況を好転させることすらままならないとはな)

僧侶の元へイクゥンブナイが渡った事が分かると、
滴る汗を拭いながら、レノもまた僧侶達の元へ後退する。

「すまないが、手が空き次第、俺の治療も頼む。代わりに、この場の全員の安全の確保に努めさせてもらう」

僧侶の返事を待たず、周囲をエネルギー壁で囲う。
レノの左腕は壊死したかの様に黒く焦げており、指先に至っては炭となり、手の形を成していない。

137アーチャー:2018/04/10(火) 01:04:06 ID:???
>>135
まさか此方に声を掛けられるとは、弓兵にとっては予想外だったのか。
驚きの表情を浮かべていたがそれも一瞬で、不敵な笑みへと切り替わる――が。

「ふむ、有り難い申し出だ。
 今まで巫女に御執心だったが、どうも奴は鞍替えしたようだからな。いつ此方に矛先が向いてもおかしくない」

「およそ三十秒。それだけ稼いで貰えれば、数分は奴を抑え込める見込みだ。
 こちらの被害の程は大まかにしか確認できていないが、皆が態勢を整える時間は得られるだろう。
 ――予想を上回って来られた場合は保証出来かねるが、その時は邪竜が上手だったと諦めてくれ」

と、時間稼ぎを頼んできたかと思いきや、

「後、彼ら(ニキータ、レノ、名も無き戦士達)のフォローをしてやって欲しい。
 邪竜に効果的な武装を与えるなり、回復の手助けをするなり――まぁ、君に余裕があればで構わない。
 ――とは言ったが、今のは私よりも優先してもらいたいのが本音だ。
 個人的な心証の問題でね、自分より他人が気になって仕方ない性質なのだよ。特に危機に陥っているとあらば尚更ね」

……欲張りの一言に尽きる。
他者の手助けをもウルスラへと頼んできたのである。“初めて会った筈の相手に対するものとしては”無茶な注文ぶりと言えよう。

「長々とした注文だが任せても良いかな? ……ハーフエルフの魔術師よ」

ほんの僅かな時間だが、何と呼ぶべきか悩んだ素振りを見せた後、そう問い掛けた。

138名もなき戦士:2018/04/10(火) 12:31:42 ID:???
>>129>>133
騎士たち「----…!」

邪竜の攻撃により、およそ6割の騎士が一瞬で消し飛んだ。
残った4割の騎士たちも尾により発生した風圧、血液や闇による影響で戦意喪失寸前の混乱状態に陥っている。

デバン=ココダケ「なんだあの動きは…人間は勝てるのか、あれに……?」

自身の騎士たちが跡形もなくなった光景を見て、小さく絶望した。

ツカイ=キリ「騎士たちを後退させる!引き続き矢と魔弾で攻撃するんだ!」

兵士たちは我に返ったように、再び攻撃を再開した。

>>130>>136
僧侶「分かりました。私たちの力ではすぐの回復は出来ませんが、早急に始めます」

5人の僧侶が巫女を囲むように円を組み、治癒魔術の詠唱を開始した。
僧侶たちは魔術は、人間の回復力を促進させる類の魔術で、一瞬で癒えるような類の術ではない。
それでも、出血は止まり、徐々に痛みを引き呼吸しやすくなるだろう。
この瞬間を狙われれば、巫女ともども全滅は免れない。

そこにレノが現れた。
僧侶の一人がレノへと頷き、巫女への治癒を優先させる。
この場での最優先は、巫女だと判断したのだろう。
巫女の状態次第では一人抜けてレノの手の治療をすることも出来るだろう。

139【邪竜グォルズルグ】:2018/04/12(木) 01:20:50 ID:1t3k/q6M
僧侶による巫女への治癒魔術は速やかに効果をあらわした。
おそらくこれも神々の加護とやらの力であろう。
ボロ雑巾に等しい状態の両腕を除き、おおむね負傷は回復した。

巫女は今もなお祈祷を続けている……。

140【邪竜グォルズルグ】:2018/04/12(木) 01:21:03 ID:1t3k/q6M
荒れ狂う暴風のような尾攻撃が討伐者たちを襲う。
邪竜から離れる者や離れざるを得なかった者、他の行為に専念し動かなかった者、そして死んだ者。
彼らの行動は様々だった。しかし、邪竜の至近距離に接近した者は居なかった。

そして邪竜が停止する。
回転が止まったその瞬間、巨体が飛んだ。
それは飛翔というより跳躍に近かった。脚の力を利用することで一瞬のうちに大地を離れたのだ。
それは力強く機敏で、邪竜から距離を取っていた討伐者たちはそれを阻止できなかった。


空から大地に向けて、邪竜は炎を放った。
巫女を襲った火炎と異なり、それは赤く輝く球体だった。
火球は高速で落下し、地上2mに達した時点で炸裂した。

炎がすべてを飲み込み、視界を紅蓮が埋め尽くす。
範囲は広い――アーチャー、ウルスラ、ハーミア、零姫、騎士たち。
邪竜自身さえ炎を浴び、さらには矢や魔弾にすらも、破壊の概念を伴う火が襲いかかった。

邪竜は低空を滞空しつつ、ほくそ笑んだ。

141ウルスラ/ハーミア/零姫(鬼の少女):2018/04/12(木) 16:37:07 ID:???
>>137
ウルスラ
「フッ、エルフの時は長い。ましてや私は祖母、そして『父親』と同じ領域に足を踏み入れている。
 それに比べればその程度の長さなど瞬きにも等しいさ。」

背後のアーチャーへそう告げると、父親――エミヤ・キリツグと同じ領域の魔術を起動する。

ウルスラ
「クロック・・・アップ!」

まずは消耗しきっている男・レノへのバックアップ。
次に決定打を使い切った狙撃手・ニキータへ対神兵装を預ける。
その流れで騎士達を鼓舞することが出来れば生き延びることもできるだろう。

==============================================================

>>139-140
零姫
「くふふ・・やはり洋の東西を問わずトカゲはトカゲじゃのう・・・
 炎を吐くしか能がないならば妾の格好の標的よ!」

落ちてくる火球を眺めながら不敵に笑う。
その右手には黒い鬼火がゆらりと燃え上がる。

零姫
「禁鬼・・・大火を呑む焔!」

炸裂した炎目がけて黒い炎を投げつける。
黒い鬼火は邪竜の炎を喰らい、それを燃料として燃え広がり、上空の邪竜へと襲い掛かる。

かつて零姫が同じ鬼から忌み嫌われる原因となった禁じられた技。
かつて天を滅ぼすと恐れられた彼女が式神や術を悉く打ち破った得意技。
相手の力が強ければ強いほど威力を増す6つの『対属性鬼術』と1つの『対鬼鬼術』。
そのうちの一つを束縛も制約もない身体を試すかのようにいとも容易く放って見せた。
暴れまわった黒い鬼火による被害など零姫は考えていない。
元々たった一人で100の軍勢と戦い、その総大将と相討ちになる形で封じられた大悪鬼には連携をとるべき友は居なかった。
それ故にすべての攻撃は火力の一点に特化されており、
圧倒的な破壊力だけならば九尾の狐にも勝てると豪語するのも納得いくものだ。


==============================================================
ハーミア
「っ!逃げ・・・!」

邪竜から距離を取りながら地上へ逃げるように叫ぼうとする。
しかし邪竜の炎のほうが早く、その炸裂によって声はかき消される。

さらに地上から昇ってくる破壊の炎と黒い鬼火に襲われる。

ハーミア
「カァアアアアッ!!」

あらゆる魔術を吹き飛ばす吹雪のブレスを吐き直撃だけはなんとか避けるが、
人型のハーフドラゴンの、それも幼体の肺活量では相殺しきれずに左の籠手を損傷する。

ハーミア
「まだまだ・・・!」

背負っていた巨大な斧剣を抜き放ち、両手で構える。
並大抵の人間の膂力ではマトモに扱える代物ではない超重合金。
彼女の父親が旅に出る時に武器屋に頼み込んで無理矢理手に入れた文字通りの『看板』。
竜のウロコを貫き、竜の爪を防げるだけの頑強さを追求し実用性を失った まさに『屠竜之技』。
そして彼女の母親には通用しなかったが、ある意味では彼女の母親を射止める切っ掛けとなった竜殺し。
今、ドラゴンの怪力に操られることでその巨大な鉄塊・ドラゴンキラーはその力を真に発揮することになる。

==============================================================

レノの元へと駆けている時に竜の炎が爆ぜ、黒い鬼火がそれを喰らい暴れまわる。

ウルスラ
「チッ・・・!あのバカ・・・!」

レノのすぐ近く。なるべく多くの人間を守れるように魔力を込めて防御術式を発動する。

ウルスラ
「バルザイの偃月刀・術式強化!【勝利の楯(ジークリンデ)】!!」

時間の位相をずらし、まったく同じ術をぶつけて防御する。
本来なら自分ひとりの範囲が限界だが、術具に特化した形態のバルザイの偃月刀を使うことでその範囲はおよそ三倍に広がっている。

ウルスラ
「やはり竜と闘うのは相性が悪い・・・が、跳躍したことはむしろ幸運か。」

金色の糸が溶け込んでいる空間領域を確認しながら鞄の中の小瓶を探り当て、中身を飲み干す。
一時的に魔力が限界以上に回復したことで瞳の色が紫から琥珀色に変化する。
ウルスラ自身も相性の悪い敵と戦うにあたり、久しぶりの全力状態だ。

142アーチャー:2018/04/12(木) 21:55:14 ID:???
>>141
「……それもそうだな。君にとっては“時間”など、その気になれば手に届くモノだった」

無用な心配か、と肩を竦めて、ウルスラを見送る。
――死ぬなよ、と。言葉には出さず、強い想いを篭めて視線を送った。

それも、束の間。

>>140
「――I have created over a thousand blades(幾たびの戦場を越えて不敗)」

詠唱を再開する。
地上へ向けて放たれた火球を睨み付けながら、タイミングを見計らう。
しかし、零姫が初めに火球を迎撃したのを見ると、努めて冷静に対処を切り替える。

――投影、順序変化。

黒い鬼火が勝り、猛り狂うにせよ。
抑えきれぬ邪竜の炎が周辺へ炸裂するにせよ。
どちらであろうとも恐らく、アーチャーの目前の地に突き立てられた大剣に触れた炎は、文字通り“消滅”するだろう。

アーチャーを守るように出現した剣の名は“布流剣(ふるのつるぎ)”。
刃のみで二メートルを上回る霊剣が宿す概念は“刃に触れた霊力・魔力・概念を消滅させる”というもの。
悪神の化身を初めとする数多くの悪霊を退けたソレは、剣でありながら強力な盾として役目を果たす。

尤も、攻撃においては本来の概念は発揮されず、更に本来の担い手でないアーチャーにはこのような用途が限度だ。
今回の邪竜(あるいは零姫)の攻撃のような、ただ炸裂させた攻撃に対しては効果を発揮するが、
彼らが明確にアーチャーを狙った精密攻撃を仕掛けてくれば、まともに取り回せぬ大剣など足枷でしか無かっただろう。

143ニキータ:2018/04/12(木) 22:09:02 ID:???
>>140
レーナ「ニヒヒ、気づいてないみたい…」
ヴェーラ「やっぱトカゲだったみたいね。」
ヴェロニカ「こっちにも奥の手はあるのよ」
タマラ「シーッ!ばれるかも…」

この4人、ほかのみんなが苦労しているときに上空に退避していた
非常に細い光の線を邪龍に当てたまま…

コマツ「出番がないままだと思っていたよ。」
ヒラオカ「俺たちがトリとはついているな。」
タナカ「照準用レーザーとらえました!」

この3馬鹿、わざわざ隣の峰に大荷物を抱えて潜伏していた。
筒を斜めに倒しただけの簡単な砲、迫撃砲である。
ただし装填されているのはレーザー誘導式の砲弾である。

コマツ「ぶっ放せ!」

破裂音とともに砲弾が邪龍に向かって降ってくる。

144アーチャー:2018/04/12(木) 22:12:11 ID:???
>>140
「ほくそ笑む余裕はあるようだな――では、遠慮せず受け取ってくれ」

もしも邪竜がアーチャーへと僅かでも視界を広げたなら、直ぐに変化に気が付くだろう。
先程まで彼が番えていた剣は、一時でも邪竜の空間干渉能力を損なわせた“偽・螺旋剣”だった。

しかし今は、また異なる剣へと“変化”している。
アーチャーは投影順序を切り替え、予め用意していた設計図を具現化し、例の螺旋剣の発動を遅らせたのだ。
理由は勿論、より好機たるタイミングで邪竜へと叩き込む為だろう。

邪竜が気づいたかどうかの是非は問わず、アーチャーは計四本の剣を高速で撃ち放った。

狙いは竜の両眼、両腕。
放たれた剣の名前は『リディル』――北欧神話の英雄シグルドが用いたとされる剣。
それは僅かでも竜の肉体を傷つけたならば、無尽蔵に竜の魔力を奪い続けるという力を持つ。
傷口が完全に塞がれれば効力は失われるが、僅かでも傷口が開いていれば、効力は落ちれど魔力を損なわせ続けるのである。

「――Unknown to Death(ただの一度も敗走はなく)
 ――Nor known to Life.(ただの一度も理解されない)」

強力な武装の連続投影により、全身が軋るのを堪えつつ、詠唱を続ける……!

145名もなき戦士:2018/04/13(金) 01:27:09 ID:???
>>139
僧侶たちは手を休めることなく、巫女の回復に励んでいる。
しばらくして、一人の僧侶が離れレノの治療に回った。
巫女はゆっくりとだが、着実に回復している。

>>140
生き残った騎士たち「もうダメだ…おしまいだぁ…」

恐慌状態に陥った騎士たちは、絶望の言葉を紡いでいる。
そして今まさに、邪竜の炎(場合によっては零姫の黒い鬼火も含む)により、
更に2割の騎士が消し炭になった。残りの20名はたまたま飛び火がなく助かったのである。
矢と魔弾は、炎により全てがかき消された。

ツカイ=キリ「なんという…これではまるで……神話の戦いではないか!」

目の前で繰り広げられる光景に、地方領主たちは眺めることしか出来ない。

146レノ:2018/04/13(金) 11:08:31 ID:???
>>139-140,145
「悪いな。流石専門家だ」

忙しい中で治療に当たってくれている僧侶に礼を述べる。徐々にではあるが、失った指先の骨や、腕の皮膚の再生を感じるとともに、僅かに魔力の回復を感じる。

>>141
「ありがてえ、シロウの姉さん」
(防御だけに魔力を使用するのは、もはや非効率か)

僧侶の治癒と、ウルスラの支援により多少意識に余裕ができたレノは、戦場に意識をやる。

(こういうのは、どうだ……)

試験的な試みではあるが、
まずは防御に割く魔力を一旦弱める。万が一の場合は、ウルスラの防御術式を信用しようと言う考え。
次に、地に手をつき、エネルギーを地面に対して送る。土属性を覚えたレノは、地中の中にあるエネルギーも自在に操ることができる。
そして、地面に送られたエネルギーは、地元領主や狼狽える騎士達の元へ繋がって行く。

何が起こるかと言うと、イクゥンブナイにした様な身に余る程の強化は出来ないにしろ、各々が秘めており、普段は発揮していない能力をほぼ100%の状態で引き出してやることが出来る。

例えば、戦闘に直接参加していない領主は思考の回転がスムーズになり、より効果的な支持を騎士に出せる。
また、戦闘の只中に居る騎士達は、脳からの電気信号を全身に伝えやすくなり、恐れを振り払い、俊敏な動きが可能になるだろう。

147レノ:2018/04/13(金) 12:41:54 ID:???
支持=>指示

148【邪竜グォルズルグ】:2018/04/16(月) 01:25:04 ID:1UATkv8M
さて――――すこしばかり、脇道にそれる。


アーチャーが用いた布流剣による防御法は、当初巫女が想定していた神剣の運用方法に極めて近い。
邪竜に対する強力かつ多様な対抗概念を備えた神剣を盾として用いることで、邪竜の攻撃を防ぐというのが巫女のねらいであった。

しかし巫女は戦闘開始前、アーチャーに対してこう言った――神剣を用いても、攻撃を完全に無効化できるわけではないと。
また、全員に対してこうも言っていた――邪竜は、ありとあらゆる存在に干渉し傷つける力を持っていると。

すなわちこれは、【矛盾】の問題に他ならない。
邪竜の攻撃はあらゆる防護を貫く矛であり、布流剣・神剣はあらゆる攻撃を防ぐ盾である。

実際に矛と盾が激突した場合、どのような結果が生まれるか?
解答はいくつか考えられるが、そのうちのひとつは「使い手に依存する」というものだ。
つまり武器としての性能が互角なら、力の強いほうが勝つという単純明快なものである。

なぜこの瞬間においてその法則が適用されたのか、もっと別の結果(たとえば両方の破壊)が起きなかったのはなぜか、
巫女に見解を求めれば、概念戦の観点からなんらかの意見を表明したであろう。

そして、大火を呑む焔もまた、あの喩えで言うならば矛に近い存在だ。
邪竜の炎と零姫の焔の激突は、いわば【矛盾】ではなく【矛矛】と言ったところか。
炎を焔が呑むと同時に、焔を炎が焼くだろう。
互いを喰らいあう二匹の蛇のごとく、お互いを侵食するのだ。



話を元に戻そう――――

149【邪竜グォルズルグ】:2018/04/16(月) 01:27:39 ID:1UATkv8M
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
    ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
                                   .
                                            .
             .
 .

150【邪竜グォルズルグ】:2018/04/16(月) 01:27:55 ID:1UATkv8M
『な………!?』

邪竜は状況の理解に時間を要した!
突如として金属砲弾が襲来し、自身に直撃した上で激しい爆発を起こしたからだ!

邪竜は攻城兵器を知っているが、あれは巨大で目立ち精度も悪いものだ。
しかし今の砲撃は遥かに小さい武器から放たれ、しかも初撃から自身への直進コースで発射されたのだ!
咄嗟に回避行動をとったことで基幹部分への被害は免れたが、それでも左翼が激しく損傷した!

『まさか……!』

邪竜とて自身に放たれる光に気づかなかったわけではない!
むしろ、コヒーレンス光などという胡乱な存在を、闇の化身たる邪竜が察知しない筈がなかった!
しかし、邪竜はそれを攻撃または攪乱の一種と判断し、黙殺した!
光を当てることで闇の存在を苦しめようという作戦だろうと内心嘲笑っていたのだ!

しかしどのような方法であるかは見当もつかないが、紛れもなく今の砲撃と光には何らかの関連性がある!

邪竜は忌々しげに天使たちを見上げる。
自身は山神を吸収しきれておらず、それほど高空には昇れない。
あの害鳥どもはまるでそれを知っているかのようではないか……!


『おのれ…!』


だが息をつく暇もなく、第二波が来る!
紅蓮の炎を黒く染め上げながら迫り来る鬼火と、あきらかに尋常のものとは異なる4本の矢!
焔は紛れもなく神の一柱によって放たれたものであり、炎によって破壊されながらもなおそれを喰らう恐るべき術!
矢はこれまでの戦闘を考えれば間違いなく奇怪な力を備えており、命中するだけで多大な悪影響があるに違いない!



邪竜は……避けない!
同じ姿勢で滞空を維持したままだ!
その全身が鬼火に包まれ、さらに両目と両腕にリディルが突き刺さった!

151【邪竜グォルズルグ】:2018/04/16(月) 01:28:10 ID:1UATkv8M


――邪竜は空中で焼かれている。
4つの矢傷から血と闇と、そして魔力が奪われてゆく……。


山頂を包んでいた闇が、徐々に縮小し始めた。
外周部は多少の明るさを取り戻している。
だが、邪竜周辺は、むしろ闇が濃密になりつつあった。


邪竜が何か言っている。
はじめはとても小さかったその声は、ゆっくりと高まっていった。
独自の拍と、律動があった。


『……wam………daag…………Z'nqoil…………』


魔術。
それも、強大な邪竜でさえ極度の精神集中を必要とし、身動きが取れなくなるほどの高度な術である。
焔と矢によって激しい被害を受けることを承知の上で、あえて大魔術の行使に踏み切ったのだ。


邪竜が行使しうる魔術についてはあらかじめ巫女から説明があり、討伐隊一行は詠唱からその効力を判断可能である。
これは邪竜の闇をさらに増強・活性化し解き放つことで、周囲の全生命体に直接的な死をもたらすものだ。
漆黒球に類似しているが、物理的性質を伴わないため傷を負うことはない。しかし盾や地形によって防ぐこともまた不可能だ。
闇への耐性によって絶命を免れても生命活動が低下し、身動きとれぬほどの疲労や失神、細胞死、臓器不全などを引き起こす。
詠唱の長さから推定すると、多少の耐性では死は免れまい。範囲も山頂全体を覆うものになるだろう。


対策として巫女は対抗魔術を編み出し、全員にこの術式を提供していた。
ごく僅かな間であるが死への抵抗力を生み、かつ使用する魔力量もそれほど多くはなく、念じながら《遮蔽》と口にするだけで即座に発動する。
しかし魔術の鍛錬を積んでいない者がこの術を行使するには、やはり極度の精神集中を必要とするため身動きが取れなくなるのだ。
魔術師であれば、技量にもよるが行動が制限されることはほとんどない。しかし精神集中が必要な行動はとれなくなるだろう。


アーチャーは布流剣で邪竜の炎を防いだが、完全には消滅させきることができず火傷を負っている。
零姫の炎を喰らう鬼火はその炎によって焼かれ、想定していたほどの火力を発揮することはできなかった。
ウルスラの勝利の楯は確かにその火力を減じたが、侵食してそれを崩壊させつつある。
おそらく闇も、対抗魔術などによって完全耐性を得ている者に対してすら、悪影響を与えるに違いない。


邪竜の負傷は浅くない。
左目の傷に加えて、あらたに左翼・右目・両腕を傷つけられ、全身は鬼火に焼かれた。
これまでのように闇で修復が進んでいるが、深すぎるためにしばらく出血は続くだろう。

しかも精神集中しているため攻撃を避けられる可能性もない。
現在きわめて無防備な状態にあると言える。あるいは、攻撃のチャンスかもしれなかった。

152【邪竜グォルズルグ】:2018/04/16(月) 01:28:25 ID:1UATkv8M
巫女は祈祷を続けている。
それは邪竜の闇を免れる自信がある証拠だが、同時に討伐隊を守る気がないということでもある。
少なくともこの場面においては、魔術や神の力で討伐隊を保護するより、たとえ死者が出たとしても祈祷を継続することが最善策であると考えているのだ。

しかし、他者の命を軽んじているわけではない。
巫女はレノをちらりと見る。

地中のエネルギーを活用するレノの魔術は、効果が薄い可能性が高かった。
何故なら山神が力を吸収されているため、大地や岩石、川といった山に属する存在の内在エネルギーが低下しているからだ。

ただし、それはあくまで総量の話である。
巫女は山全体のエネルギーを、山頂周辺に集中させるよう山神に希った。
それは巫女にとっても山神にとっても大したリソースの消費にはならなかった。祈祷の内容に若干手を加えるだけだからだ。
レノの強化魔術は、兵士たちに対して十全の効果を発揮した。



次の攻撃は、この戦いに参加しているすべての人間を襲うだろう。
山神への祈祷を行いながら、巫女は別の神々にも祈った。

153ウルスラ/ハーミア(残り5)/零姫:2018/04/16(月) 18:04:00 ID:???
>>148-152
ハーミア
「ここで切るしかないか・・・竜気・・・解放!」

八竜神クラスの強力な竜のみが纏う闘気や妖気といった気の一種・竜気。
まだ幼体であるハーミアには本来は纏うことはできない。
しかし半人半竜である特異性から一時的にその気を発動させることは可能だ。
ただし、強引に成体の能力を獲得するため膨大なカロリーを消費する。

翼は一回り大きく、より輝く銀色となり、4本だった角はより大きく育ち、さらに小さく2本が新たに生える。

ハーミア
「ドラゴン!ソードッ!」

竜気を剣にも纏わせ、飛び交う魔弾・矢の間を高速で飛びながら
邪竜の喉へと迫りその剣で横薙ぎに切り裂くつもりだ。

=============================================
零姫
「気に入らんのう。
 妾の焔に喰らわれながらも喰らい返すその火も、
 トカゲの分際で妾を見下ろすことも!」

零姫の両腕・両足が漆黒の炎に包まれていく。

零姫
「鬼蒐・鬼ヶ島・・・!」

空気中の塵や砂埃、鉄錆などが集まり・妖力でつなぎ合わされていく。
その形状は巨大な鎖鎌。
黒い鬼火により焼結され、まるで名工の作った鋼のような強靭さを得る。

零姫
「頭が高い!」

鎌を地面に突き立てると鎖分銅を邪竜の頭を目がけて放り投げる。
狙いは鬼の腕力で強引に地面に引きずり下ろすこと。
かつて宿敵と戦った時のように大鬼へと変化すれば体格差も少なく戦えると考えての行動だ。
=============================================
ウルスラ
「今なら巻き込まずに最大術式を撃てる・・・が、ここは確実に相手を始末できるように動くべきか。」
(何よりあと数秒放射時間が長ければ私の術では防ぎきれん。)

>>145-146
ウルスラ
「シロウの友人だったな。悪いがあとは自力で何とかしてくれ。
 奇襲と暗殺を生業としている私では少々荷が重い。」

後ろへ酒瓶をポイと放り投げる。
中には緑色の濁った液体と刻まれたハーブらしきものが詰まっている。

ウルスラ
「魔力回復の酒だ。グラス1杯分で平均的な魔導兵二人分の魔力回復が出来る。
 一時的に限界を超えて回復も出来るが使い慣れてなければ魔力酔いと二日酔いに苦しむだろう。
 が、私の作にしては珍しく味だけは好評だ。安心して呑め。」

一方的にそれだけ伝えるとニキータの元へと走る。

>>143
ウルスラ
(本当は私もあちらに居るべきなのだろうが・・・子守は大変だ。)

破裂音がした方向をちらりと見ながら
ハーミアと零姫を連れてきた所為で実行できない戦術にため息を吐き
ニキータの元へと高速で移動する。

ウルスラ
「狙撃手、お前が今まで撃ったことがある中で最も大きい銃はどのぐらいだ。
 ゾウ狩りか?それとも鉄塊を吹き飛ばせる程度か?もしくはそれ以上のイカレた代物も扱えるか?」

時間魔術の連続使用と走り回ったことで乱れている息を整えながら尋ねる。
手にした魔導書のページがパラパラと解けて偃月刀の周囲に巻きつくように浮遊しはじめる。

154ニキータ:2018/04/16(月) 19:01:48 ID:???
>>150
レーナ「ドカーン!と大命中!」
ヴェーラ「ヒャッフー!」
ヴェロニカ「もう一発!」
タマラ「行っちゃえ行っちゃえ!」

コマツ「装填!もたもたすんな!」
ヒラオカ「ちょっと待ってろ…」
タナカ「てー!」

第二弾を装填して発射する。

>>153
「あったた…あのバカ娘ども、事前に警告しろってんだ…」
「なんだ?姉ちゃん?それだったらシモノフだ。対戦車ライフル…」

155ウルスラ/ハーミア(残り5)/零姫:2018/04/16(月) 19:37:12 ID:???
>>152 
零姫の行動修正

>零姫
>「頭が高い!」〜

零姫
「臨界・・・・・無間地獄!妾は百鬼の終焉に立つ者なり!」

全身がそのまま漆黒の炎へと包まれ、その姿が闇の色へと変貌していく。
邪竜の本質が「死」ならばこの鬼は「永劫の恐怖」。
直接的な死をもたらす能力ではないが、
逃れることのできない感情に根差したその本質は
今の彼女を直視するだけでも心の弱い者は呼吸困難や激しい動悸を引き起こし、死に至るかもしれない。

==========================================
>>154
ウルスラ
「大口径の経験者か。ならばもう1段階上を扱ってもらう。
 時間が無いから手短に言うが、もうしばらくすればこの偃月刀がお前達の言うライフルに化ける。
 何、銃は銃だ。構造は変わらん。だから安心して死んでくれ。」

まるで砲弾のような弾を3つゴトリと地面に置き、
その横に光を放ちながら変形し始めた杖を寝かせるとニキータの前に立つ。

ウルスラ
「代わりに次に来る死は私が引き受けてやろう。
 ・・・可愛い弟からの頼みなのでな。・・・・・時間・・・鍛造・・・!」

形状は大戦斧。邪竜の次なる一撃を自分の前で時を加速させ、切り裂いて消し飛ばすつもりだ。
失敗すれば当然戦闘不能。しばらくは動くことが出来なくなるだろう。
たとえ成功してもほとんどの魔術は使えなくなるため実質は戦闘不能。

使えるのはすでに敷設しているアトラック・ナチャ。
魔導書は最大の対神兵装へと変化させ、ニキータに預けるため使用不能。
あと一つは他人の魔術への些細な干渉程度だ。

156名もなき戦士:2018/04/17(火) 12:23:44 ID:???
>>146
レノの回復力にも寄るが、しばらくすると黒く炭になった皮膚が落ち
中からつやつやのお肌が顔を覗かせることだろう。すべすべなのである。
そして巫女と加護に加え、レノからの補助魔術を受けた地方領主の勢力。
騎士たちは勇気が込み上げ、折れた心を持ち直した。
残った2割の騎士たちは、地方領主の指示により邪竜と零姫の戦いから離れ、
巫女の前まで移動してくると、各々が盾を構え巫女とレノを守るように立ったのだ。

>>151
地方領主「邪竜の無事な右翼を狙え!奴を空中から叩き落とすのだ!
     詠唱を中断させることが出来るかもしれない」

巫女とレノの補助により、弓兵は精確に右翼の翼膜を狙う。
続けざまに魔術師たちも威力の増した雷の魔弾を20人で放つ。
雷は邪竜の行動を若干阻害することが初手の攻撃で分かっていたからだ。

>>155
幸い、巫女とレノの加護により勇気が溢れた地方領主たちは、
零姫が視界に入っても行動不能に陥るものはいなかった。
それでも、十全に威圧感を感じている。
並みの補助魔術では一般的な騎士たちを守ることは出来ないであろう。

157レノ:2018/04/17(火) 19:47:12 ID:???
>>153
「……四の五の言ってられねーよなぁ。三日酔いでも四日酔いでもなんでも大歓迎だ」

そう言って、グラス一杯には満たないものの、戦闘前位にまで魔力が回復するだろう、と思われる量を飲み干す。

「………………確かに、飲み易くてすぐダメになるやつだ」

体の中が一気に熱くなるのを感じながら、酒瓶は傍に起き、すぐさま次の行動に移る為思考を集中させる。

>>152
邪竜の様子を見て、予め聞いていた対抗魔術の事がすぐに頭に浮かんだ。
邪竜の次の攻撃は、ほぼ間違い無く発動すると踏んでいる。でなければ、幾ら人間を蔑んでいるとは言え、集中放火の中あのような詠唱を行使する事は、ます有り得ない。
今までの様な苛烈な攻撃の中でも、邪竜は攻撃を成功させられる確信を得ている可能性が高い。

まずは深く念じる。アルコールが影響するかと思われたが、魔力が充実し不安が無い分、逆に集中力は高まっている。

そして、邪竜が仕掛けるその時がくれば、レノは呟くだろう。

遮蔽、と。

158アーチャー:2018/04/17(火) 21:06:32 ID:???
>>151
「――」

火傷による熱を堪え、番えた剣に魔力を篭める。
それこそ本命。周辺の空間ごと血肉を抉り斬る螺旋の剣。
多くの魔力を篭めたソレは、最初に邪竜へ見舞った時よりも強力な一撃へと昇華する。

「――“我が骨子は捩れ狂う”」

音速を優に突破した螺旋剣――カラドボルクⅡは、邪竜の心臓目掛けて放たれた。
距離間を考慮すれば、到達までの時間は僅か一瞬。すかさず一言だけ、アーチャーは言霊を紡ぐ。

「“壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)”」

螺旋剣、そして四本のリディル。
邪竜に直撃したであろうそれらを崩壊させ、内包する魔力を爆風の如く“炸裂”させた。
特に邪竜から魔力を奪い、両眼・両腕の内部から迸る魔力の奔流は、神域に在る邪竜の精神集中すら乱せるかもしれない。

だが、完全に大魔術の行使を止める事に期待はしていない。
望む結果としては、邪竜の魔術の完成を遅らせる事だ。
数分などと、馬鹿げた楽観は望まない。せめてもう一行動だけ、行動が取れればそれで良い。

159アーチャー:2018/04/17(火) 21:34:17 ID:???
>>151
――アーチャーとしては、このタイミングで邪竜が詠唱に踏み切った事は予想外だったと言っていい。
こちらの戦力が邪竜の想定を上回った証明だろうが、何も喜ばしい事では無い。

初めは“斬り抉る戦神の剣(フラガ・ラック)”による詠唱のキャンセルも考えた。
だがアレは、時間を逆行し“相手を仕留める”事で真価を発揮する。相手が絶命する事で、切り札の発動をキャンセルさせる為だ。

故にフラガ・ラックは使えない。
そもそも、因果律や時間に影響を及ぼす術を邪竜が持っていないとも限らず、何より邪竜の魔術が“切り札”であるかどうか判断が付かない。

邪竜の魔術行使は十中八九成立する。では考慮せねばならないのは“放たれた後”の事だ。
おそらくウルスラは時間鍛造により大魔術を“終了”させるつもりなのだろうが彼女自身、確実な手段とは考えていない筈だ。

彼女に大きな危険が及ぶ事も勿論だが、何よりアーチャーが懸念したのは。
力が及ばぬと分かっていながら、決死の覚悟で巫女達を守ろうとする“名も無き騎士たち”の事だった。

……他の者達は、邪竜の大魔術が放たれようと生存する可能性があろう。
しかし他者をかばう為に立ちはだかった彼らは、間違いなく死ぬだろう。おそらくは、無駄に命を散らす結果となる。


―――それはできない、と。既に磨耗し果てた筈の遠い記憶が、強く否定した。

160アーチャー:2018/04/17(火) 21:47:31 ID:???
>>151
「――Have withstood pain to create many weapons(彼の者は常に独り。剣の丘で勝利に酔う)
Yet, those hands will never hold anything(故に、その生涯に意味はなく、)――」

邪竜が僅かでも詠唱を遅らせた事に賭けて、詠唱を続ける。

(――保険に、なれば良いんだが)

その最中、残り少ない魔力である宝具の設計図を具現化させる。
それは邪竜が放つ魔術への対抗手段。巫女が用意したものとは異なる、担い手に“不死”の概念を宿す奇跡の剣。

(元より、既に死後の身――もう一度死を迎えたところで、支障は無いはずだが)


「So as I pray(その体は、)」


脚をへし折る勢いで、全力で邪竜へ向けて跳躍する。
直接触れようという目的ではなく、それは、邪竜を射程圏内へと収めるためのもの。


「――UNLIMITED BLADE WORKS. (きっと剣で出来ていた)」


邪竜だけを標的に、詠唱を完成させる。
それは固有結界――心象世界を具現化させ、一時とはいえ世界を捻じ曲げる大魔術。
アーチャーは己の心象世界に邪竜と、そして自分とを隔離し、邪竜の大魔術の影響から皆を救うつもりなのだ。
カラドボルクを先に見舞ったのはこの為。
邪竜の空間干渉能力を著しく落とし、仮にも固有結界の外へと影響を及ぼさないようにするが為――!!

161ニキータ:2018/04/17(火) 22:06:52 ID:???
>>155
「伏せ撃ちじゃないとさすがに撃てねえぞ…」
「俺は今からトカゲの前で無防備になる、援護を頼む。」

162アーチャー:2018/04/17(火) 23:26:37 ID:???
>>159追記修正
“彼女に大きな危険が〜”

“彼女や友人、共に戦う者達に大きな危険が〜”

163ウルスラ/ハーミア(残り5)/零姫:2018/04/18(水) 19:16:12 ID:???
>>153
行動訂正。

ハーミア
「ドラゴン!ソードッ!」〜

ハーミア
「さらに・・・遮蔽ッ!」

ドラゴンキラーには竜気を纏わせて構え、
対抗魔術に精神を集中させてその場で滞空する。

========================================
>>155
行動キャンセル。

零姫
『と、思ったが今回は『ちいむわあく』とやらのために小賢しい術も使ってやるとするかのう。』

黒い炎に包まれた零姫はこの世のものとは思えない声で『遮蔽』とつぶやく。
と同時に影の鬼と変じかけていたその姿はもとに戻る。

========================================
>>158-160
時間鍛造そのものは幾度もの人生を経験したことで使いこなせている。
ただ、それで真正面から戦ったことは無いことだけが不安だった。
それでも防戦一方になって負けることに比べれば軽いと思っていた。
ウルスラが『攻撃役』として期待しているアーチャーの詠唱を聞くまでは。

ウルスラ
「其処に至ってもまだ甘さを捨てられんのか、あの莫迦は・・・!」

形を決め始めていた『時間』が消滅する。

>>161
ウルスラ
「狙撃手、作戦変更だ。ヤツの次の一回だけは例の防御術式で防げ。
 魔力が無いのなら私の最後の一本をくれてやる!」

レノに分けたのと同じ酒瓶、ただし残量はほんの僅かの飲みかけを放り投げる。

>>156,160
ウルスラ
(言えば憎まれるだろうな・・・。)

ウルスラはフッと笑うと、騎士達へ、そしてアーチャーへ言い放つ。

ウルスラ
「生き残ることだけを考えろ!
 ここでお前達が倒れれば邪竜はそれだけ多く死をバラ撒くだろう!
 お前たちの家族に、友人に、恋人に!
 助からん奴を守って戦力を失うぐらいなら・・・」

一瞬言葉に詰まる。
歯を食いしばり、酷く冷酷な声で続ける。

ウルスラ
「・・・見殺しにしろ!それが奴を倒す最適解だ。」

それだけ告げると顔を伏せて小さな声で『遮蔽』とつぶやく。
再度時間鍛造を試みるだけのヒマはない、
何より自分自身が身を守ることを優先しなければ説得力など無いだろう。

164アーチャー:2018/04/18(水) 20:14:08 ID:???
>>160の行動内容の訂正。
. 詠唱が完成する前にウルスラの言葉を聞いて行動を止めたとする。
具体的には>>160の三行目以降は無かったことにしてほしい】

>>156 >>163
「――――」

気を取られたのか、アーチャーは詠唱を止めた。
その瞬間、彼がどのような思いを抱いたのか。それを知る由は誰にも無い。 
だが間髪入れずして、彼は騎士達へと叫ぶ。

「聞いただろう、この瞬間だけで良いから己の身を守れ!
 それが巫女も含め全員が生還する結果に繋がる! 急げ!!」

可能な限り最速で行っていた詠唱を中断した以上、固有結界による隔離を用いた対抗策は取れない。
騎士達が言葉に従うかどうかは最早託すしかない。願うしかない。
レノの支援も相まって、騎士達の反応速度は通常を大きく上回っている筈だ。ならばまだ間に合う!


>>151
「――遮断」

詠唱を保持(キープ)し、対抗魔術の発動に専念する。
カラドボルク、リディル、そしてブロークン・ファンタズムによる追撃は仕掛けたが、そこでアーチャーの攻撃の手は止んだ事になる。

165ニキータ:2018/04/18(水) 23:24:46 ID:???
>>163
「嘘だろ…」

最後の一口の酒を流し込み、十字を切る。

「ああ、そういやしばらく食ってなかったな…エアリーさんとこのアップルパイ…」

ブーストされた魔力によって防御術式を展開させる。

166名もなき戦士:2018/04/19(木) 08:38:24 ID:???
>>156の行動訂正

>>163-164
ウルスラ、そしてアーチャーの声を聴いた地方領主は、すぐさま指示を飛ばした。
弓兵と魔術師は攻撃を終えた直後に「遮蔽」と言葉を紡ぐ。
巫女とレノの前に盾を構えた騎士たちも互いに顔を見合わせ、それぞれに「遮蔽」と叫んだ。

ツカイ=キリ「ああも言われれば、まだ我々も足掻いてみせよう!遮蔽」
デバン=ココダケ「ふっ、邪竜よりもあの者たちの方が余程厳しいようだ。遮蔽!」

地方領主の勢力は、全員が巫女の術式を展開したことになる。

167【邪竜グォルズルグ】:2018/04/20(金) 23:23:39 ID:1UATkv8M
第二の迫撃砲弾が邪竜に向けて発射される。
しかし、その軌道は大きく外れ、直撃することはなかった。

詠唱を開始した時点で、邪竜周辺の闇はより濃密になっている。
これがレーザーをかき消し、誘導能力を失わせたからだ。

同時に領主麾下の弓兵たちも、対抗魔術を行うために極度の精神集中をせざるを得ず、射撃を諦めざるを得なかった。


『Unsggaqoig xoth iilthichk n'sslgoig ……』


詠唱を続ける邪竜に螺旋剣が突き刺さる!
邪竜の持つ空間干渉の能力が再び剥奪され、傷口から血が迸った。
これまでに負ったダメージの大きさと螺旋剣自体が強力なこともあり、傷と空間干渉能力の修復は緩慢だ。

更にブロークン・ファンタズムが内部から邪竜の身体を爆裂させた。
しかし、詠唱そのものが阻害されることはなかった。
邪竜は、それ自体が魔術的存在でもある。魔術を阻害するためには、相応の方法が必要だった。

そして詠唱が終わる。

168【邪竜グォルズルグ】:2018/04/20(金) 23:24:35 ID:1UATkv8M
『 X&uuml;wigos! 』



邪竜は叫んだ。
高まっていた闇が一気に解放される。
山頂の全ての生物、物体、大地、そして天と空までもが、完全なる暗黒空間に包まれ、塗りつぶされ、光を失った。

それは死の奔流だった。
内臓、神経、筋肉、骨。全身のあらゆる器官が細胞死をはじめてゆき、活動を阻害されてゆく。
特に心臓と肺が弱まったことにより全身の血流と酸素供給が停滞し、それが更に状況を悪化させる死の悪循環を引き起こす。
脳すらも満足に働かず、酸欠も相まって精神力と思考力が低下する。
そして肉体に宿る霊魂までもが死の概念に染まり始め、生命の灯を吹き消されようとしていた。


しかし…………結果として、絶命に至る者は居なかった。
討伐隊は対抗魔術で身を固めていたことにより、その影響から幾分逃れることができたのだ。細胞死による損傷を被ったものの、戦闘続行が可能である。
特にハーミアと零姫は、自身の耐性も相まって死の影響を強く跳ね除け、激しい疲労感を覚えるだけで済んだ。


やがて、闇は勢いを減じ始める。
恐るべき暗黒はしばらく残り、若干の疲労や細胞死を与え続けるだろうが、最大の死の脅威は去ったと言える。



  .              .

169【邪竜グォルズルグ】:2018/04/20(金) 23:26:12 ID:1UATkv8M



討伐隊は、邪竜を見失ったことに気づいた。



思い出してほしい……はじめから、山頂周辺は闇に包まれていた。
何故、彼らはそれでも戦うことができたのか? それは、邪竜の存在感によるものだ。
強大極まるその存在が彼らの感覚を激しく刺激することで、その位置を掴み、攻撃できた。

しかし今、周囲には死と闇で満ちている。
邪竜の大魔術によって活性化されたそれはあまりにも濃く、邪竜そのものの気配さえ覆い隠してしまったのだ。
さらに討伐隊は脳と神経に悪影響を受けたことにより、一時的に感知能力が弱まっている。
くわえて邪竜の闇は「死」の要素に傾倒しているが、「闇」の持つ「視覚を阻害する」概念もまた備えていた。
あくまで副次的なものであるためこれまで戦闘に影響することはなかったが、大魔術で闇が激しく活性化した結果、「不可視」の要素が顕在化したのだ。

これらの要因が積み重なり、邪竜は覆い隠された。
羽ばたきの音も聞こえない……おそらく、これもなんらかの魔術によるものであろう。


巫女はこの事態を予測できておらず、したがって事前に対抗策を与えられてもいない。
あらゆる意味で、討伐隊は真の闇の中に居た。

170【邪竜グォルズルグ】:2018/04/20(金) 23:27:00 ID:1UATkv8M



――――闇の中、邪竜は急降下する。狙いはアーチャーだ。


火力が高く謎の能力を複数隠し持つアーチャーは、邪竜にとって最大脅威の一つである。
強固な装甲を持つようにも見えず、さらに彼は単独で行動していたため盾となる者も居なかった。


邪竜は機敏であり、決断もすばやく、そしてアーチャーとの距離も元々離れていない。
その闇に紛れた高速攻撃は、完全なる奇襲と言ってよかった。
しかし邪竜でさえ、これほどの傷を負った状態で全速力を出し切ることはできない。特に、電撃の魔弾によって身体を麻痺させられたことが効いていた。
ゆえにアーチャーが攻撃を受けるまでの間に、僅かな時間があった。


もし真闇の中で邪竜の動向を把握する手段があるのなら、何らかの対策を講じることができるかもしれない。
感知や感覚強化の術による索敵や、強力な光や神聖な力で闇を打ち払う、といった手段が考えられる。
後者は自分以外も見えるようになるメリットがあるが、邪竜を起源とする死に満ちた闇に正面から対抗しなければならないというデメリットもある。
いずれにしても、それは短時間で行えることでなければならない。

邪竜を見つける手段がない場合、次の一手に備えて詠唱などの準備をしておいても良いだろう。
あるいはあえて時間をかけて闇を完全に打ち払い、邪竜を完全に日の下に晒すというのも一つの手段である。

また、アーチャー自身は己が殺意を向けられていることを察知することができる。
ただしそれは漠然とした予感であり、攻撃の種類やタイミングなどについては一切不明だ。
邪竜の動向を把握できず味方からの支援もなければ、咄嗟に身を守る程度の行動しかできないだろう。(身を守れたからといて死なずに済むという保証もない)

171【邪竜グォルズルグ】:2018/04/20(金) 23:30:50 ID:1UATkv8M
邪竜は静かに考える。
今にして思えば、この奇術師の芸も中々面白いものだった。
もう少し、遊んでやっても良かったか。


しかし邪竜は一切の躊躇をせず、全力で鉤爪を振り下ろした。


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172レノ:2018/04/23(月) 19:01:53 ID:???
>>167-171
突然視界が閉ざされた事により、多少動揺はあったが、
音に気をやると、どうやら死んだわけではないというのはわかった。しかし、邪竜に関する音は聞こえなくなり、完全に見失った。

(逃げたのか?…………いや!)

直感ではあるが、この状況は邪竜が仕掛けた
レノは周囲の地表を伝うように、
広く浅く、エネルギーの膜を張り巡らせた。

周囲の僧侶や巫女を始め、地に足を付けている者達を存在を"重さ"で感知する。

「オェ……!!」

吐血。
恐らく、邪竜の術により死は免れたものの、細胞破壊の影響はレノ自身の身体にジワジワとダメージを与えていた。
地面に落ちた血液が、エネルギーを伝ってレノの手に小さな振動として伝わる。

…………"コイツ"だ!!

レノは気付いた。
レノの他に、大量の血液を放出しながら移動する存在に。
その向かう先は、先ほどアーチャーが居た場所。

「シロウ、狙いはお前だ!!!」

血を吐きながら大声で叫び、危機を知らせる。

同時に、レノは地中のエネルギーに対し、集中力を高める。
邪竜は既に行動を始めているため、間に合わない可能性が高い。

それでもレノは、地中に含まれる鉱石をエネルギーで固め形作った"槍"を、アーチャーの頭上に迫っているとみられる邪竜に対し、射出した。

173ウルスラ/ハーミア(残り4)/零姫:2018/04/23(月) 19:29:44 ID:???
>>167-171
ハーミア
「うっ・・・!」

死の奔流に目を閉じた一瞬で至近距離に居たにも関わらずに邪竜を見失う。

ハーミア
「どのみちあと数分しかこの姿は持たないし・・・今の私だったら・・・!」

上空から地面へ向けて大きく息を吸い込んで眩く輝くブレスを吐き出す。
ダメージを与える効果は無いが、先ほどの吹雪と同様に魔術を吹き飛ばす効果はもちろん、
本来の使い手である彼女の母竜であれば意識を焼き尽くし相手を放心状態にさせることができる。
現在のハーミアは強引に成体の能力を獲得した半人半竜の身であるため、
直撃した相手を一瞬怯ませることは出来る程度だ。
半竜の肺活量でどこまでの効果があるかは分からないが、邪竜の位置を探すつもりだ。

==============================================

零姫
「ふう・・・妾を狙っているわけではなさそうじゃな。」

死の奔流を耐えきってため息をつく。
見失った邪竜の気配を探るがどうやら自分の傍には無いようだ。
恐怖を司る鬼であり他者の精神への侵入も得意とする零姫の前では
どんなに気配を遮断したとしてもその動きは察知される。
だがそもそもたった一人で鬼を含む大軍勢と戦い、
何度かそれを退けている零姫にとって重要なことは『攻撃がくるか否か』だけである。
邪竜の居る方向と、自分に対する攻撃の予兆の有無以外の情報は
能動的に探さない限りは距離感を含めてまったく察知できない。

零姫
「その隙は利用させてもらうがの。」

自分の周囲の闇を喰らい、妖力を大きく溜め始める。


==============================================

ウルスラ
「く・・・拙いな・・・!」

直接死を叩きつけられたことで筋力が低下し、神経も鈍っている。
邪竜を見失ったが、その動きを空気の流れを感じ取ることもできない。
ならばと先ほど空間へと溶け込ませたアトラック=ナチャの金糸へと意識を集中させる。
もしもそこを邪竜が通過すればその途端にその部分の捕縛結界を発動させるつもりだ。
強化するために即時発動が出来なくなったが、巨獣の突進を止める蜘蛛の巣をさらに倍の強度まで強化している。
たとえ拘束が難しかったとしてもある程度の行動の阻害にはなるだろう。

ウルスラ
(あとは邪竜が罠を踏むことを祈るしか無い、か・・・!)

>>165
その間に偃月刀が魔杖へと変化を終える。
生成された『それ』はグリップがあり、ボルトがあり、ストックがあり、たしかにライフルのようだ。

ウルスラ
「生きてるか?聞こえるか?それは対神狙撃杖(アンチデウスライフル)。
 一応衝撃吸収構造は備えてあるが、それでも私が撃った時は肩を負傷した。
 ・・・ま、プロなら見た目と銃弾のサイズでどれだけの反動が来るかは分かるだろうがな。」

そもそも貧相な素人のハーフエルフの細腕で扱うこと自体が無茶なサイズである。
鞄からもう1発弾丸を取り出してその弾頭に己の血を塗り付けながら続ける。

ウルスラ
「弾頭はポカパマズ産魔晶石。威力を抑えてあるが破砕の呪文が封じてある。
 ある程度の防御術式や装甲なら撃ち貫くことはたやすいはずだ。
 ただし元々補正用に持って来た弾丸だから使えるのはさっき渡した3発だけだ。
 狙撃手よ、お前の腕を当てにさせてもらうぞ。」

174ニキータ:2018/04/23(月) 19:48:15 ID:???
>>173
「ああおいクッソ、死ぬかと思った…一瞬母親かと思ったよ…」
ウルスラの呼びかけで意識を取り戻し、朦朧とした目でライフルを見る。
「おいおい、死ぬわ俺…」
ボルトを引いて弾丸を装填する。
「トカゲめ、こいつで終わらせてやる。」

レーナ「ひいひいふーひいひいふー…」
ヴェーラ「あ、ちょっと楽になってきた…」
ヴェロニカ「それよりなんかでそう…」
タマラ「ふむう…」

闇に飲まれた4人はとりあえず楽な姿勢で体力を回復しようとしていた。

175名もなき戦士:2018/04/24(火) 19:03:53 ID:???
>>169
領主たちはどうなっただろうか。
幸いなことに、絶命をした者はいないようではあった。
しかし、戦闘にすぐに復帰できる者もまた皆無であった。

騎士や弓兵たちは膝をつきながらも、辺りが暗闇に包まれたことに気付く。
迂闊に動き集団の行動を乱すわけにもいかず、ただそこで闇を見つめることしか出来なかった。

僧侶たちも巫女とレノの治療を一度止め、耐えきった後
またすぐに巫女とレノの治療をしようと動いたが、淡い光が一瞬放たれただけで
5人ともその場に倒れてしまった。

176アーチャー:2018/04/24(火) 22:22:45 ID:???
>>170 >>172
最大の死を凌いだ後、即座に一つの剣を投影し、能力を発動させる。
細胞死と精神・思考力低下の影響による粗末な出来ゆえ、一度の発動で剣は消滅してしまうが、役割は果たした。

剣の名は遅来矢(ちくし)。
黄金札の太刀で焼刃に八竜の形があるソレは、俵藤太秀郷が戦場に行く際、必ず帯刀していたという刀だ。

後世に伝わるその名は、やがて一つの解釈を生み出し、奇しくもその概念を宿した。
それは、担い手の“時間”の加速・減速を可能とする宝具。
邪竜にとっては“僅かな”時間を、アーチャーは“己が準備を整えられる”時間にまで引き延ばしたのだ。

――だが本来の担い手でなく、時間能力の専門家ではない彼には、周辺状況を把握した上でもう一行動が限界だ。

邪竜の姿は無く、漠然ながらも己へと向けられる殺気を感じ取る。
奴の空間干渉能力は削がれている以上、取り得る手段としては直接物理の可能性が高い事は予想できる。

消費する魔力は大きいが、死ぬよりは遥かに良いと、生前から最も使い慣れた“盾”の投影を準備する。
準備、と言うと長く聞こえるかもしれないが……アーチャーにとっての投影は例外を除き、秒に満たない間で完了するモノである。

後はタイミングだ、流石に今回ばかりは、周りの支援を期待出来そうには無い――そう思案した所で、レノの叫びを聞いた。

177アーチャー:2018/04/24(火) 22:35:14 ID:???
>>171
レノの叫びを聞くと同時に、上方へと右手を翳し、呪文を発する。
『遅来矢』の効力は切れた故に、このタイミングでの展開に全てを託すしかない!

「熾天覆う(ロー)――七つの円環(アイアス)!!」

瞬間、アーチャーを覆うように巨大な“盾”が展開された。
七枚の花弁状の障壁。一枚一枚が古の城壁と同等の防御力を持つ。
トロイア戦争の英雄アイアスの逸話が昇華して誕生した防御宝具。
本来ならば投擲攻撃に対して真価を発揮するソレは、その他の攻撃に対しても単純に強力な盾となる。

(竜種の突撃を凌ぎ切った実績はあるが……さて、どうなるか……!)

178【邪竜グォルズルグ】:2018/04/26(木) 09:42:18 ID:xf1bzWVM
「《月光》」


巫女が魔術を行使した。
天空に満月が現れ、山頂を微かに照らし出した。


アーチャーは死んでいなかった。
ロー・アイアスが展開されたタイミングは適確なものであった。
急降下の速度が加わった鉤爪の威力はあまりに高く、また破壊の概念が盾の強度を侵食し、七枚の障壁をほぼ全壊にまで追い込むに至っている。
しかし、それで終わりだった。鉤爪はアーチャーの身体に届かなかった。


明かりは乏しいものであるが、至近距離にいるアーチャーには邪竜の姿がはっきり見えた。
口に炎がある。
光を発さない、暗く黒い炎だった。闇の性質を伴っていることは明らかだ。
この火もまた、生命を直接脅かす力を持っているに違いない。

死の魔術のダメージはアーチャーの身体に重くのしかかっており、更なる被害は真の死をもたらすおそれがある。
たとえそれを凌ぎ切ったとしても、炎が全身を焼き焦がすだろう。
これまでの赤い炎に比べて火としての力は小さいようであるが、至近距離であることを考えれば十分に致命傷となりうる。


そして、邪竜は炎を放った。
空中から全員を狙った際の爆裂する炎ではなく、初手で巫女に対して放ったような収束された炎だ。
アーチャーただ一人を、確実に抹殺するためのものだった。

179【邪竜グォルズルグ】:2018/04/26(木) 09:42:47 ID:xf1bzWVM
巫女が魔術によって満月を生成したのは、彼女の独断である。
仲間たちは効果的に闇を打ち払う手段を持っていないように見え、早急な対処が必要だと判断したためだ。
祈祷を中止するのは最善の行動ではなかったかもしれないが、いずれにせよ全員が邪竜の位置を把握することが可能になった。

ただし、その照度は乏しかった。
邪竜の輪郭を捉えることはできるが、細部が見えるほどではない。
この状態では、攻撃を命中させること自体は可能でも、特定部位を狙うことは困難だ。

特にスコープで狙撃を行うニキータにとって、この光量の少なさは致命的である。
光学望遠鏡はその仕組み上、倍率を高めれば高めるほど見える像は暗くなる。これではスコープを覗いても何も見えないだろう。
更にこの闇は魔術的・概念的な闇であるため、暗視装置を用いたとしても十分な効果は表さない。

また、邪竜が炎を放つ直前の段階でレノは槍の生成を終えており、即座に射出することができる。
視界が確保されたことにより精度は上がったが、やはり特定部位を狙うことは難しい。

他の者達も含め、精密攻撃をするためにはさらなる光を手に入れるか、間近で邪竜を見るほかはない。
闇は時とともに薄れ始め、徐々に消え去ろうとしている。
時間経過を待つのも一つの手段だ。

180名もなき戦士:2018/04/26(木) 11:29:04 ID:???
>>179
巫女の力により、その強大な邪竜の輪郭が微かに浮かび上がる。
そのお蔭で領主の勢力も邪竜の位置を把握することが出来た。

ツカイ=キリ「弓兵、射れる者はやつの足元へ矢を放て」

満身創痍の中、領主が指示を飛ばす。
弓兵たちは疑問に思いながらも、そこにいるであろう邪竜の足元へ矢を放つ。
やはりうまくは飛ばないながらも、それでも邪竜付近の地面に矢が刺さる。
あるいはうまく刺さらずに転がったものもあるだろう。

ツカイ=キリ「魔術師たち、炎の魔術を邪竜の足元へ放つんだ。
       威力が高い炎でなくていい。数さえ多ければ!」

魔術師たちは領主の意図に気付き、20人掛かりで初歩的な炎の魔術を連続で放つ。
地面にあたり散る炎の中に、矢にぶつかり火種が残るものがあった。

デバン=ココダケ「あの戦士の助けに入ることは出来ないが、明かりを灯して邪竜の姿が」

小さな火種から灯りが生まれ、やがて矢から生まれた炎の光が邪竜を下から照らし出した。
これが他の者たちの援護になるかは分からないが、領主は思いつく限りの手段を実行に移したのだった。

181ウルスラ/ハーミア(残り3)/零姫:2018/04/26(木) 22:23:47 ID:???
>>178-179
ハーミア
「見えた!いっくぞー!ドラゴン・ダァァァァァアアアアイブ!!」

竜気を纏わせた超重量の大剣を
ドラゴンの怪力と上空からの急降下の加速で一気に振り下ろし、たたきつける。
狙いは最も面積が広いであろう背中だ。

========================================
零姫
「と・・・ふむ、あの月を消すのは不都合があるか。
 ならば出力を搾って零距離で叩き込むとするかのう!」

鬼火を両腕に纏わせて邪竜へと突撃していく。

零姫
「妾が何故『泣空姫』と呼ばれるか・・・空を哭かせて教えてやろうぞ!」

走りながら溜めこんだ妖力を鬼火に変換、
練り合わせて漆黒の球体を作り出す。

零姫
「終焉・・・空の断末魔!」

高密度に圧縮された鬼火はあらゆるものを飲み込み、燃やし尽くし
それによってある種の引力すら発生させている。
同時に大音量で高周波音が発生し、まさに空が泣くといった様相だ。
その球体を両手で邪竜へとたたきつけるために突進する。

=========================================
ウルスラ
「そこか・・・。
 夢幻奏でる必中の魔弓(アルター・フェイルノート)、第三形態解放。」

左腕から10の光弦を持つ光の弓を発現させる。
1本の弦あたりに1箇所、任意の空間座標に命中させることが出来る
ウルスラの祖母が作り出した偽造魔術兵器。
弓の扱いが不得手なウルスラであっても動かない的が相手ならば必ず中てることが出来る。

ウルスラ
「術種装填。ブラッドシャドウ。座標指定。
 音声装填予約。銃声。座標指定。座標指定。発射タイミング同期・・・。」

その真価は矢はもちろん、武器や魔術、音でさえも装填することが出来ること。
自分の分身を作り出すブラッドシャドウと銃声を
ニキータの発砲と合わせて先ほどまで邪竜が居た場所で発動させるつもりだ。

>>174
ウルスラ
「この明かりでどこまで狙えるかは分からんが、とりあえず当てるだけなら出来るか?
 火花はどうしようもないが、音なら位置を偽装できる。あとは・・・その腕次第、というところだ。」

ウルスラは弓を真面目に訓練していない。
故に集中しなければこの魔弓も満足に操ることは出来ない。
そのためこの戦法は二人以上の人数が必要である。

ウルスラ
「何、心配するな。出力も絞ってあるし、
 プロの兵士(ソルジャー)なら負傷までは行かんさ。・・・多分。」

尤も、薬室内で弾丸が破裂すれば一溜まりも無いが、
構造的な欠陥ではそのような事故は起こりえない。

182ニキータ:2018/04/26(木) 23:00:52 ID:???
>>181
「もっと光量がいる!あのくそったれの頭だけでも光らせてくれよ!」

レーナ「ん〜光よ!」
光の槍を3本作り投擲する。放たれた槍は少し飛んでから破裂して光の玉となる。
ヴェーラ「とりあえずこれでなんとか…」
ヴェロニカ「もっと量がいるけど…これが限界…」
タマラ「この闇じゃローソクみたいね…」

堕天使組は残りの魔力を使い、光の槍を投擲し、あたりを照らそうと努力する。

183レノ:2018/04/30(月) 20:05:38 ID:???
>>178-182
槍をいつでも発射できる状態で、この場の状況を改めて分析する。

攻撃力に関しては、既に邪竜を仕留める為に十分に供給できていると考えても良さそうだ。
しかし、未だ邪竜を仕留められず、優勢とも言えない状況が続く要因はやはり邪竜が纏う闇と、想定外の展開が続いている為だろうと、レノは考える。
ただ、現状を鑑みるに闇に対抗し得る"光"は、闇に対して劣勢を強いられている。

詰まる所、完全勝利への道は、光を用いない方法であの闇を攻略する事だと言うのがレノの結論である。

(俺の力(エネルギー)では、難しいか?)

レノの魔術は、力のベクトルを操作する事であり、概念として存在する要素を操作するのは想定していない。

(いや、考えろ……)

力とは……
押す・引く、進む・退く、膨らむ、縮む、上がる・下がる、集まる・散る、流れる・留まる、破る・衛る、与える・奪う、生む、殺す。それぞれの動きが発生する際に作用する概念。

(闇を払う事は……違う。闇の力を、利用する!)

レノは、鉱物の槍を邪竜に向け、射出する。
槍自体、当たりさえすればどこでも良く、敢えて致命傷とはならない下腹部から脚の辺りを狙う。
同時に、飛翔し、邪竜に向かって放たれている槍に、魔弾を1発当てる。

184アーチャー:2018/04/30(月) 20:47:14 ID:???
>>178
鉤爪が盾を突破出来なかった以上、アーチャーが負傷する道理は無い。
そして、既に見た攻撃を警戒せぬほど愚かでもない。
鉤爪で殺し切れぬとあれば、それ以外の追撃があろう事は十分に予測出来る事である。

「――」

邪竜が炎を放つ寸前、僅かに残ったロー・アイアスが“爆発”する。ブロークン・ファンタズムを発動させたのだ。
全壊同然まで破壊され、篭められた魔力も極少の状態では威力としては皆無に等しい。
だが炸裂した魔力は周辺の土を大きく巻き上げ、アイアスと同規模の爆風と共に、アーチャーの姿を覆い隠すだろう。

(このまま此方に意識を向け続けるなら皆の攻撃は通る筈だが、どう出る――!)

同時に、爆風に右腕を焼かれながらも、アーチャーは地面を蹴って斜め後方へと大きく、可能な限り全速で離脱する。
威力は無くとも目眩ましとしては大きく機能する筈だ。空間把握能力を損ない、両眼を負傷した邪竜が相手であれば尚更!

今までの邪竜の行動から推測を立て、邪竜の速度・体格でも一挙動では届かない距離にまでアーチャーは離脱を試みる。
その最中、用意しておいた魔力補充用のポーションを左手で掴み、一気に飲み干す。
離脱に残った体力と魔力を注ぐ以上、反撃する余裕など今の彼には無い。

185【邪竜グォルズルグ】:2018/05/07(月) 14:41:08 ID:UynNQdo6
アーチャーは全身を焼き焦がされた。

炎を避けられなかった、わけではない。
ブロークン・ファンタズムは目論見通りの効果をあらわし、邪竜の視覚を封じた。
更にその爆風が緩衝材となり、僅かではあるものの火炎の速度を減じせしめた。
さらに、邪竜の能力を正しく目算し、速やかに離脱を試みた。

結果、彼は炎の直撃を回避した。回避しきった。
しかし凄絶きわまる猛火の威力は、間接的におそるべき熱波をもたらした。
アーチャーは熱波にすばやく反応し、しかるべき防御行動を取った。それでも熱波を防ぎきれなかったのだ。

アーチャーは熱がもたらす激しい痛みに苛まれた。地獄のような苦しみだった。
そしてそれは、良いことだった。
熱傷が深部に達すれば神経すらも焼き尽くされてしまい、痛みも感じなくなる。
だがアーチャーは全身に苦痛を感じた。つまり、神経が死滅するほどの負傷ではないのだ。
事実被害は皮膚に留められ、その奥に達することはなかった。


邪竜にとって、最大脅威の一つであるアーチャーの排除はいまや最優先事項である。
今ここで確実に殺しておかなければ取り逃がしてしまう可能性がある。あの巫女のように。
追撃を行うため、邪竜は即座に炎を再集中させはじめた……しかし。


『力が………!』


火の集まりが悪い。力が弱まっている。
明らかに、巫女の祈祷によるものだ。

本来であれば、邪竜ほど強大な存在に影響を与えるには、高位神官であろうとも相当な期間を必要とする。
しかし、邪竜は討伐隊の度重なる攻撃によって受けた傷を癒やすために自身の力を費やさざるを得ず、しかもその力はリディルや神剣によって失われている。
結果として邪竜は激しく消耗し、祈祷の影響から身を守ることができなくなってしまったのだ。
邪竜への攻撃と巫女の防衛を続けた討伐隊の努力の賜物であると言えよう。

邪竜は逡巡する。

186【邪竜グォルズルグ】:2018/05/07(月) 14:47:16 ID:UynNQdo6
このまま火を放ったとしても威力が足りず防がれてしまう可能性が高いしばらく時間をかけて火力を高めてから撃たねばならぬいやそんな悠長なことを言っていられる場合ではない他の人間が妨害するに違いない早急な行動が必要だ攻撃方法を切り替え爪か牙にて追撃すべきかいや待て力が失われているのであれば筋力も奪われているやもしれぬであれば今すぐ炎を放ち多少なりともこの厄介な曲芸師に被害を与えて行動を阻むべきかいやこのまま火を放ったとしても威力が足りず防がれてしまう可能性が高いしばらく時間をかけて火力を高めてから撃たねばならぬいやそんな悠長なことを言っていられる場合ではない他の人間が妨害するに違いない早急な行動が必要だ攻撃方法を切り替え爪か牙にて追撃すべきかいや待て力が失われているのであれば筋力も奪われているやもしれぬであれば今すぐ炎を放ち多少なりともこの厄介な曲芸師に被害を与えて行動を阻むべきかいやこのまま火を放ったとしても威力が足りず防がれてしまう可能性が高いしばらく時間をかけて火力を高めてから撃たねばならぬいやそんな悠長なことを言っていられる場合ではない他の人間が妨害するに違いない早急な行動が必要だ攻撃方法を切り替え爪か牙にて追撃すべきかいや待て力が失われているのであれば筋力も奪われているやもしれぬであれば今すぐ炎を放ち多少なりともこの厄介な曲芸師に被害を与えて行動を阻むべきかいやこのまま火を放ったとしても威力が足りず防がれてしまう可能性が高いしばらく時間をかけて火力を高めてから撃たねばならぬいやそんな悠長なことを言っていられる場合ではない他の人間が妨害するに違いない早急な行動が必要だ攻撃方法を切り替え爪か牙にて追撃すべきかいや待て力が失われているのであれば筋力も奪われているやもしれぬであれば今すぐ炎を放ち多少なりともこの厄介な曲芸師に被害を与えて行動を阻むべきかいやこのまま火を放ったとしても威力が足りず防がれてしまう可能性が高いしばらく時間をかけて火力を高めてから撃たねばならぬいやそんな悠長なことを言っていられる場合ではない他の人間が妨害するに違いない早急な行動が必要だ攻撃方法を切り替え爪か牙にて追撃すべきかいや待て力が失われているのであれば筋力も奪われているやもしれぬであれば今すぐ炎を放ち多少なりともこの厄介な曲芸師に被害を与えて行動を阻むべきかいやこのまま火を放ったとしても威力が足りず防がれてしまう可能性が高いしばらく時間をかけて火力を高めてから撃たねばならぬいやそんな悠長なことを言っていられる場合ではない他の人間が妨害するに違いない早急な行動が必要だ攻撃方法を切り替え爪か牙にて追撃すべきかいや待て力が失われているのであれば筋力も奪われているやもしれぬであれば今すぐ炎を放ち多少なりともこの厄介な曲芸師に被害を与えて行動を阻むべきかいやこのまま火を放ったとしても威力が足りず防がれてしまう可能性が高いしばらく時間をかけて火力を高めてから撃たねばならぬいやそんな悠長なことを言っていられる場合ではない他の人間が妨害するに違いない早急な行動が必要だ攻撃方法を切り替え爪か牙にて追撃すべきかいや待て力が失われているのであれば筋力も奪われているやもしれぬであれば今すぐ炎を放ち多少なりともこの厄介な曲芸師に被害を与えて行動を阻むべきかいやこのまま火を放ったとしても威力が足りず防がれてしまう可能性が高いしばらく時間をかけて火力を高めてから撃たねばならぬいやそんな悠長なことを言っていられる場合ではない他の人間が妨害するに違いない早急な行動が必要だ攻撃方法を切り替え爪か牙にて追撃すべきかいや待て力が失われているのであれば筋力も奪われているやもしれぬであれば今すぐ炎を放ち多少なりともこの厄介な曲芸師に被害を与えて行動を阻むべきかいやこのまま火を放ったとしても威力が足りず防がれてしまう可能性が高いしばらく時間をかけて火力を高めてから撃たねばならぬいやそんな悠長なことを言っていられる場合ではない他の人間が妨害するに違いない早急な行動が必要だ攻撃方法を切り替え爪か牙にて追撃すべきかいや待て力が失われているのであれば筋力も奪われているやもしれぬであれば今すぐ炎を放ち多少なりともこの厄介な曲芸師に被害を与えて行動を阻むべきかいやこのまま火を放ったとしても威力が足りず防がれてしまう可能性が高いしばらく時間をかけて火力を高めてから撃たねばならぬいやそんな悠長なことを言っていられる場合ではない他の人間が妨害するに違いない早急な行動が必要だ攻撃方法を切り替え爪か牙にて追撃すべきかいや待て力が失われているのであれば筋力も奪われているやもしれぬであれば今すぐ炎を放ち多少なりともこの厄介な曲芸師に被害を与えて行動を阻むべきかいや

187【邪竜グォルズルグ】:2018/05/07(月) 14:48:24 ID:UynNQdo6
邪竜が光に照らされた。

堕天使たちによる光の槍が炸裂したことによってもたらされた光は、わずかなものだった。
堕ちたる天使といえど天使は天使であり、その光は神聖なものだ。信教が異なるとはいえ、邪竜の闇とは対極を成すものである。
ゆえに闇の力を減じることができるが、十分な光量を得るには邪竜の力に対抗し、それに打ち勝つ必要がある。
邪竜の力は衰えたとはいえ極めて強く、それを打ち破るほどの力は堕天使たちにはなかった。

しかし相反属性である天使の光は、闇に少なからぬ負荷を与えた。
そこへ、領主が率いる魔術師たちが火をもたらした。
個々の火勢は小さなものであったが、集合したそれらによる光は激しいものであった。
矢に引火した火弾はもちろん、そうではない火弾も邪竜の傍を通ることによって僅かながらも光を生む。
天使の光によって負荷を受けた闇は、火の光を消すだけの力を持っていなかった。
そして、邪竜の各部位を明らかにするには十分な光量が得られた。


『しま……』


レノが放った鉱物の槍が、魔弾を受けながら邪竜の下腹部に正確に命中する。
それは、レノの予想よりも激しい出血と闇の漏出をもたらした。
自身の傷を塞ぐことすら難しくなっている。やはり、力が衰えているのだ。
しかし邪竜が魔術に精通していることは心に留めておくべきである。魔弾に込められた術の性質を、あるいは把握したかもしれない。

いずれにせよ邪竜は攻撃者、すなわちレノの位置へ首を振り向いた。
先にこの者を排除すべきか?
だがその瞬間、ハーミアの大剣が背に襲いかかった。


『ガアアアアッ!!』


半ば不意打ちのような形で受けた大質量攻撃を、力の衰えた邪竜が抗うすべはなかった。
邪竜は激しい衝撃によって地に堕ち、その身体を地面に叩きつけられ、バウンドした。

188【邪竜グォルズルグ】:2018/05/07(月) 14:48:42 ID:UynNQdo6
邪竜は地面にバウンドし、倒れ伏した。
起き上がる気配を見せなかった。
血と闇が大地に流れ、吸い込まれてゆく。


『そういえば……』


首を地面に垂らしたまま邪竜は言った。


『貴様らの……貴殿らの名を聞いていなかった。
…………いや、聞いたかもしれぬが、忘れてしまった。
名を知る価値もないと思っていたのでな。その節は……すまなかった』

邪竜は討伐隊全員を見た。

『もう一度…………名乗らせてもらおう。
我は邪竜グォルズルグ。グォル=ズルグ。
人間の言葉に直せば、【火の暴君の悪辣の雄竜】といったような意味だ。
貴殿らの……名を教えてほしい』

その声は弱々しいものだった。
恐るべき力を纏わせながら接近しつつある零姫を見て、邪竜はすこし笑った。

巫女は邪竜の発言を無視し、祈祷を再開している。その表情に油断はない。
彼女は、邪竜を倒し切ったとは考えていないのだ。
邪竜の一見殊勝に見える言葉と態度は、偽りかもしれなかった。
しかしその一方で、邪竜はこの場の全ての人間に対して敬意を抱いているという感覚を、一行は抱いた。

189レノ:2018/05/08(火) 12:45:38 ID:???
>>187
鉱物の槍は邪竜を貫くなり、鉱物同士の結合が解け、それぞれ粉粒程度の黒く変色した結晶となり、地面に向かって埃の様に舞い落ちていく。
原因は、レノが最後に放った魔弾の影響により、それまで結合の為に作用したエネルギーが別の効果を現した為だ。

変換されたエネルギーは、まずは邪竜から発生する闇や熱を取り込む。そうして威力を増したエネルギーは、槍を構成する鉱物と反応を起こし、鉱物を急速に培養する。つまるところ、邪竜の傷口付近より邪竜の身体を徐々に"石化"させていった。

>>188
名乗るのは、最後に邪竜を葬る者達がすれば良い。
そうした判断の下、レノは恐らく最後になるであろうエネルギーの壁を、邪竜と自分との間に生成した。

これは、周囲に倒れている僧侶達や、巫女を万が一の事態から守る為。

190ニキータ:2018/05/09(水) 21:01:22 ID:???
>>188
「第185独立偵察中隊、ニキータ・イワノヴィッチ・クトゥーゾフ兵長。」
「満足か?」
バカでかいライフルを腰だめにして邪龍に狙いをつける。
スコープなんて必要ない距離だ…

レーナ「レーナ・ラーストチュカだ!おぼえとけー!」
ヴェーラ「ヴェーラだぞー!」
タマラ「タマラです、すぐお別れだけどね!」
ヴェロニカ「えっと…ヴェロニカ…」

191名もなき戦士:2018/05/10(木) 20:40:20 ID:???
>>188
ツカイ=キリ「ふむ…邪竜も人間に敬意を払うとは」

邪竜の言葉に地方領主は驚きを隠せない。

デバン=ココダケ「俺は地方領主デバン=ココダケ!」
ツカイ=キリ「同じくツカイ=キリ」

領主たちは名乗りを上げた。
領主の部下たちは疲弊が激しく回復に努めている。

192ウルスラ/ハーミア(残り2)/零姫:2018/05/12(土) 17:57:13 ID:???
>>188
ハーミア
「二度目だけど・・・ハーミア。ハーミア・トゥバニア・ロギノードス。
 秘龍神レアンドラと滅竜騎士にして龍の守護騎士アーサーの娘だ!」

邪竜の背に深々と突き刺さった竜殺しの剣を強く握りしめると
全力で蹴りつけて引き抜きながら宙返りをして間合いを取る。
と同時に大きく息を吸い込んで次の行動に備える。

==========================================

零姫はつい最近になって三代目羅生門百鬼丸らに敗れ
愛宕山百鬼衆、あるいは百鬼夜行の1人として新たな名を得たばかりだ。
複数の名を持つということはそれだけ多くの畏怖を集めるステータスでもある。
故に彼女は最も新しい名を告げる。

零姫
「ならば答えてやろう。
 我が名は隈・・・いや、今は空薙守 零姫!
 まだ馴染みは無い名前じゃが百鬼の終焉に立つ者よ!」

高周波音を発生させながら闇の太陽を叩きつける。
高熱を放ちながら押しつぶし、引き裂き、飲み込む球体。
中心こそ闇の鬼火ではあるもののその破壊力の大半は発生している周囲の力場による。
制御のためにその射程は短く抑えられており、
さらに出力を搾っているためその大きさは両手で抱えられるほどだが、
その外周に触れれば鋼鉄や岩盤ですら削り溶かす威力を誇る。

==========================================

ウルスラ
(既に名乗っているから隠す必要は無いが・・・
 ・・・そもそも名乗るほどの事をまだしていないし、な。)

血を塗り付けた弾丸(砲弾)を残りの光弦へと番えてアーチャーの元へと転がるように放つ。
同時に彼の耳元にだけ届くように声も放つ。

>>184
ウルスラ
「聞こえるか?生きているか?
 負傷をしていて余裕も無いだろうが、
 今そっちへ転がした弾丸の頭にお前の血も塗っておけ。
 ちょっとした賭けだが、お前が使おうとした『切り札』の応用がある。」

上手くアーチャーの元へと声と弾丸が届いたかは分からない。
また届いたとしても、その賭けに乗るかは分からない。

フェイルノートの使用中であるためニキータからそう離れることは出来ないが、
10の光弦のうち使用しているのは3。
残りの7は自由に使うことが出来る。

193アーチャー:2018/05/12(土) 20:02:36 ID:???
>>188
「――余波でこれか。全く、加減を知らん怪物だ」

倒れ伏しそうな体を支えて、なお不敵な笑みを浮かべて見せる。
痛みは生命活動の証だ。全身を焼く激痛は、彼を苛ませながらも意識の覚醒を促した。
幸いな事に邪竜からの追撃は無く、魔力の補充も完了している。

この時代に召喚された使い魔であるアーチャーは、原則としては霊核――頭或いは心臓――を完全破壊されなければ死ぬ事は無い。
魔力が枯渇すれば消滅するが、逆に言えば魔力と霊核さえ残っていれば回復の余地があるとも言える。

故に、補充した魔力を活用して静かに肉体の再生を始めた。
即座に完全回復とはいかないが、僅かな時間で戦闘行動は再開できるだろう。

そして回復しながらも当然、邪竜への警戒は続けている。
邪竜との距離をゆっくりと歩いて縮めつつ、呼吸を整え、肉体の再生を行い、投影の準備を整えておく。
僅かでも前兆があれば、周辺の面々を守る為に“盾”を展開する見込みだ。


>>192
(……弾丸か、奇策があるようだな。ではコイツは、彼女に託すとしようか)

ウルスラへと視線を向け、僅かに頷いた。賭けに乗るという意思表示だ。
邪竜にはバレないように弾丸を拾い上げ、言われた通りに血を塗り付ける。アーチャーの魔力の残滓が確実にあるだろう。

194【邪竜グォルズルグ】:2018/05/20(日) 01:14:19 ID:UynNQdo6
山頂に雪が降り始める。
山の標高は高く、本来気温は極めて低い。これがこの山の、あるべき姿だった。
邪竜は、環境操作能力を維持することさえ困難になっていたのだ。
闇もまた失われ、周囲には光が満ちていた。

山神の加護を得ている討伐隊は、この環境変化による不利益を被ることはない。
しかし邪竜はそうではなかった。
討伐隊の活躍によって力を取り戻した山神は、邪竜に過酷な極寒と深刻な酸欠をもたらしていた。



『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』



邪竜は再び咆哮した。
この状況下においてなお、邪竜は戦おうとしていた。
捨て鉢になったわけではなかった。討伐隊と戦い、打ち倒し、そして生き残ろうとしていた。
邪竜に芽生えた人間たちへの敬意は、むしろ彼の闘志を高めているようだった。


巫女には不可解だった。
邪竜は最早瀕死と言っても過言ではない重傷を負っている。それがわからぬ邪竜ではないはずだ。
しかし戦意を失っておらず、死を覚悟したというわけでもないらしい。一体何故?

その疑問に対する答えは、すぐにもたらされた。

195【邪竜グォルズルグ】:2018/05/20(日) 01:14:50 ID:UynNQdo6

突然、邪竜の全身から激しい火と闇が迸った。
それはあまりに苛烈なものであり、負傷の修復とは明らかに性質を異にするものだった。
しかし討伐隊への攻撃、というわけでもないようだった。

そう、火と闇が侵食しているのは、邪竜自身であった。
火は邪竜の骨肉を焼き、闇は邪竜の命を貪っていた。
残された魔力や生命力を糧として、その勢いは急速に増してゆく。
今や邪竜は、火と闇にくべる燃料となりつつあった。

これが邪竜の切り札だった。
火と闇は、邪竜自身さえ経験したことがない程に強力なものとなっている。
この力なら、この恐るべき強敵たちを撃破することができるだろう。



名乗り返した者の名を、邪竜は反芻した。
名乗り返さぬ者も居たが、邪竜は僅かに残された視力でその姿を目に焼き付け、名前の代わりとした。


――――邪竜は立ち上がった。
戦闘が長引けば己の力に身を焼かれ、真の死が訪れることになる。
速やかに、全ての敵を倒さなければならない。

196【邪竜グォルズルグ】:2018/05/20(日) 01:15:15 ID:UynNQdo6


邪竜はまず、進行しつつある石化への早急な対処を強いられた。
負傷と疲労の激しい今、レノの魔術を打ち消すことはおろか、その進行を遅らせることさえ難しい。
ゆえに邪竜は躊躇せず、石化された箇所とその周辺部位を鉤爪によって削ぎ落とした。
身体から鉱物が取り除かれ、その石化は停止した。

さらに、背中に突き刺さった大剣を筋肉と蠢く闇の力で強引に引き抜いた。
邪竜にとって竜殺しは猛毒に等しい概念だ。一刻も早く体内から除去しなければ重大な悪影響を招くおそれがあった。
大剣は空中にはじき出され、結果としてハーミアは燃え盛る邪竜の肉体に近づくことなく大剣を取り戻すことができた。

おびただしい量の燃え盛る血液が、全身の傷口から流れ落ちる。
自身の闇に肉体を侵食されている今、自己治癒能力は格段に低下していた。
さらに、竜殺しの力は修復が難しく、加えて石化箇所を強引に除去したため傷はより深まった。


零姫は邪竜の眼前に迫っていた。
強大な神であり同質の存在でもある彼女との正面戦闘は長期戦になるおそれがあり、この状況下では得策ではない。
高脅威かつ脆弱と思われる弓兵や奇妙な兵士たちを先に撃破し、彼女は後回しにすべきだった。
だが石化と竜殺しに対処せざるを得なかったため、接近を阻止することは叶わなかった。


『…………良かろう』


邪竜は零姫と正対し、自身の身を焼く炎を強めた。

197【邪竜グォルズルグ】:2018/05/20(日) 01:15:41 ID:UynNQdo6

零姫は空の断末魔を邪竜に叩きつけた!

だがその直前、邪竜は巨大な両腕を前方へと突き出し、迫りくる零姫への盾としていた。
闇の太陽が鉤爪を完全に破壊し、既にリディルによって損傷していた腕は挽肉へと変わっていった。
だが成人女性サイズの零姫と大型ドラゴンの間には圧倒的な体格差が存在し、危害半径を制御された空の断末魔が肉体深部に到達するまでには若干の時間が必要となる。
邪竜は、自らの両腕を犠牲に僅かな猶予を得たのだ。

邪竜は間髪入れずに炎を放ち、零姫はその直撃を受けた。
炎は邪竜の命を糧としており、さらに山神すらも滅ぼしかけた“供されし神を喰らいしもの”の概念を宿している。
零姫と雖も劇的に威力を増した神喰らいの炎を受けて無事では済まず、全身の皮膚と肉を焼き焦がされる。
くわえて、空の断末魔により削ぎ落とされた邪竜の燃え盛る血肉が零姫とその周囲に飛び散り、火と闇が彼女を侵食してゆく。
莫大な力と強固な耐性を持つ零姫が、即座に戦闘不能に陥ることはなかった。



もし零姫が回避に転ずれば、さらなる負傷を防ぐことができるだろう。
しかし彼女は強靭ゆえこの程度のダメージで済んでいるが、この炎の矛先が他の者に向けられた場合、直撃を免れても余波だけで焼死する可能性さえある。
彼女が盾となれば、その事態を防ぐことができるかもしれない。

あるいは逆に、負傷を顧みず一気呵成に猛攻を加えるのも一つの手だ。
今の邪竜の力は命を犠牲にしているため残された体力は少なく、かつ闇によって細胞や臓器が死を迎えつつあるため再生力も弱まっている。
今こそ邪竜を撃破する最大のチャンスかも知れないのだ。

もしくは、仲間たちとともに防御と回避に徹し、持久戦に持ち込むことも可能だ。
邪竜の攻撃をある程度凌ぎ切ることさえできれば、邪竜は炎と闇によって自滅することになるだろう。


巫女は既に祈祷を停止しており、討伐隊全員に念話で上記の情報を余すことなく伝えていた。
彼女の念話は瞬時に双方向の対話を行うことができ、また彼女との念話者は別の念話者へ直接的に言葉やイメージを飛ばすことができる。
そのため、討伐隊同士の意思疎通や行動タイミングの調整なども容易に行うことができる。
どのような作戦を選ぶにせよ、完璧な協調が可能だ。

198【邪竜グォルズルグ】:2018/05/20(日) 01:17:18 ID:UynNQdo6
■邪竜
▽外傷
喪失:左眼(神剣・リディル)・鉤爪(空の断末魔)
重度:右眼(リディル)・背中(竜殺し)
中度:下腹部(鉱物の槍の直撃および石化箇所の除去)・両腕(空の断末魔・リディル)
軽度:眉間(ライフル・螺旋剣/時間経過によりある程度修復)
その他:迫撃砲と大火を呑む焔によって満身創痍。その他の負傷についてはほぼ修復済

▽状態
・肉体損傷継続中(自身の火・闇)
・魔力減少継続中(リディル)
・空間干渉能力喪失(螺旋剣)
・高山病(山神の力)



■巫女
▽外傷
重度:両腕(粉砕骨折)

▽状態
・正常

199レノ:2018/05/20(日) 14:36:40 ID:???
>>194-198
邪竜の視線が一瞬此方に向いた際に、
レノは邪竜と視線を合わせた。微笑むわけでも、言葉を発するでもなく。
それはまた、これだけの苦を与えても挫けない相手に対するレノの無意識の敬意なのかもしれない。

石化の影響も上手く凌がれたことを目の当たりにするが、
それ以上の追撃はせず、壁の維持に注力することに専念した。維持どころか、効果範囲を広げて巫女、僧侶は無論、身近に居る戦闘不能に陥った兵士達も囲う。

それは、自ら手を下さなくても他に戦力が居るという他人任せでも、放っておいても自滅するというような油断でもなく、全員が生還するという共通認識を実現させる為には守りの手を緩めてはならないと判断したからだ。

無論、前回は守るつもりで返って痛手を負ったという事も忘れてはいない。
壁の効果範囲を広げながらも、壁に向かって放たれた打撃は魔弾として、魔術の類は同効果の魔術を、全て邪竜に向かうよう仕掛けを施す。

仮に邪竜が自分を含む、壁の内側の物を攻撃した場合、自分が放った同規模のパワーで攻撃を返される事になる。

味方側が壁に攻撃しても同様の効果があるため、"壁の内側について心配はいらない"という連絡とともに、壁の性質についての説明を念話を通じて行った。

200ニキータ:2018/05/21(月) 23:02:17 ID:???
>>194-197
邪龍の変異に驚くが、すぐさまやるべきことを頭の中に描く。
一発で邪龍を仕留める。
そのためには何をすべきか…
背中の傷にこのバカでかいライフルを食わらせればいい。
アソコが一番デカい的であるはずだ
気温による弾道の変化、風向きはこの距離なら無視できるだろう。
試し撃ちもしていない銃だが、ウルスラを信頼してもいい。
後はどうやって背中に回り込むか…

レーナ「往生せー!」
ヴェーラ「金色射法ー!」
ヴェロニカ「もう一回!」
タマラ「テイテイター!」
堕天使組はもう一度光の弓矢を放つ。
この隙に背後まで移動して傷口に狙いを定める。
呼吸を整え、五感を研ぎ澄ませる。
淀みなく弾を薬室に込めて引き金を絞る。
反動が体を舐め、腕の感覚がなくなり、息が苦しくなる。
砂煙とマズルフラッシュで視界がなくなり、命中確認ができない。
もう一回コッキングハンドルに手をかけ、再度装填…

201名もなき戦士:2018/05/22(火) 18:48:46 ID:???
>>194-200
ツカイ=キリ「命を燃やして最後の勝負に出たのか!」

邪竜と零姫の戦いに割って入ることは不可能だ。
しかし、ただ見ているだけではもどかしい。
地方領主は消耗激しい部下たちに最後の指示を出した。
弓兵と魔術師は撃てるだけの矢と魔弾を邪竜へと飛ばす。
戦士たちは、負傷している者たちを守るレノを囲むように陣を敷いた。
また、一部の戦士はニキータの下で盾を構える。無論射線上に入らないようにだ。
領主たちの行動は全くの無意味かもしれない。それでも、動かずにはいられなかったのだ。

202ウルスラ/ハーミア(残り1)/零姫:2018/05/23(水) 15:08:32 ID:???
>>198
零姫
「この程度の・・・炎など・・・効かぬわ!」

完全に戦闘状態になっている零姫は多少のダメージで怯むことはない。
ましてや同じ炎と闇を司る神としては怯むことも退くこともプライドが許さない。
闇の太陽として己の術の優位性を示すことで人類の心を折ってきた彼女にとっては
相手の攻撃をしのぎ切った上で圧倒的な火力を示すことこそが勝利だった。
空の断末魔を手放し、両手を大きく広げる。

零姫
「禁鬼・・・大火を呑む焔!」

炎を飲み込み燃え上がる鬼火を周囲に作り出す。
放たれる炎の勢いを殺し、あわよくば邪竜を攻撃できればいい。
それが恐怖と絶望を糧とする『禍』と呼ばれた鬼の戦い方だ。


==========================================
ハーミア
「もってあと数十秒・・・近づくのはマズいかな・・・。」

飛んできた大剣を取り戻し、盾代わりになるように自分の眼前に突き刺す。

ハーミア
「なら・・・使える間にせめて・・・!」

竜の肺活量で高圧縮された空気によるソニックブレスを放つ。
魔術的な追加効果こそ無いものの物理的な破壊力を持ち、
特に硬い物質を内部から破砕する特性を持つ衝撃音波砲により
先ほど大剣突き刺した背中周辺を狙い撃ち、
その様子を念話で周囲へと伝える。


==========================================
>>200
銃弾が放たれると同時に魔弓に装填されていた効果が発動する。
発砲に伴う爆音は遠く離れた場所で鳴り響き、
その地点には右手を呪弾(ガンド)のように突き出したウルスラの幻影が現れる。

ウルスラ
「うめき声一つ上げないとはいい腕だ。
 いい腕ついでに二発目は今から送る"血のついた弾丸"を叩き込んでもらおうか。」

視覚情報に極めて重度の障害を負った竜に対して
音による発射場所を偽装したことである程度の安全は確保したと判断し、
その場を一旦離れてアーチャーの元へと走る。

>>193
邪竜に分身を見破られないために
アーチャーの背後に走り寄ると、血の付いた銃弾を受け取る。

ウルスラ
「弓兵、竜は鬼に気を取られているようだ。
 今ならお前の『切り札』を使う時間も稼げているだろう。」

受け取った弾丸を魔弓でニキータの元へ転がるように放つ。

ウルスラ
「いいか、あの弾丸もお前の身体の一部だとイメージしろ。
 細かい制御は私がなんとかする。
 お前はその心象風景を私に貸し与えてくれればいい。」

彼の本来の名は並行世界の記憶からもよく知っている。
現在の世界線でも義弟とのパスを通じて確認済である。
その上であえてその名を告げることをせず、弓兵と呼ぶ。
だが、語りかける口調には無意識にその正体を踏まえた上での態度が現れている。

203アーチャー:2018/05/23(水) 21:18:42 ID:???
>>198 >>202
「……そういうコトか。全く、無茶を言ってくれる」

魂胆を理解したのか。
ここに来て、今までになく強大な力を発揮した邪竜を見据えて尚笑みを崩さない。

「何の縁も無い者であれば不可能だろうが……君なら別だ。
 とはいえオレの世界だからな、性根が捻くれているのは間違いない。せいぜい気をつけてくれ」

素直なのかそうでないのか。
どちらとも付かない憎まれ口を叩いて、アーチャーは片目を閉じた。
ウルスラの指示通り、弾丸と己の肉体とを一致させるようにイメージしている。

通常であれば展開に時間を要する固有結界(きりふだ)も、この世界に展開するのでなければ話は別だ。
例えば弾丸の内に極小の固有結界を刻み込み――それを対象に撃ち込んだ後に炸裂させる、といった手順であれば。

千の剣を内包する彼の心象風景は、詠唱を要さずして“対象の体内から”展開されるだろう。

204ニキータ:2018/05/23(水) 22:01:53 ID:???
>>202
「…くっそ分かった!」
渡された砲弾をチャンバーに送り込む。
一発目の射撃で体中が軋んだが、アドレナリンのおかげで意識はより鮮明になった。
筋肉や節々が痛みを伴い、抗議するが再び邪龍に狙いをつける。
邪龍は多少はひるんだだろうか、再び射撃を行うためのルーティーンを始める。
照準を固定し、力みすぎず緩みすぎず銃把を握る。
引き金は優しくゆっくりと絞る。
シアが解放された感覚と同時に、撃針が信管を叩き凄まじい反動が全身を襲う。

205ウルスラ/ハーミア(残り1)/零姫:2018/05/24(木) 01:51:54 ID:???
>>203
ウルスラ
「He is the bone of sword――(体は剣で出来ている。)」

ウルスラの持つ並行世界の記憶にはそれだけ多く並行の知人が居る。
当然それはこの赤い外套の弓兵も含まれる。

詠唱が不要であってもその一節を口ずさむのは彼女なりの敬意の現れだ。

206【邪竜グォルズルグ】:2018/05/31(木) 21:17:47 ID:N9w.W4MI
大火を呑む焔が邪竜の火を呑み、
神喰らいの火が零姫の焔を喰う。

既に一度繰り返されていた光景だったが、
邪竜の火は遥かに強力なものとなっており、それを燃料とする鬼火の火力もまた同様に激化する。
威力を増した互いの火は互いの肉体を焼き、炭化させ始めた。


邪竜はこの神同士の戦いに全力を振り絞り、雌雄を決したいという強い欲求に駆られた。
しかしそれが愚策であることは、まさに火を見るより明らかであった。
零姫の焔のみならず自身の炎にも焼かれている今、時間の浪費は絶対に避けなければならない。



邪竜は、空の断末魔から身を護るために突き出していた両腕を、更に前方、即ち零姫へと伸ばした。



邪竜の見立てでは、零姫は物理面でも大きな力を持つ存在だ。
振るえる力の総量では我よりは劣るものの、それ以上に体躯の小ささが有利に働き、攻撃時の単位面積あたりに働く破壊力は非常に大きなものとなるはずだ。
一方、我は鉤爪を喪失しているため物理攻撃では殴殺や圧殺などの手段を取らざるを得ず、この鬼神に大きな被害を与えられるとは考えにくい。
それどころか、手痛い反撃を食らう可能性の方が高かろう。



邪竜は零姫の身体を掴んだ。



だが、矮躯が必ずしも有利に働くとは限らない。
大地の揺れから察するに、体格のみならず重量も人間と同等のようだ。
軽さと小ささは速さを生む……………しかし。
  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
 動かされやすいということでもある。






―――――邪竜は零姫を投げた。





50kgをようやく超える程度の零姫は、巨竜にしてみれば小石のように軽い存在だった。
危機的状況によって肉体のリミッターが外されたのか、あるいは激化した自身の炎が活力さえも生み出しているのか、鷲掴みから投擲までの動きは、あまりにも素早かった。
零姫が巨大化などの対抗手段を持っていたとしても、それは間に合わなかった。

207【邪竜グォルズルグ】:2018/05/31(木) 21:18:04 ID:N9w.W4MI

弾丸のような速度で、零姫の身体が飛んでゆく。

その先にあるものは、巫女だ。……正確に言えば、巫女を守る壁であった。
レノによって攻撃を反射する魔術が込められた、あの土壁だ。

邪竜は魔術に熟達しており、また邪竜自身が魔術的存在であることは巫女が説明したとおりだ。
ゆえに、リディルによってほとんどの魔力を失った今でも、敵によって行使された魔術の性質をある程度推察することができる。
レノの鉱物の槍や零姫の鬼術に素早く対応できたのも、それが理由だった。
邪竜は土壁の性質をも概ね読み取り、それを逆利用することにした。


このまま零姫が土壁に激突すれば、零姫を攻撃者と見做して自動反撃が行われ、激突と反射の二重攻撃を受ける――と、邪竜は推測している。
もしそのようにならなかったとしても、零姫が遠ざかっている間に他の者を焼くことはできるだろう。
……貴重な時間を大幅に失ってしまった。即座に次の行動に転じなければならない。


邪竜は振り向いた。
その瞬間、背中に衝撃が走った。


『…………ッ!!』


激痛のあまり最早声を発することもできなかった。
竜殺しの剣による傷は重く、修復力は最早機能していない。
ソニックブレスと大口径弾は、鱗を突破し、筋肉を突破し、背骨にまで達していた。

下肢に力が入らない。
どうやら脊椎を損傷し、神経をやられたようだ。これでは歩行すらもままならぬ。
しかし今の火力ならば、動かずとも十分にこの者達を皆殺しにすることができよう。


邪竜は炎を収束させ始めた。

208【邪竜グォルズルグ】:2018/05/31(木) 21:18:27 ID:N9w.W4MI
零姫への鷲掴みから投擲はごくわずかな時のあいだに行われたために阻止することは叶わなかったが、状況については全員が把握できている。
当事者である零姫と優れた動体視力を持つアーチャーが、主観的・客観的な情報を正確に把握し、それが念話により素早く共有されたためだ。


邪竜といえど他者の魔術を一瞬で完全に把握できるわけではない。
土壁の攻撃反射が零姫に向かぬ可能性も十分にある。
だがもし邪竜の推測が正しく、それに対処する必要があるのなら、素早い行動が必要だろう。

仮にレノが土壁そのものを解除した場合は、そのまま零姫の身体が巫女に直撃することになる。
物理的に脆弱であり両の腕を完全に骨折している彼女に、これを防ぐ手立てはない。

また、土壁自体は維持しつつそれに込められた魔術のみを消去した場合、土壁はバラバラになるだろう。
飛散した土塊は壁に直接触れているレノ自身に直撃し、彼は少なからぬ負傷を強いられることになる。
とはいえ、土壁がある程度の衝撃を吸収するために、直撃するよりは被害が小さくなるだろう。

無論、反射する魔術の性質や零姫の行動によっては、あえて対処する必要もないかもしれない。
あるいはもっとリスクの低い別の対処法があるのなら、それを選択しても良いだろう。


巫女もこの状況を把握しており、さほど機敏ではない彼女が回避に転じても無意味であるため、念話を維持し続けている。
そのため全員の意思疎通は一瞬で完了するし、たとえば激突までの僅かな時間のあいだにレノと零姫が高度な共同作業をすることも十分に可能だ。

209レノ:2018/06/02(土) 23:47:19 ID:???
>>206-208
邪竜が零姫を掴み投げる動作は、確かに素早かった。しかし、レノの思考回路はその速度の更に上を行った。むしろ、意図していたというより反射に近かった。

邪竜は確実に窮地に陥っている。
そのまま放っておいても、自滅する。だからこそ、最後の手段、巫女をあらゆる手を使って殺すよう仕掛けてくる事は容易に想像できた。

邪竜が零姫を投げる動作に移った頃、レノもまた空いた腕を振りかぶり、同時にその腕に魔力を蓄えた。
そして邪竜が零姫から手を離した頃、レノは振りかぶった腕で土壁を殴りつけた。

レノが土壁を殴った方の腕から魔力は土壁を通り、土壁を構成するエネルギーの一部が魔弾として再構成され、零姫に向かって放たれる。
その魔弾の効果は、土壁に向かう零姫の移動エネルギーを幾分か邪竜に向ける事で、零姫が土壁に衝突するエネルギーを大幅に緩和しようというもの。

零姫に魔弾が的中し、零姫が空中で体制を整えられるのであれば、土壁に"不時着"することも可能だ。
念話を通して伝わるかどうかはわからないが、零姫が土壁に不時着し、更に土壁のエネルギーを利用し反撃をしかけるまでのイメージを念じる。

更に
"宿代は頂くぜ。壁に向かって念じてみな"
と、兵士、僧侶達に対して短く念じる。

魔弾によって僅かに失われた土壁に、多少でも魔力を充填できれば、土壁の持つ反射のエネルギーは100%、零姫の味方をする事だろう。

210ウルスラ/ハーミア(0)/零姫:2018/06/03(日) 19:58:04 ID:???
>>208
ハーミア
「いくら竜でもあれだけの深手ならもう・・・!」

剣に手をかける。

ハーミア
「だけど・・・。」

次の瞬間、角と羽が罅割れ、元の姿へと戻る。

ハーミア
「ここで時間切れ・・・かあ・・・。」

スタミナが切れたことにより疲労し、
突き立てた剣に寄りかかるようにして数秒間息を整える。
未熟な彼女が再び竜気を纏うには纏っていた時間と同じだけの時間を必要とする。

==============================================
零姫は自身を巻き込んで邪竜をも焼き尽くしながらもずっと笑い続けている。
東方最強の戦闘種族『鬼』、その最大の危険性は戦闘状態になったときの精神性にある。
たとえ自身に大きなダメージがあろうとその激痛を無視し、あるいは怒りに変換し、
際限なく己の肉体の限界へと加速していく。

零姫
「さあ・・・地獄を楽しめ!貴様の望む世界を―――」

さらに追撃の鬼火を作ろうとしたところで邪竜に掴み上げられ、
次の瞬間には思い切り水平に投射される。

零姫
「く・・・!妾の炎がそこまで怖いか!貴様の負けじゃ!愚か者めが!」

生成しかけていた鬼火を弾けさせ、竜へと向き直る。
狙いは土壁の反射を用いてその心臓を撃ち抜くこと。

>>209
が、突如強いイメージと共にその飛翔速度が大きく緩和される。

零姫
「チッ・・・生意気な人間が余計な事を。」

言葉とは裏腹に口元は笑っている。
手足へと妖力を集中させると、術を発動させながら土壁へと飛んでいく。

零姫
「鬼術・遠呂智!」

土壁に干渉し、へこませることと足のバネを使うことで、大きくダメージを殺して着地する。
そしてその僅かな時間にレノへと下手なりに念話を飛ばす。

零姫
『人間、良い縁を紹介してやろう!』

元々連携とは縁遠く、仲間など居なかった彼女の下手な念話はかなり大声に聞こえるだろう。
それだけ一方的に告げると反射によって土壁が元に戻る力に合わせて一気に逆に加速して邪竜へと飛ぶ。

零姫
「鬼術・隠暁・・・毒鬼爪・・・!」

基本鬼術の三連発動。
邪竜の意識から自分を外し、手の爪を伸ばして硬質化させ、猛毒を纏う。

==================================================
ウルスラは赤い外套の弓兵の詠唱を借りて続ける。

ウルスラ
「――due to only one loss(ただ一つの敗北から)
 to forget Life.――(ただ一つの願いも失う)」

無限の並行世界には、今のように利害の一致から背中を預けて戦った『彼』が居た。
互いの主張の違いから殺し合った『彼』が居た。
頼りになる兄として振る舞おうとする『彼』が居た。
血縁は無くとも自分を姉として慕ってくれる『彼』が居た。
たった一人の妹を救うため、過ぎた力を求めて『彼』になってしまった『彼』が居た。
正義の味方という役割を押し付けられ、それを受け入れた『彼』が居た。
正義の味方を目指し、その理想に裏切られた『彼』が居た。
そして、正義を穢され、魔道へと腐り堕ちた『彼』が居た。

ウルスラ
「――But I will allow his despair――(だが、それでも己の生涯を棄てず)」

>>203
最後の一節を前に念話を『彼』へと飛ばす。

ウルスラ
『合わせろ!弓兵!』

そして邪竜の背に食い込んだ弾丸へと意識を集中し、魔力を込めて詠唱をする。

ウルスラ
「――Even though it required to "Unlimited Lost Works"!(彼の体は、朽ち果てても―――剣で出来ていた!)」

邪竜の体内を起点に固有結界を再生・再現。
それを基点として後は本来の使い手へと譲渡する。

211アーチャー:2018/06/03(日) 23:02:16 ID:???
>>208
『――以上だ。後は各々の判断で動いてくれ』

情報共有を終え、精神を集中させる。
詠唱は要らずとも、固有結界の展開には僅かでも集中が必要だ。
鷹の瞳を以て、弾丸が着弾する瞬間を見極める。

>>207 >>210
『――ああ、後は任せろ』

着弾と同時に、全ての魔術回路に魔力が迸る。
消耗の為では無く制御の為。
本来必要な工程を全て省略して、それは完了した。


「――“Unlimited Blade Works”」


邪竜の背に食い込んだ弾丸は、刹那の後に“破裂”する。
そこから溢れ出たモノは……数多の“剣”だった。

正体は、弾丸を起点として具現化した固有結界。
彼が今までに記録した数多の剣が、邪竜を体内から串刺しせんと溢れ出すだろう。
その苦痛たるや――直に受けた邪竜以外が、理解出来よう筈も無い。

世界の名は“Unlimited Blade Works(無限の剣製)”
千を越える名剣、魔剣、聖剣を内包する英霊エミヤの心象風景。
幾度と戦場を駆け抜けてきた彼の得た全てが、邪竜に襲い掛かる――!

212名もなき戦士:2018/06/07(木) 18:56:01 ID:???
>>209
兵士たちは多少戸惑いながらも、レノの声に従った。
僧侶たちもゆっくりと起き上がり、壁に魔力を通す。
少しでも援護が出来るなら、彼らはいくらでも手を貸すだろう。

213ニキータ:2018/06/07(木) 19:43:12 ID:???
>>208
「くそ、あとは何もできん…」
しびれた両腕にのしかかる大型ライフルを投げ捨てる。
この場ではもはや何もできることはない。

214【邪竜グォルズルグ】:2018/06/08(金) 18:07:50 ID:ME/CueHs
土壁へ激突する軌道を取っていた零姫の身体はレノの魔弾によって衝撃を緩和され、反射を利用して反転した。
兵士たちが土壁に魔力を注いでいることもあり、邪竜へ迫る速度は投げられた際の速度より高い。
迫る零姫に対し、邪竜は再び判断を強いられる。


邪竜とて、土壁を利用した反復を全く想定していなかったわけではない。
だがその場合、零姫は反射によって少なからぬ被害を受けるだろうと考えていた。
あるいは激突時の衝撃を軽減させることもあろうが、その場合は反射魔術を消去または減弱させざるを得ず、したがって反転速度は落ちるだろうとの推測だ。

しかし現実には零姫は全くの無傷であり、なおかつ高速で再接近しつつある。
疑いようもなく、あの土魔術師の仕業であろう。周囲の兵たちも魔術の形成に加わったようであり、いずれも存外に厄介だ。
仮に零姫を別の場所に吹き飛ばしたとしても、類似の方法で再復帰させるに違いない。これでは埒が明かぬ。
その上、零姫の姿も捉えづらい……このままでは、時間を徒に浪費することになるだろう。


邪竜は逡巡した。
どのようにして零姫を遠ざけるか、一瞬そのことだけを考えた。
だがその思考は、痛みにかき消された。

215【邪竜グォルズルグ】:2018/06/08(金) 18:08:08 ID:ME/CueHs
竜殺しの剣は邪竜の背中に浅からぬ傷を生み出しており、それを衝撃音波がズタズタに破壊している。
大口径の弾丸は、開いたその傷口を穿っていた。
ゆえに弾丸は、邪竜の体内奥深くにあった。



―――――弾丸が炸裂する。



固有結界は、ほぼ心臓部に近い位置より展開された。
空間干渉能力はすでに失われており、他者の世界を拒絶することは叶わなかった。

剣が具現化してゆく。
それらは初め、炎と闇によって破壊されていった。
しかし、増加してゆく剣が徐々に圧倒し、やがて邪竜の肉体を貫き始めた。
肉、骨、皮、そして臓物――――――ありとあらゆる身体器官が、その内奥より蹂躙される。
特殊な力を宿した剣は、炎や闇さえ切り裂いた。



『フゥ…………』

痛みとともに状況を理解し、邪竜は溜息をついた。

全身から山のように剣が生え、まるでハリネズミのような有様だ。
その息は白く、付近には雪が積もりつつある。
マグマのように煮えたぎっていた流血も、今では降る雪を融かす熱すら無いようだった。
傷口から零れた闇もまた、瘴気を放つことなく霧散しようとしている。

巫女は《月光》を解除した。
邪竜が闇を再出現させる可能性を考え、念のために維持しつづけていたものだ。
だが、もうその必要も無いだろう。

邪竜は悟った。どうやら自分は死ぬらしい。
そして零姫をもう一度見た。


『よかろう――――再戦だ』


さきほど収束させた炎だけは、まだ残っていた。

216【邪竜グォルズルグ】:2018/06/08(金) 18:08:28 ID:ME/CueHs
失われていく己の命を感じながら、邪竜は零姫を迎え撃つ!

邪竜の検知能は高度である。
視力は失われ、鬼術によって認識が阻害され、高山病によって齎された酸欠が意識に靄をかけている。
しかし強大な神話存在が殺意を剥き出しにして迫り来るのであれば、それを察知することはまだできる!

零姫の位置はおぼろげにしか掴めないが、土壁の反射を利用したために彼女の軌道は直線的。
ゆえに土壁の方向に炎を撃てば、必ずや零姫に命中するだろう。

最早邪竜の体内には火も闇も残っていない。
だが零姫の反転前に発射準備を始めていた一発の炎だけは、いまだ口内で燃え続けていた。
それは絞りカスになるまで邪竜の生命を奪い取った強力な炎であり、死の概念もまた極度に強化されている!




「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」



最後の咆哮!最後の炎!
それは邪竜の牙や口蓋を焼失させながら、真っ直ぐ零姫目掛けて放たれた!

217レノ:2018/06/08(金) 19:09:32 ID:???
>>210
レノは邪竜へと一直線に跳ぶ零姫に、一瞬無言で微笑み返した。
その微笑みの意味は"Good Luck"。
レノなりに尽くせるだけ力を尽くし、また、名もなき戦士達も同様だろう。持てる全てを零姫に託し、後は純粋に邪竜と零姫、一対一の戦い。
闘いの行方に幸あれ。力を尽くした戦士・僧侶の無事は、自分が保証しよう。

>>212
「サンキューなっ、後はゆっくりしてくれ。地元のヒーローさん達」

いい加減、魔力切れにより土壁を土壁たらしめる"土"がひび割れ、中のエネルギーそのものが露出する。
これ以上、土壁を同規模のまま維持し続けるのは不可能。壁は少しずつ力を失って行く。
しかし、邪竜の力が尽きるその時まで、自らの貯蔵(タンク)がゼロになるその時まで、壁に向かって魔力を送り続ける。

218ウルスラ/ハーミア(0)/零姫:2018/06/09(土) 19:15:50 ID:???
>>216
零姫
「妾の炎を耐えたことに敬意を表してやろう、竜よ!」

空中で黒い炎に転じる。
先ほど発動しかけていた闇色の、漆黒の炎に包まれた鬼へと変じる。

零姫
「臨界・・・・・無間地獄!妾は百鬼の終焉に立つ者ぞ!」

『恐怖』そのものとなり、その身の丈の数十倍と錯覚するほどの強烈な殺気を放ち突撃する。
もはや周囲への配慮はほぼ無い。
その異様な殺気を振りまく姿は直視すれば戦えぬ弱い者はそれだけで死を迎え、
本能的に近づくことを拒否するあまりに吐き気すら感じるだろう。
トカゲと見下していた相手を、かつて己の一族と対等に戦っていた竜であると認め、
愛宕山系最上位種の鬼が必ず持つという奥義の一つ、臨界を発動させたのだ。

『恐怖』と『糜爛・壊死』という劇毒を宿した両の手の爪を、
手の甲を合わせて突き出す形に構え、邪竜の炎を引き裂くように飛びこむ。
邪竜の『死』の概念は同じ闇を源流とする姿で緩和する。
もちろん無効化は出来ないだろうが、炎を突っ切る間だけ持てばいいのだろう。
鬼らしく、相手の喉を毒爪で裂き、その血を啜って失った活力を奪い返す。
闇の太陽は、ただ邪竜へと墜ちる彗星となった。

零姫
「覚えておくがいい邪竜よ、これが『恐怖』じゃ!」

219【邪竜グォルズルグ】:2018/06/09(土) 22:32:58 ID:ME/CueHs
漆黒の炎が、紅蓮の炎を貫いた。


零姫の両毒爪が、邪竜の喉元を切り裂く。


火も闇も底を尽きた邪竜の傷口からは、ただ血だけが迸る。




『……………そうか』




巨体が大きな音を立てて倒れる。


邪竜は全身から夥しい血を流していたが、やがてはそれも止まった。


その目は濁り、白い息を吐くこともない。



最後の言葉が独言なのか、それとも零姫への返答だったのかは、誰にも分からなかった。

220アーチャー:2018/06/09(土) 23:48:58 ID:???
>>219
「……終わったか。
 竜だけでも手に余ると言うのに鬼まで出てくるとは。今回は味方だったのが幸いしたな」

邪竜の最期を見届けると、ふう、と大きく息を吐いた。
戦闘の邪魔にならないようにとかき上げていた髪型が崩れ、すっかり下ろした状態になってしまっている。
尤も、アーチャー自身はそれに気づいていないようだ。

「全員無事――という訳では無いが、これだけの規模の戦闘と踏まえれば、よく生き残ったものだ」

221ニキータ:2018/06/10(日) 20:53:16 ID:???
>>219
「終わったのか?」
「ああくそ、もう限界だ…」
仰向けにぶっ倒れて、空を仰ぐ。

222名もなき戦士:2018/06/10(日) 20:53:34 ID:???
>>217-219
地方領主たちは零姫を見て気絶していたが、
全員勝利したことに笑みを浮かべていた。

223レノ:2018/06/10(日) 23:13:19 ID:???
>>219
自身や巫女、戦士、僧侶たちを守っていた土壁が、
静かに崩れ、元の地面に戻っていく。
レノが魔術の行使をやめた事を意味する。

「う…………」

激しい目眩と脱力感に、いくら気を強く持っていても
レノの意思とは無関係に膝が崩れ落ちる。

「やったのか……」

224ウルスラ/ハーミア(3)/零姫:2018/06/11(月) 20:03:57 ID:???
>>219
ハーミア
「道を違えた旧き友よ、汝の眠りに祝福を。」

大地に突き立てた剣の柄に額を当て、八竜神の流儀で弔いの言葉を投げかける。

ハーミア
「次に生まれる時はディオーネにおいで。
 八竜の仔として生まれたなら私やメイがちゃんと面倒見てあげるから。」

==============================================
ウルスラ
「やれやれ、これで打ち止めだ。倒せてよかったよ。」

かなり無茶をした影響で魔力はすでにほぼ空になり、髪も白くなっている。
鞄の中を探るが、酒は全て使い切ったことを思い出してふぅとため息をつく。

>>220
ウルスラ
「ついこの間までアレも敵だったがな。
 今じゃ義弟の家の居候として色々と雑用をしているよ。」

笑いながらアーチャーの背後から現れ、遠くにある幻影の術を解除する。

ウルスラ
「ああ、一応忠告だけしておくが
 英雄となったからには責任を持つことだ。
 千の民を救うために万の民を救える身を投げ出すなどバカげている。
 お前『も』、どうもそこらへんの自覚が薄いようだから、な?」

横に立つアーチャーの胸に軽く拳を叩きつけ、掌をヒラヒラと振りながら去っていく。

>>221
ウルスラ
「無理をさせたな、狙撃手。
 ・・・だがコレをモデルに対竜狙撃銃を作ろうなどとは考えるなよ?」

ウルスラなりに冗談を言いながら対神狙撃杖を手に取り、紙片へと分解して魔導書へと収納する。

ウルスラ
「何せ私は立射で肩を外した。」

自分の右肩をポンポンと叩いて口元だけで笑ってみせる。

===============================================
零姫
「・・・中々喰いでがあったぞ。竜よ。」

変化を解除し、爪に付着した邪竜の血を舐め失った体力を回復しようとする。

零姫
「が・・・『死』を受け過ぎたか・・・少々足りぬ・・・。」

身体から黒い煙を吹きだし、最初に現れた時の小柄な少女並の体躯へとみるみるうちに縮んでいく。
邪竜の力を利用して本来の姿へと戻っていたが、それが失われたことも影響しているのだろう。

零姫
「やれやれ、またしばらくはこの姿じゃな。」

>>ALL
零姫
「此度は人に負けたのう・・・。」

当たりをぐるりと見まわすと地面を踏み鳴らし、
土で高い足場を作り出す。

零姫
「人の子らよ、貴様らが勝者じゃ。
 勝者は勝者らしくその両足で立ち上がれ、それが礼儀じゃ!」

山の麓まで響きそうな大声で倒れている者や座り込んでいる者に喝を飛ばす。

225ニキータ:2018/06/11(月) 23:40:47 ID:???
>>224
「次は戦車にするさ…二度と撃ちたくない…」
寝返りをうってウルスラから顔をそむける。
が、零姫の大声で寝ころんだまま垂直に飛び上がる。

レーナ「あはは!器用!」
ヴェーラ「もっかいやってもっかい!」
ヴェロニカ「傑作!」
タマラ「見てた?見てた?」

226【邪竜グォルズルグ】:2018/06/12(火) 21:20:30 ID:ME/CueHs
「はい、終わりです。邪竜は完全に滅びました」

邪竜の死体を検分し終わった巫女が言った。
彼女は神剣でその心臓を破壊し、蘇生の阻止まで行っている。

「邪竜が人々に与えていた死の概念もまた消散しています。死に瀕しつつあった周辺の方々の命は、これで救われました」

「また、山神が力を取り戻しているため、汚染された周辺の環境もそれほど時を経ずに復元する見込みです」

「兵士の方々に殉職者が出てしまったことは残念ではありますが、邪竜の脅威度を考慮すれば、この犠牲者数は最小限のものであると考えています」

「――――どのような観点から見ても、これは考え得る限り最上の結果であると言えるでしょう」

巫女は剣を鞘に収めた。

「理想的な勝利を得られることができたのは、間違いなく皆様の尽力の賜物です。
もっと悲惨な結末を迎える可能性も十分にあり、私自身もまた死を覚悟していました。ですが、そうはならなかった。
心から感謝しています――――巫女としてだけでなく、わたし個人としても」

「本当に、ありがとうございました」


降り続いていた雪は、いつのまにか止んでいた。
積雪が下山の障害となることを気にする必要はないようだ。
この時期の山頂の気温は氷点下を下回るはずだが、山は不思議に温かい。


【邪竜グォルズルグ】 ――――――――――――――――→ END

227名無しの魔術師:2018/07/08(日) 02:40:53 ID:ME/CueHs
【試験】ここだけ魔術のある世界 置きレス進行スレ【運用】
jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/7220/1311437263/


>121 名前:名無しの魔術師[] 投稿日:2011/09/09(金) 05:32:44 ID:cULzU2fk
>>>110 >>119
>結果のみを以って言うならば、エミヤの行動の多くは良い結果を出さずに終わってしまった。
>そうなってしまったのは、彼の判断力不足というよりはヒントの少なさが原因と言える。
>手持ちのピースが少なすぎれば、自然と誤った完成図を想像してしまう確率も大きくなる――不運な事に、ここでそれが起きた。
>
>エミヤは『穴』に向かってナイフを投擲するが、『風音』が響くまでに3本も投擲する余裕はなく。
>ゆえに2本目を投げたところで次の行動に移らざるを得なかった。
>『穴』を割るように突き刺さる、2つの刃。
>周囲の肉が裂け、新たな傷口を生む。
>
>『風音』が、迫る。
>エミヤは大百足を守るために手元のナイフを投げる。やはり風はナイフを切り裂けない。ここまでは予想通り。
>だが、実際それは当初の目的をほとんど果たせず、二人に平等に襲いかかった。
>――このような事態を引き起こした原因は、風の性質とナイフの形状にある。
>金属の刃ならともかく、気体の動きである風をナイフで遮る事は出来ない。
>『風』は鉄を破壊できないが、ナイフに直撃しなかった大部分の風は、問題なく標的へ直進する。
>骨組みだけの傘で雨風を防ぐようなもの。傘は壊れずとも、持ち手は濡れてしまう。
>
>二人の肉が裂け、鮮血が周囲に飛び散る。
>大百足は防御に専念していたため、傷はやや浅く部位も腕などに集中しているが、先に受けた肉塊の体当たりのダメージが大きい。
>二人とも、急所は無事であるもののかなりの出血量である。傷も塞がってはいないため、このままでは大量出血によって行動不能に陥る危険性があった。
>
>その上で、敵は更なる追い打ちをかける。
>『穴』が蠢き始めたのだ。
>汚らしい音と共に、『穴』から(正確にはナイフの刺さった隙間から)黄緑色の液体が噴射。
>驚くべき速度と少なからぬ量のそれが、二人に向かって放たれる。
>
>――幾度も修羅場を乗り越えてきたエミヤならば腹部に激しい打撃を受けて、あるいは大量にアルコールを摂取して、盛大にゲロゲロ吐いたことがあったかもしれない。
>もしそうであれば、胃の内容物をすべて失い、なにも出る物が無くなった後に出た、自分の『胃液』を見たことがあるだろう。
>――女郎蜘蛛と懇意にしている大百足ならば、「対外消化」という特殊な消化方法を、知っているかもしれない。
>妖怪ではない一般的なクモ類の多くは、獲物を食らって体内の胃腸で消化するのではなく、獲物に直接『消化液』を注入し、肉をドロドロに溶かしてからそれを啜る。
>
>二人は気付いたかもしれない。液体の正体は、まさにそれ……『胃液』に近い、ある種の『消化液』であるということを。
>
>197 名前:エミヤ[sage] 投稿日:2011/10/19(水) 02:46:00 ID:???
>>>121
>驚愕に顔を歪める間も無く、風に身を裂かれる。
>攻撃に備えてはいたが最低限でしかなく、先に負傷していた大百足に近い損傷を負う事となった。
>バランスを崩しそうになるが、慌ててその場に踏み止まる。
>
>(何やってんだ、俺は)
>
>自身の、呆れ返る程の馬鹿さ加減に思わず笑いそうになる。
>しかしそれも痛みに阻まれて、愉快さと不快さとが混じり合って、不思議と冷静になる事が出来た。
>
>――損傷は激しいが、放っておけば良い。気にしても気にしなくとも嫌でも勝手に塞がる。
>――蠢く穴から噴射された液体の性質、確信は出来ないが予想は出来る。触れてはいけない。
>
>『穴』が蠢くと同時に、無意識に身体は回避に移っていた。
>『肉塊』から見て左方向へと駆け出す事で、結果的に液体……『消化液』の範囲からは外れるだろう。
>もちろん、噴出量があまりに多ければ回避の保証は無い。
>
>「投影、開始」
>
>『肉塊』の動向から目を逸らさず呪文を口にする。
>言葉が紡がれると同時に、エミヤの手中には一対の双剣『干将・莫耶』が収まっていた。
>
>ナイフを用いず敢えて新たに投影を行ったのには理由がある。
>一つは、戦力の補強。もう一つは、強力な武装を投影する事による“影響”の確認である。
>
>干将・莫耶は通常の武装を遥かに上回る名剣だ。
>しかしエミヤにとっては非常に慣れ親しんだ剣でもあり、投影の際に消費する魔力は通常より僅かに増すだけで、負担も同様であった。
>『少女』の魔術(超能力?)の影響下での投影は、如何な事になるのか……

228名無しの魔術師:2018/07/08(日) 02:41:39 ID:ME/CueHs
→再開

229怪異:2018/07/09(月) 00:58:06 ID:???
>>227-228
液体を噴射された大百足は、咄嗟に横に転がり回避を実行した。
或いは路地があればそこに逃げ込んだかもしれない。
しかし体に変化の生じている大百足なら回避しきれない可能性もある。

「ふぅ、どうしたものかね。
 坊やは無事かい!?」

ひとまずエミヤに声を掛け、液体が地面等に触れたらどうなるか観察してみる。

(そういえば、あの干物はどうしているんだ…
あいつは何か知っている素振りをしていたが)

230名無しの魔術師:2018/07/11(水) 14:29:53 ID:ME/CueHs
消化液が『肉塊』の『穴』から迸る。
おびただしい量の噴出ではあったが、二人は横方向に回避することで直撃から免れた。
液体に浸された道、土、石、そして草が、刺激臭のある煙をブスブスと放ちながら急速に溶かされてゆく。
これを人間が浴びれば、衣服もろとも肉を焼かれるはめになるだろう。

エミヤは、干将・莫耶の投影を試みる。
それは問題なく成功したが、やはり余剰の剣が次々と生み出されてゆく。
初めてナイフを投影した時よりも、新たな剣の出現が速い。『肉塊』に接近しているためか、あるいはこの力の影響を受け続けているためか。
個々の投影による魔力消費が少ないため大きな問題ではないが、長く放置すれば魔力を失ってゆくことになるだろう。

新たに現れる干将・莫耶の形はやや歪で、それぞれ大きさや形状がどこかおかしい。
それは徐々にではあるが深刻化しており、おそらくその特性や能力も、本来のものとは異なってゆくことだろう。
ただし、自らの意思で投影した干将と莫耶だけは間違いなく完全なものだ。
次の投影も、最初の一刀だけは上手くいくだろうか? それはわからない。


大百足は、付近に存在する唯一の避難場所であった路地にその身を隠していた。
――――消化液を浴びた地面をつぶさに観察していた彼女は、ある違和感を覚える。
風の刃やナイフ投擲によって『肉塊』を含む全員が少なからぬ出血をしているというのに、地面に血液がほとんど飛び散っていないのだ。

干物と遭遇した場所は離れており、たとえ干物がその場から動いていなかったとしても、その姿を見ることはできない。
切断された下半身は、今も付近に転がっている……だが、その位置は変わっているように思える。
この場所に二人が来たときは、もう少し離れた場所に落ちていたはずだ。ちょうど、消化液が落下した場所に。


『穴』は消化液の噴出を停止している。どうやら無制限に噴射できるものではないらしい。
だが『穴』の奥からは不穏な音が聞こえており、おそらくは第二波を分泌中なのであろう。




   『ビッ』                  『ビッ』


 『ビッ』                『ビッ』



そこへ、『風音』が現れる。
二人にそれぞれ二本ずつ、それは迫っていた。
ただし、大百足に向かう方の風は、路地によって遮られてしまうように思える。

231エミヤ:2018/07/11(水) 22:07:51 ID:???
>>229
「こっちは気にするな! まだ大丈夫だ!」

決して浅くない傷を受けつつも、それを感じさせない動きで肉塊との距離を取る様が見えるだろう。
また、エミヤの周辺には干将と莫耶が幾つも生み出されていくが、彼はそれを消滅させる事をしていない。
歪なそれらを用いて、反撃を仕掛けるつもりなのだろうか。

>>230
(下手に近づくとアレに直撃しかねない、となると接近攻撃は得策じゃない。
 ――なら勝手に出てくるコイツ等が使えるかどうか、試してみるか)

刹那の思案の末、投影した干将と莫耶を肉塊へと一直線に投擲。
間を置かず、続けて干将・莫耶が備える能力を発動させる。
夫婦剣としての特性――干将・莫耶は、どれだけ離れていようと互いを磁石のように引き合わせるというものだ。
今までの戦いでも、エミヤが幾度となく助けられてきた能力の一つである。

順当に能力が発動したのならば、生成される干将と莫耶の群れが、投擲された干将・莫耶へ続くように飛来する事となるだろう。

「ッ!!」

しかし結果を見るよりも先に、大百足と同じく路地へと逃げ込むようにして『風音』からの回避を試みる。

232怪異:2018/07/12(木) 01:04:19 ID:???
>>230-231
「血はどこだ……?それに干物の下半身も」

消化液の観察をしていたら思わぬ疑問が湧いた。
咄嗟に自分の身体を確認し、辺りも確認する。
下半身は消化液に溶かされたのだろうか。

エミヤも路地へと入ってきたようだ。
唯一の避難場所ということであれば、今は同じ路地にいるだろうか?
そうであればエミヤの傷の具合も確認する。
風音は遮蔽物があれば防げるだろうが、厄介な攻撃には変わりない。
遠近の攻撃手段を擁しているあれは一体どうやって生まれたのだろう。

233名無しの魔術師:2018/07/13(金) 08:54:25 ID:ME/CueHs
エミヤは、干将と莫耶を肉塊に投擲する。
その速度は、彼の想定よりもかなり遅いものだった。
地面に転がる干将・莫耶のいくつかが、投擲された両剣を勝手に自らの方へと引き寄せてしまったのだ。
干将・莫耶の持つ性質が、歪んだ形で発現しているらしい。

それでも目標に到達することはでき、『肉塊』にやや浅く突き刺さる。
目論見通り、生成された干将と莫耶たちもまた、『肉塊』に飛来していった。
その速度にはばらつきがあり、本来の剣のように速やかに後を追うものもあれば、緩慢に飛ぶものもある。
しかし、それでも全ての干将と莫耶が『肉塊』に命中した。

それを見届ける前に、エミヤは大百足が隠れる路地に転がり込む。
ちょうどその瞬間に風の刃が迫り来たが、やはり遮られ、二人には届かなかった。


大百足は周囲を観察する。
干物の下半身は、やや離れた場所に転がっている。
上半身同様、血まみれではあったが切断面から流血している様子はない。
二人がこの場所に来た段階で既に傷だらけで、切断面を含む全身の傷口がもぞもぞと蠢いており、治癒(蘇生?)しつつあるようだ。
風の刃や消化液、干将・莫耶の流れ弾を食らった形跡もなかった。
そして今現在、下半身は干物のような乾いた状態ではなく、とても――――みずみずしい。

さらに、彼女はエミヤの負傷を見る。
風の刃による裂傷を全身に受けており、出血が少なくない。ただし重要器官は無事である。
彼女自身は、風の刃と鋭利な骨の攻撃によって右腕が潰されていた。

ただし、『肉塊』もまた明らかにダメージを負っていた。
数多の干将・莫耶で負った傷口から血液が滴り落ち、地面に血溜まりを作っている。
この戦場の、唯一の血溜まりだ。





     『ビッ』
 『ビッ』
        『ビッ』
    『ビッ』





『風音』が聞こえるが、それは先程大百足を狙ったものと全く同じ方向からのものだ。
おそらく同じ軌道を取り、同じように阻まれてしまうだろう。
この風の刃は鋭利ではあるものの打撃力は低く、石壁の同じ場所を連続攻撃したとしても破壊には時間がかかるはずだ。
一見すると意味のない攻撃ではあるが……何らかの策であろうか?

234エミヤ:2018/07/16(月) 03:01:29 ID:???
>>232-233
(“質”に差はあっても能力自体は変わってないみたいだな。
 “壊れた幻想”を使えば、威力や規模に差はあれど魔力の奔流によるダメージは与えられる……か?)

数多の干将・莫耶が命中した事で、追撃の準備は完了している。
“壊れた幻想”を発動させれば、おそらくは『肉塊』を内部から炸裂させる事が出来るだろうが――選択肢の一つに留めておく。

また、大百足がエミヤの負傷具合を観察したのならば、更に気が付く点が一つ。
負傷した部位の傷口が段々と塞がりつつある。それに伴い、出血も治まりつつあるようだ、と。
魔術には『自己再生(リカバリー)』の能力を付与させる物があるが、その類だろうか。

「今の風音、変だな」

ふと、エミヤが口を開く。

「あんた(大百足)を狙ったのと同じ方向からで、路地の壁に阻まれる筈なんだ。
 現に、俺達に届いちゃいない。でも、おそらく四つ全てが同じ軌道で攻撃してる。
 壁を破壊するつもりだって言うなら、さっきの液体を飛ばす手段があるのにだ」

「“路地に居れば風による攻撃は届かない”――そう思わせて路地に俺達を留める事で、何かを仕掛けるつもりかもしれない」

「……加えて言うなら、俺達が流した血が殆ど飛び散ってないのも気になる。
 でも悠長に考えてる時間はなさそうだ。一度出て、奴に接近して仕掛けてみる。回避に専念しつつ、な」

大百足から別の行動提案が無ければ、言い終えた後に路地から飛び出すだろう。
ただし事前に宣言した通り、回避行動に専念出来るよう、攻撃に対する警戒を強めた状態でだ。

235怪異:2018/07/18(水) 09:36:35 ID:???
>>233-234
「今周囲を観察してみて思いついたんだが、あの肉塊は目が良くないか見えないんじゃないかい?
 私たちの動きや魔術に反応して攻撃を繰り返しているが、それを遮る壁は動かないから認識出来ていない。
 だから同じ軌道の攻撃を仕掛けてくる」

おもむろに干物の下半身を指さす。
既にみずみずしくなっていて干物ではなくなっているが

「それに、あれはさっきからいるのに攻撃を受けているように見えない。
 少しずつ、ゆっくりと動けば肉塊には私たちを認識出来ないのかもしれないよ」

場所を移動しているように見えるから、ゆっくりではあるが下半身は動いていると思われる。

「周囲に血がないのは、干物が少しずつ血を吸って回復を図ってる可能性なんてのはどうだい?
 ん?坊やも良く見ると傷が塞がってるように見えるが…まさか干物と同様の存在?」

真顔でそう問い質した。

「っと、話が逸れたね。行動に移すなら、なるべくゆっくり動いてみてくれないかい?
 私はそういう繊細な動きは苦手だから、なるべく目立つように動いてみる。
 もちろん向こうから攻撃が来たら回避に専念するんだよ」

そう言ってエミヤに頷いてから路地から飛び出した。
あえて大きな音を立てながら路地にいるエミヤとは反対側へと走っていく。

236エミヤ:2018/07/19(木) 20:41:14 ID:???
>>235
「……本当に動いてるな。
 なんで血が落ちてないのかと思ったけど、あれの仕業なら合点がいった。
 動いているアレに一切の反応を見せないのはあんたの言う通り、ゆっくり動いてるからかもな。試してみるか」

「ん――いや、まさか。これは体質と言うか魔術と言うか、そんな感じだよ。
 少なくともアレと同じ存在って事は無い。……たぶんな」

大百足の質問にはそのように答えた。

「分かった、よろしく頼む。そっちも気をつけてな」

――話が終わった所で、ゆっくりと歩き出す。
基本的な行動は>>234と変わらないが“ゆっくりとした動作で行う”という点が追加されている。
ただし、攻撃が放たれる等して、素早い行動が求められる場合はその限りでは無い。

237名無しの魔術師:2018/07/21(土) 22:32:40 ID:ME/CueHs
>>234-236
大百足とエミヤは、異なる速度で路地を飛び出した。
それに数秒遅れ、風の刃が壁面に多少の破損を作り出す。
飛んだ軌道は前回と同様のものであり、特段差異は見られなかった。






               『ビッ』
           『ビッ』
                  『ビッ』
              『ビッ』


再び、風の音。
予想が的中したのだろうか、それらは全て大百足に狙いを定めていた。

音は風ばかりではない。
『肉塊』に近づく二人は、その『穴』の奥底から鳴り響く剣呑な音を耳にした。
先程(>>230)同様に『消化液』を分泌しているものと思われるが、その音程が変化している。
『肉塊』の内部で『消化液』を溜めておく器官、いわば『胃袋』が、ほぼ満たされつつあるのだろう。

『穴』には、エミヤが投擲した2本のナイフが突き刺さっている。
それらは『消化液』の噴出を受けて無残に溶け落ちており、最早残骸と言って良い状態だった。
生半可な攻撃では『消化液』を阻止することも『穴』を封鎖することもできないということを、それらは証明していた。

238怪異:2018/07/26(木) 11:10:43 ID:???
>>236-237
「体質…珍しい体質もあるもんだ」

そう呟きながら肉塊を視界の中心に捉えつつ気を引く。
風の音が聞こえた。どうやらこちらに反応したようだ。

(坊やの方はどうだい?)

エミヤの動きを確認しつつ、顔を腕でかばいながら回避行動を試みる。
直撃をしてもそこまでの大きなダメージを受けることはないだろう。

「またあの消化液かい…あれは直撃するとさすがの私でもまずいね!」

エミヤへと注意がいかないよう、手じかに落ちていた小石を肉塊に投げつける。
小石程度だが、投擲速度はそこそこありこちらに注意を引けるだろう。

239エミヤ:2018/07/28(土) 00:09:00 ID:???
>>237-238
(――彼女の予想が当たったみたいだな)

風音の脅威度は下がったと見て、消化液の対応に専念するよう意識を切り替える。

(意識して投影した武装は正常に能力を発揮された。
 余剰で生み出された武装は、能力そのものは変わらなくても性能に差が出る。
 ――“壊れた幻想”ならどうなるか。いや、悠長に考えている暇は無い。彼女が囮になってくれている以上は!)


「奴より先に仕掛ける……! 巻き添えにならないよう離れてくれ!」


大百足へ呼び掛けると同時に手を翳し、肉塊に刺さった干将・莫耶へ“壊れた幻想”を発動させる。

炸裂させる対象は『穴』に近い位置にある計十本の干将・莫耶。その内の一組は最初に“投影”したそれだ。
一つ一つの威力は、全うな人間が受ければ四肢を千切りかねない程だ。
巻き添えを受けた他の干将・莫耶は魔力の奔流を受けて破損し、イメージの瓦解によって消滅するだろう。
既に残骸と成り果てたナイフ程度なら、塵芥も残るまい。無論、想定通りの効果が発揮されればの話だが。

さらに、大百足の投擲に合わせて動く。
せいぜい小石が飛んできた方向と反対に移動するぐらいのものだが、仮に消化液の放出を防げずとも、回避行動は取り易くなるだろう。

240名無しの魔術師:2018/07/29(日) 05:35:32 ID:ME/CueHs
>>238-239
十本の干将・莫耶が己の魔力によって爆裂し、他の干将・莫耶が消える。
自身の内部を発生源とする激しい熱と衝撃に見舞われた『肉塊』は、火傷と損傷の混在するグロテスクな傷口を晒け出けした。
血液と肉片が、その周囲に飛び散った。

そのメカニズムのためだろうか、“壊れた幻想”は、エミヤの予想をほぼ裏切らぬ形で現出していた。威力もまた同様だ。
だが『肉塊』はいまだ原型をとどめており、おぞましく蠢き続けている。
そして肉の異常発達による止血と補填が既に始まっており、生命力の高さが窺えた。
しかし不死身というわけではないらしく、その速度はやや遅い。


――――『穴』の蠕動は止まらない。
投擲された小石に反応したか、『消化液』は大百足のみを狙って噴射された。
回避はかなり難しい―――先程の噴射は同時に二人を襲うものだったが、今回は的を絞っているからだ。
爆発によって創られた『穴』周辺の負傷により流速が衰えていることが、不幸中の幸いと言えるだろう。

さらに、次の行動に移らんとする大百足に対して4つの風が牙を向き、腕を切り裂いた。
現時点で大百足は致命的な負傷こそ被ってはいないものの、出血量が著しい。
たとえ首尾よく『消化液』をかい潜ったとしても、このまま風を喰らい続ければ、失血死の恐れがある。

241怪異:2018/07/29(日) 23:59:09 ID:???
>>239-240
エミヤの声に従い少し離れた大百足が壊れた幻想に巻き込まれることはなかった。
しかし止まらない肉塊の消化液を回避することは出来ず直撃した。
続けざまに風も直撃し、大百足は崩れ去る。幸いなのは急所に攻撃が命中していないことだろう。

「……」

声をあげることもなく、大百足はその場に倒れこんだ。

242エミヤ:2018/07/30(月) 22:13:40 ID:???
>>240-241
(……もしかすると、この現象は“その事象が引き起こす限界を上回る事は出来ない”のか?)

壊れた幻想が齎した結果がほぼ想定通りであった事から、一つの仮定に行き着く。
だが、その是非を考える暇など無く大百足が倒れ伏す様を目撃する事となる。

「おい……っ!!」

思わず駆け寄ろうとして、理性で押し留めた。
『肉塊』が激しく動くモノを標的とするならば、大百足は攻撃対象から外れたとも言える。
無論、早急な処置が必要だろうが――急所には命中していない。その一点を頼りに、エミヤは思考を切り替えた。

(あの干物は、血を回収しているみたいだった。これだけの血が飛び散ったなら――)

あれは再び回収に来るだろう、と踏まえて動く。
まずは、大百足を確実に標的から外す為に走り出す。
彼女からは距離を取るようにして、しかし肉塊からは大きく離れないように、迂回する形で――『風音』と『消化液』を警戒しつつ。

そして走る最中、次の一手の為に投影の準備を整えておく。
このように表現すると仰々しく思えるが、エミヤにとっては脳裏にイメージを持つだけの事だ。

243名無しの魔術師:2018/08/07(火) 10:02:50 ID:ME/CueHs
>>241-242
風の刃は大百足の腕にのみ命中し、重要部位への直撃は免れている。
しかし『消化液』はそうではない。膨大な噴出量により、急所はおろか全身がそれを浴びた。
既に彼女は満身創痍であるため、その被害は大きい。
さらに、傷口から『消化液』が浸透し、表皮のみならず肉の深部までもが激しく焼け爛れた。




     『ビッ』
 『ビッ』
        『ビッ』
    『ビッ』



新たなる風音は、全てエミヤに狙いを定めている。
風の刃は目に見えず速度も高いが、軌道が直線的であるため回避や防御は不可能ではない。

肉塊は向きを変え、『穴』をエミヤに向けている。
『穴』の奥から唸る水音は『消化液』が再び合成され始めたことを示しているが、
その響きから察するに、十分な量の充填にはある程度の時間がかかるようだ。


また、エミヤの想定通り、干物の下半身が倒れ伏したままの状態で動きを始めている。
どのようにしてか周囲の状況を把握しているらしく、肉塊やエミヤが放つ攻撃の巻き添えを避けるように動いていた。

それは静かな移動であり、存在感そのものもまた希薄だ。
先程大百足が意識して探さなければ、それに気づくことはなかっただろう。

戦場には現在、今しがた負傷した大百足の血液と、壊れた幻想によって傷ついた肉塊の血液が滴っている。
どちらに接近するにしても危険であるためか、あるいは肉塊の攻撃対象になることを恐れてか、その動きは慎重だ。

244怪異:2018/08/09(木) 00:07:15 ID:???
>>242-243
「……」
(ああ…情けないね。直撃を受けてこの様かい…それに全身が焼けるように熱い)

意識を失った大百足だが、全身の痛みにより現実へと引き戻された。

(状況はどうなったんだい…)

顔を動かすのも辛い状態の大百足は、かろうじてエミヤが無事な姿を確認した。
どうやら向こうは無事なようだ。

(囮役を続けないとね……姿を晒すかい)

ぱき、と何か弾ける音が響いた。

245エミヤ:2018/08/12(日) 20:14:24 ID:???
>>243-244
(肉塊の意識を、完全に俺へと向け続ければ干物も動くか?
 信じるって言ったからには、そろそろ利になる事をしてくれよ……!)

事前に警戒していた事もあり、風音による攻撃を一つ、二つ――全てを回避した。

「投影――開始」

すかさず投影した武装、干将・莫耶を構え、肉塊の『穴』目掛けて直線的に投擲する。
おそらく、エミヤの意志に関わらず出現するであろう干将・莫耶も、それに続く筈だ。

投擲後は足を止め、出現する干将・莫耶の様子と肉塊の動向、その二点を特に注視し、次の一手に備える事にした。
しかし、何やら弾ける音が響く(>>244)と警戒を解かぬまま、そちらを一瞥するだろう。

246名無しの魔術師:2018/08/20(月) 22:00:04 ID:ME/CueHs
>>244-245
干将・莫耶の投擲には、多大な労苦を強いられた。
投影に伴い、あまりにも多くの複製品が粗製濫造されていたからだ。
手元から溢れた偽造の夫婦剣が、エミヤの足元を脛まで埋め尽くしていた。

しかもそれらの歪んだ能力は、先程(>>233)以上に強く発現する。
彼の両手に現れた正規の干将・莫耶を勝手に己の元へ引き寄せようとした。
紛い物が生み出す不本意な引力と、次から次へと生成される膨大な剣の物理的な煩わしさに、エミヤは戦わなくてはならなかった。

それでも彼は投擲を成功させ、『肉塊』の『穴』に正確に剣を命中させた。
だが、やはりその傷は浅い。複製品の反応も鈍く、追随しはじめたのは全体の4割といったところ。
しかもそのほとんどは、ようやく剣の形を留めている程度の、粗末きわまる代物だった。

『肉塊』の負傷は小さいものの、『穴』の周辺には大量の干将・莫耶が密集していた。
剣としては低質きわまりないものであるが、その個数だけは先程よりも多い。
粗悪品といえど金属の塊であることには変わりなく、『消化液』の噴出に対しては多少の妨害効果が見込めるだろう。

『穴』から響く音から、『消化液』の充填が終わりつつあるのがわかる。
『穴』は依然としてエミヤに向けられており、いつその脅威に曝されてもおかしくはない。
悪質なる濫造の投影を強制された彼は少なからぬ魔力を失っており、その対処は容易なものではないだろう。


大百足の発する音に、『肉塊』が警戒した様子はない。
彼女になんらかの技や策があるのであれば、それを実行する好機と言えた。
逆に干物の下半身は、彼女の挙動にびくりと震えて距離を取った。

そう、先程から干物は、大百足やエミヤに対して有益な行動をまったく取っていない。
ただ己だけを守り、血を集めているだけだ。

よくよく考えてみると、干物が二人と出会わなければ、このような災難に巻き込まれることもなかったわけだ。
果たして、こいつを信じて良いものだろうか?
この化物こそが、諸悪の根源ではないのか?

247怪異:2018/08/23(木) 11:06:11 ID:???
>>245-246
エミヤに向けられていた肉塊の穴は、突如地面を向いていた。
肉塊に視界的な機能があったのなら視界が暗転したことだろう。

―――――

肉塊のことを何か知っているらしい半ミイラがこう言っていた。
(人間の姿が変化(へんげ)によるものなら…………早く元に戻らんと………どう変異変貌するか)
ならば今がその時だろう。いや、状況的に街中で元の姿に戻らざるを得なかったのだ。
変化を解いたのであれば少なくとも力がマイナスの方向に働くことはなくなるはずだ。

―――――

『このまま千切って…潰して…原型も残さないようにしてくれる』

エミヤは見た。そこにいる異形、怪異を
先ほどまで倒れていた着物の女のあばらが裂け、
ずるりと上半身が空へと伸び、建物の屋根ほどの大きさになっている姿を
あばら骨に見えるものはそれぞれが動いており、まるで百もある足のようだ。
そう、彼女は大百足。東方の地で猛威を振るう怪異の一体。
そこには人の頃の姿の名残も少なく、人々からすれば恐怖の対象。討伐する対象だ。

肉塊は後ろから大百足の大きな牙に挟まれ、そのまま地面に押さえつけられていた。
顎の力は凄まじく、振り解くことは難しい。そのまま挟まれ続けていれば二つに引き裂かれるほどだ。
能力などではない、単純な力で押し切ろうとしているのだ。

248エミヤ:2018/08/26(日) 21:46:31 ID:???
>>246-247
(――投影、破棄)

自身の周辺を埋め尽くす干将・莫耶のみ消去を試みる。
おそらく、このまま行けば次は投擲すらままなるまいと判断した。
先程は個数を限定させたが、今回は『穴』に密集した全ての干将・莫耶を炸裂させようとする――が、

「え?」

その変化を見て、僅かに動きを止める。
大百足……彼女の姿が、完全な怪異と変化する瞬間を目撃した。
驚きはある。
戸惑いはある。
しかし、幾度と死線を潜り抜けてきた精神は、あらゆる動揺を吹き飛ばしてみせた。

(予定は変更だ。ここまで派手に彼女が動いてるなら『肉塊』は対応せざるを得ない筈!)

大百足の挙動に反応し、距離を取り始めた干物の隙を付いて接近を試みる。
可能ならば、そのまま全力で掴みかかり、抑え込もうとするだろう。

また、『穴』に密集した干将・莫耶は粗悪品と言えど剣。
命中したのなら、大百足が抑え込んだとて全てが弾き飛ばされる事は無いだろう。
大百足の一手でも『肉塊』が止まる気配が無ければ、無理やりにでも“壊れた幻想”を発動させる準備だけはしておく。

249名無しの魔術師:2018/09/03(月) 11:08:54 ID:L5IZHGrY
二人によって、肉塊は地面に押さえつけられた。
大百足は変身を解いてもなお、自身の力を完全には制御できないことに気づいたが、それ以上にそのパワーとスピードは圧倒的だった。
それに対抗する手段もまた、エミヤによって封じられてしまった。

肉塊を八つ裂きにせんと牙に力を込める大百足であったが、意外に強靭で即座に切断することは叶わなかった。
どうやら身体内部にある骨格かなにかを増強しているらしく、牙がそれほど深く刺さらないのだ。
だが肉塊も、おぞましく蠢くばかりで反撃することができずにいる。
このまま力を込め続けるか、あるいは更なる追撃を加えれば、肉塊にとどめを刺すことができるだろう。

いや……どうやらその必要すら無いようだ。
常に蠢き続けていた肉塊の動きが突然止まり、膨張していた全身がみるみるうちに縮小し始めたのだ。
やがて、『肉塊』としか呼ぶことができなかったその姿は、ボロ雑巾のようではあるもののかろうじて人の形を留めたものに変化した。

判別しにくいが、それは間違いなく一人の人間である。
そして驚くべきことに、まだ息があった。
肉に埋もれていた眼は閉じられており、意識はないようだ。
既に抵抗はなく、静かに横たわっている。


ばさっ、ばさっ、ばさっ……と、何か大きな生き物が羽ばたく音が、後方から聞こえてくる。

250エミヤ:2018/09/08(土) 22:36:47 ID:???
>>249
(……人間になった? いや、これは“戻った”かのような)

「俺の声が聞こえるか? 聞こえるなら、コイツに追撃を仕掛けるのは止めて欲しい」

変貌した大百足へ静かに呼び掛けると、まず自身の容態を確認する。
肉塊の暴走が治まった様子を見てナイフを一つ投影するが、先ほどと同じ現象は起こるだろうか?
それを確認した後、聞こえてきた羽音に気が付いてそちらを振り向くだろう。

251怪異:2018/09/09(日) 15:18:52 ID:???
>>249-250
『人だと……何かに憑かれていたのか?』

収縮したことにより、大百足の牙から抜け落ちたそれを見下ろす。
エミヤからの制止がなければそのまま追撃をしていたことだろう。
自身の身体はどうだろうか。本来の力を出せるようになったか確認する。

干物の下半身はどこだろうか。まだ逃げ回っているのだろうか?
そう考えた矢先、羽音が聞こえてきた。

252名無しの魔術師:2018/09/17(月) 05:41:30 ID:L5IZHGrY
>>250-251

「終わったようだな」

羽音の主は――やはりと言うべきか、それは干物の上半身だった。
背中から生えたコウモリのような翼が、彼を浮遊させている。

「君達には感謝している……生き血を恵んでくれただけでなく、危険を承知でソレと戦ってくれたのだからな。
お蔭で私は一命を取り留め、傷を修復する猶予と流血を得た」

いつの間にか立ち上がっていた下半身が滑るように近づき、浮かぶ上半身がそれに乗る。
二、三回ほど身をよじらせると、輪切りの断面がぴたりと癒着し、直立する人型の形状を取り戻した。
黒い翼だけが異彩を放っていたが、それもまた霧のように消え、彼体に吸収されてゆく。

「そして何より、その娘を生かしたままにしておいてくれた。それが特に……素晴らしい」

肉塊だったモノを見つめながら、干物が近づいてくる。
その足取りはやはり滑るように速やかで、かつ力強い。
その眼光と動きは、飢えた肉食獣を連想させるものだった。
どんな目的があるにせよ、それは善意に基づいたものではないだろう。

二人は、自身のコントロールを完全に取り戻していることに気づく。
エミヤの手元にあるものは一本の完璧なナイフであり、確かに自らの意志と能力で投影したものだ。
大百足の異常な肉体変容は収まっており、人間体に戻ることも本来の姿で行動することもできる。


「う……」

元・肉塊が呻く。

253エミヤ:2018/09/22(土) 01:21:11 ID:???
>>251-252
(――完全にコントロールが戻ったみたいだな。
 肉体の損傷具合は、運動能力が落ちる程じゃない。
 魔力の消耗具合は、大掛かりな宝具でも無ければ投影に支障は無い。あとは――)

どうも、自分に人を見る目は無いらしい。
大百足の忠告が正しかったようだと自身を省みながら、回復を終えたらしき干物と対峙する。

「感謝してるんなら、アンタの名前や目的を教えてくれないか。
 こっちは生き血を分け与えたんだ、それぐらいは良いだろう?」

そのように声を掛けつつ、呻く元・肉塊の娘を僅かに見やる。
散々攻撃を仕掛けたが、肉塊の時に受けた傷はそのまま残っているのだろうか?

254怪異:2018/10/05(金) 19:10:21 ID:???
>>252-253
『干物……いや、既に干物ではなくなったか』

一部始終を見ていた?のなら先ほどの女がこの大百足ということは承知していることだろう。
大百足が少年と肉塊だったものをとぐろを巻くように包む。

『これは我らが倒した。つまり所有権はこちらにある。違うか?
 これに何かをしたいならば、我々の許可を取る必要がある』

そう問い掛ける。

255名無しの魔術師:2018/10/17(水) 10:25:44 ID:NZLqx31E
>>253-254
エミヤは、元肉塊に近づかんとする干物と対峙した。
進路を塞いだ彼を、男は面白そうに見据える。

「目的? フフ……おそらく君の想像している通りだろう。
私自身の手で、そいつの息の根を止める。それが私の目的だ。

覚えているか? 私は血液の大半を失い、肉体を両断されたのだ。
私は生き延びるために、地を這いつくばり、道行く者に血をねだることを強いられた。卑しい物乞いのようにな」

「彼女を殺す以外に、この屈辱を晴らす方法はない。
これは矜持の問題だ。たとえ命の恩人と言えど、譲ることはできない」

大百足の恐ろしい姿を見ても、男が動じることは無い。
彼女の推測通り、先程の戦闘の経過を何らかの形で把握していたようだ。

「小娘を倒したことで君達がその所有権を得たというのであれば、
君達を倒せば君達の所有権を得られるということになるな」

元肉塊の傷はいくらか塞がっているが、それは肉塊であった時の強引な骨肉の修復によるものだ。
既に失った出血量も多い。

「できれば私も君達に手をかけたくはない。お礼もまだしていないし、な。
だが、邪魔をするなら容赦はしない……」

256エミヤ:2018/10/25(木) 20:45:46 ID:???
>>254-255
「……」

あくまで予想だが、干物だった彼は吸血鬼、あるいはそれに相当する存在なのだろう。
もちろん魔術や超能力による超回復の可能性もあるが、様子からして人外である方がずっと有り得る。

となれば力を解放した大百足はまだしも、自身が挑むのは非常に危険を伴う。
人間と人外の地力差もあるが、何より消耗した状態である。
安全を考慮すれば素直に肉塊(だった人間)を差し出すのが、おそらくは正しいのだろうが……

「そうだな。つまり、俺達がアンタを倒せば、アンタの所有権を得るって事になる。
 矜持なんて関係無い。所有者の意向に従うのが、所有物の在り方だ。――それで良いな?」

一度の深呼吸の後、覚悟を決めたように、干物へ向けて言い放った。

257怪異:2018/10/29(月) 18:45:14 ID:???
>>255-256
『話を聞き出すにも、一度大人しくさせるしかないか』

エミヤが宣言し、大百足も干物を見据える。

『坊や、私の上に乗っておけ。頑丈そうではあるが、奴とは相性が悪いだろう。
 あいつは血を吸って回復するようだし、長引けば人間のあんたが先にやられるよ。
 傷を追えば奴がその分有利になるはずだ』

元肉塊をちらと見る。

(状況が分からん…干物との関係性が見えぬ。
そもそも奴はどうして元肉塊と争っていた?
元肉塊も何者なのだ)


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