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強奪
7
:
舞方雅人
◆8Yv6k4sIFg
:2006/07/01(土) 12:27:24
「いや・・・いやぁっ! 戻してぇ! 私の躰を元に戻してぇ!」
躰をよじって暴れだしたかったが、首から下はまったく感じることができない。
「なに、そんなに怖がることは無い。プログラムをインストールすれば、君はすぐにヒューマンドールとして何の疑問も抱かなくなるのだよ」
「そんなのいやぁっ!」
沙由里は泣き出したかったが、上手く涙すら出すことができなかった。
「大丈夫。では始めるとしようか」
教授は沙由里に接続されたコードを愛しそうになでると、スタッフに対してうなずいた。
途端に沙由里の脳にさまざまな文字や数字が流れ込み始める。
「いやぁっ!」
沙由里は半狂乱になってわめくが、流入は止まりはしない。
やがて沙由里はあることに気が付いた。
自分が数字や文字の羅列を理解し始めているのである。
「プログラムインストール中・・・基本人格を上書きしています・・・」
沙由里はそうつぶやいて驚いた。
人格を上書き?
私が私でなくなるというの?
そんな・・・そんなのはいやよ・・・
「意識改変、ならびに人格改変作業中。進行度25パーセント」
つぶやきを止めることができない。
それどころかプログラムの流入に恐怖を感じることがなくなってきていることに気が付いた。
私・・・変わってしまうんだ・・・
私は・・・ヒューマンドールになってしまうんだわ・・・
だが、沙由里はそれが別に不思議では無いような気がした。
ヒューマンドールになるのではない。
私は最初からヒューマンドールだったはずではなかっただろうか。
「意識改変、ならびに人格改変作業中。進行度50パーセント。基本動作プログラムインストール開始」
沙由里の躰に変化が生じた。
今までどうしても感じることができなかった首から下が、まるで神経が繋がったように感じられるのだ。
手足からのデータが流れ込み始める。
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