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強奪
11
:
舞方雅人
◆8Yv6k4sIFg
:2006/07/01(土) 12:29:34
牧原沙由里が会社へ来なくなって数日が経っていた。
彼女の友人である池上由美香が言うには、仕事を休むようになる前日にお酒を飲んだらしいが、そのときは特に何も言っていなかったらしい。
心配した蔵石は電話を掛けてみたが、何度掛けても沙由里が出ることは無かった。
「沙由里・・・どうしてしまったんだ・・・」
蔵石は何度か沙由里のアパートに行ってみたが、玄関には鍵が掛かっていて誰もいないようだった。
「沙由里・・・」
警察にも捜索願は出していたが、身代金が請求されるわけでもないため、真剣に捜査をしてくれるわけではない。
以前ストーカーをしていた端本の家ももちろん警察が訪れたが、沙由里が居る気配は無かったという。
蔵石は途方に暮れる状態だった。
今日も気分が乗らない状態で蔵石は仕事を続ける。
外回りの仕事をしていても沙由里のことが案じられる。
「うん?」
ポケットの中で振動がする。
「ああ、メールか」
蔵石は携帯を取り出し、メールを確認した。
そこには驚いたことに沙由里からのメールが受信されていたのだ。
「さ、沙由里」
すぐさまメールを開いて内容を確認する。
『こんにちは蔵石さん。実はちょっとした用事で家を空けておりました。それですみませんが相談したいことがありますので今晩8時に私の家へ来ていただけないでしょうか? 詳しいお話はその時にいたします』
沙由里からのメールにはそう記されていた。
「8時か、わかった」
蔵石はそう一人うなずくとホッとした表情を浮かべて仕事に戻っていった。
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