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緊急投下用スレ

1謎のミーディアム:2006/10/21(土) 22:08:45 ID:yTGz5vT.
此処はニュー速VIPがサーバー落ちになった場合や
スレが立ってない場合などに使用するスレです
作品投下のルールは本スレと変わりありません

101謎のミーディアム:2007/02/06(火) 00:49:08 ID:fMoEGyCo
そのための緊急スレでしょう?

10297:2007/02/06(火) 01:02:00 ID:k4jtxHow
>>99
転載ありがとー!

>>100
101の言うとおりだ
いけいけゴーゴー!

103謎のミーディアム:2007/02/11(日) 01:22:04 ID:BK8CiNTA
銀太郎
むかしむかし、あるところに女の子なのに銀太郎という名前の女の子がいました。
でも、そのひとは話に関係ないのです。主人公は水銀燈、銀ちゃんです。
15、16の頃にはもうそれはそれは人を使うのがうまくなっていたんだと。
銀「ねぇーベジータぁ。何か歌うたってぇ。お・ね・が・い。」
べ「ふぉぉぉぉおぉ、よーろこんで歌わさせていただきます!!
  《ヤークルートかーついで
   ぎーんたろおー
   おとーこをあーやつり
   かーいしゃをゆすr》
  ぶほぉ!!!」
銀「余計なことは言わないの!!狼さぁん、たべっちゃっていいわよ」
狼(梅岡)「うほ、いい男。いっただっきまぁーす!!!…ほら、恥ずかしがらないで狼さんにみせt…」
銀「あっちでやってねぇ」
狼(梅)「わかりました。じゃあ、地下室行こうか。お馬さん(三角木馬)や、蛇さん(鞭)、(以下自主規制)も
    まってるよ!!!!!せんせい、じゃない狼さんワクワクしちゃうな!!」
べ「こ、ここからが本当のじごぅぐぎゃぁぁぁぁぁああああ!!!!!!!!!」
とても人を使うのが上手でした。

そのうわさを聞きつけた人買いが、都で木綿問屋をやらないかと持ちかけてきました。
ラ「もうかりますよ。いい男がたっぷり寄ってきますよ。私は非日常を渡り歩くものです。あなたの夢をかなえてあげたい」
銀ちゃんは馬鹿じゃないのですぐに人買いだということを見抜きましたが、都会へ行くのは面白そうだと思ってついていくことにしました。
銀「いいわぁ。(ふふ、骨の髄の乳酸菌までしゃぶってやるわぁ)」
馬鹿なウサギは上玉をつかんだ気にすっかりさせられました。一方、銀ちゃんは…
銀(女の子を斡旋してる現場写真をとってゆすってあげるわぁ)

―とあるうすぐらい街角
ラ「今日のは上玉ですよ」
組長α「へへ、楽しみだな」
パシャっ
ラ「な、なんですか?」
銀「うさぎさぁん、証拠写真取らしてもらったわよぉ。これであなたは生きた財布♪」
ラ「クッ、まぁいいでしょう。組長さん、あの子もいかがですか?」
組長「いい女だな。よし、かった。」
ずん、ずん、ずん。男たちは詰め寄ってきます。しかし、銀ちゃんはあわてず騒がず、
銀「狼さん、熊さんでておーいでぇ♪」
狼(梅)「はーい、何の用かな?」
べ「オレは熊かよ。銀嬢、オレを解放してくれぇぇぇぇ!!!」
銀「あなたたち、あそこの兎と猿、好きにしていいわよぉ。あっ、もちろんお金はらってもらうけどぉ」
べ「おれはそんなのしたくなぁい!!」
銀「私がこんなに頼んでるのにぃ?」うるうる
べ「やいうさぎぃ、貴様に本当の地獄を見せてやる!!」
銀(単純ねぇ)
ラ「いやぁぁぁぁ、はなしてぇぇぇぇえぇ」
組「なんでおれまでぇっぇぇぇぇぇ」
梅「ああー兎さんとべジータ最高だよぉぉぉぉぉぉぉ」
こうして、銀ちゃんはかなりの財産を掠め取り都の裏のボスへと上り詰めていきました。

104謎のミーディアム:2007/02/11(日) 01:24:22 ID:BK8CiNTA
>>103アク禁なのでこちらに投下させてもらいました。自分でも話がつながらない…
金太郎って侍になるだけの話だったんですね。鬼退治は大人になってからだったとは…
駄文ですが続く予定 
ブーイングがひどけりゃやめますけど

105謎のミーディアム:2007/02/12(月) 00:57:55 ID:iX9UEJuA
真「ジュン。紅茶を買ってきて頂戴」
ジ「やだよ、めんどくさい。自分で行け」
真「あなた、この私に危険な夜道を一人で歩けというの?」
ジ「はぁ? お前が………まぁそれもそうか」
真「なによ」
ジ「いや、真紅ほどの戦闘力と無乳なら大丈夫かなとおもっつ!」
言い終わらない内に拳が眼鏡を粉々にして顔面にのめり込む。
前が見えねぇ。
真「もういいわ」
ジ「話は最後まで聞けよ」
真「あんな話をしておいて挽回できるとは思えないけど……まぁいいわ。話してみなさい」
ジ「大丈夫かと思ったけど、やっぱ真紅可愛いしさ」
真「…………///」
ジ「だからやっぱ危険かなと……無乳好きな奴もぎゃん!」
今度は金色の殺人ウィップが目にクリティカルヒット。回復した視界を奪い去っていった。
真「それで終わり? なら早く紅茶を買ってきて」
ジ「うん。当初はこれで終わらすつもりだったんだけど、急遽決め手となる理由が見つかった」
真「それを話して満足するなら勝手にして頂戴。その代わり紅茶を急ぐのよ」
ジ「わかったよ」
真「……」
ジ「お前みたいな狂暴無乳女を夜道に野放しにするのはとても危険だからな」
真「……」
ジ「ノーリアクション? なんか言ってくれないとちょっと寂しいかもしれうっぷす!」
特別おもたい打撃がレバーに突き刺さる。息ができねぇ。

そのまま意識を失って気付けば朝。
ジュンの体はぼろぼろだった。
おわり

106謎のミーディアム:2007/02/12(月) 01:00:10 ID:iX9UEJuA
落ちてたので。
本当になんでもないものなので早いうち投下したかったんで

107謎のミーディアム:2007/02/12(月) 02:54:06 ID:AMXVbt3c
ああもういつも通り書き込もうとしたらアク禁だよw


黒歴史
ttp://w3.abcoroti.com/~hina/files/2007021202273106.jpg




どなたかいつも通り転載をお願いしますorz

108謎のミーディアム:2007/02/12(月) 11:12:42 ID:SXZgMghU
>>107
すばらしい黒歴史ww

109謎のミーディアム:2007/02/15(木) 22:57:02 ID:zQLU5ZbU
現在スマイル一番イイ♀を投下中でしたがさるさんくらいました

後にまた投下します

110謎のミーディアム:2007/02/17(土) 03:34:41 ID:2ZB8gDMk
本スレ>>175を投下した後、さるさんにひっかかりました。
すみません。
四時頃に投下を再開します。あと少しなんですが……
いい加減慣れないと。

111謎のミーディアム:2007/02/22(木) 20:56:53 ID:tF/Qry2A
本スレで【てのひら】を投下しようとした者ですが、
投下しようとしたら落ちてました……

新スレを立てるのはちょっと様子見ということで、こちらに投下させて頂きます。
すみません。

ここに投下するのも久しぶりです……

112謎のミーディアム:2007/02/22(木) 20:57:52 ID:tF/Qry2A
本スレ>>17

 盆に湯のみを二つ載せて、彼女の居る間へと戻る。

「……」

 彼女は僕の予想とは異なり、まだその甘味に舌鼓を打っている最中だった。てっきり、がっつ
いた挙句、椀はすっかり空になっているものだと思っていたのに。
 左手を椀に添え、慌てることなく、ゆっくりとくずきりをその小さな口へ運ぶ。先程大口を開
いて騒いでいたのと、果たしてこれは同一なのだろうか?

 ひとつひとつ味を確かめるかのように、噛み締めている。余程美味しいのか、ちょっと頬が紅
くなって、顔が綻んでいるのはご愛嬌だが――その仕草は何処と無く気品溢れ、優雅な様である
ように感じた。

 何処か、良い所のお嬢さんなのかもしれない――そう心に浮かべながら、僕は彼女に湯のみを
差し出した。

「お気に召した?」
「!」

 いきなり話しかけた訳でも無かったのだが、向こうにとっては不意をつかれたも同じなようで。

「――っ、ゴホッ、ゴホッ!」

 ちょっと喉が詰まったようである。

「――落ち着け。大丈夫か?」

113謎のミーディアム:2007/02/22(木) 20:58:27 ID:tF/Qry2A
>>113


 ほら、と。改めて差し出した湯のみを僕から奪い取り、それを喉に通した。

「んぐ、――はぁ。い、いきなり話しかけるんじゃねーですよ! 死んだらどうするつもりです
か!」

 まあ、洒落にしても面白くないことは確かだった。

「済まないね――と。本当に先刻から謝ってばかりだ、僕は。とりあえず改めて訊いておくけど、
どうだった、それ」

 茶を飲んで少しばかり落ち着いたらしい彼女が、口を開く。

「た、確かに……巷の評判は伊達じゃねえようです。その――美味しかったですよ」

 つい、と。そっぽを向きながらの御返答。矢張りと言うか、素直ではないが――これが彼女な
りの喜びの表現であろうか、とも思う。
 ふむ。普段はつんつんとしていながら――こういった性質のひとは案外と、思わぬところでで
れでれとした感じになるのかもしれないな。成る程。つんつん、でれでれ――つんでれ。何を考
えてるのか、僕は。馬鹿か。

「まあ、僕が作った訳じゃないんだが」
「おめーを褒めてるんじゃねえです!」
「はいはい」

114謎のミーディアム:2007/02/22(木) 20:58:52 ID:tF/Qry2A
>>113


 下らぬ、戯れ合いだ。しかし、どうしたものだろう。港を歩いていたときの、鬱々とした気分
は何処か遠くへ行ってしまって。晴れやかとまではいかないまでも、普段よりは気分が和んでい
るような気がしないでもない。

 不思議だった。僕は割と、ひととの会話を長く続けようとは思わない"たち"で――や、今だっ
て話ひとつは、ぶつ切りではあるが――いつもなら、なるべく他のひとには関わりたくないとす
るのが常であるのに。これは一体、どうしたことか。

「しかし、あんなところで何をしてたんだ?」
「……おめーこそ、何してたです。周りも良く見ないで」

 それはお互い様だが、敢えて口にしない。

「いや、それは本当に悪かったよ――ええと、僕は散歩。特に目的もなく、ぶらぶらと」
「いい若い男が、何もせんことに昼間から出歩くもんじゃねえですよ」
「……」

 いや、全く以てその通り。それについて、僕は返す言を持たない。
 そうやって押し黙ってしまうと、またしても彼女は少し焦った様相だった。

「あ、あ……や、外での気晴らしも、たまにはいいもんです! それに――私も、悪かったです。
ちょっと考え事してて、ぼんやりしてたですから」
「考え事?」

115謎のミーディアム:2007/02/22(木) 20:59:12 ID:tF/Qry2A
>>114


「……」

 今度は、彼女の方が黙る。深刻な悩みでも、抱えているのであろうか。
 僕はそんな彼女に対して、何を返そうかと少し逡巡していた。――そして、ここでまた、僕の
中の"考え虫"が、悪い癖を起こす。

『彼女は逢ったばかりで、お互いよく知りもしない。彼女が悩みを抱えていたとして、それに付
き合う義理もあるまい――』

 ――五月蝿い。内から聴こえる声が、酷く五月蝿い。
 そうやってまた、思うのだ。こうやって考えてしまうこと自体は、疑いようもなく僕自身がし
ていることで――そう、思ったことが、全て僕の中で真となる。外には出さずとも。それは真と
なる。

「――……ぶ、です? ちょっと?」
「……?」
「大丈夫か、って訊いてるです、……顔色、良くないですよ?」

 ――またか。一瞬のことであったろうが、――僕は己の中に、"落ち込んでいた"。

「大丈夫だ。これでは矢張り、うすぼんやりと呼ばれても仕方ないな」

 言いながら、何時の間にか滲み出ていた額の油汗を拭う。

「これ、――使うです」

116謎のミーディアム:2007/02/22(木) 20:59:38 ID:tF/Qry2A
>>115


 薄い緑色をしたハンカチーフを、差し出された。

「……ありがとう」

 何とみっともなく、情けないことだろう。しかし今は、眼の前に居る彼女の気遣いが、ありが
たかった。

「……うすぼんやりは、お互い様です。しかも大体、ぼんやりとしてる癖に、気分を休めてはく
れない――多分それも、同じなんですね。おめーも、私も」

 そう言いながら、彼女は少し眼にかなしみの色をのせながら、微笑んだのだ。

 この時の彼女の表情を、きっと忘れられないだろう、と思った。

 そうして、ここから遠くないこの先。僕はまた、彼女のこの、かなしみをたたえた笑みを、見
ることになることを。この時の僕はまだ、知る由も無い――

117謎のミーディアム:2007/02/22(木) 21:00:28 ID:tF/Qry2A
>>116


――――――

R.― 日記


『……――

 不治、ということ。なおらず、と。そのまま読んで、矢張り意味は変わらない。
 私は今日、改めてそれを思い知らされた。うすぼんやりと港を歩いていた、彼の話を聞くこと
によって。もっとも、うすぼんやりはお互い様だったけれども、……

 ……

 彼も多分、かなしみを背負っているのか。
 確かに潜む、それ。
 逃れられない、それ。
 私にも、遠くない先、それがやってくるのかと思うと、……

 ――……』



『快復まで』 一部、書き綴られていた内容が、黒く塗り潰されていた。

118謎のミーディアム:2007/02/22(木) 21:01:03 ID:tF/Qry2A

以上、【てのひら】L/R 第二回投下終了です。
読んで下さった方々、ありがとうございました。
wikiに項目を作ってくださった方も、ありがとうございます。
あらすじ入れ忘れちゃってごめんなさいorz

とある港で出会った二人の、明治の物語。
ネタ出しスレ>>13が元の設定となっております。

それではまた、次の投下でお逢いしましょう。

119謎のミーディアム:2007/02/22(木) 21:10:31 ID:uydcwaG.
>>118
古めかしい台詞、描写が何ともいえない雰囲気を醸し出してますね。
偶然出会った、活発に見えながらもどこか暗い影を背負った少女、偶然言葉だけを交わした病床に伏せる少女。
二つの偶然が交わるのはそう遠く気がするのですが…どうなのでしょう。

続き楽しみに待ってます!

120謎のミーディアム:2007/02/22(木) 21:42:30 ID:9IPz3wxM
偶然が重なってなにが起きるのか・・・続きwktk

121謎のミーディアム:2007/02/22(木) 22:44:03 ID:.RuLmsWQ
>>118
最近、ちょっとスレを追う時間が無かったので、投下が始まっていたことを知りませんでした。
Wikiの方で、最初から読ませてもらいましたよ。

まず文章に魅せられる。
時代設定に合わせて、明治文学を意識してるんだなぁ……と思いましたね。
L/R、各回で縦割りに繋ぐのは面白い構成です。(これは前作からか)
表現も特徴的で、味わい深い――が、もう少し明治の生活臭を濃く表現してもいいかな、と。
平成の世に明治の生活臭とか求めるのは酷だと承知の上で、無い物ねだりをば。

>>116で、なんとなく不吉な気配が漂いましたが、果たして――?
またWikiで読むことになると思いますが、第三回の投下も心待ちにしておりまする。

122謎のミーディアム:2007/02/22(木) 22:58:44 ID:IInnriuQ
ノスタルジックな雰囲気ウマーヽ(´ー`)ノ
なんだか復刻堂のフルーツオレとかがやたら飲みたくなって来た

123謎のミーディアム:2007/02/23(金) 10:38:34 ID:cNu3vb8.
本スレにも投下しましたが、幾分爆撃が激しいために一応こちらにも投下させていただきます。
暫くの間、お付き合い頂きたく存じます。

〜あらすじ〜
選抜試験まであと少し。
そんな中、僕は彼女の過去に大きく踏み込むことになった。

僕は、彼女を守れるのだろうか..

Barrister-Mercury-
Phase6-Final

124謎のミーディアム:2007/02/23(金) 10:39:49 ID:kspSTip.
My life was made of lie.
I have to apologize her.
Really sorry.

そのメモが見つかったのは選抜が終わった後。
なぜ英語なのかはわからない。

一つだけ言えるのは
‐‐それは過去のことだということ。

‐‐‐‐お気付きですかな?
厭でも気付くよ。
J「答えは出たぞ」
「ならばすべきことはもう存じておられますね?」
J「1つ聞きたい」
「先程の英文ですかな?」
J「あぁ」
「貴方の根底にある潜在意識と彼女の意識、リンクされているのは先日の通りでございます。しかしながらその意識が何かしらの原因で不安定になったり‐もしくは消えかかる時‐潜在意識はシグナルを発するようになる・・・これが私の見解でございます」
J「・・・何が言いたい」
嫌な空気だ。どんよりと湿った、梅雨時のような・・・
J「・・・こっちからは伝えられないのか?」
「貴方次第でございます」
僕次第・・彼女がもし目の前から姿を消したら・・

‐‐考えたこともない

いや違う
考えられないんだ

125謎のミーディアム:2007/02/23(金) 10:40:48 ID:nxBQV3Ys
If you need some help...
You can call it.
Don't worry.
I'm here.

If you gave up your life...
Make it your days.
The only one life you have.

Don't throw it away.
Just make it.
I'm with you...

‐‐届いてくれ
「・・・後は、ご自身にお任せしましょう」
あの道化が去った瞬間、僕は目を覚ました。
何の変哲もない日常がまた、始まろうとしている。

J「朝か・・・」
そう言えば・・・昨日は大変だった。
薔薇水晶が調子に乗って馬鹿みたいに飲んでくれるから最後はベロンベロンに酔っぱらって絡みまくってきた。
酒癖はあまりいい方ではないだろう。泣く、叫ぶ、下ネタ連発、しまいには自主規制かけなければならない程に・・・
あいつに酒を飲まさないことが飲み会での護身に繋るという図式が頭の中に完成していた。
結局、真紅さんに連れられて帰って行ったがその後の真紅さんの苦労は秤しれないものがある。
まぁ、奨めた本人の自業自得と言わざるを得ないと言えばそうなるが・・・

今日が日曜日で本当によかった。
格言う自分も薔薇水晶の勢いに押されて結構飲んでしまったから。
少々頭痛がするが、記憶は確かだ。夢の中のことも覚えている。

‐‐意識が、消えかかっている。

J「そんなことは・・無いよな」
唯の幻想に過ぎない。
僕にはそういい聞かせるしかなかった。
弱き心に、力はない。

126謎のミーディアム:2007/02/23(金) 10:42:38 ID:HnNnl1y2
悪くない方向へと願うことが、精一杯。
選抜試験も、これで乗り切ろうとする。
我ながら情けない。

薔「・・・そんなんじゃ、駄目」

・・・ねぇ君、いつからそこにいるの?
その前にどうやって入ったの?

薔「・・・JUNは不用心。玄関の鍵開けっぱ」
どうやら僕はとんでもないことをやらかしていたようだ。
J「ならインターf」
薔「鳴らした」
J「普通あきらめない?」
薔「・・・そこがばらしぃくをりてぃ(ぶぃ」
J「・・・勘弁して?」
薔「・・・無理ぽ」
不法侵入で訴えてやろうか?
その前にヨ〇様にでも守ってもらったほうがいいのか?
後日真剣に検討しよう。
薔「・・・4様で」
J「なら費用はそっち持ちな」
薔「・・・やだ」
J「知ってる。その前に着替えるから出てって?」
薔「・・・やd」
J「断る」
薔「・・・クスン」

薔薇水晶を部屋から追い出し、着替を済ませ彼女と共にリビングへ降りる。彼女は手ぶらで来たようだ。時計に目をやると時刻はなんと午前11時。
やってしまったと思いながら、薔薇水晶に要件を聞く。
J「・・・で、何しにきたわけ?」
薔「・・・暇だったから遊びに来た」
J「意味がわかんないんだけど?」
薔「・・・お腹空いた」
J「本当の目的はそれか」
薔「・・・当たり」
J「当たりじゃねーよ」
薔「・・・食べに行こ?」
J「水銀燈は?」
薔「お姉ちゃんなら払った?」
J「・・・」
なんとも嫌な質問だ。そんなもん決まってる。それをわかってて聞いてくるあたり、こないだ図書館のカウンターにいた策士もどきの図書委員よりも数百枚上手だった。

127謎のミーディアム:2007/02/23(金) 10:43:39 ID:qiDB.K9Y
薔「払 っ た ?」
J「わからん」
こう返しておくのが最善であると僕の脳味噌は見解を示す。
薔「ふ〜ん。で、私は払わないと?」
J「そこは譲れない」
薔「なら仕方ない。JUNを金欠の女の子から金巻き上げる男っていう分類に入れるよ。クラス中にばら蒔いてやるぅ。むきぃ〜」
J「ちょwwおまww」
むきぃ〜じゃないよ全く。
J「・・・わかったよ」
薔「流石JUN」
結局朝っぱら‐といっても昼だが‐からピザを食うハメになった僕。
払わされた金額なんと4500円。
どこをどう間違え、何をどうすればこんな馬鹿みたいな金額になるのだろう?
ピザ1枚が来るとばかり思っていた僕の考えが如何に浅はかであったが露呈する結果になってしまった。
薔「ごちそうさま♪ありがとうJUN」
J「・・・」
僕は冷ややかな表情を浮かべたままコーラを飲む。
口の中で弾ける炭酸が怒りを掻きたて、あとに残る果糖液の甘ったるい風味が苛立ちを加速させる。
この手の甘さは好きではない。
薔「・・・JUN?」
僕はしばらく無視してみる。
薔「・・・おーい」

薔「・・・桜田く〜ん?」

薔「・・・もしも〜し?」

薔「・・・そんな冷ややかな目で見ないで・・・」
誰だよ原因つくったのは。
あの4500円はプレゼント分にでもしようと思っていた貯金分だった。
それがピザに化けた。
なんだか怒りを通り越し、やるせなくなってきた。

128謎のミーディアム:2007/02/23(金) 10:45:22 ID:HnNnl1y2
薔「・・・ごめんなさい。調子に乗り過ぎました」
J「水銀燈には報告しとくんでよろしく」
薔「( ゚д#薔)そそそそれだけは!!!!」
J「絶 対 嫌」
薔「お代官様ぁ〜!!それだけは!!」
J「もう遅い」
ピッ

液晶は無惨にもSentの文字を表示していた。
薔「・・・いつの間に」
J「いつの間にか」
数分後・・・

From:水銀燈
Re:
ごめんねぇ@
薔薇水晶には帰ったらちゃんと言っておくわぁ
しばらく焼売抜きねぇ(笑

J「だそうです」
薔「・・・(´д⊂)」
J「自業自得」
薔「・・・お姉ちゃんがばらしぃって呼んでない・・・コワス」
J「だから自業自得だっつのw」
他力本願ではあるがなんとかきっちり返すものは返しておき、薔薇水晶に用件を聞く。
J「てか何しに来たんだ?マジで」
薔「・・・遊びに」
J「・・・本気で言ってるのか?」
薔「・・・昼御飯一人は寂しい」
J「で、4500円を払わせに来たと」
薔「・・・人聞き悪い」
J「事実だろw」
薔「・・・むぅ。仕方ないや、勉強する?」
J「仕方ないって何だよw勉強か?今日はしても軽めにするよ」
薔「・・・英単語やる?」
J「あー、それいいかも」
薔「・・・(モゾモゾ」
J「どっからター〇ット出してんだよ・・・」
一昔前にあった爆〇問題のバク天を彷彿させる。レ〇ザーラモンHgGか・・・
どうしているんだろうか。
まぁ、どうでもいいが。

その日は単語を軽く確認しながら過ごした。薔薇水晶の単語力は少々不安が残るが国語が出来る分心配はあまりないだろう。
僕の方は1900語フルに入れておかないといけない、があと200程残っている。

129謎のミーディアム:2007/02/23(金) 10:46:44 ID:NCVLMNkY
これがまた厄介な単語。
ある程度は推測で乗りきるしかなかった。

‐‐‐試験前は、どうしてこう時間が早く過ぎるのだろうか?
水銀燈のメールを励みに残りの1週間を過ごし、もう選抜試験当日。
ス「今日はお前らの進路がかかった試験だ。気合いを入れていけ。学部毎に試験教室は違うからな。まず法学は・・・」
HRの雰囲気はピリピリして余り胃にはよくない環境だった。
その割に僕はリラックスしていたが。
ベ「よう。お前はもう余裕か?」
J「んなわけねーよ」
ベ「その割には落ち着いてるじゃないか。俺なんかもう・・・」
J「顔色悪いぞw」
ベ「これくらいのことでか・・情けない・・王子としてなんとしても乗りきらねば・・」
J「なんか重苦しいな」
薔「・・・それは、みんな一緒」
ベ「・・・薔薇嬢。そうだ、みんな条件は一緒だ。ならまだ俺に分があるゼ」
その自身はどっから湧いて出て来るんだろうか?僕には一生わかりそうにない。
ベ「そろそろ時間だ。行くゼ」
薔「・・・ここからが本当の地獄だ」
ベ「( ゚д゚)」
J「だからこっち見んなww」

格して試験は始まった。
一限目、英語 120分
昼食休憩を挟み、
二限目、国語 80分
三限目、政経 60分

ベ「・・・俺は地獄を見たゼ」
J「確かに地獄だ。何なんだあの英語・・・」
薔「・・・帰ったらシューマイ焼け食いしてやる・・むきぃ〜」

130謎のミーディアム:2007/02/23(金) 10:48:42 ID:IaL3khxE
三者三様。
試験の出来?聞かない方が身のためだ。
ベ「JUN、薔薇嬢、今日は飲むぜ」
J「乗った」
笹「・・僕もいいかな?」
薔「・・・おk」
何だろうこの面子は。
端からみたら此ほどコメディックな組み合わせも珍しい。
その日の夜は僕の家でヤケ呑み会のはずだった、が‐‐
蒼「未成年の飲酒か〜」
真面目と書いt(ry
そんな彼女がこんな計画を許す筈がない。諦めかけた矢先・・

蒼「僕もいいかな?今日は姉さんいないし」

その日の夜は、とんでもなく激しかった。
その原因の6割を薔薇水晶が占めた訳だが、意外にも3割のシェアに蒼星石が食い込んだ。
野郎三人衆は、只々呑み続けた。
と言うか、呑まないと殺されてたに違いない。
蒼「僕の酒が呑めないの?(ニコッ」
出されたウォッカストレート。
ベジータが無謀にもチャレンジし、見事に散った。無論、チェイサーなどあるわけがない。
薔「・・・甘ったれんな笹塚、ベジータ。ほら、呑めよ」
薔薇水晶に至っては性格が一変。
僕はその場にいることが精一杯だった。

それから3日後・・・
薔「・・・結果発表いつだっけ?」
蒼「確か明後日じゃなかったかな?」
J「明後日だな」
笹「もう嫌だ・・」
ベ「・・地獄だ(まだ喉が痛いゼ・・)」
この面子は、いつしかクラスの名物になっていた。

131謎のミーディアム:2007/02/23(金) 10:49:33 ID:E6SkcgC2
その日の夕方、僕は一応来年の春からの準備をするためにとなり街の電気屋へと向かった。
別に自転車でも問題は無かったのだが帰りに駅前で食事を済ませられると言う考えが頭の中に浮かんだので、そうすることにした。
電車に乗るのは・・何年振りだろうか。
切符を買い、ホームに降りる。
夕方とは言えまだ4時。会社員はいない。
先程電車が行ったようで、次は・・20分程待たないと来ないようだ。

日も傾き、街はいい具合いの色合いに染まっているだろう。
その証拠にホームから見えるビルは綺麗な紅色を写し出していた。

ふと、向かい側ホームに目をやる。

‐‐‐My life was....

黄昏刻の光が、銀色の髪をキラキラと光らせる。

‐‐‐Really sorry...

記憶のスクリーンに映る、あの日の夢。

彼女が、いた。
虚ろな表情を浮かべながら。

何処かに行ってしまいそうなくらい、不安な表情を浮かべながら。

向かいのホーム、

次発の表示は、

‐‐通過


駅近くの、踏み切りの警報器が鳴り響く。

雑踏が消え失せ、警報音だけが耳に入ってくる。

電車が、来る。

こちらのホームではない、


向かいのホームに。


僕は駆け出した。
何も考えずに、駆け出した。

132謎のミーディアム:2007/02/23(金) 10:55:18 ID:E6SkcgC2
以上です。

〜次回予告〜
最終回

Time never stops.

How can I do...??

したらばの仕様上、IDがコロコロ変わってます。
予めご了承くださいませ。
掲載時にはこちらの方を掲載していただくようお願い致します。

ありがとうございました。

133謎のミーディアム:2007/02/23(金) 16:40:54 ID:m5Weohu2
本スレが落ちてるっぽいのでこっちに投下します

あの世に嫌われているけどじゃいじゃいじゃい(あの世に嫌われている方々のお話)



「じゃいじゃいじゃい」

いんとぅーざないっ

「ざっつおーらいっ」

水銀燈「元気ねぇ…入院中なのに…ねぇ…」

「いいじゃないか」

そうよ、じゃいじゃいじゃいよ

水銀燈「あのねぇ…貴女達がJIVE INTO THE NIGHTにハマってるのはわかるわぁ…」

から一緒にじゃいじゃいすればいいじゃないじゃい

「それがいいじゃい」

水銀燈「語尾にまでじゃいがつくなんて…重症じゃいじゃい」

移ってるじゃないじゃい

134謎のミーディアム:2007/02/23(金) 16:42:58 ID:8BPZuiFs
>>133
水銀燈「認めたくないわぁ…」

「あはは」

くすす

「さ〜て、ちょいと屋上行ってくるわ」

あら、荷物でも持って、引っ越すつもり?

「さてどうでしょうね」

-ガタン

水銀燈「最近、彼はいつも屋上ねぇ…」

何してるんだか

水銀燈「気にならないのぉ?」

彼は何考えてるか私にもわからないし…それに…

水銀燈「それに?」

何だか邪魔しちゃいけない気がするから…ね

水銀燈「純情ねぇ…」

何とでも言いなさい

水銀燈「おや手厳しい」

♪〜Country road take me home to the place I'll belong〜

135謎のミーディアム:2007/02/23(金) 16:44:01 ID:WJoiCx86
>>134
水銀燈「綺麗な歌声ねぇ…」

彼だよ…きっと…

水銀燈「何でわかるのぉ?」

昔、昔ね…彼が入院したばかりの時…彼がいつも口ずさんでいた歌だもの

水銀燈「へぇ…意外ねぇ…彼が」

水銀燈の前じゃあああだけど、私と二人きりの時は結構静かなのよ

水銀燈「嘘みたぁい」

でしょ? でも、そんな彼が大好きなんだけどね。私は

水銀燈「一人の男性としてぇ? めぐ」

え? いや友達としてだよ。あはは、やだなぁ、もう

水銀燈「めぐ…素直になりなさぁい。貴女は彼が好きなんでしょう? 異性として、一人の男性として」

136謎のミーディアム:2007/02/23(金) 16:44:31 ID:WJoiCx86
>>135
…ええ、そうよ。私は彼が好き
私に生きる意味を教え、私の考えを変えた彼が好き

水銀燈「よくできましたぁ」

-ガタン

「やっほ」

あ、帰ってきた。歌声が病室まで聞こえていたわよ

「うっわ、恥ずかしい」

ねぇ…

「ん?」

今度…機会があったら…私も一緒に歌を歌わせて

「そんな事か…お安いご用だよ」

ありがとう

「わっ…急に抱きつくなっての!!」

いいじゃないじゃい、減るもんじゃないし

「そうだけどさ…少しは考えようぜ…」

えー、君は私が嫌いなの?

137謎のミーディアム:2007/02/23(金) 16:44:58 ID:WJoiCx86
>>136
「いや、そういう意味じゃなく…何というかさ…無闇に抱きつかれるのは…ね、水銀燈も居るし」

何言ってるの、私だって好きじゃなければ抱きつかないよ

「え…それって…」

か、勘違いしないで…単に好意に値するだけで…

「だよ…な」

う…うん







ああ、何で私は素直になれないんだろ…
こうやって反省している間に、私は彼を思っている
この張り裂けそうな気持ち…私が死にそうになったら、君が原因だよ

私にどう頑張っても治せない【病】を植え付けたんだから

あの世に嫌われているけどじゃいじゃいじゃい・完

138謎のミーディアム:2007/02/23(金) 16:46:31 ID:YtMS0Xas
ひとまず投下完了しました

139謎のミーディアム:2007/02/24(土) 03:39:51 ID:UVl9Gk1M
>>132
酒のみすぎだぜばらしーも蒼い子もw
次回最終回ですか、wktkして待ってる

>>138
じゃいじゃいwwwwwwwwww

140謎のミーディアム:2007/02/24(土) 10:23:33 ID:UMOWErd2
>>137いいよなぁ、こんな入院なら一億と二千回してもいいやぁwwwww

141謎のミーディアム:2007/03/06(火) 21:48:02 ID:x/NpaXg6
機巧励起ローゼンメイデン第24話 『ANGEL's phase4』

硝子窓、純白の部屋から覗くその一角、青が窓枠を埋め尽くしている。
それは憎らしいまでに生に満ち溢れた色だ。
残酷な色だ。
死にいく命を蔑むように鮮烈な彩だ。
だから、キライだ。
この色は憎むべき色だ。
だけど今は貴女がいるから気にならない。
天使がいるから、あの色も私には何の意味も成さない。
そう呟く少女――めぐ――の言葉、それに彼女は別段の興味を示さなかった。
どうでも良い事だ、そう彼女――水銀燈――は今でも思う。
この世界に降り立ち早くも4ヶ月、その間自分を付け狙う邪神崇拝教団やら
それに組する秘密結社、もしくは魔術師が関与する組織との交戦が何度かあったものの
他の姉妹とは出会えず、アリスゲームが開始される事もなく時は過ぎ去っていた。
退屈は人を殺すというが今がまさにその時である。
意味がない、空虚だ、空っぽだ、がらんどうだ。
だが、その空虚さが人を殺すほどのものだとしても彼女には人としての死はない。
もし死ぬ事があるとすればそれは、アリスゲームで己の魂と魔力の核である
ローザミスティカを失ったときだ。
自分は人ではない、ローゼンメイデン――人造人間――なのだ。

142謎のミーディアム:2007/03/06(火) 21:48:43 ID:x/NpaXg6
>>141
愛する父のために妹を屠り、愛する父の元に『完全な壱(アウルム=アリス)』
として辿り着く事がローゼンメイデンに与えられた窮極的な目標。
初めに作られた少女は最初であるが故の誇りを持つ。
試行錯誤の上に作られた、愛する父によって生み出された最初の子供。
父の愛を一身に注がれ作られた芸術だ。
だが彼女は知っている。
己の魂の内にその呪詛は刻まれている。
彼女は蛭子だ、望まれなかった失敗作だ。
うち捨てられ廃棄される筈だった塵だ。
つぎはぎだらけの玩具、壊れた自動人形。
塵、芥、ゴミ、要らない、ジャンク。
しかし彼女は今ここにいる。
勝ち取ったアリスへ為る権利を手に収めて、ここにいる。
不治とも言われる病に身を蝕まれた少女が横たわるベッドの横、芸術品のような
完璧な肢体と美貌を持つ銀髪の少女は醜悪な悪意をその胸の内で燃やす。
それはまるで復讐を誓う英雄のようであり憎悪に塗れた悪鬼のようで。
他の姉妹を討ち取る、それはただ認められたいが故にそれは愛と同義。
純粋であるからこそ、それは美しい。

143謎のミーディアム:2007/03/06(火) 21:49:07 ID:x/NpaXg6
>>142
その純粋さが牙を剥く相手を見つけた時果たして彼女はどうするか。
病室のテレビに映し出される紅の巨人を目に留めた時彼女の心は如何様に
燃え上がったのか。
黒い憎悪の炎が粘性を持って胸の中を嘗め尽くし、身体を流れる擬似血液が
沸騰しかねない速度で全身を駆け巡っていく。
ローザミスティカは昂奮で大きく鼓動し熱に浮かされたような目で
水銀燈は仇敵をその双眸に捕らえた。
愉悦とも憎悪ともつかない笑みが浮かんでいた。
「水銀燈?」
「何?」
「どうかしたの?怖い顔ね、美人が台無し」
「別にぃ、アンタには関係ないでしょ」
「そうね。で、どうしたの?」
この娘は、ニコニコと微笑む少女に水銀燈はその貌に苦々しいものを浮かべる。
天邪鬼というのか、この娘は人をからかうのが好きだ。
「アンタに関係ないのにどうして言わないといけない訳ぇ?壊れかけのくせに
 ほんっとバカじゃなぁい?」
「そうね、壊れかけだよね。で、どうしたの?」
「……」
「あ、無視だ」
「うるさい」
憎悪がしぼみそうだ、少女を無視し病室の窓に腰掛ける。
窓の外に脚を放り出し、外を眺める。

144謎のミーディアム:2007/03/06(火) 21:49:35 ID:x/NpaXg6
>>143
「ねえ水銀燈」
「……」
「まだ無視するの?」
「……」
「………」
「……」
「……………うぐっ!」
「……」
「………ご、ごほっ……む、胸が……あ、ああ……」
「……」
「く、苦しい……だ、誰か……」
そうやって苦悶の声をあげ続ける少女。
その時間、実に10分以上。
「………もぅ」
軽く溜息をつき後ろを振向く。
「わかったわよ。話せば良いんでしょ話せばぁ」
「ん、良く分かったね」
ケロっとした顔でこっちを嬉々としてみてくる少女。
苛々とする感情を押しとどめつつ少女のそばの椅子に座る。
「で?何に怒ってるの?」
「別にぃ。ただ、気になる奴がいたから、ね」
「ふぅん。貴女の言ってた姉妹ってやつ?」
「そういうところよ」
「行くの?」
「ええ」

145謎のミーディアム:2007/03/06(火) 21:50:03 ID:x/NpaXg6
>>144
「それじゃ私を―――」
「役に立たないって言ってるじゃない、わきまえなさぁい?」
「でも、私のお陰で今の貴女がいるんでしょ?」
「………」
「ふふ。そんな悔しそうな顔の水銀燈も素敵ね。でも、とにかく行くんでしょ?
 だったら夕方には戻ってきてね。待ってるから」
「……馬鹿じゃなぁい?」
それだけ言い残し水銀燈は窓枠に脚をかけた。
そして虚空へ、その華奢な身を投げる。
何もかもをリセットする。
先程焼き付けたあの画像を脳裏に浮かべる。
紅の巨人、紅の少女に憎悪を馳せる。
それだけで身体の中を満たす。
憎悪、激しい憎悪、身を焔やし尽くす憎悪。
脳が沸騰しそうになる、心臓が弾けそうになる。
粘着性を持ってどす黒い憎悪が全てを覆い尽くす。
「くくっ」
笑みが口元に浮かぶ。
「くくっ……ははっ!」
そして、少女の背から漆黒の羽根が生えた。
「待ってなさぁい……真紅ぅ!!」
羽根は少女を包み込み、黒の弾丸は空を蹂躙して行く。
紅の少女を求めて。

146謎のミーディアム:2007/03/06(火) 21:50:24 ID:x/NpaXg6
>>145
校門の悲劇から約30分後、既にチャイムが鳴り終わりHRの時間。
紆余曲折も紆余曲折、涙なしで語れぬ大スペクタル大冒険の後、僕は
無事に教室の机へ着席できていた。
そして今現在、教卓の前では真紅と柏葉が立ち自己紹介を行っていた。
まったく、柏葉の力とは凄まじいものだ、僕と同じクラスにしようなんて
気が狂ってるとしか思えない。
が、それは良いだろう。目の前で自己紹介を行っている二人だがもちろん柏葉も真紅も
本当の身分を明かせないわけで偽りのプロフィールを使って自己紹介となるわけだが。
「私の名前は真紅=ウィンスロップ。そこの桜田ジュンとは父が竹馬の友よ。
 今回は語学を学ぶためにこの学校へ来たのだわ、以後お見知りおきを」
「私は柏葉巴。私はアメリカに長い間滞在していました。私も父が今回
 日本に戻るという事で一緒に日本まで来ました、皆さんよろしく」
流暢な挨拶だ、それができるなら朝の騒動は止めてほしかった。
心から切実にそう思う。
一通りの社交儀礼を済まし二人はそれぞれの席に着く。

147謎のミーディアム:2007/03/06(火) 21:50:47 ID:x/NpaXg6
>>146
それからの出来事、それについては思い出したくもない。
とにかく酷い精神的苦痛を伴ったものだったハプニング群はある種のトラウマ的
思い出になりそうだったので今のうちに記憶から抹消したい次第だ。
そんなトラウマ記憶の抹消に努めていた僕だったが、気づけば放課後。
真紅と柏葉は校内案内と称した少女達のワイドショーと違わぬ質問攻め行脚に
出発していたようだった。
「で?」
「で?とはなんだ?」
振向けば笹塚。
「彼女たちとの関係」
「ちょっとした知り合い程度のレベル」
「じゃ、この前見たあれは?」
「何のことだろう?」
「真紅ちゃんとの夫婦三昧」
「あれはアイツが校舎見学に行きたいとの事でな」
「そか。怪しいな、すごく」
「疑うのは止めれ。今でさえ心が挫けそうなんだ」
「ふぅん」
疑いの眼差し。
「トラウマ除去の続きがしたいので僕をソっとしておいてくれないだろうか?」
「逃げるなよ」
「三十六計逃げるが勝ちという言葉があるぞ?」

148謎のミーディアム:2007/03/06(火) 21:51:13 ID:x/NpaXg6
>>147
「そか……って話を逸らすない」
「うう……パパ、ママ。世間が僕を責め立てるよぉ〜〜!!」
「大丈夫……ジュンは、そんな柄じゃない」
と、机に突っ伏そうとする僕の目の前に薔薇水晶が顔の上半分だけを
覗かせていた。
「……そうか」
「うん」
「で?」
「あの……その……」
瞬間、戸惑いの表情。
何だって言うんだ?
「帰ろう、って言ってるんだよジュン。分からないのか?」
「そうなの?」
コクコクとうなずく二人。
ま、良いか。
記憶の抹消は帰りながら行うとしよう。
「じゃ、帰るか」
「よろしい」
カバンを持ち僕らは学校を後にする。

149謎のミーディアム:2007/03/06(火) 21:51:34 ID:x/NpaXg6
>>148
他愛ない話、帰り道にするのはそういうものに限る。
別段目新しい事もなく、ただただ普通の会話。
ここ最近の異常事態を癒すのにもってこいだな。
「で、だ。ソイツがだな――」
「ふぅん」
主に、僕と笹塚で聞き役と話し役を交代しつつ。
「………」
薔薇水晶は延々と聞き役に徹する。
それが僕らの日常だ。
代わり映えがないがそれで今の自分の場所を確認できる。
良い事だと思う、かけがえがないから。
と、何を感傷的になってるのやら。
「ジュン?」
「ん?」
薔薇水晶がいつのまにか僕の目を覗き込んでいた。
「何だよ?」
「……ううん、なんでもない」
「そか」
それからもゆっくりと帰り道を行く。

150謎のミーディアム:2007/03/06(火) 21:52:00 ID:x/NpaXg6
>>149
気づけば、空は西に傾き陽は鮮血にも近い橙色を帯びる。
空が血に染まる、そう形容した方が良いのかもしれない。
それほどに鮮烈な赤橙色。
ふと、胸が。
「っ!?」
強烈な違和感を捉えた。
僕の中の全細胞が、異質なものを捕捉した。
決して、この日常に、決して、侵入させてはいけない何かが。
殺意が。
「ジュン?」
笹塚の声が、
「どうしたの?」
薔薇水晶の声が、
「―――ふふっ」
遠い。
その声が、脳内に響く。
ゾッとする程の冷気と悪意、且つ、憎悪。
息を呑む、日常に異質は入り込んではいけない。
「笹塚、薔薇水晶」

151謎のミーディアム:2007/03/06(火) 21:52:24 ID:x/NpaXg6
>>150
「ん、どうした?」
悟られぬように、いつもの表情を思い出して。
「悪い、学校に忘れ物してた。取りに帰る」
「そか。んじゃ、一緒に――」
「いや、僕一人で良い。先に帰っててくれ」
「え……?」
その提案に薔薇水晶が声をあげる。
「何、ちょっとした忘れ物だしもってもらうのは気が引けるし悪いしさ」
「ふぅん……そっか。んじゃ、先に帰るわ。じゃな」
「うん、じゃな笹塚」
「ばいばい」
「うん、ばいばい薔薇水晶」
最後まで二人の姿を確認することなく僕は来た道を引き返す。
目的地は一つ、あの場所だ。
後方から迫る存在に気を払いつつ、走る。
何も行動を起こしてこないのが助かっている。
走る、走る。
そして、目的地へ、着く。

152謎のミーディアム:2007/03/06(火) 22:01:53 ID:x/NpaXg6
>>151
おっと、今日のお話はここまで、だ。

続きが見たい?
それは少し待って欲しいさね。
なに、いずれ彼らのお話は語られるさ。
だから、今日はここまで。
さ、今日のお芝居は店じまいだ。
僕は道化、こんな風に語り部の代役を務める機会がまたあるかも
しれないね。
だけど、それが何時になるかは誰にも分からない。
だからこう言うとしようかな。

それでは、また

153謎のミーディアム:2007/03/06(火) 22:04:00 ID:x/NpaXg6
以上、投下終了です。

道化の語りは本編とまったく関係がないのでwiki収録はなしです。
彼若しくは彼女が誰か?
それは、知る人の胸のうちに秘めておいてください。

それでは、また

154謎のミーディアム:2007/03/06(火) 22:04:49 ID:bm0VtRXE
最後の笑い声は誰なんだ・・・続きwktk

155謎のミーディアム:2007/03/06(火) 22:26:01 ID:swfaiU/2
気になる
ちょっと頑張ってWIKI読んでくるわ

156謎のミーディアム:2007/03/06(火) 23:11:50 ID:n8EYZlBQ
デモベktkr
銀様ついに登場ですか
戦闘の予感がするぜ

157謎のミーディアム:2007/03/07(水) 00:16:33 ID:Nv5FKgpM
GJ!!
続きwktk

158謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:17:43 ID:ij47YZcA
それでは長らく停止していた『きみと、ぼくと、笑顔のオレンジ』投下です。

『きみと、ぼくと、笑顔のオレンジ』は『きみと、ぼくと、にちじょう』で
恋人同士のジュンと薔薇水晶の出会いのお話です。
今までのお話は全てwikiで確認できます。

それでは、始まり、始まり。

159謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:18:34 ID:ij47YZcA
『きみと、僕と、笑顔のオレンジ』第3話

春、それは桜は満開の時期を当に過ぎ、葉桜が混じるようになった頃。
僕と笹塚、の二人は入学最初の授業ガイダンスを終えて
また食堂へ来ていた。
別にこれといった用事はなく、ただただ暇だったのと、ベジータが
別の学部だったから時間合わせを兼ねた待ち合わせ。
食堂内は僕と笹塚以外には授業のない上回生がレポートらしきものを書いていたり、
僕らと同じ学部らしき連中が手持ち無沙汰といった感じでうろついてるくらい。
がらがらだ。
「暇だって言っても限度があるよね。まさかこんなにも早く授業ガイダンスが
 終わるなんて夢にも思ってなかったよ」
「まあなぁ。予定じゃ11時半には終わるはずが10時50分前には終了。
 暇になるのも仕方ないって」
「ま、そうだよねぇ。あ、ジュンは授業何とる?」
「んー……」
言われてみて今更に考える。そういえば大学に入るのを優先的に考えてて
何をしたいかと言うのが結構おぼろげだった。
が、思いついたのを言ってみる。
「そうだな、心理学とかは?」

160謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:18:58 ID:ij47YZcA
>>159
「うわっ、また面倒なものを」
「でもうちの学部って人間関係とか社会関係の学部だろ?それぐらいしか
 選ぶものなさそうだけど」
「正論だね。でも、できれば女の子の割合が多い方を取りたいと僕は思うけど」
「はは、露骨だな」
少し笑ってしまう。
「自分の欲求に素直だと言ってよ。大学生活の最初ってのはすごく重要なんだから
 こういう所でチャンス増やさないと」
「成る程ね。で、何系の授業を取る気なんだよ笹塚?」
含みのある笑み、笹塚の目が光る。
「そりゃ、もちろん言語関係だね」
「ふぅん」
それから笹塚による言語関係の女子がいかに可愛い子ぞろいかという話が
始まったのだがほとんど覚えていない。
興味がない話題というのは自然と脳内から零れ落ちるものだ。
笹塚の話を右から左へと聞き流しつつ僕は食堂内に視線を泳がす。
時間は11時10分前、他の学部もガイダンスを終えたのか
ちらほらと人が増える。
と、その中で見た顔を見つける。

161謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:19:18 ID:ij47YZcA
>>160
彼女だ。
薔薇水晶、確かそんな名前だった。
あの日、上回生の歓迎パーティでほんの少しの間だけだったが
言葉を交わした彼女。
彼女がまた一人でポツンと端の方で座っていたのだ。
「ん、どうした?」
僕の視線に気がついたのか笹塚が僕の視線の先を見ようとする。
「あ、いや、なんでもない」
別にごまかす必要も何もない、なのに咄嗟にごまかす僕。
「嘘ばっか。何だよ可愛い子でも見つけたのかい?」
「そんなんじゃないって」
「はいはい」
そういいながら笹塚は僕を無視して彼女の方を見た。
「あぁ。なんだ、あの子じゃん」
「知ってるのか笹塚?」
「ん、ああ」
そういいながら笹塚が僕のほうを見直す。
「薔薇水晶さんだろ。ほら、この前のパーティで滅茶苦茶かわいい子が
 いたって言ったじゃん?」
「そんな事言ってたっけ?」
覚えていない。
「うん言った。つか話聞いてなかったな?……ま、それは良いや。
 で、彼女はその子のお友達」

162謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:19:57 ID:ij47YZcA
>>161
何だ、別に彼女が有名だとかそういうわけじゃないのか。
なぜか、少し安心した。
「まあ、とにかく彼女はおいといて。それより、その子が滅茶苦茶美人でさ。
 名前は水銀燈さんって言うんだけどもーあれは完璧だったね。僕らだけ
 じゃなくて上回生までその子のトコに行きまくってたぐらいなんだぜ?
 なのに彼女ッたらあの薔薇水晶さんがいるから早めに帰らないと
 とか言って帰ったわけ。で、だ。だからその彼女の大事な御友達である
 あの子を使って水銀燈さんと御友達からそれ以上になりたいって奴が多いという」
「ウソだろ?」
「ウソでこんな話しないって。ほら、話をすればなんとやら。見ろよ、あれ」
そう言った笹塚の視線の奥で、彼女が二人の男子に声をかけられていた。
如何にもチャラそうな男。酷く、不快な気分になる。
「うわ〜、あの人たち上回生だよ。なかなか露骨だねぇ」
そういう笹塚の声がやけに遠い。
僕は彼女のしている話が気になってしょうがない。
彼女は所在なげに目をあちらこちらへと向けている。
嫌がっている、直感的にだが思った。
それとはなしに返事はしているようだが戸惑っている、そんな気がした。
止めてやれよ、そう思う。

163謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:20:19 ID:ij47YZcA
>>162
だけど僕に何ができる?
たった一言二言声をかけただけの奴が何をするというんだ?
馬鹿げている、そうは思っているがしかし。
だが、しかし。
「あ、おい!?」
僕は立ち上がり、足は彼女のほうへと向かっていた。
一直線に、席をすり抜け、彼女のほうへまっすぐと、一直線に。
心臓がバカに高鳴っていた、まったく僕らしくない行動に拒否反応を起こして。
脚が、喉が震える、緊張で。
何度かイスにぶつかりそうになったが気にせずに。
止まれない。
止まれるはずなのに身体が言う事をきかない。
僕は彼女のそばに立った。
「で、君もう何するか決めた?」
「あの……私……」
「あ、もし良かったら僕らのサークルに来ない?」
「いえ、その……私……」
声をかけるのが憚られる雰囲気、だがもう引き返せない。
「あ、あの」

164謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:20:46 ID:ij47YZcA
>>163
「ん?」
「あ……」
不審そうに僕を見る男達、驚いたように僕を見る彼女。
それだけで僕の頭が真っ白になる。
「あ、えと」
「えー。君、だれ?」
「え、ええっとですね」
落着け。とにかく落着け。
ぐるぐると廻る脳内を落ち着け、平常心で声を絞り出す。
「彼女……僕と、友達なんで、その待ち合わせしてたんで……待ってた?」
ハッタリもいいところだ、こんなのでついて来る訳ないだろ、もう少し考えろよ。
頭の中でセルフ突っ込み。
だが。
「う、うん。あの、ありがと……」
「え!?あ、ああ」
驚いたことに、すんなりと彼女は立ち上がり僕の方にやって来る。
「それじゃ、私……行きます。あの……ありがとうございます」
「あ、いや、良いよ、あはは」
そう言われてはどうしようもあるまい、彼らはその場を動く事ができず
僕は薔薇水晶さんを連れて元の席へ向かった。
いざ、ここまで来て思う。
衝動的に行動を起こすにしてもこれはないよな、と。
だけど、今更何を言うか、と。

165謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:21:06 ID:ij47YZcA
>>164
席に着き、全身から力が抜ける。
本当に頭が悪いっちゃない行動だ。目の前の笹塚もあきれている。
いや、呆然としているのか?
……どうでも良いや。
「あの」
突然のその声、心臓が止まりそうになる。
振向く、彼女が、僕を見ている。
視線が合わさり彼女が俯く。
恥ずかしいのだろうか。
「あの、ありがとうございます」
感謝された、消えそうな声で。
「え、あ、いや。別に」
姿勢を正す。
らしくない、そう思うけど。
「たいした事じゃないし……いや、気にしないで」
恥ずかしい、顔が暑い。
「でも、困ってたから……ありがとうございます」
「そ、そっか」
「はい……」
無言の時間、気まずい。
何も言葉は紡がれず延々と時間だけが過ぎていく。

166謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:21:31 ID:ij47YZcA
>>165
「あー」
と、笹塚が突然声をあげる。
「もしかして二人、知り合い?」
「「え?」」
声が揃う。
「いや、そのだな。この前の歓迎パーティでちょっと話して」
「は……はい」
「へぇ〜」
また、無言。
辛(つら)い、激しく辛い。
「え、えっと」
「あ、あの」
「はい?」
「あ、いいえ」
無言。
無言で時間が過ぎていき、いつしか食堂内には人が増えてきている。
「…………あ、ジュン。僕、ベジータ見てくるよ」
「え?ここで待たないのか?」
「ん?いや――」
と笹塚は立ち上がると僕のところまでやって来て耳元で囁く。

167謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:21:56 ID:ij47YZcA
>>166
「僕、邪魔だろ?」
「へ?」
「いやさ、ジュンも男だったんだな、と」
「そういう気遣いされる方が困るぞ、あざとい」
「それもそっか。あ、でも僕、マジでトイレ行きたいからソーリー」
「お、おい!?」
そう言ったきり笹塚は食堂の外へ消えた。
「あの……」
「へ?!」
「お友達……その、良い……んですか?行かなくて」
「あー。なんか、トイレに行く理由がほしかっただけみたい。はは」
「そうですか……」
「うん…」
無言、ざわめく食堂内で何も喋らないのは何かおかしい。
「あの」
また、彼女から。
「何かな?」
「どうして……その……助けてくれたんですか?」
「え?」

168謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:23:26 ID:ij47YZcA
>>167
その瞬間、僕の胸は大きく高鳴った。
どうしてか?
どうしてだって?
簡単だ。
だけど、言ってしまうとそれはとても嘘にしか聞こえないことだ。
でも、どうして、と聞かれている。
僕は……
「いや、何だか困ってるみたいだったし」
素っ気無い返答だ。
「そう……ですか」
「あ、うん」
「あの」
「ん?」
「……困ります。彼女が……困ります。止めて……ください」
「はい?」
何を言ってるんだ?
こんがらがった頭をフル回転させる。
何が困ると?何かしたか、僕?彼女、誰だそれ?
意味が、分からない。

169謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:23:53 ID:ij47YZcA
>>168
「あの……」
口に手を当て、考える。
何を言ってるのか分からず頭の中がしっちゃかめっちゃかになっている。
彼女もそれに気づいたのか申し訳なさそうな顔をしている。
何だか自分のせいみたいでバツが悪い。
早く思い出さないと。
「もしかして……違った?私の友達が……目当て、じゃ」
と、そこでようやく思い出す笹塚の言葉。

『ほら、この前のパーティで滅茶苦茶かわいい子がいたって言ったじゃん?』
『で、彼女はその子のお友達』

「ああ!」
何だそういう事か。
「もしかして、君の……えと、友達目当てで助けたって?」
「あ……はい」
「違う」
「え?」
「その子の顔、知らないし……さ」
そう、僕は知らないのだ。だってあの時……
「僕、君より先に帰ってるしさ。それにあのパーティ、君と同じでほとんど
 参加してないし」
「あ……」

170謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:24:14 ID:ij47YZcA
>>169
そう、僕は彼女より早く帰り、あのパーティの詳細は知らないのだ。
それに気付いて、彼女は顔を真っ赤にする。
「あ、あ、あの、ごめんなさい。その、えと、私………あ!!アタシ、私、
 あの、あなたに失礼な事言って!!えと、その……!」
「いや、良いよ謝らなくてさ。何度も同じようなことあったみたいだし。
 それに、こうやって人に聞けたのって僕が初めて、だよね?」
「え?あ、はい……その、この前話してたから、つい……」
そうやって俯いてしまう薔薇水晶さん。
「そっか」
「はい……」
それからまた無言の時間が流れる。昼飯前、人でごった返すとはこの事か。
まるでスーパーの特売よろしく食堂内が人と人とで溢れかえっていた。
どよめきにも近い喧騒の中で時間がゆっくり流れる。
「あの」
「ん?」
顔を上げ、薔薇水晶さんが、僕を見つめる。
「何?」
「私の……た」
そこまで言って思い直したのか、ただ一言を僕に向ける。
「ありがとう」
それは、確かにただの『ありがとう』。
ただ、それは最初の『ありがとう』とは確かに違って。
優しい、『ありがとう』。

171謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:24:37 ID:ij47YZcA
>>170
「良いよ、別に。薔薇水晶さん」
「え?」
「あ……」
つい、出てしまった。自然と、嬉しくて、彼女の名前を呼んでいた。
「うん……ありがとう、桜田くん」
「え?」
そう、彼女は天使のような微笑で彼女は僕の名前を。
何か言おう、そう思ったけど。
「ごめんねぇ、薔薇水晶ぉ〜。遅れちゃったぁ」
「ん?」
艶っぽい猫なで声、その方を向けば綺麗な銀髪をした女性が
こっちに歩いてくる途中。
「銀ちゃん」
ああ、彼女がか。
確かに、そう思いながら僕は『銀ちゃん』と呼ばれた彼女を見る。
美人だ、プロポーションはモデル並、周りを漂う雰囲気は誰の目をも止めて
しまうような絶対的魅力で溢れている。
―だが、それでも。

172謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:25:04 ID:ij47YZcA
>>171
「あらぁ、珍しいわねぇ。貴女が人と喋ってるなんて」
「え。う、うん」
「まさか……私目当て、とかじゃないでしょうねぇ?」
ボソリと言う、が、それは間違いなく僕への警告だと、思った。
彼女をダシにしようなんてバカじゃない?そんな感じだ。
しかし、
「ち、違うよ銀ちゃん……アタシ、この人と知り合い……」
「へ?そ、そうなのぉ?」
「う、うん……」
彼女は僕をかばってくれた。
「へぇ……薔薇水晶が、かぁ」
じぃ、と『銀ちゃん』と呼ばれた彼女が僕の顔を見る。
「ふぅん、おもしろぉい」
何だか追い詰められてるような気が。
「ねえ。アナタ、本当に私目当てじゃないのぉ?もしそうだったら今すぐここで
 言った方が得策よぉ?そうでなきゃ、もし私目当てだったってバレた時
 アナタを彼氏候補にいれてあげないわよぉ?」
尊大だ、めちゃくちゃ傲慢だ。
だが、それでも僕は答えることなんてできない。
「……強情?」
違うって。
だって、僕は。
おろおろとしている彼女を見る。

173謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:25:27 ID:ij47YZcA
>>172
「……嘘ぉ」
バレた!?
「……へぇ、そうなんだぁ。へぇ〜。うふふふ」
とても、楽しそうな笑顔。
「銀ちゃん?」
「ん〜?」
「どうしたの?」
「何でもなぁい。さ、行きましょ。午後からは私の買い物に付き合う約束よぉ?」
「え?でも、私……」
だが彼女は有無を言わさず、薔薇水晶さんの手を握り、歩き出す。
「え、銀ちゃん……?」
「さ、行くわよぉ」
「ま……待って、待ってよ……」
荷物をあわてて握り締め彼女が去って行く。
僕は咄嗟に、手を振っていた。
「それじゃ、ね」
それに彼女は一瞬驚き、そして
「うん」
手を振ってくれた。
そして、僕と彼女の二度目の出会いは終わり、また出会う。

174謎のミーディアム:2007/03/08(木) 03:25:49 ID:ij47YZcA
投下終了です。

それでは、また

175謎のミーディアム:2007/03/08(木) 06:20:30 ID:g/c0Yc3M
君僕キタ━━━━(・∀・)━━━━!
この雰囲気がやっぱり好きなんだと再認識

176謎のミーディアム:2007/03/08(木) 17:25:36 ID:PmiGyZnw
NG:薔薇水晶ドラマCDのネタバレ含…


薔「んっ……うぅっ…」
エ「動けるかい…?」
薔「あぁ…ふぅ…うっ…んっ…」
エ「そう…上手だ…」
薔「んっ…ふぅ……んっ…」
エ「薔薇水晶…」
薔「おとう…さま……」

シコシコシコ…
エ「フフ…なんて素晴らしいCDなんだ…ネタに困らな……ウッ!!」

現実…
薔「ジュン…ジュンの願いは……私の願い……」
ジ「あぁ、僕の望みも君と同じだよ…」
薔「嬉しい……ジュン…大好き…」
ジ「ふふっ、僕もだよ、薔薇水晶。」


エ「(´;ω;`)」

177謎のミーディアム:2007/03/08(木) 17:59:04 ID:u1NC5xBg
薔「疾きこと風の如く…」
白「オゥオゥオゥ!」

薔「静かなること林の如く…」
白「オゥオゥオゥ!」

薔「侵略すること火の如く…」
白「オゥオゥオゥ!」

薔「叫ぶこと…豚の如く…」
白「オゥオゥオゥオゥオゥオゥ!!」

銀「出たわぁ!薔薇水晶のスパンキン風林火豚よぉ!!」
翠「豚も大悦びですぅ!」
雛「この豚野郎なのー♪」

178謎のミーディアム:2007/03/08(木) 18:51:59 ID:y8GNOPNE
>>174
この日常って感じとばらしーとのやり取りが最高ですよ旦那

179謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:42:11 ID:IPiaE.QY
皆さんこんばんわ。

本日も機巧励起投下です。

それでは始まり

180謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:43:44 ID:IPiaE.QY
『ANGEL's phase6』

本来女子を殴るなんて僕の主義主張(のりは別だ)に反するので
とにかく捕獲を最優先に考える。
後ろからなら、そう思いフェイントをかけて後ろに回りこむ。
「ふふっ」
だが、それは読まれていたようで、
「おばかさぁん!!」
振向きざまに避けられ、逆に羽根でしたたかに殴りつけられる。
「がはっ!」
「あぁ!」
勢いのついた僕の身体はそのままアスファルトに思い切り叩きつけられる。
「そしてぇ……」
漆黒の羽根がまた広げられ、
「フォデレ(穿つ)!!」
アスファルトに倒れ込む僕の身体めがけて黒い羽根が無規則な弧を
描いて襲い掛かる。
「ジュンっ!」
「ちぃっ!」
間一髪、地面からバク転、砕け散るアスファルト。
魔術師の勘が告げる、まともに喰らえばこの状態でも洒落にならないと。

181謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:44:04 ID:IPiaE.QY
>>180
「うふふぅ。そうよねぇ、真紅がいればそれ位は造作ないわよねぇ?」
嬉々と残酷な笑い声をあげる黒少女。
腕が僕と真紅に向けられる。
「だぁから、もっとよっっ!!」
先程までとは比べ物にならない量の羽根の剣。
もはや津波に近いソレが僕らを飲み込もうと襲いかかる。
「ド畜生がっ!!」
跳躍、アスファルトが粉砕されると同時、
「ジュン、飛んでは駄目っっ!!」
真紅の叫び。
「なっ!?」
気づく、漆黒の波がいつのまにか方向を変え僕の目の前に。
「あはっ、お馬鹿さぁんっっ!!」
漆黒に喰らいつかれた。
「ぐぁぁぁぁっっっ!!!」
脳を大きく揺さぶられる、世界を認識する感覚が一瞬途絶された。
全身に突き刺さる、羽根、羽根、羽根。
激痛により覚醒、気づけば剃刀より鋭利に研がれた一撃一撃に
肉という肉が切り裂かれていた。
「防御……ああっ!」
間に合わない防御結界、視界の端で真紅の身体も傷つけられていく。

182謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:44:29 ID:IPiaE.QY
>>181
「あはは!!何ぃ、それぇ?こんなのも避けられないなんて腕でも鈍ったぁ?」
侮蔑の言葉が地面に倒れた僕らにかけられる。
「ぐっ……」
真紅の呻きが漏れる。
「自分のミーディアムがいるのに全然力が出せてないじゃなぁい。これじゃ
 ただのジャンクと大差ないわぁ。あは、あはははははは!!」
「言われっぱなしだぞ……おい」
「うるさい……のだわ、分かってるわよ」
膝をつき、僕は立ち上がる。
「前々からやり合ってるみたいな雰囲気だから聞く。やり方は?」
「あるのだわ。間近で殴りつける」
「……女子を殴るのは僕の主義に反するんだが、な」
「誰が殴っていいと?私が殴るのよ」
「マジかよ……」
溜息をつく。
「うるわいわね、命令よ、行くのだわ!」
「へいへい、っと!!」
魔力を脚へ、増加した筋力でダッシュ。
先程のヘマをしないようにぶつかるスレスレまで走り抜ける。
「ふん、ジャンクが…!」
漆黒の凶器が僕と真紅めがけて飛んでくる。

183謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:44:51 ID:IPiaE.QY
>>182
「らっしゃぁぁ!!」
襲いかかる漆黒を超人的反応速度でその羽根の攻撃をステップでかわしていく。
一瞬前まで僕がいた場所が黒に染め上げられる。

右腕、左肺、左肩、頭、眼球、足首、つま先、耳

狙われた部分から少しずつ身体をずらす動作で全てを無傷で避ける。
さっき喰らった傷から溢れ出す血液は真紅の魔力で止血されている。
感じる痛みは無理矢理に脳内から追い出す。
とにかく肉薄するまでは動きを止めてはいけない。
他の事に気を取られてはいけない。
彼方の目標、黒の天使まで無軌道に走り続ける。
「くっ!」
より、量を増す漆黒の羽根。
濁流の如くやってくるソレをより大きなステップで避ける。
距離がどんどんと詰められていく。
肉薄するまで後、十メートル弱。
「今よっ!」
「応っ!!」

184謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:45:16 ID:IPiaE.QY
>>183
踏みしめられるアスファルト、全身の力を脚に籠め跳躍する。
砕けるアスファルト、我は弾丸、コンマ一秒で少女に肉薄。
「なっっ!?」
少女の目が驚愕で見開かれる。
僕の肩に乗っていたはずの真紅がいつのまにか元の姿に。
そして、
「吹き飛ぶのだわっ!!」
僕を踏み台に二段跳躍、魔術文字が囲む右拳が突き出され水銀燈の頬を捉えた。
「かはっ……!」
宣言どおり少女の身体が吹き飛ぶ。
だが背中から生えるその羽根が衝撃を吸収したのだろう、数十メートルほど
吹き飛んだところでその身体は中空で静止した。
「う……ぐっ」
しかし、受けたダメージはなかなかのものだったようだ。
真っ赤になった頬を押さえ、苦痛に耐えている。
「ふぅ」
と、僕の肩に真紅が戻ってくる。
既にそのサイズは元の手乗りサイズに。

185謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:45:40 ID:IPiaE.QY
>>184
「やってくれるじゃない真紅ぅ……」
「貴女にはできない戦い方よ水銀燈」
「はっ……何がよ。ただの騙まし討ちじゃなぁい。最低ぇ……ぐっ」
「確かに――ぐほぁっ!?」
僕の顔を真紅のツインテールがしたたかに打つ。
「て、てめぇ……」
「ふん、知略なのだわ」
ああ、そうですかい。
「何よぉ……」
が、僕らのそんなやり取りがどうも彼女の気に障ったようで。
「馬鹿にしてぇ……」
俯き、全身を震わす水銀燈。
首筋をチリチリとした感覚が襲う。
「なんか、やばくないか?」
「ジュンのせいよ」
「僕かよ!?」
「何よ……………何よ……何よ、何よ、何よ何よ何よ何よぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
広げられた二枚の羽根、ドス黒い怒りのオーラを放ち、魔力が集う。
そして、

「死ね」

186謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:46:00 ID:IPiaE.QY
>>185
それは、一瞬の出来事。
気づけば、目の前に水銀燈の姿が。
「あはっ」
走る光の軌跡。
「!?」
脳ではなく本能が肉体を動かした。
同時、右腕の手甲で火花が散る。
いつのまに取り出したというのか、水銀燈により握り締められていた銀の剣が、
手甲と鍔迫り合うように受け止められていた。
「うふふ……受け止めるなんて、やるじゃ……ない!!」
「ぶがぁっ!」
言うと同時、鳩尾に走る鈍い痛み、止まる呼吸、僕の身体を蹴りつけたのだ。
水銀燈は羽ばたく羽根の効果で大きく距離を取る。
が、その距離も
「刃ぁぁぁ!!!」
二枚の羽根による突進と斬撃の同時攻撃で零になる。
「クッ!」
腕を交差、甲高い金属音、受け流すように手甲を傾ける。
刃が手甲を滑り火花がまたも舞い散る。
爆発的突進はもはや弾丸と同意。

187謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:46:20 ID:IPiaE.QY
>>186
突進は通り過ぎ空中で旋回、またもこちらへ向かってくる。
人の目では認識が困難なレベルだ。
「ジュン、来るわよ!」
「分かってるっつーの!」
黒の突進。
銀の軌跡が僕の首を狙う。
防御。
飛ぶ、火花。
遅れて、突風。
「ぐぅっ」
崩れそうになる姿勢をどうにか耐える。
「あはははは!!良いわぁ……そうやって堪える様を見るのって楽しぃ……」
両手で掴んだ刃に力を込め、サディズム満開の笑みで僕を見上げる水銀燈。
「はは、悪いが正直僕にはマゾッ気がないので勘弁したい……なっ!」
「っ!?」
右手手甲をずらす。
下方へ受け流された刃、水銀燈の身体が傾く。
「抑えたっ!」
右手で彼女の両手首を掴む。

188謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:46:43 ID:IPiaE.QY
>>187
「っ……ふざけるなぁぁぁっ!」
羽根が腕を阻もうと、僕をまたも殴りつけようとする。
「っ!?」
二度も同じ攻撃を喰らってたまるか。
脚に魔力を込め一気に彼女の身体に肉薄。
そして剣を掴む彼女の両手首を拘束する。
「あっ……は、離しなさい!」
大きく身体をひねり抵抗する水銀燈。
だが、もちろん離す訳にはいかないのは当たり前なので。
「誰が離すか、ばぁか!」
「ばっ……バカですってぇ……?この、私にバカですってぇぇ!?」
ん?
「バカにバカ言って何が悪いぶぁぁっか!」
「な、な、ななななな何よ何よ何よ何よバカにしてぇぇ!!」
ふむ、もしかしてもしかする?
「ちょ……ジュン?何を企んで――」
「バかばかばかばかばかぶぁぁぁあーーーーーかっ」
「な、な、な、なあああんですってぇぇぇぇ!!???」」
ほう、これは、意外といけるやもしれん。
試してみよう。
「げああーーーっはははははぁ〜〜〜!!!!!(主人公らしからぬ邪悪な笑い声で)
 バカ言われた事がないんだな!?ないんだなぁぁぁぁ!??
 それなら、もっと言ってやる……バかばかばかばかばかばーーーーか!!!!」
「き、きぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜!!ならアンタは大バカよぉ、大バカぁ!!」
「はん、痛くも痒くもアーリマセーン」

189謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:47:10 ID:IPiaE.QY
>>188
「あ……あの、ジュン?水銀燈?」
ニヤリと笑う。
思ったとおり、コイツは無駄にプライドが高い部類の人種だ!!
しかもお子様レベルの悪口に簡単に乗ってくれる程に!!
こんな戦いの最中にここまで取り乱すとは結構なんてレベルじゃねぇぞ!!
ふむ、これって同じタイプの真紅にも使えるやもしれ――
「何か考えた?」
「いや滅相もない。それより……バかばかばかばかばーーーーーーーーーか」
「お、大ばか!!大バカ!大バカ大バカ大ばかぁぁ〜〜〜!!」
「ふっ。それだけしか言えないのか?でーべそー」
「でべそじゃなぁいっ!!」
「でぇぇべぇぇそぉぉ〜〜〜〜!!」
「違うっ!!アンンタが出べそなんでしょぉ?あははは――」
「お前は出ぇぇぇ〜〜〜べぇぇぇ〜〜〜そぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜!!」
「ち、違うって言ってるじゃなぁいっ!!」
「なら、お前の母ちゃんでぇぇぇぇべぇぇぇぇそぉぉぉ〜〜〜〜!!!!!」
「出べそなんかじゃないわぁっ!!お母様なんていないもの!お父様だけよぉ!」
「なら、お前の父ちゃん……でぇぇぇぇべぇぇぇそぉぉぉぉ〜〜〜〜」
「「だ……だ、だ、誰がぁぁぁぁぁっっっ!!!」」
「へ?」
その時僕葉は見た、真っ赤な目を真っ赤に燃やした水銀燈と
文字通り顔を真っ赤にして憤怒相で睨んだ真紅の姿を。
そして

「のぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

190謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:47:40 ID:IPiaE.QY
>>189
魔術の大爆発が僕を襲う、一つは真紅、もう一つは水銀燈。
「し……真紅。てめぇ……何、しやがる……」
地面に突っ伏しながら頭の上にいる真紅に怨み辛みをこめて呻く。
「はぁ……はぁ……え?」
気づいていないじゃねえか。
頭を抑えつつ立ち上がる。
「せっかく……アイツを無力化……できたっつーのに……」
「あ」
今頃気づくな、僕の考え読めるんじゃないのか。
「し、仕方ないじゃない!あんな事されたら訳がわからないのだわ!」
そうかそうか。
僕は今から起きるであろう災厄に頭を悩ましつつ眼前を見据える。
「ふ、ふふふ……」
おおやっぱり怒ってるか。
「人間……よくも……私をバカにしてくれたわねぇ……」
先程より20倍ほどに膨れ上がった怒りが轟々と音を立てている。
「はん、バカと言われるお前が悪い」
「誰がバッ……って、もう乗せられないわよぉ!!」
お、学習したか。
「もう良いわ……本気で殺す、絶対的に完膚なきにアンタを殺す!!」
「僕かよ!真紅じゃねぇのかよ!!」
「うるさぁい!!アンタよ、アンタだけは絶対殺すっ!」

191謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:48:08 ID:IPiaE.QY
>>190
どうも無駄にやりすぎた。
「ジュン、貴方が悪いのだわ。レディにああいう事は言うものではないもの」
「おい、お前はどっちの味方だ」
「主に真実の味方よ」
「てめぇ……」
なぜかいつのまにか僕は悪者になっていた。
ああ、泣きたいな。
「まったく、誰の為にやったと―――」
僕は、この時まで気づいていなかった。
こんな非日常の戦いにおいても僕はこちら側だったのだと。
こんな戦いの最中でも、これはまだマトモだったのだと。
その瞬間まで、僕はこの世界に在ったのだと。
だが、それは、

「あはは、あはははははははははは」


この瞬間崩れ去った。

192謎のミーディアム:2007/03/09(金) 01:49:16 ID:IPiaE.QY
本日分の投下は終了です。

それでは、また

193謎のミーディアム:2007/03/10(土) 00:26:27 ID:QpHadMtA
挑発にのる銀様テラワロスwwwww

194謎のミーディアム:2007/03/14(水) 23:14:39 ID:AHSa4paE
【恋愛百景】Little Player
第一話



俺には、幼馴染みが居る
苺大福が大好きで、絵を描く事が大好きで…
どこか大人で、でもやっぱり子供で
いつも笑顔の…大切な…幼馴染み


「うゆー、部長、起きるの」
「雛苺…乗っかんないで…辛い」
ここは有栖学園美術部部室
部員男子3名、女子5名の小さな部活
俺はその部活の部長を任されている
「部長がしっかりしないと駄目なの」
「駄目じゃないでしょ、俺が居なくても何とかやっていってるし」

195謎のミーディアム:2007/03/14(水) 23:20:05 ID:SPaY4bsg
>>194
「そうじゃないの」
「じゃあ何だよ」
「副部長は、皆でやりたいんですよ。部長」
そう言うのは後輩の白崎
「そうなのよ」
「全く…分かったよ」
「それで良いの」
はぁ…結局雛苺のペースに乗せられているな。俺
とはいえ、俺の作品はほぼ完成しているし、また新たな作品を作る気も無い
「雛苺〜、絵、見して」
「うよ? 良いの」
俺は雛苺の絵を見る
鮮やかな色彩の世界…多分そこらの美大生には負けないだろう
そこまで人を魅せるものがあるのだから

196謎のミーディアム:2007/03/14(水) 23:25:48 ID:0AhIpDoU
>>195
「流石だね」
「えっとね…部長のアドバイスを生かしてみたの…」
「そうか…」
そうこうしている内に部活動が終わる
部室に残っているのは、俺と雛苺だけ
「悪いね。手伝わせて…」
「ううん、平気なの」
「でも悪いね…今日の帰りに苺大福でも奢るよ」
「うよーい、うにゅーなの〜」
さて、片付けも終わったし…行こうか
「ほら、行くよ。雛苺」
「待つの〜」
学校の帰り道
たった二人の影
この世界に居るのは、俺たちだけじゃないのかと思う程に

197謎のミーディアム:2007/03/14(水) 23:33:51 ID:nUppNB2Q
>>196
「雛苺」
「うゅ? 何なの?」
「いや、ただ呼んだだけ」
「酷いの〜」
笑いながら不死屋に入って行く
多分店員が見たら、仲の良い兄弟だと思うだろう
「ほら、一つだけだぞ」
「ありがとうなの」
「こちらこそ、いつもありがとう」
不死屋から出て行く
俺の家と雛苺の家は隣り同士。なので帰り道も変わらず
いつも通りの帰り道
「部長、今日はうにゅーありがとうなの」
「こちらこそ、今度から真面目にやるよ」
「部長…」
雛苺が俺の顔を見つめる
これは今だから言えるが…
俺は、人が恋に落ちた瞬間を初めて見てしまった

第一話・完

198謎のミーディアム:2007/03/14(水) 23:37:24 ID:nUppNB2Q
>>197
投下完了
今回はハチクロっぽく行きたいです

199謎のミーディアム:2007/03/15(木) 01:28:12 ID:ApXWOaZg
>>197のイメージで
ttp://w3.abcoroti.com/~hina/files/2007031501261777.jpg

200謎のミーディアム:2007/03/20(火) 16:37:30 ID:spF7amw.
「冬色が〜」スレ>>178
蒼とも紅とも絶妙の掛け合い具合でおもわずニヤニヤしたwww

同174なイメージで
ttp://w3.abcoroti.com/~hina/files/2007032016323975.jpg






アク禁用にここがあって本当に助かってます orz
最近やっと、書き込みボタンを押す前に内容をコピーしておくことを覚えたw




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