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TSFのSS「白と黒の羽」※再掲、修正・加筆

8luci★:2015/09/05(土) 01:44:07 ID:???0
●●いるか?  いつの間にか寝入っていたのか、男の声で覚醒した。低く深い声。決して大声ではないのに辺りに、俺の心に響く声。一緒に育ったと言っても過言ではない、旧友。

ああ、ちょっと待って。今開けるから。 暗い部屋の中を器用に歩き玄関の扉に手を掛けた。いつも沈着冷静な旧友の、驚愕の表情というのを見たのはこれが初めてだったかも知れない。

あれ? ●●の部屋だよな。 寝ぼけていたのか、今の状況を忘れ開けてしまった自分の失態を呪った。

ええっと、取りあえず入って。 取り繕う事などできず、かといっていつまでも玄関先で佇む訳にもいかず、俺は旧友を招き入れた。三毛猫が不機嫌そうな声を上げた。

●●も隅に置けないな。いつの間にか彼女ができてたんだ。 普通に考えれば、俺が同じように旧友の部屋を尋ねて女が出てくれば同様に思うことを彼は言った。

深い茶色の瞳が、俺の顔を、そしてだぼだぼのシャツから垣間見える胸元を行き来していた。こいつも男なんだと、改めて感心していたが、いつ帰ってくるのか聞かれ、俺は正直に自身の身に降りかかった件を話す事にした。

じっと見つめながら話を聞く旧友。その真剣な眼差しと、室内に響く俺の高い声が、俺には妙に違和感を感じた。いつもなら俺の声を聞いているこいつが、俺ではあっても俺では無い姿と声を見て聞いている。真剣に。子どもっぽいけれど、俺は今の俺自身に少し嫉妬していた。

そうか、キミが、●●なのか――。 解ってくれた、こいつならきっと解ってくれると思っていた。それが嬉しくて気づいたら旧友に抱きついていた。下着など着けていない、シャツを押し上げる胸の先はちょっと尖って旧友の胸に擦り付けてしまっていた。顔を胸に埋めてしまったせいで、旧友の表情の変化に気づかなかった。

お前だったら解ってくれると思ってたよ。俺は……。 ?! いきなり突き飛ばされた俺は、普段乱暴などしない旧友の顔を見上げていた。

肩を掴まれ、床に押し倒され、のし掛かりながら何事か言っていたけれど、俺は突然の事に何がなにやら解らなかった。

血走った目。欲情に火照った顔。見たこともない表情は、俺を恐怖させていた。

次に行われること。それは弟達にされたことと同じ筈。腕で押し返そうとしてもビクともしない旧友の肉体は、俺の華奢な身体を引き寄せていった。

9luci★:2015/09/05(土) 01:49:32 ID:???0
どうして解らないんだ?! 俺だってば!  言いながら股間に足で一撃。呻く旧友に目もくれず這いながら玄関へ向かう。直ぐ側にありながらも、近づいてこない扉。そして、足首に痛みが走ると同時に、見る見ると玄関が遠ざかって行った。止めようとしても、引っかかりの無い床の上で空しく俺の手が動くだけだった。

やってくれたな、使えなくなったらどうしてくれるんだ。 冷静な声色だけれど、俺には解った。こいつの怒りが。

シャツをめくられ、男物のパンツが剥ぎ取られてしまうと、俺は足を固く閉じた。しかし同時に俺はそこから動けなくなったことを物語っていた。

尻を撫でられると悪寒と共にゾクゾクとした感覚が蘇っていた。その手の動きを止めようと腕を後ろに回し旧友の腕を引っ掻くが何の防御にもならなかった。尻の割れ目からグッと手が入り、敏感な部分に指が触れると思わず口から呻き声が漏れていた。振り返っても旧友の顔を見ることは出来なかった。けれど、荒い息遣いが背後から聞こえ旧友が俺に欲情していることだけは理解できていた。

親友だと思っていたし、こいつのことは何でも知っていると思っていたけれど思い上がりだったのか。くちくちと弄り回されると次第に痛みより快感が勝ってくる。誰にされるよりこいつに身体を弄られているという事が屈辱的だった。

こんなのイヤだ、間違ってる、お前がこんなことするなんて。 叫ぶけれど気にせず旧友は無言で弄り回していく。弟にレイプされた時にも出なかった涙が、物陰からじっと見つめる三毛猫を見た途端溢れていた。

●●に言わなけりゃ解らないだろ。それにほら。そっちだってヤル気満々じゃないか。 後ろ手に俺の腕を取り、身動きが益々取れなくなった身体を押さえつけ、股間へ差し込んでいた手を見せてきた。少し泡だった粘液が糸を引き淫猥な香りを辺りに振りまいていた。

どくん、と大きな鼓動が胸を打ち、耳に届いた。興奮というより、感じている証拠を突きつけられた戸惑い。そして次第に高くなる快感による焦燥。いくら感じていないと否定しても旧友の指が俺の性感を次から次へと引き出す。

指から逃れようとした隙に腿の間に膝を入れられて閉じられなくなっていた。濡れた音がくちゅくちゅと室内を占領して、俺を耳から苛んでいく。声が出そうになるのを唇を噛み締め必死で耐えた。

金属のあたる音。手首が締め上げられる感触。ベルトで後ろ手に締め上げられた身体は、既に抵抗する気力も無くなりつつあった。

あっ! ダメだっ、よせよ、俺達男同士だろ?! 親友じゃなかったのかよ?!  濡れた裂け目に旧友の肉棒が触れると叫び声をあげた。けれどヤツは無視して体重を俺に預けてきた。

10luci★:2015/09/05(土) 01:55:22 ID:???0
もっと抵抗しないと入っちゃうぞ。ほら、先っぽが……うン、頭だけ入った。すげぇ気持ちいい〜。 旧友が俺の中に入ってくる。その有り得ない状況に、俺はきつく目を瞑った。しかし、徐々に挿入されている感覚は、目を瞑ると余計に大きくなって脳内でそのビジョンを鮮明化させた。

ピンクに入り込む茶色。濡れ光る肉襞は無惨に開き茶色の肉塊を飲み込んでいく、そんな映像が溜息が零れ出る程の快感を伴って展開されていた。

ん、くっ。 声が自然と漏れだしていた。嬌声が室内に響く。なんて理不尽な振る舞いなんだろう。そこに、あるいはここにいるだけだったのに、なぜ男に犯されなくちゃいけないんだろう。女になった、それだけで。

いいぞぉ、いくぞぉ!  旧友がラストスパートに入ったのか、動きが速くなっていた。身体から粘液を引き出され、愉悦さえも引き出していく。何かに掴まりたいのに縛られた手には何も入らない。いつの間にか涙は乾いていた。

何かが身体の中で弾けた、そう感じた時、俺に乗っかったヤツは身体を痙攣させていた。

ふぅ、良かっただろ。そっちも楽しんだんだ、●●には内緒にしておけよ。つうか、またしようぜ、な。 サイテーだ。こいつ。俺は今の今までこんなヤツが親友だと思ってたのか。涙がまた溢れていた。情けない。俺? それともこいつ? 多分、両方。

ヤツは自分だけ身支度を整えるとベルトを外した。俺はだまったまま、犯された格好のまま。

●●が帰ったら宜しく言っといてくれ。あ、俺と●●って血液型同じだから。デキててもどっちかわかんないぞ。ラッキー。 ハッとした。一瞬、誰の子どもか解らない赤ん坊を抱いた俺の姿が目に浮かび、目の前が真っ暗になった。

まっ待てっ。 顔を上げた俺の視界には既にヤツの姿は無かった。

くそったれ、ばかやろう、事故ってしね。 色んな罵詈雑言が口をついて出てくる。けれど、後の祭り。

どす黒い闇。それが心の中に染み渡っていた。シャワーで洗い流しても、白い粘液が身体に染み渡ってくるのと同じように。まだ解るのは先だと言っても、不安だけは心の中で渦巻いていた。

11luci★:2015/09/05(土) 02:02:14 ID:???0
黒い陰。窓に映るそれは、足の爪でガラスを引っ掻き、嘴で窓を叩いていた。その音に目を覚まされた俺は、身体をぺたぺたと触って元に戻っているか確かめていた。けれど当然戻っている訳はなかった。

しつこく窓を叩くカラス。ウンザリしながら、追い返そうと窓に近づくと、三毛猫が俺とカラスの間に入り背中を丸め毛を逆立てカラスを威嚇する。対峙しお互いの視線を絡め合う獣に、俺はカラスの正体が解った気がした。

馬鹿野郎が。酷い事をするからだ。ざまぁみろ。 汚い言葉が、澄んだ声で発せられる。部屋に入れろと言わんばかりに騒ぐカラスを後に、俺は今日何をすればいいのか考え始めていた。

会社、には行けない。こんな風な見た目では誰も俺だと信用しないのは明らかだ。せめて面影だけでも残っていればいいのに、あの似非天使に似てるのだから始末が悪い。体調不良で欠勤するとしても、電話が本人ではないのもおかしな話だ。俺が独身なのは周知の事実なのだから、女が電話したらあらぬ疑いをかけられかねない。――いや、結局会社にはいけないんだから一緒か。

誰かに相談するにしても一体何を相談すればいいんだろう。空から天使みたいなのが堕ちてきて、抱き留めたら女にされた。そんな話を誰が信じるんだ? まして、相談する相手がいない。旧友は俺を犯しカラスになってしまってる、多分。弟は猫になった。誰もいない。一組を除いて。

取りあえず、銀行に金を下ろしに行くことにした。冷蔵庫にはビール以外入っていないし、先立つものがなければ、何もできない。

弟のズボンを穿く。捨てようと思っていた小さくなった長袖の白いカットソーを着込む。当然ブラなどなく、トップがつんと突きだしていたけど、俺はそれが解らなかった。

部屋を出て、銀行へ向かう。道すがら風体のよろしくない生徒が数人、学校にも行かずたむろしていた。その横を通り過ぎる。じろじろと遠慮のない視線が鬱陶しかった。

銀行で一月分の生活費を下ろし、その足でスーパーで食材を買い込んだ。これからどのくらいの時間を一人で過ごさないといけないのか、見当もつかない。出来るだけ人と接触しないように――そうすれば誰かに犯される事もない。

緑。茂った森。人通りの少ない、昼間でも薄暗い公園が銀行とアパートの間にあった。近道だからとそこを早足で歩き抜ける。と、前から数人現れ道が塞がれた。

お姉さん、この辺の人? そんなエロい格好してたら危ないよ。オレたちが送ってやるよ。 にやつきながらオレの胸元をじろじろと見ている。俺もその視線につられて見ると、トップの形がはっきりと見えた。そして選んだ色が悪かった。白のカットソーはピンク色のトップとその周囲をうっすらと写し出していた。

12luci★:2015/09/05(土) 02:08:08 ID:???0
しまった。そう思った時には遅かった。銀行へ向かう道すがらあった三人の生徒達。暇なことに俺の後をつけていたのだろう。胸を隠そうと上げた俺の腕を、坊主頭の少年が掴む。引きずられつんのめりそうになる俺の身体に、もう一人がしがみついてきた。その手が胸を揉むと俺はゾッとしていた。また、犯される、?

辺りには誰もいないがここで叫べば――そう思い息を吸い込んだ瞬間、三人目が俺の口を手で塞いだ。俺の耳にくぐもった呻き声が聞こえた。ドロッとした目。それが俺を見つめた。

送ってくって言ってんじゃん。その変わりヤラセテくれよ。その積もりでそんなカッコでここを通ったんだろ。 その積もりも何も、ただ近道だったから通っただけだ。

力一杯踏ん張っても少年とは言え男三人の力には適わない。少年達は俺を公園のトイレの中へと連れ込んでいった。

汚い床、壁。汚物が便器の外側にはみ出して乾いている。そんな中で俺はまた犯されなくちゃいけないのか? こんな理不尽な話はない。どうしてこんな事に。情け無くて視界が歪んだ。

抵抗しようとしたけれど、両手首をがっちりと掴まれ、背後から首筋にナイフが突きつけられた。冷たい感触。その恐怖が俺の心と身体から抵抗心を奪っていく。

声出したら切っちゃうよ、オレたち小心者だからさ。 笑いながら弟のズボンとパンツを一度に脱がしていく。立ったまま。ズボンが床につかないように膝に力を入れて落ちないようにした。上体を伏せさせられると、俺の股間は後ろからは丸見えになるのだろう、少年の一人の喉がなった。

ジッパーを下げる音。それが終わると肉の割れ目から焼けるような痛みが走った。声が出そうになるのを唇を噛み締め押し殺す。手首を掴んでいた手が離れると、腰にぶつかってくる若い牡の勢いに俺は壁に手をついていた。

痛いよぉ――迎え入れる準備などされていない。多分少年の唾液くらいだろう。涙と一緒に声が出ていた。それに反応したのか、白い粘液が俺の中に満たされていった。

そのままのカッコでいろよ。 自分から尻を突きだし男を強請っているような姿。内股を伝って流れていく精液が視界に入っていた。そして俺の耳に嗚咽が聞こえた。女の。それが自分の口から漏れだしている事に、俺は気づいていた。

もうイヤだ。 そう呟いた言葉は少年達の耳には届いていなかった。二人目が何の躊躇もなく押し入ってくると、杭が入り込んだように感じた。それが、俺を女の身体に留めさせているモノのようにも思えた。これを耐えていたら開放して貰えるだろう。家に帰れば、誰にも遭わず誰にも犯されない。怖くても、痛くても、悔しくても、理不尽でも、時間が過ぎてくれさえすれば――。

13luci★:2015/09/05(土) 02:10:52 ID:???0
三人目が我慢しきれなくなったのか、目の前でズボンとパンツを下げた。ムッとする熱気を纏った、肉の槍。自分にもあったモノだけれど、こんなに近くで見たことはない。心を閉ざそうとしていた時に見せられたからか、意識がはっきりしていた。

お姉さん、銜えて。ほらっ。んだよっ口開けよ! しゃぶれっつってんだろ!  髪を掴み唇に丸く張った亀頭を擦り付けてくる。後ろから突き入れる度に口元に強く当たる。こじ開けようと苛つく少年が俺の頬を張った。恐怖が心を塗りこめる。でも。

これだけはイヤだ。女の身体で男を受け容れる、これまで無かった器官に受け容れる、それは、まだ、耐えられる。でも、同じモノがあったんだ。俺にも。それを口に入れるのだけはイヤだ。頑として口を開かない俺に、少年は俺の鼻を摘んだ。

苦しい、でも、耐えてやる。三十を数える程経った時、痛いばかりだった股間から信じられない快美感が身体を駆け巡った。その愉悦に身体がビクビクと反応してしまう。肉の槍ではなく、指がクリトリスを弄った事で生じた、肉の悦び。

二度目に撫で上げられた時、苦しさと芳しさで俺の口は大きく開いていた。

やっとかよ。舌使えよ、お、気持ちいい〜。  含まされた肉の塊。背後で突き入れられ、その反動で喉まで犯される。こんなの、俺は望んでなんか無かった。ただ、一人になりたかっただけなのに。

もう、嫌だ! 何故、女に? 何故、誰も俺だと信じてくれない、認めてくれない? 何故、遭う男全てに犯されなくちゃいけない? こんなの嫌だ、嫌だ、嫌だっ、嫌だ!

視界に、最初に犯した少年の姿が汚らしい虫に変わっていくのが見えた。他の少年も見たのだろう。俺の身体から出ていった。そして、その二人もまた変化していく。

ざまぁみろっ。当然の報いだ!  どす黒い想いが口をついて次々と出ていく。その度に心が軽くなっていく。心が、変わっていく。

自分でも知らない筈の知識が、自分という存在意義が、脳裏に生まれていた。

開放された俺の精神は、気づくと、俺の身体を離れ空にたゆたっていた。今更何が起こっても驚かない。遥か上空から下を見ると、暗い影を纏った若い男が歩いていた。

ふふ。これからあなたは一人ぼっちになれるのよ。この、あなたのいた場所で。誰もあなただと思う事なんてなく。親も姉弟も恋人も友達も、誰一人あなただと気づかない。自分がイヤで一人になりたいと思っていたあなたに力を貸してあげる。二度と元に戻れない、孤独故の天国と地獄を教えてあげる。

俺はあの人外のモノの言葉を思いだしていた。

そして、仲間を増やす手伝いをするの。

ああ、そうか。仲間とはそういう事か。俺は一人ごちた。

目が合った。その視線を身に纏いながら、俺は天使のような顔をしてゆっくりと男の手の中に降りていく。


悪魔の心を宿して。


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