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保守戦士 千葉

1名無しさん:2006/05/10(水) 23:14:27
*注意点
このスレは基本的に『保守戦士 千葉』を書き込むだけの
スレです。
感想等は感想スレにお願いします。

2保守戦士 千葉:2006/05/10(水) 23:15:23

「グギギ・・・」「てやぁ!」
──今、この世界は危機に直面していた。
電脳が高度に発達した結果、人々は電脳空間で娯楽を旅行を楽しむのが当たり前になっていた。
しかし、高度に成長した電脳空間にはまた、成長を遂げたワームが出没し、被害を出して居たのだ。
そして、電脳世界を安全に管理する為の者達もまた存在するのだ。
その名も『保守戦士』である。
そんな戦士の一人、『房総 千葉(ちよ)』も今、ワームと戦闘を繰り広げていた。

「…トラフィックキューブ!」
彼女はそう叫ぶと、四角い弾をワームに当てていた。
それを受ける度、次第に動きが遅くなるワーム。
(今だわ!) 「クリアサークル!」
そう叫ぶ腕に、数字の羅列が集まり、リング状にクルクルと回り始める。
そして、その拳をのたうちまわるワームへ叩き込む。
「グギャギャギャァーー!!」
破裂するかの様に光が開放された後、ワームは崩壊を始め消滅する。

「此処のエリアボードも駆逐完了ね」
周囲をスキャンしてワームの存在を確認すると、ポータルに戻る千葉。
「イケナイ!子供とあの人との待ち合わせの時間だわ!」

「待った?アナタ、一太郎」
ハアハアと息を切らせ、夫のマイクロフトと一太郎に手を合わせ、ゴメンのポーズをする千葉。
「ハハハ、君は職務熱心だからね。一太郎もそれは分かっているさ」
その言葉に息子も、コクりと頷く。

千葉は結婚前から続けているこの仕事に対する二人の理解に感謝し、レストランに向かっていた。
彼女が養成所を16で卒業してから倍の歳月、年々凶悪化するワームやクラッカーと呼ばれる
怪人達との戦いに追われる毎日、彼女は家族との逢瀬に心が癒されるのを感じる。


──最近、あるボードエリアに、ワームの出没が確認されて居た。
『コード:セレブ』である。そのワームを発見する度にアタックをかけたものの
翌日にはまた、何事も無いかのように現れるのだ。
時には仲間と二人で連携してみても、翌日には復活するワーム。
明日はまたそこを調査し、ボードの正常化を試みるつもりだった。

しかし、今だけは家族との触れ合いを堪能しよう。
食事の後は、家族三人で映画でも見ようかしら?

全ては明日。
いつもの仕掛けで無く、泳がせ…元を絶つ作戦も。

ポータルから転送された千葉は今、ワーム『コード:セレブ』が現れるボードに来ていた。
今日こそは正常化を完了させる為…ワームの現出を待つ。
と──いつもの観測時間に実体化し始めるセレブ。
そのワームは、いつもの様に2ブロックを潰すと移動を始める。
(今だわ!『サーチアンカー!』)そう心で叫び、楔をワームに撃ち込む。
(これでトレースすれば……)
アンカーごと消えていくワーム・セレブの追跡を開始しだした……

3保守戦士 千葉:2006/05/10(水) 23:16:04

***
(此処は?)
ワームを追って転送された先は、データの墓場の一つ『双虎』だった。
殆どの人間が足を踏み入れる事のない場所……確かに此処ならば、色々と出来るだろう。
だが、そうなると此処は敵の本拠地の筈。慎重にいかねば……
そんな千葉を暗闇より窺う不定形ワームの群れ。それは、徐々に包囲を縮めていく。
「ここは…かなり初期に出来た『異界』ね……」
千葉はそう感想を漏らしていた。
吹き溜まったジャンク領域が形成する場所……異界には、ワームが発生しやすいのだ。
そして、此処の異界は、これ迄見て来た何処とも違う構築だった。
これがコード:セレブの土壌……そう確信する千葉。
こうなれば早く異界を抜け、通信可能領域に……

そう動いた時、周囲の闇が彼女を中心にドームを作り上げる。
(しまった!)
退路を断たれ、閉じ込められてしまう。
「くっ……」(これではサポートの『十里 寿賀里』に助けも……)
彼女はこの窮地に、同じ保守戦士を思い浮かべていた。
彼女の解析特化能力なら、この状況を打破出来たかも知れ無いのに……

(いいえ、今はいない者の事等宛にしている場合じゃ無いわ…
どうにか此処から抜ける手段を見つけ出さなければ…)

この『闇』には、なまなかな攻撃は効かなかった。なら…F5キャノンで一気に!
そう考えた千葉は、エネルギーをチャージしていく。
(もうすぐ充填が完了する…)
その時、地面から人影が現れる。
それは、白銀に輝く鎧を着た者、巫女装束を着た者、パワースーツらしき衣装の者……
その者達が千葉に襲い掛かって来る。
(だ、駄目!数が多過ぎる!)
たちまち羽交い締めにされて仕舞う千葉。
(な、何?!エネルギーが…吸われている?!!)
発射寸前だったF5キャノンのゲージが、みるみる減っていく。
(これ以上吸われたら、プロテクタ機能がスリープモードに……)
危惧した通り、アンチエイリアスが弱まり…消滅してしまう。
スーツは力を失ってしまったのだ。

千葉のエネルギーが尽きたのを知ると、その人影は形を失い、崩れ落ちていく。
今の彼女は、無力な存在へと落ちていた。
能力も普通のそれに同じく、ワームに立ち向かうのは自殺行為だった。

後は寿賀里は気付いてくれる……そんな都合の良い事しか無かった。
だが…ワームはこちらの都合で待ってくれる筈も無く、触手状のワームが飛び掛かって来る。

二度、三度…避けていく千葉。しかし……とうとう捕まってしまった。
一つの触手に足を取られて転倒した彼女に、群がる触手達。
それらは千葉の四股を取り、抗え無い程の力で別々の方向へと引っ張り……
X形に張り付けにされてしまった。

「…は…離せ!…この…化け物どもめ!……」
身動き出来ない身体の唯一自由になる言葉で抵抗する千葉だったが、触手達は緩める訳など無い。
それどころか、数匹が針を挿し…何かを注入して来たのだ。
(これは…撹乱ウィルス?!…駄目、身体が熱く…力が抜けていく…)
その段になって、初めて姿を見せるワームがいた。
透明な姿で、非常にゆっくりと迫って来るワーム…普通なら敵とすら呼べない不定形の『それ』は、
彼女に纏わり付きこめかみにへばり付く。そして、次第にその姿を変えていった。

その姿は、夫…息子…そして仲間の寿賀里…
あの透明なワームは自分の記憶から、彼等に擬態したのだ!
(こんな事…聞いた事も無いわ……)
目の前の出来事に驚きを隠せない千葉に、彼ら擬態ワームは特殊な叫びを発し
やがて、人の言葉で喋り出した。

4保守戦士 千葉:2006/05/10(水) 23:16:45

「オマエをマッテイタ。オマエのヨウナ個体ヲテニ入れるトキを」
そう息子の一太郎で固定化した様子のワームが喋る。
ワームは千葉の一番弱点となる姿に擬態したのだ。

「貴様!そんな姿で話そうが、通用などするものか!」
そうワーム一太郎に噛み付く千葉だったが、ワームは本人が見せない意地悪そうな顔で、
「ヒどイよマま、ぼくぬコトキラいナの?」と邪悪な笑みを投げ掛ける。
「ふざけるな!貴様!消去してやる…必ず…必ず消去してやる!…」
息子を玩ぶ態度にそう宣言する彼女を、ニヤニヤと覗き込むと
「まま、ぼくハママが好きなノニ、カナシイよ…ままにはボくをスキになってホシイな?」
そう喋りかけてくる。
「『お前』なんて好きになどなるものか!」
そう…偽物の顔に、唾と決意をぶつける千葉。

その唾を人には有り得無い長さの舌が舐め取りニヤリと顔を歪めると、右手を上げ触手に命令を出した。

ドクドクッ!

ワーム一太郎の命令にまた、液体を注入される千葉。
それと同時に、視覚がぶれノイズが入ってくる。
(なん…なの…)
神経が先鋭化され、身体が熱く疼き始め、絡み付いている触手の一擦りで快楽の波が押し寄せて来る。
「どう?まま。きもちいいでしょ?きもちいいと、しあわせでしょ?」
「ふ…ざけ…ない、で…ちょう…だい…」
かなりの快感を送り込まれているにも関わらず、否定の言葉を吐き出す千葉。
だが、言葉とは裏腹に息はあがり、身体は快感に上気していた…
「後少しで『ことば』ヲものに出来るヨ…僕ハ、ママの子供にナルンだ……」
 ・

 ・

 ・
「ハアハアハア……」
(私は…何故ここに…居たのかしら?…確か敵と戦って………)
千葉は、飛んでいた記憶を手繰り寄せていた。
(私は……)

「助けてママ!」

その時、息子の助けを求める声が聞こえる。
(あれは一太郎の声?!助け無ければ…)
まだダルイ身体を引きずり、息子の元に辿り着くと小さなワームが逃げて行く。
「…だ…大丈夫だった?いちたちゃん…」
目の前でベソをかく一太郎を安心させようと、何時もの愛称で呼び掛ける千葉。

「ヒック…ヒック…恐かったよぅ……」
そう言って、母の胸に飛び込む一太郎。
「もう大丈夫よ…ママが悪い化け物には、あなたを指一本触れさせ無いわ……ね?」
そうあやすと、千葉は愛しい息子を優しく抱きしめていた。
「でも、なんでワームが出る…こんな危険な場所にいちたちゃんが?…」
その疑問に、一太郎は涙声で『でっかい化け物が急に現れて……』と震えながらはなす。

「……そうだったの…可哀相に…でも、ママが来たからにはもう安心よ」
そう笑顔で語りかける。
だが、相当のショックだったのだろう。何時もなら聞き分けの良い一太郎が、駄々っ児になっていた。


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