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皮のニモ靴 ◆2tH7zOPLcg 作品

93名無しさん:2005/05/07(土) 03:30:28
「あたし達って…亜弥ちゃんも何か悩んでるの?」
「うんまぁ…」
亜弥ちゃんは俯いてため息を吐いた。辺りが暗いのでよくわからないが、亜弥ちゃんの
表情には陰りがあるように感じた。
「…別れよっかな」
「え?」
「ううん、こっちの話。そんなことよりお兄さんどうするの?もう知ってるんじゃないの、美貴タンの気持ち」
「俺は…藤本とは付き合えないよ」
むしろ、今はもうめちゃくちゃ嫌われてるだろう。友達としての藤本も帰ってこないと思うと、
急に胸が痛くなった。
「じゃあ、なんで美貴タンのパンツ持ってったの?」
「さっき言った通りだよ。今の生活を壊したくなかったから」
亜弥ちゃんは今ひとつ理解しかねているようだ。
それもそうだよな、パンツで守り抜いた生活ってどんなんだ。
逆を言えば、パンツがなかったら壊れた生活。自分でも滑稽だと思う。
その生活と引き換えに失ったものは、藤本との友情…
そんなのはいやだ、守ってもこれじゃ意味ないじゃないか。帰ったら藤本に土下座してでも
謝ろう。またいつものように意味のない言い争いがしたい。
「何か、自分の中で解決した?」
「うん…」
なんだか、亜弥ちゃんには全部見透かされちゃってる感じがするな。
「よかったね…あ、お兄さん今何時だかわかる?ケータイ、原チャの中に置いてきちゃった」
「んっちょっと待って、俺も時計してくるの忘れたから携帯で」
携帯電話って便利だ。時計代わりにもなるんだもんなぁ。
パカッと携帯を開くと『不在着信 1件』の文字。
おかしいな、鳴ってたのになんで気づかなかったんだ?ボタンを押して表示された名前に俺は驚いた。

『後藤真希 22:03 41秒』


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