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皮のニモ靴 ◆2tH7zOPLcg 作品

92名無しさん:2005/05/07(土) 03:29:31
「お兄さんは美貴タンと何があったの?」
何があったかって…ごめん言えないよ。俺が悪いとはいえ、理由が理由なんだ。
俺は亜弥ちゃんの質問に答えず、ただ黙って夜景を眺めていた。
「何も答えない…か。やっぱりなんかあったんだね」
「藤本からなんも聞いてないの?」
「うん。ただあたしの前で『もうやだ』って言っただけ」
あんなに仲いい亜弥ちゃんにも、俺がしたこと言わなかったのか…あいつ。
「言いわけだけさせてもらっていい?」
「どうぞー」
「俺、今の生活好きなんだ、みんなといるの楽しくてさ。それを壊したくなかった」
これが亜弥ちゃんの口から藤本に伝わらないかな、なんて考えてしまった俺は、
多分卑怯者だと思う。
「お兄さん、夜景綺麗だと思わない?」
「うん」
「なんかさ、悩み事って自分にとっては大ゴトだけど、他人にとってはちっぽけな
もんでしかないのかなって思うんだよ」
ぼけーっと夜景を眺める俺に、亜弥ちゃんは語りかけた。
「その証拠に、この夜景は広くて綺麗…あたしね、辛いことあると、よくこの景色を
眺めにくるんだけど、そうしてると…なんだか自分の悩みがホントにちっぽけな
ものに感じてくるんだぁ…ってちょっとありきたりな感じかな?」
「いや、俺はいいと思うよ」
「ごめんね、でも本当にそう思うんだ〜。それにこうやって夜景を眺めながら考えてると、
時間立つのもあっという間。不思議だよねぇ」
亜弥ちゃんって、年下なのに随分いろいろ考えてるんだな。
俺は亜弥ちゃんの話を聞きながら、心の隅で何を考えてるんだろう。
後藤のこと?藤本のこと?それとも…

「悩み事なんて、解決しようがしなかろうがいつか必ず消えるよ。時間があたし達を救ってくれる」


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