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0さん以外の人が萌えを投下するスレ
38
:
2/3
:2005/05/25(水) 18:40:19
俺を抱えたまま、携帯を何やら操作している朝比奈をよそに、俺は強張った身体を塀に
預け、半ばうわごとのように呟いた。
「しん……じらんね」
今更ながらに震えが止まらない。機転を利かせた朝比奈が俺の右手を引かなければ、
俺は確実にあの車に引っ掛けられていただろう。この時ばかりは機転の早い奴が隣に居た
事に感謝した。
「荻野?」
俺の怯えを察したように、優しい声で呼んだ朝比奈は、励ますように軽く背を叩く。
その胸元に縋り付き、俺は掴まれたままの右手を意識する。とっさに伸びた奴の長い腕が、
危険から遠ざけるかのように俺を捕まえて抱き寄せた。きつく掴まれた手首が痛いのに、
同時にその痛みが安堵に繋がる。
俺を救ってくれる腕だ。いつも、いつも。
そういえば、一年の頃、校庭の端の方でサッカーボールを転がしてた時のこと。古びて
緩んでいたフェンスが倒れてきたときに、俺を助けたのはこの腕で。気が付けば、いつも
隣で微笑んでいた朝比奈が、どれだけ俺を助けてくれていたのか分かってしまう。
見守られて、いたのだろうか。隣にいるのが当たり前になるくらい、近くで。
喉元で堰き止められていた息をゆるゆると吐く中で、押し付けた額が肩先にくっつく
程度には、いつのまにか身長差が出来ていたのだなと実感する。そして俺を繋ぐ左手も、
手首を軽く掴んでしまう程に大きくて。俺は微妙な気恥ずかしさと、それを上回る離れ
がたい気持ちの狭間で、収まりの悪い鼓動が静まるまでの間、寄り添う体温を感じて
いた。
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