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0さん以外の人が萌えを投下するスレ

3086-759・760 893と堅気・醜聞 1/2:2006/05/23(火) 03:07:49
エリートを思わせるその外見にそぐわず、剣呑な空気を持ったその男は口元だけ笑わせて私を見た。
笑わない目にぶつかって私は思わず顔を逸らす。彼はまた少し笑ったようだった。

「で、どうする?断りたいなら断ってもいいが」
「・・・どうしても、今日中に答えないと駄目か?」
「今日中だ」

冷たい言葉に体が凍った。


武田はいきなり私のラボにやってきて、どちらかを選べと私に二つの仕事を提示した。
一つは、会社保存の禁薬の持ち出し。一つは、彼の持ち込んだ新薬の被験者を見つけること。
この新薬は毒ではないよ、と武田は言ったが、違法ではないとは言わなかった。碌なものではないのだろう。
某広域指定団体が後ろにあると誰でも知っている、輸入会社の名刺を改めてチラつかせて、
武田はまた「どうする?」と言った。

「相応の報酬は支払う。来月には子供が生まれるんだろう?金が必要じゃないのか?」
「・・・金には困ってない」
「ああ・・・それはそうか研究所長補佐殿。でも・・・なぁ?」

意味深に、武田は言い含めた。解っている。彼と旧知の仲であることが世間に知れたら、
それは醜聞となって世を駆ける。
重役の娘である妻は私を見限るだろう。会社も私を追うだろう。
製薬会社と指定団体の癒着はそれほどに嫌われるものだから。

「会社の薬は・・・持ち出しできない」
「そうか」

武田は短く答えて、私に薬包を示した。ろくでもない新薬。

「これは?」
「良くなる薬だ。解るだろう?」

解らない。色々意味がありすぎて、どれを選べというのだ。

「被験者は男に限る。年齢は問わないが、まぁ・・・お前くらいで丁度いい」
「私くらい?」
「お前でもいいんだ、大塚」

恐ろしいことを武田は言った。正体をまともに告げれらないような薬を私に飲めと?
どうかしている。この男はどうかしている。
私が結婚したくらいから、この男は急に私に連絡をつけてきて、無茶を言うようになった。
私に守るものができたからか?まだ独身の彼にはそんな辛さは解らないのだろうか。


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