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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

96エヴァンジェSSその15:2006/10/29(日) 23:10:40
 だが安定性の四脚だけあって、動きを止めはしなかった。
 幾分よろめきつつも、なんとか肩のグレネードを構える。
 だがその時には既に、オラクルはその眼前まで飛び上がっていた。
 いつの間にか、左腕部が振り上げられ――その先端から、真っ青なブレードが形成されている。
 四脚も動いた。
 グレネードの遊底がスライドし、薬室に初弾が送り込まれる。
 だが撃たれるより早く、オラクルは高威力のブレードを振り下ろした。
 斬るというよりは、上から叩きつけるような勢いだ。
 たまらず、四脚は水面に落下する。
 大きな水飛沫が上がり、一瞬、オラクルの視界までも遮った。
 それを機に、エヴァンジェは追撃を切り上げた。
 スティックを操り、最寄りの障害物の上に着地させる。
 戦闘開始からそこまで、所要時間は僅かに数秒。機体状況からは想像もできない、電撃的な早業だった。
 しかし、不思議なことではない。
 ACという兵器は、関節とジェネレーターさえ守ってやれば、しっかりと動作するように設計されている。
 レイヴンの腕によって引き出される、この潜在的なタフネスこそが、ACという兵器体系の売りだった。
「さて」
 呟き、エヴァンジェはレーザーキャノンを展開した。
 残された二機――二脚とタンクの方に、注意を向ける。そうしながら、二機の後ろで口を開けている、三つの『水門』の利用法について、考えを巡らせていた。

 『敵AC 撃破』

 そんな折り、頭部COMが告げた。
 エヴァンジェは、叩き落とした四脚へ、ちらりと目を向ける。
 規格外の性能を持つはずの四脚は、水面に腰掛けるような形で絶命していた。
 注意深い者が見れば、周辺の水面には壁から伸びたコードが――照明に電気を供給していた、電気コードが多く垂らされているのに気づくだろう。
 それらは全て、事前に垂らしておいたものだった。
 タンクの猛攻を受ける際、オラクルは照明を落とした。その時に、照明に接続されていた電源コードも、水面に落ちていたのだ。
 無論、それで水路全体に電流が流れるわけではない。そうであれば、オラクルも感電してしまっている。


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