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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

93エヴァンジェSSその12:2006/10/29(日) 23:08:35
 くるりと背を向けるオラクルに、右腕のグレネードを向ける。同時に、肩から二つの球体が――EOが浮き上がった。
 グレネードとEO、三つの砲口がオラクルの背中を照準する。
 そして、同時に火を噴いた。
 それは『発砲』というよりは、『噴射』に近かった。
 マシンガン並の連射速度で、グレネードが、EN弾が、射出されていくのだ。
 逃げ回るオラクルの周囲では、着弾の爆風が連鎖し、水しぶきを盛大に噴き上がってゆく。
 そのうちに、爆風と湯気が凄すぎて、当たっているのか否かすら視認できなくなった。
 ――停止。
 三十秒ほどで、二脚『ライガー』が停止を命じた。
 一変、射撃がぴたりと止まる。
 残響音が響く中、立ちこめていた湯気のカーテンが、ゆっくりと色あせ、消えていった。
 そうして露わになった景色は――先ほどのものとは、一変していた。
 まず、いつの間にかオラクルの姿が消えている。
 かつ、ついさっきまでは車、もしくは一軒家程度の障害物がちらほらある程度の、殺風景な景色だったのだが――今や、あちこちにくず鉄が落ちていた。それも、横幅が三十メートル以上もある、幅の広い鉄塊だ。
 適度な高さを持つそれらは、どこか、敵の侵攻を防ぐバリケードを思わせる。
 さらによく見れば――その『バリケード』の多くが、元々は『天井の照明』だった。
 攻撃にさらされたせいか、ライトは砕け、フレームも曲がってはいたが、それでも電球が填っていた位置の凹みなど、至る所に面影が残っている。
 ――撃ち落としたり、ケーブルを引っ張ったりして、天井照明を落とし、遮蔽物代わりに使ったのか。
 AI達はその結論に達した。
 タンクが憎々しげに――無論、錯覚だろうが――右腕のグレネードをパージする。
 さすがに弾数までは増やせない。先程のようなラッシュは、二度と行えないだろう。
 ――フロートさえ生き残っていれば。
 一同のAIに、その思考が忍び寄った。
 だがすぐに気を取り直すと、全力でオラクルを索敵してゆく。
 ――あれか。


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