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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」
92
:
エヴァンジェSSその11
:2006/10/29(日) 23:08:03
結局このフロートは、500を超える巡航速度も、通常の二倍の旋回性能も――その圧倒的性能を全く発揮できないまま、AIを蒸発させてしまった。
残されたAIACは、三機だ。
その三機は、味方の損害には頓着せず、すぐに計画の修正を開始した。
――戦況は。
――敵との位置関係は。
三つのAIが、信号を交わし合う。そして、コンマ一秒で最適の戦略を出力した。
オラクルがブレードをうち消し、三機へと素早く向き直る。
そこに、四脚『アリゲーター』のグレネードが突っ込んだ。
敵は間一髪でそれを避けたが、グレネードはすぐ隣に着弾した。
爆風に煽られ、青の巨体がぐらりとよろめく。
そうして動きを止めた敵へ、タンク『バッファロー』、そして二脚『ライガー』もグレネードを撃ち放った。
全て命中し、高層ビルほどもある火柱が、オラクルを丸ごと飲み込んだ。
盛大な水しぶきが上がり、離れた三機にまで、夕立のように水が降り注ぐ。
だが、オラクルは頑強だった。
多量の水蒸気を引き連れて、青の巨体が炎から飛び出してくる。
そこを、再びグレネードが襲った。
横へ跳ぶのが後半秒遅ければ、オラクルはそちらも貰っていただろう。
だが、次の攻撃は避けられなかった。
二脚AC『ライガー』は、いつの間にか接近していた。そして、すれ違い様にオラクルを斬りつけた。
真っ赤な刀身が、空中に赤い筋を残す。
一瞬後、オラクルの足首が、火花をまき散らしながら吹き飛んだ。
だが、効果はそれだけではなかった。
オラクルが体勢を立て直す。いつしか、その機体には『電気』がまとわりついた。
滑らかなフレームの上で、黄色い電流が蛇のようにのたくっている。
ライガーは、ブレードで斬った際、ロック、及びレーダーに障害を及ぼす電磁波を、オラクルに帯電させていたのだ。
これ以上は無理と判断したのか、オラクルが後方ブーストで間合いを開けた。
――逃げるぞ。
その信号が、AI間で飛び交った。
と、タンク『バッファロー』が動いた。
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