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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

89エヴァンジェSSその8:2006/10/29(日) 23:06:15
 思いつつ、エヴァンジェは周辺を確認した。
 どこからか流れ着いたのか、あちこちにゴミが打ち上げられている。中には一軒家ほどの金属もあり、遮蔽物として使えそうだった。
 また、天井には照明がある。そして、それらとケーブルで繋がった『電源設備』が、壁面に散見された。
 それに加えて、何よりも重要なのが――『水門』だ。
 ここには、地下水路全ての水流が集まってきている。そして、集められた水流は、三つの出口へ向かうようだった。
 オラクルの遙か後ろでは、ACよりも巨大な水門が三つ、今も貪欲に水を飲み込んでいる。それぞれの奥はひどく暗くて、まるで地獄にでも繋がっているかのようだった。
「いいぞ」
 エヴァンジェは一人ごちた。そうせずにはいられなかった。
 戦闘のプロから見れば、この空間は『武器庫』にも等しい。
「『環境』を使いこなしてこそ……ドミナントだ」
 狭いコクピットの中で、強化人間の瞳が、ぎらぎらと異常な輝きを放っていた。


     *


 彼らは、『四人の娘』と呼ばれていた。
 この世の技術、その粋を集めて作られた、四機の無人ACだ。
 四機にはそれぞれタイプがあり、その枠によって別々の名が付けられていた。
 汎用性を追求した二脚には、『ライガー』。
 近距離での火力を追究した四脚には、『アリゲーター』。
 遠距離での火力、そして防御力を追究したタンクには、『バッファロー』。
 機動力を追究したフロートには、『オルカ』。
 それぞれ外見は既存のACパーツばかりだが、内面には様々なテクノロジーが込められている。
 仮に通常規格のACが、彼らを倒そうとするならば、少なくとも十倍以上の兵力差が必要なはずだった。
 しかし、今回に限っては――手こずっているのは、彼らの方だった。
 相手はオラクルというACである。
 この難敵は、巧みに待ち伏せと逃げるを繰り替えし、なかなか一斉攻撃をさせない。お手本のようなヒットアンドアウェイである。


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