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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

86エヴァンジェSSその5:2006/10/29(日) 23:05:00
 チーフは、最後にそっと付け足した。
「覚悟は、しておいた方がいいかもしれない」
 四人が、そろって怪訝な顔をした。
「……覚悟?」
 一人が聞くと、チーフは頷いた。
「そうだ。あのレイヴンは、経験豊かだ。奴の位置取りを見てみたまえ」
 言いながら、チーフは手元のコンソールを操作した。
 すると、中央のモニターに、戦場――地下水路の地図が表示される。
 蜘蛛の巣のような水路だった。ある一点に、太い水路が集中している。その太い水路を、細い水路がつなぎ合わせることで、複雑な網目が形成されていた。
 さらによく見ると――水路の所々で、赤い点が光っている。
「印がついているところが、敵が待ち伏せていた場所だ。
分かると思うが――この場所は、全て風の通り道になっている。
風が流れ込んでくる場所なのだ。
風上にいるよりも、ずっと『音』が聞き易い――そういう場所を選んで、敵は待ち伏せをしている。
そして、敵はどうも『音』でこちらの位置を把握しているらしい。
音の集まる場所に陣取っているのは、理にかなった判断だ」
 説明され、四人が眉をひそめた。警戒しているのだ。
「敵は、小手先に長けた、戦闘のプロだ。
四機の内――ひょっとすれば一機くらいは……」
 そう言った途端、四人が一斉に机を叩いた。
 必死の形相で、チーフに食ってかかる。
「何を言っているのです!」
「逃がすならともかく……」
「逃がすこと自体、ありえない! 撃破されるなど、尚更だ! 技術は、決して負けません」
 四人の技術者は、人が変わったようにまくし立てた。
 彼らにとっては、撃破される、ということが我慢ならないのかも知れない。
 それだけ、彼らは『技術』を絶対視しているのだろう。
「……狂信者、か……」
 チーフは肩をすくめてみせる。
 しかしその呟きは、興奮した四人には聞こえていないようだった。


     *


『……エヴァンジェ。聞こえてるか』
 ACの肩幅ぎりぎりの、細い通路。
 エヴァンジェがそこを通過していると、聞き慣れた声が入った。


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