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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

85エヴァンジェSSその4:2006/10/29(日) 23:04:25
いいスレだな、少し借りるぞ。(AA略)

というわけ間借りします。


 五人の男が、円卓についていた。
 全員が五十代から六十代の初老であり、また清潔そうな白衣に身を包んでいる。
 医者の会合のようにも見えるが――彼らの職業は、それではなかった。
 円卓のあちこちには、医学書ではなく、機械工学の技術書が積まれている。
 かつ、テーブル中央に埋め込まれたモニターには、ACオラクル、そしてそれを追い回す四機のACが映されていた。
「逃げられましたな」
 一人が、ぽつりと言った。
 しばらくの沈黙の後、別の男が応じる。
「確かに。このレイヴンは、思ったよりも優秀だな」
 すると、集まったメンバーが次々と苦言を呈し始めた。
「ああ。ここまで始末に時間がかかるとは」
「ここに踏み入ったからには、生かしておけないというのに……」
「当初の方針そのものを誤ったのではないか? AI達に、問題があるとは思えない」
 そういった文句に対し、今まで静観していた、白髭の男が口を挟んだ。
「……だが案ずることもないだろう。性能の差は歴然だ。いずれ、こちら側が勝利する」
 その言葉に、残りの四人が口論を止めた。
 四対の瞳が、テーブル中央のモニターを見つめる。
 そこに映された、四機のAC。それらがオラクルを追いかける姿を、眺めている内に――いつしか、各々の口元には笑みが戻っていた。
「……もちろんだ」
「悪かったよ、チーフ」
「我々の技術は、世界一だ」
 それぞれの言葉に、チーフと呼ばれた男は、重い頷きを返した。
「……アライアンスだか、バーテックスだか知らないが……あのレイヴンが、我々の隠れ家に侵入したことは確かだ。
そして、その不届き者を、我々の四人の『娘』が追い払っているのだ。
その活躍ぶりを、もっと素直に鑑賞したらどうだね。口論など以ての外だ」
 チーフの言葉に、四人が恭しく礼をする。
 技術者と技術者主任《チーフ》という、部下と上司の関係というだけで計り知れない、忠誠心がその行動には匂っていた。
 まるで教祖を崇めるようですらある。
「……もっとも」


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