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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

73忠実EOのオメガSSその18 ◆8G/OIpNBb2:2006/10/05(木) 20:41:42
     *


 映像の中で――俯せに倒れるクラウンクラウン、その背中から火が噴き上がった。
 ACほどの高さがある、巨大な火柱だ。まるでオメガの強烈な悪意が、炎となって立ち上っているかのようだ。
 その灯りが、戦場となったターミナルを夕焼け色に照らし出している。
「……終わったな」
 携帯テレビの画面を睨みつつ、大老が呟いた。
「オメガは死んだ。勝者は――」
 大老は画面端に映される、紫のACに目をやった。
「ジナイーダだ」
 紫のAC――ファシネイターが、ゆっくりとこちらを振り返った。
 ひどい姿だった。
 右腕部は千切れ、色々な関節から黒煙が噴き上がっている。
 勝者も貫禄も何もない。手ひどいやられ方だった。
 オメガの爪は、ドミナントにしっかりと届いていたのである。
「……しかし、よく脱出できたな」
 傍らで、大老のオペレーター――マックスが訝しげに言った。
「実際、やばかっただろ? ファシネイターは片腕、ブーストでの脱出も困難。どうやって助かったんだ?」
 マックスは、AC戦の専門家ではない。
 クラウンクラウンの下からファシネイター脱出する一部始終は、目にしたはずだが――映像だけみても、いまいち脱出のカラクリが分からないのだろう。
 大老は説明してやることにした。
「簡単なことだ。まず、片腕でクラウンクラウンを押し上げる」
「できるのか? 相手は重量級だ、パワー不足じゃないか?」
「正攻法では無理だがな。地面とクラウンクラウンのコアの間に、肘から先をねじ込む。つっかえ棒をするようにな。
そうすれば、のし掛かっていた機体が浮く。これなら低出力のブースターでも、脱出に支障はないだろう。一挙に脱出できなくとも、上半身だけでも出れば、後は楽だからな」
 納得したらしく、マックスは大げさに肩をすくめた。
「にしても、アンビリーバブルだ」
「だが、現実だ。あの女は、本当にドミナントかもしれん」
 大老は目線をモニターに戻した。
 だが、もはやファシネイターの姿はない。
 任務を終えたので、さっさと帰還してしまったのだろう。


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