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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

71忠実EOのオメガSSその16 ◆8G/OIpNBb2:2006/10/05(木) 20:40:51
 倒れるクラウンクラウンは、そのファシネイターを巻き込んだ。
 直後、突き抜けるような衝撃と共に、天地が逆転、轟音が響きわたった。
(……どうなった……?)
 痛む頭を叱咤し、オメガが目を開けると――メインモニターには、ファシネイターのコアが映し出されていた。
 どうやらクラウンクラウンは、ファシネイターの上に覆い被さっているらしい。
 まるで、押さえ込もうとするかのように。
 オメガの顔に、悪魔のような笑みが戻った。
「……道連れだなぁ」
 これ以上ないほど、気持ちのこもった声だった。
 そうとも。こいつを殺すために、全力を尽くす。こいつを殺し損ねるぐらいなら、のたうち回って焼死する方が遙かにマシだ。
 もっとも、クラウンクラウンの爆発が、ファシネイターに致命的なダメージを与えられるかは、やってみないと分からないが――可能性は十分ある。
『お前……!』
 ファシネイターが、もがく。
 ジェネレーターが壊れているクラウンクラウンは、もはや阻止できない。
 しかし――ファシネイターは、右腕を破損させていた。片腕なのだ。
 例え妨害がなくとも、片腕だけで重量級ACをどかしきれるかは――非常に怪しい。
 かつ、ファシネイターの低出力ブースターでは、ブーストのパワーで強引に立ち上がったり、這い出したりすることも容易ではないだろう。
 と、コクピットが急激に熱さを増した。
 そろそろ最期が近いらしい。爆発までは、もはや秒読み段階だ。
『馬鹿なっ』
 向こうもそれを悟ったのか、ファシネイターから焦った呻き声が漏れてくる。
 オメガは、そんな状況に――言いしれぬ滑稽さを覚えた。
(……なんて様だよ)
 くく、と声が漏れる。
 最初のファシネイターは、まさしく天災のような存在だったのだ。闘おうとさえ思わなかったし、現に『戦闘』そのものはファシネイターの圧勝だ。
 だが今はどうだ。
 愛機の下で、紫の巨体はもがいている。しかも片腕だ。
 なんて無様な姿だろう。最初の威勢など欠片もない。


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