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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」
70
:
忠実EOのオメガSSその15
◆8G/OIpNBb2
:2006/10/05(木) 20:40:27
オメガはメインモニターを覗き込み――絶句した。
『ジェネレーター損傷』。『下腹部で火災発生』。たった二行のメッセージが、オメガの上に重くのしかかる。
スティックを滅茶苦茶に動かしたが、機体はもう反応しなかった。
歩くこともなければ、腕を動かすこともない。もはやクラウンクラウンは、直立したくず鉄だった。
じきに爆発するだろう。もっとも、その前に中のオメガは焼け死ぬだろうが。
「くそっ!」
オメガは内壁を殴りつけた。
だが、どんな機体であっても、ジェネレーターのEN供給がなければ動かない。その事実は決して揺るがなかった。
もしこれが全快状態であれば、ロケット一発がジェネレーターまで到達することなどないのだが――クラウンクラウンは、すでに何回もブレードで斬られていた。
ロケットをはじき返すだけの防御力は、もはや残っていなかった。
「……ちくしょう」
声が、漏れた。
目の前の敵に、届かなかった。
その一念が、身を焼き尽くすほどの悔いになっていた。
ファシネイターが、そんなクラウンクラウンに、ゆっくりと近づいてくる。
その左腕部から、青く、長い刀身が伸ばされていった。
斬るつもりだ。
思ったときには、ファシネイターが急接近してきた。
紫の巨体が、画面一杯を占拠する。
その瞬間――誰よりも高いプライドが、猛々しい叫びを上げた。
一度は消えかけた戦意が、猛然と燃焼する。
闘え。
その声が、頭の奥に響いた。
予測機能――『チップ』の声とは違う、『芯』からの囁きだ。
「分かってる」
呟き、オメガはスティックを前に倒した。
それと同時に、固い椅子から体を浮かせ、前方の壁に――メインモニターの辺りに渾身のタックルをかます。
「進めぇ!」
そして信じがたい事に――それで、機体の重心が動いた。
クラウンクラウンが、前のめりに倒れ出す。
運の良いことに――丁度その時、ファシネイターはクラウンクラウンの眼前にまで迫っていた。
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