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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

68忠実EOのオメガSSその13 ◆8G/OIpNBb2:2006/10/05(木) 20:39:24
 クラウンクラウンはその隙をついて、ファシネイターにチェインガンを向けた。
 言葉が口をついて出てくる。
「行くぞ……!」
 それは「殺す」であり、「ふざけるな」であり、また「見たかこの野郎」でもあった。
 心の底からの、怨念の叫びだ。
 トリガーを、絞る。
 鋭利な弾丸が、チェインガンの砲口から飛びだし、残らずファシネイターに突き刺さった。
 思わぬ反撃に驚いたのか、ファシネイターが慌てて距離を取る。
 胸のすくような思いだった。
(……そうだ)
 このままで終われるか。
 力の限り、お前に喰らいついてやる。
 決死の覚悟を胸に、オメガはシステムクラッチを踏みつけた。

『メインシステム 戦闘モード 起動します』

 飛び退くファシネイターに、クラウンクラウンが肉薄する。
 ファシネイターは、それに驚いたようだった。
 無理もない。傷を負っているクラウンクラウンが、あえて接近するというのは――完全にセオリーから脱していた。
『自殺する気か』
 ジナイーダが問う。
 オメガは応えなかった。そもそも、質問が耳に入っていなかった。
 体の芯に沸き上がる、熱く激しいもの。それが、頭に無尽蔵に汲み上げられてくる。
 とても話を聞ける状態ではなかったのだ。
「ミンチだ」
 オメガがトリガーを絞った。
 背部のチェインガンが、眼前のファシネイターに銃弾をばらまく。
『くそっ』
 ファシネイターは、飛び上がってそれらを回避した。
 変則的な機動だったが――オメガはその動きに対応し、機体を右に振り向かせる。
 案の上、そこにファシネイターが着地した。
 すでに、その左腕部からはブレードが伸ばされている。
 こちらに光波を飛ばすつもりだろう。
 そう思った途端、オメガの唇が笑みの形に歪んだ。
「いいね」


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