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「vipArmoredCoreSS外伝 ヒワイナントアンテナ」

67忠実EOのオメガSSその12 ◆8G/OIpNBb2:2006/10/05(木) 20:38:59
 破壊的なエネルギーを秘めたブレードは、クラウンクラウンに届く寸前で止まっている。
(ブレードを……防いだのか? 俺が?)
 そこで、オメガは自分がスティックを握っていることに気がついた。
 手が、勝手に動いたのだ。そうとしか考えられなかった。
(……俺が……)
 無意識の内に発揮した、思わぬ行動力に、オメガは呆然とした。
 そんなオメガに構わず、ファシネイターはクラウンクラウンの腕を振り払うと、すぐに二度目の斬撃を準備した。
 このままでは、死んでしまう。
(……嫌だ)
 オメガは、自分の人生がどんなものであったかを思い知っていた。
 そこには思い返すに値することは、何一つとしてない。空っぽの、あまりに寒々として人生だった。
 オメガはこうなると薄々感づきながらも、幼い日より徐々に醸成された虚無、それに身を任せてしまった。
 その挙げ句が――死ぬ前に感じた、あの壮絶な『寒さ』である。
 満足げに逝った、ガルムやムームとは大違いだ。
「ちくしょう……」
 切なく、哀しく、だがそれ以上に――悔しかった。
 肥大化したプライドが、その思いを後押しする。
 この俺が。なんでこんな様に。
 理不尽だ。許容できない。
 断固として。
 オメガの中で、ゆっくりと何かが組み変わった。
 育て上げられたプライドが、今、『意地』となって行動を呼び起こそうとしている。
 ――このままでは、終われない。
「ちくしょう……!」
 スティックを握る手に、力がこもった。
 慣れ親しんだ、鋼鉄の手触りが彼の意気込みを出迎える。
 と、ファシネイターが、ブレードを振った。
 以前とは違い、上から打ち下ろすような振り方である。
 そしてそれは、より力がかかる分、受け止められにくい振り方だった。
 しかし――クラウンクラウンは、それもやり過ごした。
 腕が素早く動き、敵の左腕を打撃、ブレードの軌道をずらす。青い刀身は、クラウンクラウンの背後にあるシャッターに、深々と突き刺さっただけだった。
 ファシネイターが、驚きの声を漏らす。


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